説明

ナビゲーション装置

【課題】 操作が煩わしく走行中は交通安全上好ましくないレベルの表示を禁止する。
【解決手段】 VICS情報のレベル1,2,3を受信するFM受信機1と、表示部26と、FM受信機1より受信したVICS情報の表示を制御する制御回路21とを有するナビゲーション装置に於いて、サイドブレーキが掛けられたか否かを検出して制御回路21に出力するブレーキ端子27を備え、制御回路21はサイドブレーキが掛けられたときは前記レベル1,2の表示を許容し、サイドブレーキが掛けられていないときは前記レベル1,2の表示を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、VICS情報を表示可能なナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】1996年4月23日より車両に搭載されるナビゲーション装置に対して、渋滞情報を送信するVICS(Vehicle Information andCommunication System)サービスが始まった。このサービスは(財)道路交通情報通信システムが提供するものであり、FM多重放送、電波ビーコンと光ビーコンの3つの通信手段によって送信される。このサービスはレベル1(文字表示),レベル2(簡易図形表示),レベル3(地図表示)の3つのレベルの情報が提供される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、レベル3では表示中の道路地図に関するVICS情報が自動的に検索されるが、レベル1やレベル2では使用者が渋滞、規制などの内容種別や高速道路、国道などの道路種別や地域を指定して所望する番組を選択しないと道路交通情報を表示させることができなかった(特開2000−113382号公報参照)。従って、走行中にレベル1,2を表示させることは交通安全上好ましいものではなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のナビゲーション装置はかかる点に鑑みなされたもので、VICS情報のレベル1,2,3を受信する受信手段と、表示部と、前記受信手段より受信したVICS情報の前記表示手段への表示を制御する制御手段とを有するナビゲーション装置に於いて、サイドブレーキが掛けられたか否かを検出して前記制御手段に出力するブレーキ検出手段を備え、前記制御手段はサイドブレーキが掛けられたときは前記レベル1,2の表示を許容し、サイドブレーキが掛けられていないときは前記レベル1,2の表示を禁止する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。本実施の形態のナビゲーション装置はVICS情報を表示するものである。
【0006】VICSとはナビゲーション装置に渋滞情報を送信するサービスであり、車両に搭載されているナビゲーション装置に対して許可される。このサービスは使用料に応じて、レベル1(文字表示、図2参照),レベル2(簡易図形表示、図3参照),レベル3(地図表示、図4参照)の3つのレベルの情報が提供される。レベル1では表示される文字データが送信される。レベル2では表示される簡易図形データが送信される。レベル3では地図データそのものは送信されず、ナビゲーション装置が装備する地図データベースが使われる。予め、主要道路を区分し番号が付けられ、各区分ごとに渋滞状況が送信される。この渋滞情報を地図上にどう表示するかは、ナビゲーション装置に任される。
【0007】レベル1やレベル2では使用者が渋滞、規制などの内容種別や高速道路、国道などの道路種別や地域を指定して所望する番組を選択しないと道路交通情報を表示させることができない。これに対し、レベル3では表示中の道路地図に関するVICS情報が自動的に検索される。
【0008】このサービス情報はFM多重放送、電波ビーコンと光ビーコンの3つの通信手段によって行われる。いずれの通信手段も上述の3つのレベルの情報を提供する。FM多重放送はVICSセンターが借りたNHK(日本放送協会)の施設より放送され、電波ビーコンは建設省が主導して高速道路に設置され、光ビーコンは警察庁が主導して高速道路以外の一般道路に設置される。FM多重放送でVICS情報を表示するにはFM受信機が必要であり、電波ビーコンでVICS情報を表示するには電波ビーコン受信機が必要であり、光ビーコンでVICS情報を表示するには光ビーコン受信機が必要である。本実施の形態はFM多重放送でVICS情報を表示するものであり、FM受信機を有する。
【0009】図1は実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。この装置はFM受信機(FMチューナ)(1)と現在位置表示機(2)、及び電源となる充電式乾電池(3)、シガーライター用アダプタ(4)あるいは商用電源用アダプタ(5)のいずれかからなる。
【0010】FM受信機(1)に於いて、FMフロントエンド(11)はアンテナ(12)から受信した信号を増幅して高周波信号とし、この高周波信号とPLL回路(13)からの発振信号を混合して中間周波数信号を出力する。FM−IF検波器(14)はFMフロントエンド(11)から出力される中間周波数信号に対してFM検波を行う。
【0011】多重信号検出回路(15)は多重用フィルタ(図示せず)とデータ復調回路(図示せず)とからなる。多重用フィルタはFM−IF検波器(14)の出力信号から音声信号と雑音成分を取り除き、76kHzに多重されているLMSK(Level controlled Minimum Shift Keying)信号を抽出する。LMSKとはステレオ音声信号の大きさに応じて多重信号の大きさをコントロールする変調方式である。データ復調回路はLMSK信号を表示可能なデータ信号に復調してFM受信機(1)の制御回路(16)に送出する。FM受信機(1)の制御回路(16)はPLL回路(13)に設定すべき周波数の指示を行う。
【0012】現在位置表示機(2)に於いて、制御回路(21)はROM(22)に書き込まれたプログラムに基づいて各部を制御する。RAM(23)は制御回路(21)の動作に必要な情報、例えば、表示されているVICS情報の更新時間やそのFM多重放送局の周波数を記憶する。GPS(Global Positioning System)測位手段(24)はGPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定し、測定データを現在位置表示機(2)の制御回路(21)に出力する。(25)は地図再生手段であり、地図情報が書き込まれたDVDより地図情報を読み取り制御回路(21)に出力する。表示部(26)は液晶であり、地図や現在位置、そして、VICS情報を制御回路(21)の制御に基づき表示する。入力部(27)は現在位置表示やVICSに係る種々の入力を行う。ブレーキ端子(28)はサイドブレーキのジャックが挿入され、そのジャックの挿入とサイドブレーキのON/OFF(OFFは走行中を示す)を検出して制御回路(16)に出力する。このON/OFFはサイドブレーキのジャックのラインが接地されなければONであり、接地されればOFFと判定される。
【0013】電源には車両のシガーライター端子(DC12V)から供給する方法と、家庭のコンセント等の商用電源(AC100V)から供給する方法と、ニッケル水銀の充電式乾電池(DC7.2V)から供給する方法の3種類あり、使用者は選択することができる。
【0014】シガーライター端子から供給する場合、車両のシガーライター端子に接続されたシガーライター用アダプタ(4)が現在位置表示機(2)の外部電源入力端子(29)に接続される。このとき、シガーライター用アダプタ(4)はシガーライター端子のDC12VをDC9Vに変圧する。商用電源から供給する場合、商用電源に接続された商用電源用アダプタ(5)が現在位置表示機(2)の外部電源入力端子(29)に接続される。このとき、商用電源用アダプタ(5)は商用電源AC100VをDC10.2Vに変圧する。充電式乾電池(3)から供給する場合、DC7.2Vの充電式乾電池(3)が現在位置表示機(2)の電池端子(30)に接続される。
【0015】変圧回路(31)は外部電源入力端子(29)からのDC9VあるいはDC10.5V、及び電池端子(30)からのDC7.2Vを所定の電圧に変圧して、現在位置表示機(2)とFM受信機(1)の各回路に電源供給する。また、変圧回路(31)は外部電源入力端子(29)に印加される電圧を検出して制御回路(21)に出力する。また、変圧回路(31)は、電池端子(30)に充電式乾電池(3)が接続された状態で外部電源入力端子(29)からDC9VあるいはDC10.5Vの電源が供給されると、その電源により充電式乾電池(3)を充電させる。
【0016】本実施の形態の動作を説明する。図5は現在位置表示機(2)の制御回路(21)の動作を示すフローチャートである。
【0017】制御回路(21)はナビゲーション装置に供給される電源が車両の電源か否かを、変圧回路(31)の電圧が9Vか否かでもって調べる(S1)。車両からの電源で無かった場合は(S1のN)、VICSの表示を禁止させる(S2)。これにより、ナビゲーション装置が家庭のAC100電源で使用されたときや、電池で歩行中に使用されたときにVICSの表示を禁止させることができる。
【0018】ステップS1で車両の電源が供給された場合、制御回路(21)はサイドブレーキのON/OFFを検出可能な状態であるか否かを、ブレーキ端子(28)のジャック挿入検出でもって調べる(S3)。サイドブレーキのON/OFFが検出できない場合も(S3のN)、ステップS2に進みVICS表示を禁止させる。
【0019】ステップS3でサイドブレーキのON/OFFが検出可能な状態であれば、サイドブレーキがONのときに(S4のY)、全てのレベルを表示可能にし(S5)、サイドブレーキがOFFのときに(S4のN)、自動的にレベルを3に固定して表示させる(S6)。このON/OFFはサイドブレーキのジャックが接地されなければONであり、接地されればOFFと判定される。
【0020】このように、安全の為に走行中は操作が煩わしいレベル1,2の表示を禁止する。
【0021】尚、ステップ1のYとステップS3のYで二重にVICS表示を禁止させており、いずれか一方を省いてもよい。
【0022】また、上述の実施の形態はFM多重放送によるVICS受信であったが、ビーコンによるVICS受信にも適応させることができる。
【0023】
【発明の効果】上述の如く、本発明は、サイドブレーキが掛けられたときはレベル1,2の表示を許容し、サイドブレーキが掛けられていないときはレベル1,2の表示を禁止する。このために、操作が煩わしく走行中は交通安全上好ましくないレベルの表示を禁止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の主要な構成を示すブロック図である。
【図2】VICSのレベル1の画面を示す図である。
【図3】VICSのレベル2の画面を示す図である。
【図4】VICSのレベル3の画面を示す図である。
【図5】本発明の主要な動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 FM受信機
13 PLL回路
15 多重信号検出回路
16 制御回路(FM受信機)
2 現在位置検出機
21 制御回路(現在位置検出機)
23 RAM
24 GPS測位手段
25 地図再生手段
26 表示部
27 入力部
28 ブレーキ端子
29 外部電源入力端子
30 電池端子
31 変圧回路
3 充電式乾電池
4 シガーライター用アダプタ
5 商用電源用アダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 VICS情報のレベル1,2,3を受信する受信手段と、表示部と、前記受信手段より受信したVICS情報の前記表示部への表示を制御する制御手段とを有するナビゲーション装置に於いて、サイドブレーキが掛けられたか否かを検出して前記制御手段に出力するブレーキ検出手段を備え、前記制御手段はサイドブレーキが掛けられたときは前記レベル1,2の表示を許容し、サイドブレーキが掛けられていないときは前記レベル1,2の表示を禁止することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2002−333327(P2002−333327A)
【公開日】平成14年11月22日(2002.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−137499(P2001−137499)
【出願日】平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】