説明

ナビゲーション装置および方法

位置センサから信号を受信する受信機と、シード位置とエリア内でナビゲート可能なルートのマップとを備えるマップデータを内部に格納したメモリと、現在位置を出力する、ディスプレイまたはスピーカ等の出力装置とを備えるナビゲーション装置。前記ナビゲーション装置は、前記信号から移動距離および方位変化を判定する工程および前記マップデータの前記ナビゲート可能なルートの一つにおける前記現在位置を推定する工程のためのプロセッサと、をさらに備える。前記推定する工程は、前記移動距離および前記方位変化を使用して、前記ナビゲーション装置が移動していたかもしれない前記ナビゲート可能なルートに沿った可能性のある経路を前記シード位置から推定し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を各経路に割り当てることを含む。方位変化について、前記プロセッサは、各経路を拡張し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を再計算する。前記プロセッサは、前記現在位置を、最高確率を有する経路上で現在の予測位置になるように割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション装置のための方法に関する。本発明の例示的な実施形態は、ポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND)に関し、特に全地球測位システム(GNSS)信号の受信処理機能を含むPNDに関する。他の実施形態は、より一般的に、ルートプランニング、および好適にはナビゲーション機能を提供するためにナビゲーションソフトウェアを実行するように構成された任意のタイプの処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GNSS信号の受信処理機能を含むポータブルナビゲーション装置(PND)がよく知られており、車載あるいは他の乗り物のナビゲーションシステムとして広く用いられている。
【0003】
一般的には、現在のPNDは、プロセッサ、メモリ(揮発性、不揮発性、通常は両者の少なくとも1つ)、そのメモリに格納されたマップデータを備えている。プロセッサおよびメモリは、協働して、ソフトウェア・オペレーティングシステムが構築されてもよい実行環境を提供し、さらには1以上の追加ソフトウェアプログラムが、PNDの機能が制御されるのを可能にするために、および他の機能を提供するのを可能にするために提供されることが通常である。
【0004】
典型的には、これらの装置は、ユーザが装置と情報をやり取りして装置を制御するのを可能にする1以上の入力インタフェース、および情報がユーザに伝達されてもよい1以上の出力インタフェースを備える。出力インタフェースの実例はビジュアルディスプレイおよび可聴出力のためのスピーカを含む。入力インタフェースの実例は、装置のオン/オフ動作または他の特徴を制御するための1以上の物理ボタン(装置が乗り物に内蔵されている場合、そのボタンは必ずしも装置自体の上にある必要はなくハンドル上にありうる)、およびユーザの発話を検出するマイクロホンを含む。特に好適な構成では、出力インタフェースディスプレイは、(タッチセンサオーバーレイまたは他の方法で)タッチセンサディスプレイとして、ユーザがタッチによって装置を動作しうる入力インタフェースを追加的に提供するように構成されてもよい。
【0005】
このタイプの装置は、電力および選択的なデータ信号が、装置へ送信され、および当該装置から受信されうる1以上の物理コネクタインタフェース、および、選択的には、セルラ通信および他の信号データネットワーク、例えばWi−Fi、Wi−Max、GSM(登録商標)、CDMA等、を通じた通信を可能にする1以上の無線送受信機もしばしば含むだろう。
【0006】
このタイプのPND装置は、位置決めデータを含む衛星ブロードキャスト信号が受信されて、装置の現在位置を判定するために次に処理されうるGNSSアンテナも含む。
【0007】
PND装置は、現在の角加速度および直線加速度を判定するために、次に、GNSS信号から取得される位置情報と併せて、速度、および、装置と当該装置が取り付けられた乗り物との相対移動(変位)を判定するために、処理されうる信号を生成する電子ジャイロスコープおよび加速度計も含んでもよい。典型的にはそのような特徴は、車載ナビゲーションシステムに通常提供されているが、そのようにするのが好都合であるならPND装置にも提供されてもよい。
【0008】
そのようなPNDの有用性は、第1の位置(典型的には出発位置または現在位置)と第2の位置(典型的には目的地)との間のルートを判定する機能に主に現れる。これらの位置は任意の様々な異なる方法、例えば郵便番号、ストリート名称、番地、従前に格納された(有名な位置、(スポーツグラウンドまたは室内プール等の)地方自治体の位置、または他の着目地点等の)“よく知られた”目的地、およびお気に入りの目的地あるいは最近訪れた目的地によって、装置のユーザによって入力されうる。
【0009】
典型的には、PNDは、マップデータから出発地住所位置と目的地住所位置との間の“最良の”または“最適な”ルートを計算するソフトウェアによって可能になる。“最良の”または“最適な”ルートは所定の基準に基づいて判定され、必ずしも最速ルートまたは最短ルートである必要はない。ドライバーをガイドするルートの選択は非常に高機能でありえ、選択されるルートは、現存する、予測される、および動的におよび/または無線で受信される交通道路情報、道路スピードの履歴情報、および道路の選択を判定する要因についてのドライバー自身の嗜好(例えば、ドライバーはルートが高速道路または有料道路を含まないように特定するかもしれない)を考慮してもよい。
【0010】
さらに、装置は道路状況および交通状況を継続的に監視してもよく、旅の残りが変更された状況によってなされるようにルート変更を申し出または選択してもよい。様々な科学技術(例えば、携帯電話データ交換、固定カメラ、GPSフリートトラッキング(GPS車両追跡))に基づくリアルタイム交通監視システムが、交通遅延を特定して、情報を通知システムへ供給するために使用されている。
【0011】
このタイプのPNDは、典型的には乗り物のダッシュボードまたはフロントガラスに取り付けられてもよいが、乗り物ラジオのオンボードコンピュータの一部として、あるいは実際には乗り物自体の制御システムの一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置は、PDA(携帯情報端末)、メディアプレーヤ、携帯電話等のハンドヘルドシステムの一部であってもよく、これらの場合、ハンドヘルドシステムの通常の機能は、ルート計算および計算されたルートに沿ったナビゲーションの両方を実行するソフトウェアの装置へのインストールによって拡張される。
【0012】
ルートプランニングおよびナビゲーション機能は、適切なデスクトップまたはモバイルコンピューティング・リソース・実行ソフトウェアによって提供されてもよい。例えば、ロイヤル・オートモービル・クラブ(RAC)は、http:/www.rac.co.ukにおいてオンラインでのルートプランニングおよびナビゲーション設備を提供しており、その設備はユーザが出発地点および目的地を入力するのを可能にし、そしてユーザのPCが接続されるサーバがルートを計算し(その側面はユーザにより特定されてもよい)、マップを生成し、選択された出発地点から選択された目的地へユーザをガイドする一連の包括的ナビゲーション命令を生成する。その設備は、計算されたルートの疑似三次元レンダリングや、ルートに沿ってユーザが移動するのをシミュレーションし、それによって、計算されたルートのプレビューをユーザへ提供するルートプレビュー機能も提供する。
