説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラム

【課題】一時的な道路の変更があった場合にも適切な道路データを作成、更新する。
【解決手段】走行中の道路71から逸れた場合に、道路に戻るまでの走行軌跡72を記憶すると共に、道路71から逸れて走行した原因が一時的な道路変更によるか否かを判断する。一時的な道路変更である場合には、走行軌跡72の開始点72aから終点72bまでの区間の道路データを削除するのではなく、該区間の道路データを旧道路として、当該区間の道路データに非表示フラグを付すことで、旧道路71’を表示対象外にする。また、走行軌跡から一時的な道路データを作成して代替道路72’として保存し、表示対象外とした道路区間71’の代わりに表示する。その後、車両が旧道路71を走行した場合には、表示対象外としていた旧道路71を表示対象に戻し、代わりに表示していた代替道路72’を直ちに削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラムに係り、詳細には、新たな道路データの追加変更に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されて目的地までの走行経路を探索して車両を案内するナビゲーション装置が広く普及している。このナビゲーション装置では、車両の現在位置を特定し、車両の現在位置を地図上に表示したり、走行の案内をしたりしている。
このようなナビゲーション装置で、地図データに無い道路を走行した場合に、走行軌跡から新たな道路として登録する技術が提案されている(特許文献1)
【0003】
しかし、特許文献1記載技術は、地図データに無い道路を新たな道路として登録するだけであるため、例えば道路工事などにより一時的に設けられた迂回道路のように、一時的に道路の変更が行われる場合であっても全て新しい道路として登録されてしまう。
このため、道路工事期間中において、元の道路と迂回道路の両方が存在するだけでなく、道路工事が終了(一時的な道路変更が終了)した後も両道路が存在することとなり、実際には存在しない道路(工事期間中は元の道路、工事完了後は迂回道路)がデータとして残ってしまうという問題がある。
【0004】
一方、道路から逸れた場合の走行軌跡に従って新たな道路データを作成した場合に、元のデータを削除することも可能である。
しかし、上述のように道路工事などによる一時的な迂回道路であった場合には、工事が完了した後に再度元の道路を通過した場合、既に元のデータは削除してしまっているので、新たな道路として再び道路データを作成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−189559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、一時的な道路の変更があった場合にも適切な道路データを作成、更新することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1記載の発明では、車両が走行中の道路から逸れたか否かを判断する逸れ判断手段と、前記逸れ判断手段で道路から逸れたと判断した場合に、逸れた原因が一時的な道路変更によるものか否かを判断する原因判断手段と、一時的な道路変更と判断した場合に、逸れていた区間の道路を非表示とすると共に、逸れて走行した車両の走行軌跡から代替道路を作成して表示する道路変更手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2記載の発明では、車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記取得した車両の現在位置が、前記非表示の対象となっている道路区間内である場合に、当該区間の道路の非表示を解消すると共に、当該区間の道路に対応して作成した前記代替道路を削除する道路復旧手段とを具備したことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3記載の発明では、前記原因判断手段は、車両が道路から逸れ、いずれかの道路に戻ったときに一時的な道路変更か否かを判断する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4記載の発明では、車両の周囲を撮像する撮像手段を備え、前記原因判断手段は、前記走行軌跡に沿って撮像された撮像画像に基づいて、逸れた原因が一時的な道路変更区間によるものか否かを判断する、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5記載の発明では、走行中の道路から逸れたか否かを判断する逸れ判断機能と、前記逸れ判断機能で道路から逸れたと判断した場合に、逸れた原因が一時的な道路変更によるものか否かを判断する原因判断機能と、一時的な道路変更と判断した場合に、逸れていた区間の道路を非表示とすると共に、逸れて走行した車両の走行軌跡から代替道路を作成して表示する道路変更機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーション用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、道路から逸れた原因が一時的な道路変更であると判断した場合に、逸れていた区間の道路を非表示とすると共に、逸れて走行した車両の走行軌跡から代替道路を作成して表示するので、適切な道路データの作成、更新を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態におけるナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図2】道路変更処理と復旧処理による道路の表示状態についての説明図である。
