説明

ナビゲーション装置およびUターン情報提供方法

【課題】オフルートの検出に応じて設定された再探索経路そのまま進むか、途中でUターンして元のオフルート地点に戻るかをユーザが容易に判断して選択可能な「ナビゲーション装置およびUターン情報提供方法」を提供する。
【解決手段】オフルートの発生に応じて設定された再探索経路上にUターン地点を設定し、Uターンをしてオフルート地点まで戻ってくるUターン経路を探索するUターン経路探索部34と、Uターン地点に表示するUターンマークを発生するマーク発生部25と、Uターン経路を走行した場合の所要時間および距離に関する情報を発生するUターン情報発生部26とを備え、Uターン経路を走行した場合の所要時間および距離をUターンマークと共に画面表示することにより、再探索経路をそのまま進むか、途中でUターンして元のオフルート地点に戻るかを判断するために有用な情報をユーザに提供できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびUターン情報提供方法に関し、特に、案内中の誘導経路から自車位置が外れるというオフルートが生じた場合に、オフルート後の現在位置から目的地までの誘導経路を再度探索し、案内を継続する機能を備えたナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用のナビゲーション装置では、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機などを用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す自車位置マークを重ね合わせて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
また、最近のナビゲーション装置の殆どには経路誘導機能が搭載されている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を自動探索し、その探索した経路を誘導経路として地図画面上で他の道路とは色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上の案内交差点に一定距離内に近づいたときに交差点拡大図を表示して交差点案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0004】
なお、コストとは、例えば距離をもとに、道路幅員、道路種別、右折および左折、交通規制などに応じた所定の定数を乗じた値であり、誘導経路として適正の程度を数値化したものである。例えば、距離が同一の2つの経路があったとしても、道路幅員、道路種別、右折および左折、交通規制の内容によって、コストは異なったものとなる。通常、Uターンをするような経路には大きなコストが設定されており、Uターンを含む誘導経路は設定されにくくなっている。
【0005】
ところが、実際には、Uターン路が設定された中央分離帯のある道路を走行してこのUターン路を折り返した方が目的地まで最小のコストで到達できる場合もある。そこで、Uターン路を単独のリンクに対応させた地図データを用意し、このUターン路に対応したリンクも探索の対象に含めて経路探索を行うことにより、Uターンを考慮に入れた経路探索を行うことができるようにしたナビゲーション装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−227649号公報
【0006】
また、以上のような経路探索によって設定された誘導経路の案内中に、当該誘導経路から自車位置が外れてしまうことがある(これを「オフルート」と言う)。この場合に、オフルート直後の現在位置から目的地までの誘導経路を再度探索し、案内を継続する機能を備えたナビゲーション装置も提供されている。この種のナビゲーション装置では、オフルートする前の推奨ルートに戻すような誘導経路を探索したり、目的地までの誘導経路を新たに作り直したりする。
【0007】
なお、オフルート時に再探索された誘導経路がUターンを含む場合に、設定されたUターン地点に至るまでのルートがUターン禁止道路でなければ、現在位置から所定距離(例えば100m)前方に存在する再探索経路上のポイントをUターンポイントとするルートを求めて誘導経路として表示するようにした技術も存在する(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2004−226343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1にはオフルートに関する内容は記載されていないが、オフルートが発生したときの経路再探索時にも、Uターンを考慮に入れた経路を再探索するようにすることは可能である。しかしながら、当該特許文献1に記載された技術の場合、Uターン路が設定された中央分離帯付きの道路がオフルート地点の先になければ、Uターンを含む誘導経路は探索されない。
【0009】
