説明

ナビゲーション装置における参照地図データ切替方法

【課題】ナビゲーション装置が、参照する地図データを簡単に切り替えることが可能な参照地図データの切替方法を提供する。
【解決手段】地図記憶媒体30に複数の地図データが格納されているときに、ユーザーが、使用を希望する地図データを記憶した記憶メディア40をナビゲーション装置10に挿入したとき、ナビゲーション装置10は、記憶メディア40に記憶された地図データと同じ地図データが、地図記憶媒体30に格納されているか否かを判定する。そして、同じ地図データが格納されていると判定した場合には、地図記憶媒体30において、ナビゲーション装置10が現在参照している地図データから、記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データへと、参照する地図データを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に装備される地図記憶媒体に格納される地図データにおいて、ナビゲーション装置が参照する地図データを切り替える切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、例えば車両用ナビゲーション装置において、地図データ等を格納する記録媒体として、ハードディスクなどの書き換え可能な記憶媒体が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−272532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地図データに関しては、新たな道路の建設などに対応するために、定期的にバージョンアップされた地図データが作成される。そして、ナビゲーション装置の地図データを新バージョンの地図データに更新する際には、通常、ハードディスクなどの書き換え可能な地図記憶媒体において、旧バージョンの地図データの格納領域に、新バージョンの地図データが上書きされる。この結果、旧バージョンの地図データは、新バージョンの地図データによって置換され、地図記憶媒体から旧バージョンの地図データが消去される。
【0005】
しかしながら、このように、旧バージョンの地図データを削除してしまうと、万一、新バージョンの地図データに何らかの不具合が見つかったときなどに、簡単に旧バージョンの地図データに戻すことができないという問題がある。
【0006】
また、例えば欧州のように、地図データがカバーすべきエリアが非常に広い場合、そのカバーすべきエリアを複数のエリアに区分けし、それぞれのエリアごとに地図データを分けることが考えられる。このようにすれば、検索を行なう際などに、対象データの数を絞り込むことができるため、処理時間を短縮することができるためである。
【0007】
しかしながら、ナビゲーション装置を使用するエリアを変更する際に、変更前と変更後のエリアをカバーする地図データが異なる場合、地図記憶媒体に記憶された地図データを、変更前のエリアの地図データから、変更後のエリアの地図データに書き換えなければならないとすると、ユーザーにとっては非常に使い勝手が悪いものとなってしまう。
【0008】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、ナビゲーション装置が、参照する地図データを簡単に切り替えることが可能な参照地図データの切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、地図データを格納する地図記憶媒体を備え、当該地図記憶媒体に格納された地図データを参照して、ナビゲーション情報を提供するナビゲーション装置において、ナビゲーション装置が参照する地図データを切り替える参照地図データ切替方法であって、
地図記憶媒体は、複数の地図データを格納可能な記憶容量を有しており、
ユーザーが、使用を希望する地図データを記憶した記憶メディアをナビゲーション装置が読み取り可能な状態としたとき、その記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データが地図記憶媒体に格納されているか否かを判定する判定ステップと、
判定ステップにより、同じ地図データが地図記憶媒体に格納されていると判定されたときに、ナビゲーション装置が参照する地図データを、現在参照している地図データから、記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データに切り替える切替ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
このように、請求項1に記載の参照地図データの切替方法によれば、地図記憶媒体は、複数の地図データを格納可能な記憶容量を有しており、同時に複数の地図データを格納することが可能である。なお、複数の地図データはディレクトリやパーティションなどにより、それぞれの地図データごとに分けることができる。
【0011】
そして、地図記憶媒体に複数の地図データが格納されているときに、ユーザーが、使用を希望する地図データを記憶した記憶メディアをナビゲーション装置が読み取り可能な状態としたとき、ナビゲーション装置は、記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データが、地図記憶媒体に格納されているか否かを判定する。そして、同じ地図データが格納されていると判定した場合には、地図記憶媒体において、ナビゲーション装置が現在参照している地図データから、記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データへと、参照する地図データを切り替える。
【0012】
