説明

ナビゲーション装置及び経路案内方法

【課題】よりユーザによって発見し易い施設を目印として用いた進路変更案内を行う「ナビゲーション装置及び経路案内方法」を提供する。
【解決手段】周囲の状況が、非渋滞であって晴である場合には、ビル611の1階の郵便局を目印施設として選定し、渋滞であって晴である場合には、ビル611の2階のレストランを目印施設として選定する(a)。そして、進路変更案内ウインドウ610に表した地図上に、目印施設のPOIアイコン631と進路変更方向とを表示する(c、d)。また、目印施設の案内を含む音声による進路変更案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を用いた位置案内を行うナビゲーション装置における経路案内の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置における経路案内の技術としては、目的地までの間に設定した推奨ルートに従って走行する場合に右左折等の進路変更を行うことになる交差点に接近したときに、当該交差点付近の地図を、当該地図上で進路変更方向を表す図形や、当該地図上で進路変更する交差点の目印となる施設を表すアイコンと共に表示する技術や、進路変更する方向と進路変更する交差点の目印となる施設を案内する音声を表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、ナビゲーション装置における地図上で施設を表すアイコンを表示する技術としては、ユーザから設定された階数の階に存在する施設のアイコンのみを表示する技術が知られている(たとえば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003-083761号公報
【特許文献2】特開2005-180957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、ナビゲーション装置において、目的地までの間に設定した推奨ルートに従って走行する場合に右左折等の進路変更を行うことになる交差点に接近したときに、進路変更する方向と進路変更する交差点の目印となる施設と共に案内する場合、通常は、交差点の角の建物の施設のうちのユーザの視線高さに近い高さにある1階に存在する施設を、当該交差点の目印となる施設として案内することが、ユーザの当該目印となる施設の発見を容易化する上で好ましい。
【0005】
しかしながら、たとえば、渋滞によって前方の道路が混雑している場合には、建物の1階に存在する施設はユーザにとって発見し難い施設となるなど、ユーザにとって発見し易い施設は、そのときどきの状況によって変化する。
そこで、本発明は、よりユーザによって発見し易い施設を、進路変更地点の目印として用いた進路変更案内を行うことを課題とする。
ところで、前述した、ユーザから設定された階数の階に存在する施設のアイコンのみを表示する技術は、よりユーザによって発見し易い施設を表すアイコンを優先的に地図上に表示することを目的とするものであるが、前述のように、ユーザによって発見し易い施設は、そのときどきの状況によって変化するものである。
【0006】
そこで、本発明は、併せて、よりユーザによって発見し易い施設を表すアイコンを優先的に表した地図を表示することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載され、地図を表示するナビゲーション装置に、地図を定義する地図データを記憶した地図データ記憶手段と、現在位置を算出する現在位置算出手段と、設定された目的地までの経路を推奨ルートとして前記地図データに基づいて探索し設定する推奨ルート探索手段と、前記推奨ルート探索手段が設定した推奨ルートに従って走行する場合に進路変更することになる進路変更ポイントに、現在位置算出手段が算出した現在位置が接近した場合に、前記進路変更ポイントの目印となる施設を目印施設として選定し、選定した目印施設の案内を含む進路変更ポイントにおける進路変更方向の案内を行う進路変更案内部と、周囲の状況を検出する周囲状況検出手段とを備え、前記進路変更案内部において、前記進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設のうちから、前記周囲状況検出手段が検出した周囲の状況に応じて、1階に存在する施設と2階に存在する施設とのうちの、いずれか一方を優先的に前記目印施設として選定するようにしたものである。
【0008】
ここで、より具体的には、このようなナビゲーション装置において、前記地図データ記憶手段は、前記地図データと共に、複数の施設の各々に対応して設けられた、対応する施設を前記地図上で表すために表示するアイコンを定義したアイコンデータを記憶したものであってよく、前記進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設は、前記進路変更ポイント近傍の施設であって、かつ、当該施設を表すアイコンを定義する前記アイコンデータが存在する施設であってよい。そして、この場合には、前記進路変更案内部は、前記進路変更ポイントを含む地図上に進路変更方向を表す図形を表示する進路変更方向表示手段と、前記進路変更ポイントを含む地図上に、前記アイコンデータに基づいて、前記選定された目印施設のアイコンを描画する目印アイコン描画手段とを含めて構成するようにする。
【0009】
また、より具体的には、このようなナビゲーション装置は、前記進路変更案内部において、前記目印施設として選定した施設の案内を含む、前記進路変更ポイントにおける進路変更方向の音声による案内を行うものであってもよい。
これらのようなナビゲーション装置によれば、進路変更を案内する際に、進路変更ポイントの目印として、進路変更ポイントの目印として用いることのできる1階に存在する施設と、路変更ポイントの目印として用いることのできる2階に存在する施設とのうちの、周囲状況に応じて定まるユーザがより発見し易い方の施設を、目印施設として選定すると共に、選定した目印施設を用いて、ユーザに対して進路変更ポイントの案内を行えるようになる。
【0010】
