説明

ナビゲーション装置とそのナビゲーション方法

【課題】 従来、ナビゲーション装置では、リンクコストが小さくなる経路を推奨経路とする経路探索技術が用いられており、細道路については、リンクコストを高く設定することで経路から除外している。しかし、そのような方法で細道路を除外すると、道路選択の幅が少ない出発地または目的地付近においても細道路を除外する経路を設定してしまい、効率のよい経路を提示できない場合がある。本発明の目的は、細道路の走行をなるべく避けつつ、効率のよい経路を提示する技術を提供することにある。
【解決手段】
本発明のナビゲーション装置は、所定の条件を満たす場合には、一般道から細道路を経由して再度一般道へ復帰する部分を含まない経路に限定して経路探索を行い、所定の条件を満たさない場合には、前記経路とあわせて、一般道から細道路を経由して再度一般道へ復帰する部分を含む経路を経路探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置では、走行する経路上の点であるノードと、ノードを接続するリンクと、のリンクコストを合算して、リンクコストが小さくなる経路を推奨経路とするダイクストラ法等の経路探索技術が用いられている。特許文献1には、このようなナビゲーション装置についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−80127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなナビゲーション装置では、細道路について、リンクコストを高く設定することや、経路に設定されるのを一律に禁止すること等の対策によって、細道路を含む経路の設定を避けることが可能である。しかし、そのような対策を施すと、道路選択の幅が少ない出発地または目的地付近においても細道路を除外する経路を設定してしまい、効率のよい経路を提示できない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、細道路の走行をなるべく避けつつ、効率のよい経路を提示する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係るナビゲーション装置は、出発地から目的地へ到る経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段が経路を探索する際に、道路種別が一般道から細道路となり、再度一般道となる地点を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された地点が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、を備え、前記経路探索手段は、前記判定手段により、所定の条件を満たすと判定された場合には、前記地点を含む経路を目的地まで探索し、前記判定手段により、所定の条件を満たさないと判定された場合には、前記地点を除外して経路を探索する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のナビゲーション方法は、ナビゲーション装置は、出発地から目的地へ到る経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段が経路を探索する際に、道路種別が一般道から細道路となり、再度一般道となる地点を検出する検出手段と、を備え、前記経路探索手段は、前記検出手段により検出された地点が所定の条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて、所定の条件を満たすと判定された場合には、前記地点を含む経路を目的地まで探索し、前記判定ステップにおいて、所定の条件を満たさないと判定された場合には、前記地点を除外して経路を探索するステップと、を実施する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、リンクテーブルの構成を示す図である。
【図3】図3は、経路情報テーブルの構成を示す図である。
【図4】図4は、演算処理部の機能構成図である。
【図5】図5は、詳細経路探索処理のフロー図である。
【図6】図6は、出発地と目的地と道路の位置関係を示す図である。
【図7】図7は、出発地と目的地と道路の位置関係を示す図である。
【図8】図8は、詳細経路探索処理の変形例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態を適用した車載装置であるナビゲーション装置100について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に、ナビゲーション装置100の構成図を示す。
【0011】
ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42を備える)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、を備えている。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10等から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。
【0013】
また、演算処理部1は、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地(あるいは経由地、中継地、立ち寄り地等、ユーザが向かう地点)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0014】
