ナビゲーション装置及びプログラム
【課題】検索条件に応じた適切な表示エリアの地図を表示可能なナビゲーション装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、地点に対応した地図を表示するものであって、施設名称を取得し(S101)、取得された施設名称に対応する代表地点を特定する(S104)。特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あると判断された場合(S105:YES)、地図を表示するための描画用データベース35に格納された描画用データに含まれる文字データに基づいて、施設名称に対応した表示エリアを特定する(S112〜S114)。これにより、複数の施設に対応する地点が同一であっても、描画用データに含まれる文字データに基づいて検索条件に対応した表示エリアが特定されるので、検索条件に対応した適切なエリアの地図を表示することができる。
【解決手段】ナビゲーション装置は、地点に対応した地図を表示するものであって、施設名称を取得し(S101)、取得された施設名称に対応する代表地点を特定する(S104)。特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あると判断された場合(S105:YES)、地図を表示するための描画用データベース35に格納された描画用データに含まれる文字データに基づいて、施設名称に対応した表示エリアを特定する(S112〜S114)。これにより、複数の施設に対応する地点が同一であっても、描画用データに含まれる文字データに基づいて検索条件に対応した表示エリアが特定されるので、検索条件に対応した適切なエリアの地図を表示することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザにより入力された検索条件に基づいて施設を特定し、特定された施設を中心とした地図を表示するナビゲーション装置が知られている。例えば、特許文献1では、ユーザにより選択された施設を検索データベース内(地図情報)から特定し、特定された施設を中心とする地図を表示することが開示されている。そして、上述のような施設を中心とする地図を表示する場合には、施設の住所と座標とが一対一で対応付けられている地図情報の検索データベースに基づいて施設の住所に対応する座標を特定し、特定された座標が中心となるように地図を表示することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−310423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで例えば、ゴルフ場やスキー場等の複数の施設が一体となったリゾート地等の複合施設や団地などでは、複数の施設の住所が同じであることがある。このような場合、同一の住所である複数の施設のいずれかの施設が特定されたとしても、同一の住所に対応する代表地点に対応した同一の地図が表示される。すなわち、施設が特定できたとしても、特定された施設の地図を適切に表示することができない。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、検索条件に応じた適切な表示エリアの地図を表示可能なナビゲーション装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のナビゲーション装置は、地点に対応した表示エリアの地図を表示するものである。ナビゲーション装置は、地点を検索するための検索条件を取得する検索条件取得手段と、検索条件取得手段により取得された検索条件に対応する地点を特定する地点特定手段と、地点特定手段により特定された地点と同一の地点が予め設定されている施設が複数あるか否かを判断する重複判断手段と、重複判断手段により地点と同一の地点が設定されている施設が複数あると判断された場合、地図を表示するための描画データに含まれる文字データに基づいて、検索条件に対応した表示エリアを特定する表示エリア特定手段と、を備えることを特徴とする。これにより、複数の施設に対応する地点が同一であっても、描画データに含まれる文字データに基づいて、検索条件に対応した表示エリアが特定されるので、検索条件に対応した適切なエリアの地図を表示することができる。
【0006】
より詳細には、以下のように構成することができる。
請求項2に記載のナビゲーション装置では、検索条件取得手段により取得された検索条件に対応する文字群を特定する文字群特定手段を備える。そして、表示エリア特定手段は、文字データに基づいて、文字群の画像上における表示位置を特定し、表示位置に基づいて表示エリアを特定する。これにより、検索条件に対応する文字群が表示される位置に基づいて表示エリアを特定するので、より適切に表示エリアを特定することができる。
請求項3に記載のナビゲーション装置では、文字群特定手段は、検索条件に対応する施設名称を文字群として特定する。これにより、施設名称が表示される位置に基づいて、表示エリアを適切に特定することができる。
【0007】
以上は、ナビゲーション装置の発明として説明してきたが、次に示すようなプログラムの発明として実現することもできる。
すなわち、地点に対応した表示エリアの地図を表示するプログラムであって、地点を検索するための検索条件を取得する検索条件取得手段、検索条件取得手段により取得された検索条件に対応する地点を特定する地点特定手段、地点特定手段により特定された地点と同一の地点が予め設定されている施設が複数あるか否かを判断する重複判断手段、及び重複判断手段により地点と同一の地点が設定されている施設が複数あると判断された場合、地図を表示するための描画データに含まれる文字データに基づいて、検索条件に対応した表示エリアを特定する表示エリア特定手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。このようなプログラムを実行することで、上記と同様の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態のナビゲーション装置のPOI検索用データベースを説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態のナビゲーション装置の描画用データベースを説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図6】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図7】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図8】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図9】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図10】本発明の変形例による表示エリア特定処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の変形例の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明によるナビゲーション装置を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1は、本実施形態によるナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。車両2に搭載されるナビゲーション装置1は、制御部10を中心に構成されており、制御部10に接続される位置検出器20、地図データ記憶部30、操作スイッチ群40、描画部60、および、音声出力部70等を備えている。
【0010】
制御部10は、通常のコンピュータとして構成されている。制御部10の内部には、CPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。
位置検出器20は、いずれも周知の地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、および、衛星からの電波を受信するGPS(Global Positioning System)受信機24等を有している。これらのセンサ等21〜24は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。
【0011】
地図データ記憶部30は、例えばハードディスク装置(HDD)として実現される記憶装置である。なお、本実施形態ではHDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。地図データ記憶部30は、地点検索用データフレーム31、および、地図描画用データフレーム34を有している。
【0012】
地点検索用データフレーム31には、住所検索用データベース32およびPOI検索用データベース33が格納されている。
住所検索用データベース32には、住所名称と座標とが対応づけて格納されている。例えば、「○○県」という住所名称に1つの代表地点の座標が対応づけられ、その1つ下の階層である「○○県△△市」という住所名称にまた別の1つの代表地点の座標が対応づけられている、といった具合に、住所名称が階層構造をなして記憶されており、それぞれの住所名称に対して1つの代表地点の座標が対応づけられている。
【0013】
POI検索用データベース33には、施設名称、電話番号、施設住所等であるPOI情報と、施設の代表地点としての座標とが対応づけられて格納されている。例えば、図2に示すように、施設「AAA」については、施設名称として「AAA」、電話番号として「0564−XX−XXXX」、住所として「○○県△△市××町1丁目1番地」、施設の代表地点として「(座標:x,y)」が対応づけて記憶されている。BBB、CCC、DDD、EEE、FFF、GGG、P病院、R駅といった他の施設についても同様に、施設名称、電話番号、施設住所、および、代表地点が対応づけて記憶されている。なお、図2中には示していないが、それぞれの施設には、施設ID、施設ジャンル、施設領域等についても記憶されている。
【0014】
施設「AAA」、「BBB」、「CCC」、「DDD」および「EEE」は、施設名称および電話番号がそれぞれ異なっているものの、住所が同一であるため、同じ代表地点(座標:x,y)が対応づけられている。このように、異なる施設であっても、住所が同じである場合、同じ代表地点が対応づけられている。
【0015】
