説明

ナビゲーション装置および経路情報提示方法

【課題】案内交差点で交差点案内に従わないことによって発生するリスクをユーザが事前に把握して回避することが可能な「ナビゲーション装置および経路情報提示方法」を提供する。
【解決手段】目的地までの誘導経路上にある案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいた場合、経路情報生成部32fが当該案内交差点に接続された複数の道路のうち誘導経路上の道路以外の道路を走行したときにおける自車位置から目的地までの経路に関する経路情報(経路概略図)を提示することにより、ユーザに対して、誘導経路上にある案内交差点で交差点案内に従わなかった場合に走行することとなる経路が事前に提示されるようにして、当該経路情報を見たユーザが、交差点案内に従わなかった場合、その後どのような道を辿っていく必要があるのかを案内交差点を通過する前に直感的に把握することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置および経路情報提示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用のナビゲーション装置では、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機などを用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す自車位置マークを重ね合わせて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
このようなナビゲーション装置の殆どは、現在地から目的地までの誘導経路を設定して案内する機能を備えている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を自動探索し、その探索した経路を誘導経路として設定する。
【0004】
誘導経路の設定後は、経路案内が行われる。経路案内に従って走行していけば、運転者は道を知らなくても、目的地に確実に到達することができる。経路案内は、例えば、車両の走行中に地図画像上で誘導経路を他の道路と識別可能なように色を変えて太く描画することによって行う。また、車両が誘導経路上の案内交差点から所定距離内に近づいたときに、交差点案内図(交差点拡大図とこの交差点での進行方向を示す矢印)を表示したり、進行方向を音声で案内したりするなどの交差点案内を行う。
【0005】
また、経路案内の付加的な機能として、誘導経路が課金対象エリア(渋滞緩和などの目的で、走行する車両に課金する制度が設けられている地域)を通過する場合、その課金対象エリアの手前の分岐点(交差点など)に近づいたときに、当該分岐点を始点とし、かつ、目的地まで大幅な遠回りとならない迂回経路を提示する技術も提供されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2007−64914号公報
【0006】
なお、経路案内とは言えないが、自車位置が交差点から所定距離以内に近づく毎に、その交差点に接続されたそれぞれの道路を走行した場合の目的地への到着予想時刻を算出し、算出された到着予想時刻を利用者に提示する技術が提供されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献2】特開2007−85939号公報
【0007】
ところで、誘導経路を設定した場合でも、案内交差点でユーザが経路案内に従わないことがある。例えば、実際の交差点がごちゃごちゃしていてどこをどう曲がれば良いのか分かりづらい場合や、自車位置から見た目的地の方向を示す誘導線が交差点案内で案内された右左折方向と逆の方向を指している場合に、交差点案内(経路案内)をあえて無視して、このまま次の交差点まで進んでみることがある。また、高速道路の出口案内表示と実際の出口案内標識とが違う場合に、高速道路の出口案内をあえて無視して、このまま高速道路の次の出口まで進んでみることもある。
【0008】
このような場合、特許文献2に記載の技術を応用すれば、案内交差点で経路案内に従って目的地まで走行する場合の到着予定時刻と、案内交差点で経路案内を無視して目的地まで走行する場合の到着予定時刻との双方が数字として提示されることとなる。これにより、案内交差点で経路案内に従わないことにより目的地への到着予定時刻が当初の到着予定時刻よりもどのくらい遅れてしまうかを事前に把握することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それでも、目的地への到着予定時刻が当初の到着予定時刻よりもわずかな時間しか遅れないのであれば、ユーザによっては、案内交差点で交差点案内をあえて無視して、このまま次の交差点まで進んでみることがある。この場合、特許文献2に記載の技術でユーザに提示される情報は、あくまで案内交差点に接続された道路毎の目的地までの到着予想時刻のみである。このため、案内交差点で経路案内に従わないことにより、当該案内交差点を通過した後にどのような経路を辿る必要があるのか全くわからないという問題があった。例えば、案内交差点で交差点案内に従わないことにより、その後、わざわざ遠回りをして案内交差点に戻らざるを得なかったり、当該案内交差点の先が行き止まりとなるためUターンして案内交差点に引き返さなければならなかったりする場合でも、ユーザは、案内交差点で経路案内に従わないことにより発生するリスクを知る由もなかった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、案内交差点で交差点案内に従わないことによって発生するリスクをユーザが事前に把握して回避できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、目的地までの誘導経路上にある案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいた場合、当該案内交差点に接続された複数の道路のうち誘導経路上の道路以外の道路を走行したときにおける目的地までの経路に関する経路情報を提示するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、誘導経路上にある案内交差点で交差点案内に従わなかった場合に走行することとなる経路に関する経路情報が事前に提示される。