【0013】
PNDに関連して、ひとたびルートが計算されると、ユーザはナビゲーション装置と情報をやり取りして、提案されたルートのリストから任意に所望の計算されたルートを選択する。選択的に、ユーザは、例えば、あるルート、道路、位置または基準が回避されるべきこと、あるいは特定の旅に対しては義務的であることを特定することによって、ルート選択プロセスに干渉したり、ガイドしたりしてもよい。PNDのルート計算側面は一つの主要な機能を形成し、そのようなルートに沿ったナビゲーションは別の主要な機能である。
【0014】
計算されたルートに沿ったナビゲーションの間、選択ルートに沿ってそのルートの終わり、すなわち所望の目的地までユーザをガイドする視覚的および/または可聴的な命令を提供することがそのようなPNDにとって通常である。ナビゲーションの間画面上にマップ情報を表示することもそのようなPNDにとって通常であり、表示されるマップ情報が、装置の、ひいてはユーザの、あるいは装置が車載ナビゲーションに使用されているならユーザの乗り物の現在位置を表すように、そのような情報は定期的に画面上で更新される。
【0015】
画面上に表示されるアイコンは、典型的には装置の現在位置を示しており、GNSS受信機を使用してPNDによって判定された、装置の現在位置の近くの現在の道路および周囲の道路のマップ情報とともに置かれ、および他のマップ特徴も表示される。さらには、表示されたマップ情報の上下左右のステータスバーに選択的にナビゲーション情報が表示されてもよく、ナビゲーション情報の例は、ユーザによって取られることが要求される現在の道路からの次の逸脱までの距離を含んでおり、その逸脱の性質は場合によっては例えば左折または右折等の特定のタイプの逸脱を示唆するさらなるアイコンによって表される。ナビゲーション機能は、ユーザがルートに沿ってガイドされうる可聴命令の内容、期間およびタイミングも判定する。理解されるように、“100mで左折”等のシンプルな命令も十分な処理および解析を必要とする。前述したように、装置とのユーザの情報のやり取りはタッチスクリーンによってもよく、あるいは追加的にまたは代替的に、ステアリングコラム取り付け遠隔制御によって、音声起動によって、あるいは任意の他の適した方法によってもよい。
【0016】
装置によって提供されるさらなる重要な機能は、ユーザが(偶然または故意の何れかによって)ナビゲーション中に従前に計算されたルートから逸脱する、代替ルートがより好都合であるとリアルタイム交通状況が決定づけ、装置がそのような状況を自動的に認識することが適切に可能である、あるいは、任意の理由でユーザが積極的に装置にルート再計算を実行させる、場合における自動ルート再計算である。
【0017】
ユーザが定義した基準でルートが計算されるのを可能にすることも知られている。例えば、ユーザは景色の良いルートが装置により計算されることを好んでもよく、交通渋滞が起こりそうな、予期される、あるいは現在起こっている道路を回避することを望んでもよい。装置のソフトウェアは、その場合様々なルートを計算し、ルートに沿った景色の美しい例としてタグ付けられた最多数の(POIとして知られる)着目地点を含む、より好ましいルートに重み付けし、または、特定の道路における現在の交通状況を示す格納された情報を使用して、起こりそうな渋滞または渋滞による遅延のレベルの観点で、計算されたルートを順序付けるだろう。他のPOIベースおよび交通情報ベースのルート計算およびナビゲーション基準も可能である。
【0018】
ルート計算およびナビゲーション機能はPND全体の有用性に欠かせないけれども、純粋に情報表示のために、すなわち装置の現在位置と関連するマップ情報のみが表示され、ルートが計算されておらず、装置によってナビゲーションが現在実行されていない“フリードライビング”のために装置を使用することが可能である。そのような動作モードは、ユーザが移動することを望むルートを既に知っており、ナビゲーション補助を必要としない場合に、しばしば適用可能である。
【0019】
上述したタイプの装置、例えばトムトムインターナショナル・ベステーロン・フエンノートシャップによって製造および供給される720Tモデルは、一つの位置から別の位置へユーザをナビゲートするのを可能にする信頼性のある手段を提供する。
【0020】
時にはナビゲーションの間、現在位置を判定するためにナビゲーション装置によって使用されるGPS信号が利用不可能になるかもしれない。そのような場合、GPSを介して取得された位置の、表示マップ上の位置とのマッチングはもはや可能ではない。
【0021】
デッドレコニング(dead reckoning)を使用してGPSカバレッジの間隙の間に位置推定を提供し、この問題を解決することが知られている。デッドレコニングの1つの既知の方法は、ジャイロスコープや加速度計等の移動センサから取得される、乗り物が移動する角度および距離の変化に基づいて、既知の位置(位置情報)から乗り物が移動する経路を推定することである。この推定経路は、次に、道路ネットワークのマップ等のマップデータにマッチングされる。
【0022】
そのような技術の問題は、位置センサによってなされる測定での誤差が、誤った経路が推定される結果をもたらしうることである。乗り物の回転速度計(タコメータ)から位置データを取得する内蔵式ナビゲーション装置について、特に、位置データの変化率を測定するセンサ(種々のセンサ)からの複数の信号を積分することによって位置データが取得される場合に、これらの誤差はかなり大きくなりうる。例えば、測定された加速度の二重積分を通じて加速度計から距離を取得する。位置データは測定値の積分を通じて取得されるので、測定値の誤差の小さな線形増加は、その測定値から取得される位置データの誤差の大きな非線形増加をもたらす。これらの大きな誤差は、位置推定において大きな誤差をもたらし、および結果として乗り物の経路/位置のマップ上での誤表示をもたらしうる。
【発明の概要】
【0023】
本発明の第1の側面によれば、位置センサから信号を受信する受信機と、シード位置とエリア内でナビゲート可能なルートのマップとを備えるマップデータを内部に格納したメモリと、現在位置を出力する出力装置と、前記信号から移動距離および方位変化を判定する工程および前記マップデータの前記ナビゲート可能なルートの一つにおける前記現在位置を推定する工程のためのプロセッサと、を備えるナビゲーション装置であって、前記推定する工程は、
前記移動距離および前記方位変化を使用して、前記ナビゲーション装置が移動していたかもしれない前記ナビゲート可能なルートに沿った可能性のある経路を前記シード位置から推定し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を各経路に割り当て、
方位変化について、各経路を拡張し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を再計算し、
前記現在位置を、最高確率を有する経路上で現在の予測位置になるように割り当てる
ことを含むことを特徴とする。
【0024】
本発明のナビゲーション装置は、センサから受信する信号に基づく位置データ(距離および方向)における誤差のせいでマップにおける現在位置が不正確になるなら、さらなる位置データおよびこのさらなる位置データのマップデータとのマッチングに基づいて、この誤差は後に補正されるかもしれないという有利な点を有するかもしれない。例えば、初期に可能性のある経路は、位置データの内在誤差のために高い確率を有するかもしれないが、さらなる位置データが受信されるにつれて、この経路の確率は、別の経路が最も可能性の高い移動経路になるほどまで低減するかもしれず、ナビゲーション装置が現在位置を今のところより可能性の高い経路上の位置に変更するかもしれない。決定地点(交差点または経路のルート関節)を通過しても他の可能性のある経路を判定することがない従来の装置では、この“回帰(regression)”は可能ではない。
