説明

ナビゲーション装置及びスクロール表示方法

【課題】地図のスクロール表示の操作性を向上する「ナビゲーション装置及びスクロール表示方法」を提供する。
【解決手段】スクロール表示モードにあるときに、案内画像200のボタン212の表示領域内の位置412への、長押タッチでないタップが発生した場合には(b2)、地図表示範囲を、地図画像201が表す地図上のタップされた位置412に対応する、ボタン212によって隠されている地点を中心とする範囲に変更する(b3)。スクロール表示モードにあるときに、案内画像200のボタン212の表示領域内の位置412の長押タッチが発生した場合には、ボタン212に対応づけた処理を起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対して地図上で現在位置を提示するナビゲーション装置等に好適な、地図のスクロール表示の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザに対して現在位置や経路の案内を行うナビゲーション装置における地図表示に関する技術としては、地図を表示する表示装置に重ねて設けたタッチパネルへのタッチによる、ユーザからの地図上の地点の指定を受け付け、受け付けた地点に向かって地図の表示範囲を移動することにより、地図のスクロール表示を行う技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
ここで、この技術では、地図上に各種操作を受け付けるためのボタンを重畳表示すると共に、ボタンの表示領域周辺に不感応領域を設け、ボタンの表示領域が操作された場合にはボタンの操作を受け付けて操作されたボタンに応じた処理を行い、不感応領域内の位置が操作された場合には何の処理も行わず、その他の地図表示領域内の位置が操作された場合には、地図のスクロール表示を行うことにより、ユーザがボタンを操作しようとして誤ってボタンの表示領域周辺を操作してしまった場合に、意図せざる地図のスクロール表示が行われてしまうことを抑止している。
【特許文献1】特開2008-33120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、前記特許文献1記載の技術のように、地図とボタンとを表示し、表示装置上に設けたタッチパネルへのタッチ位置に応じて、地図のスクロール表示とボタンの操作の受け付けとを行うと、ユーザが地図のスクロール表示を行おうとして、誤ってボタンの表示領域を操作してしまい、地図のスクロール表示に代えて、ユーザの意図せざる処理が実行されてしまうことがある。また、ボタンの表示領域のために、ユーザがスクロール操作のためにタッチできる位置がボタンの表示領域外に限定されるために、一度のタッチ操作で実現できる地図のスクロールの内容が制限されてしまっていた。
【0005】
そして、これらの結果、充分に良好な地図のスクロール表示の操作性を実現できないという問題があった。
そこで、本発明は、地図と共に地図上に配置したボタンを表示した表示画面上へのタッチ位置に応じて、選択的に地図のスクロール表示とボタンの操作の受け付けとを行うナビゲーション装置において、地図のスクロール表示の操作性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、ユーザの現在位置を地図上で案内するナビゲーション装置に、表示装置と、前記表示装置の表示画面上に配置された、ユーザによってタッチされた位置を検出するタッチパネルと、表示対象とする地理的範囲である地図表示範囲内の地図を前記表示装置に表示する地図表示手段と、前記地図表示範囲内に前記現在位置が含まれる場合に、前記表示装置に表示された地図上に、当該現在位置を当該地図上で示す現在位置マークを表示する現在位置表示手段と、前記表示装置に表示された地図上に重ねた形態で、ボタンを前記表示装置に表示し、ユーザのボタン選択操作を受け付けて、当該ボタン選択操作を受け付けたボタンに対して予め定義されている処理を実行するボタン処理手段と、ユーザのスクロール操作を受け付けて、前記地図表示範囲を変更するスクロール表示処理手段とを設け、前記スクロール表示処理手段において、前記タッチパネルへの第1の種別のタッチ操作を通常タッチ、前記第1の種別とは異なる第2の種別のタッチ操作を特殊タッチとして、前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域内の位置への前記特殊タッチを前記ユーザのスクロール操作として受け付けないと共に、前記表示装置に表示された前記地図の表示領域内の位置及び前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域内の位置への前記通常タッチを前記ユーザのスクロール操作として受け付けて、当該通常タッチされた位置に応じて定まる地理的範囲に前記地図表示範囲を変更し、前記ボタン処理手段において、前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域中の位置への前記特殊タッチを、当該表示領域中の位置が特殊タッチされたボタンの前記ボタン選択操作として受け付けるように構成したものである。