これにより、経路情報を見たユーザは、交差点案内に従わなかった場合、その後どのような道を辿っていく必要があるのかを案内交差点を通過する前に直感的に把握することができる。よって、ユーザは、案内交差点で交差点案内に従わないことによって発生するリスク(例えば、迂回して案内交差点に引き返さなければならない)を事前に把握して回避することができ、経路案内について当該ユーザの利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナビゲーション装置の全体構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1において、100はナビゲーション制御装置であり、ナビゲーション装置の全体を制御する。11はDVD−ROM等の記録媒体であり、地図表示や経路探索等に必要な各種の地図データを記憶している。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM11を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0015】
DVD−ROM11に記録された地図データには、地図表示に必要な描画ユニットのデータ(地図上に存在する道路や建物、施設に関する各種のデータ)の他に、マップマッチングや経路探索等の各種の処理に必要な道路ユニットのデータと、交差点の詳細を表す交差点ユニットのデータとが含まれている。
【0016】
12はリモコン、タッチパネルおよび操作スイッチ等の操作部であり、ユーザがナビゲーション制御装置100に対して各種の情報(例えば、経路誘導の目的地や経由地)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、地図の拡大/縮小操作、手動地図スクロール、数値入力など)を行ったりするためのものである。
【0017】
13は車両の現在位置を測定するための自立航法センサであり、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する距離センサ(車速センサ)13aと、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)13bとを含んでいる。自立航法センサ13は、これらの距離センサ13aおよび角速度センサ13bによって車両の相対位置および方位を検出し、その情報をナビゲーション制御装置100に出力する。
【0018】
14は車両の現在位置を測定するためのGPS受信機であり、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナ(図示せず)で受信し、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。そして、GPS受信機14は、これらの計算した車両の絶対位置および方位の情報を、測位時刻と共にナビゲーション制御装置100に出力する。
【0019】
15は画像表示装置であり、ナビゲーション制御装置100の制御によって生成された画像を表示する。この画像表示装置15の画面上には、自車位置を含む範囲の地図画像が車両位置マークや各種ランドマーク等と共に表示される。また、この地図画像上には、誘導経路が表示されるとともに、車両の位置が誘導経路上の案内交差点近傍に近づいたときに交差点拡大図が表示される。
【0020】
また、車両の位置が誘導経路上の案内交差点近傍に近づいたときに、当該案内交差点に接続された複数の道路のうち、誘導経路上の道路(以下、「第1特定道路」と称する)以外の道路(以下、「第2特定道路」と称する)を走行した場合における自車位置から目的地までの経路(以下、「オフ誘導経路」と称する)を含む経路概略図(特許請求の範囲の経路情報に対応)が表示される。本実施形態では、案内交差点とは、車両の進行方向を変更する必要がある地点を言う。すなわち、案内交差点には、右折または左折などの旋回を行う交差点の他に、高速道路や有料道路の入口、出口またはインターチェンジなどが含まれる。
【0021】
次いで、ナビゲーション制御装置100の内部構成において、21は地図バッファであり、DVD−ROM11から読み出された地図データを一時的に格納する。22はROM読出制御部であり、DVD−ROM11からの地図データの読み出しを制御する。
【0022】
このROM読出制御部22は、後述するマップマッチング制御部26からマップマッチング処理後の車両現在位置情報を入力する。そして、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力する。これにより、地図表示に必要な地図データをDVD−ROM11から読み出して、地図バッファ21に格納する。
【0023】
23は外部信号入力部であり、操作部12からその操作状態に応じた操作信号を入力する。24は車両位置・方位計算部であり、自立航法センサ13から出力される自車の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車位置(推定車両位置)および車両方位を計算する。25はデータ記憶部であり、GPS受信機14から出力される自車の絶対的な位置および方位のデータを順次格納する。
【0024】
上述のマップマッチング制御部26は、地図バッファ21に読み出されている地図データと、車両位置・方位計算部24により計算された自立航法センサ13に基づく推定車両位置および車両方位のデータと、データ記憶部25に格納されたGPS受信機14による自車位置および車両方位のデータとを用いて、車両走行距離毎に投影法等によるマップマッチング処理を行って、自車の走行位置を地図データの道路上に位置修正する。
【0025】
27は誘導経路制御部(特許請求の範囲の経路探索部に対応)であり、地図バッファ21に格納された地図データを用いて、現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな誘導経路を探索する。28は誘導経路メモリであり、誘導経路制御部27によって探索された誘導経路のデータ(現在地から目的地までのノードの集合)を記憶する。
【0026】
