説明

ナビゲーション装置および地図画像表示方法

【課題】ナビゲーション装置において、より簡易な操作で、スクロール中の動作の変更を可能にする。
【解決手段】表示装置に表示する地図画像のスクロールを制御するスクロール制御手段を備えている。スクロール制御手段は、タッチパネルへの第1番目のタッチにより、地図画像のスクロールの開始指示を受け付ける。また、タッチパネルへの第2番目以降のタッチにより、地図画像のスクロール速度の変更指示を受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置および地図画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを備えたナビゲーション装置がある(特許文献1等)。このようなナビゲーション装置によれば、使用者は、ディスプレイを指でタッチすることにより、指示を入力することができる。
【0003】
例えば、ディスプレイに地図画像が表示されている場合に、使用者は、タッチパネルをタッチすることで、地図画像を上下左右や斜め方向に移動(スクロール)させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−89483
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のタッチパネルを備えたナビゲーション装置では、スクロールの速度等を、簡易な操作で変えることができない。例えば、使用者は、見たくない場所については早くスクロールさせ、見たい場所が近づくと、ゆっくりとした速度でスクロールさせたいと思う。従来の技術では、このような使用者のニーズに十分に応えられない。
【0006】
そこで、本発明は、ナビゲーション装置において、より簡易な操作で、スクロール中の動作(例えば、速度等)の変更を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るナビゲーション装置は、複数のタッチ点を認識可能なタッチパネルを備えたナビゲーション装置であって、表示装置に表示する地図画像のスクロールを制御するスクロール制御手段を備え、前記スクロール制御手段は、前記タッチパネルへの第1番目のタッチにより、前記地図画像のスクロールの開始指示を受け付け、前記タッチパネルへの第2番目以降のタッチにより、前記地図画像のスクロール速度の変更指示を受け付ける、という構成を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るナビゲーション装置の地図画像表示方法は、複数のタッチ点を認識可能なタッチパネルへの第1番目のタッチにより、地図画像のスクロールの開始指示を受け付けるステップと、前記タッチパネルへの第2番目以降のタッチにより、地図画像のスクロール速度の変更指示を受け付けるステップと、を実行する、という構成を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ナビゲーション装置において、より簡易な操作で、スクロール中の動作(例えば、速度等)の変更を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置のスクロール処理のフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置のタッチ数に応じた画面の遷移例である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置のタッチ数に応じた画面の遷移例である。
【図6】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置のタッチ数に応じた画面の遷移例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、を備えている。
【0013】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10、またはビーコン受信装置11から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0014】
演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1に接続するインターフェイスであるI/F24と、を有する。
【0015】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0016】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0017】
この記憶媒体には、例えば、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル、交通情報テーブル、経路情報および区間情報などが記憶されている(図示せず)。例えば、交通情報テーブルは、FM多重放送受信装置10やビーコン受信装置11等の通信装置を介して、図示しない外部の機関等から送信された交通情報を記憶するテーブルである。また、経路情報は、ナビゲーション装置100等による経路探索の結果得られた経路に関する情報である。また、区間情報は、例えば一つまたは複数のリンクが連結された区間ごとに、区間を構成するリンクなどを含む情報である。
