説明

ナビゲーション装置及び電子装置における省電力制御方法

【課題】 ユーザが表示部を見たときだけ表示部に電源供給が行われる電子装置において、視覚センサに対する不必要な電源供給を低減すること。
【解決手段】 現在位置検出部によって検出された現在位置が案内経路上の案内ポイントに到達したと経路案内機能が判定した場合に、報知部が報知を行ってユーザに表示部を見るように促し、省電力制御機能が視覚センサに対する電力供給を開始させる。さらに、省電力制御機能は、視覚センサによってユーザの顔が表示部の方を向いていると判定した場合に、表示部に対する電力供給を開始し、表示部に経路案内情報が表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及び電子装置における省電力制御方法、特に、ナビゲーション装置及び電子装置の表示部、及びユーザが表示部を見ているか否かを判定するための視覚センサに対する電源供給を不要時に停止することによって電力消費量を低減できるナビゲーション装置及び電子装置における省電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子装置において表示部等の特定箇所に対して非使用時に電源供給を停止させることによって消費電力量を低減させることが行われている。消費電力量を低減させれば、携帯用電子装置の場合には内蔵されたバッテリの寿命を長くすることが可能となるからである。
【0003】
電子装置において非使用時を判定する方法は様々であるが、例えば、所定の期間操作部に対する入力操作が行われなかった場合に非使用時であると判断して表示部に対する電源供給を停止させるものや、表示部をユーザが見ているか否かを判定するための視覚センサを設け、表示部をユーザが見ていない場合に非使用時であると判断して表示部に対する電源供給を停止させるものがある。
【0004】
後者の一例として、下記特許文献1(特開2008−292753号公報)には、カメラによって撮影された画像を解析することによってユーザが表示部を見ているか否かを判定し、ユーザが表示部を見ていないと判定された場合であって且つ経路案内していない場合、或いはユーザが表示部を見ていないと判定された場合であって且つ経路案内中であっても分岐点付近ではない場合に、表示部に対する電源供給を停止することによって省電力制御を行う「情報表示装置」を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−292753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の「情報表示装置」の発明においては、カメラによって常時ユーザの顔を撮影しており、撮影画像は逐次制御装置に出力されている。そのため、ユーザが表示部を見ているか否かに関わりなくカメラに対しては常に電力が供給されており、不必要に電力が消費されているという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ユーザがナビゲーション装置や電子装置の表示部を見ていないときに表示部に対する電源供給を行わないことに加え、表示部を見ているか否かを判定するための視覚センサに対する電源供給についても、不必要な電源供給を行わないようにしたナビゲーション装置及び電子装置における省電力制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のナビゲーション装置は、表示部と、視覚センサと、現在位置検出部と、指定された出発地から目的地に至る案内経路と前記現在位置検出部によって検出された現在位置とに基づいて前記表示部に経路案内情報を表示することによって経路案内を行う経路案内手段と、報知部と、省電力制御手段と、を備えて構成されるナビゲーション装置であって、前記省電力制御手段は、前記現在位置検出部によって検出された現在位置が前記案内経路上の案内ポイントに到達したと前記経路案内手段が判定した場合に前記視覚センサに対する電力供給を開始させ、さらに、前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていると判定された場合に、前記表示部に対する電力供給を開始し、前記経路案内手段は表示部に前記経路案内情報を表示することを特徴とする。
【0009】
また、上記ナビゲーション装置の発明の一態様は、前記経路案内手段によって前記現在位置が前記案内経路上の案内ポイントに到達したと判定された場合に、前記報知部が報知を行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記ナビゲーション装置の発明の一態様は、前記経路案内手段によって前記現在位置が前記案内経路上の案内ポイントから所定距離範囲内に近づいたと判定された場合に前記報知手段が報知を行うことを特徴とする。
【0011】
また、上記ナビゲーション装置の発明の一態様は、前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていると判定された場合に、前記省電力制御手段が前記視覚センサに対する電力供給を停止することを特徴とする。
【0012】
