説明

ナビゲーション装置及び起動方法

【課題】 従来、ナビゲーション装置においては、ナビゲーション処理を行うためのアプリケーションプログラムおよびその他のアプリケーションプログラムを主記憶装置に展開して稼働する。しかし、主記憶装置として使用できるRAMの記憶容量には制限があるため、ナビゲーション処理を行うためのアプリケーションプログラムの展開後に記憶領域の多くを占有する他の処理を実施することは難しい。本発明の目的は、ナビゲーション装置において、記憶領域の占有量が多い処理を効率よく実施する技術を提供することにある。
【解決手段】
本発明のナビゲーション装置は、ブート処理において、RAMを大量に使用する処理をRAMに展開して実施した後に、ナビゲーション処理を開始する手段を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、ナビゲーション処理を行うためのアプリケーションプログラムおよびその他のアプリケーションプログラムを主記憶装置に展開して稼働する。
【0003】
特許文献1には、このようなナビゲーション装置についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−65753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような処理を実施するナビゲーション装置であっても、主記憶装置として使用できるRAM(Random Access Memory)の記憶容量には制限があるため、ナビゲーション処理を行うためのアプリケーションプログラムの展開後に記憶領域の多くを占有する他の処理を実施することは難しい。
【0006】
本発明の目的は、ナビゲーション装置において、記憶領域の占有量が多い処理を効率よく実施する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明のナビゲーション装置は、ブートプログラムが格納された記憶部と、ナビゲーション処理プログラムによりナビゲーション処理を行うナビゲーション処理手段と、ナビゲーション処理の開始に先立って、前記ブートプログラムを読み込んで前記ナビゲーション装置の起動処理を行う起動手段と、を備え、前記ブートプログラムには、データベースを再編する処理を行うためのデータベース再編プログラムが含まれており、前記起動手段は、前記起動処理において、前記データベース再編プログラムを読み込んで、データベースの再編を行う、ことを特徴とする。
【0008】
また例えば、ナビゲーション装置の起動方法であって、前記ナビゲーション装置は、ブートプログラムが格納された記憶部と、ナビゲーション処理プログラムによりナビゲーション処理を行うナビゲーション処理手段と、ナビゲーション処理の開始に先立って、前記ブートプログラムを読み込んで前記ナビゲーション装置の起動処理を行う起動手段と、を備え、前記ブートプログラムには、データベースを再編する処理を行うためのデータベース再編プログラムが含まれており、前記起動処理において、前記データベース再編プログラムを読み込んで、データベースの再編を行うステップ、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ナビゲーション装置において、記憶領域の占有量が多い処理を効率よく実施する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、ナビゲーション装置の演算処理部の構成図である。
【図3】図3は、リンクテーブルの構成例を示す図である。
【図4】図4は、楽曲テーブルの構成例を示す図である。
【図5】図5は、起動制御テーブルの構成例を示す図である。
【図6】図6は、演算処理部の機能構成を示す図である。
【図7】図7は、リブート処理のフロー図である。
【図8】図8は、楽曲DB更新処理のフロー図である。
【図9】図9は、地図DB更新処理のフロー図である。
【図10】図10は、リブート処理時のRAMの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置100について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、を備えている。
【0013】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10、またはビーコン受信装置11から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0014】
図2に示すように、演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1に接続するインターフェイスであるI/F24と、を有する。
【0015】
このうち、RAM22は、アプリケーション用領域26と、システム共用領域27と、の領域を有する。アプリケーション用領域26は、ナビゲーションプログラムなどのアプリケーションプログラムの実行に用いる記憶領域である。システム共用領域27は、車両制御等、OSが管理するリソースに関する情報を記憶する記憶領域である。
【0016】