すなわち、たとえば、前記周囲状況検出手段が検出する状況を、車両前方の渋滞または車両前方で自車が走行中の道路と横切る道路の渋滞の状況とし、前前記進路変更案内部は、前記周囲状況検出手段によって前記渋滞が検出されている場合に前記2階に存在する施設を優先的に前記目印施設として選定し、前記周囲状況検出手段によって前記渋滞が検出されていない場合に前記1階に存在する施設を優先的に前記目印施設として選定するようにすれば、渋滞が発生しておらずユーザが1階に存在する施設を容易に発見できる状況にあるときには、当該1階に存在する施設を目印施設として用いた進路変更ポイントの案内を行いつつ、他車の存在によってユーザが1階に存在する施設を良好に視認できなくなる渋滞時には、1階に存在する施設よりもユーザがより良く視認できるであろうと推定される2階に存在する施設を目印施設として用いた進路変更ポイントの案内を行えるようになる。
【0011】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載され、地図を表示するナビゲーション装置に、地図を定義する地図データを記憶した地図データ記憶手段と、現在位置を算出する現在位置算出手段と、設定された目的地までの経路を推奨ルートとして前記地図データに基づいて探索し設定する推奨ルート探索手段と、前記推奨ルート探索手段が設定した推奨ルートに従って走行する場合に進路変更することになる進路変更ポイントに、現在位置算出手段が算出した現在位置が接近した場合に、前記進路変更ポイントの目印となる施設を目印施設として選定し、選定した目印施設の案内を含む進路変更ポイントにおける進路変更方向の案内を行う進路変更案内部と、車両前方を撮影するカメラとを備え、前記進路変更案内部において、前記進路変更ポイントとして用いることのできる施設のうちの1階に存在する施設を前記カメラで撮影できない場合に、前記進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設のうちの2階に存在する施設を優先的に前記目印施設として選定し、前記前記進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設のうちの1階に存在する施設を前記カメラで撮影できる場合に当該1階に存在する施設を優先的に前記目印施設として選定するようにしたものである。
【0012】
このようなナビゲーション装置によれば、1階に存在する施設をユーザが視認できる状況にある場合には、この1階に存在する施設を目印施設として用いた進路変更ポイントの案内を行いつつ、この1階に存在する施設をユーザが視認できない場合のみ、この1階に存在する施設に代えて、1階に存在する施設よりもユーザがより良く視認できると推定される2階に存在する施設を目印施設として用いた進路変更ポイントの案内を行えるようになる。
ここで、本発明は、また、前記課題達成のために、地図を表示するナビゲーション装置に、地図を定義する地図データと、複数の施設の各々に対応して設けられた、対応する施設を前記地図上で表すために表示するアイコンを定義したアイコンデータとを記憶した記憶手段と、地図を表示する範囲として設定された地理的範囲である地図表示範囲内の地図を地図画像として、前記記憶手段に記憶された地図データに基づいて描画する地図描画手段と、前記地図描画手段が描画した地図上に前記アイコンデータに基づいて、前記地図表示範囲内にある施設を表すアイコンを描画するアイコン描画手段と、周囲の状況を検出する周囲状況検出手段とを備え、前記アイコン描画手段は、前記周囲状況検出手段が検出した周囲の状況に応じて、1階に存在する施設を表すアイコンと、2階に存在する施設を表すアイコンとのうちの、いずれか一方を優先的に描画するようにしたものである。
【0013】
このようなナビゲーション装置によれば、1階に存在する施設と2階に存在する施設とのうちの、周囲状況に応じて定まる、ユーザがより発見し易い方の施設を表すアイコンを優先的に地図上に表すことができるようになる。
すなわち、たとえば、前記周囲状況検出手段が検出する状況を、自車周囲の道路の渋滞の状況とし、前記アイコン描画手段において、前記周囲状況検出手段によって前記渋滞が検出されている場合に前記2階に存在する施設を表すアイコンを優先的に描画し、前記周囲状況検出手段によって前記渋滞が検出されていない場合に前記1階に存在する施設を表すアイコンを優先的に描画するようにすれば、渋滞が発生しておらずユーザが1階に存在する施設を容易に発見できる状況にあるときには、1階に存在する施設のアイコンを優先的に地図上に表示しつつ、他車の存在によってユーザが1階に存在する施設を良好に視認できなくなる渋滞時には、1階に存在する施設よりもユーザがより良く視認できるであろうと推定される2階に存在する施設のアイコンを優先的に地図上に表示することができるようになる。
【0014】
なお、以上の各ナビゲーション装置において、前記周囲状況検出手段が検出する状況としては、周囲の渋滞の有無の状況の他、雨天の有無の状況や昼夜の別の状況などユーザの1階または2階に存在する施設の視認性に関わる任意の状況を用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、よりユーザによって発見し易い施設を目印として用いた進路変更案内を行うことができる。
また、本発明によれば、よりユーザによって発見し易い施設を表すアイコンを優先的に表した地図を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示す。なお、本ナビゲーションシステムは自動車に搭載されるものである。
図示するように、ナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1と、操作部2と、表示装置3と、車両前方を撮影するカメラ4と、スピーカ5と、VICS情報などの交通情報を受信する交通情報受信機6と、ワイパーの動作状況やヘッドライトの点灯状況などの車両の各種状態を検出する車両状態センサ7と、走行状態センサ7と、GPS受信機8とを備えて構成される。ここで、走行状態センサ7は、角加速度センサや地磁気センサなどである方位センサや、車速パルスセンサなどである車速センサなどの車両の走行状態を検出するセンサ群である。
【0017】
そして、ナビゲーション装置1は、地図を表す地図データを記憶したDVDドライブやHDDなどの記憶装置である地図データ記憶部11、現在状態算出部12、ルート探索部13、カメラ4が撮影した画像に対して各種画像認識処理を行う画像認識処理部14、スピーカ5から出力する各種案内音声を生成する案内音声生成部15、メモリ16、制御部17、案内画像生成部18、操作部2や表示装置3を用いたGUIをユーザに提供するGUI制御部19とを有する。
