説明

ナビゲーション装置及び制御装置

【課題】ユーザの経路探索の利便性が向上する、ナビゲーション装置及び制御装置を提供すること。
【解決手段】ユーザの経路選択の傾向について他のナビゲーション装置(ナビゲーション端末A)が学習した結果を用いて経路探索する手段(経路探索部23)を備えるナビゲーション装置(ナビゲーション端末B)。ユーザの経路選択の傾向について学習した結果を、他のナビゲーション装置(ナビゲーション端末B)が経路探索に使用できるように送信する経路探索手段(経路探索部13)を備えるナビゲーション装置(ナビゲーション端末A)。ユーザの経路選択の傾向について第1のナビゲーション装置(ナビゲーション端末A)が学習した結果を、第2のナビゲーション装置(ナビゲーション端末B)が経路探索に使用できるように送信する、制御装置(サーバ31)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を探索するナビゲーション装置に関する。また、ナビゲーション装置と情報を送受可能な制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、目的地までの経路探索結果をユーザの携帯端末に送信可能なカーナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−71918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述の従来技術では、カーナビゲーション装置による単なる経路探索結果が携帯端末に送信されるにすぎない。そのため、携帯端末の経路探索機能で経路探索を再度実施する場合、カーナビゲーション装置がユーザの経路探索の傾向を学習していたとしても、その学習結果が携帯端末の経路探索機能によって得られる経路探索結果には反映されず、ユーザにとって不便である。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザの経路探索の利便性が向上する、ナビゲーション装置及び制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置は、
ユーザの経路選択の傾向について他のナビゲーション装置が学習した結果を用いて経路探索する手段を備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置は、
ユーザの経路選択の傾向について学習した結果を、他のナビゲーション装置が経路探索に使用できるように送信することを特徴とするものである。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る制御装置は、
ユーザの経路選択の傾向について第1のナビゲーション装置が学習した結果を、第2のナビゲーション装置が経路探索に使用できるように送信することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの経路探索の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるナビゲーションシステム1の構成図である。
【図2】道路ID毎に設定された探索コストCの具体例を示した図である。
【図3】ユーザの経路選択の傾向について学習した結果を送信するナビゲーション端末Aの動作例を示したフローチャートである。
【図4】ユーザの経路選択の傾向について学習した結果を受信するナビゲーション端末Bの動作例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。図1は、本発明の一実施形態である車両用ナビゲーションシステム1の構成図である。ナビゲーションシステム1は、ナビゲーション端末Aと、ナビゲーション端末Bと、センタ30に設置されたサーバ31とを備えるものである。ナビゲーション端末AとBは、車両に搭載されるコンピュータであり、センタ30は、通信機11,12を介して無線又は有線で車両と情報を送受可能な施設である。サーバ31は、ナビゲーション端末A,Bと無線接続又は有線接続して情報を送受可能なコンピュータである。
【0012】
ナビゲーション端末Aは、車両に搭載された通信機11を介して、センタ30のサーバ31に無線接続又は有線接続可能な装置であり、ナビゲーション端末Bは、車両に搭載された通信機21を介して、センタ30のサーバ31に無線接続又は有線接続可能な装置である。通信機11は、ナビゲーション端末Aの外部に設置される通信手段であってもよいし、ナビゲーション端末Aの内部に設置される通信手段であってもよい。通信機21についても同様である。また、ナビゲーション端末A,Bの少なくともいずれか一方が、CD−ROMやUSBメモリ等の携帯可能な記録媒体を介して、サーバ31との間で情報を送受可能な装置でもよい。また、ナビゲーション端末AとBは、互いの情報を、センタ30のサーバ31等を介して間接的に送受するものに限らず、無線通信、有線通信又は記録媒体を介して、直接的に送受するものでもよい。