【0018】
音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などの車載用ナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0019】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された使用者へのメッセージを音声信号として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。車載用ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0020】
入力装置5は、使用者からの指示を使用者による操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0021】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、例えば、人の指によるタッチを検知する。使用者によるタッチ位置は、例えば、タッチパネル上に設定されるXY座標に基づき特定される。本実施形態では、多点認識が可能なタッチパネルを使用する。多点認識により、同時に複数の指でタッチパネル51がタッチされた場合であっても、各々のタッチ位置を特定することができる。このようなタッチパネル51は、例えば、静電容量方式による入力検出素子などで構成される。
【0022】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0023】
ROM装置6は、CD-ROMやDVDなどのROM(Read Only Memory)やIC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0024】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置100において現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。
【0025】
車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定し、演算処理部1に送信するものである。
【0026】
FM多重放送受信装置10は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0027】
ビーコン受信装置11は、光ビーコン、電波ビーコン等の信号を受信する。ビーコン等の信号には、VICS情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報などがある。
【0028】
図2は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0029】
図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、スクロール処理部104とを有する。
【0030】
主制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、主制御部101は、車載用ナビゲーション装置100の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、交通情報の表示、現在位置の表示、経路探索、経路誘導等)を実施する。
【0031】
入力受付部102は、マイクロフォン41、タッチパネル51およびダイヤルスイッチ52を介して、使用者からの指示入力を受け付け、これを各処理部に受け渡す機能部である。
【0032】
出力処理部103は、画面出力をディスプレイ2に表示させる機能部である。ディスプレイ2への表示が要求される画面データと、表示候補とを受け取り、指定された描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路、メッセージ情報のためのダイアログなどを描画するように画面描画コマンドを生成する。そして、生成したコマンドを、ディスプレイ2に送信する。
【0033】
スクロール処理部104は、ディスプレイに表示される地図画像をスクロール(移動)させたり、拡大表示させる機能部である。スクロール処理部104は、これらの処理を、ナビゲーション装置100や、使用者から受け付ける指示に応じて実行する。例えば、タッチパネル51へのタッチ数や、そのタッチ位置に基づく使用者の指示に応じて、スクロール処理部104は、スクロールの開始および終了、スクロール動作(スクロール方向、スクロール速度)、地図画像の縮尺率等の変更を制御する。
【0034】
スクロール処理部104は、複数のタッチを検知した場合、それらを「第1番目のタッチ」、「第2番目のタッチ」、「第3番目のタッチ」として区別する。
【0035】