ところが、Uターンを含まない再探索経路を走行している際にも、実際にはユーザの判断でUターン可能なケースがあり、またUターンをすることによって再探索経路を進むよりも目的地に早く到達できる場合がある。しかし、再探索経路をそのまま進む場合と、途中でUターンして元のオフルート地点に戻る場合とのどちらの方が目的地に早く到達できるのかが分からないため、再探索経路の案内に逆らってUターンはしづらいという問題があった。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の技術によれば、Uターン路が設定された中央分離帯付きの道路がオフルート地点の先になくても、現在位置から100m前方に存在する再探索経路上のポイントをUターンポイントとするルートが誘導経路として表示されるようになる。しかしながら、Uターン経路が示されるものの、この場合も、再探索経路をそのまま進む場合と、示されたUターンポイントでUターンする場合とのどちらの方が目的地に早く到達できるのかが分からないという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、オフルートの検出によって誘導経路が再探索されたときに、再探索経路をそのまま進むのと、途中でUターンして元のオフルート地点に戻るのとどちらが良いかをユーザが容易に判断して選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、オフルートの発生が検出されたときに求められた再探索経路上で現在位置の前方に存在する地点をUターン地点とし、オフルートが発生した地点まで戻って目的地に至るUターン経路を探索して、Uターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報を、Uターン地点を表すマークと共に画面表示するようにしている。
【0013】
ここで、Uターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報は、例えば、Uターン経路を走行してオフルートが発生した地点に戻るまでの所要時間および距離の少なくとも一方とする。または、Uターン経路を走行して目的地に至るまでの所要時間および距離の少なくとも一方と再探索経路を走行して目的地に至るまでの所要時間および距離の少なくとも一方との差分情報であっても良い。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、オフルートしたときに設定された再探索経路上に、現在位置の前方に存在するUターン地点を表すマークと、そこからUターンして走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報とが画面表示されるので、ユーザは、再探索経路をそのまま進むか、途中でUターンして元のオフルート地点に戻るかを判断するために有用な情報を得ることができる。これにより、ユーザはこの画面表示された情報を見ることにより、再探索経路とUターン経路との何れで走行するかを容易に判断して選択することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置10の構成例を示すブロック図である。図1において、11はDVD−ROM等の地図記録媒体であり、地図表示や経路探索に必要な各種の地図データを記憶している。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM11を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリなどの他の記録媒体を用いても良い。12はDVD−ROM制御部であり、DVD−ROM11からの地図データの読み取りを制御する。
【0016】
DVD−ROM11に記録された地図データには、地図表示や経路探索等の各種の処理に必要な道路データが含まれている。道路データは、交差点や分岐など複数の道路が交わる点に対応するノードに関する情報と、道路上のあるノードとこれに隣接する他のノードとの間を接続する、道路や車線等に対応するリンクに関する情報とを含んでいる。
【0017】
ノードに関する情報としては、ノードの正規化経度・緯度、ノードの属性フラグ、接続しているノードの数、交通規制の数、接続ノードレコード、交通規制レコードなどの情報が含まれている。ノードの属性フラグは、そのノードが交差点ノードであるか否かといったノードの属性を示す。接続しているノードの数は、そのノードをリンクの一方端とするリンクがある場合に、各リンクの他方端を構成するノードの数を示す。
【0018】
交通規制の数は、そのノードに接続されているリンクに右折禁止やUターン禁止等の交通規制が存在する場合に、その交通規制の数を示す。接続ノードレコードは、そのノードが一方端となっている各リンクのリンク番号を、リンク本数分だけ示す。交通規制レコードは、上述した交通規制が存在する場合にはその数に対応した交通規制の具体的な内容を示す。
【0019】
また、リンクに関する情報としては、リンクの距離、道路種別フラグ、リンクのコスト等の情報が存在する。リンクの距離は、当該リンクに対応した実際の道路の実距離を示す。道路種別フラグは、そのリンクに対応した実際の道路が高速道路であるか一般道であるかといった種別を示す。
【0020】