【0025】
各経路がナビゲーション装置が移動した経路である確率は、方位変化と、前記経路のナビゲート可能なルートの対応する角度変化とを比較することによって判定されてもよい。例えば、方位変化は、2つのナビゲート可能なルートの交差点またはナビゲート可能なルート自体のカーブにおけるターンの結果であってもよい。特定の一連の方位変化が、経路を形成する、例えば道路セグメント等の、特定のナビゲート可能なルートに沿った移動に対応する確率を判定することによって、経路の確率が判定されてもよい。例えば、経路の確率は、経路を構成する各ナビゲート可能なルートの別個の確率を判定して、これらの確率を共に乗じたり足し合わせたりすることによって計算されてもよい。ルートは1以上の経路と関連付けられることができ、ルートはそれと関連付けられた複数の確率、各経路に対する確率、を有してもよい。
【0026】
方位変化は、所定の角度閾値を超える単位時間当たりの、例えば1秒当たり数度を超えての、角度変化が検出されてから、単位時間当たりの角度変化が再び安定し前記所定の閾値より少なくなるまでの、離散的イベントであってもよい。このようにして、拡張および確率の再計算は操作の完了に応じて実行され、より連続的なプロセスと比較して処理量を低減する。
【0027】
前記現在位置を推定する工程は、各経路を拡張し、距離変化について前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した前記確率を再計算することをさらに含む。方位変化と同様に、経路の拡張および確率の再計算が実行される地点における距離変化は、所定の距離閾値、例えば数十メートル、数百メートル、を超える距離変化であってもよい。
【0028】
前記プロセッサは、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した前記確率が所定の確率閾値を下回る場合に、さらなる拡張および計算から経路を破棄するように構成されてもよい。
【0029】
例えば、経路が破棄される前記確率閾値は、前記経路がN個の最も可能性のある経路の1つでない場合である。Nの値が大きいほど、プロセッサは各方位変化/方向変化についてより多くの処理を実行しなければならないだろうが、ナビゲーション装置によって移動される最も可能性の高い経路に後になるかもしれない経路が破棄される可能性はより低くなる。多くの状況において、2つの最も可能性の高い経路を除いて破棄することは、もし誤った経路が初期に最も可能性の高い経路として識別されているなら、正確な経路を後に見つけるのに十分ロバストである。
【0030】
追加的にあるいは代替的に、経路が破棄される確率閾値は設定数であってもよい。例えば、経路の確率が設定数を下回る場合に経路が破棄され、または、経路の確率の、現在のところ最も可能性の高い経路である経路の確率に対する比が、設定された比よりも小さい場合に経路が破棄される。
【0031】
前記プロセッサは、前記経路の拡張数が所定の拡張閾値を超える場合に、さらなる拡張および計算から前記最高確率を有する経路でない各経路を破棄するように構成されてもよい。同様に、適切な拡張閾値を設定することは、受容可能なレベルに必要な処理量を維持するのに使用されうる。拡張閾値は、2、3、4または5個の拡張等の数個の拡張であってもよい。
【0032】
経路の拡張の間、経路が分岐するシード地点が作成されるだろう(従って2以上の経路を形成する)。初期のシード地点は2以上の経路が作成される第1のシード地点である。もし経路が無視されるなら、初期のシード地点は新しい位置へ移動することになるかもしれない。前記プロセッサは、初期のシード地点の前にあるルートの経路確率への寄与を無視するように構成されてもよい。このようにして、プロセッサは不必要な計算を実行せず、または大容量データを不必要に格納しない。
【0033】
前記プロセッサは、(他の経路が破棄され、または他の可能性のある経路が存在しない、という結果として)単一の可能性のある経路しか存在しない場合に、メモリにおける前記シード位置を前記現在位置に設定し、および/または、シード地点に設定するように構成されてもよい。
【0034】
前記位置センサは、加速度、速度、距離、時間および角度変化のうち少なくとも1つを測定するセンサを備えてもよい。一実施形態において、前記位置センサは、加速度計とジャイロスコープとの少なくとも何れか1つを備えてもよい。ナビゲーション装置が位置センサを備えてもよく、または、ナビゲーション装置は位置センサと接続する入力部を備えてもよい。
【0035】
前記出力装置は、ディスプレイとスピーカとの少なくとも何れか1つであってもよい。
【0036】
ナビゲーション装置は、全地球測位システム(GNSS)受信機またはGNSS受信機と接続された入力部を備えてもよく、プロセッサは、GNSS信号が利用可能である場合にはGNSS受信機によって受信される信号から現在位置を推定し、GNSS信号が利用不可能である場合には上述した工程に従って現在位置を推定するように構成される。このようにして、ナビゲーション装置は、GNSS信号が受信されない場合であっても継続して位置を追跡することができる。
【0037】
本発明の第2の側面によれば、シード位置とエリア内でナビゲート可能なルートのマップとを備えるマップデータを内部に格納したメモリと接続されたプロセッサによって実行される場合に、前記プロセッサに、移動距離および方位変化に関する位置データを受信させ、前記位置データからマップデータの複数のナビゲート可能なルートの1つにおける現在位置を推定させ、出力装置に現在位置を出力させる命令を格納したデータキャリアであって、前記推定する工程は、
前記移動距離および前記方位変化を使用して、前記ナビゲーション装置が移動していたかもしれない前記ナビゲート可能なルートに沿った可能性のある経路を前記シード位置から推定し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を各経路に割り当て、
方位変化について、各経路を拡張し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を再計算し、
前記現在位置を、最高確率を有する経路上で現在の予測位置になるように割り当てる
ことを含むことを特徴とするデータキャリアが提供される。
【0038】
本発明の第3の側面によれば、位置データを使用してナビゲート可能なルートのマップにおける現在位置を推定する方法であって、前記方法は、
前記位置データから移動距離および方位変化を判定する工程と、
前記移動距離および前記方位変化を使用して、前記移動されていたかもしれない前記ナビゲート可能なルートに沿った可能性のある経路を前記シード位置から推定し、当該経路が移動された確率を各経路に割り当てる工程と、
方位変化について、各経路を拡張し、ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を再計算する工程と、
前記現在位置を、最高確率を有する経路上で現在の予測位置になるように割り当てる工程と、
を有することを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明の教示の様々な側面、およびこれらの教示を具体化する構成が、添付の図面を参照して実例によって以下説明されるだろう。
【図1】図1は、全地球測位システム(GNSS)と通信するナビゲーション装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に従ったナビゲーション装置を提供するように構成された電子構成要素の概略図である。
【図3】図3は、ナビゲーション装置が無線通信チャネルを通じてサーバから情報を受信してもよい方法の概略図である。
