説明

ナビゲーション装置および分岐点案内方法

【課題】各進行方向に異なる色彩が割り当てられた分岐点において、分岐点案内図を見たユーザが、どの方向に進行すれば良いかを容易に把握することが可能な「ナビゲーション装置および分岐点案内方法」を提供する。
【解決手段】案内分岐点における誘導経路上の案内方向の実際の道路(または案内標識)に付された色彩を特定し、その特定した色彩と同系色の色彩(赤色)を、当該案内方向を示す道路図形120に付して描画した分岐点案内図を生成し表示することにより、分岐点案内図を見たユーザが、実際に進行すべき方向に割り当てられた色彩を直感的に認識できるようにし、その認識した色彩を考慮しながら、車両前方の実際の道路(または案内標識)を見ることにより、分岐点においてどの方向を進行すれば良いかを色彩から容易に把握できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置および分岐点案内方法に関し、特に、誘導経路上の案内分岐点の案内画像を拡大表示するとともに、当該案内分岐点における進行方向を案内するなどの分岐点案内を行うナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の走行案内を行うナビゲーション装置は、単に現在地周辺の地図を表示するのみでなく、目的地を指定することにより、現在地から目的地までの誘導経路を自動設定して案内する機能を備えている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を、幅優先探索(BFS)法あるいはダイクストラ法などのシミュレーションを行って自動探索し、その探索した経路を誘導経路として設定する。
【0003】
誘導経路の設定後は、車両の走行中に地図画像上で誘導経路を他の道路と識別可能なように色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上の案内分岐点から所定距離以内に近づいたときに、分岐点案内図を表示したり、進行すべき方向を音声で案内したりするなどの分岐点案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0004】
このような分岐点案内に関連する技術として、種々なものが提案されている。例えば、交差点における案内標識に含まれる複数の標識情報(地名、方面、施設など)のうち自車両が進行すべき方向に関する標識情報が強調されるように、当該案内標識を加工して画面表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、交差点の通過後に自車両が進行すべき方向を指示する方向案内線と、ユーザによって設定された目的地を示す情報とを、方面案内標識画像と同一画面上に表示する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
また、交差点の通過後に自車両が進行すべき方向(直進、左折または右折)に基づいて、地図画面上に表示する誘導経路の色を決定する技術が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。また、交差点で右左折した後の道路の種類を判定し、第1の種類の道路(例えば、高速道路)であると判定した場合は、右左折を案内する矢印を第1の色で表示し、第2の種類の道路(例えば、高速道路以外の道路)であると判定した場合は、当該矢印を第2の色で表示する技術が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−210431号公報
【特許文献2】特開2009−63321号公報
【特許文献3】特開2009−92493号公報
【特許文献4】特開2009−58375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、分岐点の中には、分岐点における各進行方向に異なる色彩を割り当て、その各々の色彩を各進行方向に位置する道路の路面に付した分岐点が存在する。また、各進行方向を示す矢印部の各々に異なる色彩を付して図示する案内標識が設置されている分岐点も存在する。しかしながら、上記従来のナビゲーション装置によって画面表示される分岐点案内図の表示形態は、道路の路面や案内標識に色彩が付された分岐点であろうがなかろうが変わることがない。そのため、画面表示される分岐点案内図が分岐点における実際の眺めと異なるため、ユーザは、どの方向に進行すれば良いかを把握しづらいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、各進行方向に異なる色彩が割り当てられた分岐点において、分岐点案内図を見たユーザが、どの方向に進行すれば良いかを容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、誘導経路上の案内分岐点における案内方向に割り当てられた色彩(案内方向に対応する実際の道路または案内標識に付された色彩)を特定し、その特定した色彩と同系色の色彩を、案内方向を示す図形に付して描画した分岐点案内図を生成し表示するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、分岐点案内図において誘導経路上の案内方向を示す図形が、当該案内方向に割り当てられた色彩と同系色で表示される。そのため、分岐点案内図を見たユーザは、実際に進行すべき方向に割り当てられた色彩を直感的に認識することができる。そして、認識した色彩を考慮しながら、車両前方で色分けされた実際の道路または案内標識を見ることにより、分岐点においてどの方向を進行すれば良いかを色彩から容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態によるナビゲーション装置の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナビゲーション装置の主要構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による分岐点案内図の例を示す図である。