このように、請求項1の参照地図データの切替方法では、地図記憶媒体が、ユーザーが使用を希望する地図データを格納しているならば、ユーザーが、使用を希望する地図データを記憶した記憶メディアをナビゲーション装置が読み取り可能な状態とするだけで、参照地図データの切り替えが実行される。この際、地図記憶媒体に地図データを書き込む必要がないので、参照地図データの切り替えを短時間で簡単に行なうことができる。また、複数の地図データの中から参照地図データを選択したり、決定したりするための設定画面などのユーザーインターフェースを新たに構築する必要はないため、コストの大幅な増加を招くこともない。さらに、ナビゲーション装置の正規のユーザーに、地図データを記憶した記憶メディアを配布することは、通常行なわれることである。このように、通常、ユーザーに配布される記憶メディアを利用して参照地図データの切り替えを行なうため、不正規ユーザーの使用を抑制することができる。また、新たな記憶メディアを配布する必要がないため、この点においても、コストの増加を抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の参照地図データ切替方法では、判定ステップにおいて、記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データが地図記憶媒体に格納されていないと判定されたとき、ナビゲーション装置が現在参照している地図データの格納領域とは異なる地図記憶媒体の領域に記憶メディアに記憶された地図データを書き込む地図データ書込ステップを有し、地図データ書込みステップにより地図記憶媒体に書き込まれた地図データをナビゲーション装置が参照する地図データとすることを特徴とする。
【0014】
このように、ユーザーが使用を希望する地図データが地図記憶媒体に格納されていない場合には、ナビゲーション装置が現在参照している地図データの格納領域とは異なる領域に地図データを書き込む。これにより、地図記憶媒体において、ナビゲーション装置が現在参照している地図データと、書き込まれた地図データとが併存することになる。このため、書き込まれた地図データを参照地図データとした後に、以前に参照していた地図データへの切替を簡単に行なうことが可能となる。
【0015】
請求項3に記載したように、地図記憶媒体に格納される複数の地図データは、同一エリアをカバーする新旧のバージョンの地図データであることが好ましい。このように、地図記憶媒体が、同一エリアをカバーする新旧のバージョンの地図データを格納していれば、例えば参照地図データを新バージョンの地図データとしているときに、万一、新バージョンの地図データに何らかの不具合が発見された場合でも、簡単に旧バージョンの地図データに戻す(切り替える)ことができる。
【0016】
請求項4に記載したように、ナビゲーション装置は、地図データ書込ステップにおいて、記憶メディアに記憶された地図データが地図記憶媒体に書き込まれている最中であっても、地図記憶媒体に格納済みのバージョンの異なる地図データを参照して、ナビゲーション情報の提供を実行することが好ましい。これにより、地図データの書込中であっても、ナビゲーション装置の機能を停止させずに済む。
【0017】
請求項5に記載したように、地図記憶媒体に格納される複数の地図データは、異なるエリアをカバーする地図データであっても良い。地図データをエリア毎に分けることにより、検索速度の短縮等の効果が得られるためである。
【0018】
請求項6に記載したように、地図記憶媒体は、地図データの他に、地図記憶媒体に地図データを記憶する際に、利用者が正規ユーザーであることを識別するためのライセンスキー、地図データのバージョン、更新履歴情報の少なくとも1つを含む地図情報を記憶しており、判定ステップでは、記憶メディアに記憶された地図情報と、地図記憶媒体に記憶された地図情報とが一致する場合に、地図記憶媒体には、記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データが格納されていると判定されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態による、参照地図データ切替方法が適用されるナビゲーション装置の構成を示す構成図である。
【図2】新たなバージョンの地図データが地図記憶媒体に格納された場合における、参照地図データの切り替えの様子を示す説明図である。
【図3】図1のナビゲーション装置において、参照地図の切り替えのために実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態による参照地図データの切替方法について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による参照地図データ切替方法が適用されるナビゲーション装置の構成を示す構成図である。
【0021】
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置本体20と、地図記憶媒体30とからなる。
【0022】
ナビゲーション装置本体20は、主に、マイクロコンピュータ、ディスプレィ及びGPS受信機などから構成され、マイクロコンピュータの内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O、及びこれらの構成を接続するバスラインが設けられている。ROMには、ナビゲーション装置10が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。これにより、ナビゲーション装置10は、各種のナビゲーション情報の提供を行なうことができる。例えば、ナビゲーション装置10は、GPS受信機によって検出される車両の現在位置を道路地図とともに表示したり、その表示道路地図の縮尺を変更したりする。さらに、ナビゲーション装置10は、表示した道路地図をユーザーの指示に応じてスクロールさせたり、各種機能を説明するためのデモ案内なども行なう。