【図3】道路変更処理の内容を表したフローチャートである。
【図4】復旧処理について表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラムにおける好適な実施の形態について、図1から図4を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態では、走行中の道路から逸れた場合に、道路に戻るまでの走行軌跡を記憶すると共に、道路から逸れて走行した原因が一時的な道路変更によるか否かを判断する。
一時的な道路変更である場合には、走行軌跡の開始点から終点(道路から外れた地点から戻った地点)までの区間の道路データを削除するのではなく、該区間の道路データを旧道路として、当該区間の道路データに非表示フラグを付すことで、旧道路を表示対象外にする。
また、走行軌跡から一時的な道路データを作成して代替道路として保存し、表示対象外とした道路区間の代わりに表示する。
【0011】
その後、車両が旧道路を走行した場合には、表示対象外としていた旧道路を表示対象に戻し、代わりに表示していた代替道路を直ちに削除する。
これにより、一時的な道路の変更に対して適切な道路データを表示することが出来ると共に、旧道路を削除していないので、元の道路に素速く復旧することができる。
【0012】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
このナビゲーション装置は、車両に搭載され、この図1に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
まず、現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。絶対方位センサ11は、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両がいずれの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方位を検出する手段であればよい。
本実施形態では、走行中の道路から逸れた場合に、現在位置検出装置10で検出される車両位置のデータから、元の道路に戻るまで、又は別の道路に戻るまでに走行した走行軌跡がRAM24に一時保持される。保持した走行軌跡は、一時的な道路の変更であると判断された場合に、道路変更データファイル58に保存される。
【0013】
相対方位センサ12は、例えば交差点を曲がったか否かを検出するものであり、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム或いは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。
また、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを用いてもよい。つまり、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出することができる手段であればよい。
距離センサ13は、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものでもよい。つまり、車両の移動距離を計測できる手段であればよい。
【0014】
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
ビーコン受信装置15は、特定の地点に設置された送信装置より発信された信号を受信する装置である。特に、VICS情報を入手することができ、渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等車両の走行に関する情報を入手することができる。
【0015】
データ送受信装置16は、電話回線や電波を利用して車両外部と通信をし、情報の交換を行うための装置である。
例えば、自動車電話、ATIS、VICS、GPS補正、車両間通信など様々な利用方法があり、走行に関する情報を入出力することが可能である。
【0016】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43またはスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0017】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置全体の総括的な演算及び制御を行う。