【図4A】、
【図4B】図4Aおよび図4Bは、ナビゲーション装置の例示的斜視図である。
【図5A】、
【図5B】図5は、本発明の実施形態に従ったナビゲーション装置によって実行される方法を示す。
【図6】図6は、本発明の実施形態に従ってナビゲーション装置によって計算されうる多くの可能性のある経路の例である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の好適な実施形態が、特にPNDを参照して説明されるだろう。しかしながら、本発明の教示はPNDに限定されず、現在位置をマップに位置付ける他のタイプのナビゲーション装置に広く適用可能であることに留意されたい。それ故、本願に関連して、ナビゲーション装置は、その装置が、PND、乗り物に内蔵されるナビゲーション装置、あるいは実際ルートプランニングおよびナビゲーションソフトウェアを実行する(デスクトップまたはポータブル・パーソナル・コンピュータ(PC)、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の)コンピュータ資源、として具体化されるかどうかに関わらず、(制限なく)ナビゲーション装置を含むことが意図される。
【0041】
上記の条件を考慮して、図1は、ナビゲーション装置140によって使用可能な、全地球測位システム(GNSS)100の例示を説明する。一般に、GNSSは、連続的な位置、速度、時間および場合によっては方向情報を判定することができる衛星無線ベースのナビゲーションシステムである。GNSSは、地球124の軌道上に複数の衛星120を備えている。各衛星120の軌道は、他の衛星120の軌道と必ずしも同期しておらず、実際恐らく非同期である。GNSS衛星は、信号160を介して受信ユニット140へ自身の位置を中継する。GNSS受信機140は、スペクトラム拡散GNSS衛星信号160を受信し、衛星によって中継された位置情報からその位置を判定する。
【0042】
本発明のナビゲーション装置は、NAVSTAR、Galileo、GLOSNASSまたは任意の他の適切なGNSSとしてかつて知られているGPSを使用してもよい。GNSSは非常に性格な軌道で地球を周回する複数の衛星120を組み込んでいる。
【0043】
各衛星120から継続して送信される、スペクトラム拡散信号160は、極めて正確な原子時計により達成される極めて正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。GNSS受信機装置140は一般に、少なくとも3つの衛星120からスペクトラム拡散GNSS衛星信号160をGNSS受信機装置140について取得して三角測量によってその二次元位置を計算することが、関連技術の当業者によって理解される。全部で4つの衛星120からの信号160をもたらす、追加信号の取得は、GNSS受信機装置140が既知の方法でその三次元位置を計算するのを可能にする。
【0044】
GNSSシステムは、特にGNSSデータを受信する設備が整った装置が、GNSS衛星信号の無線周波数をスキャンし始める場合に実施される。GNSS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法の1つを介してその衛星の正確な位置を判定する。装置は、大抵の場合、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで、信号のスキャンを継続するだろう(位置は、通常はそうではないが、他の三角測量技術を使用して2つの信号のみで判定されうることに留意されたい)。幾何学的三角測量を実施すると、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星と比較した自身の二次元位置を判定する。これは既知の方法でなされうる。さらに、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置がその三次元位置を計算することが、既知の方法での同じ幾何学的計算によって可能になるだろう。位置および速度データは、無限のユーザによって常にリアルタイムに更新されうる。
【0045】
図2は、本発明の好適な実施形態に従ったナビゲーション装置200の電子構成要素の、ブロック構成形式での代表図である。ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含んでおらず、多くの例示的構成要素の代表のみであることに留意されたい。
【0046】
ナビゲーション装置200の電子的構成要素は、図4Aおよび図4Bに示されるような筐体内に位置している。ナビゲーション装置は、入力装置220と接続された処理装置210、および処理装置210と接続されたバックライトドライバ241を備える、ディスプレイスクリーン、本実施形態ではLCD240、を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネルおよび/または情報を入力するために利用される任意の他の既知の入力装置を含み、ディスプレイスクリーン240は、例えばLCDディスプレイ等の任意のタイプのディスプレイスクリーンを含みうる。この構成では、入力装置220およびディスプレイスクリーン240は、複数のディスプレイ選択の1つを選択するために、または、複数の仮想ボタンの1つを起動するために、ディスプレイスクリーン240の一部をユーザがタッチすることのみが必要であるように、タッチパッドまたはタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に統合されている。
【0047】
ナビゲーション装置は、例えばスピーカ261、音声増幅器262、および音声コーデック260等の、出力装置260−262を含んでもよい。音声装置260−262は、判定されたナビゲート可能なルートに従ってユーザを指示する音声命令を生成しうる。
【0048】
ナビゲーション装置200において、処理装置210は、接続225を介して入力装置220と動作可能に接続されて、当該入力装置220から入力情報を受信するように設定されており、および、出力接続245および246を介してディスプレイスクリーン240および出力装置260のうち少なくとも1つと動作可能に接続され、そこへ現在位置を含む情報を出力する。さらに、処理装置210は接続235を介してメモリ資源230と連結される。メモリ資源230は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)等の揮発性メモリ、および、例えばフラッシュメモリ等のデジタルメモリである不揮発性メモリを備える。メモリ資源は、エリア内のナビゲート可能なルートのマップ、例えば、イギリスまたはオランダ等の国におけるナビゲート可能なルートのマップを備えるマップデータを内部に格納している。この実施形態においては、マップデータの各ルートは、各セグメントと関連付けられた例えば速度制限、交通プロファイル(traffic profile)、他の道路規制等の、そのセグメントの属性を規定したデータを含む各セグメントで分けられている。
【0049】
ナビゲーション装置200は、セルラネットワークの基地局から、BCCH等の、ブロードキャスト信号を受信する、携帯電話等のセルラモデム280と取り外し可能に接続する接続270をさらに備える。接続270は、ナビゲーション装置200と例えばインターネットまたは任意の他のネットワークとの間のデータ接続を確立するために、および/または、例えばインターネットまたはいくつかの他のネットワークを介してサーバへの接続を確立するために、使用されてもよい。別の実施形態において、装置280はテレビジョン受信機またはTMS/RDS情報を受信しうる無線受信機であってもよい。
【0050】