ナビゲーション装置100の演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1と接続するためのI/F(インターフェイス)24と、を有する。
【0015】
ディスプレイ2は、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0016】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0017】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル200と、経路情報テーブル250と、が記憶されている。
【0018】
図2は、リンクテーブル200の構成を示す図である。リンクテーブル200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)201ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ202を含んでいる。
【0019】
リンクデータ202は、リンクの識別子であるリンクID211ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの長さを示すリンク長224、予め記憶されたリンク旅行時間225、当該リンクの開始ノードに接続するリンクである開始接続リンクと、当該リンクの終了ノードに接続するリンクである終了接続リンクと、を特定する開始接続リンク、終了接続リンク226、リンクを含む道路の制限速度を示す制限速度227、などを含んでいる。
【0020】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。
【0021】
図3は、経路情報テーブル250の構成を示す図である。経路情報テーブル250は、経路を特定する経路番号ごとに、走行するリンクの走行順と、走行するリンクを特定するIDと、当該リンクの道路属性と、を格納するテーブルである。
【0022】
例えば、経路情報テーブル250は、経路を特定する経路番号251と、走行するリンクの走行順番を特定する順番252と、走行するリンクを特定するリンクID253と、リンクID253で特定される道路の属性を特定する道路属性254と、を含んでいる。
【0023】
経路番号251には、経路を他の経路から識別する情報である経路番号が格納される。
【0024】
順番252には、当該経路を構成するリンクの走行順を特定する情報が格納される。
【0025】
リンクID253には、経路を構成するリンクのうち、順番252で特定される順で特定されるリンクを特定する情報であるリンクIDが格納される。
【0026】
道路属性254には、リンクID253により特定されるリンクの道路属性、すなわち、「一般道」や「細道路」についての情報が格納される。また、「一般道」には、「国道」、「都道府県道」、「市区町村道」等の管理元の種類に応じた道路の属性が含まれる。
【0027】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などのナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0028】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された使用者へのメッセージを音声信号として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0029】
入力装置5は、使用者からの指示を使用者による操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0030】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0031】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0032】
ROM装置6は、CD-ROMやDVD-ROM等のROM(Read Only Memory)や、IC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0033】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。
【0034】
車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。
【0035】
ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。
【0036】
GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定するものである。
【0037】
FM多重放送受信装置10は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0038】
ビーコン受信装置11は、VICS情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報や緊急警報などを受信する。例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等の受信装置である。