リンクのコストは、距離をもとに、道路幅員、道路種別、右折および左折、交通規制などに応じた所定の定数を乗じた値であり、誘導経路として適正の程度を数値化したものである。例えば、そのリンクを走行する場合の所要時間を道路種別等から計算により求めて、そのリンクの通過に必要な時間を例えば分単位で示したものをリンクのコストとして使用する。また、リンクのコストは、そのリンクを走行する場合の実際の所要時間を統計的に求めても良いし、そのリンクに対応した実際の道路の法定速度から計算により求めても良い。
【0021】
13は車両の現在位置を測定する位置測定部であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含んでいる。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0022】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車位置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0023】
14は地図情報メモリであり、DVD−ROM制御部12の制御によってDVD−ROM11から読み出された地図データを一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部12は、位置測定部13から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な地図データをDVD−ROM11から読み出して地図情報メモリ14に格納する。
【0024】
15はリモートコントローラ(リモコン)等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置10に対して各種の情報(例えば、経路誘導の目的地や経由地)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、拡大/縮小操作、手動地図スクロール、数値入力など)を行ったりするための各種操作子(ボタンやジョイスティック等)を備えている。16はリモコンインタフェースであり、リモコン15からその操作状態に応じた赤外線信号を受信する。なお、ここではリモコン15を用いる例について説明しているが、タッチパネルを用いても良い。
【0025】
17はプロセッサ(CPU)であり、ナビゲーション装置10の全体を制御する。18はROMであり、各種プログラム(誘導経路探索処理プログラム、オフルート時の経路再探索処理プログラム、Uターン情報提供処理プログラム等)を記憶する。19はRAMであり、各種処理の過程で得られるデータや、各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。
【0026】
CPU17は、ROM18に記憶されている誘導経路探索処理プログラムに従って、地図情報メモリ14に格納された地図データを用いて、現在地(出発地)と目的地との間を結ぶ走行経路を所定の条件下で探索する。例えば、時間最短、距離最短、料金最小等の何れかの条件下でコストが最小となる誘導経路を探索する。なお、誘導経路を探索するときの条件は、ユーザが任意に指定できるようにしても良い。
【0027】
また、CPU17は、ROM18に記憶されている経路再探索処理プログラムに従って、誘導経路探索処理プログラムの実行により探索された誘導経路の案内中に当該誘導経路から自車位置が外れるというオフルートが生じた場合に、オフルート直後の現在位置から目的地までの誘導経路を再度探索し、案内を継続する処理を行う。
【0028】
また、CPU17は、ROM18に記憶されているUターン情報提供処理プログラムに従って、経路再探索処理プログラムの実行により求められた再探索経路上において現在位置の前方に存在する地点でUターンをするようなUターン経路を探索する。そして、当該Uターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報を求め、Uターン地点を表すマークと共に画面表示する処理を行う。このUターン情報提供処理の詳細については後述する。
【0029】
CPU17が誘導経路探索処理プログラムによって誘導経路(初期の推奨ルート)を探索するとき、および、経路再探索処理プログラムによって再探索経路を探索するときは、Uターンの関係にあるリンク間に対して大きなコストを設定しておくことにより、Uターンを含む誘導経路や再探索経路が設定され難くなるようにする。一方、CPU17がUターン情報提供処理プログラムによってUターン経路を探索するときは、設定したUターン地点のリンクに対するコストを極力小さくすることにより、当該Uターン地点で必ずUターンが発生するような経路を探索するようにする。
【0030】
20は探索経路メモリであり、CPU17が誘導経路探索処理プログラムによって探索した誘導経路のデータを記憶する。誘導経路のデータは、現在地(出発地)から目的地までの各ノードに対応させて、各ノードの位置と、各ノードが交差点か否かを表す交差点識別フラグとを記憶したものである。
【0031】