【0007】
このようなナビゲーション装置によれば、タッチされた位置がボタンの表示領域の内外であるかに関わらずに通常タッチでスクロール操作を受け付け、ボタン表示領域内の位置への特殊タッチでボタンの選択操作を受け付けるようにしたので、ユーザが地図のスクロール操作を行おうとして、表示領域内の位置を通常タッチした場合には、当該タッチをボタンの選択操作としては受け付けずに、タッチされた位置に応じた地図のスクロールが行われることになる。よって、ユーザのボタン選択操作を可能としつつ、ユーザの意図したスクロール表示に代えて、ユーザの意図しないボタンの選択操作に応答して、当該ボタンに対して定まる処理が実行されてしまうことを抑制することができる。
【0008】
また、ボタンがその上に配置されている地図上の位置についても、ユーザは、当該位置を通常タッチしてスクロールを行うことができるので、ボタンの表示のために、タッチによって行うことのできるスクロールの内容が限定されることもない。
そこで、本発明は、地図とボタンとを表示した表示画面上の操作位置に応じて、選択的に地図のスクロール表示とボタンの操作の受け付けとを行うナビゲーション装置において、地図のスクロール表示の操作性を向上することができる。
ここで、このようなナビゲーション装置は、ユーザ操作に応じて切り替えられる表示モードとして、前記地図表示範囲を前記現在位置を基準として定める現在位置基準表示モードとスクロール表示モードとを設け、前記スクロール表示処理手段において、前記表示モードがスクロール表示モードにあるときにのみ、前記スクロール操作の受け付けを行い、前記ボタン処理手段において、前記表示モードが現在位置基準表示モードにあるときには、前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域中の位置への通常タッチを、当該表示領域中の位置がタッチされたボタンの前記ボタン選択操作として受け付けるようにしてもよい。
【0009】
なお、以上のナビゲーション装置において、前記通常タッチを、前記タッチパネル上の単一の位置に短時間タッチするタッチ操作であるタップとし、前記特殊タッチを、前記タッチパネル上の同じ位置のタッチを所定期間以上継続する長押タッチとしても良い。また、前記通常タッチを、前記特殊タッチを、前記タッチパネル上の単一位置を一度だけ短時間タッチするタッチ操作であるシングルタップとし、前記タッチパネル上の同じ位置を二回繰り返しタッチするタッチ操作であるダブルタップとしてもよい。
または、前記タッチパネルを、当該タッチパネル上の複数の位置のタッチを同時に検出する機能を備えたものとし、前記通常タッチを、前記タッチパネル上の単一の位置をタッチするタッチ操作とし、前記特殊タッチを、前記タッチパネル上の複数の位置を同時にタッチするタッチ操作であるマルチタップとして良い。または、前記タッチパネルを、前記タッチパネルの押圧を検知する機能を備えたものとして、前記通常タッチを、前記タッチパネル上の単一位置を短時間タッチパネルによって押圧が検出されないようにタッチするタッチ操作とし、前記特殊タッチを、タッチパネル上をタッチパネルによって押圧が検出されるように押圧しながらタッチするタッチ操作である押圧タッチとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、地図と共に地図上に配置したボタンを表示した表示画面上へのタッチ位置に応じて、選択的に地図のスクロール表示とボタンの操作の受け付けとを行うナビゲーション装置において、地図のスクロール表示の操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
ナビゲーションシステムは、自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、ナビゲーション装置1と、スピーカ2と、タッチパネル3と、表示装置4と、車両状態センサ5と、GPS受信機6とを備えて構成される。
ここで、タッチパネル3は、ユーザのタッチを検知し、タッチされた座標を出力する透明な位置入力装置であり、表示装置4の表示面に重ねて配置されている。
また、車両状態センサ5は、角加速度センサや地磁気センサなどである方位センサや、車速パルスセンサなどである車速センサなどの各種車両状態を検出する各種センサである。