地図描画用データフレーム34には、描画用データベース35が格納されている。描画用データベース35には、ディスプレイ61に地図を描画するために必要なデータが格納されている。描画用データベース35は、面データとして、緑地、池、湖沼、島、行政界、施設界、建物、鉄道、道路などのデータを有している。また、描画用データベース35は、線データとして、河川、等高線などのデータを有している。さらにまた、描画用データベース35は、記号などを含む点データ、および、文字データを有している。
【0016】
図3に示すように、文字データは、地図上に表示する施設名称や住所等のデータであって、地図上に表示する際に中心となる中心座標と対応づけて格納されている。また、文字データには、優先順位が対応づけて格納されている。優先順位は、1〜5の5段階であり、優先順位ごとに、表示する地図の縮尺とその縮尺において表示する文字のフォントサイズ等が設定されている。例えば、優先順位が「1」のものは広域地図においても表示され、優先順位が「5」のものは詳細地図でのみ表示される、また、優先順位が「1」のものは優先順位が「5」のものに比べて詳細地図での文字のフォントサイズが大きい、といった具合である。また、図3中には示していないが、それぞれの文字データには、北を上として表示した地図上に表示されるときに占有する領域がスクリーン座標群として記憶されている。スクリーン座標群は、表示する地図の縮尺毎に設定されている。なお、進行方向等に応じて地図の向きが変更される場合、スクリーン座標群は、表示される地図に対して中心座標を中心として相対的に回転することにより、常にユーザが読みやすいように表示される。なお、文字データの中心座標やスクリーン座標群は、文字データ毎に設定されていてもよいし、1文字毎に設定されていてもよい。本実施形態では、文字データ毎に設定されているものとする。
【0017】
図1に示すように、操作スイッチ群40は、ディスプレイ61と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチやリモコン装置等で構成され、各種入力に使用される。
描画部60には、ディスプレイ61が接続されている。ディスプレイ61は、液晶やCRTを用いたカラーディスプレイである。このディスプレイ61を介して情報表示が行われる。
音声出力部70にはスピーカ71が接続されており、このスピーカ71を介して音声による案内が行われる。
【0018】
ところで、本実施形態では、複数の施設に対応する代表地点が同一であっても、描画データに含まれる文字データに基づいて、検索条件に対応した適切なエリアの地図を表示できる点に特徴を有している。そこで、図4に示すフローチャートに基づいて表示エリア特定処理を説明する。
最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)では、操作スイッチ群40を介してユーザにより入力された施設名称を取得する。本実施形態では、S101で入力された施設名称が「検索条件」に対応する。
S102では、S101で取得された施設名称に基づき、POI検索用データベース33を検索する。
【0019】
S103では、S102での検索結果に基づき、S101にて入力された施設名称に該当する施設が特定できたか否かを判断する。ここでは、S101にて入力された施設名称に該当する施設が1つであった場合、当該施設が特定できたものとする。また、S101にて入力された施設名称に該当する施設が複数検索された場合であって、例えば複数の施設をディスプレイ61にリスト表示し、操作スイッチ群40を介してユーザにより1つの施設が選択された場合、ユーザによって選択された施設が入力された施設名称に該当する施設として特定できたものとする。該当する施設が特定できなかった場合(S103:NO)、S104以下の処理を行わない。該当する施設が特定できた場合(S103:YES)、S104へ移行する。
S104では、S103で特定された施設に対応する代表地点を、POI検索用データベース33に基づいて特定する。
【0020】
S105では、POI検索用データベース33を検索し、S104で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あるか否かを判断する。同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数でない場合(S105:NO)、すなわち、当該代表地点に対応する施設が1つである場合、S111へ移行する。同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数ある場合(S105:YES)、S106へ移行する。
【0021】
S106では、S101で取得された施設名称に基づき、文字認識を行う文字群(以下、「認識文字群」という。)を特定する。例えば、S101でユーザにより入力された施設名称が「AAA」である場合、「AAA」を、文字認識を行う認識文字群として特定する。
【0022】
S107では、文字認識を行うエリア(以下、「認識エリア」という。)を特定する。本実施形態では、S104で特定された代表地点を中心とする所定範囲、例えば半径2kmのエリア、とする。
S108では、S107で特定された認識エリア内について、文字認識処理を行う。
【0023】
ここで、S108の文字認識処理の詳細を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
最初のS121では、描画用データベース35を検索し、S107で特定された認識エリア内に中心座標が含まれる文字データを抽出する。
S122では、S121で抽出された文字データにおいて、S106で特定された認識文字群と合致する文字データを特定する。
【0024】
S123では、S122において、認識文字群と合致する文字データが特定できたか否かを判断する。認識文字群と合致する文字データが特定できなかった場合(S123:NO)、S124の処理を行わない。認識文字群と合致する文字データが特定できた場合(S123:YES)、特定フラグをセットし、S124へ移行する。
【0025】
S124では、ディスプレイ61に表示される地図上において、認識文字群と合致すると特定された文字データが表示される表示位置を特定し、文字認識処理を終了する。表示位置としては、文字データが表示される領域であるスクリーン座標群および中心座標が特定される。なお、本実施形態においては、ディスプレイ61に表示される検索条件に対応した適切なエリアの地図の縮尺は初期値としての縮尺が予め設定されているものとし、設定された縮尺におけるスクリーン座標群が特定されるものとする。また、S122において、認識文字群と合致する文字データが複数特定された場合には、全ての文字データのスクリーン座標群および中心座標を表示位置として特定するものとする。
【0026】
図4に戻り、S109では、S107で特定された認識エリア内に認識文字群が存在するか否かを判断する。ここでの判断は、特定フラグがセットされているか否かに基づいて判断する。認識エリア内に認識文字群が存在しないと判断された場合(S109:NO)、すなわち特定フラグがセットされていない場合、S114に移行する。認識エリア内に認識文字群が存在すると判断された場合(S109:NO)、すなわち特定フラグがセットされている場合、S110へ移行する。
【0027】
S110では、認識文字群と合致する文字データが複数特定されたか否かを判断する。認識文字群と合致する文字データが複数特定されなかった場合(S110:NO)、すなわち1つの文字データが認識文字群と合致する場合、S112へ移行する。認識文字群と合致する文字データが複数特定された場合(S110:YES)、S113へ移行する。なお、認識文字群と合致する文字データが複数特定される場合とは、例えばS101でユーザにより入力された施設名称が「AAA」である場合であって、認識エリア内に「AAA(本館)」および「AAA(別館)」といった文字データがあるような場合である。
【0028】
S104で特定された代表地点と同一の地点に対応する施設が1つである場合(S105:NO)に移行するS111では、当該代表地点を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。ここでは、施設が1つに特定されているので、代表地点を中心とする地図を表示することにより、当該施設が中心の地図が表示される。
【0029】
S104で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S105:YES)、認識エリア内において1つの文字データが認識文字群と合致する場合(S110:NO)に移行するS112では、認識文字群と合致した文字データの中心座標を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。
【0030】
S104で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S105:YES)、認識文字群と合致する文字データが複数ある場合(S110:YES)に移行するS113では、合致する文字データのスクリーン座標の重心を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。なお、上述の通り、本実施形態では、ディスプレイ61に表示する地図の初期値としての縮尺が予め設定されているが、合致する全ての文字データが当該縮尺では表示されない場合、全ての文字データが表示されるように、スクリーン座標群に基づいて縮尺を変更して表示する。
なお、合致する文字データのスクリーン座標群の重心に替えて、中心座標の重心を中心とするエリアを表示エリアとして特定してもよい。
【0031】
S104で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S105:YES)、認識エリア内に認識文字群が存在しないと判断された場合(S109:NO)に移行するS114では、S104で特定された代表地点を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。なお、この場合、同一の代表地点に複数の施設が対応しているため、ユーザの所望する施設が中心に表示されない可能性がある。
なお、特定された表示エリアの地図がディスプレイ61に表示されると、表示エリア特定処理においてセットされたフラグ等のデータはリセットされる。
【0032】
ここで、同一の代表地点に複数の施設が対応している場合における表示エリアの特定方法の具体例を図6〜8に基づいて説明する。