【図4】本実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態による分岐点案内図の変形例を示す図である。
【図6】本実施形態によるナビゲーション装置の主要構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナビゲーション装置100の全体構成例を示すブロック図である。図1において、11はDVD−ROM等の記録媒体であり、地図表示や経路探索等に必要な各種の地図データを記憶している。DVD−ROM11に記憶された地図データには、地図表示に必要な各種のデータから成る描画ユニットと、マップマッチングや経路探索、経路案内等の各種の処理に必要なデータから成る道路ユニットとが含まれている。
【0013】
道路ユニットは、道路を細かく分割して複数のベクトルのつながりで表したときの個々のベクトルに相当する道路リンクに関するリンク情報と、個々の道路リンクの両端点に相当するノードに関するノード情報とを含んでいる。ノード情報には、ノードを一意に特定するノードID、ノードの位置(経緯度)、ノードに接続される道路リンク(リンクID)および、複数の道路リンクの端点に相当するノード(分岐点)であるか否かを示すフラグなどが含まれる。リンク情報には、道路リンクを一意に特定するリンクID、道路リンクの両端に接続されるノード(ノードID)、リンクコスト、道路種別(一般道路または高速道路)および道路属性などが含まれる。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM11を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0014】
本実施形態では、道路ユニットのデータには、分岐点における各進行方向に割り当てられた色彩を示す色彩情報が含まれている。具体的には、各進行方向に対応する道路リンクに関するリンク情報(道路属性)として、当該進行方向に割り当てられた色彩情報を有している。色彩情報は、実際の道路(路面)または案内標識(矢印部)に付された色彩を表す。つまり、実際の道路や案内標識などに色彩が付されていない場合、その道路リンクは色彩情報を有していない。
【0015】
12は車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0016】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0017】
13はDVD−ROM制御部であり、DVD−ROM11からの地図データの読み出しを制御する。14は地図データ記憶部であり、DVD−ROM制御部13の制御によってDVD−ROM11から読み出された地図データを一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部13は、車両位置検出部12から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な地図データをDVD−ROM11から読み出して地図データ記憶部14に格納する。
【0018】
15はリモコン、タッチパネルまたは操作スイッチ等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、経路誘導の目的地や経由地)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、地図の拡大/縮小操作、手動地図スクロール、数値入力など)を行ったりするためのものである。
【0019】
16は目的地設定部であり、ディスプレイ17に表示されている目的地設定用の操作画面において、ユーザによる操作部15の操作を介して指定された地点を目的地として設定する。そして、目的地設定部16は、設定した目的地を示す目的地情報を誘導経路探索部18に出力する。
【0020】
誘導経路探索部18は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データに基づいて、車両位置検出部12により検出された自車位置(出発地)から、目的地設定部16により設定された目的地に至る様々な経路上のリンクコストを順次加算し、リンクコストの合計が最も小さい経路を誘導経路として探索する。
【0021】
19は誘導経路メモリであり、誘導経路探索部18により誘導経路が探索された場合、その探索された誘導経路のデータ(現在位置から目的地に至るまでの道路リンクの集合)を誘導経路情報として一時的に格納する。
【0022】
20は地図表示制御部であり、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データとに基づいて、自車位置周辺の地図画像データを生成する。そして、地図表示制御部20は、生成した地図画像データをディスプレイ17に出力することにより、自車位置周辺の地図画像をディスプレイ17に表示させる。
【0023】
21は誘導経路案内部であり、誘導経路探索部18により誘導経路が探索された場合、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納された誘導経路情報とに基づいて誘導経路案内を行う。具体的には、誘導経路案内部21は、ディスプレイ17に対して、地図表示制御部20により生成された地図画像に重ねて誘導経路を他の道路とは異なる色で太く表示することにより、誘導経路の目的地までの走行案内を行う。また、誘導経路案内部21は、誘導経路上に存在する経路案内すべき分岐点(以下、案内分岐点という)に自車両が近づくたびに、当該案内分岐点に関する経路案内を行う。