また、誘導経路制御部27は、目的地までの誘導経路上にある案内交差点を通過する前に、当該案内交差点に接続された第2特定道路を走行した場合における現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さなオフ誘導経路を探索する。そして、誘導経路メモリ28は、誘導経路制御部27によって探索されたオフ誘導経路のデータ(現在地から第2特定道路を通って目的地に至るまでのノードの集合)を記憶する。実際には、第2特定道路を走行した場合におけるオフ誘導経路として、第2特定道路を通って元の誘導経路に戻ってくるまでの経路が誘導経路制御部27により探索されることが多い。この場合、誘導経路メモリ28は、現在地から第2特定道路を通って元の誘導経路に戻るところまでのノードの集合をオフ誘導経路データとして記憶する。
【0027】
29は地図描画部であり、地図バッファ21に格納された地図データに基づいて、画像表示装置15への地図表示に必要な地図画像データを生成する。30はVRAM(ビデオRAM)であり、地図描画部29により生成された地図画像データを一時的に格納する。31は読出制御部であり、VRAM30からの地図画像データの読み出しを制御する。すなわち、地図描画部29によって生成された地図画像データは、VRAM30に一時的に格納され、読出制御部31によって1画面分の地図画像データが読み出される。
【0028】
案内部32は、マップマッチング制御部26から供給される自車位置情報と、誘導経路メモリ28に格納された誘導経路データと、地図バッファ21に格納された地図データとに基づいて通常の走行案内を行う。また、案内部32は、誘導経路メモリ28に格納されたオフ誘導経路データを使用することにより、誘導経路上の案内交差点付近で交差点拡大図、経路概略図および差分時間情報を表示してオフ誘導経路の案内も行う。なお、案内部32が交差点拡大図、経路概略図および差分時間情報を表示して行う案内の詳細は後述する。
【0029】
33は操作画面発生部であり、操作部12を用いて各種の操作を行う際に必要な操作画面を生成して画像合成部36に出力する。34は各種マーク発生部であり、マップマッチング処理された後の自車位置に表示する車両位置マークや、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア等を表示する各種ランドマーク等を生成して画像合成部36に出力する。
【0030】
35は誘導経路描画部であり、誘導経路メモリ28に記憶された誘導経路データを使用して、誘導経路の描画データを発生する。すなわち、誘導経路描画部35は、誘導経路メモリ28に記憶された誘導経路データの中から、その時点でVRAM30に描画された地図エリアに含まれるものを選択的に読み出し、地図画像に重ねて他の道路と異なる濃い紫色で太く強調した誘導経路を描画する。
【0031】
36は画像合成部であり、読出制御部31によってVRAM30から読み出された地図画像データに、案内部32、操作画面発生部33、各種マーク発生部34および誘導経路描画部35のそれぞれから出力される各画像データを重ねて画像合成を行い、画像表示装置15に出力する。これにより、合成された画像が画像表示装置15の画面上に表示される。
【0032】
次に、本実施形態によるナビゲーション装置の主要な機能構成について説明する。図2は、本実施形態によるナビゲーション装置の主要構成例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、案内部32は、その機能構成として、走行案内部32a、第1到着予想時刻算出部32b、第2到着予想時刻算出部32c、差分時間算出部32d、交差点拡大図生成部32e、経路情報生成部32fおよび差分時間情報生成部32gを備えている。
【0033】
走行案内部32aは、地図バッファ21からの地図データと、マップマッチング制御部26からの自車位置情報と、誘導経路メモリ28からの誘導経路データとに基づいて、次の案内交差点から所定距離(例えば、300m)以内に自車位置が入った場合、交差点拡大図を生成することを要求する交差点拡大図生成要求を交差点拡大図生成部32eに出力するとともに、経路情報としての経路概略図を生成することを要求する経路情報生成要求を経路情報生成部32fに出力する。
【0034】
さらに、走行案内部32aは、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入った旨を第1到着予想時刻算出部32bおよび第2到着予想時刻算出部32cに通知するとともに、次の案内交差点に接続された第2特定道路を走行した場合における自車位置から目的地までのオフ誘導経路を探索することを要求する経路探索要求を誘導経路制御部27に出力する。
【0035】
誘導経路制御部27は、走行案内部32aから出力された経路探索要求を受けて、マップマッチング制御部26によって修正された後の自車位置から第2特定道路を通って目的地に至るオフ誘導経路を探索し、その結果得られるオフ誘導経路データを誘導経路メモリ28に格納する。
【0036】
具体的には、誘導経路制御部27は、案内交差点から仮想的にオフルートした直後の第2特定道路上の地点を仮に経由地として設定し、現在位置から仮の経由地を通って目的地までを結ぶ最もコストが小さなオフ誘導経路を探索する。第2特定道路が複数あるときは、誘導経路制御部27は、それぞれの第2特定道路上の地点を仮の経由地に設定して、複数のオフ誘導経路を探索する。
【0037】
第1到着予想時刻算出部32bは、走行案内部32aからの通知を受けた後、誘導経路メモリ28に格納された誘導経路データに基づいて、次の案内交差点に接続された複数の道路のうち、第1特定道路を走行した場合の目的地への到着予想時刻として第1到着予想時刻を算出し、算出した第1到着予想時刻を示す第1到着予想時刻情報を差分時間算出部32dに出力する。なお、第1到着予想時刻算出部32bは、走行案内部32aから通知を受けなくても、第1到着予想時刻を随時算出している。
【0038】
第2到着予想時刻算出部32cは、走行案内部32aからの通知を受けた後、誘導経路メモリ28に格納されたオフ誘導経路データに基づいて、次の案内交差点に接続された複数の道路のうち、第2特定道路を走行した場合における自車位置から目的地への到着予想時刻として第2到着予想時刻を算出し、算出した第2到着予想時刻を示す第2到着予想時刻情報を差分時間算出部32dに出力する。
【0039】
差分時間算出部32dは、第1到着予想時刻算出部32bから出力された第1到着予想時刻情報により示される第1到着予想時刻と、第2到着予想時刻算出部32cから出力された第2到着予想時刻情報により示される第2到着予想時刻との間の差分時間(すなわち、第2到着予想時刻から第1到着予想時刻を減算した値)を算出する。そして、差分時間算出部32dは、算出した差分時間を示す差分時間情報を経路情報生成部32fに出力する。