【0018】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置1の各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0019】
次に、図2に地図データ記憶部11に記憶される地図データの内容を示す。
図示するように、地図データは、区画毎に対応して設けた区画データと、各区画の地理的範囲と区画データの対応などを記述した区画管理データを含む。
そして、各区画データは、対応する区画内の二次元の地図を表す地図ユニットと、POIユニットと、交差点案内情報ユニットとを有している。
そして、POIユニットは、POIユニットの属する区画データに対応する区画内の地図上に表すPOIアイコン毎に設けたPOIデータレコードを有する。ここで、POIアイコンとは、予め選定した、ユーザが興味を持つであろうと推定された施設(POI)の位置と種別を地図上で表すために用いるアイコンであり、個々のPOIアイコンとしては、そのPOIアイコンが表す施設の種別を表す図形が用いられる。また、個々のPOIアイコンは、そのPOIアイコンが表す施設に対応する地図上の位置に表示される。
【0020】
さて、このようなPOIアイコン毎に設けられる各POIデータレコードには、POIアイコンに対応する施設の識別子であるPOI番号、POIアイコンに対応する施設の名称を表すPOI名称、POIアイコンに対応する施設の「駐車場」、「郵便局」、「レストラン」といった種別を表すPOI種別、POIアイコンを表示する座標を表すPOI座標、表示周囲状況条件とが格納されている。ここで、表示周囲状況条件には、POIアイコンを表示するときに、少なくとも一つが満たされているべき周囲状況の条件を1または複数登録する。また、本実施形態で用いる周囲状況としては、前方道路の渋滞/非渋滞、夜/昼、雨/晴の3つの周囲状況がある。
【0021】
ここで、1階に存在する施設であって、その上の2階にPOIデータレコードが設けられた他の施設が存在する施設を表すPOIデータレコードの表示周囲状況条件には、「非渋滞であって昼である」、「渋滞であって雨である」という二つの周囲状況の条件を登録する。また、1階に存在する施設であって、その上の2階に、当該1階に存在する施設よりも目立つ電飾看板を持つ施設であって対応するPOIデータレコードが設けられた他の施設が存在しない施設のPOIデータレコードには、「渋滞であって夜である」という周囲状況の条件も登録する。
ただし、1階及び2階に跨って存在する施設は、階に存在する施設であると同時に2階に存在する施設でもあるとしてよい。
【0022】
さて、次に、1階に存在する施設であって、その上の2階にPOIデータレコードが設けられた他の施設が存在しない施設を表すPOIデータレコードの表示周囲状況条件と、2階に存在する施設であって、その下の1階にPOIデータレコードが設けられた他の施設が存在しない施設を表すPOIデータレコードの表示周囲状況条件には、周囲状況の条件として任意を登録する。
また、2階に存在する施設であって、その下の1階にPOIデータレコードが設けられた他の施設が存在する施設を表すPOIデータレコードの表示周囲状況条件には、「渋滞であって晴である」という周囲状況の条件を記述する。また、2階に存在する施設であって、その下の1階に、当該2階に存在する施設の電飾看板よりも目立つ施設であって対応するPOIデータレコードが設けられた施設が存在しない施設には、「非渋滞であって夜である」という周囲状況の条件も登録する。
【0023】
また、3階以上の階にのみ存在する施設を表すPOIデータレコードの表示周囲状況条件には、条件無を登録しておく。
次に、交差点案内情報ユニットは、交差点と当該交差点の通過経路との組み合わせ毎に設けられ進路変更案内情報レコードを有する。交差点の通過経路は、交差点に進入するときに走行する道路(リンク)と交差点から退出するときに通る道路(リンク)の組み合わせとして特定される。
【0024】
そして、各進路変更案内情報レコードは、対応する交差点の識別子である交差点番号、対応する交差点の通過経路を表す交差点通過経路、案内アイコンテーブル、案内音声テーブルとを有する。
そして、案内アイコンテーブルは、予め定めた周囲状況の条件毎のエントリを有し、各エントリには、対応する周囲状況の条件を表す使用周囲状況条件と、対応する周囲状況の条件が満たされたときに、対応する交差点を対応する通過経路で通過するときに交差点の目印として使用するアイコンのアイコン番号を表す案内アイコン番号が登録されている。
【0025】
ここで、この案内アイコンテーブルには、図示するように、「渋滞であって晴である」、「渋滞であって雨である」、「非渋滞であって昼である」、「非渋滞であって夜である」という4つの使用周囲状況条件が各々登録されたエントリを有する。そして、対応する交差点を対応する通過経路で通過するときに交差点の目印として使用できるPOIデータレコードが設けられた施設ののうちから、1つの施設を、2階に存在する施設が優先して選択されるようにしつつ選択し、選択した施設のPOIデータレコードのアイコン番号を「渋滞であって晴である」の使用周囲状況条件を登録したエントリに案内アイコン番号として登録する。また、対応する交差点を対応する通過経路で通過するときに交差点の目印として使用できるPOIデータレコードが設けられた施設のうちから、1つの施設を、1階に存在する施設が優先して選択されるようにしつつ選択し、選択した施設のPOIデータレコードのアイコン番号を「渋滞であって雨である」の使用周囲状況条件を登録したエントリと、「非渋滞であって昼である」の使用周囲状況条件を登録したエントリに案内アイコン番号として登録する。
【0026】
また、対応する交差点を対応する通過経路で通過するときに交差点の目印として使用できる施設のPOIデータレコードのうちから、最も目立つ電飾看板を備えた施設のPOIデータレコードを選択し、選択したPOIデータレコードのアイコン番号を「非渋滞であって夜である」の使用周囲状況条件を登録したエントリに案内アイコン番号として登録する。ただし、選択したPOIデータレコードの施設よりも目立つPOIデータレコードが設けられた1階に存在する施設が、対応する交差点を対応する通過経路で通過するときに交差点の目印として使用できる施設のうちに存在する場合には、当該存在する施設を選択して、選択した施設を表すPOIデータレコードのアイコン番号を案内アイコン番号として登録する。