【0024】
次に、本実施形態によるナビゲーション装置100の主要な機能構成について説明する。図2は、本実施形態によるナビゲーション装置100の主要構成例を示すブロック図である。図2に示すように、誘導経路案内部21は、走行判定部31、案内方向特定部32、色彩特定部33、案内図生成部34および表示制御部35を備えている。
【0025】
走行判定部31は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納されている誘導経路情報とに基づいて、自車両が次の案内分岐点から一定距離(例えば、700m)以内に近づいたか否かについて判定する。走行判定部31は、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいたと判定した場合、その旨を案内方向特定部32に通知する。
【0026】
また、走行判定部31は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納されている誘導経路情報とに基づいて、分岐点案内図を表示した案内分岐点を自車両が通過し終えたか否かについて判定する。案内分岐点を自車両が通過し終えたと判定した場合、走行判定部31は、その旨を表示制御部35に通知する。表示制御部35は、後述する分岐点案内図の表示を消去する。また、走行判定部31は、自車両が目的地に到着していない限り、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいたか否かについて判定する。
【0027】
案内方向特定部32は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納されている誘導経路情報とに基づいて、案内分岐点における誘導経路上の案内方向を特定する。そして、案内方向特定部32は、特定した案内方向の道路リンクを示す特定道路情報(リンクID)を色彩特定部33に出力する。
【0028】
色彩特定部33は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データに基づいて、案内方向特定部32から出力された特定道路情報(リンクID)により示される道路リンクに色彩が割り当てられているか否か(当該道路に対応する道路リンクに色彩情報が存在するか否か)について判定する。色彩が割り当てられていないと判定した場合、色彩特定部33は、分岐点案内図の生成指示を案内部生成部34に出力する。一方、色彩が割り当てられていると判定した場合、色彩特定部33は、その割り当てられた色彩(実際の道路または案内標識に付されている色)を特定する。そして、色彩特定部33は、特定した色彩を示す色彩情報と共に分岐点案内図の生成指示を案内図生成部34に出力する。
【0029】
案内図生成部34は、色彩特定部33から分岐点案内図の生成指示のみが出力された場合、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納されている誘導経路情報とに基づいて、案内分岐点における各進行方向の道路を模式的に表した道路図形上で案内方向を矢印で示すとともに、案内方向に位置する方面の名称を示す分岐点案内図の描画データ(分岐点案内図画像データ)を生成する。そして、案内図生成部34は、生成した分岐点案内図画像データを表示制御部35に出力する。
【0030】
また、案内図生成部34は、色彩特定部33から分岐点案内図の生成指示および色彩情報が出力された場合、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納されている誘導経路情報とに基づいて、上述した各進行方向の道路を表す道路図形のうち、案内方向を示す道路図形に対して色彩情報により示される色彩と同系色の色彩を付して描画した分岐点案内図の描画データ(分岐点案内図画像データ)を生成する。そして、案内図生成部34は、生成した分岐点案内図画像データを表示制御部35に出力する。
【0031】
表示制御部35は、案内図生成部34から出力された分岐点案内図画像データをディスプレイ17に出力することにより、分岐点案内図をディスプレイ17に表示させる。
【0032】
次に、ディスプレイ17に表示される分岐点案内図について図3を参照しながら説明する。図3は、誘導経路上にある次の案内分岐点から一定距離以内に自車位置が入ったときの表示例である。この案内分岐点における各進行方向に位置する実際の道路または案内標識の矢印部は、赤色と青色で塗り分けられている(例えば、直進方向が赤色、右斜め方向が青色)。
【0033】
図3の分岐点案内図では、案内方向(直進方向)の道路を示す道路図形120、案内方向でない道路を示す道路図形140、案内方向を示す矢印図形160、案内方向に位置する方面(図3の例では、「○○方面」)を案内するための案内標識図形180および、案内方向でない方向に位置する方面(図3の例では、「▲▲方面」)を案内するための案内標識図形200が表示されている。案内方向の道路図形120には、色彩特定部33により特定された色彩と同系色の色彩(例えば、赤色)が付されている。なお、図3の例では、道路図形120の全体に色彩を付しているが、道路図形120の一部(例えば、道路の路側帯に対応する部分)にのみ色彩を付すようにしても良い。また、案内方向の道路に付された色彩を強調するために、道路図形120を点滅表示しても良い。
【0034】
このようにすれば、分岐点案内図を見たユーザは、道路図形120に付された色彩により実際に進行すべき方向の道路に割り当てられた色彩(赤色)を直感的に認識することができる。そして、認識した色彩を考慮しながら、車両前方の実際の道路の路面を見ることにより、当該色彩と当該路面に付された色との一致から、分岐点においてどの方向を進行すれば良いかを容易に把握することができる。
