説明

ナビゲーション装置および分岐点拡大図表示方法

【課題】分岐点拡大図上に表示されるべき誘導経路の一部が画面からはみ出て表示されなくなるような場合でも、ユーザが、案内分岐点の通過前後を通して、自車両が進むべき経路を確実に把握することが可能な「ナビゲーション装置および分岐点拡大図表示方法」を提供する。
【解決手段】誘導経路の進行方向を矢印で表した分岐点拡大図250の表示枠と誘導経路とが交わる地点の中で、分岐点拡大図250に表示されていない誘導経路280で接続される地点B、Cを誘導経路の進行順に沿った向きでつなぐ第2の矢印275を分岐点拡大図250上に描画することにより、第2の矢印275の両端近傍に位置する誘導経路が分岐点拡大図250の外にある誘導経路280で繋がっていること、誘導経路280の進行方向を把握でき、第2の矢印275の両端近傍に位置しない地点Aが案内分岐点255に対する最初の進入路であることを直感的に把握できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置および分岐点拡大図表示方法に関し、特に、車両が誘導経路上の案内分岐点(マニューバポイント)に接近したとき、分岐点拡大図を画面に表示して分岐点案内を行う機能を有するナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用のナビゲーション装置では、自律航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機などを用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す自車位置マークを重ね合わせて表示することにより、車両の現在位置を一目で分かるようにしている。
【0003】
また、ナビゲーション装置の殆どには、運転者が所望の目的地に向かって道路を間違うことなく容易に走行できるようにした経路誘導機能が搭載されている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を自動探索し、その探索した経路を誘導経路として地図画面上で他の道路とは色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上の案内分岐点に一定距離内に近づいたときに分岐点拡大図を表示して分岐点案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0004】
なお、案内交差点がトラフィックサークル(Traffic Circle:環状交差路)に属する場合、そのトラフィックサークル全体が画面表示領域内に収まり、かつ、所定の大きさ以上で表示されるように、地図画像を拡大して表示する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−132784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、欧米等には、特殊な構造を有する分岐点が存在する。例えば、案内分岐点付近に立体交差構造を有する道路(例えば、ランプ)が存在し、案内分岐点の先の誘導経路が、長い楕円形状となっている場合がある。この場合、分岐点拡大図上に表示されるべき誘導経路の一部が画面からはみ出て表示されなくなり、分岐点拡大図における誘導経路をどのように走行していけば良いのかわかりにくいという問題があった。この問題について図7を参照しながら説明する。
【0007】
図7は、従来のナビゲーション装置によって画面表示される分岐点拡大図の例である。図7の分岐点拡大図10において、20は車両位置から直近の案内分岐点、30は案内分岐点20の次の案内分岐点、40は分岐点拡大図10に含まれる一般道路、42は分岐点拡大図10に含まれる高速道路、44は分岐点拡大図10に含まれ一般道路40から高速道路42へ連絡するランプ道路、50は分岐点拡大図10における誘導経路について自車両の進行方向を示す矢印である。誘導経路は、地点A→案内分岐点20→案内分岐点30→地点C→地点B→案内分岐点20→地点Dで進行する経路である。地点Cと地点Bとを繋ぐ誘導経路60(ランプ道路)は、分岐点拡大図10からはみ出て表示されていない。なお、62は分岐点拡大図10からはみ出て表示されていない高速道路である。64は分岐点拡大図10からはみ出て表示されていない、案内分岐点30の次の案内分岐点である。
【0008】
次に、地点Bと地点Cとを繋ぐ誘導経路60が分岐点拡大図10からはみ出てしまう理由を説明する。すなわち、図7に示すように、2つの案内分岐点20、30が短距離で連続して存在しているため、1つの分岐点拡大図10で分岐点案内を行っている。この場合、直近の案内分岐点は分岐点拡大図10の中心付近に表示することが要求されている。また、案内分岐点20、30での道路形状や構成を明確に表示するため、分岐点拡大図10の表示縮尺はかなり大きくする必要がある。したがって、上記2つの条件を満たす表示を行うと、地点Bと地点Cとを繋ぐ誘導経路60(つまり、分岐点拡大図10上に表示されるべき誘導経路の一部)が画面からはみ出て表示されなくなる。
【0009】
しかしながら、図7のような分岐点拡大図10では、ユーザは、分岐点拡大図10における誘導経路をどのように走行していけば良いのか直感的にわからない。具体的には、案内分岐点20に進入するための誘導経路は、地点Aから案内分岐点20に向かう誘導経路、地点Bから案内分岐点20に向かう誘導経路の2つがあり、図7の分岐点拡大図10を見たユーザは、どちらの誘導経路が最初に案内分岐点20に進入するためのものなのか判断することができない。よって、図7の分岐点拡大図10を見たユーザは、どの誘導経路をどの順番で進行すればよいのかわかりにくい。
