説明

ナビゲーション装置向け広告配信システム

【課題】カーナビゲーション装置を用いた広告システムにおいて、ユーザーに通信費の負担をかけずに、常に、最新の商業施設の情報を得ることができるようにする。また、広告主にとって広告効果の高い広告システムを提供する。
【解決手段】地図情報にリンクさせた広告情報を地上デジタル放送によりカーナビゲーション装置に配信、記録する。そして、ユーザーがその広告を参照したときには、履歴として記録される。ユーザーがその広告に係る店舗の商品の購入、サービスの提供を受けたときに、DSRCの無線端末により商業施設側に、その広告参照履歴が送られる。そして、決済をするカード会社に転送され、放送事業者は、その広告参照履歴により計算された広告の効果に見合った対価を受け取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置向け広告配信システムに係り、特に、DSRC(Dedicated Short Range Communication)無線端末を有する車両のカーナビゲーション装置に広告を配信し、ユーザに便利さを提供すると共に、放送事業者にもビジネスの機会を広げるナビゲーション装置向け広告配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DSRC(Dedicated Short Range Communication、領域通信)は、電波によってごく近距離の通信をおこなう技術であり、主に自動車での利用を想定している。DSRCによる通信では、路側機(路側に設置された無線装置)と車載機(車両に設置された無線装置)との間で通信をおこなうものである。
【0003】
DSRCは、もともとは高速道路の自動料金支払いシステム(ETC:Electronic Toll Collection System)の通信技術として開発されたという経緯がある。このETCは、有料道路の通行料の決済をおこなうものであり、料金所における渋滞の解消、キャッシュレスによるドライバの利便性の向上、人件費等の管理費の削減などの効果を狙っている。
【0004】
さらに、DSRCについて、現在では、ETCに限らず車と周囲の施設とが連携したサービスを実現するための技術として応用が期待されている。例としては、駐車場での利用状態の把握や、物流における配送トラックの管理、ガソリンスタンドやファーストフードのドライブスルーでの自動料金支払いなどが考えられている。このような商業施設でも、料金決済や情報提供サービスがおこなわれ、DSRCを利用する商業施設の数が増加することが期待されている。
【0005】
以下の特許文献1には、DSRCを利用した道路標識システムが開示されている。また、以下の特許文献2には、ETCの一形態として、車載装置によって設定されたメールアドレスに、インターネットにより課金内容を通知するシステムが開示されている。
【0006】
一方、カーナビゲーション装置は、ドライバに地図情報と自車の位置情報を表示し、運転をサポートするための装置であり、自動車のIT化の進展に伴い広く用いられるようになってきている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−5318号公報
【特許文献2】特開2004−38726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記カーナビゲーション装置において、ユーザーが商業施設情報(住所、連絡先、サービス内容など)を検索するには、従来技術においては、例えば、以下の手段が用いられる。
【0009】
(N1)DVDディスク等の読み取り専用記憶装置から通信を行わずに検索する場合
(N2)情報センターにある地図データベースから地図情報を定期的に通信手段を用いてダウンロードし、記憶装置に記憶させ検索する場合
(N3)情報センターから商業施設情報の結果を通信手段を用いて直接取得する場合
ユーザーが商業施設情報を検索したいときに、商業施設情報の検索結果のみを、地図データベースを有する情報センターから通信手段を用いて取得する。
【0010】
また、一方で、ユーザーが商業施設情報を知るには、従来のテレビ放送またはラジオ放送を用いる方法も考えられる。それらの方法では、視聴者または聴取者に広告情報を伝達するには、以下の手段が用いられる。
【0011】
(B1)チャンネル毎に所定の時刻に映像・音声を放送することで広告情報をリアルタムに伝達する。
【0012】
(B2)配信された映像・音声・文字等の情報を、記憶装置に記憶しておき、広告情報を任意の時刻に伝達する。
【0013】
ところで、将来、DSRCが利用できる商業施設は増加し、商業施設が提供するサービス内容は逐次変化することが予想される。そのため、上記の従来技術によるカーナビゲーション装置による(N1)〜(N3)の検索手段は、それぞれ以下のような課題がある。