なお、RAM22は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSDRAM(Synchronous DRAM)、DDRSDRAM(Double Data Rate SDRAM)等のランダムアクセスが可能なメモリである。
【0017】
ROM23は、例えばフラッシュメモリなどの読み出しを主とするメモリである。
【0018】
ROM23には、ブートプログラム28が記憶されている。
【0019】
ブートプログラム28は、車載用ナビゲーション装置100のOSの起動処理を行うプログラムである。
【0020】
ブートプログラム28には、データベース再編プログラム29と、アニメーション用データ30と、が含まれる。
【0021】
データベース再編プログラム29は、後述する楽曲DB更新処理や、地図DB更新処理を実現するための複数のプログラムにより構成される。データベース再編プログラム29を構成する各プログラムは、モジュールIDにより識別される。
【0022】
アニメーション用データ30は、ブート時にブート中であることを示すアニメーションを再生するために必要なデータである。
【0023】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0024】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0025】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル200と、楽曲テーブル300と、起動制御テーブル400と、が記憶されている。また、記憶装置3には、ナビゲーション処理部102を構成するナビゲーション処理プログラムが格納されている。ナビゲーション処理プログラムは、車載用ナビゲーション装置100の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、交通情報の表示、現在位置の表示、経路探索、経路誘導等)を実現するためのプログラムである。ナビゲーション処理プログラムは、記憶装置3に記憶されており、実行時にRAM22に読み出されて展開される。そのため、ナビゲーション処理プログラムをROM23に搭載する場合に比べると、ROM23が必要とする容量は削減されることとなり、特に高価なROMの部品コストの低減を図ることができる。
【0026】
また、ナビゲーション処理プログラムはHDD等の記憶装置3に格納され、ブートプログラム28はHDDに比べて信頼性の高いROM23に格納されるという構成により、車載用ナビゲーション装置100の動作の信頼性を維持することができる。なお、実行時には、ナビゲーション処理プログラムがHDD等の記憶装置3から読み出されてRAM22に展開される。そのため、CPU21はROM23に比べて高速に動作するRAM22に格納された命令を実行することができるため、ROM23から命令を直接読み出して処理するよりもナビゲーション処理プログラムの実行速度を高めることができるといえる。
【0027】
図3は、リンクテーブル200の構成を示す図である。リンクテーブル200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)201ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ202を含んでいる。
【0028】
リンクデータ202は、リンクの識別子であるリンクID211ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの距離を示すリンク長224、リンク旅行時間225、リンクを構成する2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)である開始接続リンク、終了接続リンク226、リンクを含む道路の通称(例えば、「環八通り」等)を示す通称227、等を含んでいる。
【0029】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。なお、リンク旅行時間225は、日時、天気などの条件ごとに対応付けられたリンク旅行時間であってもよい。
【0030】
図4は、楽曲テーブル300の構成を示す図である。楽曲テーブル300は、楽曲等の音声や映像に関する情報を記憶するテーブルである。また、FM多重放送受信装置10やビーコン受信装置11等の通信装置、その他図示しない有線の通信装置等を介して受信した楽曲情報によって、楽曲テーブル300に格納される情報は随時更新される。
【0031】
楽曲テーブル300は、アーティストID301と、アルバムID302と、楽曲ID303と、楽曲データ304と、を含んでいる。
【0032】
アーティストID301は、楽曲の歌手、演奏者または指揮者等アーティストを識別する情報である。
【0033】
アルバムID302は、楽曲が収録されたアルバム盤やシングル盤等を識別する情報である。
【0034】
楽曲ID303は、各楽曲を識別する情報である。
【0035】
楽曲データ304は、各楽曲を再生するための楽曲の情報である。
【0036】
図5は、起動制御テーブル400の構成を示す図である。
【0037】
起動制御テーブル400は、車載用ナビゲーション装置100の直近の再起動の理由に応じて、起動時に処理を実行するモジュールを特定する情報である。
【0038】