また、上記ナビゲーション装置の発明の一態様は、前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていないと判定された場合に、前記省電力制御手段は前記表示部に対する電力供給を行わず、前記報知手段によって経路案内の報知を行うことを特徴とする。
【0013】
また、上記ナビゲーション装置の発明の一態様は、前記報知部が振動によって報知を行うことを特徴とする。
【0014】
また、上記ナビゲーション装置の発明の一態様は、前記報知部が音声によって報知を行うことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の電子装置における省電力制御方法は、表示部と、視覚センサと、報知部と、省電力制御手段と、を備えて構成される電子装置における省電力制御方法であって、前記報知部が報知を行った後に前記省電力制御手段が前記視覚センサに対する電力供給を開始し、前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていると判定された場合に前記省電力制御手段が前記表示部に電力供給を開始することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の電子装置における省電力制御方法の一態様は、前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていると判定された場合に前記省電力制御手段が前記視覚センサに対する電力供給を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記構成により、本発明は下記に説明する優れた効果を発揮する。すなわち、本発明のナビゲーション装置によれば、現在位置が案内経路上の案内ポイントに到達した際に視覚センサに対する電力供給が行われるようになるので、ユーザが表示部の方を向いているか(表示部を見ているか)判断できるようになり、ユーザが表示部の方を向いている場合に表示部に経路案内情報が表示されるようになる。これにより、ユーザが経路案内ポイントに到達するまでの期間は、表示部と視覚センサの両方に対して電力供給を行わなくて済み、ナビゲーション装置における電力消費量を低減することが可能となる。加えて、ユーザが表示部を見たときにのみ表示部に対して電力供給が行われるので、本当に必要なときだけ電力供給を行い、不必要な電力消費を抑制することが可能となる。
【0018】
さらに、このナビゲーション装置を車両に設置した場合には、上記のように電力消費量を抑えることができるだけでなく、案内ポイントに到達したときのみ視覚センサが動作し、ユーザが表示部を見たときだけ表示部が表示されるので、不必要に表示部に表示が行われなくなり、運転するユーザの気を散らすことを防止することができ、安全運転に寄与することが可能となる。
【0019】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、現在位置が案内ポイントに到達した際に報知が行われ、ユーザに対して表示部を見るように促すことが可能となる。これにより、ナビゲーション装置に注意を払うべき案内ポイントにいるときにだけユーザに注意を喚起することが可能となり、それゆえに、案内ポイント以外の場所を移動している際にはユーザをナビゲーション装置から解放する。従って、ナビゲーション装置が携帯型の場合にはユーザは装置をポケットや鞄等の中にしまっておくことが可能となり、案内ポイントにおいては報知が行われるので、ナビゲーション装置を取出して適切な案内を受けることが可能となる。
【0020】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、現在位置が案内経路上の案内ポイントから所定距離範囲内に近づいた際に報知が行われ、ユーザに対して表示部を見るように促すことが可能となる。次いで、案内ポイントに到着した際に視覚センサに対する電力供給が行われ、ユーザが表示部を見ているか否かを判断できるようになる。これにより、ユーザに対して表示部を見るように前もって促すとともに、報知部において報知を行った時点から案内ポイントに到達するまでの必要のない時間における視覚センサ部に対する電源供給を控えることができる。
【0021】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、視覚センサによってユーザの顔が表示部の方を向いていると判定された場合に、視覚センサに対する電力供給が停止される。これにより、表示部に対しては電力供給が行われて必要な経路案内情報が表示される一方で、それ以上必要のない視覚センサに対する電力供給を停止でき、不要な電力消費量を低減させることが可能となる。
【0022】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、視覚センサによってユーザが表示部の方を向いていないと判定された場合に表示部に対して電力供給を行わない。これにより、不必要な電力供給を行わず、他の報知手段によって経路案内を行うことが可能となる。
【0023】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、振動によって報知が行われるので、このナビゲーション装置がポケットの中に入っていた場合でも表示部を見るようにユーザに促すことができる。