図6に示すように、文字データ「○○○」は、描画用データベース35に記憶されている中心座標が(t,u)であるものとする。このとき、文字データ「○○○」は、座標(t,u)を中心として地図上に表示される。また、図6中に一点鎖線で示す領域に含まれる座標が、当該縮尺におけるスクリーン座標群として設定されている。なお、他の文字データにも同様に中心座標およびスクリーン座標群が設定されているが、図示は省略した。
【0033】
<表示例1>
図6、図7に示す例では、施設AAA、BBB、CCC、DDD、EEEの5つの施設の住所が、いずれも「○○県△△市××町1丁目100番地」であり、代表地点の座標が(x,y)であるものとする(図2参照)。また、文字データ「AAA」の中心座標は(x1,y1)であり、文字データ「BBB」の中心座標は(x2,y2)であり、文字データ「CCC」の中心座標は(x3,y3)であり、文字データ「DDD」の中心座標は(x4,y4)であり、文字データ「EEE」の中心座標は(x5,y5)であるものとする(図3参照)。なお、座標(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)、および、(x5,y5)は、異なる座標であるものとする。
【0034】
ここで、操作スイッチ群40を介してユーザにより施設名称「AAA」が入力された場合を例に表示エリアの特定方法を説明する。施設名称「AAA」が取得されると(S101)、POI検索用データベース33を検索し(S102)、施設AAAが特定され(S103:YES)、代表地点(座標:x,y)が特定される(S104)。POI検索用データベース33を検索すると、施設BBB、CCC、DDD、EEEの代表地点が、施設AAAの代表地点(座標:x,y)と同一の地点に設定されているので(S105:YES)、代表地点(座標:x,y)を中心とする半径2kmのエリアを認識エリアとして特定する(S106)。また、「AAA」を認識文字群として特定する(S107)。そして、特定された認識エリア内の文字データを描画用データベース35から抽出し(S121)、認識文字群「AAA」に合致する文字データを特定する(S122)。この例では、認識文字群「AAA」と合致する文字データが特定できるので(S123:YES)、特定フラグをセットし、文字データ「AAA」の中心座標、および設定された縮尺におけるスクリーン座標群を特定する(S124)。ここでは、認識文字群と合致する文字データが1つであるので(S110:NO)、文字データ「AAA」の中心座標を中心とするエリアを表示エリアとして特定し(S112)、ディスプレイ61に表示する(図7参照)。
【0035】
<表示例2>
表示例2を図8に基づいて説明する。この例では、施設AAA、BBB、CCC、DDDの4つの施設の住所が、いずれも「○○県△△市××町1丁目100番地」であり、代表地点の座標が(x,y)であるものとする。また、文字データ「BBB」の中心座標は(x2,y2)であり、文字データ「CCC」の中心座標は(x3,y3)であり、文字データ「DDD」の中心座標は(x4,y4)であるものとする。また、施設AAAには、本館および別館があり、描画用データベース35には文字データとして「AAA(本館)」および「AAA(別館)」が記憶されているものとする。文字データ「AAA(本館)」の中心座標は(x11,y11)であり、「AAA(別館)」の中心座標は(x12,y12)であるものとする。なお、座標(x11,y11)、(x12,y12)、(x2,y2)、(x3,y3)、および、(x4,y4)は、異なる座標であるものとする。
【0036】
ここで、操作スイッチ群40を介してユーザにより施設名「AAA」が入力された場合を例に表示エリアの特定方法を説明する。施設名称「AAA」が取得されると(S101)、POI検索用データベース33を検索し(S102)、施設AAAが特定され(S103:YES)、代表地点(座標:x,y)が特定される(S104)。POI検索用データベース33を検索すると、施設BBB、CCC、DDDの代表地点が、施設AAAの代表地点(座標:x,y)と同一の地点に設定されているので(S105:YES)、代表地点(座標:x,y)を中心とする半径2kmのエリアを認識エリアとして特定する(S106)。また、「AAA」を認識文字群として特定する(S107)。そして、特定された認識エリア内の文字データを描画用データベース35から抽出し(S121)、認識文字群「AAA」に合致するデータを特定する(S122)。この例では、認識文字群「AAA」と合致する文字データが特定されるので、特定フラグをセットし、文字データ「AAA(本館)」および「AAA(別館)」の中心座標、および設定された縮尺におけるスクリーン座標群を特定する(S124)。ここでは、認識文字群と合致する文字データが複数であるので(S110:YES)、合致する文字データ「AAA(本館)」および「AAA(別館)」のスクリーン座標群の重心(xa,ya)を中心とするエリアを表示エリアとして特定し(S113)、ディスプレイ61に表示する。
【0037】
<表示例3>
表示例3を図9に基づいて説明する。この例では、施設AAA、BBB、CCC、DDD、EEEの5つの施設の住所が、いずれも「○○県△△市××町1丁目100番地」であり、代表地点の座標が(x,y)であるものとする。
ここで、操作スイッチ群40を介してユーザにより施設名「AAA」が入力された場合を例に表示エリアの特定方法を説明する。施設名称「AAA」が取得されると(S101)、POI検索用データベース33を検索し(S102)、施設AAAが特定され(S103:YES)、代表地点(座標:x,y)が特定される(S104)。POI検索用データベース33を検索すると、施設BBB、CCC、DDDの代表地点が、施設AAAの代表地点(座標:x,y)と同一の地点に設定されているので(S105:YES)、代表地点(座標:x,y)を中心とする半径2kmのエリアを認識エリアとして特定する(S106)。また、「AAA」を認識文字群として特定する(S107)。そして、特定された認識エリア内の文字データを描画用データベース35から抽出したところ(S121)、認識文字群「AAA」に合致するデータが特定されなかったものとする(S123:NO、S109:NO)。このような場合には、代表地点(座標:x,y)を中心とするエリアを表示エリアとして特定し(S114)、ディスプレイ61に表示する。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態のナビゲーション装置1は、地点に対応した表示エリアの地図を表示するものであって、施設名称を取得し(S101)、取得された施設名称に対応する代表地点を特定する(S104)。特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あると判断された場合(S105:YES)、地図を表示するための描画用データベース35に格納された描画用データに含まれる文字データに基づいて、施設名称に対応した表示エリアを特定する(S112〜S114)。これにより、複数の施設に対応する代表地点が同一であっても、描画用データに含まれる文字データに基づいて検索条件に対応した表示エリアが特定されるので、検索条件に対応した適切なエリアの地図を表示することができる。なお、従来は1つの検索条件で検索を行う場合、複数のデータベースに跨って検索を行うことはないが、本実施形態では、地点検索用データフレーム31に格納されたPOI検索用データベース33だけでなく、地図描画用データフレーム34に格納された描画用データベース35をも用いることにより、適切に表示エリアを特定している。
【0039】
また、本実施形態では、取得された検索条件、本実施形態では施設名称、に基づいて対応する文字群を特定する。具体的には、取得された施設名称に基づき、文字認識を行う認識文字群を特定する(S106)。そして、文字データに基づいて、認識文字群の画像上における表示位置を特定し(S124)、表示位置に基づいて表示エリアを特定する(S107〜S110、S112〜114)。これにより、検索条件に対応する文字群が表示される表示位置に基づいて表示エリアを特定するので、より適切に表示エリアを特定することができる。さらにまた、施設名称を認識文字群として特定するので、施設名称が表示される位置に基づいて、表示エリアを適切に特定することができる。
【0040】
なお、本実施形態の制御部10が、「検索条件取得手段」、「地点特定手段」、「重複判断手段」、「表示エリア特定手段」、および、「文字群特定手段」を構成する。そして、図4中のS101が「検索条件取得手段」の機能としての処理に相当し、S104が「地点特定手段」の機能としての処理に相当し、S105が「重複判断手段」の機能としての処理に相当し、S107〜S110、S112〜S114が「表示エリア特定手段」の機能としての処理に相当する。また、S106が「文字群特定手段」の機能としての処理に相当する。
【0041】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
(ア)検索条件取得手段
上記実施形態では、検索条件として施設名称が取得されたが、取得される検索条件は、施設名称に限らず、地点を1つに特定できる検索条件であればよく、電話番号、施設ジャンル等であってもよい。例えば、検索条件が電話番号である場合、取得された電話番号に対応する施設の施設名称を認識文字群として特定してもよい。特に、リゾート地等の複合施設等において、住所は1つであるが、電話番号が施設ごとに設定されている場合、電話番号に基づいて特定された施設名称を認識文字群として特定することが好ましい。
さらに、検索条件は、所定のエリアを特定する住所であってもよい。ここで、取得される検索条件が住所である場合について、図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
最初のS201では、操作スイッチ群40を介してユーザにより入力された住所を取得する。この例では、S201で入力された住所が「検索条件」に対応する。
S202では、S201で取得された住所に基づき、住所検索用データベース32を検索する。
【0043】
S203では、S202での検索結果に基づき、S201で入力された住所に該当する住所が特定できるか否かを判断する。該当する住所が特定できない場合(S203:NO)、S204以降の処理を行わない。該当する住所が特定できる場合(S203:YES)、S204へ移行する。
S204では、S203で特定された住所に対応する代表地点を、住所検索用データベース32に基づいて特定する。
【0044】
