説明

ナビゲーション装置および誘導経路探索方法

【課題】複数の移動手段に応じた誘導経路の探索を行うために必要な地図データの容量を減らすことが可能な「ナビゲーション装置および誘導経路探索方法」を提供する。
【解決手段】自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードの道路種別フラグおよび交通規制レコードと自転車用道路種別データとを用いて各リンクレコードで表される道路を自転車で通行する場合のコストを計算し、歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードの道路種別フラグと自転車用道路種別データとを用いて各リンクレコードで表される道路を自転車で通行する場合のコストを計算し、自転車用道路種別データと道路種別が一致する道路種別フラグを含む各リンクレコードで表される道路を辿って誘導経路を探索することにより、自転車用道路ユニットを備えていなくても自転車用の誘導経路が算出できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動手段に応じた誘導経路を探索するナビゲーション装置および誘導経路探索方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用ナビゲーション装置では、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機などを用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す自車位置マークを重ね合わせて表示することにより、自車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
また、最近のナビゲーション装置の殆どには、運転者が所望の目的地に向かって道路を間違うことなく容易に走行できるようにした経路誘導機能が搭載されている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を自動探索し、その探索した経路を誘導経路として地図画面上で他の道路とは色を変えて太く描画する。また、自動車が誘導経路上の案内交差点に一定距離内に近づいたときに所定の交差点案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0004】
なお、コストとは、距離をもとに、道路幅員、道路種別(一般道か高速道路かなど)、右折および左折、交通規制などに応じた所定の定数を乗じた値であり、誘導経路として適正の程度を数値化したものである。距離が同一の2つの経路があったとしても、例えば運転者が高速道路を使用するか否か、時間を優先するか距離を優先するかなどの探索条件を指定することにより、コストは異なったものとなる。経路探索処理においては、一連の道路を細かく分割して表した個々のベクトルをリンク、各リンクの両端の点をノードとして、現在地から目的地に至る様々な経路上のリンクコストを順次加算し、リンクコストの合計が最も小さい経路を誘導経路として選択する。
【0005】
ところで、複数の移動手段に使用することが可能なナビゲーション技術も提案されている。例えば、特許文献1には、ユーザの移動手段(徒歩、自転車、自動車、車椅子など)に応じて、この移動手段別の地図データを記憶したデータベースにより、現在地から目的地までの経路案内を行なうナビゲーション技術が開示されている。具体的には、まず現在地を取得し、ユーザの移動手段に対応する地図データから現在地の周辺地図を抽出して表示する。そして、ユーザが指定した目的地と現在地とを探索キーとして、移動手段に対応する地図データを探索し、現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を探索している。このナビゲーション技術によれば、ユーザの移動手段ごとに最適なナビゲーション処理を行なうことができる。
【特許文献1】特開2001−280992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、複数の移動手段に応じた誘導経路の探索を行うために、各移動手段に対応した地図データをあらかじめ用意する必要があるため、地図データの容量が大容量になってしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、複数の移動手段に応じた誘導経路の探索を行うために必要な地図データの容量を減らすことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、自動車が通行可能な道路をリンクで表す自動車用道路データに含まれる自動車用道路種別データおよび自動車用交通規制データと自転車が通行可能な道路の道路種別を表す自転車用道路種別データとを用いて、自動車用道路データにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算するとともに、歩行者が通行可能な道路をリンクで表す歩行者用道路データに含まれる歩行者用道路種別データと自転車用道路種別データとを用いて、歩行者用道路データにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算し、当該計算したリンクコストのもとで、自転車用道路種別データにより表される道路種別と一致する自動車用道路種別データおよび歩行者用道路種別データを含む自動車用道路データおよび歩行者用道路データにより表される道路のリンクを辿って、誘導経路を探索するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、自動車用道路データおよび歩行者用道路データと自転車用道路種別データとを用いて、自転車用の誘導経路を算出することができるため、自転車用の誘導経路探索に用いる自転車用道路データ(自転車が通行可能な道路をリンクで表すデータ)をあらかじめ備える必要が無くなる。これによって、自動車、徒歩および自転車の各移動手段に応じた誘導経路の探索を行うために必要な地図データの容量を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるナビゲーション装置100の全体構成例を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、自動車、徒歩および自転車の各移動手段に応じた誘導経路の探索を行うものである。なお、ナビゲーション装置100は、車両に搭載して使用することもできるし、車両から取り外して持ち歩くこともできる。
【0011】
図1において、120は地図表示や自動車用の誘導経路探索などに必要な各種の自動車用地図データを記憶した自動車用地図データ記憶部である。なお、自動車用地図データ記憶部120は、特許請求の範囲の自動車用道路データ記憶部に対応する。本実施形態では、自動車用地図データ記憶部120は、例えばハードディスク等の記憶媒体である。
【0012】
自動車用地図データ記憶部120に記憶した自動車用地図データは、広い地域を一望するための上位レベルの地図から、狭い地域を詳細に記述した下位レベルまで、レベルと呼ばれる単位に階層化して管理されている。各レベルは、所定の緯度および経度で区切られた区画と呼ばれる矩形領域を単位として分割されている。各区画の自動車用地図データは、区画番号を指定することにより読み出すことが可能となる。
【0013】
区画ごとの自動車用地図データには、地図表示に必要な各種のデータから成る描画ユニットと、マップマッチングや自動車用の誘導経路探索、誘導経路案内等の各種の処理に必要なデータから成る自動車用道路ユニットと、交差点の詳細データから成る交差点ユニットとが含まれている。また、上述した描画ユニットには、建物あるいは河川等を表示するために必要な背景レイヤのデータや、市町村や道路名等を表示するために必要な文字レイヤのデータ、各種観光地や施設の名称、位置等を表す施設データなどが含まれている。なお、自動車用道路ユニットは、特許請求の範囲の自動車用道路データに対応する。
【0014】
140は地図表示や歩行者用の誘導経路探索などに必要な各種の歩行者用地図データを記憶した歩行者用地図データ記憶部である。なお、歩行者用地図データ記憶部140は、特許請求の範囲の歩行者用道路データ記憶部に対応する。本実施形態では、歩行者用地図データ記憶部140は、例えばハードディスク等の記憶媒体である。
【0015】
歩行者用地図データ記憶部140に記憶した歩行者用地図データは、自動車用地図データと同様に、広い地域を一望するための上位レベルの地図から、狭い地域を詳細に記述した下位レベルまで、レベルと呼ばれる単位に階層化して管理されている。各レベルは、所定の緯度および経度で区切られた区画と呼ばれる矩形領域を単位として分割されている。各区画の歩行者用地図データは、区画番号を指定することにより読み出すことが可能となる。
【0016】
区画ごとの歩行者用地図データには、地図表示に必要な各種のデータから成る描画ユニットと、マップマッチングや歩行者用の経路探索、経路案内等の各種の処理に必要なデータから成る歩行者用道路ユニットと、交差点の詳細データから成る交差点ユニットとが含まれている。また、上述した描画ユニットには、建物あるいは河川等を表示するために必要な背景レイヤのデータや、市町村や道路名等を表示するために必要な文字レイヤのデータ、各種観光地や施設の名称、位置等を表す施設データなどが含まれている。
