説明

ナビゲーション装置及びその制御方法

【課題】ナビゲーションの地図描画において、非表示など特段の表示設定操作無しで、利用可能なスマートICを判定しそのようなスマートICに限って表示することにより、表示をわかりやすくする。
【解決手段】使用判断手段34で、自車がETCを使用できるかどうか判断する一方、スマートIC抽出手段35で、使用可能条件記憶手段32に記憶されたスマートICの使用可能条件と、自車情報記憶手段33に記憶されている自車の情報と、から使用可能なスマートICを抽出し、使用判断手段34でETCが使用可能と判断された場合、スマートIC抽出手段35で抽出したスマートICのランドマークのみを、スマートIC表示手段である地図表示部31で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理と無線通信技術の発達に伴い、高速道路のインターチェンジ(「IC」と呼ぶ)での料金収受を、車載機と路側機の間の無線通信で行う自動料金収受システム(「ETC」と呼ぶ)の普及が進んでいる。このようなETCを利用するには、車両側において、ETC車載器やETCカード(本出願において「ETC機器」と呼ぶ)を正しくセットすることが必要である。
【0003】
また、上記のようなETC機器を持つ車両の利用を前提として、ETCのみで無人運用のいわゆるスマートICも導入が試みられているが、スマートICは比較的簡易型の設備であるため、対応可能な車両が制限される場合もある。このようなスマートICについても、従来は、ICに準じた地図表示が行われていた。
【特許文献1】特開2006−275663
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来では、ETC機器が正しくセットされているかどうか、また、スマートICが対応している車両かどうかを問わず、スマートICについても通常のICと同様に表示されていた。このため、通常のICと種類を取り違うなどにより、利用できないスマートICへの誤進入の可能性があったことに加え、不要な情報で画面が混雑するため、表示の改善が潜在的に求められていた。
【0005】
なお、給油所などランドマークの種類によって、運転者などのユーザから非表示にする設定を受け付けたうえ、燃料残量が減るなど条件に応じ表示を復活させる提案は知られていたが(例えば、特許文献1参照)、判断する条件は燃料や連続走行時間など車両自体に関するものに限られ、また、表示の制御内容は非表示の設定が前提であった。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、ナビゲーションの地図描画において、非表示など特段の表示設定操作無しで、利用可能なスマートICを判定しそのようなスマートICに限って表示することにより、表示をわかりやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的をふまえ、請求項1の発明は、出発地から目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において、スマートICの使用可能な条件を記憶する使用可能条件記憶手段と、自車の属性に関する情報を記憶する自車情報記憶手段と、自車が自動料金収受システムを使用できるかどうか判断する使用判断手段と、前記使用可能条件記憶手段に記憶されたスマートICの使用可能条件と、前記自車情報記憶手段に記憶されている自車の情報と、から使用可能なスマートICを抽出するスマートIC抽出手段と、前記使用判断手段で自動料金収受システムが使用可能と判断された場合、前記スマートIC抽出手段で抽出されたスマートICのランドマークのみを表示するスマートIC表示手段と、を有することを特徴とした。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1の発明を方法という見方から捉えたもので、出発地から目的地までの経路を案内するナビゲーション装置の制御方法において、スマートICの使用可能な条件を記憶する使用可能条件記憶手段と、自車の属性に関する情報を記憶する自車情報記憶手段と、を有し、コンピュータの演算制御部により、使用判断手段と、スマートIC抽出手段と、スマートIC表示手段と、を実現するとともに、前記使用判断手段で、自車が自動料金収受システムを使用できるかどうか判断し、、前記スマートIC抽出手段で、前記使用可能条件記憶手段に記憶されたスマートICの使用可能条件と、前記自車情報記憶手段に記憶されている自車の情報と、から使用可能なスマートICを抽出し、前記使用判断手段で自動料金収受システムが使用可能と判断された場合、前記スマートIC表示手段で、前記スマートIC抽出手段で抽出されたスマートICのランドマークのみを表示することを特徴とした。
【0009】
これらの態様では、非表示など特段の表示設定操作無しで、使用可能と判断したスマートICのみを地図表示することにより、不要な情報を削減して表示がわかりやすくなり、スマートICと通常のICとの混同も防止できる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記自車情報記憶手段は、自車の大きさ、車重、車種のうち少なくとも一つを記憶することを特徴とした。