そして、ナビゲーション装置1は、地図を表す地図データを記憶したHDDなどの記憶装置11、現在状態算出部12、ルート探索部13、メモリ14、音声を生成しスピーカ2から出力する音声生成部15、制御部16、案内画像生成部17、タッチパネル3や表示装置4を用いたユーザとの間の入出力を制御するGUI制御部18を備えている。
【0012】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置1の各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0013】
さて、このような構成において、ナビゲーション装置1の現在状態算出部12は、以下の処理を繰り返し行う。
すなわち、現在状態算出部12は、車両状態センサ5やGPS受信機6の出力から推定される現在位置に対して、記憶装置11から読み出した地図データが示す前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ14に設定する。
【0014】
また、制御部16は、ユーザからの要求に応じて所定の目的地設定処理を実行し、ユーザから目的地の設定を受け付け、これをメモリ14にセットする。
そして、制御部16は、目的地の設定を受け付けたならば、目的地に到る推奨ルートをルート探索部13に探索させる。ルート探索部13は、必要地理的範囲の地図データを記憶装置11から読み出し、メモリ14に設定されている現在位置から目的地までの最小コストの経路を、距離最小などの所定のコストモデルに基づいて推奨ルートとして算出し、算出した推奨ルートの経路データを、メモリ14にセットする。
【0015】
また、制御部16は、現在位置が誘導経路の右左折ポイントに接近したならば、音声生成部15に右左折を案内する音声をスピーカ2に出力させる処理を行う。
ここで、ナビゲーション装置1は、表示モードとして現在位置基準表示モードとスクロール表示モードとメニュー表示モードを有し、ナビゲーション装置起動時には、表示モードは現在位置基準表示モードに設定される。
そして、制御部16は、表示モードが現在位置基準表示モードにあるときには、メモリ14にセットされた現在進行方位が上になるように表示方位に決定し、現在位置を基準とした現在位置周辺の、決定した表示方位と、その時点で設定されている地図縮尺とに応じて定まる所定の大きさの地理的範囲を地図表示範囲として決定し、案内画像生成部17に設定する処理を繰り返す。
【0016】
一方、案内画像生成部17は、表示モードが現在位置基準表示モードとスクロール表示モードにあるときには、設定された地図表示範囲中の地図データに基づいて地図を描画した地図画像を案内画像として生成し、GUI制御部18を介して表示装置4に表示する処理を繰り返す。ここで、案内画像生成部17は、設定された地図表示範囲中に、メモリ14にセットされた現在位置が含まれる場合には、現在位置に対応する地図画像上の位置へ現在位置マークを描画することにより、現在位置マークを表示装置4に表示する案内画像中に含める。また、案内画像生成部17は、設定された地図表示範囲中に、メモリ14にセットされた目的地が含まれる場合には、目的地に対応する地図画像上の位置へ目的地マークを描画することにより、目的地マークを表示装置4に表示する案内画像中に含める。また、案内画像生成部17は、推奨ルートの経路データがメモリ14にセットされている場合には、設定された地図表示範囲中の、推奨ルートを表す推奨ルート図形を地図画像上に描画することにより、推奨ルート図形を表示装置4に表示する案内画像中に含める。
【0017】
図2aは、このようにして、現在位置基準表示モードにあるときに表示される案内画像の例を示すものであり、図示するように案内画像200は、地図画像201上に、現在位置マーク202が表されたものとなる。
また、推奨ルートがセットされている場合には、案内画像200は、図2bに示すように、さらに推奨ルート図形203が地図画像201の上に表示されたものとなり、現在位置マーク202と推奨ルート図形203による推奨ルートの経路誘導が行われることになる。また、地図表示範囲内に目的地が含まれる場合には、案内画像200は、さらに目的地マーク204も地図画像201の上に表示されたものになる。
【0018】
また、制御部16は、このような案内画像200の上に、GUI制御部18を介して、ユーザの各種指示を受け付けるためのボタンを表示し、タッチパネル3を介したユーザのボタンの操作に応じた処理を行う。たとえば、図2a、bでは、このボタンとして、前述した地図縮尺を変更する縮尺変更処理に対応づけた詳細ボタン及び広域ボタン211と、各種メニューのメニュー画面を表示するメニュー表示処理に対応づけたメニューボタン212と、前述した目的地設定処理に対応づけた目的地ボタン213とのセットを設けている。そして、制御部16は、GUI制御部18を介してタッチパネル3より入力する座標に基づいて、各ボタンの表示領域内の位置へのタッチパネル3への、所定時間未満の短時間タッチパネル3を一度タッチする操作であるところのタップの発生を監視し、タップが発生したならば、ボタン表示領域内の位置がタップされたボタンのボタン選択操作を受け付け、ボタン選択操作を受け付けたボタンに対応づけた処理を起動する。