【0014】
(Na)地図データベースの更新間隔が年1〜2回程度と長いため、DSRCを利用したサービス提供を始めて間もない商業施設について、ユーザーは検索することができない。また、その商業施設を経営する事業者にとって、ユーザーが地図を更新するまで、新規の顧客を獲得する機会が失われることになる。
【0015】
(Nb)地図更新情報を通信で取得するため、(N1)に比べて、リアルタイムで情報が取得できるが、ユーザーは高い通信料を負担する必要がある。
【0016】
(Nc)(N2)に比べて、通信料は少ないが検索時間が長くなる。また、情報センターが稼動しないシステムメンテナンスやシステムダウンの際、ユーザーは商業施設情報を検索できない。
【0017】
さらに、上記(B1)および(B2)に示す従来技術による放送を利用した広告情報伝達手段は、それぞれ以下のような課題がある。
【0018】
(Ba)映像・音声の情報を時系列に配信する手段であるため、時間的な制約が大きい広告媒体である。このため、時間当たりの広告料は高くなり、広告を出せるのは大規模で資金に余裕がある商業施設の事業者に限られる。
【0019】
(Bb)記憶媒体に記録した場合、視聴者または聴取者は、広告が記録されている部分を飛ばしたり、消去することができるため、広告主(スポンサー)の立場から見ると広告の効果が低下することになる。
【0020】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、カーナビゲーション装置を用いた広告システムにおいて、ユーザーに通信費の負担をかけずに、常に、最新の商業施設の情報を得ることができ、しかも、広告主にとって広告効果の高い広告システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明では、地図情報にリンクさせた広告情報を地上デジタル放送によりカーナビゲーション装置等に配信、記録する。そして、その効果は、広告参照履歴として、カーナビゲーション装置内でカウントされ、DSRCの無線端末を介して、決済をするカード会社に送られる。放送事業者は、その広告の効果に見合った対価を受け取る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カーナビゲーション装置を用いた広告システムにおいて、ユーザーに通信費の負担をかけずに、常に、最新の商業施設の情報を得ることができ、しかも、広告主にとって広告効果の高い広告システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図7を用いて説明する。
【0024】
〔広告システムの概要〕
先ず、図1を用いて本発明の一実施形態に係る広告システムの概要を説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態の広告システムの概要を説明する図である。
【0025】
本発明で広告の対象とするユーザーは、例えば、カーナビゲーション装置とDSRC端末を備えた自動車のドライバである。
【0026】
この例では、広告の依頼主が○○駐車場のオーナーであり、ユーザーがその駐車場を利用する場合について説明する。
【0027】
先ず、広告の依頼主から放送局に対して、○○駐車場の広告放送の依頼がされているものとする。放送局は、図1に示されるように、広告の契約のスケジュールに基づいて○○駐車場の広告を放送する。
【0028】
自動車のドライバが、カーナビゲーション装置を見て、○○駐車場の情報を取得したとする。例えば、カーナビゲーション装置の○○駐車場のアイコンをクリックして、料金情報や車庫の空き情報を見たとする。このように広告を利用したことは、カーナビゲーション装置に付属した履歴情報記録部に保存される。そして、ドライバが広告を参照した○○駐車場に一定の時間内(例えば、二時間とする)に入り、利用したとする。そのときに、DSRC端末により課金されるが、広告を利用した情報は、センターのサーバに集計されて、広告利用の効果が評価される。そして、放送局には、その効果に見合った広告利用の対価が支払われる。
【0029】
このようにユーザーにとっては、リアルタイムの店舗情報などが利用できるメリットがあり、広告の依頼主には、広告の効果に見合った対価を支払い、合理的な経営に資することができる。放送局にとっても、このカーナビゲーション装置を利用した放送広告が増えてくれば、広告収入の増加を見込むことができる。
【0030】
〔広告システムのハードウェア構成〕
次に、図2を用いて本発明の一実施形態に係る広告システムのハードウェア構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る広告システムのハードウェア構成図である。