【0024】
本発明のナビゲーション装置の一態様によれば、音声によって報知が行われるので、このナビゲーション装置がポケットや鞄の中に入っている場合でも表示部を見るようにユーザに促すことができる。
【0025】
本発明の電子装置における省電力制御方法の発明によれば、ユーザに対して報知を行った後に視覚センサに対して電力供給が行われる。これにより、視覚センサに対する電力供給を常時行わず、必要なときにのみ行うことができ、電力消費量を低減できる。さらに、視覚センサによってユーザが表示部を見ていると判断された場合にのみ表示部に対して電力供給が行われるようになるので、ユーザが表示部を見ていない不必要時の電力消費を低減することができる。
【0026】
本発明の電子装置における省電力制御方法の一態様によれば、視覚センサによってユーザの顔が表示部の方を向いていると判定された場合に、視覚センサに対する電力供給が停止される。これにより、表示部に対しては電力供給が行われて必要な経路案内情報が表示される一方で、それ以上必要のない視覚センサに対する電力供給を停止でき、不要な電力消費量を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施例の携帯用ナビゲーション装置の内部ブロック図である。
【図2】本実施例の携帯用ナビゲーション装置における省電力制御の動作の一例を示したフローチャートである。
【図3】本実施例の携帯用ナビゲーション装置における省電力制御の動作の他の一例を示したフローチャートである。
【図4】表示部と視覚センサ部にどの時点で電源が供給されるかを示した動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願発明を実施するための最良の形態を実施例として図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための携帯用ナビゲーション装置を例示して説明するものであって、本発明をこの携帯用ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなくその他のナビゲーション装置及び電子装置における省電力制御方法にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0029】
本実施例の携帯用ナビゲーション装置を、図1を参照して説明する。なお、図1は本実施例の携帯用ナビゲーション装置の内部ブロック図である。携帯用ナビゲーション装置10は、制御部110、現在位置検出部120、地図情報記憶部130、操作部140、表示部150、視覚センサ部160、報知部170、電源供給部180を備えて構成される。
【0030】
制御部110は、CPU、ROM、RAM(それぞれ図示せず)を備えて構成され、ROMやRAMに記憶された制御プログラムをCPUにおいて実行することにより、携帯用ナビゲーション装置10全体及び下記の各機能の動作を制御・統括する。すなわち、制御部110は、経路探索機能111、経路案内機能112、省電力制御機能113、表示制御機能114として機能する。
【0031】
経路探索機能111は、操作部140を操作してユーザにより出発地と目的地が設定されると、地図情報記憶部130に記憶された地図データを参照してダイクストラ法等の手法によって出発地から目的地に到達する経路を探索し、道路データを構成するリンクのリンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を最適経路データとして生成する。出発地は現在位置検出部120によって検出された現在位置であってもよい。
【0032】
経路案内機能112は、経路探索機能111によって探索された最適経路の最適経路データと現在位置検出部120によって特定された現在位置の情報に基づいて、現在位置からどのように進むべきかをユーザに対して案内する。この案内は、経路案内画像の表示指示を表示制御機能114に対して表示部150に表示されている地図上に案内経路、及び現在位置を重ね合わせて表示させるとともに、右左折及び直進等の指示を示す経路案内画像を表示部150に表示させること、及び音声案内メッセージを音声出力部172から音声出力させることによって行う。また、後述するが、経路案内機能112は案内ポイント、或いは現在位置が案内ポイントから所定距離内に到達した場合に、ユーザに表示部150を見るように促す目的で報知部170に第1の報知を行うように指示を出力する。加えて、案内ポイントにおいてユーザが表示部150を見なかった場合に、第2の報知を行うように指示を報知部170に出力する。
【0033】
省電力制御機能113は、電源供給部180からの電源供給を、表示部150や視覚センサ部160に対して必要時に行い、不要時には停止させる制御を行うことにより、省電力制御を行うものである。表示部150や視覚センサ部160に対していつ電源供給を行い、いつ停止させるかについては、後で詳細に説明する。
【0034】
