説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション方法

【課題】地図データ内に区域情報が存在しない目的地に対しても、目的地を範囲として捉えた経路案内を行う。
【解決手段】地図データ15内に目的地の区域情報が存在しなくとも、既存の地図データ15の情報から目的地の範囲を示す区域情報を作成することができる。よって、地図データ15の増大を招くことなく、目的地を範囲として捉えた経路案内を行うことができる。これにより、ユーザは意図した目的地点を含む範囲の境界に案内されたことを認知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが指示した目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置及びナビゲーション方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は主に自動車などの車両に搭載され、GPS(Global Positioning System:汎用地球測位システム)を利用して車両位置を把握するとともに、ユーザが指示した目的地までの経路案内を行うものである。これらナビゲーション装置は、近年の車両位置の検出精度の向上や、ユーザの要望に対応した経路検索機能の充実、経路案内表示の改善などにより、ユーザに対しより正確でより判り易い経路案内を行うことが可能となっている。
【0003】
ただし、ユーザの指示した目的地が地図データ上で常に点と対応するとは限らない。例えば、ユーザの指示した目的地が大規模な公園や施設等であったり、地図データ上で山一つ分の地番を示す場合などでは、目的地は点ではなくある程度の面積を持った範囲となる。このような場合、ナビゲーション装置は例えば図9に示すように、目的地の範囲(図9中の破線で示す領域)内の代表地点Bを目的地点として経路案内を行う。ただし、目的地の範囲が広い場合には、この代表地点Bとユーザの意図した“点”としての目的地(目的地点A)とが大きく異なる場合がある。この場合、ユーザは意図した目的地点Aとは異なる代表地点Bに案内されたことに不満を持つことになる。
【0004】
この問題点に対し、下記[特許文献1]では、目的地が範囲を表す場合に、この範囲を他の領域とは異なる表示形態で表示するナビゲーション装置に関する発明が開示されている。この[特許文献1]の発明によれば、経路案内を行う目的地が範囲である場合に、当該目的地が範囲を示していることをユーザに認識させることができる。これにより、意図した目的地点とは異なる地点に案内されることに対するユーザの不満をある程度軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−40795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、[特許文献1]に開示された発明では、目的地の全てにその境界を規定 する区域情報が必要となる。このため、地図データの量が膨大になるという問題点があり、この点で更なる改善が望まれる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、地図データ内に区域情報が存在しない目的地に対しても、目的地を範囲として捉えた経路案内を行うことが可能なナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)車両の位置を特定する位置情報取得部10と、地図データ15と、前記位置情報取得部10からの位置情報と前記地図データ15とに基づいてユーザの指示した目的地点までの経路案内を行う制御部24と、を備え、
前記制御部24は、前記地図データ15内に前記目的地点の範囲を示す区域情報が存在しない場合に、所定の手順により前記目的地点の区域情報を作成するとともに、前記目的地点の区域情報が所定の面積よりも広域である場合に、車両の到着判定を前記区域情報にて行うことを特徴とするナビゲーション装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)前記制御部24は、前記地図データ15内に前記目的地点の範囲を示す区域情報が存在しない場合に、目的地点を中心とした所定の探索範囲内の他の区域情報もしくは地点情報を検索し、他の区域情報、もしくは、地点情報と目的地点との二等分線を少なくとも用いて当該目的地点の区域情報を作成することを特徴とする上記(1)に記載のナビゲーション装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)前記制御部24は、ユーザの入力した目的地情報に基づいて地図データ15を検索し、前記目的地情報に該当する地点情報が存在しない場合に、前記目的地点情報に基づいて目的地候補を抽出した上でユーザに提示し、目的地点の特定を行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載のナビゲーション装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)ユーザに目的地情報を入力させるステップと、前記目的地情報に基づいて地図データ15上の目的地点を特定するステップと、地図データ15内に前記目的地点の範囲を示す区域情報が存在しない場合に所定の手順により前記目的地点の区域情報を作成するステップと、前記目的地点の区域情報が所定の面積よりも広域である場合に車両の到着判定を前記区域情報にて行うステップと、を有することを特徴とするナビゲーション方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地図データ内に目的地の区域情報が存在しなくとも既存の地図データの情報から目的地の範囲を示す区域情報を作成することができる。よって、地図データの増大を招くことなく、目的地を範囲として捉えた経路案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係るナビゲーション方法を説明するフローチャートである。
【図3】本発明に係るナビゲーション方法の目的地再入力フローのフローチャートである。
【図4】目的地候補の提示例を示す図である。
【図5】目的地情報で規定される範囲の区分例を示す図である。
【図6】本発明に係るナビゲーション方法の区域情報設定フローのフローチャートである。
【図7】本発明に係る区域情報の作成例を説明する図である。
【図8】目的地を範囲として捉えた到着判定を説明する図である。
【図9】従来の到着判定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るナビゲーション装置及びナビゲーション方法について図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示す、本発明に係るナビゲーション装置50は、複数のGPS衛星からの電波を受信してナビゲーション装置50の搭載された車両の位置を取得する位置情報取得部10と、車両の走行情報を取得する走行情報取得部12と、所定の地図データ15が記録された、光学式記録媒体、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記録媒体を有する記憶部14と、ユーザがナビゲーション装置50を操作するための操作部18と、ユーザに対する画面表示を行う表示部20と、ユーザに対する音声出力を行う音声出力部22と、車両位置の把握、マップマッチング、目的地点検索、経路検索、経路案内、及び各部の動作制御等を行う制御部24と、を有している。
【0013】
次に、本発明に係るナビゲーション装置50の動作を説明する。尚、本発明に係るナビゲーション装置50は、目的地点の特定手順及び区域情報の作成手順等に大きな特徴を有するものである。よって、本発明に直接関与しない動作に関しては詳細な説明を省略する。
【0014】
先ず、ナビゲーション装置50を起動する。ナビゲーション装置50が起動すると位置情報取得部10が複数(通常3機または4機)のGPS衛星からの電波を受信してそれぞれのGPS衛星の位置及び距離を取得する。そしてその複数のGPS衛星の位置及び距離から、ナビゲーション装置50が搭載された車両の現在位置を特定し、これを自車の位置情報として制御部24に出力する。制御部24は、位置情報取得部10からの位置情報と記憶部14に収められた地図データ15とのマップマッチング処理を行い、表示部20に自車位置を含む地図画面を表示する。尚、表示部20は、ユーザに対し地図表示や経路案内、操作ガイド等を表示するものであり、カラー液晶や有機ELディスプレイ等の周知の表示装置が用いられる。
【0015】
車両が走行すると、走行情報取得部12はカーブや右左折による車両方向の変化に関する情報と車両の速度及び走行距離に関する情報とを取得する。そして、これらを走行情報として制御部24に出力する。またこれと並行して、位置情報取得部10からの自車の位置情報を制御部24は随時取得する。尚、車両の方向変化に関する情報の取得にはジャイロセンサ等の周知の角速度センサなどが用いられる。また、車両の速度及び走行距離に関する情報の取得には周知の車速センサなどが用いられる。
【0016】
制御部24は位置情報と走行情報と地図データ15とからマップマッチング処理を随時行い、表示部20の画面表示を自車の進行に追随するように変化させる。これらの処理はナビゲーション装置50の稼動中は継続して行われる。
【0017】
ナビゲーション装置50に、目的地までの経路案内を行わせる場合、ユーザは操作部18を介して目的地情報の入力画面を呼び出す。ここで、操作部18は、ナビゲーション装置50に目的地情報、検索方法、その他のナビゲーション装置50への指示命令を入力するものであり、音声入力装置、ボタン入力装置、及びタッチパネル等、周知の入力装置を用いることができる。
【0018】