【0011】
請求項6の発明は、請求項2の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項5に記載のナビゲーション装置の制御方法において、前記自車情報記憶手段に、自車の大きさ、車重、車種のうち少なくとも一つを予め記憶させておくことを特徴とした。
【0012】
これらの態様では、車両のサイズや重量、車種に基いて、一律又はスマートICごとに、スマートICが使用可能かどうか判断することにより、個々の車両ごとに適合した精度の高い表示処理が実現可能となる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記使用判断手段は、自車で所定の自動料金収受システムを使用するための機器が接続されているかを確認する接続機器確認手段を有することを特徴とした。
【0014】
請求項7の発明は、請求項3の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項5又は6に記載のナビゲーション装置の制御方法において、前記演算制御部により、前記使用判断手段において、接続機器確認手段を実現するとともに、前記接続機器確認手段で、所定の自動料金収受システムを使用するための機器が自車に接続されているかを確認することを特徴とした。
【0015】
これらの態様では、スマートICで必須となる自動料金収受システムを使用するための機器が自車に接続されているかを確認することにより、表示設定などの余分な操作をユーザに求めることなく、スマートICの表示に関する制御を容易かつ正確に実現可能となる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記接続機器確認手段は、前記機器が使用可能となっているかどうかを確認する接続機器使用可能確認手段を有することを特徴とした。
【0017】
請求項8の発明は、請求項4の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項7に記載のナビゲーション装置の制御方法において、前記演算制御部により、前記接続機器確認手段において、接続機器使用可能確認手段を実現するとともに、前記接続機器使用可能確認手段で、前記機器が使用可能となっているかどうかを確認することを特徴とした。
【0018】
これらの態様では、自動料金収受システム機器について電源や自動料金収受システムカードの装着など正しくセットされ、使用可能かを確認することにより、どのような状況下でもユーザに余分な操作を求めることなく、確実な自動料金収受システム利用とその判断を実現可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明によれば、非表示など特段の表示設定操作無しで、使用可能と判断したスマートICのみを地図表示することにより、不要な情報を削減して表示がわかりやすくなり、スマートICと通常のICとの混同も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図に沿って説明する。なお、背景技術や課題での説明と共通の前提事項については適宜省略する。
【0021】
〔1.構成〕
本実施形態におけるナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)は、車両に搭載して出発地から目的地までの経路を案内するもので、図1に示すように、液晶パネルなどの表示部1と、LED表示器やスイッチ類などのユーザインターフェース部2と、メインCPU及びその周辺回路である演算制御部3と、RAMやROMなどのメモリ4と、音声合成回路やスピーカなどの音声出力部5と、HDD制御部6と、ETC制御部7と、を有する。
【0022】
このうち、HDD制御部6は、HDDやDVD−ROMなどの外部記憶装置の制御部であり、経路探索や地図表示に用いる道路地図データを地図データベース(地図DB)などから読み出すのに用いる。また、ETC制御部7は、ETC車載器と接続され、その電源やETCカードのセットといった状態を検出する部分である。
【0023】
また、本装置では、演算制御部3を所定のプログラムで制御することにより、図1に示す各要素30〜37を実現するが、これらは、後述するような本実施形態の各機能作用を実現実行する処理手段である。
【0024】
このうち、使用可能条件記憶手段32は、スマートICの使用可能な条件(使用可能条件)を、スマートICの全般又は個別の情報として記憶する部分で、典型的には、HDD制御部6における道路地図データに、スマートICごとの情報として記録することにより実現する。
【0025】
また、自車情報記憶手段33は、自車の属性に関する情報を記憶する部分で、典型的には、メモリ4などに設け、自車の情報として、自車の大きさ、車重、車種のうち少なくとも一つを予め記憶させておく。
【0026】
なお、ジャイロやGPSなどの測位システムを用いた現在位置検出部30による自車位置検出、施設検索や地図スクロールによる目的地の指定、経路探索や誘導案内といったナビゲーション処理については、本発明の主要な特徴ではなく従来同様であるから省略する。