【0027】
次に、案内音声テーブルには、予め定めた周囲状況の条件毎のエントリを有し、各エントリには、対応する周囲状況の条件を表す使用周囲状況条件と、対応する周囲状況の条件が満たされたときに、対応する交差点を対応する通過経路で通過するときに用いる案内に用いる音声のデータが案内音声データとして登録されている。
【0028】
ここで、この案内音声テーブルには、案内アイコンテーブルと同様に「渋滞であって晴である」、「渋滞であって雨である」、「非渋滞であって昼である」、「非渋滞であって夜である」という4つの使用周囲状況条件が各々登録されたエントリを有する。そして、各エントリの案内音声データには、当該エントリと同じ使用周囲状況条件が登録されている案内アイコンテーブルのエントリの案内アイコン番号で示されるPOIデータレコードに登録されたPOI名称を対応する交差点の目印施設名称として用いて、対応する通過経路に従った対応する交差点の通過方向を、目印施設名称と共に案内する音声の音声データが登録されている。
【0029】
さて、このような構成において、ナビゲーション装置1の現在状態算出部12は、以下の処理を繰り返し行う。
すなわち、現在状態算出部12は、走行状態センサ7やGPS受信機8の出力から推定される現在位置に対して、地図データ記憶部11から読み出した地図データを用いたマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ16に設定する。
【0030】
また、制御部17は、ユーザの目的地設定要求に応じて、ユーザから操作部2、GUI制御部19を介して目的地の設定を受け付け、これをメモリ16にセットする。そして、制御部17は、メモリ16にセットした目的地までの推奨ルートをルート探索部13に探索させる。ルート探索部13は、地図データ記憶部11から読み出した地図データに基づいて、メモリ16に設定されている現在位置から目的地までの最小コストの経路を、距離最小などの所定のコストモデルに基づいて推奨ルートとして算出し、算出した推奨ルートのデータを、メモリ16にセットする。
【0031】
また、制御部17は、メモリ16にセットされた現在位置が目的地近傍となったならば、目的地到着と判定し、メモリ16にセットされている推奨ルートをクリアする処理も行う。
また、制御部17は、以下の案内画像生成処理を繰り返す。
すなわち、制御部17は、現在位置またはユーザより指定された位置を基準位置として設定し、メモリ16にセットされた現在進行方位またはユーザによって選定された方位が上になるように表示方位を設定し、予め成されたユーザ設定や初期設定に応じて地図縮尺を設定する。そして、基準位置周辺の、表示方位と地図縮尺とに応じて定まる所定の大きさの地理的範囲を地図表示範囲として決定する。
【0032】
そして、案内画像生成部18に、決定した地図表示範囲内の地図を含む案内画像の描画を指示する。案内画像生成部18は、制御部17から案内画像の描画の指示を受けると、地図表示範囲に少なくとも一部が含まれる区画の区画データの地図ユニットに基づいて、地図表示範囲の地図を表す、設定された表示縮尺の設定された表示方位を上とする地図画像を描画する。また、案内画像生成部18は、後述するPOIアイコン描画処理を実行し、生成した地図画像上に、地図表示範囲内のPOIを表すPOIアイコンを描画する。また、案内画像生成部18は、メモリ16にセットされた現在位置が地図表示範囲に含まれる場合には、現在位置を地図画像上で表す、メモリ16にセットされた現在進行方位を向いた現在位置マークを、地図画像上に描画する。また、案内画像生成部18は、推奨ルートのデータがメモリ16にセットされている場合には、地図表示範囲中の、推奨ルートの現在位置より目的地側の部分を表す推奨ルート図形を地図画像上に描画する。また、案内画像生成部18は、メモリ16にセットされた目的地が地図表示範囲に含まれる場合、目的地の位置を示す目的地マークも地図画像上に描画する。
【0033】
そして、案内画像生成部18は、以上の各描画を行った画像を案内画像とし、GUI制御部19を介して表示装置3に表示する。
図3aは、このようにして表示された案内画像の例を示すものであり、図示するように案内画像は、地図画像301上に、POIアイコン302と、現在位置マーク303や推奨ルート図形304が表されたものとなる。なお、地図表示範囲内に目的地が含まれる場合には、案内画像は、さらに目的地マークが地図画像301上に表示されたものになる。
【0034】
以下、このような案内画像に含めるPOIアイコンを描画する前述したPOIアイコン描画処理について説明する。
図4に、このPOIアイコン描画処理の手順を示す。
図示するように、このPOIアイコン描画処理では、まず、地図表示範囲を取得する(ステップ402)。そして、次に、現在の周囲状況を算定する(ステップ404)。すなわち、このステップ404では、交通情報受信機6で受信した交通情報に含まれる渋滞情報より自車走行中路線の自車前方部分の道路や、自車前方で自車走行中路線と交差する路線の交差部分の道路などの自車周辺の道路が渋滞中であるかどうかを判定し、判定結果に応じて渋滞/非渋滞の周囲状況を算定する。また、車両状態センサ7で取得したウインカ動作の有無より雨/晴の周囲状況を算定する。なお、ウインカが動作している場合には雨、動作していない場合には晴とする。また、ヘッドライトの点灯の有無より夜/昼の周囲状況を算定する。なお、ヘッドライトが点灯している場合には夜、点灯していない場合には昼とする。
ただし、車周辺の道路が渋滞中であるかどうかは、カメラ4で撮影した自車前方の画像中の他車を認識する画像認識処理を画像認識処理部14で行った結果得られる他車の存在密度などに応じて判定するようにしてもよい。
【0035】
さて、現在周囲状況を算定したならば(ステップ404)、次に、ステップ402で取得した地図表示範囲内のPOI座標を持つPOIデータレコードを地図データより抽出する(ステップ406)。
そして、抽出した各POIデータレコードに対して(ステップ408、414、416、以下の処理を行う。