【0039】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、経路探索部104と、経路除外部105と、を有する。
【0040】
主制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、各種センサ、GPS受信装置9等の情報を取得し、マップマッチング部104等に依頼して現在地を特定する。また、随時、走行した日付および時刻と、位置と、を対応付けて、リンクごとに走行履歴を記憶装置3に記憶する。さらに、各処理部からの要求に応じて、現在時刻を出力する。また、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索し、推奨経路から逸脱しないよう、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0041】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力された使用者からの指示を受け付け、その要求内容に対応する処理を実行するように演算処理部1の各部を制御する。例えば、使用者が推奨経路の探索を要求したときは、目的地を設定するため、地図をディスプレイ2に表示する処理を出力処理部103に要求する。
【0042】
出力処理部103は、表示させる画面情報を受け取り、ディスプレイ2に描画するための信号に変換してディスプレイ2に対して描画する指示を行う。
【0043】
経路探索部104は、主制御部101により検出した現在地を示す情報と、リンクテーブル200に格納された地図データ等を用いて、目的地に到るまでの経路を探索する。具体的には、例えば、経路探索部104は、現在地を示す情報により示される位置を出発地として、目的地へ到る経路をダイクストラ法等の経路探索法に従って探索する。なお、経路探索部104は、探索した結果得られた経路を経路情報テーブル250に格納し、そのうちの一つを推奨経路として記憶する。
【0044】
経路除外部105は、経路探索部104にて経路を探索する際に、一般道から細道路を経由して一般道に復帰するという特徴を有する経路を除外する。なお、経路除外部105は、細道路から一般道に復帰する地点が、出発地付近または目的地付近である経路については、除外対象としない。
【0045】
上記した演算処理部1の各機能部、すなわち主制御部101、入力受付部102、出力処理部103、経路探索部104、経路除外部105は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM21には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0046】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0047】
また、各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0048】
[動作の説明]
次に、ナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0049】
図5は、経路探索時において、細道路から一般道へ復帰する経路を探索対象から除外する詳細経路探索処理のフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100が目的地の指定を伴う使用者からの経路探索の指示を受け付けることで開始される。
【0050】
まず、経路探索部104は、出発地からのコストが最小となる隣接ノードを探索先端として特定する。そして、当該探索先端へ到るリンクの属性を、現リンク属性として格納する(ステップS001)。
【0051】
具体的には、経路探索部104は、主制御部101に現在地を問い合わせ、主制御部101は、現在地(出発地)を特定して経路探索部104に受け渡す。そして、経路探索部104は、現在地を出発地として設定し、出発地に隣接する(1リンク内で到達する)ノードを特定する。そして、経路探索部104は、そのようなノードのうち、出発地からのリンクコストが最小となるような隣接ノードを特定し、当該ノードを探索先端として特定する。そして、経路探索部104は、探索先端へ到るリンクを特定し、当該リンクの属性を現リンク属性として格納する。例えば、経路探索部104は、探索先端へ到るリンクの道路属性を、リンクテーブル200に格納された当該リンクについてのリンクデータのうち、道路種別223の情報を取得することで特定する。
【0052】
次に、経路探索部104は、探索先端に隣接するノードのうち、出発地からのリンクコストが最小となるノードを新たに探索先端として特定する。そして、現リンク属性として格納されていた属性を、前リンク属性として格納し、当該探索先端へ到るリンクの属性を、現リンク属性として格納する(ステップS002)。
【0053】
具体的には、経路探索部104は、探索先端に隣接する(1リンク内で到達する)ノードを特定する。そして、経路探索部104は、そのようなノードのうち、出発地からのリンクコストが最小となるような隣接ノードを特定し、当該ノードを新たに探索先端として特定する。そして、経路探索部104は、探索先端へ到るリンクを特定し、当該リンクの属性を現リンク属性として格納する。その際、既に格納されている現リンク属性を前リンク属性として退避させる。
【0054】
次に、経路探索部104は、探索先端が目的地と接するか否かを判定する(ステップS003)。具体的には、経路探索部104は、探索先端として特定されているノードが、目的地への最寄りのリンクと接するノードであるか否かを判定する。