【0019】
以下、このようなナビゲーション装置1において行うスクロール表示の動作について説明する。
まず、制御部16は、現在位置基準表示モードにあって、図2に示したように案内画像200を表示しているときには、GUI制御部18を介してタッチパネル3より入力する座標に基づいて、ボタン211-213の表示領域外の地図画像201上の任意の位置へのユーザのタップの発生を監視し、ボタン211-213の表示領域外の、地図画像201上の任意の位置へのユーザのタップが発生したならば、表示モードをスクロール表示モードに切り替え、図3に示す地図スクロール処理を起動する。
【0020】
すなわち、たとえば、現在位置基準表示モードにあって、図4aの401が地図表示領域に設定されている状態において、図4b1のように案内画像200を表示しているときに、図中の地図画像201上の位置411へのタップが発生した場合には、図3に示す地図スクロール処理を起動する。
【0021】
さて、起動された地図スクロール処理では、図3に示すように、まず、タップされた地図画像201上の位置に対応する地点が中心となるように、地図表示範囲を移動し、案内画像生成部17に、表示する案内画像200に含める地図画像201の地図表示範囲として設定する(ステップ302)。この結果、現在位置基準表示モードにあって、図4b1のような案内画像200の地図画像201上の位置411へのタップが発生した場合には、地図表示範囲は図4aの402のように地図画像201が表す地図上のタップされた位置411に対応する地点を中心とする範囲に変更され、表示装置4に表示される案内画像200は図4b2に示すように、変更された後の地図表示範囲内の地図を表す地図画像201を含むものに更新される。
【0022】
次に、地図表示範囲を設定したならば、案内画像200の中心に図4b2に示すように、カーソル420を表示する(ステップ304)、そして、案内画像200の上に表示するボタンを、前述した詳細ボタン及び広域ボタン211と、メニューボタン212と、後述する現在位置基準表示モード復帰処理に対応づけた現在地ボタン214とのセットに切り替える(ステップ306)。ここで、このステップ306では、スクロール操作をタップにより、ボタンやカーソルの選択操作を長押タッチにより受け付ける旨のメッセージを、文章により表示装置4に表示したり、音声により音声生成装置15を介してスピーカに出力するようにしてもよい。なお、長押タッチとは、タッチパネル3上の同じ位置へのタッチを所定時間(たとえば、1秒)以上継続するタッチ操作を言う。
【0023】
そして、GUI制御部18を介して、GUI制御部18を介してタッチパネル3より入力する座標に基づいて、任意の位置へのユーザのタッチの発生を監視する(ステップ308)。そして、タッチが発生したならば、発生したタッチが長押タッチであるかどうかを判定し(ステップ310)、発生したタッチが長押タッチでなければ(ステップ310)、ステップ312に進む。一方、発生したタッチが長押タッチであれば(ステップ310)、ステップ314に進んで、長押タッチされた位置がボタンの表示領域内の位置(ステップ314)、または、カーソル420の表示領域内の位置(ステップ318)であるかどうかを調べ、いずれでもなければステップ312に進む。
【0024】
ここで、ステップ310では、GUI制御部18を介してタッチパネル3より入力する座標に基づいて、ユーザのタッチが所定時間(たとえば、1秒)内に終了した場合には、その時点で、発生したタッチによる操作がタップであると判定してステップ312に進み、ユーザの同じ位置へのタッチが所定時間(たとえば、1秒)継続した場合には、その時点で、発生したタッチが長押タッチであると判定してステップ314に進む。
【0025】
そして、ステップ312に進んだ場合には、タップされた地図画像201上の位置に対応する地点が中心となるように、地図表示範囲を移動し、案内画像生成部17に、表示する案内画像200に含める地図画像201の地図表示範囲として設定する(ステップ312)。
【0026】