【0010】
上記問題に対して、特許文献1に記載されている技術と同様に、案内分岐点の先の誘導道路が全て表示されるように分岐点拡大図の表示縮尺を通常よりも小さくするという案もある。しかし、分岐点拡大図の表示縮尺を小さくすると、2つの案内分岐点20、30が表示上重なってしまい、個々の案内分岐点20、30およびその間の経路が判別しづらくなってしまうという問題を生じてしまう。したがって、近距離に存在する2つの案内分岐点20、30を含んだ分岐点拡大図10を表示する場合には、分岐点拡大図の表示縮尺を小さくするという方法は採用できない。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、分岐点拡大図上に表示されるべき誘導経路の一部が画面からはみ出て表示されなくなるような場合でも、ユーザが、案内分岐点の通過前後を通して、自車両が進むべき経路を確実に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、誘導経路の進行方向を矢印で表した分岐点拡大図の表示枠と誘導経路とが交わる地点を検出し、検出した地点の中で、分岐点拡大図に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在するか判定する。存在すると判定した場合、2つの地点について、誘導経路の進行上、先に通過する地点および後に通過する地点をそれぞれ第1地点および第2地点として特定する。そして、第1地点から第2地点へ向かう第2の矢印を分岐点拡大図に描画するようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、分岐点拡大図の表示枠と交わる複数の地点で誘導経路が途切れている場合であっても、分岐点拡大図に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点間には、誘導経路の進行上、先に通過する第1地点から後に通過する第2地点へ向かう第2の矢印が分岐点拡大図に描画される。そのため、分岐点拡大図を見たユーザは、描画された第2の矢印の両端近傍に位置する誘導経路が分岐点拡大図の外で繋がっていること、および、その繋がっている誘導経路の進行方向を把握することができる。それ故に、分岐点拡大図の表示枠と誘導経路とが交わる地点のうち、第2の矢印の両端近傍に位置しない地点が案内分岐点に対する最初の進入路であることを直感的に把握することができる。したがって、分岐点拡大図上に表示されるべき誘導経路の一部が画面からはみ出て表示されなくなるような場合でも、ユーザが、案内分岐点の通過前後を通して、自車両が進むべき経路を確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態によるナビゲーション装置の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナビゲーション装置の主要構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による分岐点拡大図の生成処理を説明する図である。
【図4】本実施形態による分岐点拡大図の例を示す図である。
【図5】本実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態による分岐点拡大図の変形例を示す図である。
【図7】従来の分岐点拡大図の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナビゲーション装置100の全体構成例を示すブロック図である。図1において、110はDVD−ROM等の記録媒体であり、地図表示や経路探索等に必要な各種の地図データを記憶している。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM110を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0016】
120は車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0017】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0018】
130はDVD−ROM制御部であり、DVD−ROM110からの地図データの読み出しを制御する。140は地図データ記憶部であり、DVD−ROM制御部130の制御によってDVD−ROM110から読み出された地図データを一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部130は、車両位置検出部120から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な地図データをDVD−ROM110から読み出して地図データ記憶部140に格納する。
【0019】
150はリモコン、タッチパネルまたは操作スイッチ等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、経路誘導の目的地や経由地)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、地図の拡大/縮小操作、手動地図スクロール、数値入力など)を行ったりするためのものである。