【0040】
交差点拡大図生成部32eは、走行案内部32aから出力された交差点拡大図生成要求により、地図バッファ21に格納された交差点拡大図データに基づいて、接近中である案内交差点に関する交差点拡大図画像を生成して画像合成部36に出力する。なお、交差点拡大図生成部32eおよび画像合成部36は、特許請求の範囲の交差点拡大図表示部に対応する。
【0041】
経路情報生成部32fは、走行案内部32aから出力された経路情報生成要求により、地図バッファ21に格納された地図データと、マップマッチング制御部26からの自車位置情報と、誘導経路メモリ28に格納された誘導経路データおよびオフ誘導経路データとに基づいて、案内交差点に接続された第1特定道路および第2特定道路をそれぞれ走行した場合における自車位置から目的地までの各経路を含む経路概略図の描画データ(経路概略図画像)を生成する。経路情報生成部32fは、生成した経路概略図画像を画像合成部36に出力する。なお、経路情報生成部32fおよび画像合成部36は、特許請求の範囲の経路情報提示部に対応する。
【0042】
この経路概略図には、車両の現在位置を示す車両位置マーク、目的地の位置を示す目的地マーク、現在位置から見た目的地の方向を示す誘導線、案内交差点に接続された第1特定道路および第2特定道路を走行した場合における自車位置から目的地までの各経路が含まれる。経路情報生成部32fは、経路概略図において、第1特定道路を走行した場合における誘導経路を、例えば青色の実線で描画する。一方、第2特定道路を走行した場合におけるオフ誘導経路を、青色とは異なる色の点線で描画する。なお、オフ誘導経路が元の誘導経路に戻ってくるような経路の場合、経路概略図には、オフ誘導経路として、元の誘導経路に戻ってくるまでの経路が描画される。
【0043】
経路情報生成部32fは、差分時間算出部32dから出力された差分時間情報により示される差分時間に応じて、経路概略図の描画方法を変更する。例えば、差分時間が所定値(例えば、5分)以上である場合、経路情報生成部32fは、注意を促す赤色の点線でオフ誘導経路を表示するための描画データを生成する。このとき、経路情報生成部32fは、差分時間が所定値以上である旨および差分時間情報を差分時間情報生成部32gに通知する。一方、差分時間が所定値未満である場合、経路情報生成部32fは、緑色の点線でオフ誘導経路を表示するための描画データを生成する。
【0044】
経路情報生成部32fからの通知を受けた差分時間情報生成部32gは、差分時間情報を表示するための描画データ(差分時間画像)を生成して画像合成部36に出力する。なお、差分時間情報生成部32gおよび画像合成部36は、特許請求の範囲の差分時間情報提示部に対応する。
【0045】
画像合成部36は、読出制御部31によってVRAM30から読み出された地図画像データに、案内部32(交差点拡大図生成部32e、経路情報生成部32fおよび差分時間情報生成部32g)、各種マーク発生部34および誘導経路描画部35のそれぞれから出力される各画像データを重ねて画像合成を行い、画像表示装置15に出力する。例えば、画像合成部36は、交差点拡大図生成部32eから出力された交差点拡大図画像を地図画像の左上部分に重ねて画像合成する。また、画像合成部36は、経路情報生成部32fから出力された経路概略図画像を地図画像の右上部分に重ねて画像合成する。また、画像合成部36は、差分時間情報生成部32gから出力された差分時間画像を、交差点拡大図画像内において案内交差点に接続されている第2特定道路付近に重ねて画像合成する。
【0046】
次に、画像表示装置15に表示される表示画面について図3を参照しながら説明する。図3(a)は、誘導経路上にある次の案内交差点(十字路)から所定距離以内に自車位置が入ったときの表示例で、現在の自車位置を示す車両位置マーク200、誘導経路220、誘導線230の他に、交差点拡大図240、経路概略図260および差分時間情報620,640が表示されている。交差点拡大図240には、次の案内交差点で右折すべきことを示す矢印600が表示されている。なお、図3(a)では、地図画像上に、案内交差点に接続されている2つの第2特定道路を走行した場合におけるオフ誘導経路280,300を点線で表示しているが、当該第2特定道路を走行した場合におけるオフ誘導経路(点線)を必ずしも表示する必要はない。
【0047】
経路概略図260には、現在の自車位置を示す車両位置マーク400、目的地の位置を示す目的地マーク420、現在の自車位置から見た目的地の方向を示す誘導線440、誘導経路460およびオフ誘導経路480,500が表示されている。なお、オフ誘導経路480,500が丁度含まれる範囲で経路概略図260を表示しても良いが、図3(a)では、オフ誘導経路480,500の他に、目的地マーク420までの誘導経路460が含まれる範囲で経路概略図260を表示している。
【0048】
このようにすれば、経路概略図260を見たユーザは、交差点案内に従わなかった場合、その後どのような道を辿っていく必要があるのか(図3(a)では、案内交差点を左折または直進した場合にわざわざ遠回りをして案内交差点に戻ってくる必要があること)を案内交差点を通過する前に直感的に把握することができる。すなわち、わずか5分か6分の遠回りではあるが、元の誘導経路とは別のルートで目的地に行けるのではなく、案内交差点に戻ってくるしかないということを経路の表示から認識することができる。
【0049】
図3(b)は、誘導経路(高速道路)上にある次の案内交差点(インターチェンジ700)から所定距離(例えば、700m)以内に自車位置が入ったときの表示例で、現在の自車位置を示す車両位置マーク720、誘導経路740および誘導線880の他に、交差点拡大図(高速出口案内図)760、経路概略図780および差分時間情報820が表示されている。高速出口案内図760には、次のインターチェンジで高速道路を降りるために右方向(高速出口方向)に進路変更すべきことを示す矢印800が第2特定道路付近に表示されている。なお、図3(b)では、地図画像上に、インターチェンジに接続されている第2特定道路を走行した場合におけるオフ誘導経路830を点線で表示しているが、当該第2特定道路を走行した場合におけるオフ誘導経路(点線)を必ずしも表示する必要はない。
【0050】