起動制御テーブル400は、再起動理由ID401と、起動モジュールID402と、を含んでいる。
【0039】
再起動理由ID401は、再起動の理由を識別する情報である。
【0040】
起動モジュールID402は、車載用ナビゲーション装置100の起動時に起動させる処理を実行するモジュールを識別する情報である。
【0041】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などの車載用ナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0042】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された使用者へのメッセージを音声信号として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。車載用ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0043】
入力装置5は、使用者からの指示を使用者による操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0044】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0045】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0046】
ROM装置6は、CD-ROMやDVDなどのROM(Read Only Memory)やIC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0047】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置100において現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。
【0048】
車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定し、演算処理部1に送信するものである。
【0049】
FM多重放送受信装置10は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0050】
ビーコン受信装置11は、光ビーコン、電波ビーコン等の信号を受信する。ビーコン等の信号には、VICS情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報などがある。
【0051】
図6は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0052】
図示するように、演算処理部1は、ブート制御部101と、ナビゲーション処理部102と、入力受付部103と、出力処理部104と、楽曲データ処理部105と、地図更新データ処理部106と、を有する。
【0053】
ブート制御部101は、ナビゲーション装置のOSを起動させる処理であるブート処理を行う機能部である。ナビゲーション処理部102によるナビゲーション処理が開始された後は、以降は再起動時まで、ブート制御部101は特に処理を行わない。
【0054】
ナビゲーション処理部102は、様々なナビゲーション装置100に関する処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、ナビゲーション処理部102は、上述のナビゲーション処理プログラムによって、車載用ナビゲーション装置100の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、交通情報の表示、現在位置の表示、経路探索、経路誘導等)を実施する。
【0055】
入力受付部103は、マイクロフォン41、タッチパネル51およびダイヤルスイッチ52を介して、使用者からの指示入力を受け付け、これを各処理部に受け渡す処理部である。
【0056】
出力処理部104は、画面出力をディスプレイ2に表示させる機能部である。ディスプレイ2への表示が要求される画面データと表示候補を受け取り、指定された描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路、メッセージ情報のためのダイアログなどを描画するように画面描画コマンドを生成する。そして、生成したコマンドを、ディスプレイ2に送信する。
【0057】
楽曲データ処理部105は、車載用ナビゲーション装置100の記憶装置3に記憶する楽曲データを管理する。
【0058】
具体的には、楽曲データ処理部105は、車載用ナビゲーション装置100の記憶装置3の楽曲テーブル300に楽曲データの取り込みを行って楽曲データの再生を行えるようにする。また、楽曲データ処理部105は、記憶装置3の楽曲テーブル300から楽曲データの削除を行って、記憶装置3に別の楽曲データを記憶するための記憶容量を確保する。
【0059】
地図更新データ処理部106は、車載用ナビゲーション装置100の記憶装置3に記憶する地図データの更新を実施する。
【0060】
具体的には、地図更新データ処理部106は、車載用ナビゲーション装置100の記憶装置3に記憶されたリンクテーブル200の更新情報を、図示しない外部の情報センタ等から得て、取り込んだ更新情報によりリンクテーブル200を更新する。