第1ROM22はナビゲーションに関するプログラム、特に、現在位置の検出、経路の探索、表示案内などに関するナビゲーションプログラム、更に、本実施形態における道路変更処理プログラム、復旧処理プログラム等の各種プログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0018】
RAM24は、後述する入力装置41により入力された目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、または情報記憶装置50から読み込まれた地図情報を格納するための記憶手段である。
通信インタフェース25は、現在位置検出装置10からの情報、特に外部から得られる情報を入出力するための手段である。
【0019】
第2ROM26は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納している。なお、第1ROM22と第2ROM26を共通する1のROMで構成するようにしてもよい。
画像プロセッサ27は、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための処理手段である。
時計28は、時刻を刻む。
画像メモリ29は、画像プロセッサ27により処理された画像情報を格納する手段である。
音声プロセッサ30は、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理し、スピーカ44に出力する。
【0020】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44、周辺監視カメラ45より構成される。入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
ディスプレイ42には、現在地周辺の地図や、目的地までの走行経路が表示される。
【0021】
周辺監視カメラ45は、車両の周囲360度を撮像する1又は複数のCCDカメラで構成される。
この周辺監視カメラ45は、車両が走行道路から逸れた場合に撮像され、一時的な道路の変更があったか否かを判断する場合に使用される。撮像画像中に工事中であることを示す表示物等を検出した場合に、一時的な道路変更があったものと判断される。
なお、他の要素だけから一時的な道路の変更か否かを判断する構成とした場合には、この周辺監視カメラ45は不要である。
【0022】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、交差点データファイル52、ノードデータファイル53、道路データファイル54、写真データファイル55、目的地データファイル56、案内地点データファイル57、道路変更データファイル58、その他のデータファイル59を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、各種半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
なお、書き換えが必要な情報については、書き換え可能なハードディスク、フラッシュメモリなどで構成し、その他の固定的な情報についてはCD−ROM、DVD−ROMなどのROMを使用するようにしてもよい。
【0023】
地図データファイル51には、全国道路地図、各地域の道路地図または住宅地図等の地図データが記憶されている。道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形及び、道路名称等が表示される市街図である。細街路とは、例えば、国道、県道以下の道幅が所定値以下の比較的狭い道路である。
【0024】
交差点データファイル52には交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関するデータが、道路データファイル54には道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータが、写真データファイル55には各種施設や観光地、または主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データが、それぞれ記憶されている。
【0025】
本実施形態における道路変更処理において、道路工事等による一時的な道路の変更が検出された場合、所定区間の道路(走行履歴データの起点から終点までの区間)が旧道路として非表示の対象となる。
ここで本発明おける「非表示」は、該当する所定区間の道路を元の状態での表示と区別して表示すること全体を意味し、代表的にはディスプレイ42に表示しない場合が該当するが、それ以外に、道路を点線で表示する場合や、通常よりも薄く表示する場合も含まれる。
非表示の道路区間(旧道路)については、対応する道路データファイル54の道路に非表示を指示する非表示フラグが付される。なお、対応する旧道路の道路データそのものを道路データフィル54から道路変更データファイル58に移動するようにしてもよい。
非表示フラグが付された道路区間は、ディスプレイ42には表示されないが、点線により又は薄く表示することにより区別可能に表示するようにしてもよい。
【0026】
また、非表示フラグが付された旧道路には、当該旧道路に代えて走行軌跡から作成した代替道路を表示するために、道路変更データファイル58に格納されている代替道路のIDが格納される。
