説明

ナビゲーション装置

【課題】 現在地の情報をより現実の環境に適合した効果的な形態で表示できるナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】 ナビゲーション部2で検出された現在地情報に基づいて、現在地に関連する関連画情報を入力するカメラ4と、ナビゲーション部2で検出された現在地情報に基づいて、画情報以外の現在地周辺の環境情報を入力するセンサ5と、関連画情報および環境情報のうち少なくとも一方に基づいて表示用合成画像の画情報を生成するグラフィック演算部8とを設け、表示部9によって合成画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、特に車両などの現在地から目的地までの経路を求める一方でその現在地を逐次算出し、表示画面により視覚情報を提供しながら運転者を誘導するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車等の移動体用のナビゲーション装置は、従来、GPS(Global Positioning System)情報に基づく現在位置、あるいは、いわゆる自立的検出法で得られた現在位置等を基に、記録媒体ディスクや外部データベースに格納された現在位置に関連する地図情報を取得し、ディスプレイ上に表示させたり音声ガイダンスを付加したりするものであったが、近時においては、周辺情報や天候情報等といった付加情報を取得できるようにしたシステムの発達が著しい。
【0003】
例えば、車両の周辺あるいは目的地付近の天候に関連する情報を取得し、目的地付近の天候を予測した後、天候情報を示す文字やアイコンなどの形でその予測情報をディスプレイ上に表示できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、天候情報等の特定情報に対応して電話番号を含む通信情報を作成しておき、その通信情報を基に、ユーザーの指示操作に応じて、必要な天候情報等の特定情報を外部のデータベースから取得する通信機能を付加したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−175889号公報
【特許文献2】特開平08−145705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のナビゲーション装置では、現在位置に関して必要なナビゲーション情報とそれに付随する情報が得られるが、ユーザの視界に対して実風景とナビゲーション画面が一致し難く、目的物等を容易に認識できない場合も多い。
【0006】
例えば、天候による視界の悪化や、道路状況による視界の悪化に起因する場合は、そのような問題点が顕著になる。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決すべくなされたものであり、現在地の情報をより現実の環境に適合した効果的な形態で表示できるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、上記目的を達成するため、現在地情報を検出する位置検出手段と、地図情報を蓄積する地図情報蓄積手段と、前記位置検出手段で検出された現在地情報および前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報に基づいて現在地情報を含む地図を表示する表示手段とを備えたナビゲーション装置において、前記位置検出手段で検出された現在地情報に基づいて現在地に関連する関連画情報を入力する画情報入力手段と、前記位置検出手段で検出された現在地情報に基づいて画情報以外の現在地周辺の環境情報を入力する環境情報入力手段と、前記関連画情報および前記環境情報のうち少なくとも一方に基づいて表示用合成画像の画情報を生成する画像合成手段とを設け、前記表示手段によって前記合成画像を表示するように構成されている。
【0009】
この構成により、撮影画情報や他の環境情報が、地図情報に視覚的に反映されて表示されることとなる。
【0010】
本発明のナビゲーション装置は、また、前記画情報入力手段が、現在地周辺の風景に関連する画情報を取得し、前記画像合成手段が前記地図に重畳表示される風景画像を生成するものである。
【0011】
この構成により、前記地図に現在地周辺の風景画を重畳表示することができ、視覚的効果の高いリアルなナビゲーション画像が得られる。
【0012】
本発明のナビゲーション装置は、前記関連画情報に基づいて前記表示手段による表示画面の背景画像を生成する背景画像生成手段を設けたものであってもよい。
【0013】
この構成により、前記地図情報にその背景画像として現在地に関連する有効な関連情報が重畳表示されることになり、より効果的なナビゲーション画像が得られる。