表示制御機能114は、表示部150に表示するための画像を生成するとともに表示制御する。表示制御機能114は、例えば、現在位置検出部120によって検出された現在位置周辺の地図情報を地図情報記憶部130から取得して地図画像を作成し、これに現在位置表示画像を重ね合わせて表示部150に表示する。また、表示制御機能114は、経路案内機能112からの指示に基づいて、経路案内画像を生成して表示部150上の地図画像に重ね合わせて表示する。経路案内画像は、例えば、右左折の指示画像等である。
【0035】
現在位置検出部120は、GPS受信手段、自律航法手段(それぞれ図示せず)を備えて構成される。GPS受信手段は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波(衛星信号)を受信し、それに基づいて位置情報(GPS測位位置)を所定時間間隔毎に算出する。自律航法手段は、携帯用ナビゲーション装置10に内蔵された加速度センサや角速度センサからの加速度や角速度の出力値に基づいてGPS受信手段によって検出された現在位置を補完する。
【0036】
地図情報記憶部130は地図データを記憶保持している。地図データはメッシュ単位に分けた状態で記憶され、さらに、道路データ、建物データ、背景データ、テキストデータから構成される。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、交差点情報や交差点名称、ユーザに対して右左折や直進等の案内を行うべき案内ポイントの情報、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。
【0037】
建物データは、建物の少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。また背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標(緯度・経度)のデータを含んで構成される。
【0038】
操作部140は、タッチパッド等によって構成された位置入力装置であり、表示部150の表面上に形成される。表示部150は、本実施例では液晶パネルであり、表示制御機能112によって生成される地図画像や経路案内画像、ソフトウェアキーの表示を行う。表示部150と操作部140はタッチパネル或いはタッチスクリーンを構成する。
【0039】
視覚センサ部160は、撮像部を含む。撮像部はカメラであってもよい。撮像部は画面を見るユーザの顔を被写体として捉えることのできる位置に設置される。例えば、携帯用ナビゲーション装置10を構成する筐体において、表示部150が設けられるのと同じ面上に配置される。撮像部は、視覚センサ部160が車両に設置される場合は、ドライバーの顔を被写体として捉えられる位置に配置される。視覚センサ部160は、撮像部において捉えた画像を処理する画像処理部(図示せず)とユーザの顔が表示部150を向いているか否かを判定する判定部(図示せず)をも含む。
【0040】
報知部170は、経路案内機能112による指示に基づいてユーザが表示部150を見ていない場合にユーザに表示部150を見るように促したり、経路案内機能112による経路案内指示に基づいて経路案内情報をユーザに通知したりする。報知部170は、バイブレータ171、音声出力部172を備える。
【0041】
電源供給部180は、内蔵バッテリ或いは外部電源からの電源供給を行う。これには、供給する電力を一定に維持する等の電圧制御が含まれる。また電源供給部180は、省電力制御機能113によって選択された電源供給先へ電力の供給を行ったり、電力の供給を停止したりする。
【0042】
次に、図2〜4を参照して、携帯用ナビゲーション装置10における省電力制御方法について説明する。なお、図2及び図3は、本実施例の携帯用ナビゲーション装置における省電力制御の動作を示したフローチャートである。また、図4は、表示部150と視覚センサ部160にどの時点で電源が供給されるかを示した動作図である。
【0043】
図2において、ユーザが操作部140を操作することによって出発地と目的地が設定されると、経路探索機能111は地図情報記憶部130に記憶された地図データを参照して最適経路を探索し、経路案内機能112が経路案内を開始する。経路案内が開始されると、ステップS201において、省電力制御機能113は、電源供給部180から表示部150及び視覚センサ部160に対する電源供給を停止させる。表示部150及び視覚センサ部160に対する電源供給の停止は、経路案内の開始と同時であってもよいし、経路案内の開始から所定時間が経過した時点であってもよいし、視覚センサ部160によってユーザが表示部150を見ていないと判定した時点からであってもよい。
【0044】
ステップS202において、現在位置検出部120はGPS衛星からの受信信号、及び自律航法手段の出力値に基づいて現在位置を特定する。
【0045】
ステップS203において、経路案内機能112は経路案内が終了したか否かを判定する。これは、ステップS202において検出された現在位置がユーザによって設定された目的地に到達した場合、或いはユーザによって携帯用ナビゲーション装置10の電源を強制的に切断された場合に経路案内が終了したと判断する。現在位置が目的地に到達した場合は、経路案内機能112は目的地に到達したことを音声出力部172から音声メッセージとして出力し、処理を終了する。ステップS203において経路案内が終了していないと判定された場合、ステップS204に進む。