例えば、スクロール処理部104は、非タッチ状態(使用者の指がタッチパネル51に全く接触していない状態)の場合に、最初のタッチ状態(タッチパネル51に対するタッチを最初に検知した状態)、すなわちON状態を検出したとする。スクロール処理部104は、かかるタッチを「第1番目のタッチ」として検知する。
【0036】
なお、スクロール処理部104は、タッチのON状態が継続されている限り、タッチ位置が移動しても、「第1番目のタッチ」と認識する。すなわち、タッチ位置が移動しても、タッチ位置が連続した軌跡として得られる場合は、指は離されていないと考えられるので、スクロール処理部104は、移動したタッチ位置を「第1番目のタッチ」と認識する。
【0037】
スクロール処理部104は、「第1番目のタッチ」がON状態のときに、「第1番目のタッチ」に続いて、新たな位置のタッチ状態を検出したとする。スクロール処理部104は、かかる新たな位置のタッチを「第2番目のタッチ」として検知する。
【0038】
なお、タッチのON状態が継続されている限り、タッチ位置が移動しても、「第2番目のタッチ」とする。すなわち、タッチ位置が移動しても、タッチ位置が連続した軌跡として得られる場合は、指は離されていないと考えられるので、スクロール処理部104は、移動したタッチ位置を「第2番目のタッチ」と認識する。
【0039】
スクロール処理部104は、「第1、第2番目のタッチ」がON状態のときに、「第2番目のタッチ」に続いて、新たな位置のタッチ状態を検出したとする。スクロール処理部104は、かかる位置のタッチを「第3番目のタッチ」として検知する。
【0040】
なお、タッチのON状態が継続されている限り、タッチ位置が移動しても、「第3番目のタッチ」とする。すなわち、タッチ位置が移動しても、タッチ位置が連続した軌跡として得られる場合は、指は離されていないと考えられるので、スクロール処理部104は、移動したタッチ位置を「第3番目のタッチ」と認識する。
【0041】
また、「第2番目のタッチ」が継続されたまま、「第1および第3番目のタッチ」をした指が一旦タッチパネル51から離された後に、「第2番目のタッチ」以外に、新たな位置のタッチ状態を検知したとする。スクロール処理部104は、かかるタッチを「第1番目のタッチ」として検知する。また、例えば、「第3番目のタッチ」が継続されたまま、「第1および第2番目のタッチ」をした指が一旦タッチパネル51から離された後に、「第3番目のタッチ」以外に、新たな位置のタッチ状態を検知したとする。スクロール処理部104は、かかるタッチを「第1番目のタッチ」として検知する。
【0042】
また、例えば、「第1番目のタッチ」が継続されたまま、「第2および第3番目のタッチ」をした指が一旦タッチパネル51から離された後に、「第1番目のタッチ」以外に、新たな位置のタッチ状態を検知したとする。スクロール処理部104は、かかるタッチを「第2番目のタッチ」として検知する。
【0043】
また、例えば、「第2番目のタッチ」が継続されたまま、「第1および第3番目のタッチ」をした指が一旦タッチパネル51から離された後に、「第2番目のタッチ」以外に、新たな位置のタッチ状態を検知したとする。前述のとおり、スクロール処理部104は、かかるタッチを「第1番目のタッチ」として検知する。さらに、「第2番目のタッチ」が継続されたまま、スクロール処理部104が、「第1番目のタッチ」に続いて新たな位置のタッチ状態を検出したとする。スクロール処理部104は、かかる位置のタッチを「第3番目のタッチ」として検知する。
【0044】
そして、スクロール処理部104は、「第1番目のタッチ」による使用者からの指示を受け付けると、ディスプレイ2に表示する地図画像のスクロールを開始する。
【0045】
また、スクロール処理部104は、「第2番目のタッチ」による使用者からの指示を受け付けると、地図画像のスクロール速度を速くする。
【0046】
また、スクロール処理部104は、「第3番目のタッチ」による使用者からの指示を受け付けると、ディスプレイ2に表示する地図画像の縮尺率を変更する。
【0047】
なお、タッチの認識は、使用者の指によるタッチに限られるものではない。例えば、タッチパネル専用のタッチペンにより、タッチのON状態が検知されるようにしてもよい。
【0048】
上記の各機能部は、CPU21が読み込んだ所定のプログラムを実行することにより構築される。そのため、記憶装置3(メモリ)には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0049】
なお、上記した各構成要素は、本実施形態に係るナビゲーション装置100の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。また、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。本実施形態に係るナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0050】
また、各機能部は、ハードウェア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0051】
次に、スクロール処理部104で実行されるスクロール処理について説明する。図3は、スクロール処理の流れを示すフロー図である。ここで、T、T、T、は各々、「第1番目のタッチ」、「第2番目のタッチ」、「第3番目のタッチ」を示す。