この結果、タップされた位置がボタンの表示領域内の位置である場合にも、当該ボタンの下の地図画像201上のタップされた位置に対応する地点(当該ボタンを表示しなかった場合に、タップされた位置に表示されることになる地図画像201が表す地図上の地点)が中心となるように、表示する案内画像200に含める地図画像201が移動することになる。すなわち、たとえば、スクロール表示モードにあって、図4aの402が地図表示領域に設定されている状態において、図4b2のような案内画像200のボタン212の表示領域内の位置412への、長押タッチでないタップが発生した場合には、地図表示範囲は図4aの403のように、地図画像201が表す地図上のタップされた位置412に対応する、ボタン212によって隠されている地点を中心とする範囲に変更され、表示装置4に表示される案内画像200は図4b3に示すように、変更された後の地図表示範囲内の地図を表す地図画像201を含むものに更新される。
【0027】
また、スクロール表示モードにあって、図4aの403が地図表示領域に設定されている状態において、図4b3のような案内画像200のボタンの表示領域外の位置413への、長押タッチまたはタップが発生した場合には、地図表示範囲は図4aの404のように、地図画像201が表す地図上のタッチされた位置413に対応する地点を中心とする範囲に変更され、表示装置4に表示される案内画像200は図4b4に示すように、変更された後の地図表示範囲内の地図を表す地図画像201を含むものに更新されることになる。
【0028】
次に、ステップ314において、発生した長押タッチが、ボタンの表示領域内の位置であると判定された場合には、表示領域内の位置を長押タッチされたボタンのボタン選択操作を受け付け、ボタン選択操作を受け付けたボタンに対応づけられた処理を起動する(ステップ318)。
【0029】
ここで、長押タッチされたボタンに対応する処理としては、上述のように、詳細ボタン及び広域ボタン211に対応づけられた縮尺変更処理と、メニューボタン212に対応づけられたメニュー表示処理と、現在地ボタン214に対応づけられた現在位置基準表示モード復帰処理とがある。
【0030】
そして、詳細ボタン及び広域ボタン211の長押タッチにより縮尺変更処理が起動された場合には、起動された縮尺変更処理は、現在の地図縮尺を一段階小さく/大きくした縮尺を地図縮尺に変更し、スクロール表示処理のステップ308に戻る。なお、この地図縮尺の変更により、以降の地図表示範囲は、変更後の地図縮尺に従って、その大きさが決定されることになる。
【0031】
また、図5a1の511に示すようにメニューボタン212の表示領域内の位置がユーザによって長押タッチされたことにより、メニュー表示処理が起動された場合には、起動されたメニュー表示処理は、スクロール表示処理を終了し、表示モードをメニュー表示モードに設定し、図5b2に示すように、各種メニュー項目を表したメニュー画面をGUI制御部18を介して表示装置4に表示し、ユーザからメニューの選択を受け付けて、選択されたメニュー項目に応じた処理を起動する。
【0032】
また、現在地ボタン214の長押タッチにより現在位置基準表示モード復帰処理が起動された場合には、起動された現在位置基準表示モード復帰処理は、スクロール表示処理を終了させ、表示モードを現在位置基準表示モードに復帰する。ここで、表示モードを現在位置基準表示モードに復帰されると、表示される案内画像は、図2a、bに示した、スクロール表示モード設定前の現在位置基準表示モードの案内画像200に復帰する。
次に、ステップ316において、発生した長押タッチが、カーソル420の表示領域内の位置であると判定された場合には、カーソル選択操作を受け付け、カーソル地点目的地設定処理を起動する(ステップ320)。
すなわち、たとえば、図5b1の512に示すように案内画像200の中央に表示されているカーソル420の位置がユーザによって長押タッチされた場合には、カーソル地点目的地設定処理が起動される。
そして、起動されたカーソル地点目的地設定処理は、図5b2に示すように、カーソル420の位置に対応する地図画像201が表す地図上の地点を目的地に設定するかどうかを問い合わせる問い合わせウインドウ530を表示し、目的地に設定することが指示されたならば、当該地点を目的地としてメモリ14に設定し、スクロール表示処理を終了させ、表示モードを現在位置基準表示モードに復帰する。
【0033】
一方、問い合わせウインドウ530でキャンセルが指示された場合には、そのままスクロール表示処理のステップ308に戻る。
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態では、スクロール表示モードにおける、スクロール後の地図表示範囲の中心地点の指定の受け付けにタップを、ボタン操作の受け付けやカーソル選択操作の受け付けに長押タッチという特殊なタッチ操作を用いたが、ボタン操作の受け付けやカーソル選択操作の受け付けには、タップと長押タッチ以外の特殊なタッチ操作を用いるようにしてもよい。この特殊なタッチ操作としては、短期間内に二回のタッチを繰り返すダブルタップを用いることができる。また、マルチタッチ対応のタッチパネル3を用いた場合には、ボタン操作やカーソル選択操作の受け付けに用いる特殊なタッチ操作として、複数位置を同時にタッチするマルチタップを用いることができる。また、光タッチパネルと感圧式タッチパネルとの機能の双方を兼ね備えたタッチパネル3を用いた場合には、タップとしてタッチパネル3を押圧しないタッチを用いるようにすると共に、ボタン操作やカーソル選択操作の受け付けに用いる特殊なタッチ操作としてタッチパネル3を押圧するタッチを用いることができる。