制御部24は目的地情報の入力画面の表示要求がされると、後述のフローに則して、目的地点の特定、区域情報の作成、到着判定の設定等を行う。そして、現在位置から目的地点までの経路を周知のアルゴリズムに従って検索する。経路検索により目的地点までの経路が設定されると、ナビゲーション装置50は表示部20及びスピーカ等の音声出力部22を用いて経路案内動作を行う。
【0019】
次に、本発明に係るナビゲーション装置50及びナビゲーション方法の特徴である目的地点の特定手順及び、区域情報の作成手順等を説明する。
【0020】
先ず、ユーザが所定の操作により目的地情報の入力画面を呼び出すと、図2に示す目的地点設定フローがスタートする(ステップS100)。次に、ユーザが操作部18を介して目的地情報を入力する(ステップS102)。目的地情報が入力されると、制御部24はこの目的地情報に該当する地点情報を記憶部14の地図データ15から検索する(ステップS104)。次に、入力した目的地情報に該当する地点情報が存在するか否かを判断する(ステップS106)。そして、入力した目的地情報に該当する地点情報が存在する場合(ステップS106:Yes)、この地点を目的地点として特定し、区域情報設定フローに進む。また、入力した目的地情報に該当する地点情報が存在しない場合(ステップS106:No)、目的地再入力フローに進む。
【0021】
次に、目的地再入力フローについて図3を用いて説明する。先ず、目的地再入力フローがスタートする(ステップS200)。次に、制御部24は入力された目的地情報に基づいて可能な限りの目的地候補の絞込みを行う(ステップS202)。例えば、目的地情報が住所の番地までしか入力されておらず目的地点の特定ができない場合、ステップS202では入力された番地で規定される範囲に含まれる全ての地点情報を目的地候補として絞り込む。
【0022】
次に、制御部24は絞り込まれた目的地候補の数が所定の数よりも多いか少ないかを判断する(ステップS204)。そして、目的地候補の数が所定の数よりも少ない場合(ステップS204:No)、目的地候補のうち主要な目的地候補をユーザに提示する(ステップS206)。ここでの主要な目的地候補とは、例えば駅、役所、学校、図書館、博物館、公園、大規模商業施設、大規模レジャー施設等の一般的なユーザが目的地とする頻度が多いまたは目標物とすることのできる施設である。目的地候補の提示は、表示部20に目的地候補のリストを表示しても良いし、図4に示すように、目的地候補を目的地情報に基づいて表示された地図中に例えばナンバリングして表示するようにしても良い。
【0023】
また、ステップS204において目的地候補の数が所定の数よりも多い場合(ステップS204:Yes)、制御部24は目的地候補の内、所定の手順により設定された地点情報を目的地候補として提示する(ステップS208)。ステップS208で提示する目的地候補は、例えばステップS202で絞り込まれた目的地候補の全ての座標の偏差を取り、その偏差の略中心に最も近い目的地候補、もしくは偏差の略中心に位置する地点情報とすることが好ましい。この構成によれば、目的地候補が密集している地点をユーザに対し提示することができる。
【0024】
また、図5(a)に示すように、入力された目的地情報で規定される(図5中の破線で示す)範囲を例えば地図データ15が備えている区域情報や県市町村等の境界データ、さらには地図データ15独自のデータで区分して、そのうち地点情報の最も多い区分における略中心地点や、各区分のうち人口密度や店舗数の最も高い区分における略中心地点を目的地候補Cとして提示しても良い。さらに、上記の範囲に対する区分は図5(b)に示すように、所定の間隔の格子状の区分としても良い。尚、人口密度や店舗数の情報は、地図データ15として独自に記録したものや、推定される人口密度、地図データ15に記録されている実際の店舗数であっても良い。さらに、人口密度は目的地情報の入力時刻に応じて夜間人口や昼間人口を対応させても良い。
【0025】
次に、ユーザは提示された目的地候補を確認して、ユーザの意図した目的地もしくは意図した目的地に近いと思われる目的地候補を選択する。また、ユーザが満足する目的地候補が存在しない場合、ユーザは満足する目的地候補が存在しない旨の選択を行う(ステップS210)。次に、制御部24はステップS210における選択入力が目的地候補の選択か否かを判断する(ステップS212)。そして、目的地候補の選択が行われた場合(ステップS212:Yes)、制御部24はユーザが選択した目的地候補を目的地点として特定する(ステップS214)。そして、目的地再入力フローを終了し(ステップS216)、区域情報設定フローに進む。
【0026】
また、ステップS210における選択入力が目的地候補の選択でない、即ち目的地候補にユーザの満足する目的地候補が存在しない場合(ステップS212:No)、制御部24はユーザに対し追加の目的地情報の入力を要求する(ステップS218)。このときの追加の目的地情報としては、例えば目的地情報の再入力、目的地情報の追加入力、他のワードによる目的地情報の追加入力、表示部20に表示された地図を見ながらのタッチパネル入力等が挙げられる。そして、ステップS202に戻り、ユーザがステップS210において目的地候補を選択するまでステップS202〜ステップS218を繰り返す。以上が、目的地再入力フローの説明である。