S205では、POI検索用データベース33を検索し、S204で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あるか否かを判断する。同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数でない場合(S205:YES)、すなわち、当該代表地点に対応する施設が1つである場合や、当該代表地点に対応する施設が1つもない場合には、S211へ移行する。同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数ある場合(S205:YES)、S206へ移行する。
【0045】
S206では、S201で取得された住所に基づき、認識文字群を特定する。この例では、入力された住所に基づいて特定された代表地点に複数の施設が対応しているため、当該代表地点に対応する全ての施設名称を認識文字群として特定する。
【0046】
S207では、文字認識を行う認識エリアを特定する。この例では、上記実施形態と同様、S204で特定された代表地点を中心とする所定範囲、例えば半径2kmのエリア、としてもよいし、取得された住所に対応するエリアとしてもよい。
S208では、S207で特定された認識エリア内について、文字認識処理を行う。この文字認識処理は、図5に示すフローチャートに示す処理が行われる。
【0047】
S209では、S207で特定された認識エリア内に認識文字群が存在するか否かを判断する。認識エリア内に認識文字群が存在しないと判断された場合(S209:NO)、S214へ移行する。認識エリア内に認識文字群が存在すると判断された場合(S209:YES)、S210へ移行する。
【0048】
S210では、認識文字群と合致するデータが複数特定されたか否かを判断する。認識文字群と合致する文字データが複数特定されなかった場合(S210:NO)、すなわち1つの文字データが認識文字群と合致する場合、S212へ移行する。認識文字群と合致する文字データが複数特定された場合(S210:YES)、S213へ移行する。
【0049】
S204で特定された代表地点と同一の地点に対応する施設が1つである場合、或いは当該代表地点に対応する施設が1つもない場合(S205:YES)に移行するS211では、当該代表地点を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。
S204で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数であり(S205:YES)、認識エリア内において1つの文字データが認識文字群と合致する場合(S210:NO)に移行するS212では、認識文字群と合致する文字データの中心座標を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。
【0050】
S204で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S205:YES)、認識文字群と合致する文字データが複数ある場合(S210:YES)に移行するS213では、合致する文字データのスクリーン座標群の重心を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。ここでは、合致する全ての文字データが表示されるように初期値としての縮尺を適宜変更してもよい。また、合致する文字データの中心座標の重心を中心とするエリアとしてもよい。
【0051】
S204で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S205:YES)、認識エリア内に認識文字群が存在しないと判断された場合(S209:NO)に移行するS214では、当該代表地点を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。
なお、S211およびS214においては、S201で取得された住所に対応するエリアが全て表示されるように初期値としての縮尺を適宜変更してもよい。例えば、図11に示すように、取得された住所が「○○県△△市××町1丁目100番地」であり、「○○県△△市××町1丁目100番地」に対応するエリアが破線で示すごとくである場合、代表地点(座標:x,y)を中心とし、「○○県△△市××町1丁目100番地」に対応するエリアが全て表示されるように縮尺を変更する、という具合である。
なお、特定された表示エリアの地図がディスプレイ61に表示されると、表示エリア特定処理においてセットされたフラグ等のデータはリセットされる。
【0052】
なお、この例においては、図10中のS201が「検索条件取得手段」の機能としての処理に相当し、S204が「地点特定手段」の機能としての処理に相当し、S205が「重複判断手段」の機能としての処理に相当し、S207〜S210、S212〜S214が「表示エリア特定手段」の機能としての処理に相当する。また、S206が「文字群特定手段」の機能としての処理に相当する。
【0053】
このように、取得される検索条件は、電話番号、施設ジャンル、住所等であっても、取得された検索条件に対応した施設を特定し、当該施設の施設名称を認識文字群として特定して描画データに含まれる文字データに基づいて文字認識を行うことにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
(イ)縮尺の変更
上記実施形態では、ディスプレイ61に表示される地図の縮尺が予め設定されていたが、変形例では表示縮尺を選択可能に構成してもよい。この場合、選択された縮尺にて表示される文字データを文字認識対象とするように構成してもよい。
また、上記表示例3では、図9に示すように、代表地点(x,y)を中心として、予め設定された縮尺で地図表示を行ったが、これに替えて、代表地点に対応する住所を特定し、図11に示すように住所に対応するエリアが全て表示されるように表示エリアを特定してもよい。
【0055】
(ウ)認識文字群
上記実施形態では、施設名称を認識文字群として特定したが、代表地点に対応する住所の一部を認識文字群として特定してもよい。例えば、図10中のS201にて取得された住所が「○○県△△市××町1丁目100番地」である場合、取得された住所の最も下層である番地の「100」を認識文字群として特定する(S206)。そして、文字認識を行う認識エリアを特定し(S207)、認識エリア内に認識文字群である「100」について文字認識処理を行う。文字認識処理については、図5と同様であり、例えば図11に示す例では、認識文字群「100」と合致する5つの文字データが特定される。特定された5つの文字データのスクリーン座標群および中心座標を表示位置として特定し、スクリーン座標群の重心を中心とするエリアを表示エリアとして特定する、といった具合である。
【0056】
(エ)文字認識を行うエリア
上記実施形態では、文字認識を行う認識エリアは、特定された代表地点を中心とする所定の範囲とした。例えば、特定された地点の住所が「○○県△△市××町1234」であった場合、文字認識を行う認識エリアは、「○○県△△市××町1234」によって特定される領域としてもよいし、「○○県△△市××町」の行政区画によって特定される領域としてもよい。換言すると、「文字認識を行う領域は、特定された地点の住所に基づいて特定される」ということである。また、「文字認識を行う領域は、特定された地点の住所における所定の階層の行政区画に基づいて特定される」ということである。特に、代表地点に対応する住所の一部を認識文字群として特定し表示エリアを特定する上述の例のような場合、他の行政区画における同一の文字データを誤認識することを避けるため、認識文字群として特定した階層の1つ上の階層の行政区画に基づいて文字認識を行う領域を特定することが好ましい。すなわち、「○○県△△市××町1丁目100番地」の最も下層である番地の「100」を認識文字群として特定した場合、番地の1つ上の階層の行政区画である「○○県△△市××町1丁目」によって特定される領域を認識エリアとして特定する、といった具合である。これにより、例えば「○○県△△市××町2丁目100番地」に対応する文字データを誤認識することがなく、より適切に表示エリアを特定することができる。
【0057】
(オ)地図表示方法
上記実施形態において、認識文字群と合致した文字データが存在した場合、合致した文字データの表示方法を他の文字データを異なるように表示してもよい。例えば、合致した文字データを異なる色で表示したり、太字にしたり、点滅させたりしてもよい。また、合致した文字データの表示位置に基づいて、目的地を設定し、経路案内を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:ナビゲーション装置、10:制御部(検索条件取得手段、地点特定手段、重複判断手段、表示エリア特定手段、文字群特定手段)、20:位置検出器、21:地磁気センサ、22:ジャイロスコープ、23:距離センサ、24:GPS受信機、30:地図データ記憶部、31:地点検索用データフレーム、32:住所検索用データベース、33:POI検索用データベース、34:地図描画用データフレーム、35:描画用データベース、40:操作スイッチ群、60:描画部、61:ディスプレイ、70:音声出力部、71:スピーカ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザにより入力された検索条件に基づいて施設を特定し、特定された施設を中心とした地図を表示するナビゲーション装置が知られている。例えば、特許文献1では、ユーザにより選択された施設を検索データベース内(地図情報)から特定し、特定された施設を中心とする地図を表示することが開示されている。そして、上述のような施設を中心とする地図を表示する場合には、施設の住所と座標とが一対一で対応付けられている地図情報の検索データベースに基づいて施設の住所に対応する座標を特定し、特定された座標が中心となるように地図を表示することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−310423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで例えば、ゴルフ場やスキー場等の複数の施設が一体となったリゾート地等の複合施設や団地などでは、複数の施設の住所が同じであることがある。このような場合、同一の住所である複数の施設のいずれかの施設が特定されたとしても、同一の住所に対応する代表地点に対応した同一の地図が表示される。すなわち、施設が特定できたとしても、特定された施設の地図を適切に表示することができない。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、検索条件に応じた適切な表示エリアの地図を表示可能なナビゲーション装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のナビゲーション装置は、地点に対応した表示エリアの地図を表示するものである。ナビゲーション装置は、地点を検索するための検索条件を取得する検索条件取得手段と、検索条件取得手段により取得された検索条件に対応する地点を特定する地点特定手段と、地点特定手段により特定された地点と同一の地点が予め設定されている施設が複数あるか否かを判断する重複判断手段と、重複判断手段により地点と同一の地点が設定されている施設が複数あると判断された場合、地図を表示するための描画データに含まれる文字データに基づいて、検索条件に対応した表示エリアを特定する表示エリア特定手段と、を備えることを特徴とする。これにより、複数の施設に対応する地点が同一であっても、描画データに含まれる文字データに基づいて、検索条件に対応した表示エリアが特定されるので、検索条件に対応した適切なエリアの地図を表示することができる。