【0046】
ステップS204の処理において、経路案内機能112は、ステップS202において検出された現在位置が予め定められた案内ポイントであるか否かを判定する。現在位置が案内ポイントではないと判定された場合、ステップS202の処理に戻る。現在位置が案内ポイントであると判定された場合、ステップS205に進む。
【0047】
ステップS205において、経路案内機能112は報知部170に対して第1の報知を行うように指示を出力する。第1の報知の出力先は例えばバイブレータ171であり、第1の報知はバイブレータ171を振動させることにより行われる。バイブレータ171は所定の時間、連続して振動させても良いし、所定のリズムで周期的に振動させるようにしても良い。また、第1の報知は音声出力部172から所定の音声メッセージ、例えば「案内ポイントです。画面をご覧ください」といった音声メッセージを出力させることによって行われるようにしてもよい。また、第1の報知はバイブレータ171と音声出力部172の両方を用いて行われるようにしてもよい。これらの第1の報知によってユーザに対して表示部150を見るように促すことができる。
【0048】
次いで、ステップS206において、省電力制御機能113は電源供給部180を制御して視覚センサ部160に対する電源供給を開始する。これにより視覚センサ部160の撮像部に電源が供給され、映像を連続して、或いは所定間隔で捉えることができる。
【0049】
ステップS207において、視覚センサ部160は、ユーザの顔が表示部150を見たか否かを判定する。これは、撮像部で捉えた映像を画像処理部において画像処理し、対象物の面積、重心、長さ、位置等の特徴量を算出し、判定部によってユーザの顔が表示部150を向いているか否かを判定することによって行われる。なお、画像処理部による画像解析処理の詳細については従来技術に開示された技術であるためここでの説明は省略する。
【0050】
ユーザの顔が表示部150を向いていると判定された場合、ステップS208に進む。
【0051】
ステップS208において、省電力制御機能113は、表示部150に対する電源供給を開始すると同時に視覚センサ部160に対する電源供給を停止させる。
【0052】
続くステップS209において、経路案内機能112は案内ポイントにおける経路案内を行う。この経路案内は、表示制御機能114が表示部150に現在位置周辺の地図画像を表示するとともに、経路案内機能112からの右左折及び直進等の表示指示に基づいて右左折及び直進の表示画像を表示部150に表示されている地図画像上に合成表示させることによって行う。また、経路案内は、音声出力部172から音声メッセージによって行うようにしてもよい。
【0053】
ステップS210において、省電力制御機能113は電源供給部180から表示部150に対する電源供給を停止させ、ステップS202の処理に戻る。
【0054】
ステップS207において、視覚センサ部160がユーザの顔が表示部150を見ていないと判定すると、ステップS211に進み、経路案内機能112は報知部170に対して第2の報知を行うように指示を出力する。この第2の報知は表示部150を用いずに行われる経路案内である。第2の報知の出力先は、例えばバイブレータ171であり、この第2の報知はバイブレータ171を所定のリズム又は回数で周期的に振動させるようにしても良い。具体的には、右折の場合には同一の間隔で3回振動するようにし、左折の場合にはさらに間隔を空けて4回振動するようにしてもよい。
【0055】
また、第2の報知は音声出力部172から所定の音声メッセージ、例えば「右折してください」といった音声メッセージを出力させることによって行われるようにしてもよい。さらに、第2の報知はバイブレータ171と音声出力部172の両方を用いて行われるようにしてもよい。これらの第2の報知により、表示部150に対して電源供給部180からの電源供給を行うことなくユーザに対する経路案内を行うことが可能となる。
【0056】
ステップS211において第2の報知が行われると、ステップS212に進み、省電力制御機能113が電源供給部180から視覚センサ部160に対する電源供給を停止し、ステップS202に戻る。なお、視覚センサ部160に対する電源供給は、ステップS211の第2の報知と同時、或いは第2の報知に先立って行われるようにしてもよい。
【0057】
次に、携帯用ナビゲーション装置10における省電力制御の別の一例を、図3を参照して説明する。図2の省電力制御においては現在位置が案内ポイントであると判定された場合に第1の報知を行い、視覚センサ部160に対する電源供給が開始されたが、図3の省電力制御において現在位置が案内ポイントから所定距離範囲内に到達したと判定された場合に第1の報知を行い、次いで、現在位置が案内ポイントであると判定された場合に視覚センサ部160に対する電源供給が開始される点で相違している。
【0058】
その他の点では図2と図3の省電力制御の方法はほぼ同一であるが、経路案内が開始されると、ステップS301において、省電力制御機能113は、電源供給部180から表示部150及び視覚センサ部160に対する電源供給を停止させる。
【0059】