【0031】
本発明の一実施形態に係る広告システムは、放送局30、カード会社50、コンテンツプロバイダ20、通信会社70、店舗(広告依頼主)10、および、車両40の各サイトよりなる。
【0032】
放送局30のサイトは、管理サーバ30aと放送装置30bを有する。管理サーバ30aは、CPU、主記憶、ネットワークIF、周辺装置IFを備えており、ネットワークIFにより、外部のネットワークと接続され、周辺装置IFには、HDDなどの周辺装置が接続されている。
【0033】
管理サーバ30aは、広告情報や決済情報、また、放送スケジュールなどを管理している。
【0034】
カード会社60のサイトは、管理サーバ60aを有する。管理サーバ30aは、CPU、主記憶、ネットワークIF、周辺装置IFを備えており、ネットワークIFにより、外部のネットワークと接続され、周辺装置IFには、HDDなどの周辺装置が接続されている。
【0035】
管理サーバ60aは、決済情報、ユーザの与信情報、カードの発行履歴などを管理している。
【0036】
コンテンツプロバイダ20のサイトは、管理サーバ20aとWWWサーバ20bを有する。管理サーバ30aとWWWサーバ20bは、共に、CPU、主記憶、ネットワークIF、周辺装置IFを備えており、ネットワークIFにより、外部のネットワークと接続され、周辺装置IFには、HDDなどの周辺装置が接続されている。
【0037】
管理サーバ20aは、決済情報、広告情報、広告依頼主の情報などを管理している。
【0038】
Webサーバ20bは、HTML文書や画像などの情報を蓄積しておき、Webブラウザなどのクライアントソフトウェアの要求に応じて、インターネットなどのネットワークを介して、これらの情報を送信する役割を果たすサーバである。
【0039】
通信会社70は、いわゆるインターネットサービスプロバイダであり、このサイトは、通信管理サーバ70aを有する。通信管理サーバ70aは、CPU、主記憶、ネットワークIF、周辺装置IFを備えており、ネットワークIFにより、外部のネットワークと接続され、周辺装置IFには、HDDなどの周辺装置が接続されている。
【0040】
通信管理サーバ70aは、各サイトからの接続、ユーザ情報、ネットワークの通信トラフィックなどを管理しており、各サイトからの接続要求を受け付けて、インターネットと接続する。
【0041】
店舗10のサイトは、管理サーバ10aとDSRC端末10bを有する。管理サーバ10aは、CPU、主記憶、ネットワークIF、周辺装置IFを備えており、ネットワークIFにより、外部のネットワークとDSRC端末に接続され、周辺装置IFには、HDDなどの周辺装置が接続されている。
【0042】
DSRC端末10bは、CPU、主記憶、ネットワークIF、無線送受信IFを備えており、ネットワークIFにより、管理サーバ10aと接続され、無線送受信IFにより、車載側のDSRC端末と無線により接続される。
【0043】
車両40のサイトは、車載コンピュータ50a、カーナビゲーション装置50b、DSRC端末50cを有する。
【0044】
車載コンピュータ50aは、CPU、主記憶、ネットワークIF、周辺装置IFを備えており、ネットワークIFにより、車内のカーナビゲーション装置50bとDSRC端末50cに接続され、周辺装置IFには、HDDなどの周辺装置が接続されている。
【0045】
車載コンピュータ50aは、カーナビゲーション装置50b、DSRC端末50cを管理しており、必要な情報を受け取り、周辺装置に格納する。
【0046】
カーナビゲーション装置50bは、CPU、主記憶、GPS、表示部入力部、周辺装置IF、ネットワークIF、無線送受信IF、放送受信部を備えており、ネットワークIFにより、車載コンピュータ50aとDSRC端末50cに接続されている。また、無線送受信IFにより、通信会社の通信管理サーバ70aと無線により接続される。GPSは、衛星などと通信し、走行位置を確認するシステムである。周辺装置IFには、例えば、DVD−ROMドライブが接続される。DVD−ROMドライブは、地図データを格納するDVD−ROMからデータを読み込む装置である。また、入力部は、タッチパネルやボタンなどのこのカーナビゲーション装置を操作するための入力をする部分である。
【0047】
本実施形態のカーナビゲーション装置50bは、通常のカーナビゲーション機能の外に、放送受信部により放送局からの放送を受け取って、広告を表示部に表示する機能を有する。
【0048】
DSRC端末50cは、CPU、主記憶、ネットワークIF、無線送受信IFを備えており、ネットワークIFにより、車載コンピュータ50aと接続され、無線送受信IFにより、店舗側のDSRC端末と無線により接続され、必要な情報が店舗側のDSRC端末に送られる。