【0055】
探索先端が目的地と接する場合(ステップS003にて「Yes」)、経路探索部104は、詳細経路探索処理を終了させ、当該経路を経路の候補として使用者に提示するよう主制御部101に依頼等を行う。
【0056】
探索先端が目的地と接しない場合(ステップS003にて「No」)、経路除外部105は、前リンク属性が「一般道」にあてはまり、かつ、現リンク属性の情報が「細道路」であるか否かを判定する(ステップS004)。具体的には、経路除外部105は、ステップS002にて格納した前リンク属性の情報が「一般道」すなわち「国道」、「都道府県道」、「市区町村道」等であるか否かを判定する。前リンク属性の情報が「一般道」であれば、経路除外部105は、ステップS002にて格納した現リンク属性の情報が「細道路」であるか否かを判定する。
【0057】
前リンク属性の情報が「一般道」に当てはまり、かつ、現リンク属性が「細道路」である場合(ステップS004にて「Yes」)、経路除外部105は、図示しないRAM22上のフラグ情報を「ON」に設定する。そして、経路除外部105は、処理をステップS002に戻す(ステップS005)。
【0058】
前リンク属性の情報が「一般道」に当てはまらない、または、現リンク属性が「細道路」でない場合(ステップS004にて「No」)、経路除外部105は、フラグ情報が「ON」、かつ、前リンク属性の情報が「細道路」であり、かつ、現リンク属性の情報が「一般道」に当てはまる、か否かを判定する(ステップS006)。
【0059】
具体的には、経路除外部105は、ステップS005にて設定するRAM22上のフラグ情報が「ON」に設定されているか否かを判定する。フラグ情報が「ON」に設定されていれば、経路除外部105は、前リンク属性の情報が「細道路」であるか否かを判定する。前リンク属性の情報が「細道路」であれば、経路除外部105は、現リンク属性の情報が「一般道」すなわち「国道」、「都道府県道」、「市区町村道」等であるか否かを判定する。
【0060】
フラグ情報が「ON」でない、または、前リンク属性の情報が「細道路」でない、または、現リンク属性の情報が「一般道」に当てはまらない場合(ステップS006にて「No」)、経路除外部105は、処理をステップS002に戻す。
【0061】
フラグ情報が「ON」である、かつ、前リンク属性の情報が「細道路」である、かつ、現リンク属性の情報が「一般道」に当てはまる場合(ステップS006にて「Yes」)、経路除外部105は、探索先端が出発地または目的地から所定距離内にあるか否かを判定する(ステップS007)。具体的には、経路除外部105は、探索先端のノードの位置が、出発地から所定距離内(例えば、予め定められた距離である300m以内)の位置であるか否か、および、目的地から所定距離内(例えば、予め定められた距離である300m以内)の位置であるか否かを判定する。そして、経路除外部105は、探索先端のノードが、出発地から所定距離内にある、または、目的地から所定距離内にある、のいずれかの条件を満たすか否かを判定する。
【0062】
探索先端が出発地または目的地から所定距離内にある場合(ステップS007にて「Yes」)、経路除外部105は、処理をステップS002に戻す。
【0063】
探索先端が出発地および目的地から所定距離内にない場合(ステップS007にて「No」)、経路除外部105は、探索先端のノードを行き止まりノードとして設定し、探索先端のノードの次点の最小コストとなる隣接ノードを探索先端として設定し、探索先端へ到るリンクの属性を現リンク属性として格納する。そして、経路除外部105は、処理をステップS003へ戻す。
【0064】
以上が、詳細経路探索処理の処理内容である。なお、上記処理フローにおいては、ステップS007にて用いる所定距離について、出発地からの所定距離と目的地からの所定距離とが同じであるが、これに限られず、距離が異なっていてもよい。
【0065】
上記の詳細経路探索処理を行う事によって、ナビゲーション装置100は、経路探索時に、一般道から細道路を通り、再び一般道に戻るという経路を探索しないようにすることができる。なお、細道路から一般道に戻る地点が、出発地付近あるいは目的地付近である場合には、一般道から細道路を通り、再び一般道に戻る経路であっても、経路探索可能である。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0067】
本発明の一実施形態によると、ナビゲーション装置100は、細道路の走行をなるべく避けつつ、効率のよい経路を設定することができる。
【0068】
図6、図7は、本発明に係るナビゲーション装置による経路探索例を示す図である。
【0069】
図6および図7では、出発地300(または出発地305)と、目的地301(または目的地306)と、が示されており、付近の道路として、一般道属性を有するリンク310、311、312、313、314、と、細道路属性を有するリンク315と、が示されている。リンク310は、ノード320においてリンク311と接続しており、リンク311、ノード322においてリンク312と接続している。また、リンク312は、ノード323においてリンク313と接続しており、リンク313は、ノード324においてリンク314と接続している。また、リンク314と、リンク315とは、ノード321において接続しており、リンク315は、ノード320においてリンク310、311と接続している。
【0070】