【0052】
スクロール処理部104は、地図画像の表示モード(スクロール受け付けモード)において、本フローを開始する。
【0053】
まず、スクロール処理部104は、「第1番目のタッチ」がON状態であるか否かを判定する(S101)。
【0054】
そして、「第1番目のタッチ」がON状態でない場合(S101でNo)、スクロール処理部104は、地図画像のスクロールを停止し(S102)、S101に戻って処理を続ける。なお、後述するように、地図画像を拡大表示している場合には、スクロール処理部104は、スクロールを停止(S102)するとともに、拡大した地図画像を標準の縮尺率に変更する。また、スクロール処理部104は、既に、地図画像のスクロールが停止している場合は、その停止状態を維持する。
【0055】
一方、「第1番目のタッチ」がON状態の場合(S101でYes)、スクロール処理部104は、「第2番目のタッチ」がON状態であるか否かを判定する(S103)。
【0056】
「第2番目のタッチ」がON状態でない場合(S103でNo)、スクロール処理部104は、予め定められた標準のスクロール速度を設定し(S104)、その速度で地図画像をスクロールさせ(S105)、S101に処理を移行する。具体的には、スクロール処理部104は、標準のスクロール速度である「speed=1」を設定し、スクロール方向(「第1番目のタッチ」の位置から、ディスプレイ2の中心に向かって規定される方向)を設定し、その方向に従って、地図画像をスクロールさせる。なお、既にスクロール速度に「speed=1」が設定されている場合は、スクロール処理部104は、「speed=1」の設定を維持する。
【0057】
また、このような地図画像のスクロールは、地図データにおける全体地図の中に、スクロール方向に従って、表示に用いる領域(表示領域)を徐々に移動させて設定し、その領域に含まれる地図画像を順次表示することで達成される。表示領域の移動量は、スクロール速度に応じて設定される。したがって、スクロール処理部104は、S105において、全体地図中の表示領域(現在、表示している地図画像の領域)を、スクロール方向およびスクロール速度に応じて移動させ、移動させた表示領域内の地図画像をディスプレイ2に表示する。
【0058】
このような処理がスクロール指示を受け付けている間(「第1番目のタッチ」がON状態の間)に繰り返されることで、表示画面上の地図画像が滑らかにスクロールして表示される。
【0059】
一方、「第2番目のタッチ」がON状態の場合(S103でYes)、スクロール処理部104は、標準のスクロール速度よりも速いスクロール速度(「speed=2」)を設定する(S106)。なお、既にスクロール速度に「speed=2」が設定されている場合は、スクロール処理部104は、「speed=2」の設定を維持する。
【0060】
そして、スクロール処理部104は、地図画像をスクロールさせ(S107)、S108に処理を移行する。具体的には、スクロール処理部104は、前述と同様に、地図データにおける全体地図中から、表示する範囲の地図を取得し、これをディスプレイ2に表示する。なお、スクロール処理部104は、スクロール速度をより速くするために、全体地図中の表示領域(表示される地図画像の領域)の移動量を、標準の速度の場合より大きくする。ただし、これに限らず、ディスプレイ2に表示する地図画像の更新速度を速くすることで、スクロール速度が速く見えるようにしてもよい。
【0061】
次に、S108で、スクロール処理部104は、「第3番目のタッチ」がON状態であるか否かを判定する。
【0062】
そして、「第3番目のタッチ」がON状態である場合(S108でYes)、スクロール処理部104は、地図画像を拡大して表示し(S109)、S101に処理を移行する。具体的には、スクロール処理部104は、地図画像の縮尺率に、標準時(「第3番目のタッチ」がON状態でない場合)よりも高い縮尺率を設定する。なお、既に地図画像を拡大して表示している場合には、スクロール処理部104は、拡大時の縮尺率を維持する。このような標準時および拡大時の縮尺率は予め設定されている。
【0063】
拡大表示にあたり、例えば、スクロール処理部104は、地図データにおける全体地図の中に、拡大時の縮尺率で表示される領域を設定し、その領域に含まれる地図画像をディスプレイ2に表示する。このようにして、スクロール処理部104は、「第3番目のタッチ」のON状態を検知すると、地図画像を所定の縮尺率に拡大してディスプレイ2に表示する。
【0064】
一方、「第3番目のタッチ」がON状態でない場合(S108でNo)、スクロール処理部104は、標準のスケール(縮尺率)で地図画像をディスプレイ2に表示して(S110)、S101に処理を移行する。具体的には、スクロール処理部104は、表示する地図画像の縮尺率を標準のスケールに設定する。なお、スクロール処理部104は、既に標準のスケールが設定されている場合には、この縮尺率を維持する。
【0065】
スクロール処理部104は、以上のような処理(S109又はS110)を実行した後、再びステップS101に移行し、前述の処理を繰り返す。
