説明

ナビゲーション装置

【課題】 操作が煩雑にならずに位置に関連づけて履歴情報の検索を行うことができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】 ナビゲーション装置には、位置に関連づけた履歴情報としての軌跡データや施設検索結果データが記録された走行軌跡メモリ32、検索履歴メモリ44と、車両位置検出部5、車両位置計算部20等によって位置が特定されたときにこの特定された位置を基準とした所定範囲内に、関連づけられた位置が含まれる履歴情報の有無を検索するとともに、この検索によって肯定的な結果が得られたときに所定の通知を行う履歴検索部46とが備わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されてあるいはパーソナルコンピュータ等を用いて各種の走行案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の走行軌跡を記録しておいて、各種の表示条件を指定してこの記録された走行軌跡を表示させることができるナビゲーションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このナビゲーションシステムでは、走行軌跡の表示条件として、期間別、時間帯別、道路種別、走行目的別、エリア別、車速別、運転手別等を指定することができるため、利用者の希望に応じた走行軌跡を表示することが可能となる。
【特許文献1】特開2002−133575号公報(第3−8頁、図1−10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示されたナビゲーションシステムでは、表示させたい走行軌跡情報(履歴情報)の条件を利用者自身が指定する必要があるため、操作が煩雑であるとともに、車両の走行位置や利用者がカーソル等で指定した位置に関連づけた履歴情報の検索を行うことができないという問題があった。例えば、現在の走行位置周辺に走行軌跡が存在する場合にこの走行軌跡を検索してその内容を表示させようとしてもこのような検索に適した表示条件がないため、該当する走行軌跡を検索することはできない。上述した表示条件の中には「エリア」という項目があるため、ある程度走行位置周辺のエリアに含まれる走行軌跡を抽出して表示することはできるが、このエリアの設定範囲が広いと、走行位置から遠い走行軌跡も同時に抽出してしまい、抽出された複数の走行軌跡の中から利用者自身が取捨選択する必要が生じ、操作の煩雑さがさらに増すことになる。また、このエリアの設定範囲を狭くすると、表示条件に該当する走行軌跡がほとんどなくなってしまい、何度か指定エリアを変更して走行軌跡を抽出する必要が生じ、やはり煩雑さが増すことになる。また、目的地までの走行経路が決まっていてこの走行経路に接近している走行軌跡を抽出しようとした場合には、指定するエリアが複数になる場合もあり、該当する走行軌跡を抽出して表示することはさらに困難となる。さらに、現在の走行位置に関する知識(土地勘)がない場合にはエリアの指定自体が容易ではない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、操作が煩雑にならずに位置に関連づけて履歴情報の検索を行うことができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、位置に関連づけた履歴情報が記録された履歴記録手段と、位置が特定されたときに、この特定された位置を基準とした所定範囲内に、関連づけられた位置が含まれる履歴情報の有無を検索する履歴検索手段と、履歴検索手段によって肯定的な検索結果が得られたときに所定の通知を行う通知手段とを備えている。記録された履歴情報の中から、特定された位置を基準とした所定範囲内に含まれるものが検索されて所定の通知が行われるため、煩雑な操作を行わずに位置に関連づけた履歴情報の検索を行うことが可能になる。
【0006】
また、上述した通知手段による通知の後に、履歴情報の内容を表示する履歴情報表示手段をさらに備えることが望ましい。これにより、利用者は、位置に関連づけた履歴情報の内容を煩雑な操作を行うことなく知ることができる。
【0007】
また、上述した履歴情報の内容表示を指示する操作手段をさらに備え、履歴情報表示手段は、操作手段を用いた指示がなされた後に履歴情報の内容表示を行うことが望ましい。これにより、利用者は、位置に関連づけた履歴情報の内容を必要に応じて知ることができる。
【0008】
また、上述した履歴情報は、車両の過去の走行軌跡を特定する軌跡データであることが望ましい。これにより、土地勘がない場合などであっても、単に位置を特定するだけでその周辺に存在する走行軌跡を抽出することができる。
【0009】
また、車両の走行軌跡を検出して軌跡データとして履歴記録手段に記録する処理を行う走行軌跡記録処理手段をさらに備えることが望ましい。これにより、単に位置を特定するだけで、自車の過去の走行軌跡の中からその周囲に存在するものを抽出することができるため、利用者自身が忘れてしまったような過去の走行内容を思い出す手助けをすることができる。
【0010】
また、上述した履歴情報は、所定の条件を満たす施設を検索した結果得られた施設検索結果データであることが望ましい。これにより、利用者は、土地勘がない場合などであっても、単に位置を特定するだけでその周辺に存在する検索結果としての施設を抽出することができる。
【0011】