図2は、接続255を介して、処理装置210と、GNSSアンテナ250と、受信機251との間の動作可能な接続をさらに説明する。アンテナは例えばGNSSパッチアンテナまたはヘリカルアンテナであってもよい。
【0051】
さらに、図2に示される電子的構成要素は、電源290、この場合は従来のように電源管理集積回路290、によって動作されることが当業者によって理解されるだろう。
【0052】
有線接続276、この実施形態ではUSB接続は、処理装置210をコンピュータ等と接続するために提供される。そのような接続はソフトウェア/ファームウェアの更新および/またはマップの更新のために使用されうる。
【0053】
ナビゲーション装置200は、位置センサ、この実施形態ではジャイロスコープ296および加速度計297、と接続するこの実施形態ではコネクタである受信機295を備えており、CPU210はジャイロスコープ296および加速度計297から信号を受信することができる。
【0054】
当業者によって理解されるように、図2に示される構成要素の異なる構成が、本願の範囲に含まれると考えられる。例えば、図2に示される構成要素は、有線接続および/または無線接続等を介して相互に通信してもよい。従って、本願のナビゲーション装置200の範囲は、ポータブルまたはハンドヘルドナビゲーション装置200を含む。
【0055】
さらに、図2のポータブルまたはハンドヘルドナビゲーション装置200は、例えば図5aおよび図5bに示される取付装置292/294を使用することによって、自転車、バイク、自動車またはボート等の乗り物と、既知の方法で接続あるいは“ドッキング”されうる。そのようなナビゲーション装置200は、ポータブルまたはハンドヘルドナビゲーション使用のためにドッキングされた位置から取り外し可能である。
【0056】
次に図3を参照すると、ナビゲーション装置200は、(例えば既知のBluetooth(登録商標)技術を介したデジタル接続等の)デジタル接続を構築するセルラモデム280を介してサーバ302との“モバイル”または通信ネットワーク接続を構築してもよい。その後、そのネットワークサービスプロバイダを通じて、セルラ装置はサーバ302と(例えばインターネットを通じて)ネットワーク接続を構築しうる。そのようにして、“リアルタイム”または少なくとも非常に“最新の”ゲートウェイに情報を提供するために、(単独および/または乗り物で移動するにつれて多くの場合動きうる)ナビゲーション装置200とサーバ302との間に“モバイル”ネットワーク接続が構築される。
【0057】
例えば(ワールド・ワイド・ウェブ等の)インターネットを使用して、(サービスプロバイダを介した)モバイル装置とサーバ302等の別の装置との間でのネットワーク接続を構築することは、既知の方法で行われうる。これは例えばTCP/IPレイヤプロトコルの使用を含みうる。モバイル装置は、DVB−H、DVB−T、CDMA、GSM、Wi−Max、TMC/RDS等の任意の数の通信標準を利用することができる。
【0058】
そのようなものとして、例えば、携帯電話またはナビゲーション装置200内の携帯電話技術を介した、データ接続を介して達成されるインターネット接続が利用されてもよい。この接続について、サーバ302とナビゲーション装置200との間でインターネット接続が構築される。これは、例えば携帯電話または他のモバイル装置およびGPRS(ジェネラル・パケット・ラジオ・サービス)接続を通じて実行されうる(GPRS接続は通信会社によって提供されるモバイル装置のための高速データ接続であり、GPRSはインターネットと接続するための方法である)。
【0059】
ナビゲーション装置200はさらに、モバイル装置とのデータ接続、ひいては、既知の方法で、例えば既存のBluetooth(登録商標)技術を介して、インターネットおよびサーバ302との接続を完了することができ、ここでデータプロトコルは、例えばGSRM、GSM標準のためのデータプロトコル標準等の、任意の数の標準を利用することができる。
【0060】
GPRS電話設定について、Bluetooth(登録商標)可能なナビゲーション装置は、携帯電話モデル、製造業者等の絶え間なく変化しているスペクトルと正確に連動するように使用されてもよく、例えばモデル/製造業者に特有の設定がナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報について格納されるデータは更新されうる。
【0061】
図3において、ナビゲーション装置200は、任意の多数の異なる構成によって実施されうる汎用通信チャネル318を介してサーバ302と通信しているものとして描写されている。サーバ302およびナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間に接続が構築された場合に通信することができる(そのような接続は、モバイル装置を介したデータ接続、インターネットを介しパーソナル・コンピュータを通じた直接接続等でありうることに留意されたい)。
【0062】
サーバ302は、説明されていない他の構成要素に加えて、メモリ306と動作可能に接続され、有線または無線接続314を介して大容量記憶装置312とさらに動作可能に接続された処理装置304を含む。処理装置304は、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200へ情報を送信および送出し、当該ナビゲーション装置200から情報を受信するために、送信機308および受信機310と動作可能にさらに接続される。送受信される信号は、データ、通信、および/または他の伝播信号を含んでもよい。送信機308および受信機310は、ナビゲーションシステム200のための通信設計で使用される通信要件および通信技術に従って選択または設計されてもよい。さらに、送信機308および受信機310の機能は単一の送受信機に一体化されてもよいことに留意されたい。
【0063】
サーバ302は、大容量記憶装置312とさらに接続されており(あるいは大容量記憶装置312を含んでおり)、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302と連結されてもよいことに留意されたい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータおよびマップ情報の格納を含んでおり、サーバ302とは別個の装置でありえ、あるいは、サーバ302に組み込まれうる。
【0064】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を通じてサーバ302と通信するように構成されており、図2および3に関して前に説明したように、通信チャネル318を通じて信号および/またはデータを送受信するための送信機320および受信機322だけでなく、処理装置、メモリ等を含み、これらの装置はサーバ302以外の装置と通信するためにさらに使用されうることに留意されたい。さらに、送信機320および受信機322は、ナビゲーションシステム200のための通信設計で使用される通信要件および通信技術に従って選択または設計され、送信機320および受信機322の機能は単一の送受信機に一体化されてもよい。
【0065】
サーバメモリ306に格納されたソフトウェアは、処理装置304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200へサービスを提供するのを可能にする。サーバ302によって提供される一つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求を処理して、大容量記憶装置312からナビゲーション装置200へナビゲーションデータを送信することを含む。サーバ302によって提供される別のサービスは、所望のアプリケーションの様々なアルゴリズムを使用してナビゲーションデータを処理して、これらの計算の結果をナビゲーション装置200へ送信することを含む。