【0027】
この目的地再入力フローにより、ユーザが目的地情報、例えば住所、電話番号、名称などを正確に把握しておらず、ナビゲーション装置に対して正確な目的地情報を入力できない場合や、ユーザの意図する目的地点を地図データが網羅していない場合などでも、ユーザの意図する目的地に近い地点情報を目的地点に設定することができる。よって、ユーザの意図する目的地の近傍まで経路案内を行うことができる。
【0028】
ステップS106もしくは目的地再入力フローにて目的地点が特定されると、図6に示す区域情報設定フローがスタートする(ステップS300)。尚、図6に示す区域情報設定フローによる区域情報の作成手順は一例であり、これに限定されるものではない。
【0029】
区域情報設定フローがスタートすると、先ず特定された目的地点が地図データ15内に区域情報を有しているか否かを判断する(ステップS302)。そして、区域情報を有している場合(ステップS302:Yes)、その区域情報を確定し(ステップS324)、区域情報設定フローを終了する(ステップS326)。
【0030】
目的地点が区域情報を有していない場合(ステップS302:No)、制御部24は探索範囲の上限値(MAX LEN)を初期値に設定する(ステップS304)。この上限値(MAX LEN)は、制御部24に過剰な負荷を与えない範囲で十分に大きい値である。次に、制御部24は探索範囲(LEN)を初期値に設定する(ステップS306)。この探索範囲(LEN)の初期値は通常0で良い。次に、制御部24は目的地点を中心とした探索範囲(LEN)内に他の区域情報が存在しているか否かを判断する(ステップS308)。そして、区域情報が存在している場合(ステップS308:Yes)、この区域情報を取得する。そして、この区域情報に基づいて目的地点の区域情報を作成し(ステップS310)、ステップS312に移行する。また、探索範囲(LEN)内に他の区域情報が存在しない場合(ステップS308:No)、そのままステップS312に移行する。
【0031】
次に、制御部24は目的地点を中心とした探索範囲(LEN)内に他の地点情報が存在しているか否かを判断する(ステップS312)。そして、探索範囲(LEN)内に他の地点情報が存在する場合(ステップS312:Yes)、制御部24はこの地点情報に基づいて目的地点の区域情報を作成し(ステップS314)、ステップS316に移行する。また、探索範囲(LEN)内に他の地点情報が存在していない場合(ステップS312:No)、そのままステップS316に移行する。
【0032】
次に、制御部24はステップS310及びステップS314で作成された目的地点の区域情報が閉じているか否かを判別する(ステップS316)。そして、目的地点の区域情報が閉じている場合(ステップS316:Yes)、探索範囲の上限値(MAX LEN)を所定の値だけ減少させる(ステップS318)。
【0033】
次に、制御部24は探索範囲(LEN)の値を所定量増加する(ステップS320)。そして、増加した探索範囲(LEN)が探索範囲の上限値(MAX LEN)以上か否かを判断する(ステップS322a)。そして、探索範囲(LEN)が上限値(MAX LEN)未満であれば、ステップS322bに移行し、ステップS308からステップS320までを繰り返す。また、探索範囲(LEN)が上限値(MAX LEN)以上であれば、作成された目的地点の区域情報を確定し(ステップS324)、区域情報設定フローを終了する(ステップS326)。
【0034】
ここで、区域情報設定フローによる区域情報の作成手順の例を図7を用いて更に詳しく説明する。
【0035】
先ず、ステップS308からステップS320の一連の動作が行われ、例えば探索範囲(LEN)=5(例えば50m) となったときに、図7(a)に示すように、目的地点Pを中心とする探索範囲(LEN=5)内に他の区域情報Lが存在したとする。尚、このときの探索範囲の上限値(MAX LEN)は図示できない十分大きな値である。このとき制御部24はステップS310において、この区域情報Lに基づいて破線で示す目的地点の区域情報を作成する。ただしこの時点では、目的地点の区域情報は閉じていない。そして、ステップS312において、(LEN=5)の探索範囲内に他の地点情報が存在していない場合、ステップS316に移行する。ステップS316では上記の区域情報が閉じていないと判断して、ステップS320で探索範囲(LEN=5)を例えば(LEN=6)(60m)に増加する。
【0036】