【0027】
〔2.作用の概要〕
以上のような本装置では、使用判断手段34で、自車がETCを使用できるかどうか判断する一方、スマートIC抽出手段35で、使用可能条件記憶手段32に記憶されたスマートICの使用可能条件と、自車情報記憶手段33に記憶されている自車の情報と、から使用可能なスマートICを抽出し、使用判断手段34でETCが使用可能と判断された場合、スマートIC抽出手段35で抽出したスマートICのランドマークのみを、スマートIC表示手段である地図表示部31で表示する。
【0028】
また、ETCが使用可能か判断する際は、使用判断手段34に設ける接続機器確認手段36で、ETC制御部7にアクセスすることにより、自車で所定のETC機器がセットされているかを確認し、また、接続機器確認手段36に設ける接続機器使用可能確認手段37で、その前記機器が使用可能となっているかどうかを確認する。
【0029】
なお、処理や判断としては、(1)自車がETCを使用できるかどうかの判断と、(2)表示しようとする地図領域内のスマートICの抽出と、(3)個々のスマートICについて自車が使用可能か、といった要素が考えられるが、これらの前後関係や組合せ、また、使用判断手段34とスマートIC抽出手段35との間での処理の分担関係は、説明上の適宜に過ぎず適宜変更可能であるから、ここで示している実装形態は単なる一例である。
【0030】
〔3.フローと表示の例〕
続いて、以上のような作用に対応する具体的な画面表示例(図2及び図3)と、処理手順のフローチャート(図4)を示す。すなわち、ETC制御部7が、ETC機器が正しくセットされた状態(「ETC接続中」と呼ぶ)、典型的には、ETC車載器が接続され、かつ電源オン、かつETCカードが正しくセットされている状態、かを判定し、その結果をメモリ4に、ETC接続状態すなわちETC接続中又は非接続のように格納する。
【0031】
そして、HDD制御部6で地図DBを読み取り、この読み出したデータの中にスマートICの情報があった場合(図4のステップS1)、メモリ4上の前記ETC接続状態を読み出して判断するとともに、そのスマートICの使用可能条件と自車情報も照合し、それら判断の結果、ETC接続中で、かつ、そのスマートICが自車の車種などの属性に対応しているためETC使用可の場合は(図4のステップS2)、地図上のスマートICについて、使用可能である旨の表示、例えば図2に例示するような通常表示、又は強調表示を行う(ステップS3)。
【0032】
なお、図2のような通常表示は従来と同様となるが、従来はこのようにスマートICを他の通常のICと同様のランドマークで地図上に表示するしかなかったため、スマートICを使えない状態でも、通常のICとまぎらわしかったのに対し、本実施形態では、図3のような表示によりそのような困難性が解決される。
【0033】
すなわち、ETC非接続であったり、そのスマートICが自車の車種などの属性に対応していないためETC使用不可の場合(ステップS2)、スマートICを必要としない場合であるから、図3に示すように、使用不可である旨の表示を行う(ステップS4)。
【0034】
この場合の表示例としては、地図上でのスマートICのアイコンを非表示(図3の破線)とすることが典型的であるが、他に、アイコンやフォントなどのサイズやタイプなどについて、通常のデザインとは異なった目立ちにくいもの(例えばグレイアウト)にすることも考えられる。これにより、スマートICを通常のICと取り違うことを抑止し、また、運転者にとって必要の無い情報を画面から削減し見やすさを改善できる。
【0035】
〔4.効果〕
以上のように、本実施形態では、非表示など特段の表示設定操作無しで、使用可能と判断したスマートICのみを地図表示することにより、不要な情報を削減して表示がわかりやすくなり、スマートICと通常のICとの混同も防止できる。
【0036】
また、本実施形態では、車両のサイズや重量、車種に基いて、一律又はスマートICごとに、スマートICが使用可能かどうか判断することにより、個々の車両ごとに適合した精度の高い表示処理が実現可能となる。
【0037】
また、本実施形態では、接続機器確認手段36により、スマートICで必須となるETC機器が自車に接続されているかを確認することにより、表示設定などの余分な操作をユーザに求めることなく、スマートICの表示に関する制御を容易かつ正確に実現可能となる。
【0038】
また、本実施形態では、接続機器使用可能確認手段37により、ETC機器について電源やETCカードの装着など正しくセットされ、使用可能かを確認することにより、どのような状況下でもユーザに余分な操作を求めることなく、確実なETC利用とその判断を実現可能となる。
【0039】
〔5.他の実施形態〕
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するものやそれ以外の他の実施形態も含むものである。例えば、ETC使用可か否かの判断要素として、ETCカードの有効期間や、スマートICごとの運用時間帯などを加えてもよい。
【0040】