【0049】
〔広告システムの動作の詳細〕
次に、図3ないし図7を用いて本発明の一実施形態に係る広告システムで用いられるデータ構造について説明する。
図3は、広告基本情報リストの一例を示す図である。
図4は、広告情報リストの一例を示す図である。
図5は、広告配信条件情報リストの一例を示すである。
図6は、放送局検索テーブルの一例を示す図である。
図7は、広告配信タイムテーブルの一例を示す図である。
【0050】
広告基本情報リストは、コンテンツプロバイダ20サイトで、広告主から提供される広告のための広告の基本情報をリスト状にして格納したものであり、図3に示されるように、顧客ID、店舗の名称、店舗のジャンル、営業時間、住所(所在地)、連絡先、広告したい内容、配信期間、配信時間帯または配信回数、配信曜日、配信エリア、広告手数料、URLなどの項目からなる。
【0051】
ここで、広告手数料は、例えば、「ユーザーが店舗10の広告やWebを閲覧して購入した総額の1.00%」などと規定された広告の評価に見合った手数料である。
【0052】
URLは、この店舗の広告用のURL(Uniform Resource Locator)であり、カーナビゲーション装置上のアイコンや特定のメニューを選択したときに、表示するためのインターネット上のアドレスである。
【0053】
図4に示される広告情報リストは、広告基本情報リストを、車両50のサイトのカーナビゲーション装置50bにより閲覧できるXMLなどのフォーマットに変換したものである。
【0054】
図5に示される広告配信条件情報リストは、放送局30で、広告情報リストに格納されている情報を配信するタイムスケジュールを作成するための情報を格納する。また、カード会社60が立て替え払いをするときの広告料の計算のために用いられる
広告配信条件情報リストは、顧客ID、配信期間、配信時間帯または配信回数、配信曜日、配信エリア、広告手数料、URLなどの項目からなる。
【0055】
図6に示される放送局検索テーブルは、放送局の情報を検索するためのテーブルであり、エリア、放送局名、種別、URLの項目よりなる。
【0056】
図7に示される広告配信タイムテーブルは、広告配信のスケジュールを管理するためのテーブルであり、配信する曜日、時刻の欄に、顧客IDを書き込んだものである。
【0057】
〔広告システムの動作の詳細〕
次に、図8ないし図10を用いて本発明の一実施形態に係る広告システムで用いられる動作の詳細について順を追って説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る広告システムの機能ブロック図である。
図9は、本発明の一実施形態に係る広告システムのカーナビゲーション装置の表示画面の例を示す図である。
図10は、本発明の一実施形態に係る広告システムの金銭の流れを説明する図である。
(I)店舗10(広告依頼主)で作成した広告情報を、コンテンツプロバイダ20に登録又は更新するまで
店舗10を経営する事業者が広告を出したいときには、コンテンツプロバイダ20は、店舗10を経営する事業者(=広告依頼主)と広告配信に関する契約を結ぶ。コンテンツプロバイダ20の広告依頼情報管理部202は、その広告依頼主に対して、顧客IDを発行し、送受信部201と送受信部105を介して、広告情報作成部101に通知する。
【0058】
そして、店舗10側の広告情報作成部101は、通知された顧客IDを記憶する。
【0059】
次に、広告情報作成部101を用いて、店舗10に関する広告基本情報を作成する。広告基本情報とは、この店舗10の広告に関する基本情報であり、例えば、店舗の名称、店舗のジャンル、営業時間、住所(所在地)、連絡先、広告したい内容、配信期間、配信時間帯または配信回数、配信曜日、配信エリア、広告手数料である。
【0060】
次に、店舗10側の送受信部105は、通信会社が管理する通信部601、送受信部201を介して、作成した広告基本情報に自分の顧客IDを付加して、コンテンツプロバイダ20の広告依頼情報管理部202へ送信する。
【0061】
広告依頼情報管理部202は、広告依頼情報管理部202自身が発行した顧客IDに照らして、その広告基本情報に付加された顧客IDの正当性をチェックし、広告依頼情報記憶部203に送信する。広告依頼情報記憶部203は、送信されてきた広告基本情報を、図3に示された広告基本情報リストに、新規の場合には登録し、同一の顧客IDのエントリがあるときには、それを更新する。この広告基本情報リストは、管理サーバ20aに接続されたHDDに格納される。
【0062】