【0017】
ここで、描画ユニットおよび交差点ユニットは自動車用地図データにも含まれているので、歩行者用地図データには、描画ユニットおよび交差点ユニットを含まないようにしても良い。反対に、自動車用地図データには、描画ユニットおよび交差点ユニットを含まないようにしても良い。なお、歩行者用道路ユニットは、特許請求の範囲の歩行者用道路データに対応する。
【0018】
図2(a)は、自動車用道路ユニットの全体構成例を示す図である。図2(a)に示すように、自動車用道路ユニットには、自動車用道路ユニットであることを識別するためのユニットヘッダと、各リンクの両端の点に対応するノードの詳細データを納めた接続ノードテーブルと、接続ノードテーブルの格納位置を示すノードテーブルと、道路上のあるノードとこれに隣接する他のノードとの間を接続するリンクの詳細データを納めたリンクテーブルとが含まれている。
【0019】
図2(b)は、歩行者用道路ユニットの全体構成例を示す図である。図2(b)に示すように、歩行者用道路ユニットには、自動車用道路ユニットと同様に、歩行者用道路ユニットであることを識別するためのユニットヘッダと、各リンクの両端の点に対応するノードの詳細データを納めた接続ノードテーブルと、接続ノードテーブルの格納位置を示すノードテーブルと、道路上のあるノードとこれに隣接する他のノードとの間を接続するリンクの詳細データを納めたリンクテーブルとが含まれている。
【0020】
図3は、自動車用道路ユニットに含まれる各種テーブルの詳細な内容を示す図である。ノードテーブルは、図3(A)に示すように、全ノードに対応したノードレコード#0,#1,#2,・・・を格納している。各ノードレコードは、その並び順に#0から順にノード番号が与えられており、このノード番号が各ノードに対応する接続ノードテーブルの格納位置を示している。
【0021】
また、接続ノードテーブルには、図3(B)に示すように、存在するノードのそれぞれ毎に、ノードの正規化経度・緯度、ノードの属性フラグ、接続しているノードの数、交通規制の数、接続ノードレコード、交通規制レコード等の情報が含まれている。
【0022】
ノードの正規化経度・緯度は、区画を基準とした経度方向・緯度方向の相対位置を示す。ノードの属性フラグは、そのノードが交差点ノードであるか否かを示す交差点ノードフラグや、他の区画との境界にあるノードであるか否かを示す隣接ノードフラグなどから成る。接続ノードレコードは、そのノードが一方端となっている各リンクのリンク番号を、リンク本数分だけ示す。
【0023】
交通規制の数は、そのノードに接続されているリンクに右折禁止やUターン禁止、一方通行等の交通規制が存在する場合に、その交通規制の数を示す。交通規制レコードは、上述した交通規制が存在する場合にはその数に対応した交通規制の具体的な内容を示す。なお、交通規制レコードは、特許請求の範囲の自動車用交通規制データに対応する。
【0024】
また、リンクテーブルは、図3(C)に示すように、全てのリンクに対応したリンクレコード#0,#1,#2,・・・を格納している。各リンクレコードには、その並び順に#0から順にリンク番号が与えられており、このリンク番号が各リンクに対応するリンクレコードの格納位置を示している。各リンクレコードには、図3(D)に示すように、リンクID、ノード番号1,2、リンクの距離、リンクのコスト、道路属性フラグ、道路種別フラグ、路線番号等の情報が含まれている。
【0025】
リンクIDは、主に探索経路表示用に各リンクに付されたコードを示す。ノード番号1,2は、リンクの両端に位置する2つのノードを特定する番号を示す。リンクの距離は、当該リンクに対応した実際の道路の実距離を示す。リンクのコストは、例えば、そのリンクを自動車で走行する場合の所要時間を道路種別や道路規制等の情報から計算により求めて、そのリンクの通過に必要な時間を例えば分単位で示したものである。
【0026】
道路属性フラグは、そのリンクに関する各種の属性を示す。道路種別フラグは、そのリンクに対応した実際の道路が自動車が通行可能な一般道、自動車専用道路、高速道路、バイパスまたは高架道路の何れであるかといった種別を示す。路線番号は、そのリンクに対応した実際の道路に付された番号を示す。なお、道路種別フラグは、特許請求の範囲の自動車用道路種別データに対応する。
【0027】
図4は、歩行者用道路ユニットに含まれる各種テーブルの詳細な内容を示す図である。ノードテーブルは、図4(A)に示すように、全ノードに対応したノードレコード#0,#1,#2,・・・を格納している。各ノードレコードは、その並び順に#0から順にノード番号が与えられており、このノード番号が各ノードに対応する接続ノードテーブルの格納位置を示している。本実施形態では、歩行者用道路ユニットに含まれるノードレコードと自動車用道路ユニットに含まれるノードレコードとの間で、同じノードには同じノード番号が付与されている。
【0028】
また、接続ノードテーブルには、図4(B)に示すように、存在するノードのそれぞれ毎に、ノードの正規化経度・緯度、ノードの属性フラグ、接続しているノードの数、接続ノードレコード等の情報が含まれている。
【0029】
ノードの正規化経度・緯度は、区画を基準とした経度方向・緯度方向の相対位置を示す。ノードの属性フラグは、そのノードが交差点ノードであるか否かを示す交差点ノードフラグや、他の区画との境界にあるノードであるか否かを示す隣接ノードフラグなどから成る。接続ノードレコードは、そのノードが一方端となっている各リンクのリンク番号を、リンク本数分だけ示す。
【0030】
また、リンクテーブルは、図4(C)に示すように、全てのリンクに対応したリンクレコード#0,#1,#2,・・・を格納している。各リンクレコードには、その並び順に#0から順にリンク番号が与えられており、このリンク番号が各リンクに対応するリンクレコードの格納位置を示している。本実施形態では、歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードと自動車用道路ユニットに含まれるリンクレコードとの間で、同じリンクには同じリンク番号が付与されている。
【0031】
また、各リンクレコードには、図4(D)に示すように、リンクID、ノード番号1,2、リンクの距離、リンクのコスト、道路属性フラグ、道路種別フラグ、路線番号等の情報が含まれている。リンクIDは、主に探索経路表示用に各リンクに付されたコードを示す。ノード番号1,2は、リンクの両端に位置する2つのノードを特定する番号を示す。リンクの距離は、当該リンクに対応した実際の道路の実距離を示す。リンクのコストは、そのリンクを歩行者が徒歩で通行する場合の所要時間を計算により求めて、そのリンクの通過に必要な時間を例えば分単位で示したものである。
【0032】
道路属性フラグは、そのリンクに関する各種の属性を示す。道路種別フラグは、そのリンクに対応した実際の道路が歩行者が通行可能な一般道、歩道または歩行者専用道路の何れであるかといった種別を示す。路線番号は、そのリンクに対応した実際の道路に付された番号を示す。なお、道路種別フラグは、特許請求の範囲の歩行者用道路種別データに対応する。
【0033】
図1に戻って、ナビゲーション装置100の他の構成要素を説明する。160は自転車が通行可能な道路の道路種別を表す自転車用道路種別データを記憶した自転車用道路種別データ記憶部である。本実施形態では、自転車用道路種別データにより表される道路種別は、一般道、歩道および歩行者専用道路である。本実施形態では、自転車用道路種別データ記憶部160は、例えばハードディスク等の記憶媒体である。
【0034】
180はナビゲーション装置100の現在位置を測定する位置測定装置であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。例えば、ナビゲーション装置100を自動車に搭載したときには、位置測定装置180は、現在位置を測定するために自立航法センサ、GPS受信機および位置計算用CPUを使う。また、ナビゲーション装置100を持ち歩くとき(すなわち、徒歩または自転車で移動するとき)には、位置測定装置180は、現在位置を測定するためにGPS受信機を使う。
【0035】
自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して自動車の移動距離を検出する距離センサと、自動車の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの距離センサおよび角速度センサによって自動車の相対位置および方位を検出する。位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自動車の相対的な位置および方位のデータに基づいて、自動車の絶対的な位置および方位を計算する。
【0036】
また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行ってナビゲーション装置100の絶対位置および方位(自動車に搭載しているときは自動車の絶対位置等、持ち歩いているときは歩行者または自転車の絶対位置等)を計算する。なお、ナビゲーション装置100の方位は、現時点におけるナビゲーション装置100の位置と1サンプリング時間ΔT前のナビゲーション装置100の位置とに基づいて計算する。