【0066】
次に、図4〜6を用いて、タッチによる入力指示と、入力指示を受け付けたスクロール処理部104における処理と、をより具体的に説明する。図4は、「1点タッチ」、「2点タッチ」、「3点タッチ」による入力指示と、各指示に対応する地図画像の変化を現す画面例と、を概略的に示したフロー図である。また、図5(a)、(b)および図6(c)、(d)は、図4に示す「1点タッチ」、「2点タッチ」、「3点タッチ」ごとの画面例を、個別に拡大した図である。
【0067】
なお、「1点タッチ」とは、図4、5(a)の画面例201に示すように、使用者の指が1点でタッチパネルに接触している状態のことである。また、「2点タッチ」とは、図4、5(b)の画面例202、203に示すように、使用者の指が2点でタッチパネルに接触している状態のことである。また、「3点タッチ」とは、図4、6(c)の画面例204に示すように、使用者の指が3点でタッチパネルに接触している状態のことである。
【0068】
また、図4〜6に示す画面例は各々の図に共通のものであり、対応する画面例には同一の番号を付している。
【0069】
まず、「1点タッチ」について説明する。図4および図5(a)の画面例201に示すように、使用者が「第1番目のタッチ」をすると、スクロール処理部104はこれを検知する(S101でYes)。そして、スクロール処理部104は、標準のスクロール速度で地図画像をスクロールさせる(S104、S105)。また、画面例207に示すように、使用者が「第1番目のタッチ」をタッチパネル51から離すと、スクロール処理部104は、スクロールを停止する(S102)。
【0070】
次に、図5(b)を用いて、「2点タッチ」について説明する。なお、画面例202、203に示すように、「第2番目のタッチ」として検知されれば、タッチする指は、人差し指や薬指に限られず、これ以外のどの指であってもよい。使用者が「第1番目のタッチ」を継続しつつ、「第2番目のタッチ」をすると、スクロール処理部104は、これを検知する(S103でYes)。そして、スクロール処理部104は、標準よりも速いスクロール速度で地図画像をスクロールさせる(S106、S107)。また、画面例207に示すように、使用者が「第1番目のタッチ」をタッチパネル51から離すと、スクロール処理部104は、スクロールを停止する(S102)。
【0071】
次に、図6(c)を用いて、「3点タッチ」について説明する。画面例204に示すように、使用者が「第1、第2番目のタッチ」を継続しつつ、「第3番目のタッチ」をすると、スクロール処理部104は、これを検知する(S108でYes)。そして、スクロール処理部104は、標準よりも速いスクロール速度で、拡大した地図画像をスクロールさせる(S106、S107、S109)。また、画面例207に示すように、使用者が「第1番目のタッチ」をタッチパネル51から離すと、スクロール処理部104は、スクロールを停止する(S102)。
【0072】
次に、図6(d)を用いて、「3点タッチ」から「2点タッチ」に移行した場合について説明する。画面例204に示すように、「3点タッチ」がされている状態では、拡大された地図画像が、標準のスクロール速度よりも速い速度でスクロールしている。そして、画面例205に示すように、使用者が「第2番目のタッチ」をタッチパネル51から離すと、スクロール処理部104は、スクロール速度を標準のスクロール速度に変更する(S104、S105)。すなわち、ディスプレイ2には、標準の速度でスクロールする拡大された地図画像が表示される。
【0073】
また、図6(d)の画面例206に示すように、使用者が「第3番目のタッチ」をタッチパネル51から離すと、スクロール処理部104は、地図画像を標準の縮尺率に変更する(S110)。すなわち、ディスプレイ2には、標準よりも速い速度でスクロールする標準の大きさの地図画像が表示される。
【0074】
また、画面例207に示すように、使用者が「第1番目のタッチ」をタッチパネル51から離すと、スクロール処理部104は、スクロールを停止する(S102)。
【0075】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本実施形態によれば、使用者は、タッチパネルへのタッチに基づいて、地図画像のスクロール速度や地図画像の縮尺率を容易に変更することができる。
【0076】
また、タッチ状態を検知する順番によってスクロール速度の変更、地図画像の縮尺率の変更を達成することができるため、例えば、地図画像を拡大させた状態で、スクロール速度を標準の速度に戻すこともできる。すなわち、地図画像の制御に当たり、タッチパネルの操作性を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。本実施形態の第1変形例では、「第2番目のタッチ」のタッチ時間の長さに応じて、地図画像のスクロール速度が徐々に変化する。具体的には、スクロール処理部104は、タッチ時間の長さを検知し、時間長さに応じて、スクロール速度を徐々に速くする。例えば、「第2番目のタッチ」が2秒間以上継続されると、スクロール処理部104は、さらに速いスクロール速度(「speed=3」)を設定する。