一方、店舗10を経営する事業者(=広告依頼主)は、店舗10の広告情報入力部101を用いて、店舗10に関する広告をユーザーに知らせるためのWebページを作成する。そして、作成したWebページを顧客IDと共に、通信部の送受信部703、通信部701を介して、コンテンツプロバイダ20の広告依頼情報管理部202を送信する。
【0063】
これら各部の処理は、店舗10の管理サーバ10aのCPUが主記憶上にロードされたプログラムを実行することによりおこなわれる。
【0064】
コンテンツプロバイダ20の広告依頼情報管理部202では、顧客IDを照合したのち、そのWebページをWWWサーバ204に登録又は更新する。そして、広告依頼情報管理部202は、図3に示された広告基本情報リストの該当するエントリに、WebページのURLを広告依頼情報記憶部203に追加するか書き換えさせる。
【0065】
これら各部の処理は、コンテンツプロバイダ20の管理サーバ20aのCPUが主記憶上にロードされたプログラムを実行することによりおこなわれる。
(II)コンテンツプロバイダ20に登録した広告情報が放送局30に登録又は更新されるまで
コンテンツプロバイダ20の広告情報記憶部203は、図3に示した広告基本情報リストを登録又は更新がある度に、広告情報編集部205へ転送する。
【0066】
広告情報編集部205は、広告基本情報リストに基づき、図4に示した広告情報リストと、図5に示した広告配信条件情報リストを編集する。広告配信条件情報リストは、コンテンツプロバイダ20の管理サーバ20aに接続それたHDDに格納されている。
【0067】
また、広告情報編集部205は、広告情報リストに、住所から割り出した座標値(緯度経度情報)を追加する。これは、次に説明するPOIデータベース211で利用できるようにするためである。
【0068】
また、コンテンツプロバイダ20のPOI(Point of Interests:関心地点)データベース211は、格納されている店舗10のPOIデータと、広告情報リストを照合し、登録又は更新されたデータをアップロードする。
【0069】
次に、コンテンツプロバイダ20の送信仕分け部206は、広告配信条件情報リストの「配信エリア」を検索キーとして、図6に示される放送局検索テーブルを用いて、広告情報リストと広告配信条件情報リストの送信先となる放送局のURLを検索する。
【0070】
そして、送信仕分け部206は、広告情報リストの情報と広告配信条件情報リストの情報に検索で抽出した放送局30のURLを付加する。
【0071】
次に、コンテンツプロバイダ20の送受信部201は、通信会社の通信部701、放送局30の送受信部305を介して、広告情報リストの内容と広告配信条件情報リストの内容を放送局30の広告情報管理部302へ送信する。
【0072】
これら各部の処理は、コンテンツプロバイダ20の管理サーバ20aのCPUが主記憶上にロードされたプログラムを実行することによりおこなわれる。
【0073】
そして、放送局の広告情報管理部302は、顧客データベース(図示せず)の中の顧客IDを照会する。
【0074】
顧客IDが無い場合には、広告情報データベース(以下、広告情報DB)301は、送信されてきた広告情報リストの内容と広告配信条件情報の内容を新規で登録する。
【0075】
顧客IDがある場合には、広告情報DB301は、送信されてきた広告情報リストの内容と広告配信条件情報の内容を上書きして記録する。
【0076】
これら各部の処理は、放送局30の管理サーバ30aのCPUが主記憶上にロードされたプログラムを実行することによりおこなわれる。
(III)広告に関する条件が、カード会社60に登録又は更新されるまで
コンテンツプロバイダ20は、カード会社60に対して、広告配信条件情報リストの内容を送信する。カード会社60の決済情報記憶部603は、送受信部602を介して、広告配信条件情報リストの内容を受け取り、顧客IDが無い場合には、新しいエントリを作成して、同様の広告配信条件情報リストを作成し、顧客IDがある場合には、顧客IDの広告配信条件情報リストのエントリを更新する。
【0077】
これら各部の処理は、カード会社60の管理サーバ60aのCPUが主記憶上にロードされたプログラムを実行することによりおこなわれる。
(IV)放送局30で受信した広告情報をデジタル放送で送信するまで
先ず、放送局30の配信スケジュール作成部303は、図7に示した広告配信タイムテーブルを作成する。広告配信タイムテーブルは、所定期間内の広告スケジュールを設定するために作られ、最初に作られたときには、なにも設定されていないが、スケジュールが決まると対応する曜日、時刻欄に顧客IDを埋めていく。広告配信タイムテーブルは、放送局30の管理サーバ30aに接続されたHDDに格納されている。
【0078】