【0037】
200は地図情報メモリであり、CPU260の制御によって自動車用地図データ記憶部120および歩行者用地図データ記憶部140から読み出された自動車用地図データや歩行者用地図データを一時的に格納する。すなわち、CPU260は、位置測定装置180からナビゲーション装置100の現在位置の情報を入力し、その現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な自動車用地図データや歩行者用地図データを自動車用地図データ記憶部120および歩行者用地図データ記憶部140から読み出して地図情報メモリ200に格納する。
【0038】
例えば、ナビゲーション装置100を自動車用のナビゲーションとして使用するときは、CPU260は、地図表示や誘導経路の探索に必要な自動車用地図データを自動車用地図データ記憶部120から読み出して地図情報メモリ200に格納する。また、ナビゲーション装置100を歩行者用のナビゲーションとして使用するときは、CPU260は、地図表示や誘導経路の探索に必要な歩行者用地図データを歩行者用地図データ記憶部140から読み出して地図情報メモリ200に格納する。また、ナビゲーション装置100を自転車用のナビゲーションとして使用するときは、CPU260は、地図表示や誘導経路の探索に必要な自動車用地図データおよび歩行者用地図データを自動車用地図データ記憶部120および歩行者用地図データ記憶部140から読み出して地図情報メモリ200に格納する。
【0039】
220はリモートコントローラ(リモコン)等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、自動車、徒歩または自転車の何れかの移動手段、経路誘導の出発地や目的地)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、拡大/縮小操作、手動地図スクロール、数値入力など)を行ったりするための各種操作子(ボタンやジョイスティック等)を備えている。240はリモコンインタフェースであり、リモコン220からその操作状態に応じた赤外線信号を受信する。なお、ここではリモコン220、リモコンインタフェース240を用いる例について説明しているが、タッチパネルを用いても良い。
【0040】
260はプロセッサ(CPU)であり、ナビゲーション装置100の全体を制御する。280はROMであり、各種プログラム(誘導経路探索処理プログラム、誘導経路案内処理プログラム等)を記憶する。300はRAMであり、各種処理の過程で得られるデータや、各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。
【0041】
上述のCPU260は、ROM280に記憶されている誘導経路探索処理プログラムに従って、地図情報メモリ200に格納された自動車用地図データや歩行者用地図データを用いて、出発地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな誘導経路を探索する処理を行う。例えば、時間最短、距離最短、料金最小等の何れかの条件下でコストが最小となる誘導経路を探索する。誘導経路を探索するときの条件は、ユーザが任意に指定することも可能である。なお、誘導経路を探索する代表的な手法としては、ダイクストラ法や横形探索法などが知られている。
【0042】
CPU260が経路探索を行う際には、出発地と目的地(経由地が設定されている場合には更に経由地)とを含む所定範囲の交差点ネットワークリストをRAM300等のワークメモリに格納する。ここで所定範囲とは、例えば、出発地と目的地とを結ぶ直線を対角線とする矩形領域を全て含む1または複数の区画を所定範囲とする場合や、出発地と目的地とを結ぶ直線を半径とする円形領域を全て含む1または複数の区画を所定範囲とする場合などがある。この交差点ネットワークリストは、自動車用道路ユニットや歩行者用道路ユニットに含まれる全ノードの中から交差点を抽出し、交差点ごとに経路探索処理に必要な各種データを集めたものである。
【0043】
320は誘導経路メモリであり、CPU260が探索した誘導経路データを記憶する。誘導経路データは、出発地から目的地までの各ノードに対応させて、各ノードの位置と、各ノードが交差点か否かを表す交差点識別フラグとを記憶したものである。
【0044】
340は交差点拡大図メモリであり、誘導経路中にある全誘導対象交差点の拡大図のデータ(目的地に向けてユーザを案内するための交差点拡大図、行先、進行方向矢印の画像)を一時的に格納する。この交差点拡大図のデータも、CPU260の制御によって自動車用地図データ記憶部120および歩行者用地図データ記憶部140から適宜読み出される。
【0045】
360はディスプレイコントローラであり、地図情報メモリ200に格納された自動車用地図データや歩行者用地図データに基づいて、表示装置380への表示に必要な地図画像データを生成する。400はビデオRAMであり、ディスプレイコントローラ360によって生成された地図画像データを一時的に格納する。すなわち、ディスプレイコントローラ360によって生成された地図画像データはビデオRAM400に一時的に格納され、1画面分の地図画像データが読み出されて画像合成部420に出力される。440はメニュー発生部であり、リモコン220を用いて各種の操作を行う際に必要なメニュー画像を発生して画像合成部420に出力する。
【0046】
460は誘導経路発生部であり、誘導経路メモリ320に記憶された誘導経路データを使用して、誘導経路の描画データを発生する。すなわち、誘導経路発生部460は、誘導経路メモリ320に記憶された誘導経路データの中から、その時点でビデオRAM400に描画された地図エリアに含まれるものを選択的に読み出し、地図画像に重ねて所定色で太く強調した誘導経路を描画する。また、ナビゲーション装置100が誘導経路前方にある案内交差点から所定距離内に接近したときに、交差点拡大図メモリ340に格納された交差点拡大図データに基づいて、接近中の交差点の案内図の画像を生成して画像合成部420に出力する。
【0047】
480はマーク発生部であり、現在位置に表示する現在位置マークや、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア等を表示する各種ランドマーク等を発生して出力する。
【0048】
上述の画像合成部420は、各種画像を合成して出力する。すなわち、ディスプレイコントローラ360によって読み出された地図画像データに、メニュー発生部440、誘導経路発生部460、マーク発生部480のそれぞれから出力される各画像データを重ねて画像合成を行い、表示装置380に出力する。これにより、表示装置380の画面上には、現在位置周辺の地図情報が現在位置マークと共に表示される。また、この地図上に誘導経路が表示されるとともに、現在位置が案内交差点近傍に近づいたときに交差点拡大図が表示される。
【0049】
500は音声発生部であり、交差点案内の音声や、各種操作案内の音声などを発生する。520はスピーカであり、音声発生部500により発生された音声を外部に出力する。
【0050】
図5は、第1の実施形態によるナビゲーション装置100の要部構成例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、CPU260は、その機能構成として、設定部600、移動手段設定部620および誘導経路探索部640を備えている。誘導経路探索部640は、読み出し部700、コスト計算部720および探索部740を備えている。
【0051】
設定部600は、ユーザによるリモコン220の操作を介して、誘導経路の目的地を設定する。そして、設定部600は、設定した目的地を示す設定情報を探索部740に出力する。一方、誘導経路の出発地は、位置測定装置180により検出される現在位置とする。すなわち、探索部740は、位置測定装置180により検出された現在位置を、出発地を表す情報として入力する。
【0052】
移動手段設定部620は、ユーザによるリモコン220の操作を介して、自動車、徒歩または自転車の何れかを目的地に行くための移動手段として設定する。そして、移動手段設定部620は、設定した移動手段を示す移動手段情報を読み出し部700に出力する。誘導経路探索部640は、移動手段設定部620により設定された移動手段に応じて、出発地から目的地までの誘導経路を探索する。
【0053】
読み出し部700は、移動手段設定部620から出力された移動手段情報により示される移動手段が自動車である場合、自動車用地図データ記憶部120から自動車用地図データに含まれる自動車用道路ユニットを読み出して探索部740に出力する。また、読み出し部700は、移動手段設定部620から出力された移動手段情報により示される移動手段が自転車である場合、自動車用地図データ記憶部120および歩行者用地図データ記憶部140から自動車用地図データに含まれる自動車用道路ユニットおよび歩行者用地図データに含まれる歩行者用道路ユニットをそれぞれ読み出してコスト計算部720および探索部740に出力する。また、読み出し部700は、移動手段設定部620から出力された移動手段情報により示される移動手段が徒歩である場合、歩行者用地図データ記憶部140から歩行者用地図データに含まれる歩行者用道路ユニットを読み出して探索部740に出力する。