【0034】
なお、これらの長押タッチ以外の特殊なタッチ操作を用いる場合には、図3のスクロール表示処理のステップ310では、長押タッチに代えて、発生したタッチが、当該特殊なタッチ操作であるかどうかを判定するようにする。
以上のように本実施形態によれば、タッチされた位置がボタンの表示領域の内外であるかに関わらずに、タップでスクロール操作を受け付け、ボタン表示領域内の位置への長押タッチなどの特殊なタッチ操作でボタンの選択操作を受け付けるようにしたので、ユーザが地図のスクロール操作を行おうとして、誤ってボタンの表示領域内の位置をタップした場合には、当該タップをボタンの選択操作としては受け付けずに、タップされた位置に応じた地図のスクロールが行われることになる。よって、ユーザのボタン選択操作を可能としつつ、ユーザの意図したスクロール表示に変えて、ユーザの意図せざる処理が実行されてしまうことを抑制することができる。
【0035】
また、ボタンがその上に配置されている地図上の位置についても、ユーザは、タップによるスクロール操作の対象とすることができるので、ボタンの表示のために、スクロール操作の対象とすることができる位置が限定されることがない。
よって、本実施形態によれば、地図のスクロール表示の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る現在位置基準表示モードにおける表示例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るスクロール表示処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るスクロール表示処理の処理例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るスクロール表示処理の処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1…ナビゲーション装置、2…スピーカ、3…タッチパネル、4…表示装置、5…車両状態センサ、6…GPS受信機、11…記憶装置、12…現在状態算出部、13…ルート探索部、14…メモリ、15…音声生成部、16…制御部、17…案内画像生成部、18…GUI制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの現在位置を地図上で案内するナビゲーション装置であって、
表示装置と、
前記表示装置の表示画面上に配置された、ユーザによってタッチされた位置を検出するタッチパネルと、
表示対象とする地理的範囲である地図表示範囲内の地図を前記表示装置に表示する地図表示手段と、
前記地図表示範囲内に前記現在位置が含まれる場合に、前記表示装置に表示された地図上に、前記現在位置を当該地図上で示す現在位置マークを表示する現在位置表示手段と、
前記表示装置に表示された地図上に重ねた形態で、ボタンを前記表示装置に表示し、ユーザのボタン選択操作を受け付けて、当該ボタン選択操作を受け付けたボタンに対して予め定義されている処理を実行するボタン処理手段と、
ユーザのスクロール操作を受け付けて、前記地図表示範囲を変更するスクロール表示処理手段とを有し、
前記スクロール表示処理手段は、前記タッチパネルへの第1の種別のタッチ操作を通常タッチ、前記第1の種別とは異なる第2の種別のタッチ操作を特殊タッチとして、前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域内の位置への前記特殊タッチを前記ユーザのスクロール操作として受け付けないと共に、前記表示装置に表示された前記地図の表示領域内の位置及び前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域内の位置への前記通常タッチを前記ユーザのスクロール操作として受け付けて、当該通常タッチされた位置に応じて定まる地理的範囲に前記地図表示範囲を変更し、
前記ボタン処理手段は、前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域中の位置への前記特殊タッチを、当該表示領域中の位置が特殊タッチされたボタンの前記ボタン選択操作として受け付けることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