経路概略図780には、現在の自車位置を示す車両位置マーク840、目的地の位置を示す目的地マーク860、現在の自車位置から見た目的地の方向を示す誘導線880、誘導経路900およびオフ誘導経路980が表示されている。なお、オフ誘導経路980が丁度含まれる範囲で経路概略図780を表示しても良いが、図3(b)では、オフ誘導経路980の他に、目的地マーク860までの誘導経路900が含まれる範囲で経路概略図780を表示している。
【0051】
図3(b)の場合も、経路概略図780を見たユーザは、交差点案内(高速出口案内)に従わなかった場合、その後どのような道を辿っていく必要があるのか(図3(b)では、次の次のインターチェンジ960を降りた後、遠回りをして目的地860に向かう必要があること)を直近のインターチェンジ700を通過する前に直感的に把握することができる。
【0052】
次に、本実施形態におけるナビゲーション装置の動作について説明する。図4は、ナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。図4におけるステップS100の処理は、ナビゲーション装置の起動後、誘導経路制御部27が目的地までの誘導経路を探索し、その結果の誘導経路データを誘導経路メモリ28に格納することによって開始する。
【0053】
まず、地図描画部29は、地図バッファ21に格納された地図データに基づいて、画像表示装置15への地図表示に必要な地図画像データを生成する(ステップS100)。その後、地図描画部29によって生成された地図画像データは、VRAM30に一時的に格納され、読出制御部31によって1画面分の地図画像データが読み出される。次に、画像合成部36は、読出制御部31によってVRAM30から読み出された地図画像データを画像表示装置15に出力する(ステップS120)。
【0054】
次に、走行案内部32aは、地図バッファ21からの地図データと、マップマッチング制御部26からの自車位置情報と、誘導経路メモリ28からの誘導経路データとに基づいて、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入ったか否かについて判定する(ステップS140)。もし、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入っていないと走行案内部32aにて判定した場合(ステップS140にてNO)、処理はステップS100に遷移する。
【0055】
一方、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入ったと走行案内部32aにて判定した場合(ステップS140にてYES)、走行案内部32aは、交差点拡大図生成要求を交差点拡大図生成部32eに出力するとともに、経路情報生成要求を経路情報生成部32fに出力する。さらに、走行案内部32aは、次の案内交差点から所定距離以内に自車位置が入った旨を第1到着予想時刻算出部32bおよび第2到着予想時刻算出部32cに通知するとともに、経路探索要求を誘導経路制御部27に出力する。
【0056】
交差点拡大図生成部32eは、交差点拡大図生成要求を受けて、地図バッファ21に格納された交差点拡大図データに基づいて、接近中である案内交差点に関する交差点拡大図画像を生成して画像合成部36に出力する(ステップS160)。経路探索要求を受けた誘導経路制御部27は、第2特定道路を走行した場合におけるオフ誘導経路を探索し、その結果を誘導経路メモリ28に格納する(ステップS180)。
【0057】
次に、走行案内部32aからの通知を受けた第1到着予想時刻算出部32bは、誘導経路メモリ28に格納されている誘導経路データに基づいて、第1特定道路(元の誘導経路)を走行した場合の目的地への到着予想時刻として第1到着予想時刻を算出する(ステップS200)。なお、第1到着予想時刻算出部32bは、案内交差点に近づいたときに改めて第1到着予想時刻を算出しているが、随時算出している第1到着予想時刻の直近の値を算出結果として利用しても良い。
【0058】
次に、走行案内部32aからの通知を受けた第2到着予想時刻算出部32cは、誘導経路メモリ28に格納されたオフ誘導経路データに基づいて、第2特定道路を走行した場合における自車位置から目的地への到着予想時刻として第2到着予想時刻を算出する(ステップS220)。
【0059】
次に、差分時間算出部32dは、第1到着予想時刻算出部32bにより計算された第1到着予想時刻と、第2到着予想時刻算出部32cにより計算された第2到着予想時刻との間の差分時間を算出する(ステップS240)。そして、差分時間算出部32dは、算出した差分時間を示す差分時間情報を経路情報生成部32fに出力する。
【0060】
経路情報生成部32fは、差分時間算出部32dにより算出された差分時間が所定値(例えば、5分)以上であるか否かについて判定する(ステップS260)。もし、差分時間が所定値以上であると経路情報生成部32fにて判定した場合(ステップS260にてYES)、経路情報生成部32fは、青色の実線で表した誘導経路と赤色の点線で表したオフ誘導経路とを含む経路概略図の描画データを生成し、当該生成した描画データを画像合成部36に出力する(ステップS280)。このとき、経路情報生成部32fは、差分時間が所定値以上である旨および差分時間情報を差分時間情報生成部32gに通知する。経路情報生成部32fからの通知を受けた差分時間情報生成部32gは、ステップS240にて算出された差分時間情報を表示するための描画データを生成して画像合成部36に出力する(ステップS300)。その後、処理はステップS340に遷移する。
【0061】
一方、差分時間が所定値以上でないと経路情報生成部32fにて判定した場合(ステップS260にてNO)、経路情報生成部32fは、青色の実線で表した誘導経路と緑色の点線で表したオフ誘導経路とを含む経路概略図の描画データを生成し、当該生成した描画データを画像合成部36に出力する(ステップS320)。その後、処理はステップS340に遷移する。
【0062】
ステップS340では、画像合成部36は、地図描画部29により描画された地図画像データに、交差点拡大図生成部32e、経路情報生成部32f(および差分時間情報生成部32g)から出力される交差点拡大図画像、経路概略図画像(および差分時間情報)を重ねて画像合成を行い、画像表示装置15に出力する。
【0063】