【0020】
160は目的地設定部であり、ディスプレイ170に表示されている目的地設定用の操作画面において、ユーザによる操作部150の操作を介して指定された地点を目的地として設定する。そして、目的地設定部160は、設定した目的地を示す目的地情報を誘導経路探索部180に出力する。
【0021】
誘導経路探索部180は、地図データ記憶部140に記憶されている地図データに基づいて、車両位置検出部120により検出された自車位置(出発地)から、目的地設定部160により設定された目的地に至る様々な経路上のリンクコストを順次加算し、リンクコストの合計が最も小さい経路を誘導経路として探索する。
【0022】
190は誘導経路メモリであり、誘導経路探索部180により誘導経路が探索された場合、その探索された誘導経路のデータ(現在位置から目的地に至るまでのノードの集合)を誘導経路情報として一時的に格納する。
【0023】
200は地図表示制御部であり、車両位置検出部120により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部140に記憶されている地図データとに基づいて、自車位置周辺の地図画像データを生成する。そして、地図表示制御部200は、生成した地図画像データをディスプレイ170に出力することにより、自車位置周辺の地図画像をディスプレイ170に表示させる。
【0024】
210は誘導経路案内部であり、誘導経路探索部180により誘導経路が探索された場合、車両位置検出部120により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部140に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ190に格納された誘導経路情報とに基づいて誘導経路案内を行う。具体的には、誘導経路案内部210は、ディスプレイ170に対して、地図表示制御部200により生成された地図画像に重ねて誘導経路を他の道路とは異なる色で太く表示することにより、誘導経路の目的地までの走行案内を行う。また、誘導経路案内部210は、誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点(以下、案内分岐点という)に自車両が近づくたびに、分岐点拡大図を表示して当該案内分岐点に関する経路案内を行う。
【0025】
次に、本実施形態によるナビゲーション装置100の主要な機能構成について説明する。図2は、本実施形態によるナビゲーション装置100の主要構成例を示すブロック図である。図2に示すように、誘導経路案内部210は、接近判定部220、拡大図生成部230および表示制御部240を備えて構成されている。
【0026】
接近判定部220は、車両位置検出部120により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部140に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ190に格納されている誘導経路情報とに基づいて、自車両が次の案内分岐点から一定距離(例えば、700m)以内に近づいたか否かについて判定する。接近判定部220は、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいたと判定した場合、その旨を拡大図生成部230の拡大図描画部300に通知する。なお、接近判定部220は、自車両が目的地に到着していない限り、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいたか否かについて判定する。
【0027】
拡大図生成部230は、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいた旨の通知を接近判定部220から受けた場合、分岐点拡大図を生成する。拡大図生成部230は、拡大図描画部300、地点検出部320、地点判定部340、地点特定部360および矢印描画部380を備えて構成されている。
【0028】
拡大図描画部300は、車両位置検出部120により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部140に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ190に格納されている誘導経路情報に基づいて、図3に示すように、次の案内分岐点242が中心付近に表示され、かつ、案内分岐点242での道路形状や構成が明確に表示されるように、誘導経路の進行方向を矢印で表した分岐点拡大図画像246(表示領域)を描画する。
【0029】
本実施形態では、拡大図描画部300は、図3に示すように、表示領域だけでなくその周囲の広い範囲の領域も含めて、誘導経路の進行方向を矢印で表した描画領域画像244を描画する。すなわち、分岐点拡大図画像246は描画領域画像244の一部の画像である。拡大図描画部300は、描画領域画像244のデータ(以下、描画領域画像データという)を地点検出部320、地点判定部340および地点特定部360に出力する。また、拡大図描画部300は、分岐点拡大図画像246のデータ(以下、分岐点拡大図画像データという)を表示制御部240および矢印描画部380に出力する。