【0023】
また、ナビゲーション装置10は、バージョンアップ等された地図データを記憶する記憶メディア40から地図データを読み取るためのインターフェースを備えている。例えば、記憶メディア40としてデジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)を用いる場合には、ナビゲーション装置10は、DVDが挿入されるスロット及び挿入されたDVDを読み取るためのDVDリーダーを備える。ただし、記憶メディア40として、メモリカードやUSBメモリなどを用いることも可能であり、その場合には、ナビゲーション装置10は、インターフェースとして、メモリカードリーダーやUSBポートを備えることになる。
【0024】
地図記憶媒体30は、例えば記憶したデータを書き換え可能なハードディスクドライブ(HDD)からなる。このハードディスクドライブは、後述するように、複数の地図データを格納可能な記憶容量を備えている。しかし、複数の地図データを格納することが可能な記憶容量を備えている限り、HDD以外の地図記憶媒体30を用いても良い。
【0025】
上記の構成を備えたナビゲーション装置10において、参照する地図データを切り替える切替方法について、図2及び図3を用いて説明する。
【0026】
上述したように、地図記憶媒体30は、複数の地図データを格納可能な記憶容量を備えている。複数の地図データはディレクトリやパーティションなどにより、それぞれの地図データ毎に分けることができる。地図データは、地図を示すデータの他に、地図データを地図記憶媒体30に記憶する際に、利用者が正規ユーザーであることを識別するためのライセンスキー、その地図データのバージョン、更新履歴情報や仕向け地などの地図データに関係する地図情報を有するとともに、固有のファイル名が付与されて、地図記憶媒体30に格納される。従って、複数の地図データが、地図記憶媒体30に格納されているとき、地図情報、ファイル名、ファイルサイズなどにより、それぞれの地図データを識別することが可能である。そして、ナビゲーション装置10は、複数の地図データの内、特定の一の地図データを参照地図データとし、その参照地図データから地図データを読み出してナビゲーション情報の提供を行なう。
【0027】
地図記憶媒体30が複数の地図データを格納する状況は、例えば、バージョンアップされた地図データが地図記憶媒体30に書き込まれたときに発生する。周知のように、年々、新たな道路が建設されたりして、道路の構造が変化するため、事業者により定期的に新たな地図データが作成される。このような地図データをユーザーが購入するなどして取得した場合に、ユーザーは地図データの更新のため、新バージョンの地図データを地図記憶媒体30に保存するための処理を行なう。具体的には、新バージョンの地図データを保存した記憶メディア40をナビゲーション装置10に挿入するなどして、ナビゲーション装置10が記憶メディア40の地図データを読み取り可能な状態にする。以下、同一エリアをカバーする新旧のバージョンの地図データが地図記憶媒体30に格納される場合を例として、説明を進める。
【0028】
新バージョンの地図データを記憶した記憶メディア40がナビゲーション装置10に挿入されると、ナビゲーション装置10は、図3に示すように、ステップS110において、地図を記憶した記憶メディアが挿入され、読み取り可能な状態となったと判定し、ステップS120の処理に進む。ステップS120では、記憶メディア40に記憶された地図データと同じ地図データが、地図記憶媒体30に格納されているか否かを判定する。なお、この判定処理は、上述した地図情報、ファイル名、ファイルサイズの少なくとも1つの情報に基づいて行なわれる。
【0029】
ここで、記憶メディア40には、地図記憶媒体30に記憶されるものと同等の地図データが格納されている形態の他に、更新部分のみの地図データが格納されている形態(差分情報)や通信回線を介して更新を行う場合に正規ユーザーであることを識別するためのライセンスキーのみのデータが格納されている形態がある。
【0030】
このように、全ての地図データを記憶しない形態の場合には、ファイル名やファイルサイズは一致しないため、上述したライセンスキー、その地図データのバージョン、更新履歴情報や仕向け地などの地図情報に基づいて、地図記憶媒体30に記憶される地図情報と記憶メディア40に格納されている地図情報とが一致するか否かを判定する。
【0031】
なお、上述したライセンスキーは、地図データがバージョンアップされると、各正規ユーザーに配布されるものであり、地図データのバーションが変ると、各正規ユーザーに配布されるライセンスキーも異なる。従って、ライセンスキーにより、ユーザーが使用を希望する地図のバージョンを識別することができる。
【0032】
ステップS120において、同じ地図データが地図記憶媒体30に格納されていないと判定された場合、ステップS130に進み、ナビゲーション装置10が、現在参照している地図データの格納領域とは異なる領域に、記憶メディア40に記憶された地図データを書き込む。これにより、新旧のバージョンの地図データが地図記憶媒体30に格納され、並存することになる。
【0033】
図2(a)に示すように、ナビゲーション装置10の出荷時には、地図記憶媒体30に、出荷時点で最新の地図データ(v1.0)が格納される。しかし、その後、新たなバージョンの地図データ(v2.0)がリリースされて、ユーザーがその新バージョンの地図データ(v2.0)を地図記憶媒体30に格納しようとした場合には、その地図データ(v2.0)と同一の地図データが地図記憶媒体30に格納されていない。そのため、新バージョンの地図データ(v2.0)は、上述した処理により、ナビゲーション装置10が現在参照している地図データ(v1.0)とは異なる領域に格納される。