また、探索経路メモリ20は、CPU17が経路再探索処理プログラムによって探索した再探索経路のデータを記憶する。再探索経路のデータは、オフルート後の現在位置から目的地までの各ノードに対応させて、各ノードの位置と、各ノードが交差点か否かを表す交差点識別フラグとを記憶したものである。また、探索経路メモリ20は、オフルートしたノードの位置を、オフルート地点ノードの情報として記憶する。
【0032】
さらに、探索経路メモリ20は、CPU17がUターン情報提供処理プログラムによって探索したUターン経路のデータを記憶する。Uターン経路のデータは、オフルート後の現在位置から再探索経路を進み、Uターン地点でUターンをして目的地に至るまでの各ノードに対応させて、各ノードの位置と、各ノードが交差点か否かを表す交差点識別フラグとを記憶したものである。
【0033】
21はディスプレイコントローラであり、地図情報メモリ14に格納された地図データに基づいて、表示装置28への表示に必要な地図画像データを生成する。22はビデオRAMであり、ディスプレイコントローラ21によって生成された地図画像データを一時的に格納する。すなわち、ディスプレイコントローラ21によって生成された地図画像データはビデオRAM22に一時的に格納され、1画面分の地図画像データが読み出されて画像合成部27に出力される。
【0034】
23はメニュー発生部であり、リモコン15を用いて各種の操作を行う際に必要なメニュー画像を発生して出力する。24は誘導経路発生部であり、探索経路メモリ20に記憶された誘導経路探索処理プログラムの処理結果を使用して、誘導経路の描画データを発生する。すなわち、探索経路メモリ20に記憶された誘導経路データの中から、その時点でビデオRAM22に描画された地図エリアに含まれるものを選択的に読み出し、地図画像に重ねて所定色で太く強調した誘導経路の描画データを生成する。また、自車が誘導経路前方にある案内交差点から所定距離内に接近したときに、接近中の案内交差点の拡大図画像を生成する。
【0035】
また、誘導経路発生部24は、探索経路メモリ20に記憶された経路再探索処理プログラムの処理結果を使用して、再探索経路の描画データを発生する。すなわち、経路再探索処理プログラムによって再探索経路が設定されたときは、上述した誘導経路の描画データに代えて、再探索経路の描画データを発生する。この再探索経路の描画データも、地図画像に重ねて再探索経路を所定色で太く強調したものである。
【0036】
25はマーク発生部であり、マップマッチング処理された後の自車位置に表示する車両位置マークや、施設を表示する各種ランドマーク等を発生して出力する。なお、マップマッチング処理とは、地図情報メモリ14に読み出されている地図データと、位置測定部13によって測定されたGPS受信機による自車位置および車両方位のデータと、自立航法センサによる推定車両位置および車両方位のデータとを用いて、自車の走行位置を地図データの道路上に位置修正する処理のことを言う。
【0037】
また、マーク発生部25は、Uターン情報提供処理プログラムによってUターン経路が探索されたときに、そのUターン経路上に設定されたUターン地点に表示するUターンマーク、Uターン経路を進んだ場合の目的地までの所要時間と再探索経路を進んだ場合の目的地までの所要時間とが同じになる同時地点に表示する同時地点マークを発生して出力する。
【0038】
Uターン情報発生部26は、Uターン情報提供処理プログラムによってUターン経路が探索されたときに、Uターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報を表す描画データを発生して出力する。ここで発生する描画データは、例えば、Uターン経路を走行してオフルート地点に戻るまでの所要時間および距離の情報(以下、これを「オフルート地点表示モードの情報」と呼ぶ)を表す描画データである。または、Uターン経路を走行して目的地に至るまでの所要時間と再探索経路を走行して目的地に至るまでの所要時間との差分、および、Uターン経路を走行した場合の目的地までの距離と再探索経路を走行した場合の目的地までの距離と差分に関する情報(以下、これを「差分表示モードの情報」と呼ぶ)を表す描画データであっても良い。
【0039】
上述の画像合成部27は、各種画像を合成して出力する。すなわち、ディスプレイコントローラ21によって読み出された地図画像データに、メニュー発生部23、誘導経路発生部24、マーク発生部25、Uターン情報発生部26のそれぞれから出力される各画像データを重ねて画像合成を行い、表示装置28に出力する。これにより、表示装置28の画面上には、自車位置周辺の地図情報が車両位置マークや各種ランドマーク等と共に表示される。また、誘導経路が設定されているときは、この地図上に誘導経路が表示されるとともに、車両の位置が案内交差点近傍に近づいたときに交差点拡大図が表示される。また、当該誘導経路から自車位置がオフルートしたときには、地図上に再探索経路が表示されるとともに、オフルート地点表示モードまたは差分表示モードの情報がUターンマーク、同時地点マークと共に表示される。
【0040】
図2は、上述のCPU17によって実現される機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、CPU17は、その機能構成として、誘導経路探索部30、オフルート検出部31、オフルート地点記録部32、経路再探索部33、Uターン経路探索部34および情報提供部35を備えている。