【0054】
コスト計算部720は、読み出し部700から出力された自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算する。具体的には、コスト計算部720は、自転車用道路種別データ記憶部160に記憶されている自転車用道路種別データを参照し、自動車用道路ユニットに含まれる個々のリンクレコード毎に、道路種別フラグにより表される道路種別が自転車用道路種別データにより表される道路種別(一般道)と一致するか否か判定する。そして、道路種別が一致するリンクレコードについては、以下のように自転車用のリンクコストを計算する。
【0055】
すなわち、あるリンクレコードにより表される道路に対して車両の進入を禁止することを表す交通規制レコードが存在しないときは、当該リンクレコードにより表される道路については、自転車に乗車して通行する際に必要な通過時間をリンクコストとして計算する。自転車に乗車して通行する際に必要な通過時間は、リンクレコードに含まれる距離により表される道路の実距離をあらかじめ定められた自転車の走行速度で除算することによって求められる。
【0056】
一方、リンクレコードにより表される道路に対して車両の進入を禁止することを表す交通規制レコードが存在しているときは、当該リンクレコードにより表される道路については、自転車から降車して通行する際に必要な通過時間をリンクコストとして計算する。自転車から降車して通行する際に必要な通過時間は、リンクレコードに含まれる距離により表される道路の実距離をあらかじめ定められた歩行速度で除算することによって求められる。
【0057】
なお、自動車用道路ユニットに含まれるリンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストは、当該リンクレコードに含まれる自動車用のリンクコストに対して自転車用のリンクコストに換算するための重み付けをすることによって求めても良い。例えば、リンクレコードに含まれる自動車用のリンクコストを所定値で乗算することによって自転車用のリンクコストを求める。この場合、リンクレコードにより表される道路を自転車に乗車して通行する場合のリンクコストは、自動車用のリンクコストよりも大きくなる。また、リンクレコードにより表される道路を自転車から降車して通行する場合のリンクコストは、自転車に乗車して通行する場合のリンクコストよりも更に大きくなる。
【0058】
また、コスト計算部720は、道路種別フラグにより表される道路種別が自転車用道路種別データにより表される道路種別(一般道)と一致しないリンクレコードについては、そのリンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを∞(すなわち、通行不可能)として計算する。なお、リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを∞として計算する場合に限られず、当該道路を自転車で通行不可能なことを示す値であれば何れの値として計算してもよい。コスト計算部720は、計算したリンクコストを示すリンクコスト情報を探索部740に出力する。
【0059】
また、コスト計算部720は、読み出し部700から出力された歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算する。具体的には、コスト計算部720は、自転車用道路種別データ記憶部160に記憶されている自転車用道路種別データを参照し、歩行者用道路ユニットに含まれる個々のリンクレコード毎に、道路種別フラグにより表される道路種別が自転車用道路種別データにより表される道路種別(一般道、歩道または歩行者専用道路)と一致するか否か判定する。
【0060】
道路種別フラグにより表される道路種別が自転車用道路種別データにより表される道路種別(一般道)と一致するリンクレコードについては、当該リンクレコードにより表される道路を自転車に乗車して通行する際に必要な通過時間をリンクコストとして計算する(歩行者用道路ユニットには交通規制データが含まれないので、自転車に乗車して通行するものとしてリンクコストを計算する)。また、道路種別フラグにより表される道路種別が自転車用道路種別データにより表される道路種別(歩道または歩行者専用道路)と一致するリンクレコードについては、当該リンクレコードにより表される道路を自転車から降車して通行する際に必要な通過時間をリンクコストとして計算する。
【0061】
一方、道路種別フラグにより表される道路種別が自転車用道路種別データにより表される道路種別(一般道、歩道または歩行者専用道路)と一致しないリンクレコードについては、そのリンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを∞(すなわち、通行不可能)として計算する。なお、リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを∞として計算する場合に限られず、当該道路を自転車で通行不可能なことを示す値であれば何れの値として計算してもよい。コスト計算部720は、計算したリンクコストを示すリンクコスト情報を探索部740に出力する。
【0062】
なお、歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストは、当該リンクレコードに含まれる歩行者用のリンクコストに対して自転車用のリンクコストに換算するための重み付けをすることによって求めても良い。例えば、リンクレコードに含まれる歩行者用のリンクコストを所定値で除算することによって自転車用のリンクコストを求める。この場合、リンクレコードにより表される道路を自転車に乗車して通行する場合のリンクコストは、歩行者用のリンクコストよりも小さくなる。また、リンクレコードにより表される道路を自転車から降車して通行する場合のリンクコストは、自転車に乗車して通行する場合のリンクコストよりも更に小さくなる。なお、降車して通行する場合のリンクコストは、歩行者用道路ユニットのリンクレコードに含まれる歩行者用のリンクコストと同じにしても良い。
【0063】
探索部740は、読み出し部700から自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットが出力されるとともに、コスト計算部720からリンクコスト情報が出力された場合、当該リンクコスト情報により示されるリンクコストのもとで、読み出し部700から出力された自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードにより表される道路のリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路を探索する。具体的には、探索部740は、以下に説明する誘導経路探索方法に従って出発地から目的地までの誘導経路を探索する。
【0064】
例えば、探索部740は、読み出し部700から出力された自動車用道路ユニットに含まれるリンクレコードによって第1のネットワークリストを生成する。そして、探索部740は、コスト計算部720から出力されたリンクコスト情報により示されるリンクコストのうち、自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストのもとで、第1のネットワークリストに含まれるリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路(以下、第1の誘導経路という)を探索する。
【0065】
また、探索部740は、読み出し部700から出力された歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードによって第2のネットワークリストを生成する。そして、探索部740は、コスト計算部720から出力されたリンクコスト情報により示されるリンクコストのうち、歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストのもとで、第2のネットワークリストに含まれるリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路(以下、第2の誘導経路という)を探索する。最後に、探索部740は、上述のように探索した第1の誘導経路および第2の誘導経路のうち、出発地から目的地までを結ぶコストがより小さな誘導経路を最終的な探索結果とする。
【0066】
または、以下に述べる別の誘導経路探索方法によって誘導経路を探索しても良い。探索部740は、読み出し部700から出力された自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードと、歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコード(ただし、道路種別フラグが歩道または歩行者専用道路に該当するものに限る)とを用いて1つのネットワークリストを生成する。そして、探索部740は、コスト計算部720から出力されたリンクコスト情報により示されるリンクコスト(自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコスト、歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコード(ただし、道路種別フラグが歩道または歩行者専用道路に該当するものに限る)により表される道路を自転車で通行する場合のリンクコスト)のもとで、生成した1つのネットワークリストに含まれるリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路を探索する。