当該ナビゲーション装置は、ユーザ操作に応じて切り替えられる表示モードとして、前記地図表示範囲を前記現在位置を基準として定める現在位置基準表示モードとスクロール表示モードとを有し、
前記スクロール表示処理手段は、前記表示モードがスクロール表示モードにあるときにのみ、前記スクロール操作の受け付けを行い、
前記ボタン処理手段は、前記表示モードが現在位置基準表示モードにあるときには、前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域中の位置への通常タッチを、当該表示領域中の位置がタッチされたボタンの前記ボタン選択操作として受け付けることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のナビゲーション装置であって、
前記通常タッチは、前記タッチパネル上の単一の位置に短時間タッチするタッチ操作であるタップであり、
前記特殊タッチは、前記タッチパネル上の同じ位置のタッチを所定期間以上継続する長押タッチであることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のナビゲーション装置であって、
前記通常タッチは、前記タッチパネル上の単一の位置に一度だけ短時間タッチするタッチ操作であるシングルタップであり、
前記特殊タッチは、前記タッチパネル上の同じ位置を二回繰り返しタッチするタッチ操作であるダブルタップであることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1または2記載のナビゲーション装置であって、
前記タッチパネルは、当該タッチパネル上の複数の位置のタッチを同時に検出する機能を備え、
前記通常タッチは、前記タッチパネル上の単一の位置をタッチするタッチ操作であり、
前記特殊タッチは、前記タッチパネル上の複数の位置を同時にタッチするタッチ操作であるマルチタップであることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1または2記載のナビゲーション装置であって、
前記タッチパネルは、前記タッチパネルの押圧を検知する機能を備え、
前記通常タッチは、前記タッチパネル上の単一位置を短時間タッチパネルによって押圧が検出されないようにタッチするタッチ操作であり、前記特殊タッチは、タッチパネル上をタッチパネルによって押圧が検出されるように押圧しながらタッチするタッチ操作である押圧タッチであることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
表示装置と、前記表示装置の表示画面上に配置された、ユーザによってタッチされた位置を検出するタッチパネルとを備え、表示対象とする地理的範囲である地図表示範囲内の地図を前記表示装置に表示する地図表示装置において、地図のスクロール表示を行うスクロール表示方法であって、
前記表示装置に表示された地図上に重ねた形態で、ボタンを前記表示装置に表示し、ユーザのボタン選択操作を受け付けて、当該ボタン選択操作を受け付けたボタンに対して予め定義されている処理を実行するボタン処理ステップと、
ユーザのスクロール操作を受け付けて、前記地図表示範囲を変更するスクロール表示処理ステップとを有し、
前記スクロール表示処理ステップにおいて、前記タッチパネルへの第1の種別のタッチ操作を通常タッチ、前記第1の種別とは異なる第2の種別のタッチ操作を特殊タッチとして、前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域内の位置への前記特殊タッチを前記ユーザのスクロール操作として受け付けないと共に、前記表示装置に表示された前記地図の表示領域内の位置及び前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域内の位置への前記通常タッチを前記ユーザのスクロール操作として受け付けて、当該通常タッチされた位置に応じて定まる地理的範囲に前記地図表示範囲を変更し、
前記ボタン処理ステップにおいては、前記表示装置に表示された前記ボタンの表示領域中の位置への前記特殊タッチを、当該表示領域中の位置が特殊タッチされたボタンの前記ボタン選択操作として受け付けることを特徴と地図のスクロール表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−127669(P2010−127669A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300415(P2008−300415)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】