次に、走行案内部32aは、地図バッファ21からの地図データと、マップマッチング制御部26からの自車位置情報と、誘導経路メモリ28からの誘導経路データとに基づいて、案内交差点を自車位置が通過したか否かについて判定する(ステップS360)。もし、案内交差点を自車位置が通過したと走行案内部32aにて判定した場合(ステップS360にてYES)、処理はステップS100に遷移する。
【0064】
一方、案内交差点を自車位置が通過していないと走行案内部32aにて判定した場合(ステップS360にてNO)、地図描画部29は、地図バッファ21に格納された地図データに基づいて、画像表示装置15への地図表示に必要な地図画像データを生成する(ステップS380)。つまり、ステップS120にて地図画像を表示した後に、車両位置が動いた分だけ地図データを更新するための地図画像データを生成する。その後、地図描画部29によって生成された地図画像データは、VRAM30に一時的に格納され、読出制御部31によって1画面分の地図画像データが読み出される。次に、画像合成部36は、読出制御部31によってVRAM30から読み出された地図画像データを画像表示装置15に出力する(ステップS400)。その後、処理はステップS340に遷移する。
【0065】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、目的地までの誘導経路上にある案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいた場合、当該案内交差点に接続された複数の道路のうち誘導経路上の道路(第1特定道路)以外の道路(第2特定道路)を走行したときにおける自車位置から目的地(または元の誘導経路に戻る地点)までのオフ誘導経路を含む経路概略図を提示するようにしている。
【0066】
このように構成した本実施形態によれば、誘導経路上にある案内交差点で交差点案内に従わなかった場合に走行することとなるオフ誘導経路が事前に提示される。これにより、オフ誘導経路を見たユーザは、交差点案内に従わなかった場合、その後どのような道を辿っていく必要があるのかを案内交差点を通過する前に把握することができる。よって、ユーザは、案内交差点で交差点案内に従わないことによって発生するリスク(例えば、目的地までの到着予想時刻の遅れが提示されていてもあえて交差点案内に従わずに走行した場合に、迂回して案内交差点に引き返さなければならなくなるリスク)を事前に把握して回避することができ、経路案内について当該ユーザの利便性を向上させることができる。
【0067】
さらに、誘導線の方向と誘導経路上の道路の方向との角度差が大きい場合(すなわちユーザが、誘導経路に従って走行することにより遠回りしているのではないかと不安になるような場合)であっても、目的地までの誘導経路も含むように経路概略図を表示することにより、その誘導経路が目的地に至る最適の経路であるという安心感をユーザに与えることができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、経路情報としての経路概略図において、誘導経路に加えてオフ誘導経路を表示する例について説明したが、必ずしも誘導経路を合せて表示する必要ではない。ただし、誘導経路を合せて表示した方が、ユーザに対して、誘導経路とオフ誘導経路との対応関係を容易に認識させることができる点で好ましい。
【0069】
また、上記実施形態では、案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいたとき、交差点拡大図に加えて経路概略図を表示する例について説明したが、必ずしも交差点拡大図を表示する必要はない。また、上記実施形態では、案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいたときに、差分時間情報を交差点拡大図上に重ねて表示する例について説明したが、当該差分時間情報を経路概略図上に重ねて表示しても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、第1到着予想時刻と第2到着予想時刻との間の差分時間に応じて、経路概略図の描画方法を変更する例について説明したが、経路概略図の描画方法を変更する基準となる情報は差分時間に限定されない。例えば、案内交差点に接続された複数の道路のうち、第1特定道路を走行した場合の目的地への走行距離である第1走行距離と、第2特定道路を走行した場合の目的地への走行距離である第2走行距離との間の差分距離に応じて、経路概略図の描画方法を変更するようにしても良い。この場合の案内部32′の機能構成について説明する。図6は、本実施形態によるナビゲーション装置の主要構成の変形例を示す機能ブロック図である。なお、この図6において、図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0071】
案内部32′は、図2の第1到着予想時刻算出部32b、第2到着予想時刻算出部32c、差分時間算出部32d、経路情報生成部32fおよび差分時間情報生成部32gに代えて、第1走行距離算出部32h、第2走行距離算出部32i、差分距離算出部32j、経路情報生成部32f′および差分距離情報生成部32kを備えて構成される。
【0072】
第1走行距離算出部32hは、走行案内部32aからの通知を受けた後、誘導経路メモリ28に格納された誘導経路データに基づいて、案内交差点に接続された複数の道路のうち、第1特定道路を走行した場合の目的地への走行距離として第1走行距離を算出し、算出した第1走行距離を示す第1走行距離情報を差分距離算出部32jに出力する。なお、第1走行距離算出部32hは、走行案内部32aから通知を受けなくても、第1走行距離を随時算出している。
【0073】
第2走行距離算出部32iは、走行案内部32aからの通知を受けた後、誘導経路メモリ28に格納されたオフ誘導経路データに基づいて、案内交差点に接続された複数の道路のうち、第2特定道路を走行した場合における自車位置から目的地への走行距離として第2走行距離を算出し、算出した第2走行距離を示す第2走行距離情報を差分距離算出部32jに出力する。なお、上述の走行距離は、例えば、案内交差点から目的地に至る誘導経路およびオフ誘導経路上にある各道路リンクの距離を合算することによって算出される。
【0074】