【0013】
ナビゲーション端末AとBは、それぞれ、出発地から目的地までの自車の経路を探索する手段を備える。ナビゲーション端末A,Bの経路探索手段は、例えばダイクストラ法によって、出発地から目的地までの各道路リンク(各道路区画)の探索コストを合計した総探索コストに基づいて、自車の経路を探索する。経路探索部13は、ナビゲーション端末Aを搭載する車両の経路を探索する手段であり、経路探索部23は、ナビゲーション端末Bを搭載する車両の経路を探索する手段である。経路探索部13,23は、例えば、コンピュータを経路探索手段として機能させるためのプログラムを格納する記憶装置と、該記憶装置から読み出したプログラムを処理する中央演算処理装置とを備えている。
【0014】
また、サーバ31が、端末A等のナビゲーション端末を搭載する車両の経路を探索する手段を備えるものでもよい。サーバ31は、例えば、目的地情報等の経路探索に必要な情報を車両から取得し、取得した情報に基づいてその車両の経路を探索し、その経路探索結果を車両に提供する経路探索手段を備えるものでもよい。
【0015】
ナビゲーション端末Aの経路探索部13は、ナビゲーション端末Aのユーザの経路選択の傾向について学習する機能を有する。経路探索部13は、ナビゲーション端末Aのユーザの経路選択の傾向について学習した結果を送信して、その送信した学習結果をナビゲーション端末Bの経路探索部23が経路探索に使用できるようにする。経路探索部23は、ナビゲーション端末Aのユーザの経路選択の傾向についてナビゲーション端末Aの経路探索部13が学習した結果を受信し、その受信した学習結果を用いて、自車(すなわち、この場合、「ナビゲーション端末Bを搭載する車両」の意)の経路を探索する。
【0016】
これにより、ナビゲーション端末AとBのユーザが同一人の場合、そのユーザの経路探索の利便性は向上する。例えば、ナビゲーション端末Bがユーザの経路選択の傾向について未学習であっても、ユーザは、自身の経路選択の傾向についてナビゲーション端末Bに新たな学習動作をさせることなく、自身の経路選択の傾向に合った探索結果をナビゲーション端末Bから得ることができる。この場合、ナビゲーション端末Bの経路探索部23は、ユーザの経路選択の傾向についての学習結果をナビゲーション端末Aから得ることが可能なため、ユーザの経路探索の傾向について学習する手段を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0017】
また、サーバ31が、例えば、ナビゲーション端末Aのユーザの経路選択の傾向についてナビゲーション端末Aの経路探索部13が学習した結果を経路探索部13から取得し、その取得した学習結果をナビゲーション端末Bに送信することによって、ナビゲーション端末Aの経路探索部13が学習した結果がナビゲーション端末Bの経路探索部23で行われる経路探索に使用されるようにしてもよい。あるいは、サーバ31が、例えば、ナビゲーション端末Aのユーザの経路選択の傾向についてサーバ31自身が学習した結果をナビゲーション端末Bに送信することによって、サーバ31自身が学習した結果がナビゲーション端末Bの経路探索部23で行われる経路探索に使用されるようにしてもよい。
【0018】
これにより、ナビゲーション端末AとBのユーザが同一人の場合、そのユーザの経路探索の利便性は向上する。例えば、上記同様に、ナビゲーション端末Bがユーザの経路選択の傾向について未学習であっても、ユーザは、自身の経路選択の傾向についてナビゲーション端末Bに新たな学習動作をさせることなく、自身の経路選択の傾向に合った探索結果をナビゲーション端末Bから得ることができる。この場合、ナビゲーション端末Bの経路探索部23は、ユーザの経路選択の傾向についての学習結果をナビゲーション端末A又はサーバ31から得ることが可能なため、ユーザの経路探索の傾向について学習する手段を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0019】
次に、経路探索の具体例について説明する。
【0020】
経路探索部13,23は、出発地から目的地までの各道路リンクの探索コストを合計した総探索コストが最小となるような経路を一つ又は複数探索し、その探索結果をユーザにディスプレイ等によって案内する。各道路リンクには、探索コストが予め設定されている。探索コストは、道路リンク毎に対応付けされて記憶装置12,22にそれぞれ予め格納されている。記憶装置12,22の具体例として、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の外部記憶装置が挙げられる。道路リンク毎の探索コストを決めるパラメータとして、その道路リンクの距離、国道/県道などの道路種別、車線数、通行料金などが挙げられる。