【0061】
なお、ブート制御部101は、CPU21が、ROM23に記憶したプログラムを実行することにより実現される。また、ナビゲーション処理部102、入力受付部103、出力処理部104、楽曲データ処理部105、地図更新データ処理部106は、RAM22にロードしたプログラムを実行することにより実現される。
【0062】
次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0063】
図7は、リブート処理の流れを示すフロー図である。
【0064】
ブート制御部101は、車載用ナビゲーション装置100のナビゲーション実施中に、ユーザからリブート指示を受けるか、特定の処理の開始指示を受けた場合に、本フローを開始する。
【0065】
ブート制御部101は、トリガ情報となるリブートする理由等をRAM22のシステム共用領域27に記憶する(ステップS001)。
【0066】
具体的には、ブート制御部101は、ユーザからリブート指示を受けたのか、または特定の処理の開始指示を受けたのか、等の理由に応じて、リブートの理由を特定して、RAM22のシステム共用領域27の図示しない領域にリブート理由IDをトリガ情報として記憶する。
【0067】
次に、ブート制御部101は、RAM22のアプリケーション用領域26に記憶された情報を初期化する(ステップS002)。
【0068】
次に、ブート制御部101は、ブート処理を開始する(ステップS003)。
【0069】
そして、ブート制御部101は、車両制御情報の記録を開始する(ステップS004)。
【0070】
具体的には、ブート制御部101は、車載用ナビゲーション装置100が搭載された車両の地図上での位置、車両内の温度、車両のドアのロック状態等の車両制御に関する情報を取得して、RAM22のシステム共用領域27の図示しない所定の領域に順次記憶させる。
【0071】
次に、ブート制御部101は、ステップS001にてシステム共用領域27に記憶したリブート理由に応じた処理を実施する(ステップS005)。
【0072】
具体的には、ブート制御部101は、ステップS001にてシステム共用領域27に記憶したリブート理由を読み出し、起動制御テーブル400の再起動理由401と一致するレコードを特定する。そして、ブート制御部101は、対応する起動モジュールID402を特定する。
【0073】
例えば、特定される起動モジュールIDにより、楽曲データ処理部105、地図更新データ処理部106等のモジュールが特定され、実施される。
【0074】
ステップS005のモジュールの実施内容についての詳細は、後述する。
【0075】
次に、ブート制御部101は、出力処理部104に、ブート中である旨を示すアニメーションを表示させるよう指示する(ステップS006)。
【0076】
具体的には、ブート制御部101は、出力処理部104に、ROM23のアニメーション用データ30をディスプレイ2に表示させる。
【0077】
次に、ブート制御部101は、RAM22のアプリケーション用領域26に、ナビゲーション処理部102が通常のナビゲーション処理に使用するナビゲーション処理プログラムをロードして、ナビゲーション処理部102にナビゲーション処理を開始させる(ステップS007)。
【0078】
以上が、リブート処理のフローである。
【0079】
このようなリブート処理を実施することにより、車載用ナビゲーション装置100は、ナビゲーション処理を開始する前に、記憶容量の使用量の制限を受けやすいアプリケーション用RAM26の領域を占有して、リブート理由に応じた処理プログラムをロードし実施することができる。
【0080】
つまり、ROM23等に比べて、データアクセス速度が大きく、大量に記憶領域を確保しやすいRAM22を用いてリブート理由に応じた処理を実施することができるため、リブート理由に応じた処理を素早く完了させることができるようになるといえる。
【0081】
また、ステップS004を実施することで、ステップS005、ステップS006、ステップS007の処理を実施する間の車両制御情報の取得漏れを回避することができる。
【0082】
次に、ステップS005にて処理を行うモジュールの実施内容である楽曲DB更新処理の例を、図8を用いて説明する。
【0083】
図8は、楽曲DB更新処理のフローの例である。
【0084】
まず、楽曲データ処理部105は、ポータブル音楽プレーヤの接続指示メッセージを表示させる(ステップS101)。
【0085】
具体的には、楽曲データ処理部105は、出力処理部104に、楽曲データが記憶された記憶媒体あるいは音楽プレーヤを接続するよう指示するメッセージをディスプレイ2に表示するよう指示する。
【0086】
そして、出力処理部104は、指示されたメッセージを表示させる。
【0087】
次に、楽曲データ処理部105は、ステップS101にて接続された音楽プレーヤ等の装置に記憶された楽曲データを取得する(ステップS102)。
【0088】
具体的には、楽曲データ処理部105は、接続された音楽プレーヤ等の装置を特定し、特定した装置に記憶された楽曲データを読み出す。
【0089】