差分距離算出部32jは、第1走行距離算出部32hから出力された第1走行距離情報により示される第1走行距離と、第2走行距離算出部32iから出力された第2走行距離情報により示される第2走行距離との間の差分距離(すなわち、第2走行距離から第1走行距離を減算した値)を算出する。そして、差分距離算出部32jは、算出した差分距離を示す差分距離情報を経路情報生成部32f′に出力する。
【0075】
経路情報生成部32f′は、差分距離算出部32iから出力された差分距離情報により示される差分距離に応じて、経路概略図の描画方法を変更する。例えば、差分距離が所定値(例えば、1km)以上である場合、経路情報生成部32f′は、オフ誘導経路を赤色の点線で表示するための描画データを生成する。このとき、経路情報生成部32f′は、差分距離が所定値以上である旨および差分距離情報を差分距離情報生成部32kに通知する。一方、差分距離が所定値未満である場合、経路情報生成部32f′は、オフ誘導経路を緑色の点線で表示するための描画データを生成する。
【0076】
経路情報生成部32f′からの通知を受けた差分距離情報生成部32kは、差分距離情報を表示するための描画データを生成して画像合成部36に出力する。なお、差分距離情報生成部32kおよび画像合成部36は、特許請求の範囲の差分距離情報提示部に対応する。画像合成部36は、差分距離情報生成部32kから出力された差分距離情報を、交差点拡大図画像内において案内交差点に接続されている第2特定道路付近に重ねて画像合成する。
【0077】
また、上記実施形態では、案内交差点で交差点案内に従わないことによって発生するリスクとして、わざわざ遠回りをして案内交差点に戻らざるを得なかったり、次のインターチェンジで降りた後に遠回りをして目的地に行かざるを得なかったりする例について説明したが、発生するリスクはこれに限定されない。例えば、第2特定道路を走行するとその先が行き止まりとなるため、Uターンをして案内交差点に戻らざるを得ないことがある。この場合、第2特定道路を走行するとその先が行き止まりとなる旨を示す通行禁止マークを、オフ誘導経路に代えてまたは当該オフ誘導経路に加えて、経路概略図に表示するようにしても良い。
【0078】
図6は、第2特定道路(案内交差点を直進した後の道路)を走行するとその先が行き止まりとなる旨を示す通行禁止マークを経路概略図に表示した例を示している。図6の経路概略図には、現在の自車位置を示す車両位置マーク1000、目的地の位置を示す目的地マーク1020、現在の自車位置から見た目的地の方向を示す誘導線1040、誘導経路1060、オフ誘導経路1080の他に,通行禁止マーク1100が表示されている。
【0079】
また、上記実施形態では、案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいた場合にオフ誘導経路を探索する例について説明したが、その探索処理のタイミングはこれに限定されない。例えば、案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づく前の任意のタイミング(例えば、誘導経路設定時)で、オフ誘導経路をあらかじめ探索するようにしても良い。ただし、案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいた場合にオフ誘導経路を探索する方が、実際に通行する案内交差点についてのみのオフ誘導経路を探索することとなり、オフ誘導経路を探索するための計算量を減らすことができる点で好ましい。
【0080】
また、上記実施形態では、第2特定道路が複数ある場合、その全てについてオフ誘導経路を探索して表示する例について説明したが、その一部についてオフ誘導経路を探索して表示するようにしても良い。例えば、案内交差点にて左折案内または右折案内が行われるとき、第2特定道路として直進した後の道路を走行した場合のオフ誘導経路のみを探索して表示するようにしても良い。また、案内交差点から目的地の方向を基準角度として、当該基準角度との角度差が最も小さい第2特定道路を走行した場合のオフ誘導経路のみを探索して表示するようにしても良い。
【0081】
また、上記実施形態では、自車位置が案内交差点に近づく毎に画像表示装置15に経路概略図を表示する例について説明したが、経路概略図を表示する条件はこれに限定されない。例えば、案内交差点から目的地の方向を基準角度として、第1特定道路(元の誘導経路)の角度が、第2特定道路の角度より大きい場合に限り、経路概略図を表示するようにしても良い。このようにすれば、案内交差点でユーザが交差点案内に従わない可能性が低い場合まで、経路概略図が不必要に表示されることを防止することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、地図画像の一部の領域(具体的には、地図画像の左上部分および右上部分)に交差点拡大図(差分時間情報)および経路概略図を表示する例について説明したが、交差点拡大図(差分時間情報)および経路概略図を表示する態様はこれに限定されない。例えば、表示画面を第1の画像表示領域と第2の画像表示領域とに左右方向に2分割して、第1の画像表示領域に地図画像を表示する一方、第2の画像表示領域に交差点拡大図(差分時間情報)および経路概略図を上下に整列して表示するようにしても良い。
【0083】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態によるナビゲーション装置の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナビゲーション装置の主要構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態による画像表示装置に表示される経路情報の例を示す図である。
【図4】本実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態によるナビゲーション装置の主要構成の変形例を示す機能ブロック図である。
【図6】本実施形態による画像表示装置に表示される経路概略図の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
27 誘導経路制御部
32a 走行案内部
32b 第1到着予想時刻算出部
32c 第2到着予想時刻算出部
32d 差分時間算出部
32e 交差点拡大図生成部
32f,32f′ 経路情報生成部
32g 差分時間情報生成部
32h 第1走行距離算出部
32i 第2走行距離算出部
32j 差分距離算出部
32k 差分距離情報生成部