【0041】
誘導経路探索部30は、地図情報メモリ14に格納されている地図データを用いて、現在地(出発地)と目的地との間を結ぶ誘導経路を探索し、取得した誘導経路のデータを探索経路メモリ20に格納する。このとき、Uターンの関係にあるリンク間には大きなコストが設定されるので、Uターンを含む誘導経路は殆ど探索されない。
【0042】
オフルート検出部31は、位置測定部13により測定されている車両位置の情報と、探索経路メモリ20に格納された誘導経路のデータとに基づいて、車両位置が誘導経路上に存在するか否かを常時監視しており、車両位置が誘導経路から外れたときに、オフルートの発生を検出する。オフルート地点記録部32は、オフルート検出部31によってオフルートの発生が検出されたときに、オフルートした地点のノード情報を探索経路メモリ20に格納する。
【0043】
また、経路再探索部33は、オフルート検出部31によりオフルートの発生が検出されたときに、地図情報メモリ14に格納されている地図データを用いて、オフルート直後の現在位置から目的地までの誘導経路を再探索する。そして、取得した再探索経路のデータを探索経路メモリ20に格納する。このときも、Uターンの関係にあるリンク間には大きなコストが設定されるので、Uターンを含む再探索経路は殆ど探索されない。
【0044】
なお、経路を再探索する際の方法として、次の2つの方法が考えられる。1つ目は、オフルート地点まで誘導し、そこから元の推奨ルートに戻る経路を探索する方法である。この場合は、例えばオフルート地点記録部32によって探索経路メモリ20に格納されたオフルート地点を仮に経由地とし、オフルート後の現在位置から経由地を通って目的地に至る経路を探索する。2つ目は、オフルート地点に戻るという条件を付けずに、オフルート後の現在位置から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を探索する方法である。本実施形態では、何れの方法で再探索経路を求めても良い。
【0045】
Uターン経路探索部34は、経路再探索部33により求められた再探索経路上の地点で、現在位置の前方に存在する所定の地点をUターン地点に設定し、現在位置からオフルート地点まで戻って目的地に至る経路を探索する。そして、取得したUターン経路のデータを探索経路メモリ20に格納する。このとき、設定したUターン地点のリンクには小さなコストが設定されるので、当該Uターン地点でUターンをする経路が探索される。
【0046】
ここで、Uターン地点に設定する所定の地点は、例えば、現在位置の前方に存在する再探索経路上のノードであって、現在位置から所定範囲内(例えば、所定の距離以内または所定の走行時間以内)に存在するノードである。この所定範囲内に存在するノードは、全てUターン地点に設定する。または、地図情報メモリ14に格納されている地図データを用いて道路幅を調べ、所定範囲内に存在する各ノードのうち、道路幅が所定値以上のノードをUターン地点に設定するようにしても良い。
【0047】
情報提供部35は、Uターン経路探索部34により求められたUターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報を求める。そして、求めた情報をUターン情報発生部26に出力し、オフルート地点表示モードの情報または差分表示モードの情報を表示装置27に表示するための描画データをUターン情報発生部26に発生させる。また、情報提供部35は、Uターン経路探索部34により設定されたUターン地点の情報をマーク発生部25に出力し、再探索経路上のUターン地点に表示するためのUターンマークをマーク発生部25に発生させる。
【0048】
また、情報提供部35は、Uターン経路探索部34により探索されたUターン経路を進んだ場合の目的地までの所要時間と、経路再探索部33により設定された再探索経路を進んだ場合の目的地までの所要時間とが同じになる同地地点の情報をマーク発生部25に出力し、再探索経路上の同時地点に表示するための同時地点マークをマーク発生部25に発生させる。
【0049】
次に、上記のように構成した本実施形態によるナビゲーション装置10の動作について説明する。図3は、本実施形態によるナビゲーション装置10の動作例を示すフローチャートである。図3において、CPU17の誘導経路探索部30は、地図情報メモリ14に格納されている地図データを用いて、現在地(出発地)と目的地との間を結ぶコストが最小の経路を探索し、得られた経路を誘導経路として設定する(ステップS1)。CPU17は、その設定された誘導経路に従って走行案内を実施する(ステップS2)。
【0050】
この走行案内の実行中に、オフルート検出部31は、オフルートが発生したか否かを判定する(ステップS3)。ここで、オフルートの発生が検出されない場合は、ステップS2に戻って走行案内を続行する。一方、オフルートの発生が検出されると、経路再探索部33は、オフルートした後の現在位置と目的地との間を結ぶコストが最小の経路を再探索し、得られた経路を再探索経路として設定する(ステップS4)。さらに、Uターン経路探索部34は、経路再探索部33により求められた再探索経路上で現在位置の前方に存在する地点をUターン地点とし、オフルート地点まで戻って目的地に至るUターン経路を探索する(ステップS5)。