図6(a)においては、出発地300は、リンク310に沿うように位置し、出発地300の所定距離内の領域350には、リンク310とリンク315とが接続するノード320が含まれている。また、目的地301は、リンク314に沿うように位置し、目的地301の所定距離内の領域360には、リンク314とリンク315とが接続するノード321が含まれている。
【0071】
このような場合には、出発地300から目的地301に向かう経路を探索すると、仮にリンクコストがいずれのリンクも同一であると仮定すると、リンク310からノード320においてリンク315へ進入し、ノード321においてリンク314へ到る経路が最小コストの経路となる。
【0072】
そして、図6(a)においては、経路探索部104が探索する経路も、当該最短経路となる。具体的に説明すると、まず、リンク310の属性は「一般道」であり、リンク315の属性は「細道路」であり、リンク314の属性は「一般道」である。細道路を経由する経路に該当するために探索できないという詳細経路探索処理の仕様により、このような経路は探索不可のようにも思われる。しかし、図6(a)の状態では、細道路から一般道へ復帰するノード、即ちリンク315からリンク314へ進入するノード321の位置が、目的地301から所定の距離内の領域360に含まれるため、このような経路であっても探索が可能となる。
【0073】
図6(b)においては、出発地305は、リンク311に沿うように位置し、出発地305の所定距離内の領域350には、リンク310とリンク315とが接続するノード320が含まれない。また、目的地306は、リンク314に沿うように位置し、目的地306の所定距離内の領域360には、リンク314とリンク315とが接続するノード321が含まれない。
【0074】
このような場合には、出発地305から目的地306に向かう経路を探索すると、仮にリンクコストがいずれのリンクも同一であると仮定すると、リンク311からノード320においてリンク315へ進入し、ノード321においてリンク314へ到る経路が最小コストの経路となる。
【0075】
しかし、図6(b)においては、経路探索部104が探索する経路は、当該最短経路とはならず、例えば、リンク311からノード322においてリンク312へ進入し、ノード323においてリンク313へ進入し、ノード324においてリンク314へ到る経路が経路となる。
【0076】
具体的に説明すると、まず、最小コストとなる経路においては、リンク311の属性は「一般道」であり、リンク315の属性は「細道路」であり、リンク314の属性は「一般道」である。細道路を経由する経路に該当するために探索できないという詳細経路探索処理の仕様により、このような経路はノード321が通行不可として設定されるため、探索されない。さらに、図6(b)の状態では、細道路から一般道へ復帰するノード、即ちリンク315からリンク314へ進入するノード321の位置が、目的地306から所定の距離内の領域360に含まれないため、除外の例外も適用されない。そのため、最小コストとなる経路は探索されず、リンク311からノード322においてリンク312へ進入し、ノード323においてリンク313へ進入し、ノード324においてリンク314へ到る経路が探索される。
【0077】
図7(a)においては、出発地300は、リンク310に沿うように位置し、出発地300の所定距離内の領域350には、リンク310とリンク315とが接続するノード320が含まれる。また、目的地306は、リンク314に沿うように位置し、目的地306の所定距離内の領域360には、リンク314とリンク315とが接続するノード321が含まれる。
【0078】
このような場合には、出発地300から目的地306に向かう経路を探索すると、仮にリンクコストがいずれのリンクも同一であると仮定すると、リンク310からノード320においてリンク315へ進入し、ノード321においてリンク314へ到る経路が最小コストの経路となる。
【0079】
しかし、図7(a)においては、経路探索部104が探索する経路は、当該最短経路とはならず、例えば、リンク310からノード320においてリンク311へ進入し、リンク311からノード322においてリンク312へ進入し、ノード323においてリンク313へ進入し、ノード324においてリンク314へ到る経路が経路となる。
【0080】
具体的に説明すると、まず、最小コストとなる経路においては、リンク310の属性は「一般道」であり、リンク315の属性は「細道路」であり、リンク314の属性は「一般道」である。細道路を経由する経路に該当するために探索できないという詳細経路探索処理の仕様により、このような経路はノード321が通行不可として設定されるため、探索されない。さらに、図7(a)の状態では、細道路から一般道へ復帰するノード、即ちリンク315からリンク314へ進入するノード321の位置が、目的地306から所定の距離内の領域360に含まれないため、除外の例外も適用されない。そのため、最小コストとなる経路は探索されず、リンク310からノード320においてリンク311へ進入し、リンク311からノード322においてリンク312へ進入し、ノード323においてリンク313へ進入し、ノード324においてリンク314へ到る経路が探索される。
【0081】
図7(b)においては、出発地305は、リンク311に沿うように位置し、出発地305の所定距離内の領域350には、リンク310とリンク315とが接続するノード320が含まれない。また、目的地301は、リンク314に沿うように位置し、目的地301の所定距離内の領域360には、リンク314とリンク315とが接続するノード321が含まれている。
【0082】