【0066】
通信チャネル318は、一般に、ナビゲーション装置200およびサーバ302を接続する伝播媒体または経路を表す。サーバ302およびナビゲーション装置200は、通信チャネルを通じてデータを送信する送信機および通信チャネルを通じて送信されているデータを受信する受信機を含む。
【0067】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。さらに、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、通信チャネル318は、様々な技術を使用するいくつかの通信リンクを含んでもよい。例えば、通信チャネル318は、電気的、光学的、および/または電磁気的な通信等の経路を提供するように構成されうる。そのようなものとして、通信チャネル318は、電気回路、有線同軸ケーブル等の導電体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(RF)波、大気、空間等のうちの1つまたは組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0068】
さらに、通信チャネル318は、例えばルータ、リピータ、バッファ、送信機、および受信機等の媒介装置を含みうる。
【0069】
一つの例示的な構成において、通信チャネル318は、電話およびコンピュータネットワークを含む。さらに、通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等の無線通信に適合可能であってもよい。さらに、通信チャネル318は、衛星通信に適合しうる。
【0070】
通信チャネル318を通じて送信される通信信号は、所与の通信技術に必要とされる、あるいは望まれる信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)等のセルラ通信技術で使用されるように構成されてもよい。デジタル信号およびアナログ信号の両方が、通信チャネル318を通じて送信されうる。これらの信号は、変調され、暗号化され、および/または圧縮された、通信技術に望ましい信号であってもよい。
【0071】
自動的またはユーザがサーバ302へナビゲーション装置200を接続することに応じて定期的に更新されてもよく、および/または、例えばより定常的な接続またはより頻繁な接続が無線モバイル接続装置およびTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間でなされることに応じてより動的であってもよい、情報ダウンロードを介して、ナビゲーション装置200はサーバ302から情報を提供されてもよい。多くの動的計算について、サーバ302における処理装置304は、処理ニーズの大部分を扱うために使用されてもよいが、しかしながら、ナビゲーション装置200の処理装置210は、サーバ302との接続とはしばしば独立して、多くの処理および計算を扱うこともできる。
【0072】
図4Aおよび図4Bは、ナビゲーション装置200の斜視図である。図4Aに示されるように、ナビゲーション装置200は、一体型入力表示装置290(例えばタッチパネルスクリーン)および(内部GPS受信機250、処理装置210、電力供給、メモリシステム230等を含むがこれらに限定されない)図2および図3の他の構成要素を含むユニットであってもよい。
【0073】
ナビゲーション装置200は、吸着カップ294を使用して乗り物のダッシュボード/ウィンドウ等に固定されてもよいアーム292上に据え付いてもよい。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキングされうるドッキング・ステーションの一例である。
【0074】
図4Bに示されるように、ナビゲーション装置200は、例えばナビゲーション装置200をアーム292とスナップ接続することによって、ドッキング・ステーションのアーム292とドッキングまたは別の方法で接続されうる。その場合ナビゲーション装置200は、図4Bの矢印によって示されるように、アーム292上で回転可能であってもよい。ナビゲーション装置200とドッキング・ステーションとの間の接続を解放するために、例えばナビゲーション装置200上のボタンが押下されてもよい。ナビゲーション装置をドッキング・ステーションと連結およびドッキング・ステーションから分断するための他の同様な適切な構成が当業者に広く知られている。
【0075】
このユーザがPNDのスイッチを入れると、その装置は、GNSS fixを取得し、(既知の方法で)PNDの現在位置を計算する。この現在位置を使用して、PNDは、従来のアルゴリズムに従ってナビゲート可能なルートを判定しうる。
【0076】
次に図5を参照すると、メモリ資源230に格納されるのは、プロセッサ210によって実行される場合に、そのプロセッサに次に説明する方法のステップを実行させる命令を備えるコンピュータプログラムである。
【0077】
ステップ401において、プロセッサ210は、GNSS信号がGNSS受信機251によって受信されているかどうかを判定する。GNSS信号が受信されているなら、プロセッサ210は、ステップ402において、GNSS信号から、および選択的にはジャイロスコープ296および加速度計297から受信される信号からも、マップデータにおける現在位置を判定する。GNSS信号と併せてジャイロスコープ296および加速度計297からの信号を使用する利点は、より正確な位置が判定されることである。GNSS信号から判定される各新しい位置について、シード(seed)位置がこの新しい位置で更新される(ステップ403)。次に方法はステップ401へループして戻る。
【0078】
GNSS受信機251が(例えばGNSSネットワークカバレッジが存在しないために)衛星120からGNSS信号を受信していない場合、ステップ401において、方法はデッドレコニング技術の第1の部分としてステップ404へ進む。ステップ404において、プロセッサ210は、複数の可能性のある経路が、ジャイロスコープ296および加速度計297から受信された位置決めデータから判定された現在位置の従前の推定に基づいて、既に計算されているかどうかを判定確認する。GNSS信号がロストされたために、デッドレコニング技術によって位置が推定されるのが初めてであるなら、ナビゲーション装置が移動した可能性のある経路はまだ判定されていないだろう。従って、そのような状況においては、プロセッサはステップ405へ進み、最後の(最新の)シード位置が判定されたので、プロセッサはジャイロスコープ296および加速度計297から信号を受信し、その信号から、移動距離および方位変化(位置データ)を判定する。
【0079】
プロセッサ210は、ステップ406において、メモリ資源230からシード位置を読み出し、移動距離および任意の方位変化を使用して、ナビゲーション装置200によって移動される可能性のある経路をそのシード位置から推定する。この実施形態においては、プロセッサ210は、移動距離および/または方位変化が所定の閾値を超える場合に、可能性のある移動経路の第1の計算を実行する。各経路がナビゲーション装置200が移動した経路である確率は、方位変化と、対応する経路のナビゲート可能なルートの角度変化とを比較することによって、判定されてもよい。例えば、方位変化は、2つのナビゲート可能なルートの交差点でなされるターンまたはナビゲート可能なルート自体のカーブの結果であってもよい。
【0080】