【0006】
より詳細には、以下のように構成することができる。
請求項2に記載のナビゲーション装置では、検索条件取得手段により取得された検索条件に対応する文字群を特定する文字群特定手段を備える。そして、表示エリア特定手段は、文字データに基づいて、文字群の画像上における表示位置を特定し、表示位置に基づいて表示エリアを特定する。これにより、検索条件に対応する文字群が表示される位置に基づいて表示エリアを特定するので、より適切に表示エリアを特定することができる。
請求項3に記載のナビゲーション装置では、文字群特定手段は、検索条件に対応する施設名称を文字群として特定する。これにより、施設名称が表示される位置に基づいて、表示エリアを適切に特定することができる。
【0007】
以上は、ナビゲーション装置の発明として説明してきたが、次に示すようなプログラムの発明として実現することもできる。
すなわち、地点に対応した表示エリアの地図を表示するプログラムであって、地点を検索するための検索条件を取得する検索条件取得手段、検索条件取得手段により取得された検索条件に対応する地点を特定する地点特定手段、地点特定手段により特定された地点と同一の地点が予め設定されている施設が複数あるか否かを判断する重複判断手段、及び重複判断手段により地点と同一の地点が設定されている施設が複数あると判断された場合、地図を表示するための描画データに含まれる文字データに基づいて、検索条件に対応した表示エリアを特定する表示エリア特定手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。このようなプログラムを実行することで、上記と同様の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態のナビゲーション装置のPOI検索用データベースを説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態のナビゲーション装置の描画用データベースを説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図6】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図7】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図8】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図9】本発明の一実施形態の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【図10】本発明の変形例による表示エリア特定処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の変形例の表示エリア特定処理により特定された表示エリアを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明によるナビゲーション装置を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1は、本実施形態によるナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。車両2に搭載されるナビゲーション装置1は、制御部10を中心に構成されており、制御部10に接続される位置検出器20、地図データ記憶部30、操作スイッチ群40、描画部60、および、音声出力部70等を備えている。
【0010】
制御部10は、通常のコンピュータとして構成されている。制御部10の内部には、CPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。
位置検出器20は、いずれも周知の地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、および、衛星からの電波を受信するGPS(Global Positioning System)受信機24等を有している。これらのセンサ等21〜24は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。
【0011】
地図データ記憶部30は、例えばハードディスク装置(HDD)として実現される記憶装置である。なお、本実施形態ではHDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。地図データ記憶部30は、地点検索用データフレーム31、および、地図描画用データフレーム34を有している。
【0012】
地点検索用データフレーム31には、住所検索用データベース32およびPOI検索用データベース33が格納されている。
住所検索用データベース32には、住所名称と座標とが対応づけて格納されている。例えば、「○○県」という住所名称に1つの代表地点の座標が対応づけられ、その1つ下の階層である「○○県△△市」という住所名称にまた別の1つの代表地点の座標が対応づけられている、といった具合に、住所名称が階層構造をなして記憶されており、それぞれの住所名称に対して1つの代表地点の座標が対応づけられている。
【0013】
POI検索用データベース33には、施設名称、電話番号、施設住所等であるPOI情報と、施設の代表地点としての座標とが対応づけられて格納されている。例えば、図2に示すように、施設「AAA」については、施設名称として「AAA」、電話番号として「0564−XX−XXXX」、住所として「○○県△△市××町1丁目1番地」、施設の代表地点として「(座標:x,y)」が対応づけて記憶されている。BBB、CCC、DDD、EEE、FFF、GGG、P病院、R駅といった他の施設についても同様に、施設名称、電話番号、施設住所、および、代表地点が対応づけて記憶されている。なお、図2中には示していないが、それぞれの施設には、施設ID、施設ジャンル、施設領域等についても記憶されている。
【0014】
施設「AAA」、「BBB」、「CCC」、「DDD」および「EEE」は、施設名称および電話番号がそれぞれ異なっているものの、住所が同一であるため、同じ代表地点(座標:x,y)が対応づけられている。このように、異なる施設であっても、住所が同じである場合、同じ代表地点が対応づけられている。
【0015】
地図描画用データフレーム34には、描画用データベース35が格納されている。描画用データベース35には、ディスプレイ61に地図を描画するために必要なデータが格納されている。描画用データベース35は、面データとして、緑地、池、湖沼、島、行政界、施設界、建物、鉄道、道路などのデータを有している。また、描画用データベース35は、線データとして、河川、等高線などのデータを有している。さらにまた、描画用データベース35は、記号などを含む点データ、および、文字データを有している。
【0016】
図3に示すように、文字データは、地図上に表示する施設名称や住所等のデータであって、地図上に表示する際に中心となる中心座標と対応づけて格納されている。また、文字データには、優先順位が対応づけて格納されている。優先順位は、1〜5の5段階であり、優先順位ごとに、表示する地図の縮尺とその縮尺において表示する文字のフォントサイズ等が設定されている。例えば、優先順位が「1」のものは広域地図においても表示され、優先順位が「5」のものは詳細地図でのみ表示される、また、優先順位が「1」のものは優先順位が「5」のものに比べて詳細地図での文字のフォントサイズが大きい、といった具合である。また、図3中には示していないが、それぞれの文字データには、北を上として表示した地図上に表示されるときに占有する領域がスクリーン座標群として記憶されている。スクリーン座標群は、表示する地図の縮尺毎に設定されている。なお、進行方向等に応じて地図の向きが変更される場合、スクリーン座標群は、表示される地図に対して中心座標を中心として相対的に回転することにより、常にユーザが読みやすいように表示される。なお、文字データの中心座標やスクリーン座標群は、文字データ毎に設定されていてもよいし、1文字毎に設定されていてもよい。本実施形態では、文字データ毎に設定されているものとする。
【0017】
図1に示すように、操作スイッチ群40は、ディスプレイ61と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチやリモコン装置等で構成され、各種入力に使用される。
描画部60には、ディスプレイ61が接続されている。ディスプレイ61は、液晶やCRTを用いたカラーディスプレイである。このディスプレイ61を介して情報表示が行われる。
音声出力部70にはスピーカ71が接続されており、このスピーカ71を介して音声による案内が行われる。
【0018】
ところで、本実施形態では、複数の施設に対応する代表地点が同一であっても、描画データに含まれる文字データに基づいて、検索条件に対応した適切なエリアの地図を表示できる点に特徴を有している。そこで、図4に示すフローチャートに基づいて表示エリア特定処理を説明する。
最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)では、操作スイッチ群40を介してユーザにより入力された施設名称を取得する。本実施形態では、S101で入力された施設名称が「検索条件」に対応する。
S102では、S101で取得された施設名称に基づき、POI検索用データベース33を検索する。
【0019】