すなわち、ステップ404で算定した現在の周囲状況が、POIデータレコードに登録されている表示周囲状況条件を満たしているかどうかを調べ(ステップ410)、満たしていない場合には、そのPOIデータレコードのPOIアイコンの描画は行わず、そのまま、当該POIデータレコードについての処理を終える。ここで、POIデータレコードに登録されている表示周囲状況条件に任意が設定されている場合には、無条件に表示周囲状況条件を満たしているものとする。また、POIデータレコードに登録されている表示周囲状況条件として条件無が設定されている場合には、無条件に表示周囲状況条件を満たしていないものとする。ただし、条件無の場合は、予め成されたユーザ設定などに応じて、無条件に表示周囲状況条件を満たしているとするようにしてもよい。
【0036】
一方、現在の周囲状況が、POIデータレコードに登録されている表示周囲状況条件を満たしている場合には(ステップ410)、そのPOIデータレコードに登録されているPOI種別に応じた図形を用いたPOIアイコンを、そのPOIデータレコードに登録されているPOI座標に対応する地図画像上の位置に描画する(ステップ412)。
【0037】
そして、ステップ406で抽出した全てのPOIデータレコードについて以上の処理を行ったならば、POIアイコン描画処理を終了する。
ここで、このようなPOIアイコン描画処理の処理例を示す。
いま、図3bに示すように、1階に郵便局となっており2階がレストランとなっているビル311と、1階がMハンバーガ店となっており2階が書店となっているビル312が存在する場合を考える。
このような場合に、本実施形態に係るPOIアイコン描画処理によれば、非渋滞であって昼である場合には、図3cに示すように、案内画像のビル311の位置には1階の郵便局を表すPOIアイコン321が表示され、ビル312の位置には1階のMハンバーガ店を表すPOIアイコン322が表示されることになる。ここで、非渋滞であって昼である場合に1階に存在する施設を表すPOIアイコンを表示するのは、このような状況では、ユーザの視線高さにある1階に存在する施設の方が2階に存在する施設よりも、ユーザがより発見し易いと考えられるからである。
【0038】
また、本実施形態に係るPOIアイコン描画処理によれば、渋滞であって晴である場合には、図3dに示すように、案内画像のビル311の位置には2階のレストランを表すPOIアイコン331が表示され、ビル312の位置には2階の書店を表すPOIアイコン332が表示されることになることになる。ここで、渋滞で晴れである場合に、2階に存在する施設を表すPOIアイコンを表示するのは、このような渋滞が発生している状況では、他車によって1階に存在する施設が間欠的に隠されてしまい、2階に存在する施設よりも発見し難くなっていると考えられるからである。
【0039】
また、本実施形態に係るPOIアイコン描画処理によれば、渋滞であって雨である場合には、図3cに示すように、案内画像のビル311の位置には1階の郵便局を表すPOIアイコン321が表示され、ビル312の位置には1階のMハンバーガ店を表すPOIアイコン322が表示されることになる。ここで、このように渋滞であっても、雨である場合には、1階に存在する施設を表すPOIアイコンを表示するのは、このような状況では、ワイパー拭き取り範囲外の、フロントウインドウの雨滴や曇りのために2階に存在する施設は、他車によって間欠的に隠されてしまう1階に存在する施設よりも、ユーザにとって発見し難くなると考えられるからである。
【0040】
なお、非渋滞であって夜である場合には、案内画像のビル311の位置には1階の郵便局と2階のレストランのうちの予め設定した夜により発見し易い方の施設の表すPOIアイコンが表示され、ビル321の位置には1階のMハンバーガ店と2階の書店のうちの予め設定した夜により発見し易い方の施設の表すPOIアイコンが表示されることになる。
なお、以上のPOIアイコン描画処理では、算定した現在の周囲状況が、登録されている表示周囲状況条件を満たしていないPOIデータレコードのPOIアイコンの描画は行わないようにしたが、このようなPOIデータレコードのPOIアイコンの描画も行うようにしてもよい。ただし、この場合には、算定した現在の周囲状況が登録されている表示周囲状況条件を満たしていないPOIデータレコードのPOIアイコンが、算定した現在の周囲状況が登録されている表示周囲状況条件を満たしているPOIデータレコードのPOIアイコンの視認を妨げることのないように、算定した現在の周囲状況が登録されている表示周囲状況条件を満たしていないPOIデータレコードのPOIアイコンよりも、算定した現在の周囲状況が登録されている表示周囲状況条件を満たしているPOIデータレコードのPOIアイコンが優先的に表示されるようにする。すなわち、たとえば、算定した現在の周囲状況が登録されている表示周囲状況条件を満たしているPOIデータレコードのPOIアイコンと、算定した現在の周囲状況が登録されている表示周囲状況条件を満たしていないPOIデータレコードのPOIアイコンの位置が重なる場合には、必ず、算定した現在の周囲状況が登録されている表示周囲状況条件を満たしているPOIデータレコードのPOIアイコンが、算定した現在の周囲状況が登録されている表示周囲状況条件を満たしていないPOIデータレコードのPOIアイコンの上に描画されるように、各POIアイコンの描画を行うようにする。
【0041】
さて、このような案内画像の描画を行うナビゲーション装置1において、制御部17は、さらに、ユーザに対して推奨ルートに従った進路の変更を案内する進路変更案内処理も行う。
図5に、この進路変更案内処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、メモリ16に設定されている推奨ルート、現在進行方位、現在位置を取得する(ステップ502)。そして、推奨ルートに従って通過予定の交差点であって、推奨ルートに従って走行した場合に当該交差点で進路を変更することになる進行方向上前方の交差点である進路変更交差点と、現在位置との距離が、所定距離(たとえば、50m)以内に接近したかどうかを調べ(ステップ504)、接近していなければステップ502からの処理に戻る。
【0042】
一方、進路変更交差点が所定距離以内に接近したならば、前述したPOIアイコン描画処理のステップ404と同様にして、現在の周囲状況を算定する(ステップ506)。
そして、所定距離以内に接近した進路変更交差点である接近交差点の交差点番号と、推奨ルートに整合する当該交差点の交差点通過経路とが登録された進路変更案内情報レコードを抽出する(ステップ508)。なお、交差点番号は、地図ユニット中に地図上の交差点に対応づけて記述されている。