ステップS302において、現在位置検出部120はGPS衛星からの受信信号、及び自律航法手段の出力値に基づいて現在位置を特定する。
【0060】
ステップS303において、経路案内機能112は経路案内が終了したか否かを判定する。これは、ステップS302において検出された現在位置がユーザによって設定された目的地に到達した場合、或いはユーザによって携帯用ナビゲーション装置10の電源を強制的に切断された場合に経路案内が終了したと判断し、処理を終了する。ステップS302において経路案内が終了していないと判定された場合、ステップS304に進む。
【0061】
ステップS304の処理において、経路案内機能112はステップS302において検出された現在位置が予め定められた案内ポイントから所定距離範囲内に到達したか否かを判定する。現在位置が案内ポイントから所定距離範囲内に到達していないと判定された場合、ステップS302の処理に戻る。現在位置が案内ポイントから所定距離範囲内に到達したと判定された場合、ステップS305に進む。
【0062】
ステップS305において、経路案内機能112は報知部170に対して第1の報知を行うように指示を出力する。この第1の報知の出力先は、図2の場合と同様にバイブレータ171又は/及び音声出力部172である。この第1の報知によってユーザに対して表示部150を見るように促すことができる。
【0063】
ステップS306において、経路案内機能112は、現在位置検出部120によって検出された現在位置が案内ポイントであるか否かを判定し、現在位置が案内ポイントに到達したと判定されると、続くステップS307に進み、省電力制御機能113は電源供給部180を制御して視覚センサ部160に対する電源供給を開始する。
【0064】
ステップS308において、視覚センサ部160は、ユーザの顔が表示部150を見たか否かを判定する。ユーザの顔が表示部150を向いていると判定された場合、ステップS309に進む。
【0065】
ステップS309において、省電力制御機能113は、表示部150に対する電源供給を開始すると同時に視覚センサ部160に対する電源供給を停止させる。
【0066】
ステップS310において、経路案内機能112は案内ポイントにおける経路案内を行う。この経路案内は、図2の場合と同様に、表示制御機能114が表示部150に現在位置周辺の地図画像を表示するとともに、経路案内機能112からの右左折及び直進等の表示指示に基づいて右左折及び直進の表示画像を表示部150に表示されている地図画像上に合成表示させたり、及び、音声出力部172から音声メッセージを出力させたりして行われる。
【0067】
ステップS311において、省電力制御機能113は電源供給部180から表示部150に対する電源供給を停止させ、ステップS302の処理に戻る。
【0068】
ステップS308において、視覚センサ部160がユーザの顔が表示部150を見ていないと判定すると、ステップS312に進み、経路案内機能112は報知部170に対して第2の報知を行うように指示を出力する。この第2の報知の出力先は、図2の場合と同様に、バイブレータ171又は/及び音声出力部172である。この第2の報知によって表示部150に対して電源供給を行うことなくユーザに対して経路案内を行うことが可能となる。
【0069】
ステップS312において第2の報知が行われると、ステップS313に進み、省電力制御機能113が電源供給部180から視覚センサ部160に対する電源供給を停止し、ステップS302に戻る。なお、視覚センサ部160に対する電源供給は、ステップS312の第2の報知と同時、或いは第2の報知に先立って行われるようにしてもよい。
【0070】
図4を参照すると、表示部150と視覚センサ部160にどの時点で電源が供給されるかを理解することができる。現在位置検出部120によって検出される現在位置が所定の案内ポイントに到達した場合に、省電力制御機能113は電源供給部180を制御して視覚センサ部160に対する電源供給を開始し、ユーザが表示部150を見たか否かの判定の待機を行う。
【0071】
視覚センサ部160によってユーザが表示部150を見たと判定されると、省電力制御機能113は電源供給部180を制御して視覚センサ部160に対する電源供給を停止するとともに電源供給部180から表示部150に対する電源供給を開始する。
【0072】
次いで、経路案内機能112が表示部150及び報知部170を用いた経路案内を行った後、省電力制御機能113は電源供給部180を制御して表示部150に対する電源供給を停止する。
【0073】
以上説明したように、本携帯用ナビゲーション装置10によれば、案内経路上の案内ポイントに到達した際に視覚センサ部160に対する電源供給が開始される。これにより、ユーザが経路案内ポイントに到達するまでの期間は表示部150と視覚センサ部160の両方に対して電源供給を行わなくて済むようになり、携帯用ナビゲーション装置10における電力消費量を低減させることが可能となる。
【0074】
加えて、視覚センサ部160に対する電源供給が開始された後、ユーザが表示部150を見て初めて表示部150に対する電源供給が開始されると同時に、視覚センサ部160に対する電源供給を停止する。これにより、ユーザが表示部150を見るまでの期間は表示部150に対する電源供給を行わなくて済むと同時に、ユーザが表示部150を見た後には視覚センサ部160に対する電源供給を行わなくて済むので、携帯用ナビゲーション装置10における電力消費量をさらに低減させることが可能となる。