【0014】
また、本発明のナビゲーション装置は、前記画像合成手段が、前記関連画情報に基づいて、前記表示手段による表示画面の全体に表示される合成画像を生成するものとすることもできる。
【0015】
この構成により、地図情報のみならず、現在地に関連する有効な関連情報が、画面全体に重畳表示されることとなる。
【0016】
さらに、本発明のナビゲーション装置は、前記関連画情報が撮影画像であるものが好ましい。
【0017】
撮影画像を地図情報に重畳合成することで、よりリアルなナビゲーション表示が可能となるからである。
【0018】
本発明のナビゲーション装置は、さらに、前記画情報入力手段が、前記関連画情報をナビゲーション補助情報として外部の情報蓄積手段から入力するものであってもよい。
【0019】
前記関連画情報を地図に重畳合成し易い形態で、しかも常に更新された最新情報として蓄積できることから、より効果的な関連画情報の表示が可能となる。
【0020】
本発明のナビゲーション装置は、また、前記関連画情報をナビゲーション補助情報として蓄積する補助画像蓄積手段を設けたものであってもよい。
【0021】
この構成により、前記関連画情報、例えば変動の少ない画情報を地図に重畳合成し易い形態で蓄積することで、より迅速で効果的な関連画情報の表示が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、現在地に関連する画情報や他の環境情報が、地図情報に視覚的に反映されて表示されるので、実風景とナビゲーション画面が一致し難い環境化でも、効果的なナビゲーション表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図であり、図2、図3はそれぞれその表示画面の一例を示す画面前方側から見た斜視図、図4はその関連画情報を用いた合成画像の生成及び表示手順を示すフローチャートである。
【0025】
図1において、1は車載用のナビゲーション装置で、このナビゲーション装置1は、ナビゲーション部2、データ蓄積部3、カメラ4、センサ5、判断部6、操作部7、グラフィック演算部8、表示部9および制御部10を含んで構成されている。これら各部2乃至10は、それぞれCPU、メモリおよびインターフェースを有するコンピュータで構成されてもよい。
【0026】
ナビゲーション部2は、GPS(Global Positioning System)情報あるいは公知の自立的検出法によって現在地の位置情報を検出する。このナビゲーション部2は、現在地の位置情報を所定時間毎に取得して、制御部10にその現在地情報を出力するようになっている。
【0027】
データ蓄積部3は、地図情報やそれに付随する画像情報を蓄積することができる光磁気ディスクその他のディジタル的な読み出し/書き込みが可能な記録媒体を有している。このデータ蓄積部3は、関連画情報をナビゲーション補助情報として蓄積する補助画像蓄積手段としての機能を併有している。
【0028】
カメラ4は、上空の画像撮影と、その撮影画像のディジタル画像データ形態での出力とが可能である。このカメラ4は、位置検出手段で検出された現在地情報に基づいて、現在地に関連する関連画情報を現在地周辺の風景に関連する画情報として入力する画情報入力手段となっており、その入力(取得)画像はデータ蓄積部3に蓄積される。
【0029】
なお、カメラ4に代えて、あるいはカメラ4に加え、現在地に関連する関連画情報を最新のナビゲーション補助情報として外部の情報蓄積手段から通信入力する手段を画情報入力手段として設けてもよい。この場合、入力画像としては、車載カメラによる撮影画像に限らず、外部の撮影手段、例えば飛行機に搭載したカメラでの映像、潜望鏡を通して観察される映像などであってもよいし、画情報を蓄積した外部リソースからの取得画情報でもよい。
【0030】
センサ5は、画像以外に得られる特定の環境情報、例えば明るさに関わる輝度・照度・色彩のほか、雨量・温度・湿度・気圧等のようなパラメータのうち少なくとも一つを検知し、または外部からセンサ情報として取得するようになっている。このセンサ5は、ナビゲーション部2で検出された現在地情報に基づいて、画情報以外の現在地周辺の環境情報を入力する環境情報入力手段となっている。
【0031】
判断部6は、カメラ4からのディジタル画像データとセンサ5からのセンサ情報(環境情報)とに基づいて、現在地に関連する関連画情報の有無の判断、並びに、カメラ撮影画像の輝度および色情報の解析に基づく天候状況判断を行い、更に、操作部7からの操作指令入力に応じて関連画情報の採否、すなわち関連情報を用いたナビゲーション表示の実行の可否を決定するようになっている。
【0032】
操作部7は、ユーザによって入力操作が行われる複数のボタン(図2および図3参照)として構成され、更に図示しないジョイスティックキー付のリモコンなどから構成されている。これら操作部7は、ユーザの判断を他の各部の動作に反映させるべく制御部10との間で信号の授受を行う。