【0051】
そして、情報提供部35は、Uターン経路探索部34により求められたUターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報(オフルート地点表示モードの情報または差分表示モードの情報)を求め、これをUターン情報発生部26に出力する。また、情報提供部35は、Uターン経路探索部34により設定されたUターン地点の情報と、Uターン経路を進んだ場合の所要時間と再探索経路を進んだ場合の所要時間とが同じになる同時地点の情報とをマーク発生部25に出力する。これにより、オフルート地点表示モードの情報または差分表示モードの情報をUターンマークや同時地点マークと共に画面表示する(ステップS6)。
【0052】
ユーザは、この画面表示を見て、再探索経路をそのまま進むか、Uターンをしてオフルート地点に戻るかを判断することができる。ユーザが再探索経路を選んでUターンをしない場合は、CPU17は再探索経路に従って走行案内を行う(ステップS7)。この走行案内の実行中に、オフルート検出部31は、オフルートが発生したか否かを判定する(ステップS8)。ここで、オフルートの発生が検出されない場合は、ステップS7に戻って走行案内を続行する。
【0053】
一方、オフルートの発生が検出されると、ステップS4に戻り、経路再探索部33による経路の再探索を実行する。なお、再探索経路の走行中にユーザがUターンすることを選んで実際にUターンをすると、再探索経路に対してオフルートが発生する。図3のフローチャートではこの場合にもステップS4の処理に戻るようになっているが、再探索経路の走行中におけるUターンをオフルートとはみなさないようにしても良い。この場合は、オフルート前の誘導経路のデータを保存しておき、Uターンしてオフルート地点に戻った後は元の誘導経路に従って走行案内を実行する。また、再探索経路の走行中におけるUターンもオフルートとして経路再探索部33による経路の再探索は行うが、Uターン経路探索部34および情報提供部35の処理は行わないようにしても良い。
【0054】
以下に、本実施形態のナビゲーション装置10によって行われるUターンを含む経路案内の様々なパターンについて説明する。図4は、山道の方にオフルートし、そこからかなり先の交差点でUターンして戻ってくる経路が再探索経路として設定された例を示している。この場合、オフルート後の現在位置51の前方に存在する再探索経路上のノードであって、現在位置51から所定範囲内に存在するノードをUターン地点に設定し、各Uターン地点にUターンマーク52をそれぞれ表示する。また、このUターンマーク52と共に、オフルート地点表示モードの情報、すなわち、各Uターン地点でUターンした場合にオフルート地点53まで走行するのに要する時間および距離を表示する。なお、ここではオフルート地点表示モードの情報を表示する例について説明しているが、差分表示モードの情報を表示するようにしても良い。
【0055】
図5は、オフルート後に迂回して元のオフルート地点に戻ってくる経路が再探索経路として設定された例を示している。この場合、オフルート後の現在位置51の前方に存在する再探索経路上のノードであって、現在位置51から所定範囲内に存在するノードをUターン地点に設定し、各Uターン地点にUターンマーク52をそれぞれ表示する。また、Uターン経路を進んだ場合の所要時間と再探索経路を進んだ場合の所要時間とが同じになる地点を表す同時地点マーク54も表示する。
【0056】
また、これらのUターンマーク52および同時地点マーク54と共に、差分表示モードの情報、すなわち、Uターンをすると再探索経路を進むよりもどのくらい時間と距離を短縮できるかを表した差分の情報を表示する。ここでは差分表示モードの情報を表示する例について説明しているが、オフルート地点表示モードの情報を表示するようにしても良い。
【0057】
なお、同時地点マーク54が表示されている地点より自車位置が先に進むと、Uターンするよりも再探索経路をそのまま進んだ方が目的地に早く到達できるようになる。そこで、現在位置51から所定範囲内にあるノードであっても、同時地点のノードより先にあるノードについては、Uターンマーク52や時間、距離の情報を表示しないようにしても良い。
【0058】
図6は、オフルート後に元のオフルート地点を通らずに目的地に至る経路が再探索経路として設定された例を示している。この場合も、オフルート後の現在位置51の前方に存在する再探索経路上のノードであって、現在位置51から所定範囲内に存在するノードをUターン地点に設定し、各Uターン地点にUターンマーク52をそれぞれ表示する。また、Uターン経路を進んだ場合の所要時間と再探索経路を進んだ場合の所要時間とが同じになる地点を表す同時地点マーク54も表示する。
【0059】
また、この図6の例の場合、オフルート地点表示モードの情報と差分表示モードの情報との両方をUターンマーク52および同時地点マーク54と共に表示している。なお、この図6の例においても図5の例と同様に、現在位置51から所定範囲内にあるノードであっても、同時地点のノードより先にあるノードについては、Uターンマーク52や時間、距離の情報を表示しないようにすることが可能である。