次に、楽曲データ処理部105は、ステップS102にて取得した楽曲データについて、アーティストIDやアルバムID、楽曲ID、楽曲データを特定し、楽曲テーブル300に記憶させる(ステップS103)。この際、あわせて、楽曲データ処理部105は、楽曲テーブル300の容量の拡張や、アクセス速度の向上のためのインデックス情報の作成を行う。
【0090】
以上が、楽曲DB更新処理のフローである。
【0091】
楽曲DB更新処理を実施することで、車載用ナビゲーション装置100は、音楽プレーヤ等に記憶された楽曲データを車載用ナビゲーション装置100において使用することが可能となる。
【0092】
次に、ステップS005にて実施するモジュールの実施内容である地図DB更新処理の例を、図9を用いて説明する。
【0093】
図9は、地図DB更新処理のフローの例である。
【0094】
まず、地図更新データ処理部106は、車載用ナビゲーション装置100のユーザに、電源をオフにしないよう注意を促す指示メッセージを表示させる(ステップS201)。
【0095】
具体的には、地図更新データ処理部106は、出力処理部104に、地図更新データが記憶された記憶媒体から情報を読み出す旨のメッセージと、電源をオフにしないよう注意を促す指示メッセージと、を表示するよう指示する。あるいは、地図更新データ処理部106は、地図更新データを提供する外部の情報センタと通信を行っている旨のメッセージと、電源をオフにしないよう注意を促す指示メッセージと、を表示するよう指示してもよい。
【0096】
そして、出力処理部104は、指示されたメッセージを表示させる。
【0097】
次に、地図更新データ処理部106は、図示しない外部の地図更新データを提供する情報センタ等から、提供された地図の更新データを取得する(ステップS202)。
【0098】
具体的には、地図更新データ処理部106は、図示しない外部の情報センタ等から、ビーコン受信装置11や図示しない携帯電話等のデータ通信装置を介して地図の更新データを受信する。
【0099】
次に、地図更新データ処理部106は、ステップS202にて取得した地図の更新データによってリンクテーブル200を更新する(ステップS203)。この際、あわせて、地図更新データ処理部106は、リンクテーブル200の容量の拡張や、アクセス速度の向上のためのインデックス情報の作成を行う。
【0100】
以上が、地図DB更新処理のフローである。
【0101】
地図DB更新処理を実施することで、車載用ナビゲーション装置100は、外部の情報センタ等から提供される地図の更新データを車載用ナビゲーション装置100において使用することが可能となる。
【0102】
以上、本発明の一実施形態を説明した。
【0103】
本発明の上記実施形態によれば、車載用ナビゲーション装置100は、リブート時に、ナビゲーション処理開始前に大量に記憶領域を使用する処理を実施することができる。
【0104】
図10に、本実施形態のリブート処理の各段階におけるRAM22の使用状況の例を示す。
【0105】
図10(a)に示すように、リブート処理のステップS001を開始する前は、RAM22の記憶容量のうち、例えば30%をOSの処理によって使用される領域501が占め、60%をナビゲーション処理プログラムの処理によって使用される領域502が占め、残りの10%を未使用の領域503が占める。この状態では、新たにデータベース再編プログラム29をRAM22の未使用の領域503に展開しても、RAM22の記憶領域が不足するため効率よくデータベース再編を行うことはできない。
【0106】
図10(b)に示すように、リブート処理のステップS005を開始すると、RAM22の記憶容量のうち、例えば10%をブートプログラム28によって使用される領域511が占め、70%をデータベース再編プログラム29の処理によって使用される領域512が占め、10%をアニメーション実行領域513が占め、残りの10%を未使用の領域503が占めるようになる。この状態であれば、RAM22の記憶容量を十分に活用してデータベース再編プログラム29を効率よく実行することができる。
【0107】
図10(c)に示すように、リブート処理のステップS007を終了すると、RAM22の記憶容量は、図10(a)に示した状態に戻り、通常通りナビゲーション処理を行うことができる。
【0108】
本発明は、上記実施形態に制限されない。上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0109】
例えば、リブート処理のステップS001にて、トリガ情報であるリブート理由をシステム共用領域27に記憶させているが、これに限られない。例えば、リブート理由を記憶装置3の所定の領域に記憶させても良い。
【0110】
このようにすることで、ステップS002において、車載用ナビゲーション装置100に通電していない状態になっても、リブート理由が停電により揮発して失われてしまうことがなくなる。
【0111】
また、リブート処理のステップS001にて、リブート理由をシステム共用領域27に記憶させているが、記憶させる情報はリブート理由に限られない。例えば、起動時に起動すべきモジュールを識別する情報をシステム共用領域27の所定の領域に記憶させても良い。
【0112】
このようにすることで、ステップS005において、起動すべきモジュールの特定を容易に行うことができるようになる。