また、ETC機器を車両に搭載しているが以上のようにナビゲーション装置が連動しない場合を含め、スマートICについて、ユーザの意思により表示設定を非表示にしたり、逆に、常に表示する設定にできるように実装してもよい。このようにすれば、ユーザの目的や事情に適合した快適な使い勝手を提供可能となるが、これらは必須ではない。
【0041】
その他にも、図1の構成、図2や図3の画面例、図4のフローチャート、それぞれの内容や対応する以上の説明は例示に過ぎないので、適宜変更実施可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態において、スマートICでETCが使用できる場合における地図表示例を示す図。
【図3】本発明の実施形態において、スマートICでETCが使用できない場合における地図表示例を示す図。
【図4】本発明の実施形態における処理手順を例示するフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
1…表示部
2…ユーザインターフェース部
3…演算制御部
4…メモリ
5…音声出力部
6…HDD制御部
7…ETC制御部
30…現在位置検出部
31…地図表示部
32…使用可能条件記憶手段
33…自車情報記憶手段
34…使用判断手段
35…スマートIC抽出手段
36…接続機器確認手段
37…接続機器使用可能確認手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において、
スマートICの使用可能な条件を記憶する使用可能条件記憶手段と、
自車の属性に関する情報を記憶する自車情報記憶手段と、
自車が自動料金収受システムを使用できるかどうか判断する使用判断手段と、
前記使用可能条件記憶手段に記憶されたスマートICの使用可能条件と、前記自車情報記憶手段に記憶されている自車の情報と、から使用可能なスマートICを抽出するスマートIC抽出手段と、
前記使用判断手段で自動料金収受システムが使用可能と判断された場合、前記スマートIC抽出手段で抽出されたスマートICのランドマークのみを表示するスマートIC表示手段と、
を有することを特徴としたナビゲーション装置の制御方法。
【請求項2】
前記自車情報記憶手段は、自車の大きさ、車重、車種のうち少なくとも一つを記憶する
ことを特徴とした請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記使用判断手段は、自車で所定の自動料金収受システムを使用するための機器が接続されているかを確認する接続機器確認手段を有する
ことを特徴とした請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記接続機器確認手段は、前記機器が使用可能となっているかどうかを確認する接続機器使用可能確認手段を有する
ことを特徴とした請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
出発地から目的地までの経路を案内するナビゲーション装置の制御方法において、
スマートICの使用可能な条件を記憶する使用可能条件記憶手段と、
自車の属性に関する情報を記憶する自車情報記憶手段と、
を有し、
コンピュータの演算制御部により、使用判断手段と、スマートIC抽出手段と、スマートIC表示手段と、を実現するとともに、
前記使用判断手段で、自車が自動料金収受システムを使用できるかどうか判断し、
前記スマートIC抽出手段で、前記使用可能条件記憶手段に記憶されたスマートICの使用可能条件と、前記自車情報記憶手段に記憶されている自車の情報と、から使用可能なスマートICを抽出し、
前記使用判断手段で自動料金収受システムが使用可能と判断された場合、前記スマートIC表示手段で、前記スマートIC抽出手段で抽出されたスマートICのランドマークのみを表示する
ことを特徴としたナビゲーション装置の制御方法。
【請求項6】
前記自車情報記憶手段に、自車の大きさ、車重、車種のうち少なくとも一つを予め記憶させておくことを特徴とした請求項5に記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項7】
前記演算制御部により、前記使用判断手段において、接続機器確認手段を実現するとともに、
前記接続機器確認手段で、所定の自動料金収受システムを使用するための機器が自車に接続されているかを確認する
ことを特徴とした請求項5又は6に記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項8】
前記演算制御部により、前記接続機器確認手段において、接続機器使用可能確認手段を実現するとともに、
前記接続機器使用可能確認手段で、前記機器が使用可能となっているかどうかを確認する
ことを特徴とした請求項7に記載のナビゲーション装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−241391(P2008−241391A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80758(P2007−80758)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】