次に、配信スケジュール作成部303は、広告情報管理部302を介して、広告情報DB301から格納された広告配信条件情報リストの内容を取得し、広告配信条件情報リストの内容に基づいて、広告配信タイムテーブルを作成する。その後、配信スケジュール作成部303は、作成された広告配信タイムテーブルを、配信スケジュール管理部304に引き渡す。
【0079】
次に、配信スケジュール管理部304は、所定の時間になると、作成された広告配信タイムテーブルに従って、顧客IDを広告情報管理部302に通知する。
【0080】
広告情報管理部302は、配信スケジュール管理部304から取得した顧客IDに基づき、広告情報DB301から、広告情報リストの内容を呼び出して、送信部305に送信する。
【0081】
これら各部の処理は、放送局30の管理サーバ30aのCPUが主記憶上にロードされたプログラムを実行することによりおこなわれる。
【0082】
送信部305は、広告情報リストの内容を符号化して、それを広告情報として地上デジタル放送を用いて配信する。送信部305は、放送装置30bの機能である。
(V)車両40において、デジタル放送で受信した広告情報をカーナビゲーション装置に記録するまで
車両40の 受信部407は、地上デジタル放送波を用いて配信される広告情報を受信し、復号化したのち、カーナビゲーション装置401に送信する。
【0083】
カーナビゲーション装置401は、広告情報と、POI(Point of Interests:関心地点)情報記憶部413で記憶しているPOI情報の住所を照合する。
【0084】
照合の結果、広告情報が、既に記憶してある施設の広告に関するものであれば、カーナビゲーション装置401は、POI情報から広告を参照できるようにリンク付けする。そして、広告情報記憶部408は、その広告情報を記憶する。
【0085】
照合の結果、広告情報に該当するPOI情報がなければ、ナビゲーション装置401は、その広告情報に基づいて新規にPOI情報を作成する。そして、POI情報記憶部413は、そのPOI情報を記憶する。その後、ナビゲーション装置401は、POI情報から広告を参照できるようにリンク付けする。そして、広告情報記憶部408は、その広告情報を記憶する。広告情報は、車載コンピュータ40aに接続されたHDDに記憶される。
(VI)車両40において、カーナビゲーションに記録した広告情報をユーザーが閲覧するまで
ユーザー50は、表示部402および操作部403を介して、商業施設の検索をおこなう。カーナビゲーション装置401は、ユーザーが指定した検索条件に基づいて、地図情報記憶部404および広告情報記憶部408から検索し、検索条件に適合した商業施設のリストを表示部402に出力する。
(VII)車両40において、コンテンツプロバイダ20に登録された広告情報をユーザー50が閲覧するまで
ユーザー50は、表示部402に表示された商業施設のリストから、操作部403を介して興味のある店舗10の項目を選択する。
【0086】
カーナビゲーション装置401は、表示部402に、店舗10の詳細情報画面を表示する。広告情報記憶部408に店舗10の広告情報が格納されている場合には、その詳細情報画面内に店舗10のHPのリンクを表示する。
【0087】
ユーザー50が、広告情報記憶部408に記憶されている店舗10を選択した場合、カーナビゲーション装置401は、広告参照履歴記憶部411に、店舗10のその詳細情報を閲覧した日時を記録する。この広告参照履歴は、車載コンピュータに接続されたHDDに格納される。
【0088】
さらにユーザー50が、その詳細情報画面内のHPのリンクを選択した場合、カーナビゲーション装置401は、送受信部406、通信部701、送受信部201を介して、HP閲覧認証部207にアクセスする。HPの閲覧は、カーナビゲーション装置401の無線送受信IFを介して、インターネットによりアクセスすることによりおこなわれる。
【0089】
例えば、図9に示される例では、ユーザー50は、カーナビゲーション装置401で走行している付近の駐車場を捜して、図9(a)の画面からOO駐車場に駐車しようとしてOO駐車場の位置をタッチパネルでアクセスしたとする。その結果、図9(b)に示されるようにOO駐車場のHPが表示される。
【0090】
認証完了後、カーナビゲーション装置401は、WWWサーバ204にアクセスし、ユーザー50は、店舗10のHPを閲覧する。このとき、カーナビゲーション装置401は、閲覧履歴情報を広告参照履歴記憶部411に記録する。閲覧履歴情報として記録されるものには、例えば、ユーザー50がその店舗10のHPを閲覧した日時、HPを閲覧するのに要した通信時間または情報量(パケットの送受信量)などがある。
(VIII)ユーザー50が店舗10の所有または提携する駐車場に車両40を入庫してから出庫するまで