なお、旧道路を特定するデータ及び、対応する代替道路のデータについては、纏めて道路変更データファイル58に保存するようにしてもよい。
【0027】
ノードデータファイル53には地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等を表したノードデータが記憶される。
例えば、交差点などの道路の接続点はノードにより表され、接続点の間の道路(即ち道路の内分岐しない領域)はリンクによって表される。このように、ノードデータ経路の接続関係を表した経路データとして機能している。
また、各リンクには、進入禁止や一方通行など、交通規制により走行が制限されるものに関しては、これを表す属性が付与されている。
【0028】
目的地データファイル56には、主要観光地や建物、電話帳に記載されている企業・事業所等の目的地になる可能性の高い場所や施設等の位置と名称等のデータが記憶されている。案内地点データファイル57には、道路に設置されている案内表示板の内容や分岐点の案内等、案内が必要とされる地点の案内データが記憶されている。
道路変更データファイル58には、道路変更処理において、走行軌跡から作成した代替道路のデータが格納される。各代替道路には、旧道路との対応を取るための代替道路IDが付される。
【0029】
このように構成されたナビゲーション装置では、次のようにして経路案内が行われる。
ナビゲーション装置は、現在位置検出装置10で現在位置を検出し、情報記憶装置50の地図データファイル51から現在位置周辺の地図情報を読み込み、ディスプレイ42に表示する。
そして、入力装置41から目的地が入力されると、情報処理制御装置20は、現在位置から目的地に至る走行経路の候補を複数探索(演算)し、ディスプレイ42に表示した地図上に表示し、運転者がいずれかの走行経路を選択すると、選択した走行経路をRAM24に格納することで、走行経路を取得する(走行経路取得手段)。
【0030】
なお、情報処理制御装置20は、情報処理センタに車両現在位置(又は入力された出発地)と目的地を送信し、情報処理センタで探索された目的地までの走行経路を受信することにより走行経路を取得するようにしてもよい。この場合、目的地や走行経路の通信は通信インターフェイス25を介して、無線通信により行う。
また、自宅等のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を使用して、出発地から目的地までの走行経路を探索し、USBメモリ等の記憶媒体に格納し、該記憶媒体読取装置を介して取得するようにしてもよい。この場合の記憶媒体読取装置は伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
【0031】
車両が走行すると、現在位置検出装置10によって検出された現在位置を追跡することにより、経路案内を行う。
経路案内は、探索した走行経路に対応する道路データと現在位置検出装置10で検出される現在位置とのマップマッチングにより、地図上の車両位置を特定し、車両現在位置周辺の地図をディスプレイ42に表示すると共に、探索した走行経路と現在位置とを地図上に表示する。
また、探索した走行経路と現在位置との関係から、案内の必要性、すなわち直進が所定距離以上続く場合、所定の進路変更地点等の走行経路の案内、及び方面案内が必要か否か等について判断し、必要である場合にはディスプレイ42の表示及び音声による案内を実行する。
【0032】
次に本実施形態による一時的な道路の変更に対応するための道路変更処理と復旧処理について説明する。
図2は本実施形態による、道路変更処理と復旧処理による道路の表示状態について表したものである。
図2(a)に示すように、走行していた道路71の途中から逸れて、点線で示す走行軌跡72に沿って、元の道路71に戻ったものとする。なお、図2(a)において、符号73は車両の現在位置を表す現在位置マークである。
情報処理制御装置20は、走行軌跡の起点72aで道路71から逸れた時点から、終点72bまでの走行軌跡データを蓄積すると共に、周辺監視カメラ45による車両周辺の撮像画像を保存する。
【0033】
情報処理制御装置20は、撮像画像に工事中を示す画像を認識した場合に、車両は道路工事等による代替道路を走行したと判断する。
そして、情報処理制御装置20は、走行軌跡データに従って所定幅の工事区間を迂回するための、所定幅の代替道路72’を作成する。
【0034】
また、起点72aから終点72bまでの道路71の区間の表示を非表示にするために、対応する道路データに対して非表示フラグを付す。
これにより、図2(b)に点線で示すように、道路71の基点72aから終点72bまでの道路区間71’が非表示とされる。一方、非表示とした道路区間71’に代えて、作成した代替道路72を画面表示する。
なお、基点72aから終点72bまでの道路区間71’について、全くの非表示にするのではなく、一時変更により通行できないことを示すための他の表示としてもよい。例えば、通常の道路表示よりも薄く表示したり、点線で表示したり、道路の両起点の内側に×印又は工事中表示をするようにしてもよい。
【0035】
その後、非表示とした道路区間71’に対応する道路71の区間を走行すると、図2(c)に示すように、情報処理制御装置20は、直ちに代替道路72’の表示を止め、元の道路71を表示する。