【0021】
ユーザは、手動操作や音声操作をすることで、経路選択を行ってもよいし、案内された経路を実際に走行することで、経路選択を行ってもよい。経路探索部13は、記憶装置12に道路リンク毎に紐付けされて格納された探索コストの数値を、ユーザの経路選択結果に応じて更新することによって、ユーザの経路選択の傾向について学習する。
【0022】
例えば、経路探索部13は、ユーザに探索結果として案内された探索経路に含まれる道路リンクのうち、ユーザによって経路選択されなかった道路リンクの探索コストについては、記憶装置12の格納値を従前値(例えば、初期値、前回以前の探索時の値)よりも所定値増やした値に更新する。これにより、探索コストが上昇した道路リンクを含む探索経路の総コストは上昇するため、そのような探索経路は推奨案内経路として案内されにくくなる。
【0023】
一方、経路探索部13は、ユーザに探索結果として案内された探索経路に含まれる道路リンクのうち、ユーザによって経路選択された道路リンクの探索コストについては、記憶装置12の格納値を従前値のまま維持する。探索コストの数値を維持せずに、従前値よりも所定値減らした値に更新してもよい。これにより、探索コストが減少した道路リンクを含む探索経路の総コストは減少するため、そのような探索経路は推奨案内経路として案内されやすくなる。
【0024】
図2は、道路ID毎に設定された探索コストCの具体例を示した図である。道路IDは、各道路リンクを特定するための識別情報であり、道路リンク毎に予め付与されている。以下、道路IDが4の道路リンクを、「道路リンク4」という。また、他の道路IDについても同様である。
【0025】
例えば、ユーザに探索結果として案内された探索経路上において道路リンク4の走行を回避する選択がなされた場合、記憶装置12に格納された道路リンク4の探索コストの数値を、従前値10に対して50まで増やす。これにより、道路リンク4を含む探索経路の総コストは上昇するため、道路リンク4を含む探索経路は推奨案内経路として案内されにくくなる。また、ユーザに探索結果として案内された探索経路上において道路リンク2を走行する選択がなされた場合、記憶装置12に格納された道路リンク2の探索コストの数値を、従前値70に対して40まで減らす。これにより、道路リンク2を含む探索経路の総コストは減少するため、道路リンク2を含む探索経路は推奨案内経路として案内されやすくなる。
【0026】
また、経路探索部13は、ユーザによって走行回避の選択がされることによって探索コストが上昇した道路リンクを特定可能な情報を記憶装置12に記憶する。図2には、そのような情報として、学習フラグFが例示されている。学習フラグFが1の道路リンクは、ユーザが走行回避の選択をした道路に相当する。経路探索部13は、学習フラグFのような情報に基づいて、ユーザが回避選択した道路リンクを抽出できる。
【0027】
図3は、ユーザの経路選択の傾向について学習した結果を送信するナビゲーション端末Aの動作例を示したフローチャートである。
【0028】
ステップS10において、ナビゲーション端末Aの経路探索部13は、学習フラグFに基づいて、走行を回避するように学習された道路リンクがあるか否かを判断する。すなわち、経路探索部13は、学習フラグFによって、ユーザが回避選択した道路リンクを記憶装置12から抽出する。ステップ経路探索部13は、走行を回避するように学習された道路リンクがある場合、ステップS20において、走行を回避するように学習された道路リンクの道路IDと、その道路リンクの探索コストとを別の端末(ナビゲーション端末B)が受信できるように送信する。
【0029】
図4は、ユーザの経路選択の傾向について学習した結果を受信するナビゲーション端末Bの動作例を示したフローチャートである。ナビゲーション端末Bの経路探索部23は、学習フラグFが1の道路リンクとその探索コストを、ユーザの経路選択の傾向について学習した結果として、端末Bを搭載する自車の経路探索に使用する。
【0030】
ステップS30において、ナビゲーション端末Bの経路探索部23は、回避経路を学習したナビゲーション端末Aから、走行を回避するように学習された道路リンクの道路IDとその道路IDの探索コストとを受信する。ステップS40において、経路探索部23は、ナビゲーション端末Aから受信した道路IDを、記憶装置22に予め記憶された道路IDと照合する。経路探索部23は、記憶装置22に記憶された探索コストのうちナビゲーション端末Aから受信した道路IDと同じ道路IDの探索コストを、ナビゲーション端末Aから受信した同じ道路IDの探索コストに置換する。そして、ステップS50において、経路探索部23は、ナビゲーション端末Aから受信した道路IDと同じ道路IDの探索コストが変更された記憶装置22に基づいて、経路探索を実行する。すなわち、経路探索部23は、ナビゲーション端末Aの学習結果が反映された記憶装置22に格納された道路IDとその探索コストに基づいて、経路探索を実行する。