【0030】
地点検出部320は、拡大図描画部300から出力された描画領域画像データに基づいて、分岐点拡大図画像246の表示枠と誘導経路とが交わる地点を検出する。具体的には、地点検出部320は、描画領域画像データに対して公知の画像解析処理(2値化、エッジ検出)を行い、分岐点拡大図画像246の中から誘導経路を抽出するとともに、分岐点拡大図画像246の表示枠と、抽出した誘導経路とが交わる地点を検出する。そして、地点検出部320は、検出した地点を分岐点拡大図画像246における座標(X、Y)で表した特定地点情報を地点判定部340に出力する。
【0031】
地点判定部340は、拡大図描画部300から出力された描画領域画像データと、地点検出部320から出力された特定地点情報とに基づいて、描画領域画像データに対して公知の画像解析処理を行い、地点検出部320により検出された地点の中で、分岐点拡大図画像246に表示されていない誘導経路(すなわち、描画領域画像244にのみ表示されている誘導経路)で接続される2つの地点が存在するか否かを判定する。地点判定部340は、分岐点拡大図画像246に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在すると判定した場合、当該2つの地点を分岐点拡大図画像246における座標(X、Y)で表した第2の特定地点情報を地点特定部360に出力する。また、地点判定部340は、分岐点拡大図画像246に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在しないと判定した場合、その旨を表示制御部240に通知する。
【0032】
地点特定部360は、地点判定部340から第2の特定地点情報が出力された場合、拡大図描画部300から出力された描画画像データに基づいて、第2の特定地点情報により示される分岐点拡大図画像246上の2つの地点について、誘導経路の進行上、先に通過する地点および後に通過する地点をそれぞれ第1地点および第2地点として特定する。具体的には、地点特定部360は、描画画像データに対して公知の画像解析処理を行い、分岐点拡大図画像246において、誘導経路の進行方向を示す矢印の先端方向に位置する地点を第1地点として特定するとともに、誘導経路の進行方向を示す矢印の根元方向に位置する地点を第2地点として特定する。そして、地点特定部360は、特定した第1地点および第2地点を分岐点拡大図画像246における座標(X、Y)で表した第3の特定地点情報を矢印描画部380に出力する。
【0033】
矢印描画部380は、拡大図描画部300から出力された分岐点拡大図画像データと、地点特定部360から出力された第3の特定地点情報とに基づいて、分岐点拡大図画像246において、地点特定部360により特定された第1地点(誘導経路の進行上、先に通過する地点)から第2地点(誘導経路の進行上、後に通過する地点)へ向かう第2の矢印を描画する。そして、矢印描画部380は、第2の矢印を描画した分岐点拡大図画像データを表示制御部240に出力する。
【0034】
表示制御部240は、矢印描画部380から分岐点拡大図画像データが出力された場合、その出力された分岐点拡大図画像データをディスプレイ170に出力することにより、分岐点拡大図をディスプレイ170に表示させる。また、表示制御部240は、分岐点拡大図画像に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在しないと判定した旨の通知を地点判定部340から受けた場合、拡大図描画部300から出力された分岐点拡大図画像データをディスプレイ170に出力することにより、分岐点拡大図をディスプレイ170に表示させる。
【0035】
次に、ディスプレイ170に表示される分岐点拡大図について図4を参照しながら説明する。図4は、誘導経路上にある次の案内分岐点から一定距離以内に自車位置が入ったときの表示例である。図4の分岐点拡大図250において、255は車両位置から直近の案内分岐点、260は案内分岐点255の次の案内分岐点である。2つの案内分岐点255、260は短距離で連続して存在しているため、1つの分岐点拡大図に表示している。
【0036】
また、265は分岐点拡大図250に含まれる一般道路、266は分岐点拡大図250に含まれる高速道路、267は分岐点拡大図250に含まれ一般道路265から高速道路266へ連絡するランプ道路、270は分岐点拡大図250における誘導経路について自車両の進行方向を示す矢印である。誘導経路は、地点A→案内分岐点255→案内分岐点260→地点C→地点B→案内分岐点255→地点Dで進行する経路である。ただし、地点Cと地点Bとを繋ぐ誘導経路280(ランプ道路)は、分岐点拡大図250からはみ出て表示されていない。なお、282は分岐点拡大図250からはみ出て表示されていない高速道路である。284は分岐点拡大図250からはみ出て表示されていない、案内分岐点260の次の案内分岐点である。
【0037】
図4の分岐点拡大図250では、分岐点拡大図250に表示されていない誘導経路280で接続される2つの地点C−B間には、誘導経路の進行上、先に通過する第1地点(地点C)から後に通過する第2地点(地点B)へ向かう第2の矢印275が、誘導経路の進行方向を示す矢印270とは異なる態様で分岐点拡大図250に描画されている。具体的には、第2の矢印275は、点線、かつ、誘導経路の矢印270の表示色とは異なる表示色で描画されている。なお、第2の矢印275を点滅表示するように描画しても良い。