次に、制御部17は、案内画像生成部18に、接近交差点付近の地図と、当該接近交差点付近の地図上で、ステップ508で抽出した進路変更案内情報レコードに登録された交差点通過経路に従った接近交差点の進路変更方向を表す接近交差点通過方向案内図形とを表した進路変更案内画像を描画させる(ステップ510)。
また、案内画像生成部18に、ステップ508で抽出した進路変更案内情報レコードの案内アイコンテーブルの、ステップ506で算定した現在周囲状況が満たす条件が使用周囲状況条件として登録されたエントリの案内アイコン番号で示されるPOIデータレコードに登録されているPOI種別に応じた図形を用いたPOIアイコンを、そのPOIデータレコードに登録されているPOI座標に対応する、進路変更案内画像上の位置に描画させる(ステップ512)。
【0043】
また、次に、GUI制御部19を介して、進路変更案内ウインドウを表示装置3の表示画面上に設定すると共に、案内画像生成部18に、ステップ510、512で描画させた進路変更案内画像を進路変更案内ウインドウに表示させる(ステップ514)。
また、案内音声生成部15に、ステップ508で抽出した進路変更案内情報レコードの案内音声テーブルの、ステップ506で算定した現在周囲状況が満たす条件が使用周囲状況条件として登録されたエントリの音声データが表す音声をスピーカ5に出力させる(ステップ516)。
【0044】
そして、現在位置の接近交差点の通過を待って(ステップ518)、進路変更案内ウインドウを消去し(ステップ520)、ステップ502からの処理に戻る。
以上、進路変更案内処理について説明した。
このような進路変更案内処理の処理例を示す。
いま、図6aに示すように、推奨ルートに従って左折することになる交差点601に接近している状況を考える。そして、この交差点601の目印として用いることができる施設としては、図6bに示すように交差点601の角に存在するビル611の1階の郵便局と当該ビル611の2階のレストランがあるものとする。
【0045】
このような場合、進路変更案内処理によれば、交差点601に接近すると、図3c、dのように進路変更案内ウインドウ610が設定される。なお、図示するように、本実施形態では、表示装置3の表示画面の右側に進路変更案内ウインドウ610を設定すると共に、進路変更案内ウインドウ610を設定している期間中は、表示装置3の表示画面の左側に案内画像を地図表示範囲を縮小して表示するようにしている。
【0046】
そして、設定された進路変更案内ウインドウ610中には、交差点601付近の地図と、交差点601付近の地図上で左折方向を表す矢印状の図形である接近交差点通過方向案内図形612とを含む進路変更案内画像が表示される。
また、非渋滞であって昼である場合には、図6cに示すように、進路変更案内ウインドウ610中の進路変更案内画像のビル611の位置には1階の郵便局を表すPOIアイコン621が、交差点601の目印として表示されることになる。また、併せて、この1階の郵便局を目印として用いた音声による進路変更案内が、たとえば、「次の交差点を左折です。郵便局が目印です。」といったように行われることになる。ここで、非渋滞であって昼である場合に、このように進路変更する交差点の目印として、1階に存在する施設を用いるのは、このような状況では、ユーザの視線高さにある1階に存在する施設の方が2階に存在する施設よりも、ユーザがより発見し易いと考えられるからである。
【0047】
一方、渋滞であって晴である場合には、図6dに示すように、進路変更案内ウインドウ610中の進路変更案内画像のビル611の位置には2階のレストランを表すPOIアイコン631が、交差点601の目印として表示されることになる。また、併せて、この2階のレストランを目印として用いた音声による進路変更案内が、たとえば、「次の交差点を左折です。2階のレストランが目印です。」といったように行われることになる。ここで、渋滞で晴れである場合に、進路変更する交差点の目印として、2階に存在する施設を用いるのは、このような渋滞が発生している状況では、他車によって1階に存在する施設が間欠的に隠されてしまい、2階に存在する施設よりも発見し難くなっていると考えられるからである。
【0048】
また、渋滞であって雨である場合には、図6cに示すように、進路変更案内ウインドウ610中の進路変更案内画像のビル611の位置には1階の郵便局を表すPOIアイコン621が、交差点601の目印として表示されることになる。また、併せて、この1階の郵便局を目印として用いた音声による進路変更案内が、たとえば、「次の交差点を左折です。郵便局が目印です。」といったように行われることになる。ここで、このように渋滞であっても、雨である場合には、進路変更する交差点の目印として、1階に存在する施設を用いるのは、このような状況では、ワイパー拭き取り範囲外の、フロントウインドウの雨滴や曇りのために2階に存在する施設は、他車によって間欠的に隠されてしまう1階に存在する施設よりも、ユーザにとって発見し難くなると考えられるからである。
【0049】
なお、非渋滞であって夜である場合には、ビル611の位置には1階の郵便局と2階のレストランのうちの予め設定した夜により発見し易い方の施設を、進路変更する交差点の目印として用いた、目印とした施設のPOIアイコンの表示や、音声による目印とした施設の案内を含む進路変更案内が行われることになる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように本実施形態によれば、1階に存在する施設と、2階に存在する施設とのうちの、渋滞の有無や雨天の別や昼夜の別などの周囲状況に応じて定まるユーザがより発見し易い方の施設を表すPOIアイコンをユーザに対して優先的に提示する。すなわち、本実施形態によれば、よりユーザによって発見し易い施設を表すPOIアイコンを優先的に地図上に表示することができる。
【0051】
また本実施形態によれば、交差点における進路変更を案内する際に、交差点の目印として用いることのできる1階に存在する施設と、交差点の目印として用いることのできる2階に存在する施設とのうちの、渋滞の有無や雨天の別や昼夜の別などの周囲状況に応じて定まるユーザがより発見し易い方の施設を、交差点の目印として選定する。そして、選定した施設のPOIアイコンを用いた地図上での進路案内や、選定した施設の案内を含む音声による進路案内を行う。したがって、本実施形態によれば、よりユーザによって発見し易い施設を、進路変更地点の目印として用いた進路変更案内を行うことができるようになる。