ユーザー50は、表示部402および操作部403を介して、店舗10を目的地に設定する。そして、ユーザー50は、カーナビゲーション装置401が案内するルートを運転したのち、店舗10が所有または提携する駐車場に車両40を入庫する。
【0091】
店舗10において、ユーザー50は、商品やサービスを購入し、決済情報管理部103を介して、クレジットカード412で決済をする。このとき、決済情報管理部103は、カード会社60に対して通信部を介して信用照会をおこない、照会した内容に問題がなければ決済手続きをおこない、決済情報記憶部106は、ユーザー50の購入履歴を記録する。購入履歴は、管理サーバ30aに接続されたHDDに格納される。
【0092】
これら各部の処理は、店舗10の管理サーバ10aのCPUが主記憶上にロードされたプログラムを実行することによりおこなわれる。
【0093】
ユーザー50は、クレジットカード412をDSRC端末50aのカード読み取り口に装着したのち、車両40を出庫する。このとき、店舗10側の広告参照履歴照会部104は、送受信部(DSRC)102、送受信部(DSRC)409、決済情報管理部410を介して、広告参照履歴記憶部411から閲覧履歴情報を照会する。閲覧履歴情報は、車載コンピュータ40bからDSRC端末40cに送られる。
【0094】
店舗10のHPを参照した履歴がある場合は、広告参照履歴照会部104は、決済情報管理部103に対して、クレジットカード412の管理番号と閲覧履歴情報を通知する。
【0095】
決済情報管理部103は、ユーザー50の購入履歴と閲覧履歴情報をリンク付けして、決済情報記憶部106に記録すると共に、カード会社60に対して通信部を介して、クレジットカード412の管理番号と閲覧履歴情報を送信する。
【0096】
なお、ユーザー50に対してクレジットカード412をDSRC端末50aに読み取らせて、閲覧履歴情報を送信したことの得点として、カード会社60は、ポイントサービス、割引サービス、景品などのプレゼントサービスなどをおこなうことにより、ユーザー50に対して閲覧履歴情報を送信することのモチベーションを高めることができる。
(IV)料金決済が完了するまで
カード会社60において、店舗10から送信されたクレジットカード412の管理番号、ユーザー50の購入履歴、閲覧履歴情報を送受信部602で受信し、決済情報管理部601を介して、決済情報記憶部603に記録する。
【0097】
決済情報管理部601は、決済情報記憶部603に記録された決済情報を定期的に集計をおこない、例えば、図10に示されるように、以下のような内訳で代金又は手数料を算出する。
【0098】
(1)商品又はサービスの代金…ユーザー50が店舗10に対して支払う。
【0099】
(2)広告料…店舗10が放送局30に対して支払う。
【0100】
(3)HP登録料…店舗10がコンテンツプロバイダ20に対して支払う。
【0101】
(4)コンテンツ利用料…ユーザー50がコンテンツプロバイダ20に対して支払う。
【0102】
(5)通信料…店舗10が通信会社70に対して支払う。閲覧履歴情報に応じて額を決定する。
【0103】
(6)決済手数料…店舗10がカード会社60に対して支払う。
【0104】
(7)商品又はサービスの代金((1)から(2)、(3)、(6)を差し引いた額)…カード会社60が店舗10に対して支払う。
【0105】
そして、カード会社60において、決済情報管理部601は、図10に示されるように、各決済情報管理部(103、209、307、702)に対して、以下のように立替払いをおこなう。
【0106】
a.店舗10の決済情報管理部103に対して、(7)商品又はサービスの代金の立替払いをおこなう。
【0107】
b.コンテンツプロバイダ20の決済情報管理部209に対して、(3)HP登録料と、(4)コンテンツ利用料の立替払いをおこなう。
【0108】
c.放送局30の決済情報管理部310に対して、(2)広告料の立替払いをおこなう。
【0109】
この広告料は、ユーザー50が店舗10の詳細情報を閲覧した回数と、送信されてきた広告配信条件情報のリストの内容の広告手数料の項目に応じて額を決定する。
【0110】
d.通信会社70の決済情報管理部702に対して、(5)通信料の立替払いをおこなう。
【0111】
そして、ユーザー50が、カード会社60に対して、(1)と(4)の支払いをおこない、全ての決済が完了する。
【0112】
これら各部の処理は、カード会社60の管理サーバ60aのCPUが主記憶上にロードされたプログラムを実行することによりおこなわれる。
【0113】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が期待することができる。
【0114】