このような場合には、出発地305から目的地301に向かう経路を探索すると、仮にリンクコストがいずれのリンクも同一であると仮定すると、リンク311からノード320においてリンク315へ進入し、ノード321においてリンク314へ到る経路が最小コストの経路となる。
【0083】
そして、図7(b)においては、経路探索部104が探索する経路も、当該最短経路となる。具体的に説明すると、まず、リンク311の属性は「一般道」であり、リンク315の属性は「細道路」であり、リンク314の属性は「一般道」である。細道路を経由する経路に該当するために探索できないという詳細経路探索処理の仕様により、このような経路は探索不可のようにも思われる。しかし、図7(b)の状態では、細道路から一般道へ復帰するノード、即ちリンク315からリンク314へ進入するノード321の位置が、目的地301から所定の距離内の領域360に含まれるため、このような経路であっても探索が可能となる。
【0084】
本発明は、上記実施形態に制限されない。上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態における詳細経路探索処理について、図8に示す処理内容とすることが可能である。
【0085】
図8は、経路探索時において、細道路から一般道へ復帰する経路を探索対象から除外する詳細経路探索処理のフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100が目的地の指定を伴う使用者からの経路探索の指示を受け付けることで開始される。
【0086】
まず、経路探索部104は、出発地目的地へ到る複数の経路を、ダイクストラ法等の探索方法により探索する(ステップS101)。
【0087】
次に、経路探索部104は、ステップS101で探索した複数の経路のうち、未評価のものがあるか否かを判定する(ステップS102)。
【0088】
未評価の経路がない場合(ステップS102にて「No」)、経路探索部104は、「非除外」評価の経路を推奨経路の候補として使用者に提示して、詳細経路探索処理を終了させる(ステップS103)。
【0089】
未評価の経路がある場合(ステップS102にて「Yes」)、経路除外部105は、未評価の経路から一つの経路を選択する(ステップS104)。
【0090】
次に、経路除外部105は、選択した経路の出発地から目的地に向かう順序に従って、リンクの属性が「一般道」であるリンクよりも目的地側に、「細道路」であるリンクを含み、さらにその目的地側で「一般道」であるリンクを含むという特徴を有する部分を含まないか否かを判定する(ステップS105)。
【0091】
当該特徴を有する部分を含まない場合(ステップS105において「Yes」)、経路除外部105は、ステップS109に処理を進める。
【0092】
当該特徴を有する部分を含む場合(ステップS105において「No」)、経路除外部105は、当該部分のうち「一般道」から「細道路」へ進入する交差点を示す全てのノードが、出発地付近または目的地付近に含まれるか否かを判定する(ステップS106)。
【0093】
具体的には、経路除外部105は、当該部分のうち「一般道」から「細道路」へ進入する交差点を示すノードを全て抽出して、抽出した全てのノードが、出発地から所定距離(例えば300m)内または目的地から所定距離(例えば300m)内のいずれかの範囲に含まれるか否かを判定する。
【0094】
「一般道」から「細道路」へ進入する交差点を示すノードのうち一つでも、出発地付近または目的地付近に含まれないノードがある場合(ステップS106にて「No」)、経路除外部105は、当該選択経路の評価を「除外」とする。そして、経路除外部105は、処理をS102に戻す(ステップS107)。
【0095】
「一般道」から「細道路」へ進入する交差点を示す全てのノードが、出発地付近または目的地付近に含まれる場合(ステップS106にて「Yes」)、経路除外部105は、当該部分のうち「細道路」から「一般道」へ進入する交差点を示す全てのノードが、出発地付近または目的地付近に含まれるか否かを判定する(ステップS108)。
【0096】
具体的には、経路除外部105は、ステップS105において判定した特徴を有する部分のうち「細道路」から「一般道」へ進入する交差点を示すノードを全て抽出して、抽出した全てのノードが、出発地から所定距離(例えば300m)内または目的地から所定距離(例えば300m)内のいずれかの範囲に含まれるか否かを判定する。
【0097】
「細道路」から「一般道」へ進入する交差点を示すノードのうち一つでも、出発地付近または目的地付近に含まれないノードがある場合(ステップS108にて「No」)、経路除外部105は、処理をステップS107に進めて、当該選択経路を「除外」評価とする。
【0098】
「一般道」から「細道路」へ進入する交差点を示す全てのノードが、出発地付近または目的地付近に含まれる場合(ステップS108にて「Yes」)、経路除外部105は、当該選択経路の評価を「非除外」とする。そして、経路除外部105は、処理をS102に戻す(ステップS109)。
【0099】
以上が、詳細経路探索処理の変形例の内容である。
【0100】
このようにすることで、ナビゲーション装置100の中では演算処理負荷が高い処理である経路探索処理の演算量の増加を抑えつつ、細道路を経由する経路を探索経路から除外することが可能となる。
【0101】