36 画像合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの誘導経路上にある案内交差点を通過する前に、当該案内交差点に接続された複数の道路のうち、前記誘導経路上の道路以外の道路を走行した場合の前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、
前記案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいた場合、前記経路探索部により探索された前記経路に関する経路情報を提示する経路情報提示部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記経路情報提示部は、前記誘導経路に関する誘導経路情報に加えて前記経路情報を提示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記経路情報提示部は、前記案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいた場合、前記経路情報として、前記自車位置から前記目的地までの前記経路を表す経路概略図を提示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記案内交差点に接続された複数の道路のうち、前記誘導経路上の道路以外の特定の道路を走行してその先が行き止まりとなる経路が前記経路探索部により探索された場合に、前記経路情報提示部は、前記経路探索部により探索された前記経路に関する経路情報に加えて、または、当該経路情報に代えて、当該探索された経路が行き止まりである旨を提示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記案内交差点に接続された複数の道路のうち、前記誘導経路上の道路を走行した場合の前記目的地への到着予想時刻として第1到着予想時刻を算出する第1到着予想時刻算出部と、
前記案内交差点に接続された複数の道路のうち、前記誘導経路上の道路以外の道路を走行した場合の前記目的地への到着予想時刻として第2到着予想時刻を算出する第2到着予想時刻算出部と、
前記第1到着予想時刻算出部により算出された前記第1到着予想時刻と前記第2到着予想時刻算出部により算出された前記第2到着予想時刻との間の差分時間を算出する差分時間算出部とを更に備え、
前記経路情報提示部は、前記差分時間算出部により算出された前記差分時間に応じて、前記経路情報の提示方法を変更することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記差分時間算出部により算出された前記差分時間が所定値以上である場合、前記差分時間を示す差分時間情報を提示する差分時間情報提示部を更に備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、
前記案内交差点から所定距離以内に前記自車位置が近づいたとき、交差点拡大図を表示する交差点拡大図表示部を更に備え、
前記差分時間情報提示部は、前記交差点拡大図に描かれているオフ道路上に前記差分時間情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1〜4の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記案内交差点に接続された複数の道路のうち、前記誘導経路上の道路を走行した場合の前記目的地への走行距離として第1走行距離を算出する第1走行距離算出部と、
前記案内交差点に接続された複数の道路のうち、前記誘導経路上の道路以外の道路を走行した場合の前記目的地への走行距離として第2走行距離を算出する第2走行距離算出部と、
前記第1走行距離算出部により算出された前記第1走行距離と前記第2走行距離算出部により算出された前記第2走行距離との間の差分距離を算出する差分距離算出部とを更に備え、
前記経路情報提示部は、前記差分距離算出部により算出された前記差分距離に応じて、前記経路情報の提示方法を変更することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項8に記載のナビゲーション装置において、
前記差分距離算出部により算出された前記差分距離が所定値以上である場合、前記差分距離を示す差分距離情報を提示する差分距離情報提示部を更に備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記経路情報提示部は、前記案内交差点から前記目的地の方向を基準角度として、前記誘導経路上の道路の角度が前記誘導経路上の道路以外の道路の角度より大きい場合に限り前記経路情報を提示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
目的地までの誘導経路上にある案内交差点に接続された複数の道路のうち、前記誘導経路上の道路以外の道路を走行した場合の前記目的地までの経路を探索する第1のステップと、
前記案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいたか否かについて判定する第2のステップと、
前記第2のステップにより前記案内交差点から所定距離以内に前記自車位置が近づいたと判定された場合、前記第1のステップにより探索された前記経路に関する経路情報を提示する第3のステップとを備えたことを特徴とする経路情報提示方法。
【請求項12】
目的地までの誘導経路上にある案内交差点から所定距離以内に自車位置が近づいたか否かについて判定する第1のステップと、
前記第1のステップにより前記交差点から所定距離以内に前記自車位置が近づいたと判定された場合、前記案内交差点に接続された複数の道路のうち、前記誘導経路上の道路以外の道路を走行した場合の前記目的地までの経路を探索する第2のステップと、
前記第2のステップにより探索された前記経路に関する経路情報を提示する第3のステップとを備えたことを特徴とする経路情報提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−127875(P2010−127875A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305921(P2008−305921)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】