【0067】
ここで、誘導経路を探索するために、歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードのうち道路種別フラグが一般道に該当するリンクレコードを使用しなかったのは、自動車用道路ユニットに含まれる一般道のリンクレコードと異なり、車両の進入を禁止することを表す交通規制レコードが存在しないためである。すなわち、道路種別フラグが一般道に該当するリンクレコードは、自動車用道路ユニットにも歩行者用道路ユニットにも含まれるため、交通規制レコードが含まれていない歩行者用道路ユニットの方は一般道のリンクレコードを経路探索に使用しないこととした。
【0068】
なお、上述した2つの誘導経路探索方法のうち後者の誘導経路探索方法によれば、1回の経路探索処理で自転車用の誘導経路を求めることができるため、2回の経路探索処理(第1の誘導経路および第2の誘導経路の探索処理)を経て自転車用の誘導経路を求める前者の誘導経路探索方法に比べて、誘導経路の探索に掛かる計算量が少なくなり、自転車用の誘導経路を探索するのに必要な時間を少なくすることができる。
【0069】
図6は、自転車用の誘導経路の例を示す図である。図6には、地点STARTを出発地とし、目的地である地点ENDに到達する3つの誘導経路を示している。地点N1、地点N2、地点N3、地点N4を経由地点として辿る誘導経路は、本実施形態のように、自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコード(道路種別が一般道、歩道または歩行者専用道路に該当するもの)を用いて探索されたものである。なお、地点START−地点N1間、地点N1−地点N2間、地点N3−地点N4間および地点N4−地点END間における道路の道路種別は一般道である(何れの道路に対しても車両の進入を禁止する交通規制は存在しない)。地点N2−地点N3間における道路の道路種別は歩行者専用道路である。
【0070】
地点N1、地点N2、地点N5、地点N6、地点N7および地点N8を経由地点として辿る誘導経路は、自動車用道路ユニットに含まれるリンクレコード(道路種別が一般道に該当するもの)のみを用いて探索された第1の誘導経路である。なお、地点N2−地点N5間、地点N5−地点N6間、地点N6−地点N7間、地点N7−地点N8間および地点N8−地点END間における道路の道路種別は一般道である(何れの道路に対しても車両の進入を禁止する交通規制は存在しない)。ところで、地点N2−地点N3間、地点N4−地点N5間における道路は、歩行者専用道路である。そのため、地点N2−地点N3間、地点N4−地点N5間における道路は、地点ENDに到達するための近道であっても誘導経路に含められない。また、地点N4−地点N7間における道路は、地点N7からの車両の進入を禁止する交通規制が存在する一般道である。そのため、地点N4−地点N7間における道路は、地点ENDに到達するための近道であっても誘導経路に含められない。このように、自動車用道路ユニットに含まれるリンクレコードのみを用いて探索された誘導経路は、自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードを用いて探索された誘導経路に比べて、コスト的に遠回りをしなければならない場合がある。
【0071】
地点N1、地点N2、地点N3を経由地点として辿る誘導経路は、歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコード(道路種別が一般道、歩道または歩行者専用道路に該当するもの)のみを用いて探索された第2の誘導経路である。なお、地点N3−地点END間における道路は、地点N3からの車両の進入を禁止する交通規制が存在する一般道である。そのため、地点N3−地点END間における道路を自転車で通行する場合、自転車から降車する必要がある。これにより、地点N3−地点END間を自転車から降車して通行するよりも、地点N3−地点END間より距離が長い地点N3−地点N4−地点END間を自転車に乗車して通行した方が地点END間に早く到着することができる場合がある。このように、歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードのみを用いて探索された誘導経路も、自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードを用いて探索された誘導経路に比べて、コスト的に遠回りをしなければならない場合がある。
【0072】
以上のように、自動車用道路ユニットに含まれるリンクレコードのみを用いて探索した場合でも、歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードのみを用いて探索した場合でも、それぞれにおいて好ましい自転車用の誘導経路を探索することができる。そして、この2つの誘導経路のうちコストがより小さい方選ぶことで、自転車用の誘導経路を最終的に決定することができる。しかし、自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットの双方に含まれるリンクレコードを組み合わせて自転車用の誘導経路を探索した方が、自転車で通行可能な道路(一般道、歩道、歩行者専用道路)をより効率的に通行して目的地に到達する誘導経路を求めることができることがある点で、より好ましい。
【0073】
探索部740は、以上のように探索して得た誘導経路データを誘導経路メモリ320に記憶させる。本実施形態では、誘導経路データは、出発地から目的地までの各ノードに対応させて、各ノードの位置と、各ノードが交差点か否かを表す交差点識別フラグとを含む。これに加えて、各ノードが自転車への乗車が可能な場所の始点か否かを表す乗車識別フラグと、各ノードが自転車からの降車が必要な場所の始点か否かを表す降車識別フラグとを含めて誘導経路データとしても良い。
【0074】
例えば、道路種別が歩道、歩行者専用道路または一般道(交通規制レコードにより車両の進入が禁止されているもの)になっているリンクの終点と、道路種別が一般道(交通規制レコードにより車両の進入が禁止されていないもの)になっているリンクの始点とが接続しているノードは、自転車への乗車が可能な場所の始点である。反対に、道路種別が一般道(交通規制レコードにより車両の進入が禁止されていないもの)になっているリンクの終点と、道路種別が歩道、歩行者専用道路または一般道(交通規制レコードにより車両の進入が禁止されているもの)になっているリンクの始点とが接続しているノードは、自転車からの降車が必要な場所の始点である。
【0075】
また、探索部740は、読み出し部700から自動車用道路ユニットのみが出力された場合、自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードのコストのもとで、当該各リンクレコードにより表される道路のリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路を探索する。そして、探索部740は、探索した誘導経路データを誘導経路メモリ320に記憶させる。
【0076】
また、探索部740は、読み出し部700から歩行者用道路ユニットのみが出力された場合、歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードのコストのもとで、当該各リンクレコードにより表される道路のリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路を探索する。そして、探索部740は、探索した誘導経路データを誘導経路メモリ320に記憶させる。
【0077】
誘導経路発生部460は、誘導経路メモリ320に記憶された誘導経路データの中から、その時点でビデオRAM400に描画された地図エリアに含まれるものを選択的に読み出し、地図画像に重ねて所定色で太く強調した誘導経路を描画する。また、誘導経路発生部460は、位置測定装置180からナビゲーション装置100の現在位置の情報を入力するとともに、誘導経路メモリ320に記憶されている乗車識別フラグおよび降車識別フラグを入力する。そして、誘導経路発生部460は、現在位置が誘導経路前方にある自転車の乗車が可能な場所から所定距離内に接近したときに、その旨を案内するための音声を発生させることを音声発生部500に要求する。また、誘導経路発生部460は、現在位置が誘導経路前方にある自転車の降車が必要な場所から所定距離内に接近したときに、その旨を案内するための音声を発生させることを音声発生部500に要求する。
【0078】