また、当該変形例においては、一般道から細道路への進入ノードが、出発地付近または目的地付近に含まれない場合には、「除外」されるという点において、上記実施形態とは若干異なる。これを上記実施形態と同様の仕様とするためには、図8のステップS106の処理を実施しないように変形すればよい。このように変形することで、細道路から一般道への復帰ノードが出発地付近または目的地付近に含まれる場合には「除外」評価されない、という上記実施形態と同様の仕様とすることができる。
【0102】
以上が、変形の例である。
【0103】
なお、上記の実施形態では、本発明を車載ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載ナビゲーション装置に限らず、ナビゲーション装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声出入力装置、5・・・入力装置、6・・・ROM装置、7・・・車速センサ、8・・・ジャイロセンサ、9・・・GPS受信装置、10・・・FM多重放送受信装置、11・・・ビーコン受信装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・I/F、25・・・バス、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、100・・・ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・出力処理部、104・・・経路探索部、105・・・経路除外部、200・・・リンクテーブル、250・・・経路情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地へ到る経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段が経路を探索する際に、道路種別が一般道から細道路となり、再度一般道となる地点を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された地点が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記経路探索手段は、
前記判定手段により、所定の条件を満たすと判定された場合には、前記地点を含む経路を目的地まで探索し、
前記判定手段により、所定の条件を満たさないと判定された場合には、前記地点を除外して経路を探索する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記検出手段により検出された地点が、前記出発地から所定距離内の範囲に含まれること、または、前記目的地から所定距離内の範囲に含まれること、を前記所定の条件とする、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、前記探索する経路を前記出発地から前記目的地へ向かって探索する処理において、
前記経路上に、前記経路を構成するリンクの道路種別が一般道であるリンクから、リンクの道路種別が細道路であるリンクへ接続するノードを検出すると、当該ノードを第一のノードとして特定し、
当該第一のノードよりも目的地へ近づく方向の経路に、リンクの道路種別が細道路であるリンクからリンクの道路種別が一般道であるリンクへ接続するノードが含まれることを検出すると、当該ノードを第二のノードとして特定し、
前記第二のノードが前記出発地から所定距離内の範囲に含まれ、または、前記第二のノードが前記目的地から所定距離内の範囲に含まれる場合には、当該第二のノードを経路に含む経路を探索する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、
前記出発地から前記目的地へ到る経路を複数検索し、
当該複数の経路のうち、前記所定の条件を満たさない経路を除外する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、前記所定の条件を満たさない経路を除外した経路のうち、さらに、
道路種別が一般道から細道路となる地点が前記出発地から所定距離内の範囲に含まれず、かつ、道路種別が一般道から細道路となる地点が前記目的地から所定距離内の範囲に含まれない経路、を除外する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
ナビゲーション装置のナビゲーション方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
出発地から目的地へ到る経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段が経路を探索する際に、道路種別が一般道から細道路となり、再度一般道となる地点を検出する検出手段と、を備え、
前記経路探索手段は、
前記検出手段により検出された地点が所定の条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、所定の条件を満たすと判定された場合には、前記地点を含む経路を目的地まで探索し、前記判定ステップにおいて、所定の条件を満たさないと判定された場合には、前記地点を除外して経路を探索するステップと、
を実施する、ことを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−276397(P2010−276397A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127236(P2009−127236)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】