【0038】
このようにすれば、分岐点拡大図250を見たユーザは、描画された第2の矢印275の両端近傍に位置する誘導経路が分岐点拡大図250の外で繋がっていること、および、その繋がっている誘導経路280の進行方向(地点C→地点B)を把握することができる。それ故に、分岐点拡大図250の表示枠と誘導経路とが交わる地点A、B、Cのうち、第2の矢印275の両端近傍に位置しない地点Aが案内分岐点255に対する最初の進入路であることを直感的に把握することができる。したがって、分岐点拡大図250上に表示されるべき誘導経路の一部が画面からはみ出て表示されなくなるような場合でも、ユーザが、案内分岐点255、260の通過前後を通して、自車両が進むべき経路を確実に把握することができる。
【0039】
次に、本実施形態における誘導経路案内部210の動作について説明する。図5は、自車両が目的地へ向かって誘導経路を走行している場合における誘導経路案内部210の動作例を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおける各処理は、ナビゲーション装置100の起動後、誘導経路探索部180が自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、その結果の誘導経路情報を誘導経路メモリ190に格納した後、自車両が目的地に到着していない限り、繰り返し行われる。
【0040】
まず、接近判定部220は、車両位置検出部120により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部140に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ190に格納されている誘導経路情報とに基づいて、自車両が次の案内分岐点から一定距離(例えば、700m)以内に近づいたか否かについて判定する(ステップS100)。もし、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいていないと接近判定部220にて判定した場合(ステップS100にてNO)、誘導経路案内部210は図5における処理を終了する。
【0041】
一方、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいたと接近判定部220にて判定した場合(ステップS100にてYES)、接近判定部220は、その旨を拡大図生成部230の拡大図描画部300に通知する。拡大図描画部300は、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいた旨の通知を接近判定部220から受けて、車両位置検出部120により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部140に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ190に格納されている誘導経路情報とに基づいて、誘導経路の進行方向を矢印で表した描画領域画像(表示領域の分岐点拡大図画像を含む)を描画する(ステップS120)。そして、拡大図描画部300は、描画した描画領域画像データを地点検出部320、地点判定部340および地点特定部360に出力する。
【0042】
次に、地点検出部320は、拡大図描画部300から出力された描画領域画像データに基づいて、分岐点拡大図画像の表示枠と誘導経路とが交わる地点を検出する(ステップS140)。そして、地点検出部320は、検出した地点を分岐点拡大図画像における座標(X、Y)で表した特定地点情報を地点判定部340に出力する。
【0043】
次に、地点判定部340は、拡大図描画部300から出力された描画領域画像データと、地点検出部320から出力された特定地点情報とに基づいて、描画領域画像データに対して公知の画像解析処理を行い、地点検出部320により検出された地点の中で、分岐点拡大図画像に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在するか否かを判定する(ステップS160)。
【0044】
もし、分岐点拡大図画像に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在しないと地点判定部340にて判定した場合(ステップS160にてNO)、地点判定部340は、その旨を表示制御部240に通知する。そして、表示制御部240は、分岐点拡大図画像に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在しない旨の通知を受けて、拡大図描画部300から出力された分岐点拡大図画像データをディスプレイ170に出力することにより、分岐点拡大図をディスプレイ170に表示させる(ステップS240)。ステップS240の処理が完了することによって、誘導経路案内部210は図4における処理を終了する。
【0045】
一方、分岐点拡大図画像に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在すると地点判定部340にて判定した場合(ステップS160にてYES)、地点判定部340は、当該2つの地点を分岐点拡大図画像における座標(X、Y)で表した第2の特定地点情報を地点特定部360に出力する。
【0046】