なお、誘導経路発生部460は、現在位置が誘導経路前方にある自転車の乗車が可能な場所から所定距離内に接近したときに、その旨を案内するためのメッセージを表示装置380に出力することを画像合成部420に要求するようにしても良い。また、誘導経路発生部460は、現在位置が誘導経路前方にある自転車の降車が必要な場所から所定距離内に接近したときに、その旨を案内するためのメッセージを表示装置380に出力することを画像合成部420に要求するようにしても良い。
【0079】
音声発生部500は、誘導経路発生部460からの音声発生要求を受けて、案内交差点までの距離や進行方向などを案内するための音声を発生する。また、音声発生部500は、誘導経路発生部460からの音声発生要求を受けて、現在装置が誘導経路前方にある自転車の乗車が可能な場所から所定距離内に接近したときに、その旨を案内するための音声(例えば、「右折してください。次は一般道なので自転車で走行できます。」)を発生する。また、音声発生部500は、現在装置が誘導経路前方にある自転車の降車が必要な場所から所定距離内に接近したときに、その旨を案内するための音声(例えば、「左折してください。次は歩行者専用道路なので自転車から降りてください。」)を発生する。
【0080】
次に、第1の実施形態におけるナビゲーション装置100の動作について説明する。図7は、ナビゲーション装置100の動作例を示すフローチャートである。図7におけるステップS100の処理は、例えば、ナビゲーション装置100が、リモコン220に対するユーザ操作を介して、目的地の設定要求を受け付けることにより開始する。
【0081】
まず、設定部600は、ユーザによるリモコン220の操作を介して、目的地を設定する(ステップS100)。そして、設定部600は、設定した目的地を示す設定情報を探索部740に出力する。また、探索部740は、位置測定装置180により検出された現在位置を誘導経路の出発地として設定する。次に、移動手段設定部620は、ユーザによるリモコン220の操作を介して、自動車、徒歩または自転車の何れかを目的地に行くための移動手段として設定する(ステップS120)。そして、移動手段設定部620は、設定した移動手段を示す移動手段情報を読み出し部700に出力する。
【0082】
次に、読み出し部700は、移動手段設定部620から出力された移動手段情報により示される移動手段が自動車であるか否かについて判定する(ステップS140)。もし、移動手段情報により示される移動手段が自動車であると読み出し部700にて判定した場合(ステップS140にてYES)、読み出し部700は、自動車用地図データ記憶部120から自動車用地図データに含まれる自動車用道路ユニットを読み出して探索部740に出力する(ステップS160)。次に、探索部740は、読み出し部700から出力された自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードのコストのもとで、当該各リンクレコードにより表される道路のリンクを辿って出発地から目的地までの誘導経路を探索する(ステップS180)。最後に、探索部740は、探索した誘導経路データを誘導経路メモリ320に記憶させる(ステップS340)。その後、ナビゲーション装置100は図7における処理を終了する。
【0083】
一方、移動手段情報により示される移動手段が自動車でないと読み出し部700にて判定した場合(ステップS140にてNO)、読み出し部700は、移動手段情報により示される移動手段が自転車であるか否かについて判定する(ステップS200)。もし、移動手段情報により示される移動手段が自転車であると読み出し部700にて判定した場合(ステップS200にてYES)、読み出し部700は、自動車用地図データ記憶部120および歩行者用地図データ記憶部140から自動車用地図データに含まれる自動車用道路ユニットおよび歩行者用地図データに含まれる歩行者用道路ユニットをそれぞれ読み出してコスト計算部720および探索部740に出力する(ステップS220)。
【0084】
次に、コスト計算部720は、読み出し部700から出力された自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算し、当該計算したリンクコストを示すリンクコスト情報を探索部740に出力する(ステップS240)。次に、コスト計算部720は、読み出し部700から出力された歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算し、当該計算したリンクコストを示すリンクコスト情報を探索部740に出力する(ステップS260)。
【0085】
次に、探索部740は、ステップS240およびS260にてコスト計算部720から出力されたリンクコスト情報により示されるリンクコストのもとで、ステップS220にて読み出し部700から出力された自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードにより表される道路のリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路を探索する(ステップS280)。最後に、探索部740は、探索した誘導経路データを誘導経路メモリ320に記憶させる(ステップS340)。その後、ナビゲーション装置100は図7における処理を終了する。
【0086】
一方、移動手段情報により示される移動手段が自転車でない(すなわち、移動手段が徒歩である)と読み出し部700にて判定した場合(ステップS200にてNO)、読み出し部700は、歩行者用地図データ記憶部140から歩行者用地図データに含まれる歩行者用道路ユニットを読み出して探索部740に出力する(ステップS300)。次に、探索部740は、読み出し部700から出力された歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードのコストのもとで、当該各リンクレコードにより表される道路のリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路を探索する(ステップS320)。最後に、探索部740は、探索した誘導経路データを誘導経路メモリ320に記憶させる(ステップS340)。その後、ナビゲーション装置100は図7における処理を終了する。
【0087】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、誘導経路探索部640のコスト計算部720が、自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコードの道路種別フラグおよび交通規制レコードと自転車用道路種別データとを用いて、各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算する。また、コスト計算部720が、歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードの道路種別フラグと自転車用道路種別データとを用いて、各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算する。そして、誘導経路探索部640の探索部740が、コスト計算部720により計算されたリンクコストのもとで、自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードのうち、道路種別フラグが自転車用道路種別データにより表される道路種別と一致するリンクレコードにより表される道路のリンクを辿って誘導経路を探索する。
【0088】
以上より、自動車用地図データに含まれる自動車用道路ユニットおよび歩行者用地図データに含まれる歩行者用道路ユニットと自転車用道路種別データとを用いて、自転車用の誘導経路を算出できるため、自転車用の誘導経路探索に用いる自転車用道路ユニット(自転車の通行可能な道路をリンクで表すリンクレコードを含む)をあらかじめ備える必要が無くなる。これによって、自動車、徒歩または自転車の各移動手段に応じた誘導経路の探索を行うために必要な地図データの容量を減らすことができる。
【0089】
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図8は、第2の実施形態によるナビゲーション装置100′の要部構成例を示す機能ブロック図である。なお、この図8において、図5に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0090】
第2の実施形態において、CPU260′は、図5の誘導経路探索部640に代えて誘導経路探索部640′を備えて構成される。誘導経路探索部640′は、図5の読み出し部700、コスト計算部720および探索部740に代えて読み出し部700′、コスト計算部720′および探索部740′をそれぞれ備えて構成される。
【0091】
読み出し部700′は、移動手段設定部620から出力された移動手段情報により示される移動手段が自動車である場合、自動車用地図データ記憶部120から自動車用地図データに含まれる自動車用道路ユニットを読み出して探索部740に出力する。また、読み出し部700′は、移動手段設定部620から出力された移動手段情報により示される移動手段が徒歩である場合、歩行者用地図データ記憶部140から歩行者用地図データに含まれる歩行者用道路ユニットを読み出して探索部740に出力する。
【0092】