【0033】
グラフィック演算部8は、制御部10からの画像出力信号に基づいて表示部9での画像表示のためのグラフィック演算処理、例えば現在地情報および地図データに基づく現在地周辺の地図表示、画面操作に対応する表示状態の変更、ルート探索やガイダンス表示のための画像処理などを実行する。
【0034】
表示部9は、公知のディスプレイ、例えば液晶表示パネル又はプラズマディスプレイパネル等で構成されている。
【0035】
制御部10は、操作部7への操作入力および判断部6での判断結果に応じて他の各部2乃至8の動作を制御することで、現在地および地図情報に基づくナビゲーション表示を実行させるようになっている。また、制御部10は、操作部7からの操作指令入力に応じて、ナビゲーション表示される地図上にカメラ4からの撮影画像その他の現在地に関連する情報を重畳表示させるための画像合成処理をグラフィック演算部8に実行させる。すなわち、グラフィック演算部8および制御部10は、前記関連画情報および環境情報のうち少なくとも一方に基づいて表示用合成画像の画情報を生成する画像合成手段を構成している。
【0036】
これらグラフィック演算部8および制御部10は、地図に重畳表示される関連画情報としてカメラ撮影に基づく風景画像を生成し、表示部9による表示画面の背景画像とする機能を併有している。また、制御部10は判断部6による天候状況判断の結果に基づいて、予め用意された複数の背景画像のうち、天候状況判断の結果に適合するいずれか一つの背景画像を選択する機能も有している。例えば、雨量を計測し、雨量が多くなるほど大雨となる背景画像を選択して表示するようにしてもよい。
【0037】
以上のように構成されたナビゲーション装置の動作について、図2を用いて説明する。
【0038】
同図において、ユーザによって撮影ボタン等の操作部の操作が行われると(ステップS1)、カメラ4で現在地の上空の画像を撮影した後(ステップS2)、画像の取り込みが行われる(ステップS3)。
【0039】
次いで、撮影画像をセンサ情報と判断部6により分別する(ステップS4、S5)。具体的には、輝度・照度・色彩・雨量・温度・湿度・気圧等のセンサ情報により画像以外に得られる外部環境のパラメータを取得した後(ステップS4)、ステップS3で取り込んだ画像とステップS4で取得したセンサ情報を基に、画像に対する特性として画像サイズ等を決定する(ステップS5)。そして、このようにして分別した表示画像データがデータ蓄積部3に蓄積される(ステップS6)。
【0040】
次に、表示モードと表示画像を選択する(ステップS7、S8)。まず、図2に示すように表示画像を地図情報の背景として表示するか、あるいは、図3に示すように地図情報全体に重畳表示させるかを選択する(ステップS7)。次いで、表示画像について撮影画像を用いるか、撮影画とセンサ情報から決定される実写以外の予備関連画情報を用いるかを選択する(ステップS8)。
【0041】
その後、表示処理として、現在の表示モードが関連画情報である選択画像を背景表示とするモードならば、地図情報の背景として選択画像を表示し、全体表示モードならば地図情報全体に選択画像を重畳表示する(ステップS9)。
【0042】
ステップS7でユーザが背景表示を選択した場合には、実写または予め用意された画像のどちらを選択しても、現在の地図表示エリアに対して、背景エリア部分に一致するように画像のリサイズが行われる。
【0043】
全体表示を選択した場合には、目的地等、ユーザが重畳表示を行いたくない部分として設定したものについては、重畳表示は実行されず、それ以外の地図情報に対して選択画像が重畳表示される。また、予め用意された画像の場合は、表示方法に則した予備的な画像加工を行うことで、処理負荷を軽減できる。実写の撮影画像を用いる場合は、まず地図情報に対して実写画像に透過処理を行い、次いで上記重畳表示を可能にする処理を実行する。
【0044】
このような本形態のナビゲーション装置によれば、現在地の上空を撮影するカメラ4等の撮影手段と、撮影画像とセンサ情報を用いて天候等の周辺状況を判断する判断部6と、判断に基づいて選択された画像を重畳表示することができるグラフィック演算部8を設けることにより、ナビゲーション画面を車外の天候状況などの環境条件に適合させ、かつ高いリアリティを与えることができ、目的とする地図情報をユーザが発見し易い優れたナビゲーション環境を提供することができる。
【0045】
なお、以上の説明では、ナビゲーション装置を車載用とした例について説明したが、本発明は、車載用に限らずその他の用途のナビゲーション装置についても同様に実施可能である。また、データ蓄積部3はスタンドアロン型の例で説明したが、通信型についても同様に実施可能である。さらに、撮影対象は天候情報を得るため現在地の上空とした例について説明したが、天候情報に限らずユーザが得たい情報に基づく現在地周辺を撮影対象とした場合についても同様に実施可能である。