【0052】
ところで、以上では周辺状況として、渋滞/非渋滞、雨/晴、夜/昼を用いたが、周辺状況としては、この他の、1階や2階に存在する施設の視認性に関わる任意の状況を用いるようにして良い。
また、以上の実施形態では、POIデータレコードに対応するPOIアイコンを表示すべき周囲状況の条件を表示周囲状況条件として予め記述するようにしたが、このように表示周囲状況条件を記述する代わりに、POIデータレコードに対応する施設の存在する階の階数を記述するようにし、各時点における周囲状況に応じた階が記述されたPOIデータレコードに対応するPOIアイコンを表示するようにしてもよい。なお、この場合には、たとえば、周囲状況が「渋滞であって晴である」という条件を満たす場合には周囲状況に応じた階は2階とし、周囲状況が「渋滞であって雨である」という条件または「非渋滞である」という条件を満たす場合には周囲状況に応じた階は1階とする。
【0053】
また、以上の実施形態では、案内アイコンテーブルと案内音声テーブルに、対応する交差点を対応する交差点の通過経路で通過する場合に交差点の目印とする施設を、POI番号または目印施設名称の音声として直接記述したが、交差点の目印とする施設は、接近した交差点と推奨ルートに従った交差点の通過経路と周辺状況に応じて算定するようにしてもよい。すなわち、この場合には、POIデータレコードに対応する施設の存在する階の階数を記述すると共に、接近した交差点と推奨ルートに従った交差点の通過経路に応じて、接近した交差点の目印として用いることのできる位置にある施設のPOIデータレコードを登録されているPOI座標に応じて探索する。そして、探索したPOIデータレコードのうち、周囲状況に応じた階が記述されたPOIデータレコードに対応するPOIアイコンを表示するようにする。なお、この場合も、たとえば、周囲状況が「渋滞であって晴である」という条件を満たす場合には周囲状況に応じた階は2階とし、周囲状況が「渋滞であって雨である」という条件または「非渋滞である」という条件を満たす場合には周囲状況に応じた階は1階とする。
【0054】
また、以上の実施形態における進路変更案内処理では、交差点における進路変更を案内する際に、交差点の目印として、交差点の目印として用いることのできる1階に存在する施設と、交差点の目印として用いることのできる2階に存在する施設とのうちの、渋滞の有無や雨天の別や昼夜の別などの周囲状況に応じて定まるユーザがより発見し易い方の施設を選定した。しかし、この進路変更案内処理では、画像認識処理部14の画像認識処理を用いてカメラ4で撮影した画像から交差点の目印として用いることのできる1階に存在する施設をユーザが視認できるかどうかを調べ、当該1階に存在する施設が視認できる場合には、当該1階に存在する施設を交差点の目印として選定し、当該1階に存在する施設が視認できない場合に、交差点の目印として用いることのできる2階に存在する施設を、交差点の目印として選定するようにしてもよい。ここで、1階に存在する施設が視認できるかどうかは、たとえば、当該施設のPOIアイコンに当該施設または施設の一部(施設の看板など)の画像を記憶しておき、画像認識処理部14においてカメラ4で撮影した画像と記憶しておいた画像とパターンマッチングを行って、カメラ4で撮影した画像中に記憶しておいた画像とマッチする部分が含まれているかどうかを判定し、含まれている場合に当該施設を視認できると判定し、含まれていない場合に当該視認できないと判定することなどにより行うことができる。
また、以上の実施形態は、1階部分に、その施設を識別する上での外観上の特徴を有する施設を、1階に存在する施設、2階部分に、その施設を識別する上での外観上の特徴を有する施設を2階に存在する施設として実施とするようにしてもよい。また、この場合には、1階部分にも2階部分にもその施設を識別する上での外観上の特徴を有する施設は、1階に存在する施設であって、同時に、2階に存在する施設でもあるとしてよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置が備える地図データを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の表示画面例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るPOIアイコン描画処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る進路変更案内処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…ナビゲーション装置、2…操作部、3…表示装置、4…カメラ、5…スピーカ、6…交通情報受信機、7…車両状態センサ、7…走行状態センサ、8…GPS受信機、11…地図データ記憶部、12…現在状態算出部、13…ルート探索部、14…画像認識処理部、15…案内音声生成部、16…メモリ、17…制御部、18…案内画像生成部、19…GUI制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載され、地図を表示するナビゲーション装置であって、
地図を定義する地図データを記憶した地図データ記憶手段と、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
設定された目的地までの経路を推奨ルートとして前記地図データに基づいて探索し設定する推奨ルート探索手段と、
前記推奨ルート探索手段が設定した推奨ルートに従って走行する場合に進路変更することになる進路変更ポイントに、現在位置算出手段が算出した現在位置が接近した場合に、前記進路変更ポイントの目印となる施設を目印施設として選定し、選定した目印施設の案内を含む進路変更ポイントにおける進路変更方向の案内を行う進路変更案内部と、
周囲の状況を検出する周囲状況検出手段とを有し、