【0036】
次に本実施形態による一時的な道路の変更に対応するための道路変更処理と復旧処理の内容について詳細に説明する。
図3は道路変更処理の内容を表したフローチャートである。
情報処理制御装置20は、車両の走行中において、車両が道路データに対応する道路から逸れたか否かを監視している(ステップ10)。
道路から逸れたか否かは、例えば、曲がる動作(ウインカーオン動作等)無しに一定角度以上曲がり、マップマッチングにより道路データ上の道路から外れた場合に道路から逸れたと判断する。
【0037】
情報処理制御装置20は車両が道路から逸れたと判断すると(ステップ10)、逸れた地点を起点として走行軌跡をRAM24蓄積すると共に、周辺監視カメラ45による車両周囲の撮像を開始し、撮像画像(動画)をRAM24に保存する(ステップ11)。
この走行軌跡と撮像画像の蓄積は、いずれかの道路に戻るまで(ステップ12)継続する。戻ったか否かの判断は、元の道路に戻った場合だけでなく、他の道路に戻った場合も含めて行う。
【0038】
いずれかの道路に戻ると(ステップ12;Y)、情報処理制御装置20は、道路データ上の道路から逸れて走行した理由が、一時的な道路変更があったためか否かを判断する(ステップ13)。
一時的な道路変更があったか否かについては、RAM24に蓄積した撮像画像を解析し、道路が工事中であることを示す画像が存在する場合に、一時的な道路変更があったと判断する。
道路の工事中を示す画像としては、例えば、工事中を示す立て札やフェンスの画像、赤いコーンポストの画像、オレンジ色のフェンスの画像、削り取った道路ペイントの画像、道路工事用の機材の画像等が対象となる。
【0039】
なお、本実施形態では、周辺監視カメラ45による撮像画像から一時的な道路変更か否かを判断するが、他に次の方法により判断するようにしてもよい。
(a)走行軌跡の形状からの判断する。すなわち、元の道路を逸れて走行した軌跡(道路)の湾曲が急であり、所定距離以内で元の道路に戻っている場合に、一時的な道路変更と判断する。
(b)都市計画において工事が予定されている場合、予定の工事区間を走行していれば、一時的な道路変更であると判断する。この場合の工事の計画については、無線通信により情報センタ等から予め取得し、又は走行中に道路から送信される工事情報により取得する。
(c)本実施形態による撮像画像による判断及び、上記(a)、(b)による判断のうちいずれか2つの組み合わせ、又は全ての組み合わせにより判断する。この場合、各判断を行い、そのいずれか1の判断で一時的な道路変更があると判断した場合には、一時的な道路変更があったものと結論する。
【0040】
道路の一時的な変更があったと判断できなかった場合(ステップ13;N)、情報処理制御装置20は、RAM24に保存した走行軌跡と撮像画像を削除し(ステップ14)、メインルーチンにリターンする。
【0041】
一方、一時的な道路の変更があったと判断した場合(ステップ13;Y)、情報処理制御装置20は、ディスプレイ42に表示する道路の更新を行い(ステップ15)、メインルーチンにリターンする。
すなわち道路の更新において情報処理制御装置20は、RAM24に格納した走行軌跡(道路データがある道路から逸れた地点を起点とし、いずれかの道路データがある道路に戻った地点を終点とする走行軌跡)に所定幅を持たせた代替道路データを作成し、所定の代替道路IDを付して道路変更データファイル58に保存する。
【0042】
また情報処理制御装置20は、作成した代替道路に対応する元の道路(旧道路)の道路データにおける、代替道路の起点(走行軌跡の起点)からから終点(走行軌跡の終点)までの区間に対して、非表示フラグを付すと共に、対応する代替道路の代替道路IDを付す。
【0043】
ディスプレイ42に現在位置周辺の道路を表示する場合、情報処理制御装置20は、表示領域内の道路データに非表示フラグが付されているか否かを判断し、非表示フラグが付されていればその区間の旧道路を表示対象から外すともに、該旧道路に付されている代替道路IDに対する代替道路を道路変更データファイル58から読み出して表示する。
これにより、工事などによって道路が一時的に変更されている場合にも、旧道路の非表示と代替道路の適切な表示を行うことができる。
【0044】
次に、一時的に変更した道路が復旧した場合の復旧処理について図4のフローチャートに従って説明する。
情報処理制御装置20は車両走行中において、元の道路を走行しているか否かを監視している(ステップ21)。
すなわち、情報処理制御装置20は、車両が代替道路上を走行せずに旧道路上を走行しているか否かについて、現在位置検出装置10で検出した車両の現在位置から判断する。
元の道路を走行していなければ(ステップ21;N)、情報処理制御装置20は、メインルーチンにリターンする。
【0045】
一方、車両が元の道路(旧道路上)を走行している場合(ステップ21;Y)、工事等が完了しているものと判断し、情報処理制御装置20は、直ちにディスプレイ42の表示を、代替道路から旧道路に戻す(ステップ22)。
すなわち、情報処理制御装置20は、車両の現在位置に対応する旧道路に付されている非表示フラグと代替道路IDを削除する。
【0046】