また、読み出し部700′は、移動手段設定部620から出力された移動手段情報により示される移動手段が自転車である場合、自転車用道路種別データ記憶部160に記憶されている自転車用道路種別データを参照し、自動車用地図データ記憶部120に記憶されている自動車用地図データに含まれる自動車用道路ユニット内の個々のリンクレコード毎に、道路種別フラグにより表される道路種別が自転車用道路種別データにより表される道路種別(一般道)と一致するか否か判定する。すなわち、読み出し部700′は、道路種別(一般道)と一致するリンクレコードにより表される道路を自転車で通行可能と判定する。そして、読み出し部700′は、自動車用地図データ記憶部120に記憶されている自動車用道路ユニットのうち、自転車で通行可能と判定した道路に関する部分のデータを自動車用地図データ記憶部120から読み出す。具体的には、読み出し部700′は、道路種別が一致するリンクレコードおよび当該リンクレコード内のノード番号1,2に対応するノードレコードを自動車用地図データ記憶部120から読み出してコスト計算部720′および探索部740′に出力する。
【0093】
また、読み出し部700′は、歩行者用地図データ記憶部140に記憶されている歩行者用地図データ内の歩行者用道路ユニットに含まれる個々のリンクレコード毎に、道路種別フラグにより表される道路種別が自転車用道路種別データにより表される道路種別(歩道または歩行者専用道路)と一致するか否か判定する。すなわち、読み出し部700′は、道路種別(歩道または歩行者専用道路)と一致するリンクレコードにより表される道路を自転車で通行可能と判定する。そして、読み出し部700′は、歩行者用地図データ記憶部140に記憶されている歩行者用道路ユニットのうち、自転車で通行可能と判定した道路に関する部分のデータを歩行者用地図データ記憶部140から読み出す。具体的には、読み出し部700′は、道路種別が一致するリンクレコードおよび当該リンクレコード内のノード番号1,2に対応するノードレコードを歩行者用地図データ記憶部140から読み出してコスト計算部720′および探索部740′に出力する。
【0094】
コスト計算部720′は、読み出し部700′から出力された自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコード(道路種別フラグが一般道であるもの)により表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算する。具体的には、コスト計算部720′は、リンクレコードにより表される道路に対して車両の進入を禁止することを表す交通規制レコードが存在しないときは、当該リンクレコードにより表される道路については、自転車に乗車して通行する際に必要な通過時間をリンクコストとして計算する。自転車に乗車して通行する際に必要な通過時間は、第1の実施形態と同様に求められる。
【0095】
一方、リンクレコードにより表される道路に対して車両の進入を禁止することを表す交通規制レコードが存在しているときは、当該リンクレコードにより表される道路については、自転車から降車して通行する際に必要な通過時間をリンクコストとして計算する。自転車から降車して通行する際に必要な通過時間は、第1の実施形態と同様に求められる。コスト計算部720′は、計算したリンクコストを示すリンクコスト情報を探索部740′に出力する。
【0096】
また、コスト計算部720′は、読み出し部700′から出力された歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコード(道路種別フラグが歩道または歩行者専用道路であるもの)により表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算する。具体的には、コスト計算部720′は、リンクレコードにより表される道路を自転車から降車して通行する際に必要な通過時間をリンクコストとして計算する。コスト計算部720′は、以上のように計算したリンクコストを示すリンクコスト情報を探索部740′に出力する。
【0097】
探索部740′は、コスト計算部720′から出力されたリンクコスト情報により示されるリンクコストのもとで、読み出し部700′から出力された自動車用道路ユニットに含まれるリンクレコード(道路種別フラグが一般道であるもの)および歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコード(道路種別フラグが歩道または歩行者専用道路であるもの)により表される道路のリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路を探索する。そして、探索部740′は、探索した誘導経路データを誘導経路メモリ320に記憶させる。
【0098】
なお、探索部740′は、歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードのうち道路種別フラグが一般道に該当するリンクレコードを誘導経路を探索するために使用しない(交通規制レコードがないため)。よって、第1の実施形態で説明した2つの誘導経路探索方法のうち、道路種別フラグが一般道に該当するリンクレコードも使用して第2の誘導経路を探索するステップを含む誘導経路探索方法は、探索部740′の誘導経路探索処理に適用することができない。
【0099】
次に、第2の実施形態におけるナビゲーション装置100′の動作について説明する。図9は、ナビゲーション装置100′の動作例を示すフローチャートである。図9におけるステップS400の処理は、例えば、ナビゲーション装置100′が、リモコン220に対するユーザ操作を介して、目的地の設定要求を受け付けることにより開始する。なお、この図9において、ステップS400〜S500およびステップS600〜S620は、図7のステップS200〜S500およびステップS300〜S320とそれぞれ同一の処理であるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0100】
もし、移動手段情報により示される移動手段が自転車であると読み出し部700′にて判定した場合(ステップS500にてYES)、読み出し部700′は、自転車用道路種別データ記憶部160に記憶されている自転車用道路種別データを参照し、道路種別フラグが自転車用道路種別データにより表される道路種別(一般道)と一致する部分の自動車用道路ユニットを自動車用地図データ記憶部120から読み出してコスト計算部720′および探索部740′に出力するとともに、道路種別フラグが自転車用道路種別データにより表される道路種別(歩道または歩行者専用道路)と一致する部分の歩行者用道路ユニットを歩行者用地図データ記憶部140から読み出してコスト計算部720′および探索部740′に出力する(ステップS520)。
【0101】
次に、コスト計算部720′は、読み出し部700′から出力された自動車用道路ユニットに含まれる各リンクレコード(道路種別フラグが一般道であるもの)により表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算し、計算したリンクコストを示すリンクコスト情報を探索部740′に出力する(ステップS540)。次に、コスト計算部720′は、読み出し部700′から出力された歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコード(道路種別フラグが歩道または歩行者専用道路であるもの)により表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算し、計算したリンクコストを示すリンクコスト情報を探索部740′に出力する(ステップS560)。
【0102】
次に、探索部740′は、ステップS540およびS560にてコスト計算部720′から出力されたリンクコスト情報により示されるリンクコストのもとで、ステップS520にて読み出し部700′から出力された自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットに含まれるリンクレコードにより表される道路のリンクを辿って、出発地から目的地までの誘導経路を探索する(ステップS580)。最後に、探索部740′は、探索した誘導経路のデータを誘導経路メモリ320に記憶させる(ステップS640)。その後、ナビゲーション装置100′は図9における処理を終了する。
【0103】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態では、自動車用地図データ記憶部120に記憶されている自転車用道路ユニットのうち、リンクレコード内の道路種別フラグが一般道となっている部分のデータを選択的に自動車用地図データ記憶部120から読み出す。また、歩行者用地図データ記憶部140に記憶されている歩行者用道路ユニットのうち、リンクレコード内の道路種別フラグが歩道または歩行者専用道路となっている部分のデータを選択的に歩行者用地図データ記憶部140から読み出す。そして、コスト計算部720′は、読み出し部700′から読み出された自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットに含まれる各リンクレコードにより表される道路を自転車で通行する場合のリンクコストを計算する。探索部740′は、コスト計算部720′により計算されたリンクコストのもとで、読み出し部700′から読み出されたリンクレコードにより表される道路のリンクを辿って誘導経路を探索する。