次に、地点特定部360は、拡大図描画部300から出力された描画領域画像データに基づいて、地点判定部340から出力された第2の特定地点情報により示される分岐点拡大図画像上の2つの地点について、誘導経路の進行上、先に通過する地点および後に通過する地点をそれぞれ第1地点および第2地点として特定する(ステップS180)。そして、地点特定部360は、特定した第1地点および第2地点を分岐点拡大図画像における座標(X、Y)で表した第3の特定地点情報を矢印描画部380に出力する。
【0047】
次に、矢印描画部380は、拡大図描画部300から出力された分岐点拡大図画像データと、地点特定部360から出力された第3の特定地点情報とに基づいて、分岐点拡大図画像において、地点特定部360により特定された第1地点から第2地点へ向かう第2の矢印を描画する(ステップS200)。そして、矢印描画部380は、第2の矢印を描画した分岐点拡大図画像データを表示制御部240に出力する。
【0048】
表示制御部240は、矢印描画部380から出力された分岐点拡大図画像データをディスプレイ170に出力することにより、分岐点拡大図をディスプレイ170に表示させる(ステップS220)。ステップS220の処理が完了した後、誘導経路案内部210は図4における処理を終了する。
【0049】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、分岐点拡大図250の表示枠と誘導経路とが交わる地点の中で、分岐点拡大図250に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在する場合、その2つの地点を誘導経路の進行順に沿った向きでつなぐ第2の矢印275を分岐点拡大図250上に描画するようにしている。
【0050】
このように構成した本実施形態によれば、分岐点拡大図250を見たユーザは、描画された第2の矢印275の両端近傍に位置する誘導経路が分岐点拡大図250の外で繋がっていること、および、その繋がっている誘導経路280の進行方向を把握することができる。それ故に、分岐点拡大図250の表示枠と誘導経路とが交わる地点のうち、第2の矢印275の両端近傍に位置しない地点Aが案内分岐点255に対する最初の進入路であることを直感的に把握することができる。したがって、分岐点拡大図250上に表示されるべき誘導経路の一部が画面からはみ出て表示されなくなるような場合でも、ユーザが、自車両が進むべき経路を確実に把握することができる。
【0051】
また、本実施形態では、矢印描画部380は、第2の矢印275を誘導経路の進行方向を示す矢印270とは異なる態様で描画するようにしている。これにより、分岐点拡大図250を見たユーザに対して、第2の矢印275があたかも誘導経路でないかという誤解を与えず、第2の矢印275が本来の誘導経路でないことを確実に理解させることができる。
【0052】
なお、上記実施形態において、地点検出部320により検出された地点の中から、地点特定部360により特定された2つの地点以外で矢印270の根元方向に位置する地点を特定する地点特定部と、地点特定部により特定された地点に自車両が到達する前に、地点特定部により特定された地点に自車位置マークを、自車両が当該特定された地点に到着した後とは異なる態様で描画する自車位置マーク描画部とを更に備えるようにしても良い。
【0053】
図6は、地点特定部により特定された地点に自車位置マークを描画したときの表示例である。図6(a)は、地点特定部により特定された地点Aに自車両が到達する前に、その地点Aに自車位置マーク290を、図6(b)に示すように自車両が地点Aに到着した後とは異なる態様(例えば、自車位置マーク290の半分だけ表示したり、通常よりも薄く表示する等)で描画した様子を示している。このようにすれば、分岐点拡大図250を見たユーザは、地点Aに自車両が到達する前であっても、自車位置マーク290が描画された地点Aが案内分岐点255に対する最初の進入路であることを迅速に把握することができる。なお、自車位置マーク290を通常とは異なる態様で表示している理由は、分岐点拡大図250を見たユーザに対して、地点Aに自車両が到達する前であるにも関わらず、その地点Aに自車両があたかも到着したのではないかという誤解を与えないようにするためである。
【0054】
また、上記実施形態の分岐点拡大図250において、分岐点拡大図250の外で繋がっている誘導経路280の進行方向をより明確にするために、第2の矢印275の両端近傍に位置する地点B、C付近に、誘導経路の進行上、通過する順序を示す番号(例えば、1、2)を描画するようにしても良い。
【0055】
また、第2の矢印275の両端近傍に位置する地点B、Cを含む道路の路線番号が同一である場合には、第2の矢印275の両端近傍に位置する誘導経路が分岐点拡大図250の外で繋がっていることをより明確にするために、その地点B、C付近に、当該路線番号を描画するようにしても良い。
【0056】
また、上記実施形態では、表示領域よりも広い範囲の描画領域画像データを解析することにより、分岐点拡大図に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在するか否かを判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、地点検出部320により検出された地点が4つ以上あるかによって、分岐点拡大図に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在するか否かを判定するようにしても良い。これは、通常、分岐点拡大図においては、その表示枠と誘導経路とが交わる地点として、案内分岐点の進入路側および退出路側にそれぞれ1つ存在するところ、それ以外に2つ以上の地点が検出された場合、その検出された地点の中に、分岐点拡大図に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在することを意味しているからである。