【0035】
次に、本実施形態におけるナビゲーション装置100の動作について説明する。図4は、自車両が目的地へ向かって誘導経路を走行している場合におけるナビゲーション装置100の動作例を示すフローチャートである。図4におけるステップS100の処理は、ナビゲーション装置100の起動後、誘導経路探索部18が自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、その結果の誘導経路情報を誘導経路メモリ19に格納することによって開始する。
【0036】
まず、地図表示制御部20は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と地図データ記憶部14に記憶されている地図データとに基づいて、自車位置周辺の地図画像データを生成する(ステップS100)。そして、地図表示制御部20は、ステップS100にて生成した地図画像データをディスプレイ17に出力し、地図画像をディスプレイ17に表示させる(ステップS120)。
【0037】
次に、走行判定部31は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納された誘導経路情報とに基づいて、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいたか否かについて判定する(ステップS140)。もし、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいていないと走行判定部31にて判定した場合(ステップS140にてNO)、処理はステップS300に遷移する。
【0038】
一方、自車両が次の案内分岐点から一定距離以内に近づいたと走行判定部31にて判定した場合(ステップS140にてYES)、走行判定部31は、その旨を案内方向特定部32に通知する。案内方向特定部32は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納された誘導経路情報とに基づいて、案内分岐点における誘導経路上の案内方向を特定する(ステップS160)。そして、案内方向特定部32は、特定した案内方向の道路リンクIDを示す特定道路情報を色彩特定部33に出力する。
【0039】
色彩特定部33は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データのリンク情報に基づいて、案内方向特定部32により特定された案内方向の道路リンクに色彩が割り当てられているか否かについて判定する(ステップS180)。もし、案内方向の道路リンクに色彩が割り当てられていないと色彩特定部33にて判定した場合(ステップS180にてNO)、色彩特定部33は、分岐点案内図の生成指示を案内図生成部34に出力する。
【0040】
次に、案内図生成部34は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納された誘導経路情報とに基づいて、案内分岐点における各進行方向の道路を模式的に表した道路図形上で案内方向を矢印で示すとともに、案内方向に位置する方面の名称を示す分岐点案内図画像データを生成する(ステップS240)。そして、案内図生成部34は、生成した分岐点案内図画像データを表示制御部35に出力する。その後、処理はステップS260に遷移する。
【0041】
一方、案内方向の道路リンクに色彩が割り当てられていると色彩特定部33にて判定した場合(ステップS180にてYES)、色彩特定部33は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データのリンク情報に道路属性として含まれている色彩情報に基づいて、案内方向特定部32から出力された特定道路情報により示される道路リンクに割り当てられた色彩を特定する(ステップS200)。そして、色彩特定部33は、特定した色彩を示す色彩情報を分岐点案内図の生成指示と共に案内図生成部34に出力する。
【0042】
次に、案内図生成部34は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納されている誘導経路情報とに基づいて、上述した各進行方向の道路を表す道路図形のうち、案内方向を示す道路図形に対して色彩特定部33から出力された色彩情報により示される色彩と同系色の色彩を付して描画した分岐点案内図画像データを生成する(ステップS220)。そして、案内図生成部34は、生成した分岐点案内図画像データを表示制御部35に出力する。その後、処理はステップS260に遷移する。
【0043】
ステップS260では、表示制御部35は、ステップS220またはS240において案内図生成部34により生成された分岐点案内図画像データをディスプレイ17に出力することにより、分岐点案内図画像をディスプレイ17に表示させる。次に、走行判定部31は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納されている誘導経路情報とに基づいて、分岐点案内図を表示した案内分岐点を通過し終えたか否かについて判定する(ステップS280)。
【0044】
もし、分岐点案内図を表示した案内分岐点を通過し終えていないと走行判定部31にて判定した場合(ステップS280にてNO)、処理はステップS260に遷移する。一方、分岐点案内図を表示した案内分岐点を通過し終えたと走行判定部31にて判定した場合(ステップS280にてYES)、走行判定部31は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ19に格納されている誘導経路情報とに基づいて、自車両が目的地に到着したか否かについて判定する(ステップS300)。