【0113】
また、ステップS007において、ステップS006の処理が終了すると処理を開始するようにしているが、これに限られない。例えば、RAM22のアプリケーション用領域26のうち、ステップS005の処理に必要な領域を残して、ステップS005の処理中に、並行して他の領域にナビゲーション処理のモジュールをロードしておくようにしてもよい。
【0114】
このようにすることで、ステップS007のナビゲーション処理の開始を早めることができる。
【0115】
また、ステップS005の処理において、リブート理由に応じた処理を一つ実施するようにしているが、これに限られない。例えば、ステップS005において、リブート理由に応じた処理を複数実施するようにしてもよい。その際、複数の処理を順次実行しても良いし、並行して実施しても良い。
【0116】
このようにすることで、リブートを行っている最中はナビゲーション処理が中断してしまうところ、一度のリブートで複数の処理をまとめて実施することができるようになるため、効率的である。
【0117】
また、ステップS006の処理において、アニメーションを表示させているが、アニメーションに限らず、単に静止画像を表示させても良い。
【0118】
このようにすることで、ROM23のアニメーション用のデータを格納する領域を小さな領域とすることができる。
【0119】
また、ブート制御部101は、車載用ナビゲーション装置100のナビゲーション実施中に、ユーザからリブート指示を受けるか、特定の処理の開始指示を受けた場合に、リブート処理を実施するとしているが、これに限られない。
【0120】
例えば、ブート制御部101は、車載用ナビゲーション装置100のナビゲーション実施中に、ユーザから特定の処理の開始指示を受けつけ、その処理において使用するRAMの容量が、アプリケーション用領域26の割り当てられていない領域の容量を超えない場合には、リブート処理を行わずに即時で実行されるようにしてもよい。なお、容量を超える場合には、ブート制御部101はステップS001を実施し、ステップS002以降は次回のナビ起動時に実施される、というようにしてもよい。
【0121】
また、楽曲DB更新処理においては、ステップS101、S102においてポータブル音楽プレーヤと接続しているが、これに限られない。例えば、楽曲を記憶しているパーソナルコンピュータなどの汎用機、USB(Universal Serial Bus)等のインターフェイスを介して読み書き可能な不揮発性メモリ、またはCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記憶媒体等、その他様々な記憶メディアと接続するようにしてもよい。
【0122】
このようにすることで、特定の取得手段によらずに楽曲データを取得することができるようになる。
【0123】
また、地図DB更新処理のステップS202において、地図更新データ処理部106は、外部の情報センタ等から、通信装置を介して地図の更新データを受信しているが、これに限られない。例えば、別途入手した地図の更新データが記憶された記憶媒体から車載用ナビゲーション装置100に読み込ませることにより、地図の更新データを取得してもよい。
【0124】
このようにすることで、地図の更新データを取得するための時間が短くなるように地図の更新データを取得することができる。
【0125】
なお、上記の実施形態では、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用以外のナビゲーション装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0126】
1:演算処理部、2:ディスプレイ、3:記憶装置、4:音声出入力装置、5:入力装置、6:ROM装置、7:車速センサ、8:ジャイロセンサ、9:GPS受信機、10:FM多重放送受信装置、11:ビーコン受信装置、21:CPU、22:RAM、23:ROM、24:I/F、25:バス、26:アプリケーション用領域、27:システム共用領域、41:マイクロフォン、42:スピーカ、51:タッチパネル、52:ダイヤルスイッチ、100:車載用ナビゲーション装置、101:ブート制御部、102:ナビゲーション処理部、103:入力受付部、104:出力処理部、105:楽曲データ処理部、105:地図更新データ処理部、200:リンクテーブル、300:楽曲テーブル、400:起動制御テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
ブートプログラムが格納された記憶部と、
ナビゲーション処理プログラムによりナビゲーション処理を行うナビゲーション処理手段と、
ナビゲーション処理の開始に先立って、前記ブートプログラムを読み込んで前記ナビゲーション装置の起動処理を行う起動手段と、を備え、
前記ブートプログラムには、データベースを再編する処理を行うためのデータベース再編プログラムが含まれており、
前記起動手段は、前記起動処理において、前記データベース再編プログラムを読み込んで、データベースの再編を行う、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記記憶部は、第一の記憶領域と、当該第一の記憶領域よりも記憶容量が大きい第二の記憶領域と、を備え、