【0078】
このような本実施形態の第1変形例によれば、使用者は、タッチパネルへのタッチ時間に応じて、地図画像のスクロール速度を容易に変更することができる。
【0079】
また、本実施形態の第2変形例では、「第3番目のタッチ」のタッチ時間の長さに応じて、地図画像の縮尺率が徐々に変化する。具体的には、スクロール処理部104は、タッチ時間の長さを検知し、時間長さに応じて、地図画像の縮尺率を徐々に高くする。例えば、「第3番目のタッチ」が2秒間以上継続されると、スクロール処理部104は、さらに高い縮尺率(例えば、「縮尺率5000分の1」から「縮尺率50分の1」へ変更)を設定する。
【0080】
このような本実施形態の第2変形例によれば、使用者は、タッチパネルへのタッチ時間に応じて、地図画像の縮尺率を容易に変更することができる。
【0081】
また、前述の実施形態において、スクロールが停止すると、拡大した地図画像も標準の縮尺率に戻る場合を説明した。しかし、本実施形態の第3変形例では、スクロール処理部104は、スクロールを停止しても、地図画像の拡大を維持する。したがって、例えば、スクロールの停止後に、タッチパネルが非タッチ状態になっても、地図画像は拡大された状態で表示され続ける。一方で、地図画像を標準の縮尺率に戻す場合は、再び、「第3番目のタッチ」をON状態にした後で、その指をタッチパネルから離せばよい。
【0082】
このような本実施形態の第3変形例によれば、使用者は、タッチパネルにタッチしていなくても、見たい場所の地図画像を拡大表示させておくことができる。
【符号の説明】
【0083】
100…車載用ナビゲーション装置、
1…演算処理部、2…ディスプレイ、3…記憶装置、4…音声入出力装置、5…入力装置、6…ROM装置、7…車速センサ、8…ジャイロセンサ、9…GPS受信装置、10…FM多重放送受信装置、11…ビーコン受信装置、51…タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタッチ点を認識可能なタッチパネルを備えたナビゲーション装置であって、
表示装置に表示する地図画像のスクロールを制御するスクロール制御手段を備え、
前記スクロール制御手段は、
前記タッチパネルへの第1番目のタッチにより、前記地図画像のスクロールの開始指示を受け付け、
前記タッチパネルへの第2番目以降のタッチにより、前記地図画像のスクロール速度の変更指示を受け付ける
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記スクロール制御手段は、さらに、
第2番目以降のタッチにより、前記地図画像の縮尺率の変更指示を受け付ける
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記スクロール制御手段は、
第2番目のタッチにより、前記地図画像のスクロール速度の変更指示を受け付け、
第3番目のタッチにより、前記地図画像の縮尺率の変更指示を受け付ける
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記スクロール制御手段は、
前記第2番目以降のタッチの継続時間の長さに応じて、前記地図画像のスクロール速度を徐々に変更する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記スクロール制御手段は、
前記第2番目以降のタッチの継続時間の長さに応じて、前記地図画像の縮尺率を徐々に変更する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
複数のタッチ点を認識可能なタッチパネルへの第1番目のタッチにより、地図画像のスクロールの開始指示を受け付けるステップと、
前記タッチパネルへの第2番目以降のタッチにより、前記地図画像のスクロール速度の変更指示を受け付けるステップと、
を実行することを特徴とするナビゲーション装置の地図画像表示方法。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置の地図画像表示方法において、
前記第2番目以降のタッチにより、前記地図画像の縮尺率の変更指示を受け付けるステップを実行する
ことを特徴とするナビゲーション装置の地図画像表示方法。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置の地図画像表示方法において、
前記第2番目のタッチにより、前記地図画像のスクロール速度の変更指示を受け付けるステップを実行し、
前記第3番目のタッチにより、前記地図画像の縮尺率の変更指示を受け付けるステップを実行する
ことを特徴とするナビゲーション装置の地図画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−80851(P2011−80851A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233091(P2009−233091)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】