【0031】
このように、上述の実施例によれば、各端末で学習した結果を各端末間で共有できるので、ユーザが使用する端末それぞれで、回避経路の学習をさせる必要がなくなる。そのため、マルチモーダル検索においても、シームレスに好みの経路を利用できる。また、車両又はナビゲーション端末を買い替えるときなど、端末間のデータの入れ替え時に、一方のナビゲーション端末での学習結果を他方のナビゲーション端末に移行することで、他方のナビゲーション端末での経路探索結果に学習結果を容易に反映させることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0033】
例えば、上述の実施例では、ナビゲーション端末A,Bが、車両に搭載されるいわゆるカーナビゲーション装置の場合を示したが、ナビゲーション端末A,Bの少なくともいずれか一方が、ユーザ(例えば、歩行者)に対して経路案内が可能な携帯型の端末装置であってもよい。
【0034】
また、上述の実施例では、ナビゲーション端末A,Bと情報を送受可能な制御装置の一例として、サーバ31を挙げた。しかしながら、ナビゲーション端末A,Bと情報を送受可能な制御装置は、サーバ31に限らず、例えば、携帯型の端末装置でもよいし、パーソナルコンピュータでもよい。
【0035】
また、例えば、経路探索部13,23が、ユーザの経路選択の傾向を表す学習パラメータに基づいて、ユーザに案内する経路をそのユーザが好む経路に変更するものである場合、ナビゲーション端末Bの経路探索部23は、ナビゲーション端末Aの経路探索部13で得られた学習パラメータを取得し、その取得した学習パラメータを使って、端末Bを搭載する車両の経路探索をしてもよい。そのような学習パラメータとして、走行距離の短い経路を好むユーザであることを表すパラメータ、走行時間の短い経路を好むユーザであることを表すパラメータ、通行料金の安い経路を好むユーザであることを表すパラメータ、燃費のよい経路を好むユーザであることを表すパラメータ、走りやすい経路を好むユーザであることを表すパラメータなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0036】
1 ナビゲーションシステム
11,21 通信機
12,22 記憶装置
13,23 経路探索部
30 センタ
31 サーバ
A,B ナビゲーション端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索手段を備えるナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、ユーザの経路選択の傾向について他のナビゲーション装置が学習した結果を用いて経路探索することを特徴とする、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記他のナビゲーション装置は、ユーザの経路選択によって数値が変化する探索コストに基づいて、経路探索する装置であり、
前記経路探索手段は、数値が変化した探索コストを、前記学習した結果として、経路探索に使用する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路探索手段が経路探索に使用する探索コストのうち、探索コストの数値が変化した道路と同じ道路の探索コストが、その変化した数値に置換する、請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
ユーザが非選択の探索コストの数値が変化する、請求項2又は3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
経路探索手段を備えるナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、ユーザの経路選択の傾向について学習した結果を、他のナビゲーション装置が経路探索に使用できるように送信することを特徴とする、ナビゲーション装置。
【請求項6】
ユーザの経路選択の傾向について第1のナビゲーション装置が学習した結果を、第2のナビゲーション装置が経路探索に使用できるように送信する、制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−2847(P2013−2847A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131528(P2011−131528)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】