【0034】
そして、図3のフローチャートのステップS140において、ステップS130にて書き込まれた地図データを、ナビゲーション装置10の参照地図データに切り替える。これにより、ユーザーは、新バージョンの地図データ(v2.0)に基づくナビゲーション情報の提供を受けることができるようになる。
【0035】
なお、図2(a)は、古いバーションの地図データ(v1.0)が参照地図データとなっている状態を示し、図2(b)は、書き込まれた新バージョンの地図データ(v2.0)が参照地図データとなった状態を示している。
【0036】
その後、さらに新しいバージョンの地図データ(v3.0)が作成されたとする。そして、ユーザーは、このさらに新しいバージョンの地図データ(v3.0)を地図記憶媒体30に格納させるべく、新しいバージョンの地図データ(v3.0)を記憶した記憶メディア40をナビゲーション装置10に挿入したとする。
【0037】
この場合、図3のフローチャートにおける、上述したステップS110〜S140までの処理が再び実行され、新しいバージョンの地図データ(v3.0)が、ナビゲーション装置10が現在参照している地図データ(v2.0)の格納領域以外の領域に書き込まれる。具体的には、図2(c)に示すように、同胞版として地図記憶媒体30にプレインストールされていた地図データ(v1.0)の格納領域に、新しいバージョンの地図データ(v3.0)が上書きされ、その上書きされた地図データ(v3.0)が参照地図データとなるように切り替えられる。
【0038】
なお、地図記憶媒体30が、v1.0、v2.0、及びv3.0のバージョンの地図データを格納できる記憶容量を備えている場合、v1.0の地図データの格納領域に上書きせず、別の領域に書き込むことにより、3種類の新旧のバージョンの地図データを並存させても良い。このように、地図記憶媒体30に格納する地図データの数は、地図記憶媒体30の記憶容量に依存する。
【0039】
そして、3種類以上の地図データを格納している状態で、さらに新しいバージョンの地図データを格納する際に、格納地図データの数が上限に達している際には、最も古いバージョンの地図データの格納領域に上書きすれば良い。
【0040】
ここで、参照地図データとされた地図データ(v3.0)に何らかの不具合が見つかった場合など、ユーザーは、ナビゲーション装置10の参照地図データを、以前の地図データ(v2.0)に戻したいと考える場合がありえる。
【0041】
そのような地図データのダウングレードを行なう際に、簡単に参照地図データの切り替えが行なえるようにするために、本実施形態では、以下に説明する処理を実行する。
【0042】
ただし、その処理の前提として、ユーザーによって、戻したい地図データ(v2.0)を記憶した記憶メディア40をナビゲーション装置10に挿入してもらうことが必要である。そのため、その旨の説明を、ナビゲーション装置のマニュアル等に記載しておく。
【0043】
ユーザーが、使用を希望する地図データ(v2.0)を記憶した記憶メディア40をナビゲーション装置10に挿入すると、図3のフローチャートのステップS110,S120での処理において、ともに肯定判定され、処理は、ステップS150に進む。
【0044】
ステップS150では、挿入された記憶メディア40に記憶された地図データと同じ地図データが、参照地図データとしては未使用であるか否かを判定する。このステップS150の判定処理において否定判定がなされた場合、すなわち、記憶メディア40に記憶された地図データと同一の地図データが参照地図データとして現に使用されている場合、参照地図データを切り替える必要はないので、そのまま処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS150の判定処理において肯定判定がなされた場合、ステップS160において、ナビゲーション装置10が現在参照している地図データから、記憶メディア40に記憶された地図データと同じ地図データへと、参照する地図データを切り替える。図4(d)は、参照地図データが、古いバーションの地図データ(v2.0)に切り替えられた状態を示している。
【0046】
このように、本実施形態の参照地図データの切替方法では、地図記憶媒体30が、ユーザーが使用を希望する地図データ(v2.0)を格納しているならば、ユーザーが、使用を希望する地図データ(v2.0)を記憶した記憶メディア40をナビゲーション装置10に挿入するだけで、参照地図データの切替が実行される。この際、地図記憶媒体30に地図データを書き込む必要がないので、参照地図データの切り替えを短時間で簡単に行なうことができる。
【0047】
また、地図記憶媒体30が複数の地図データを格納している場合に、複数の地図データの中から参照地図データを選択したり、決定したりするための設定画面などのユーザーインターフェースを新たに構築する必要はないので、コストの大幅な増加を招くこともない。さらに、ナビゲーション装置10の正規のユーザーに対して、地図データを記憶した記憶メディア40を配布することは、通常行なわれることである。このように、通常、ユーザーに配布される記憶メディア40を利用して参照地図データの切り替えを行なうため、不正規ユーザーの使用を抑制することができる。また、新たな記憶メディアを配布する必要がないため、この点においても、コストの増加を抑制することができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、新たなバージョンの地図データを地図記憶媒体30に書き込む必要がある場合、ナビゲーション装置10が現在参照している地図データの格納領域とは異なる領域に書き込む。従って、ナビゲーション装置10は、記憶メディア40に記憶された地図データが地図記憶媒体30に書き込まれている最中であっても、地図記憶媒体30に格納済みのバージョンの異なる地図データを参照して、ナビゲーション情報の提供を継続して実行することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0050】