【0057】
また、分岐点拡大図に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点が存在するか否かを以下のように判定するようにしても良い。すなわち、地図データ記憶部140に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ190に格納されている誘導経路情報とに基づいて、分岐点拡大図画像を描画する際に、案内分岐点の位置によって決定される分岐点拡大図の地図上の範囲(矩形領域)を設定する。そして、案内分岐点の先に存在する誘導経路上の道路リンクのうち、矩形領域に含まれる道路リンクおよび矩形領域に含まれない道路リンクをそれぞれ求め、矩形領域内の道路リンクと矩形領域外の道路リンクとの繋がり方を調べる。このとき、矩形領域と交差する道路リンクが2つあって、その2つの道路リンクが矩形領域外の道路リンクでつながっていれば、分岐点拡大図に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点があると判断できる。
【0058】
さらに、上記2つの地点が存在する場合には、誘導経路の進行順に沿った道路リンクのつながり順を調べることにより、先に通過する第1地点および後に通過する第2地点をそれぞれ特定することができる。これにより、分岐点拡大図画像だけで、その周囲に広く描画領域画像を描かなくても、分岐点拡大図に表示されていない誘導経路で接続される2つの地点を誘導経路の進行順に沿った向きでつなぐ第2の矢印275を分岐点拡大図250上に描画することができる。
【0059】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
100 ナビゲーション装置
220 接近判定部
230 拡大図生成部
250 分岐点拡大図
255,260 案内分岐点
270 矢印
275 第2の矢印
280 誘導経路
290 自車位置マーク
300 拡大図描画部
320 地点検出部
340 地点判定部
360 地点特定部
380 矢印描画部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が誘導経路上の案内分岐点から一定距離以内に近づいたか否かを判定する接近判定部と、
前記接近判定部により前記案内分岐点から一定距離以内に近づいたと判定された場合、分岐点拡大図を生成する拡大図生成部とを備え、
前記拡大図生成部は、前記誘導経路の進行方向を矢印で表した前記分岐点拡大図を描画する拡大図描画部と、
前記拡大図描画部により描画された前記分岐点拡大図の表示枠と前記誘導経路とが交わる地点を検出する地点検出部と、
前記地点検出部により検出された地点の中で、前記分岐点拡大図に表示されていない前記誘導経路で接続される2つの地点が存在する場合、その2つの地点について、前記誘導経路の進行上、先に通過する地点から後に通過する地点へ向かう第2の矢印を前記分岐点拡大図上に描画する矢印描画部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記矢印描画部は、前記第2の矢印を前記矢印とは異なる態様で描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記地点検出部により検出された地点の中から、前記2つの地点以外で前記矢印の根元方向に位置する地点を特定する地点特定部と、
前記地点特定部により特定された地点に前記車両が到達する前に、前記地点特定部により特定された地点に自車位置マークを、自車両が当該特定された地点に到着した後とは異なる態様で描画する自車位置マーク描画部とを更に備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
車両が誘導経路上の案内分岐点から一定距離以内に近づいたか否かを判定する第1のステップと、
前記第1のステップにより前記案内分岐点から一定距離以内に近づいたと判定された場合、前記誘導経路の進行方向を矢印で表した分岐点拡大図を描画する第2のステップと、
前記第2のステップにより描画された前記分岐点拡大図の表示枠と前記誘導経路とが交わる地点を検出する第3のステップと、
前記第3のステップにより検出された地点の中で、前記分岐点拡大図に表示されていない前記誘導経路で接続される2つの地点が存在する場合、その2つの地点について、前記誘導経路の進行上、先に通過する地点から後に通過する地点へ向かう第2の矢印を前記分岐点拡大図上に描画する第4のステップとを有することを特徴とする分岐点拡大図表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−226795(P2011−226795A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93938(P2010−93938)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】