前記進路変更案内部は、前記進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設のうちから、前記周囲状況検出手段が検出した周囲の状況に応じて、1階に存在する施設と2階に存在する施設とのうちの、いずれか一方を優先的に前記目印施設として選定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記地図データ記憶手段は、前記地図データと共に、複数の施設の各々に対応して設けられた、対応する施設を前記地図上で表すために表示するアイコンを定義したアイコンデータを記憶し、
前記進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設は、前記進路変更ポイント近傍の施設であって、かつ、当該施設を表すアイコンを定義する前記アイコンデータが存在する施設であって、
前記進路変更案内部は、
前記進路変更ポイントを含む地図上に進路変更方向を表す図形を表示する進路変更方向表示手段と、
前記進路変更ポイントを含む地図上に、前記アイコンデータに基づいて、前記選定された目印施設のアイコンを描画する目印アイコン描画手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記進路変更案内部は、前記目印施設として選定した施設の案内を含む、前記進路変更ポイントにおける進路変更方向の音声による案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のナビゲーション装置であって、
前記周囲状況検出手段が検出する状況は、車両前方の渋滞または車両前方で自車が走行中の道路と横切る道路の渋滞の状況であって、
前前記進路変更案内部は、前記周囲状況検出手段によって前記渋滞が検出されている場合に前記2階に存在する施設を優先的に前記目印施設として選定し、前記周囲状況検出手段によって前記渋滞が検出されていない場合に前記1階に存在する施設を優先的に前記目印施設として選定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
自動車に搭載され、地図を表示するナビゲーション装置であって、
地図を定義する地図データを記憶した地図データ記憶手段と、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
設定された目的地までの経路を推奨ルートとして前記地図データに基づいて探索し設定する推奨ルート探索手段と、
前記推奨ルート探索手段が設定した推奨ルートに従って走行する場合に進路変更することになる進路変更ポイントに、現在位置算出手段が算出した現在位置が接近した場合に、前記進路変更ポイントの目印となる施設を目印施設として選定し、選定した目印施設の案内を含む進路変更ポイントにおける進路変更方向の案内を行う進路変更案内部と、
車両前方を撮影するカメラとを有し、
前記進路変更案内部は、前記進路変更ポイントとして用いることのできる施設のうちの1階に存在する施設を前記カメラで撮影できない場合に、前記進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設のうちの2階に存在する施設を優先的に前記目印施設として選定し、前記前記進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設のうちの1階に存在する施設を前記カメラで撮影できる場合に当該1階に存在する施設を優先的に前記目印施設として選定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
地図を表示するナビゲーション装置であって、
地図を定義する地図データと、複数の施設の各々に対応して設けられた、対応する施設を前記地図上で表すために表示するアイコンを定義したアイコンデータとを記憶した記憶手段と、
地図を表示する範囲として設定された地理的範囲である地図表示範囲内の地図を地図画像として、前記記憶手段に記憶された地図データに基づいて描画する地図描画手段と、
前記地図描画手段が描画した地図上に前記アイコンデータに基づいて、前記地図表示範囲内にある施設を表すアイコンを描画するアイコン描画手段とを有し、
周囲の状況を検出する周囲状況検出手段とを有し、
前記アイコン描画手段は、前記周囲状況検出手段が検出した周囲の状況に応じて、1階に存在する施設を表すアイコンと、2階に存在する施設を表すアイコンとのうちの、いずれか一方を優先的に描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
前記周囲状況検出手段が検出する状況は、自車周囲の道路の渋滞の状況であって、
前記アイコン描画手段は、前記周囲状況検出手段によって前記渋滞が検出されている場合に前記2階に存在する施設を表すアイコンを優先的に描画し、前記周囲状況検出手段によって前記渋滞が検出されていない場合に前記1階に存在する施設を表すアイコンを優先的に描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1、2、3または6記載のナビゲーション装置であって、
前記周囲状況検出手段が検出する状況は、雨天の有無の状況と昼夜の別の状況とのうちの少なくとも一つの状況を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
地図を表示するナビゲーション装置においてユーザに対して経路を案内する経路案内方法であって、
設定された目的地までの経路を推奨ルートとして前記地図データに基づいて探索し設定するステップと、
周囲の状況を検出するステップと、
設定して推奨ルートに従って走行する場合に進路変更することになる進路変更ポイントに接近した場合に、当該進路変更ポイントの目印として用いることのできる施設のうちから、検出した周囲の状況に応じて、1階に外観上の識別性を有する施設と2階に外観上の識別性を有する施設とのうちの、いずれか一方を優先的に、当該進路変更ポイントの目印とする目印施設として選定するステップと、
選定した目印施設の案内を含む進路変更ポイントにおける進路変更方向の案内を行うステップとを有することを特徴とする経路案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−163437(P2007−163437A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363966(P2005−363966)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】