【0046】
また、撮影画像以外の外部情報としてセンサ5を用いた例について説明したが、センサ以外の外部情報取得方法でも同様に実施可能であることはいうまでもない。
【0047】
上述のように、指示情報入力手段に撮影画情報の取得を指示する指示情報が入力されたときに合成画像の表示を実行することができるが、撮影画情報および環境情報に基づいて、撮影画情報に基づく画像合成処理の要否を判定するようにして、その判定結果に基づいて合成画像の表示を実行することもできる。
【0048】
また、ナビゲーション地図画面上に撮影された現在地周辺の風景画を重畳表示することで、視覚的効果の高いリアルなナビゲーション画像が得られ、背景画像や画面全体にわたる合成画像表示とすれば、より効果的なナビゲーション画像が得られる。
【0049】
本発明のナビゲーション装置は、さらにまた、前記関連画情報を地図に重畳合成し易い形態で、しかも常に更新された最新情報として蓄積できることから、より効果的な関連画情報の表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の表示画面の一例を示すその画面前方側から見た斜視図
【図3】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の表示画面の一例を示すその画面前方側から見た斜視図
【図4】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の関連画情報の取得手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーション装置
2 ナビゲーション部(位置検出手段)
3 データ蓄積部(地図情報蓄積手段、補助画像蓄積手段)
4 カメラ(画情報入力手段)
5 センサ(環境情報入力手段)
6 判断部
7 操作部
8 グラフィック演算部(画像合成手段)
9 表示部(表示手段)
10 制御部(画像合成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地情報を検出する位置検出手段と、地図情報を蓄積する地図情報蓄積手段と、前記位置検出手段で検出された現在地情報および前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報に基づいて現在地情報を含む地図を表示する表示手段とを備えたナビゲーション装置において、
前記位置検出手段で検出された現在地情報に基づいて、現在地に関連する関連画情報を入力する画情報入力手段と、
前記位置検出手段で検出された現在地情報に基づいて、画情報以外の現在地周辺の環境情報を入力する環境情報入力手段と、
前記関連画情報および前記環境情報のうち少なくとも一方に基づいて表示用合成画像の画情報を生成する画像合成手段とを設け、
前記表示手段によって前記合成画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記画情報入力手段が、現在地周辺の風景に関連する画情報を取得し、前記画像合成手段が前記地図に重畳表示される風景画像を生成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記関連画情報に基づいて前記表示手段による表示の背景画像を生成する背景画像生成手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記画像合成手段が、前記関連画情報に基づいて、前記表示手段による表示画面の全体に表示される合成画像を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記関連画情報が撮影画像であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記画情報入力手段が、前記関連画情報をナビゲーション補助情報として外部の情報蓄積手段から入力することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記関連画情報をナビゲーション補助情報として蓄積する補助画像蓄積手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−10338(P2006−10338A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183881(P2004−183881)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】