【0045】
もし、自車両が目的地に到着していないと走行判定部31にて判定した場合(ステップS300にてNO)、処理はステップS100に遷移する。一方、自車両が目的地に到着したと走行判定部31にて判定した場合(ステップS300にてYES)、ナビゲーション装置100は図4における処理を終了する。
【0046】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、地図データ記憶部14に記憶されている地図データのリンク情報に基づいて、案内分岐点における誘導経路上の案内方向に割り当てられた色彩(実際の道路または案内標識に付された色彩)を特定し、その特定した色彩と同系色の色彩を、案内方向を示す道路図形120に付して描画した分岐点案内図を生成し表示するようにしている。
【0047】
このように構成した本実施形態によれば、分岐点案内図において誘導経路上の案内方向を示す道路図形が、当該案内方向の実際の道路または案内標識に付された色彩と同系色で表示される。そのため、分岐点案内図を見たユーザは、実際に進行すべき方向に割り当てられた色彩を直感的に認識することができる。そして、認識した色彩を考慮しながら、車両前方の実際の道路または案内標識を見ることにより、分岐点においてどの方向を進行すれば良いかを色彩から容易に把握することができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、案内方向の道路または案内標識に付された色彩と同系色の色彩を道路図形に付して描画した分岐点案内図を生成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5(a)に示すように、案内方向の道路または案内標識に付された色彩と同系色の色彩を案内標識図形180のみに付すようにしても良い。この場合、案内方向の道路または案内標識に付された色彩を強調するために、案内標識図形180を点滅表示しても良い。なお、案内標識図形180の全体に色彩を付すのではなく、案内標識図形180の外枠にのみ色彩を付しても良いし、案内標識図形180に進行方向を示す矢印図形(図示せず)が含まれている場合には当該矢印図形にのみ色彩を付すようにしても良い。
【0049】
また、図5(b)に示すように、分岐点案内図において、案内方向の道路または案内標識に付された色彩と同系色の色彩を、当該案内方向を示す矢印図形160のみに付すようにしても良い。この場合、案内方向の道路または案内標識に付された色彩を強調するために、矢印図形160を点滅表示しても良い。また、図5(c)に示すように、分岐点案内図において、案内方向の道路または案内標識に付された色彩と同系色の色彩を、矢印図形160および案内標識図形180の両方に付すようにしても良い。この場合、案内方向の道路または案内標識に付された色彩を強調するために、矢印図形160および案内標識図形180を同時または交互に点滅表示するようにしても良い。
【0050】
また、図5(d)に示すように、分岐点案内図において、案内方向の道路または案内標識に付された色彩と同系色の色彩を、当該道路を示す道路図形120および案内標識図形180の両方に付すようにしても良い。この場合、案内方向の道路または案内標識に付された色彩を強調するために、道路図形120および案内標識図形180を同時または交互に点滅表示するようにしても良い。
【0051】
また、図5(e)に示すように、分岐点案内図において、案内方向の道路または案内標識に付された色彩と同系色の色彩を、矢印図形160および案内標識図形180の両方に付すようにしても良い。この場合、案内方向の道路または案内標識に付された色彩を強調するために、矢印図形160および案内標識図形180を同時または交互に点滅表示するようにしても良い。
【0052】
また、図5(f)に示すように、分岐点案内図において、案内方向の道路または案内標識に付された色彩と同系色の色彩を、道路図形120、矢印図形160および案内標識図形180に付すようにしても良い。この場合、案内方向の道路または案内標識に付された色彩を強調するために、道路図形120、矢印図形160および案内標識図形180を同時または交互に点滅表示するようにしても良い。
【0053】
また、案内分岐点において実際に道路の路面や案内標識のどれに色彩が付されているかに合わせて、道路図形120のみに色彩を付すのか(図3)、案内標識図形180のみに色彩を付すのか(図5(a))、または、道路図形120および案内標識図形180の両方に色彩を付すのか(図5(d))を決定するようにしても良い。
【0054】
また、上記実施形態では、地図データ記憶部14に記憶されている色彩情報に基づいて、案内方向特定部32により特定された案内方向に割り当てられた色彩を特定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6に示すように、色彩特定部33′は、自車両の前方を撮像する撮像部40により撮像された撮像画像を画像処理することによって、案内方向特定部32により特定された案内方向に割り当てられた色彩を特定するようにしても良い。これにより、地図データに色彩情報が付与されていない分岐点を走行した場合にも、案内方向の道路に割り当てられた色彩を特定することができる。
【0055】
また、地図データ記憶部14に記憶されている地図データの道路種別情報に基づいて、案内方向特定部32により特定された案内方向に割り当てられた色彩を特定するようにしても良い。一般的に、高速道路の案内標識は緑色、一般道路の案内標識は青色と決まっている。そこで、道路種別に基づいて案内方向の道路に割り当てられた色彩を特定できる。すなわち、色彩特定部33は、案内方向特定部32により特定された案内方向の道路が高速道路の場合は緑色、一般道路の場合は青色と特定する。