前記ブートプログラムは、前記第一の記憶領域に格納され、
前記ナビゲーション処理プログラムは、前記第二の記憶領域に格納されている、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
前記ナビゲーション装置の終了処理において、トリガ情報を前記記憶部に記憶させる終了手段を備え、
前記起動手段は、前記トリガ情報が前記記憶部に記憶されていれば、前記データベース再編プログラムを用いて前記データベースを再編する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置であって、
前記トリガ情報は、終了の理由を示す情報である、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
前記ナビゲーション処理プログラムが前記ナビゲーション処理に使用する第二の記憶部を備え、
前記起動手段は、前記データベースの再編処理において、前記第二の記憶部を使用して再編を行う、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記データベース再編プログラムによる再編処理は、楽曲を管理するデータベースを構成する処理である、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記データベース再編プログラムによる再編処理は、地図の更新情報を管理するデータベースを構成する処理である、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記起動手段は、車両の制御情報の記録を開始した後に、前記データベースの再編処理を実施する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
ナビゲーション装置の起動方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
ブートプログラムが格納された記憶部と、
ナビゲーション処理プログラムによりナビゲーション処理を行うナビゲーション処理手段と、
ナビゲーション処理の開始に先立って、前記ブートプログラムを読み込んで前記ナビゲーション装置の起動処理を行う起動手段と、を備え、
前記ブートプログラムには、データベースを再編する処理を行うためのデータベース再編プログラムが含まれており、
前記起動処理において、前記データベース再編プログラムを読み込んで、データベースの再編を行うステップ、
を実行することを特徴とする起動方法。
【請求項10】
請求項9に記載の起動方法であって、
前記記憶部は、第一の記憶領域と、当該第一の記憶領域よりも記憶容量が大きい第二の記憶領域を備え、
前記ブートプログラムは、前記第一の記憶領域に格納され、
前記ナビゲーション処理プログラムは、前記第二の記憶領域に格納されている、
ことを特徴とする起動方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の起動方法であって、さらに、
前記ナビゲーション装置の終了処理において、トリガ情報を前記記憶部に記憶させる終了ステップを実行し、
前記起動ステップにおいて、前記トリガ情報が前記記憶部に記憶されていれば、前記データベース再編プログラムを用いて前記データベースを再編する、
ことを特徴とする起動方法。
【請求項12】
請求項11に記載の起動方法であって、
前記トリガ情報は、終了の理由を示す情報である、
ことを特徴とする起動方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の起動方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
前記ナビゲーション処理プログラムがナビゲーション処理に使用する第二の記憶部を備え、
前記起動ステップにおいて、前記第二の記憶部を使用して前記再編処理を行う、
ことを特徴とする起動方法。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか一項に記載の起動方法であって、
前記データベース再編プログラムによる再編処理は、楽曲を管理するデータベースを構成する処理である、
ことを特徴とする起動方法。
【請求項15】
請求項9〜13のいずれか一項に記載の起動方法であって、
前記データベース再編プログラムによる再編処理は、地図の更新情報を管理するデータベースを構成する処理である、
ことを特徴とする起動方法。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか一項に記載の起動方法であって、
前記起動手段は、車両の制御情報の記録を開始した後に、前記データベースの再編処理を実施する、
ことを特徴とする起動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−117753(P2011−117753A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273192(P2009−273192)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】