このことが達成されうる1つの方法の例が、図6に関して次に説明されるだろう。点線501は、ジャイロスコープ296および加速度計297からの信号によって示される経路を示している。しかしながら、測定誤差のせいで、これは、マップデータのナビゲート可能なルート502−509と合致していない。従って、プロセッサ210は、方位変化および移動距離の測定値がマップデータのナビゲート可能なルート503−509の方位および距離の変化にどの程度近いかに基づいて、各ナビゲート可能なルート503−509が移動された確率を割り当てる。所与の例では、ナビゲーション装置が最初にわずかに左に移動するにつれて方位変化が生じると、第1の判定が実行される。左への移動は、BからDへのルート504よりはBからCへのルート503に沿って移動することによりぴったりと合致するので、ルート503に沿ったこの最初の方位変化の経路には、ルート504に沿った経路よりも高い確率が与えられる。
【0081】
各経路に割り当てられる確率は、経路を構成するルートの個々の確率の重み付けされた合計である(すなわち、全ての可能性のある経路を構成する全てのルートの確率全体によって除算された経路を構成するルートの確率の合計)。従って、まず第1に、経路を構成するルート503、504に確率が割り当てられ、次に、経路の確率がルートについて判定された確率から判定される。図6に示される例では、BからDへの経路に割り当てられる確率はおよそ0.486であり、BからCへの経路に割り当てられる確率はおよそ0.514である。ステップ407において、これらの確率が経路に割り当てられ、メモリ資源230に格納される。ある状況では、ルートは複数の経路に属することができ、それと関連付けられた複数の確率、ルートが属する各経路について1つの確率、を有することが理解されるだろう。
【0082】
ステップ408において、プロセッサ210は、経路に割り当てられた確率を比較し、その確率が所定の閾値を下回るなら、その経路は破棄される。
【0083】
例えば、経路が破棄される閾値は、N個の最も可能性の高い経路のうちの1つではない場合であってもよい。Nの値が大きいほど、プロセッサは、各方位変化/方向変化についてより多くの処理を実行しなければならないだろうが、後にナビゲーション装置によって移動される最も可能性の高い経路になるかもしれない経路が破棄される可能性はより低くなる。多くの状況において、誤った経路が初期に最も可能性の高い経路として特定されるなら、2つの最も可能性の高い経路以外を破棄することは、後に正確な経路を見つけるのに十分ロバストである。こうした要求の代わりとして、またはこうした要求に加えて、他の要求が使用されてもよく、例えば、プロセッサ210は、経路の拡張数が所定の拡張閾値を超える場合、さらなる拡張および計算から最も高い確率を有する経路ではない各経路を破棄するように構成されてもよく、および/または、ナビゲーション装置が経路を移動した確率が所定の閾値を下回る場合に当該経路が破棄されてもよいことが理解されるだろう。
【0084】
従って、図6に示される例では、プロセッサ210が初期の方位変化から判定するルート502および503に沿った初期の2つの経路は、それらが2つの最も可能性の高い経路であって高い確率を有するので破棄されない。ステップ409において、プロセッサ210は、ナビゲーション装置200の現在位置を、最も高い確率を有する経路上の位置になるように割り当てる。計算された初期の2つの経路について、これは、この経路が0.486に対して0.514というより高い確率を有するので、ルート503上で予測される位置であるだろう。この現在位置は、ナビゲーション装置によって、例えばディスプレイ240上のグラフィックとして次に出力される。
【0085】
ステップ416において、プロセッサ210は、もはや関連しないルートを経路から取り除く。破棄されるルートは、経路が分岐する初期地点(初期シード地点)の前に生じるルートを含む。図6に示される例では、地点Bが初期シード地点であり、そのためルート502によって寄与される経路の確率に対する任意の寄与が除外される。
【0086】
ステップ410において、プロセッサ210は、複数の経路が残っているかどうか判定確認し、複数の経路が存在するならプロセッサは、ステップ401へ戻る。結果として、プロセッサ210は、GNSS信号が受信されうるかどうか再び見て確認する。いまだにGNSSカバレッジが存在しないなら、ステップ404において、プロセッサ210は、複数の経路が残っているかどうか判定確認する。図6に示される例では、初期の方位変化の後に、2つの可能性のある経路が保持されている。従って、プロセッサ210は、ステップ412へ進む。ステップ412において、プロセッサは、ジャイロスコープ296および加速度計297から受信される信号から移動距離および方位変化を判定し、ステップ413において、プロセッサ210は、既に判定されている経路から拡張して、可能性のある経路の新しいセットを判定する。再び図6を参照すると、これは、例えばルート503が地点Cにおいてルート505へと左へ進むこと、およびルート504が地点Dにおいてルート506および507へ分岐すること等、移動距離のセットにおいて生じる予測交差のために、および/または、さらなる方位変化、図6において右への移動、のために、実行されてもよい。
【0087】
以前のループと同様に、ステップ407において、経路の新しいセットの各可能性のある経路について確率が計算される。ルート505が移動されている可能性は非常に低く0.1であり、BからEへの経路が、ナビゲーション装置が移動した経路である確率は、ルート503およびルート505がともに移動されている確率の重み付け合計(加重和)を実行することによって計算される。これは、およそ0.26というこの経路の確率を与える。他の可能性のある経路は、(ルート504および506、および、ルート504および507をそれぞれ含む)BからGおよびBからFであり、同様にしてこれらの経路について確率が計算され、それぞれ0.45および0.29を与える。ステップ408において、プロセッサ210は最も可能性の高い確率を有する2つの経路を保持するのみであるため、ルート503および505を含む経路が破棄される。ステップ409において、ナビゲーション装置200によって出力される現在位置は、ルート504および506を含む経路上の予測位置へ変更される。複数の可能性のある経路が残っているので、プロセッサは、ステップ411へ進み、ステップ401へループして戻る。
【0088】
BからEまでの経路が破棄されているので、地点Bはもはやシード地点(経路が分岐する地点)ではない。新しい初期シード地点はDである。ステップ416において、現在の新しい初期シード地点(地点D)の前に生じるルートの寄与は除外され、2つの経路DからFおよびDからGについての確率はそれぞれおよそ0.308およびおよそ0.69である。
【0089】
このプロセスは、さらなる方位および距離の変化について次に繰り返され、経路が推定され、新しい経路が形成されて、これら新しい経路について確率が計算される。図6に示される例では、残っている経路は、新しい経路DからHおよびDからIを与えるように推定され、経路DからIはルート506および509を含み、経路DからHはルート507および508を含み、0.84および0.16という確率を有する。ステップ408において、プロセッサ210は、この経路の確率は所定の閾値0.2を下回るので、ルート507および508を含む経路DからHを破棄してもよい。従って、現在位置はDからIへの経路上の位置に割り当てられる。1つの経路のみ残っているので、プロセッサ210は、ステップ414へ進み、唯一残っている経路上における現在の予測位置でシード位置を更新し、次にステップ401へループして戻り、GNSS信号が受信されえない限りプロセスが再び開始される。
【0090】