そして、LEN=6の探索範囲内に新たな区域情報は存在せず、ステップS312において地点情報Q1、Q2が存在する場合、制御部24は図7(b)に示すように、ステップS314において例えば目的地点Pと地点情報Q1との図7中の鎖線で示す二等分線を作成する。また、制御部24は同様に目的地点Pと地点情報Q2との二等分線を作成する。そして、この2つの二等分線と先の区域情報Lとに基づいて目的地点Pを囲うように区域情報を作成する。ただしこの時点では、目的地点の区域情報は閉じていない。よって、ステップS316では目的地点の区域情報が閉じていないと判断して、ステップS320で探索範囲(LEN=6)を例えば(LEN=7)に増加する。
【0037】
そして、LEN=7の探索範囲内に新たな区域情報は存在せず、ステップS312において新たな地点情報Q3が存在する場合、制御部24は図7(c)に示すように、ステップS314において目的地点Pと地点情報Q3との二等分線を作成する。そして、地点情報Q3による二等分線と先の地点情報Q1、Q2による二等分線と区域情報Lとに基づいて目的地点Pを囲うように区域情報を作成する。この時点で、目的地点の区域情報は閉じることとなる。よって、ステップS316では目的地点の区域情報が閉じていると判断して、ステップS318に移行する。ステップS318では、例えば作成された目的地点の区域情報のうち目的地点から一番遠い地点R1を特定する。そして、探索範囲の上限値(MAX LEN)を目的地点Pから地点R1までの距離の2倍の値に減少させる。この構成によれば、二等分線の基となる地点情報が上限値(MAX LEN)内に常に存在することとなる。次に、ステップS320に移行し、制御部24は探索範囲(LEN=7)を例えば(LEN=8)に増加する。
【0038】
そして、LEN=8の探索範囲内に新たな区域情報は存在せず、ステップS312において新たな地点情報Q4が存在する場合、制御部24は図7(d)に示すように、目的地点Pと地点情報Q4との二等分線を作成する。そして、地点情報Q1〜Q4による二等分線と区域情報Lとに基づいて目的地点Pを囲うように区域情報を作成する。これにより、目的地点Pの区域情報は探索範囲(LEN=7)での区域情報よりも縮小することとなる。次に、制御部24はステップS316での区域情報が閉じているとの判断を経て、ステップS318に移行する。ステップS318では、新たな区域情報のうち目的地点Pから一番遠い地点R2を特定する。そして、探索範囲の上限値(MAX LEN)を目的地点Pから地点R2までの距離の2倍の値に減少させる。このとき、目的地点Pから地点R2までの距離は、目的地点Pから地点R1までの距離よりも小さいから、地点R2による上限値(MAX LEN)は地点R1による上限値(MAX LEN)よりもさらに減少することとなる。よって、探索範囲の上限値(MAX LEN)は徐々に小さくなり、探索範囲(LEN)は徐々に大きくなる。そして、探索範囲(LEN)が探索範囲の上限値(MAX LEN)以上となった場合、制御部24はステップS324において、そのときの区域情報を目的地点の区域情報として確定する。以上が、区域情報設定フローの説明である。
【0039】
尚、前述のように上記の区域情報の作成手順は一例である。他の区域情報の作成手順としては、例えばステップS302で目的地点が区域情報を有していない場合、制御部24は目的地点を中心として所定の半径の円を作成し、この円を目的地点の区域情報として設定するようにしても良い。
【0040】
また、ユーザの入力した目的地情報が特定の地点を示すものではなく、例えば「○○県△△市」のように所定の面積を有する範囲を示す場合、目的地再入力フローを行わずに入力した目的地情報の住所の最小単位が示す範囲、即ち上記の場合には「△△市」の区域情報を目的地点の区域情報としても良い。また、目的地情報の住所の最小単位の示す範囲内の代表地点を中心として所定の半径の円を作成し、この円を目的地点の区域情報として設定しても良い。さらに、このときの円の半径は、目的地情報の住所の最小単位の示す範囲の面積に応じて変化させても良い。例えば、目的地情報の住所の最小単位の範囲の面積が3km以下の場合には円の半径を1.0kmとし、5km以下の場合には円の半径を1.5kmとし、8km以下の場合には円の半径を2.0kmとするようにしても良い。また、円の半径を住所の最小単位の範囲の面積から逐次算出するようにしても良い。
【0041】
目的地点の区域情報が確定すると、図2のフローに戻り、制御部24はその区域情報が所定の面積よりも広域か否かを判断する(ステップS108)。そして、広域でないと判断された場合には、車両の到着判定を目的地点に設定する(ステップS110)。そして、目的地点設定フローを終了する(ステップS114)。次に、制御部24は目的地点までの経路を検索した上で、目的地点までの経路案内を行う。このときの経路案内による到着判定は目的地点で行う。よって、ナビゲーション装置50は設定された目的地点近傍に到着した時点で、目的地点に到着した旨をユーザに報知し、経路案内を終了する。
【0042】