S103では、S102での検索結果に基づき、S101にて入力された施設名称に該当する施設が特定できたか否かを判断する。ここでは、S101にて入力された施設名称に該当する施設が1つであった場合、当該施設が特定できたものとする。また、S101にて入力された施設名称に該当する施設が複数検索された場合であって、例えば複数の施設をディスプレイ61にリスト表示し、操作スイッチ群40を介してユーザにより1つの施設が選択された場合、ユーザによって選択された施設が入力された施設名称に該当する施設として特定できたものとする。該当する施設が特定できなかった場合(S103:NO)、S104以下の処理を行わない。該当する施設が特定できた場合(S103:YES)、S104へ移行する。
S104では、S103で特定された施設に対応する代表地点を、POI検索用データベース33に基づいて特定する。
【0020】
S105では、POI検索用データベース33を検索し、S104で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あるか否かを判断する。同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数でない場合(S105:NO)、すなわち、当該代表地点に対応する施設が1つである場合、S111へ移行する。同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数ある場合(S105:YES)、S106へ移行する。
【0021】
S106では、S101で取得された施設名称に基づき、文字認識を行う文字群(以下、「認識文字群」という。)を特定する。例えば、S101でユーザにより入力された施設名称が「AAA」である場合、「AAA」を、文字認識を行う認識文字群として特定する。
【0022】
S107では、文字認識を行うエリア(以下、「認識エリア」という。)を特定する。本実施形態では、S104で特定された代表地点を中心とする所定範囲、例えば半径2kmのエリア、とする。
S108では、S107で特定された認識エリア内について、文字認識処理を行う。
【0023】
ここで、S108の文字認識処理の詳細を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
最初のS121では、描画用データベース35を検索し、S107で特定された認識エリア内に中心座標が含まれる文字データを抽出する。
S122では、S121で抽出された文字データにおいて、S106で特定された認識文字群と合致する文字データを特定する。
【0024】
S123では、S122において、認識文字群と合致する文字データが特定できたか否かを判断する。認識文字群と合致する文字データが特定できなかった場合(S123:NO)、S124の処理を行わない。認識文字群と合致する文字データが特定できた場合(S123:YES)、特定フラグをセットし、S124へ移行する。
【0025】
S124では、ディスプレイ61に表示される地図上において、認識文字群と合致すると特定された文字データが表示される表示位置を特定し、文字認識処理を終了する。表示位置としては、文字データが表示される領域であるスクリーン座標群および中心座標が特定される。なお、本実施形態においては、ディスプレイ61に表示される検索条件に対応した適切なエリアの地図の縮尺は初期値としての縮尺が予め設定されているものとし、設定された縮尺におけるスクリーン座標群が特定されるものとする。また、S122において、認識文字群と合致する文字データが複数特定された場合には、全ての文字データのスクリーン座標群および中心座標を表示位置として特定するものとする。
【0026】
図4に戻り、S109では、S107で特定された認識エリア内に認識文字群が存在するか否かを判断する。ここでの判断は、特定フラグがセットされているか否かに基づいて判断する。認識エリア内に認識文字群が存在しないと判断された場合(S109:NO)、すなわち特定フラグがセットされていない場合、S114に移行する。認識エリア内に認識文字群が存在すると判断された場合(S109:NO)、すなわち特定フラグがセットされている場合、S110へ移行する。
【0027】
S110では、認識文字群と合致する文字データが複数特定されたか否かを判断する。認識文字群と合致する文字データが複数特定されなかった場合(S110:NO)、すなわち1つの文字データが認識文字群と合致する場合、S112へ移行する。認識文字群と合致する文字データが複数特定された場合(S110:YES)、S113へ移行する。なお、認識文字群と合致する文字データが複数特定される場合とは、例えばS101でユーザにより入力された施設名称が「AAA」である場合であって、認識エリア内に「AAA(本館)」および「AAA(別館)」といった文字データがあるような場合である。
【0028】
S104で特定された代表地点と同一の地点に対応する施設が1つである場合(S105:NO)に移行するS111では、当該代表地点を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。ここでは、施設が1つに特定されているので、代表地点を中心とする地図を表示することにより、当該施設が中心の地図が表示される。
【0029】
S104で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S105:YES)、認識エリア内において1つの文字データが認識文字群と合致する場合(S110:NO)に移行するS112では、認識文字群と合致した文字データの中心座標を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。
【0030】
S104で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S105:YES)、認識文字群と合致する文字データが複数ある場合(S110:YES)に移行するS113では、合致する文字データのスクリーン座標の重心を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。なお、上述の通り、本実施形態では、ディスプレイ61に表示する地図の初期値としての縮尺が予め設定されているが、合致する全ての文字データが当該縮尺では表示されない場合、全ての文字データが表示されるように、スクリーン座標群に基づいて縮尺を変更して表示する。
なお、合致する文字データのスクリーン座標群の重心に替えて、中心座標の重心を中心とするエリアを表示エリアとして特定してもよい。
【0031】
S104で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S105:YES)、認識エリア内に認識文字群が存在しないと判断された場合(S109:NO)に移行するS114では、S104で特定された代表地点を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。なお、この場合、同一の代表地点に複数の施設が対応しているため、ユーザの所望する施設が中心に表示されない可能性がある。
なお、特定された表示エリアの地図がディスプレイ61に表示されると、表示エリア特定処理においてセットされたフラグ等のデータはリセットされる。
【0032】
ここで、同一の代表地点に複数の施設が対応している場合における表示エリアの特定方法の具体例を図6〜8に基づいて説明する。
図6に示すように、文字データ「○○○」は、描画用データベース35に記憶されている中心座標が(t,u)であるものとする。このとき、文字データ「○○○」は、座標(t,u)を中心として地図上に表示される。また、図6中に一点鎖線で示す領域に含まれる座標が、当該縮尺におけるスクリーン座標群として設定されている。なお、他の文字データにも同様に中心座標およびスクリーン座標群が設定されているが、図示は省略した。
【0033】
<表示例1>
図6、図7に示す例では、施設AAA、BBB、CCC、DDD、EEEの5つの施設の住所が、いずれも「○○県△△市××町1丁目100番地」であり、代表地点の座標が(x,y)であるものとする(図2参照)。また、文字データ「AAA」の中心座標は(x1,y1)であり、文字データ「BBB」の中心座標は(x2,y2)であり、文字データ「CCC」の中心座標は(x3,y3)であり、文字データ「DDD」の中心座標は(x4,y4)であり、文字データ「EEE」の中心座標は(x5,y5)であるものとする(図3参照)。なお、座標(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)、および、(x5,y5)は、異なる座標であるものとする。
【0034】
ここで、操作スイッチ群40を介してユーザにより施設名称「AAA」が入力された場合を例に表示エリアの特定方法を説明する。施設名称「AAA」が取得されると(S101)、POI検索用データベース33を検索し(S102)、施設AAAが特定され(S103:YES)、代表地点(座標:x,y)が特定される(S104)。POI検索用データベース33を検索すると、施設BBB、CCC、DDD、EEEの代表地点が、施設AAAの代表地点(座標:x,y)と同一の地点に設定されているので(S105:YES)、代表地点(座標:x,y)を中心とする半径2kmのエリアを認識エリアとして特定する(S106)。また、「AAA」を認識文字群として特定する(S107)。そして、特定された認識エリア内の文字データを描画用データベース35から抽出し(S121)、認識文字群「AAA」に合致する文字データを特定する(S122)。この例では、認識文字群「AAA」と合致する文字データが特定できるので(S123:YES)、特定フラグをセットし、文字データ「AAA」の中心座標、および設定された縮尺におけるスクリーン座標群を特定する(S124)。ここでは、認識文字群と合致する文字データが1つであるので(S110:NO)、文字データ「AAA」の中心座標を中心とするエリアを表示エリアとして特定し(S112)、ディスプレイ61に表示する(図7参照)。
【0035】
<表示例2>
表示例2を図8に基づいて説明する。この例では、施設AAA、BBB、CCC、DDDの4つの施設の住所が、いずれも「○○県△△市××町1丁目100番地」であり、代表地点の座標が(x,y)であるものとする。また、文字データ「BBB」の中心座標は(x2,y2)であり、文字データ「CCC」の中心座標は(x3,y3)であり、文字データ「DDD」の中心座標は(x4,y4)であるものとする。また、施設AAAには、本館および別館があり、描画用データベース35には文字データとして「AAA(本館)」および「AAA(別館)」が記憶されているものとする。文字データ「AAA(本館)」の中心座標は(x11,y11)であり、「AAA(別館)」の中心座標は(x12,y12)であるものとする。なお、座標(x11,y11)、(x12,y12)、(x2,y2)、(x3,y3)、および、(x4,y4)は、異なる座標であるものとする。