【0056】
これにより、分岐点案内図において誘導経路上の案内方向を示す道路図形などが、当該案内方向の道路の道路種別に対応した色彩と同系色で表示される。そのため、分岐点案内図を見たユーザは、実際に進行すべき方向の道路に割り当てられた色彩(青色または緑色)を直感的に認識することができる。そして、認識した色彩を考慮しながら、車両前方の実際の案内標識を見ることにより、分岐点においてどの方向(すなわち一般道路または高速道路の何れか)を進行すれば良いかを色彩から容易に把握することができる。
【0057】
また、上記実施形態において、案内分岐点における誘導経路上の案内方向でない道路に割り当てられた色彩も特定し、その特定した色彩と同系色の色彩を、当該案内方向でない方向を示す道路図形などに付して分岐点案内図を生成するようにしても良い。この場合は、案内方向を示す矢印図形の色を案内方向に割り当てられた色彩と同系色にするのが好ましい。なお、分岐点案内図を見たユーザが、実際に進行すべき方向の道路に割り当てられた色彩を直感的に認識できるようにしたい観点からは、案内方向を示す道路図形や案内標識図形のみに色彩を付すことで識別性を高めるのが更に好ましい。
【0058】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
14 地図データ記憶部
31 走行判定部
32 案内方向特定部
33,33′ 色彩特定部
34 案内図生成部
40 撮像部
100 ナビゲーション装置
120 道路図形
180 案内標識図形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地に至る誘導経路上に存在する分岐点であって各進行方向に異なる色彩が割り当てられた案内分岐点から一定距離以内に自車両が近づいたか否かを判定する走行判定部と、
前記走行判定部により前記自車両が前記案内分岐点から一定距離以内に近づいたと判定された場合、当該案内分岐点における前記誘導経路上の案内方向を特定する案内方向特定部と、
前記案内方向特定部により特定された案内方向に割り当てられた色彩を特定する色彩特定部と、
前記色彩特定部により特定された色彩と同系色の色彩を、前記案内方向を示す図形に付して描画した分岐点案内図を生成する案内図生成部と、
前記案内図生成部により生成された前記分岐点案内図を表示するように制御する表示制御部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記案内方向を示す図形は、前記案内方向特定部により特定された案内方向の道路を示す道路図形を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記案内方向を示す図形は、前記案内方向特定部により特定された案内方向の道路を案内するための案内標識図形を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記案内方向を示す図形は、前記案内方向特定部により特定された案内方向を示す矢印図形を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記案内分岐点における各進行方向に割り当てられた色彩を示す色彩情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶部を更に備え、
前記色彩特定部は、前記地図データ記憶部に記憶されている色彩情報に基づいて、前記案内方向特定部により特定された案内方向に割り当てられた色彩を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記色彩特定部は、前記自車両の前方を撮像する撮像部により撮像された撮像画像を画像処理することによって、前記案内方向特定部により特定された案内方向に割り当てられた色彩を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記案内分岐点における各進行方向の道路の道路種別を示す道路種別情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶部を更に備え、
前記色彩特定部は、前記地図データ記憶部に記憶されている道路種別情報に基づいて、前記案内方向特定部により特定された案内方向に対応する道路の道路種別に応じた色彩を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
目的地に至る誘導経路上に存在する分岐点であって各進行方向の道路に異なる色彩が割り当てられた案内分岐点から一定距離以内に自車両が近づいたか否かを判定する第1のステップと、
前記第1のステップにより前記自車両が前記案内分岐点から一定距離以内に近づいたと判定された場合、当該案内分岐点における前記誘導経路上の案内方向を特定する第2のステップと、
前記第2のステップにより特定された案内方向に割り当てられた色彩を特定する第3のステップと、
前記第3のステップにより特定された色彩と同系色の色彩を、前記案内方向を示す図形に付して描画した分岐点案内図を生成する第4のステップと、
前記第4のステップにより生成された前記分岐点案内図を表示するように制御する第5のステップとを有することを特徴とする分岐点案内方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−180088(P2011−180088A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46921(P2010−46921)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】