また、情報処理制御装置20は、現在位置に対応して一時的に変更した道路、すなわち、削除した代替道路IDに対応して道路変更データファイル58に保存されている代替道路のデータを削除して(ステップ23)、メインルーチンにリターンする。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置によれば、走行中の道路から逸れた場合に、道路工事などによる一時的な道路の変更によるものか否かを判断し、一時的な変更である場合には、走行軌跡から代替道路を作成、表示すると共に、道路工事等の対象となっている元の道路を削除するのではなく、非表示フラグを付すことで、道路工事の完了等の一時的道路変更の理由が解消するまで当該道路区間を非表示にする。
一方、非表示にした道路区間を走行した場合には直ちに、非表示対象から回復させて元の道路を表示すると共に、代替道路を削除する。
これにより、一時的な道路の変更があった場合に、適切な道路の表示を行うことができる。また、一時的道路の変更が終了後に元の道路を走行した場合に、元の道路に素速く復旧することができる。
【0048】
なお、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各種変形が可能である。
例えば、説明した実施形態では、道路単位で一時的な道路変更か否かを判断したが、車線単位で判断するようにしてもよい。
すなわち、走行中の道路から逸れて工事中であることを示す標識等を検出した場合であっても、走行している方向の車線についてだけが工事中であり、対向車線については走行可能である場合がある。
そこで、情報処理制御装置20は、走行している方向の車線に対して(対向車線を対象外として)代替車線道路を作成及び表示し、当該区間の道路(旧車線道路)を非表示の対象とする。
【0049】
また、説明した実施形態では周辺監視カメラ45で撮像した画像データから一時的な道路変更であるか否かを判断したが、上述(b)で説明したように、都市計画において工事が予定されているか否かから判断するようにしてもよい。
この場合、情報センタ等から取得した工事情報に、工事期間や、工事完了日が含まれていれば、工事完了日に自動的に復旧処理(旧道路の非表示フラグと代替道路IDの削除、代替道路データの削除)を行うようにしてもよい。
【0050】
なお、撮像画像に基づく判断(説明した実施形態)や、走行軌跡の形状からの判断(上記(a)の場合)と組み合わせる場合には、工事完了日前に、元の道路区間(旧道路)を走行していると判断した場合には、早期に道路工事が完了したものとして直ちに復旧処理を行う。
【符号の説明】
【0051】
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
40 入出力装置
45 周辺監視カメラ
50 情報記憶装置
58 道路変更データファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行中の道路から逸れたか否かを判断する逸れ判断手段と、
前記逸れ判断手段で道路から逸れたと判断した場合に、逸れた原因が一時的な道路変更によるものか否かを判断する原因判断手段と、
一時的な道路変更と判断した場合に、逸れていた区間の道路を非表示とすると共に、逸れて走行した車両の走行軌跡から代替道路を作成して表示する道路変更手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記取得した車両の現在位置が、前記非表示の対象となっている道路区間内である場合に、当該区間の道路の非表示を解消すると共に、当該区間の道路に対応して作成した前記代替道路を削除する道路復旧手段と
を具備したことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記原因判断手段は、車両が道路から逸れ、いずれかの道路に戻ったときに一時的な道路変更か否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
車両の周囲を撮像する撮像手段を備え、
前記原因判断手段は、前記走行軌跡に沿って撮像された撮像画像に基づいて、逸れた原因が一時的な道路変更区間によるものか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
走行中の道路から逸れたか否かを判断する逸れ判断機能と、
前記逸れ判断機能で道路から逸れたと判断した場合に、逸れた原因が一時的な道路変更によるものか否かを判断する原因判断機能と、
一時的な道路変更と判断した場合に、逸れていた区間の道路を非表示とすると共に、逸れて走行した車両の走行軌跡から代替道路を作成して表示する道路変更機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーション用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−181265(P2010−181265A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24781(P2009−24781)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】