【0036】
ここで、操作スイッチ群40を介してユーザにより施設名「AAA」が入力された場合を例に表示エリアの特定方法を説明する。施設名称「AAA」が取得されると(S101)、POI検索用データベース33を検索し(S102)、施設AAAが特定され(S103:YES)、代表地点(座標:x,y)が特定される(S104)。POI検索用データベース33を検索すると、施設BBB、CCC、DDDの代表地点が、施設AAAの代表地点(座標:x,y)と同一の地点に設定されているので(S105:YES)、代表地点(座標:x,y)を中心とする半径2kmのエリアを認識エリアとして特定する(S106)。また、「AAA」を認識文字群として特定する(S107)。そして、特定された認識エリア内の文字データを描画用データベース35から抽出し(S121)、認識文字群「AAA」に合致するデータを特定する(S122)。この例では、認識文字群「AAA」と合致する文字データが特定されるので、特定フラグをセットし、文字データ「AAA(本館)」および「AAA(別館)」の中心座標、および設定された縮尺におけるスクリーン座標群を特定する(S124)。ここでは、認識文字群と合致する文字データが複数であるので(S110:YES)、合致する文字データ「AAA(本館)」および「AAA(別館)」のスクリーン座標群の重心(xa,ya)を中心とするエリアを表示エリアとして特定し(S113)、ディスプレイ61に表示する。
【0037】
<表示例3>
表示例3を図9に基づいて説明する。この例では、施設AAA、BBB、CCC、DDD、EEEの5つの施設の住所が、いずれも「○○県△△市××町1丁目100番地」であり、代表地点の座標が(x,y)であるものとする。
ここで、操作スイッチ群40を介してユーザにより施設名「AAA」が入力された場合を例に表示エリアの特定方法を説明する。施設名称「AAA」が取得されると(S101)、POI検索用データベース33を検索し(S102)、施設AAAが特定され(S103:YES)、代表地点(座標:x,y)が特定される(S104)。POI検索用データベース33を検索すると、施設BBB、CCC、DDDの代表地点が、施設AAAの代表地点(座標:x,y)と同一の地点に設定されているので(S105:YES)、代表地点(座標:x,y)を中心とする半径2kmのエリアを認識エリアとして特定する(S106)。また、「AAA」を認識文字群として特定する(S107)。そして、特定された認識エリア内の文字データを描画用データベース35から抽出したところ(S121)、認識文字群「AAA」に合致するデータが特定されなかったものとする(S123:NO、S109:NO)。このような場合には、代表地点(座標:x,y)を中心とするエリアを表示エリアとして特定し(S114)、ディスプレイ61に表示する。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態のナビゲーション装置1は、地点に対応した表示エリアの地図を表示するものであって、施設名称を取得し(S101)、取得された施設名称に対応する代表地点を特定する(S104)。特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あると判断された場合(S105:YES)、地図を表示するための描画用データベース35に格納された描画用データに含まれる文字データに基づいて、施設名称に対応した表示エリアを特定する(S112〜S114)。これにより、複数の施設に対応する代表地点が同一であっても、描画用データに含まれる文字データに基づいて検索条件に対応した表示エリアが特定されるので、検索条件に対応した適切なエリアの地図を表示することができる。なお、従来は1つの検索条件で検索を行う場合、複数のデータベースに跨って検索を行うことはないが、本実施形態では、地点検索用データフレーム31に格納されたPOI検索用データベース33だけでなく、地図描画用データフレーム34に格納された描画用データベース35をも用いることにより、適切に表示エリアを特定している。
【0039】
また、本実施形態では、取得された検索条件、本実施形態では施設名称、に基づいて対応する文字群を特定する。具体的には、取得された施設名称に基づき、文字認識を行う認識文字群を特定する(S106)。そして、文字データに基づいて、認識文字群の画像上における表示位置を特定し(S124)、表示位置に基づいて表示エリアを特定する(S107〜S110、S112〜114)。これにより、検索条件に対応する文字群が表示される表示位置に基づいて表示エリアを特定するので、より適切に表示エリアを特定することができる。さらにまた、施設名称を認識文字群として特定するので、施設名称が表示される位置に基づいて、表示エリアを適切に特定することができる。
【0040】
なお、本実施形態の制御部10が、「検索条件取得手段」、「地点特定手段」、「重複判断手段」、「表示エリア特定手段」、および、「文字群特定手段」を構成する。そして、図4中のS101が「検索条件取得手段」の機能としての処理に相当し、S104が「地点特定手段」の機能としての処理に相当し、S105が「重複判断手段」の機能としての処理に相当し、S107〜S110、S112〜S114が「表示エリア特定手段」の機能としての処理に相当する。また、S106が「文字群特定手段」の機能としての処理に相当する。
【0041】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
(ア)検索条件取得手段
上記実施形態では、検索条件として施設名称が取得されたが、取得される検索条件は、施設名称に限らず、地点を1つに特定できる検索条件であればよく、電話番号、施設ジャンル等であってもよい。例えば、検索条件が電話番号である場合、取得された電話番号に対応する施設の施設名称を認識文字群として特定してもよい。特に、リゾート地等の複合施設等において、住所は1つであるが、電話番号が施設ごとに設定されている場合、電話番号に基づいて特定された施設名称を認識文字群として特定することが好ましい。
さらに、検索条件は、所定のエリアを特定する住所であってもよい。ここで、取得される検索条件が住所である場合について、図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
最初のS201では、操作スイッチ群40を介してユーザにより入力された住所を取得する。この例では、S201で入力された住所が「検索条件」に対応する。
S202では、S201で取得された住所に基づき、住所検索用データベース32を検索する。
【0043】
S203では、S202での検索結果に基づき、S201で入力された住所に該当する住所が特定できるか否かを判断する。該当する住所が特定できない場合(S203:NO)、S204以降の処理を行わない。該当する住所が特定できる場合(S203:YES)、S204へ移行する。
S204では、S203で特定された住所に対応する代表地点を、住所検索用データベース32に基づいて特定する。
【0044】
S205では、POI検索用データベース33を検索し、S204で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あるか否かを判断する。同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数でない場合(S205:YES)、すなわち、当該代表地点に対応する施設が1つである場合や、当該代表地点に対応する施設が1つもない場合には、S211へ移行する。同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数ある場合(S205:YES)、S206へ移行する。
【0045】
S206では、S201で取得された住所に基づき、認識文字群を特定する。この例では、入力された住所に基づいて特定された代表地点に複数の施設が対応しているため、当該代表地点に対応する全ての施設名称を認識文字群として特定する。
【0046】
S207では、文字認識を行う認識エリアを特定する。この例では、上記実施形態と同様、S204で特定された代表地点を中心とする所定範囲、例えば半径2kmのエリア、としてもよいし、取得された住所に対応するエリアとしてもよい。
S208では、S207で特定された認識エリア内について、文字認識処理を行う。この文字認識処理は、図5に示すフローチャートに示す処理が行われる。
【0047】
S209では、S207で特定された認識エリア内に認識文字群が存在するか否かを判断する。認識エリア内に認識文字群が存在しないと判断された場合(S209:NO)、S214へ移行する。認識エリア内に認識文字群が存在すると判断された場合(S209:YES)、S210へ移行する。
【0048】
S210では、認識文字群と合致するデータが複数特定されたか否かを判断する。認識文字群と合致する文字データが複数特定されなかった場合(S210:NO)、すなわち1つの文字データが認識文字群と合致する場合、S212へ移行する。認識文字群と合致する文字データが複数特定された場合(S210:YES)、S213へ移行する。
【0049】
S204で特定された代表地点と同一の地点に対応する施設が1つである場合、或いは当該代表地点に対応する施設が1つもない場合(S205:YES)に移行するS211では、当該代表地点を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。
S204で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数であり(S205:YES)、認識エリア内において1つの文字データが認識文字群と合致する場合(S210:NO)に移行するS212では、認識文字群と合致する文字データの中心座標を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。
【0050】
S204で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S205:YES)、認識文字群と合致する文字データが複数ある場合(S210:YES)に移行するS213では、合致する文字データのスクリーン座標群の重心を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。ここでは、合致する全ての文字データが表示されるように初期値としての縮尺を適宜変更してもよい。また、合致する文字データの中心座標の重心を中心とするエリアとしてもよい。