また、ステップS108において区域情報が所定の面積よりも広域であると判断された場合、制御部24は到着判定を目的地点の区域情報に設定する(ステップS112)。そして、目的地点設定フローを終了する(ステップS114)。次に、制御部24は目的地点までの経路を検索した上で、目的地点までの経路案内を行う。このときの経路案内は通常の経路案内と同様に行うが、到着判定は目的地の区域情報で行う。即ち、到着判定が図8中の破線で示す区域情報に設定されている場合、ナビゲーション装置50はこの区域情報に到達した地点Dにおいて、例えば「目的地点の範囲に到着しました。」などの音声出力を行い目的地点の範囲内に到着した旨をユーザに報知する。そして、経路案内を終了する。よってこの場合には、ナビゲーション装置50は目的地を区域情報で規定された範囲として捉え、この範囲の境界、即ち区域情報に到達した時点で目的地点に到着したと判定する。これにより、ユーザは意図した目的地点を含む範囲の境界に案内されたことを認知し、表示部20の地図を確認するなどして意図した目的地点に向けて車両を進めることができる。尚、このとき表示部20に区域情報の範囲全体を含む地図を表示し、ユーザに目的地点の再入力を促しても良い。
【0043】
尚、到着判定が区域情報に設定された場合には、区域情報で規定される目的地点の範囲内の色を他の領域と変えるなどして、目的地点の範囲を他の領域と異なる表示形態で表示することが好ましい。この構成によれば、経路案内を行っている目的地点が範囲を示していることをユーザに認識させることができる。
【0044】
以上のように、本発明に係るナビゲーション装置50及びナビゲーション方法によれば、地図データ15内に目的地の区域情報が存在しなくとも、既存の地図データ15の情報から目的地の範囲を示す区域情報を作成することができる。よって、地図データ15の増大を招くことなく、目的地を範囲として捉えた経路案内を行うことができる。これにより、ユーザは意図した目的地点を含む範囲の境界に案内されたことを認知し、意図した目的地点に向けて車両を進めるなどのアクションを取ることができる。また、既存の地図データ15の使用が可能なため、区域情報を付与した地図データを新たに作成する必要がなく、地図データの作成コストを削減することができる。
【0045】
さらに、入力した目的地情報に該当する地点情報が存在しない場合でも、入力した目的地情報に基づく目的地候補を提示するため、目的地点の特定をある程度まで行うことができる。よって、ユーザの目的地情報の入力時の利便性を向上させることができる。
【0046】
尚、上記のナビゲーション装置50の各部の動作、構成、及び手順等は一例であるから特にこれに限定されるものではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 位置情報取得部
15 地図データ
24 制御部
50 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を特定する位置情報取得部と、
地図データと、
前記位置情報取得部からの位置情報と前記地図データとに基づいてユーザの指示した目的地点までの経路案内を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記地図データ内に前記目的地点の範囲を示す区域情報が存在しない場合に、
所定の手順により前記目的地点の区域情報を作成するとともに、
前記目的地点の区域情報が所定の面積よりも広域である場合に、
車両の到着判定を前記区域情報にて行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記地図データ内に前記目的地点の範囲を示す区域情報が存在しない場合に、
目的地点を中心とした所定の探索範囲内の他の区域情報もしくは地点情報を検索し、
他の区域情報、もしくは、地点情報と目的地点との二等分線を少なくとも用いて当該目的地点の区域情報を作成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御部は、
ユーザの入力した目的地情報に基づいて地図データを検索し、
前記目的地情報に該当する地点情報が存在しない場合に、
前記目的地点情報に基づいて目的地候補を抽出した上でユーザに提示し、目的地点の特定を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
ユーザに目的地情報を入力させるステップと、
前記目的地情報に基づいて地図データ上の目的地点を特定するステップと、
地図データ内に前記目的地点の範囲を示す区域情報が存在しない場合に所定の手順により前記目的地点の区域情報を作成するステップと、
前記目的地点の区域情報が所定の面積よりも広域である場合に車両の到着判定を前記区域情報にて行うステップと、
を有することを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−88258(P2012−88258A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237024(P2010−237024)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】