インターネットITS協議会で提案する「ユーザーの通信費の負担」を軽減するためのビジネスモデルは、ユーザーが自動車関連の費用をクレジットカードで支払うことを想定しているが、本実施形態によれば、自動車関連だけでなく、非自動車関連の商品又はサービスを購入することによって、より多くの事業主から通信費を回収することができるため、「ユーザーの通信費の負担」をより軽減できる。このことによって、通信機能付きカーナビゲーションシステムの普及を促進し、さらに、「プローブ・カー・システム」と呼ばれる新しい情報インフラの整備を推進する効果が期待できる。(なお、「プローブ・カー・システム」とは、現在実施化が検討されているシステムであり、自動車をセンサとして、交通情報、気象情報、路面情報などの様々な情報を収集するシステムである。)
また、広域的に情報を配信することに適した放送手段(地上デジタル放送)と、より詳しく知りたい情報を検索することに適した通信手段(インターネット)を補完的に利用することによって、DSRCを利用したサービス提供を始めて間もない商業施設を経営する事業者に対して、新規の顧客を獲得する機会を提供することができる。さらに、DSRCを利用したサービスを提供する施設の普及を促進する効果が期待できる。
【0115】
さらに、放送事業者は、より多くの事業者から広告費を回収することができるため、アナログ放送からデジタル放送へ移行するのに伴って生じる、放送インフラの設備投資負担を軽減することができる。また、地上デジタル放送と、「プローブ・カー・システム」を連動することによって、正確な降雨情報や凍結又はスリップ情報、事故多発の危険箇所などを、リアルタイムかつ広範囲にドライバーに通知でき、交通事故の発生件数の減少が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る一実施形態の広告システムの概要を説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る広告システムのハードウェア構成図である。
【図3】広告基本情報リストの一例を示す図である。
【図4】広告情報リストの一例を示す図である。
【図5】広告配信条件情報リストの一例を示すである。
【図6】放送局検索テーブルの一例を示す図である。
【図7】広告配信タイムテーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る広告システムの機能ブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る広告システムのカーナビゲーション装置の表示画面の例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る広告システムの金銭の流れを説明する図である。
【符号の説明】
【0117】
10…店舗(広告依頼主)
20…コンテンツプロバイダ
30…放送局
40…車両
50…ユーザー
60…カード会社
70…通信会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DSRC(Dedicated Short Range Communication)端末とカーナビゲーション装置とを備えた車両に乗るユーザーに対して広告をおこなうナビゲーション装置向け広告配信システムにおいて、
広告依頼主の管理サーバは、広告に関する情報とその広告の参照に見合った広告手数料情報とをコンテンツプロバイダの管理サーバーに送信し、
前記コンテンツプロバイダは、前記広告依頼主の紹介するコンテンツを作成し、前記広告に関する情報とその広告の参照に見合った広告手数料情報を、放送局に転送し、かつ、前記広告の参照に見合った広告手数料情報を、カード会社に転送し、
前記放送局の放送装置は、広告依頼主の前記広告を放送し、
前記カーナビゲーション装置の表示部は、放送された広告を表示し、
前記カーナビゲーション装置は、その広告依頼主に関する情報を参照されたときには、前記広告依頼主の紹介するコンテンツを表示して、ユーザーの広告参照履歴を記録し、
前記DSRC端末は、前記広告参照履歴を他のDSRC端末に送信し、
カード会社の管理サーバーは、他のDSRC端末からネットワークを介して送信されてくる前記広告参照履歴と該当する広告依頼主の前記広告手数料情報に基づき、該当する広告依頼主に対する前記放送会社への広告料を計算することを特徴とするナビゲーション装置向け広告配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−242976(P2008−242976A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84796(P2007−84796)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】