【0075】
なお、上記には、地図情報記憶部130と経路探索機能111を内蔵した携帯型の携帯用ナビゲーション装置10について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、地図情報と経路探索機能は本装置とは別個のサーバに記憶しておき、本装置において出発地と目的地を指定して経路探索要求をサーバに対して行い、サーバにおいて地図情報を参照して経路探索を行い、探索結果を本装置に送信するように構成してもよい。
【0076】
また、上記にはユーザが参照するために持ち歩くことが可能な携帯用ナビゲーション装置10について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、車両に固定して設置される車載用のナビゲーション装置に適用することも可能である。その場合、視覚センサ部160はドライバーの顔を捉えることができるように設置され、ドライバーが表示部150を見た場合に表示部150に電源供給が開始されるようにすればよい。車載用ナビゲーション装置として使用した場合、本発明は、消費電力を低減できるだけでなく、不必要な表示を行わなくて済むから、安全運転に貢献することも可能となる。
【符号の説明】
【0077】
10 携帯用ナビゲーション装置
110 制御部
111 経路探索機能
112 経路案内機能
113 省電力制御機能
114 表示制御機能
120 現在位置検出部
130 地図情報記憶部
140 操作部
150 表示部
160 視覚センサ部
170 報知部
171 バイブレータ
172 音声出力部
180 電源供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、視覚センサと、現在位置検出部と、指定された出発地から目的地に至る案内経路と前記現在位置検出部によって検出された現在位置とに基づいて前記表示部に経路案内情報を表示することによって経路案内を行う経路案内手段と、報知部と、省電力制御手段と、を備えて構成されるナビゲーション装置であって、
前記省電力制御手段は、前記現在位置検出部によって検出された現在位置が前記案内経路上の案内ポイントに到達したと前記経路案内手段が判定した場合に前記視覚センサに対する電力供給を開始させ、さらに、前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていると判定された場合に、前記表示部に対する電力供給を開始し、前記経路案内手段は表示部に前記経路案内情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路案内手段によって前記現在位置が前記案内経路上の案内ポイントに到達したと判定された場合に、前記報知部が報知を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路案内手段によって前記現在位置が前記案内経路上の案内ポイントから所定距離範囲内に近づいたと判定された場合に前記報知手段が報知を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていると判定された場合に、前記省電力制御手段が前記視覚センサに対する電力供給を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていないと判定された場合に、前記省電力制御手段は前記表示部に対する電力供給を行わず、前記報知手段によって経路案内の報知を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記報知部が振動によって報知を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記報知部が音声によって報知を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
表示部と、視覚センサと、報知部と、省電力制御手段と、を備えて構成される電子装置における省電力制御方法であって、
前記報知部が報知を行った後に前記省電力制御手段が前記視覚センサに対する電力供給を開始し、前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていると判定された場合に前記省電力制御手段が前記表示部に電力供給を開始することを特徴とする省電力制御方法。
【請求項9】
前記視覚センサによってユーザの顔が前記表示部の方を向いていると判定された場合に前記省電力制御手段が前記視覚センサに対する電力供給を停止することを特徴とする請求項8に記載の省電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−47631(P2013−47631A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185826(P2011−185826)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】