【0060】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、オフルートの発生に応じて探索された再探索経路上の地点をUターン地点に設定し、当該Uターン地点でUターンをしてオフルート地点まで戻ってから目的地に至るUターン経路を探索する。そして、Uターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報をUターンマークと共に画面表示するようにしている。これにより、再探索経路をそのまま進むか、途中でUターンして元のオフルート地点に戻るかを判断するために有用な情報をユーザに提供することができる。この情報を受けてユーザは、再探索経路とUターン経路との何れで走行するかを容易に判断して選択することができるようになる。
【0061】
なお、上記実施形態において、オフルート地点表示モードとするか差分表示モードとするかをシステムにあらかじめ設定しておいても良いし、ユーザがシステムに対して任意に設定できるようにしても良い。
【0062】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のCPUによって実現される機能構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態のナビゲーション装置によって行われるUターンを含む経路案内の例を示す図である。
【図5】本実施形態のナビゲーション装置によって行われるUターンを含む経路案内の例を示す図である。
【図6】本実施形態のナビゲーション装置によって行われるUターンを含む経路案内の例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
17 CPU
20 探索経路メモリ
25 マーク発生部
26 Uターン情報発生部
30 誘導経路探索部
31 オフルート検出部
32 オフルート地点記録部
33 経路再探索部
34 Uターン経路探索部
35 情報提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフルートの発生を検出するオフルート検出部と、
上記オフルート検出部により上記オフルートの発生が検出されたときに、オフルート後の現在地から目的地までの経路を再探索する経路再探索部と、
上記経路再探索部により求められた再探索経路上で現在位置の前方に存在する地点をUターン地点とし、上記オフルートが発生した地点まで戻って上記目的地に至る経路を探索するUターン経路探索部と、
上記Uターン経路探索部により求められたUターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報を求め、上記Uターン地点を表すUターンマークと共に画面表示する情報提供部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
上記情報提供部は、上記Uターン経路を走行して上記オフルートが発生した地点に戻るまでの所要時間および距離の少なくとも一方を求め、上記Uターンマークと共に画面表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
上記情報提供部は、上記Uターン経路を走行して上記目的地に至るまでの所要時間と上記再探索経路を走行して上記目的地に至るまでの所要時間との差分、および、上記Uターン経路を走行した場合の上記目的地までの距離と上記再探索経路を走行した場合の上記目的地までの距離と差分の少なくとも一方を求め、当該差分情報を上記Uターンマークと共に画面表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
上記Uターン経路探索部は、上記再探索経路上で現在位置の前方に存在するノードであって、上記現在位置から所定範囲内に存在するノードをUターン地点とすることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
オフルートが発生したか否かを判定する第1のステップと、
上記オフルートの発生が検出されたときに、オフルート後の現在地から目的地までの経路を再探索する第2のステップと、
上記第2のステップにて求められた再探索経路上で現在位置の前方に存在する地点をUターン地点とし、上記オフルートが発生した地点まで戻って上記目的地に至る経路を探索する第3のステップと、
上記第3のステップにて求められたUターン経路を走行した場合の所要時間および距離の少なくとも一方に関する情報を求め、上記Uターン地点を表すUターンマークと共に画面表示する第4のステップとを有することを特徴とするUターン情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−8798(P2008−8798A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180588(P2006−180588)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】