【0104】
以上より、自動車用地図データ記憶部120および歩行者用地図データ記憶部140から部分的に読み出された自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットを用いて自転車用のリンクコストの計算および自転車用の経路探索を行うことができるため、リンクレコード内の道路種別フラグに関係なく自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットを全て読み出して自転車用のリンクコストの計算および自転車用の経路探索を行う第1の実施形態に比べて、誘導経路の探索に掛かる計算量が少なくなる。したがって、自転車用の誘導経路を探索するのに必要な時間を第1の実施形態よりも少なくすることができる。
【0105】
なお、上記第1および第2の実施形態では、音声発生部500が、現在位置が誘導経路前方にある自転車の乗降車が必要な場所から所定距離内に接近したときにその旨を案内するための音声を発生する例について説明したが、音声発生部500による上述の音声発生処理は必ずしも必須の処理ではない。ただし、自転車で移動するユーザに対して目的地までより適切な音声案内を行う観点からは、音声発生部500による上述の音声発生処理を行うことが好適である。
【0106】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施形態によるナビゲーション装置の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態による自動車用道路ユニットおよび歩行者用道路ユニットの全体構成例を示す図である。
【図3】第1の実施形態による自動車用道路ユニットに含まれる各種テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図4】第1の実施形態による歩行者用道路ユニットに含まれる各種テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図5】第1の実施形態によるナビゲーション装置の要部構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】第1の実施形態による自転車用の誘導経路の例を示す図である。
【図7】第1の実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態によるナビゲーション装置の要部構成例を示す機能ブロック図である。
【図9】第2の実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0108】
100,100′ ナビゲーション装置
120 自動車用地図データ記憶部(自動車用道路データ記憶部)
140 歩行者用地図データ記憶部(歩行者用道路データ記憶部)
160 自転車用道路種別データ記憶部
600 設定部
640,640′ 誘導経路探索部
700,700′ 読み出し部
720,720′ コスト計算部
740,740′ 探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を設定する設定部と、
自動車が通行可能な道路をリンクで表す自動車用道路データであって、当該道路の道路種別を表す自動車用道路種別データおよび当該道路の交通規制を表す自動車用交通規制データを含む自動車用道路データを記憶した自動車用道路データ記憶部と、
歩行者が通行可能な道路をリンクで表す歩行者用道路データであって、当該道路の道路種別を表す歩行者用道路種別データを含む歩行者用道路データを記憶した歩行者用道路データ記憶部と、
自転車が通行可能な道路の道路種別を表す自転車用道路種別データを記憶した自転車用道路種別データ記憶部と、
前記自動車用道路種別データおよび前記自動車用交通規制データと前記自転車用道路種別データとを用いて、前記自動車用道路データにより表される道路を前記自転車で通行する場合のリンクコストを計算するとともに、前記歩行者用道路種別データと前記自転車用道路種別データとを用いて、前記歩行者用道路データにより表される道路を前記自転車で通行する場合のリンクコストを計算し、当該計算したリンクコストのもとで、前記自転車用道路種別データにより表される道路種別と一致する道路種別を表す前記自動車用道路種別データおよび前記歩行者用道路種別データを含む前記自動車用道路データおよび前記歩行者用道路データにより表される道路のリンクを辿って、前記設定部により設定された前記目的地までの誘導経路を探索する誘導経路探索部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導経路探索部は、前記自転車用道路種別データと道路種別が一致する前記自動車用道路種別データに対応するリンクにより表される道路を前記自転車で通行可能と判定するとともに、前記自転車用道路種別データと道路種別が一致する前記歩行者用道路種別データに対応するリンクにより表される道路を前記自転車で通行可能と判定し、前記自転車で通行可能と判定した道路に関する前記自動車用道路データおよび前記歩行者用道路データを前記自動車用道路データ記憶部および前記歩行者用道路データ記憶部からそれぞれ読み出す読み出し部と、
前記読み出し部により読み出された前記自動車用道路データによりリンクで表される道路を前記自転車で通行する場合のリンクコストを当該自動車用道路データに含まれる前記自動車用道路種別データおよび前記自動車用交通規制データを用いて計算するとともに、前記読み出し部により読み出された前記歩行者用道路データによりリンクで表される道路を前記自転車で通行する場合のリンクコストを当該歩行者用道路データに含まれる前記歩行者用道路種別データを用いて計算するコスト計算部と、
前記コスト計算部により計算されたリンクコストのもとで、前記読み出し部により読み出された前記自動車用道路データおよび前記歩行者用道路データにより表される道路のリンクを辿って、前記設定部により設定された前記目的地までの誘導経路を探索する探索部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導経路探索部は、前記自動車用道路データによりリンクで表される道路を前記自転車で通行する場合のリンクコストについて、当該自動車用道路データに含まれる前記自動車用道路種別データにより表される道路種別が一般道に該当するリンクの場合、当該一般道に該当するリンクの道路に対して車両の進入を禁止することを表す前記交通規制データが存在しないときは、前記自転車に乗車して通行する際のリンクコストを計算する一方、前記一般道に該当するリンクの道路に対して車両の進入を禁止することを表す前記交通規制データが存在しているときは、前記自転車を降りて通行する際のリンクコストを計算するとともに、前記歩行者用道路データによりリンクで表される道路を前記自転車で通行する場合のリンクコストについて、前記歩行者用道路データに含まれる前記歩行者用道路種別データにより表される道路種別が歩道または歩行者専用道路の何れかに該当するリンクの場合、前記自転車を降りて通行する際のリンクコストを計算することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
自動車が通行可能な道路をリンクで表す自動車用道路データであって、当該道路の道路種別を表す自動車用道路種別データおよび当該道路の交通規制を表す自動車用交通規制データを含む自動車用道路データと、歩行者が通行可能な道路をリンクで表す歩行者用道路データであって、当該道路の道路種別を表す歩行者用道路種別データを含む歩行者用道路データとを用いて、自転車用の誘導経路の探索を行う誘導経路探索方法であって、
目的地を設定する第1のステップと、
前記自動車用道路種別データおよび前記自動車用交通規制データと自転車が通行可能な道路の道路種別を表す自転車用道路種別データとを用いて、前記自動車用道路データにより表される道路を前記自転車で通行する場合のリンクコストを計算するとともに、前記歩行者用道路種別データと前記自転車用道路種別データとを用いて、前記歩行者用道路データにより表される道路を前記自転車で通行する場合のリンクコストを計算する第2のステップと、
前記第2のステップで計算したリンクコストのもとで、前記自転車用道路種別データにより表される道路種別と一致する道路種別を表す前記自動車用道路種別データおよび前記歩行者用道路種別データを含む前記自動車用道路データおよび前記歩行者用道路データにより表される道路のリンクを辿って、前記第1のステップにより設定された前記目的地までの誘導経路を探索する第3のステップとを備えたことを特徴とする誘導経路探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−96581(P2010−96581A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266397(P2008−266397)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】