【0051】
S204で特定された代表地点と同一の地点が代表地点として設定されている施設が複数あり(S205:YES)、認識エリア内に認識文字群が存在しないと判断された場合(S209:NO)に移行するS214では、当該代表地点を中心とするエリアを表示エリアとして特定し、ディスプレイ61に地図を表示する。
なお、S211およびS214においては、S201で取得された住所に対応するエリアが全て表示されるように初期値としての縮尺を適宜変更してもよい。例えば、図11に示すように、取得された住所が「○○県△△市××町1丁目100番地」であり、「○○県△△市××町1丁目100番地」に対応するエリアが破線で示すごとくである場合、代表地点(座標:x,y)を中心とし、「○○県△△市××町1丁目100番地」に対応するエリアが全て表示されるように縮尺を変更する、という具合である。
なお、特定された表示エリアの地図がディスプレイ61に表示されると、表示エリア特定処理においてセットされたフラグ等のデータはリセットされる。
【0052】
なお、この例においては、図10中のS201が「検索条件取得手段」の機能としての処理に相当し、S204が「地点特定手段」の機能としての処理に相当し、S205が「重複判断手段」の機能としての処理に相当し、S207〜S210、S212〜S214が「表示エリア特定手段」の機能としての処理に相当する。また、S206が「文字群特定手段」の機能としての処理に相当する。
【0053】
このように、取得される検索条件は、電話番号、施設ジャンル、住所等であっても、取得された検索条件に対応した施設を特定し、当該施設の施設名称を認識文字群として特定して描画データに含まれる文字データに基づいて文字認識を行うことにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
(イ)縮尺の変更
上記実施形態では、ディスプレイ61に表示される地図の縮尺が予め設定されていたが、変形例では表示縮尺を選択可能に構成してもよい。この場合、選択された縮尺にて表示される文字データを文字認識対象とするように構成してもよい。
また、上記表示例3では、図9に示すように、代表地点(x,y)を中心として、予め設定された縮尺で地図表示を行ったが、これに替えて、代表地点に対応する住所を特定し、図11に示すように住所に対応するエリアが全て表示されるように表示エリアを特定してもよい。
【0055】
(ウ)認識文字群
上記実施形態では、施設名称を認識文字群として特定したが、代表地点に対応する住所の一部を認識文字群として特定してもよい。例えば、図10中のS201にて取得された住所が「○○県△△市××町1丁目100番地」である場合、取得された住所の最も下層である番地の「100」を認識文字群として特定する(S206)。そして、文字認識を行う認識エリアを特定し(S207)、認識エリア内に認識文字群である「100」について文字認識処理を行う。文字認識処理については、図5と同様であり、例えば図11に示す例では、認識文字群「100」と合致する5つの文字データが特定される。特定された5つの文字データのスクリーン座標群および中心座標を表示位置として特定し、スクリーン座標群の重心を中心とするエリアを表示エリアとして特定する、といった具合である。
【0056】
(エ)文字認識を行うエリア
上記実施形態では、文字認識を行う認識エリアは、特定された代表地点を中心とする所定の範囲とした。例えば、特定された地点の住所が「○○県△△市××町1234」であった場合、文字認識を行う認識エリアは、「○○県△△市××町1234」によって特定される領域としてもよいし、「○○県△△市××町」の行政区画によって特定される領域としてもよい。換言すると、「文字認識を行う領域は、特定された地点の住所に基づいて特定される」ということである。また、「文字認識を行う領域は、特定された地点の住所における所定の階層の行政区画に基づいて特定される」ということである。特に、代表地点に対応する住所の一部を認識文字群として特定し表示エリアを特定する上述の例のような場合、他の行政区画における同一の文字データを誤認識することを避けるため、認識文字群として特定した階層の1つ上の階層の行政区画に基づいて文字認識を行う領域を特定することが好ましい。すなわち、「○○県△△市××町1丁目100番地」の最も下層である番地の「100」を認識文字群として特定した場合、番地の1つ上の階層の行政区画である「○○県△△市××町1丁目」によって特定される領域を認識エリアとして特定する、といった具合である。これにより、例えば「○○県△△市××町2丁目100番地」に対応する文字データを誤認識することがなく、より適切に表示エリアを特定することができる。
【0057】
(オ)地図表示方法
上記実施形態において、認識文字群と合致した文字データが存在した場合、合致した文字データの表示方法を他の文字データを異なるように表示してもよい。例えば、合致した文字データを異なる色で表示したり、太字にしたり、点滅させたりしてもよい。また、合致した文字データの表示位置に基づいて、目的地を設定し、経路案内を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:ナビゲーション装置、10:制御部(検索条件取得手段、地点特定手段、重複判断手段、表示エリア特定手段、文字群特定手段)、20:位置検出器、21:地磁気センサ、22:ジャイロスコープ、23:距離センサ、24:GPS受信機、30:地図データ記憶部、31:地点検索用データフレーム、32:住所検索用データベース、33:POI検索用データベース、34:地図描画用データフレーム、35:描画用データベース、40:操作スイッチ群、60:描画部、61:ディスプレイ、70:音声出力部、71:スピーカ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地点に対応した表示エリアの地図を表示するナビゲーション装置であって、
前記地点を検索するための検索条件を取得する検索条件取得手段と、
前記検索条件取得手段により取得された前記検索条件に対応する前記地点を特定する地点特定手段と、
前記地点特定手段により特定された前記地点と同一の地点が予め設定されている施設が複数あるか否かを判断する重複判断手段と、
前記重複判断手段により前記地点と同一の地点が設定されている施設が複数あると判断された場合、地図を表示するための描画データに含まれる文字データに基づいて、前記検索条件に対応した前記表示エリアを特定する表示エリア特定手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記検索条件取得手段により取得された前記検索条件に対応する文字群を特定する文字群特定手段を備え、
前記表示エリア特定手段は、前記文字データに基づいて、前記文字群の画像上における表示位置を特定し、前記表示位置に基づいて前記表示エリアを特定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記文字群特定手段は、前記検索条件に対応する施設名称を前記文字群として特定することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
地点に対応した表示エリアの地図を表示するプログラムであって、
前記地点を検索するための検索条件を取得する検索条件取得手段、
前記検索条件取得手段により取得された前記検索条件に対応する前記地点を特定する地点特定手段、
前記地点特定手段により特定された前記地点と同一の地点が予め設定されている施設が複数あるか否かを判断する重複判断手段、
及び前記重複判断手段により前記地点と同一の地点が設定されている施設が複数あると判断された場合、地図を表示するための描画データに含まれる文字データに基づいて、前記検索条件に対応した前記表示エリアを特定する表示エリア特定手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項1】
地点に対応した表示エリアの地図を表示するナビゲーション装置であって、
前記地点を検索するための検索条件を取得する検索条件取得手段と、
前記検索条件取得手段により取得された前記検索条件に対応する前記地点を特定する地点特定手段と、
前記地点特定手段により特定された前記地点と同一の地点が予め設定されている施設が複数あるか否かを判断する重複判断手段と、
前記重複判断手段により前記地点と同一の地点が設定されている施設が複数あると判断された場合、地図を表示するための描画データに含まれる文字データに基づいて、前記検索条件に対応した前記表示エリアを特定する表示エリア特定手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記検索条件取得手段により取得された前記検索条件に対応する文字群を特定する文字群特定手段を備え、
前記表示エリア特定手段は、前記文字データに基づいて、前記文字群の画像上における表示位置を特定し、前記表示位置に基づいて前記表示エリアを特定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記文字群特定手段は、前記検索条件に対応する施設名称を前記文字群として特定することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
地点に対応した表示エリアの地図を表示するプログラムであって、
前記地点を検索するための検索条件を取得する検索条件取得手段、
前記検索条件取得手段により取得された前記検索条件に対応する前記地点を特定する地点特定手段、
前記地点特定手段により特定された前記地点と同一の地点が予め設定されている施設が複数あるか否かを判断する重複判断手段、
及び前記重複判断手段により前記地点と同一の地点が設定されている施設が複数あると判断された場合、地図を表示するための描画データに含まれる文字データに基づいて、前記検索条件に対応した前記表示エリアを特定する表示エリア特定手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−128099(P2011−128099A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288937(P2009−288937)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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