可能性のある経路の各推定/拡張は、方位および/または距離の変化が所定の閾値を超える場合、例えば、単位時間当たりの角度変化が所定の角度閾値、例えば1秒当たり数度、を超える、あるいは、距離変化が所定の距離閾値、例えば数十メートルまたは数百メートル、を超える場合にのみ実行されもよいことが理解されるだろう。
【0091】
さらに、本発明のデッドレコニング技術は、例えば、サーバ302のプロセッサ304によるナビゲーション装置とは離れた別の処理装置によって実行されることができ、この処理によって判定される現在位置は、通信リンク318を通じてナビゲーション装置へ送信し返されることが理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置センサから信号を受信する受信機と、シード位置とエリア内でナビゲート可能なルートのマップとを備えるマップデータを内部に格納したメモリと、現在位置を出力する出力装置と、前記信号から移動距離および方位変化を判定する工程および前記マップデータの前記ナビゲート可能なルートの一つにおける前記現在位置を推定する工程のためのプロセッサと、を備えるナビゲーション装置であって、前記推定する工程は、
前記移動距離および前記方位変化を使用して、前記ナビゲーション装置が移動していたかもしれない前記ナビゲート可能なルートに沿った可能性のある経路を前記シード位置から推定し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を各経路に割り当て、
方位変化について、各経路を拡張し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を再計算し、
前記現在位置を、最高確率を有する経路上で現在の予測位置になるように割り当てる
ことを含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
各経路が前記ナビゲーション装置が移動した経路である前記確率は、前記方位変化と、前記経路の前記ナビゲート可能なルートの対応する角度変化とを比較することによって判定されることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
方位変化は、所定の角度閾値を超える単位時間当たりの角度変化が検出されてから、単位時間当たりの角度変化が再び安定し前記所定の閾値より少なくなるまでの、離散的イベントであることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記現在位置を推定する工程は、各経路を拡張し、距離変化について前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した前記確率を再計算することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路の拡張および前記確率の再計算は、前記距離変化が所定の距離閾値を超えている場合に実行されることを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
経路の確率は、特定の方位変化と距離変化との少なくとも1つが前記経路を形成する特定のナビゲート可能なルートに沿った移動に対応する確率を判定し、および、この確率を、前記経路を形成する他のナビゲート可能なルートに沿った移動に対応する他の方位変化と距離変化との少なくとも1つについて計算された確率で乗じることによって、判定されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記ナビゲーション装置が経路を移動した前記確率が所定の確率閾値を下回る場合に、さらなる拡張および計算から当該経路を破棄するように構成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
経路が破棄される前記確率閾値は、前記経路がN個の最も可能性のある経路の1つでない場合であることを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記経路の拡張数が所定の拡張閾値を超える場合に、さらなる拡張および計算から前記最高確率を有する経路でない各経路を破棄するように構成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、単一の可能性のある経路しか存在しない場合に、メモリにおける前記シード位置を前記現在位置に設定するように構成されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記経路が分岐する初期のシード地点の前にあるルートの経路確率への寄与を無視するように構成されることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記位置センサは、加速度、速度、距離、時間および角度変化のうち少なくとも1つを測定するセンサを備えることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記位置センサは、加速度計とジャイロスコープとの少なくとも何れか1つを備えることを特徴とする請求項12に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記出力装置は、ディスプレイとスピーカとの少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
シード位置とエリア内でナビゲート可能なルートのマップとを備えるマップデータを内部に格納したメモリと接続されたプロセッサによって実行される場合に、前記プロセッサに、移動距離および方位変化に関する位置データを受信させ、前記位置データからマップデータの複数のナビゲート可能なルートの1つにおける現在位置を推定させ、出力装置に現在位置を出力させる命令を格納したデータキャリアであって、前記推定する工程は、
前記移動距離および前記方位変化を使用して、前記ナビゲーション装置が移動していたかもしれない前記ナビゲート可能なルートに沿った可能性のある経路を前記シード位置から推定し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を各経路に割り当て、
方位変化について、各経路を拡張し、前記ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を再計算し、
前記現在位置を、最高確率を有する経路上で現在の予測位置になるように割り当てる
ことを含むことを特徴とするデータキャリア。
【請求項16】
位置データを使用してナビゲート可能なルートのマップにおける現在位置を推定する方法であって、前記方法は、
前記位置データから移動距離および方位変化を判定する工程と、
前記移動距離および前記方位変化を使用して、前記移動されていたかもしれない前記ナビゲート可能なルートに沿った可能性のある経路を前記シード位置から推定し、当該経路が移動された確率を各経路に割り当てる工程と、
方位変化について、各経路を拡張し、ナビゲーション装置が当該経路を移動した確率を再計算する工程と、
前記現在位置を、最高確率を有する経路上で現在の予測位置になるように割り当てる工程と、
を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−507622(P2013−507622A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533485(P2012−533485)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063263
【国際公開番号】WO2011/044923
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】