例えば、上述した実施形態では、複数の地図データとして、地図記憶媒体30に、新旧のバージョンの地図データを格納する例について説明した。しかしながら、地図記憶媒体に格納する複数の地図データは、このような例に限られない。例えば、欧州のように、地図データがカバーすべきエリアが非常に広い場合、そのカバーすべきエリアを複数のエリアに区分けし(例えば西欧と東欧、もしくはさらに北欧と南欧など)、それぞれのエリアごとに地図データを分けて格納しても良い。
【0051】
そして、ユーザーがナビゲーション装置を使用するエリアを変更する場合であって、変更前と変更後のエリアをカバーする地図データが異なる場合に、変更後のエリアをカバーする地図データを記憶した記憶メディア40をナビゲーション装置10に挿入するようにする。これにより、ナビゲーション装置10の参照地図データを、変更前のエリアの地図データから、変更後のエリアの地図データに簡単に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 ナビゲーション装置
20 ナビゲーション本体
30 地図記憶媒体
40 記憶メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを格納する地図記憶媒体を備え、当該地図記憶媒体に格納された地図データを参照して、ナビゲーション情報を提供するナビゲーション装置において、ナビゲーション装置が参照する地図データを切り替える参照地図データ切替方法であって、
前記地図記憶媒体は、複数の地図データを格納可能な記憶容量を有しており、
ユーザーが使用を希望する地図データを記憶した記憶メディアをナビゲーション装置が読み取り可能な状態としたとき、その記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データが前記地図記憶媒体に格納されているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより、同じ地図データが前記地図記憶媒体に格納されていると判定されたときに、前記ナビゲーション装置が参照する地図データを、現在参照している地図データから、前記記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データに切り替える切替ステップと、を有することを特徴とするナビゲーション装置における参照地図データ切替方法。
【請求項2】
前記判定ステップにおいて、前記記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データが前記地図記憶媒体に格納されていないと判定されたとき、前記ナビゲーション装置が現在参照している地図データの格納領域とは異なる前記地図記憶媒体の領域に前記記憶メディアに記憶された地図データを書き込む地図データ書込ステップを有し、
前記地図データ書込みステップにより前記地図記憶媒体に書き込まれた地図データを前記ナビゲーション装置が参照する地図データとすることを特徴とする請求項1に記載の参照地図データ切替方法。
【請求項3】
前記地図記憶媒体に格納される複数の地図データは、同一エリアをカバーする新旧のバージョンの地図データであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の参照地図データ切替方法。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置は、地図データ格納ステップにおいて、前記記憶メディアに記憶された地図データが前記地図記憶媒体に書き込まれている最中であっても、前記地図記憶媒体に格納済みのバージョンの異なる地図データを参照して、ナビゲーション情報の提供を実行することを特徴とする請求項3に記載の参照地図データ切替方法。
【請求項5】
前記地図記憶媒体に格納される複数の地図データは、異なるエリアをカバーする地図データであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の参照地図データ切替方法。
【請求項6】
前記地図記憶媒体は、地図データの他に、前記地図記憶媒体に地図データを記憶する際に、利用者が正規ユーザーであることを識別するためのライセンスキー、地図データのバージョン、更新履歴情報の少なくとも1つを含む地図情報を記憶しており、
前記判定ステップでは、前記記憶メディアに記憶された地図情報と、前記地図記憶媒体に記憶された前記地図情報とが一致する場合に、前記地図記憶媒体には、前記記憶メディアに記憶された地図データと同じ地図データが格納されていると判定されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の参照地図データ切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−203019(P2011−203019A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68804(P2010−68804)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】