また、指定された条件を満たす施設を検索するとともに、検索結果を施設検索結果データとして履歴記録手段に記録する処理を行う施設検索手段をさらに備えること望ましい。これにより、単に位置を特定するだけで、条件を指定して過去に検索した結果得られた施設の中からその周囲に存在するものを抽出することができるため、利用者自身が忘れてしまった、あるいは土地勘がないためにその周辺に存在することがわからないような施設を思い出す手助けをすることができる。
【0012】
また、上述した履歴情報表示手段は、表示画面を分割して得られた分割領域に履歴情報の内容表示を行うことが望ましい。これにより、現在の表示内容を画面内に残した状態で履歴情報の内容を表示することが可能になる。
【0013】
また、上述した履歴情報表示手段は、表示中の地図画像に重ねて、履歴情報に関連づけられている位置に対応させた特定画像を表示することが望ましい。これにより、周辺に存在する履歴情報についての具体的な位置関係を明確にすることができる。
【0014】
また、上述した履歴検索手段による検索の基準となる位置は、車両の自車位置であることが望ましい。あるいは、上述した履歴検索手段による検索の基準となる位置は、表示中の地図画像をスクロールして特定された位置であることが望ましい。上述した履歴検索手段による検索の基準となる位置は、経路探索処理によって得られた走行経路に沿った位置であることが望ましい。これにより、車両の自車位置や利用者自身が指定した地図上の位置の周辺、あるいは、経路探索処理によって設定された走行経路の周辺についての履歴情報の有無を、特別な操作を行うことなく把握することができ、ドライブ計画を立てる際や、実際に車両を運転する際に記憶を引き出すきっかけとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態の車載用のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、ナビゲーションコントローラ1、DVD2、ディスク読取装置3、車両位置検出部5、ディスプレイ装置6、オーディオ部7を含んで構成されている。
【0017】
ナビゲーションコントローラ1は、ナビゲーション装置の全体動作を制御するものである。このナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することによりその機能が実現される。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0018】
DVD2は、地図表示、施設検索、経路探索などに必要な地図データが格納されている情報記録媒体である。このDVD2には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。
【0019】
ディスク読取装置3は、1枚あるいは複数枚のDVD2が装填可能であり、ナビゲーションコントローラ1の制御によっていずれかのDVD2から地図データの読み出しを行う。なお、装填されるディスクは必ずしもDVDでなくてもよく、CDでもよい。また、DVDとCDの双方を選択的に装填可能としてもよい。
【0020】
車両位置検出部5は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで車両位置(経度、緯度)の検出を行い、検出結果を出力する。
【0021】
ディスプレイ装置6は、ナビゲーションコントローラ1から出力される描画データに基づいて、車両位置周辺の地図画像や、周辺施設の検索結果などの各種画像を表示する。また、ディスプレイ装置6の表示画面にはタッチパネル61が備わっている。タッチパネル61は、ディスプレイ装置6の表示画面が利用者によって指し示されたときにその位置を検出するためのものであり、検出された位置をナビゲーションコントローラ1に出力する。なお、図1では、タッチパネル61とナビゲーションコントローラ1との間の接続配線は省略されている。オーディオ部7は、ナビゲーションコントローラ1から入力される音声信号に基づいて生成した案内音声等を車室内に出力する。
【0022】
次に、ナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。図1に示すナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、車両位置計算部20、経路探索処理部22、経路誘導メモリ24、誘導経路描画部26、音声案内部28、走行軌跡記録部30、走行軌跡メモリ32、走行軌跡描画部34、施設検索部40、施設情報描画部42、検索履歴メモリ44、履歴検索部46、入力処理部50、表示処理部60を含んで構成されている。
【0023】
地図バッファ10は、ディスク読取装置3によってDVD2から読み出された地図データを一時的に格納する。この地図データには、地図画像の描画に必要なデータの他に、指定された条件を満たす施設を検索したりその検索結果としての詳細な施設情報の表示に必要なデータも含まれている。地図読出制御部12は、車両位置計算部20により算出される車両位置や入力処理部50からの指示に応じて、所定範囲の地図データの読み出し要求をディスク読取装置3に出力する。地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。
【0024】
車両位置計算部20は、車両位置検出部5から出力される検出データに基づいて車両位置(自車位置)を計算するとともに、計算した車両位置が地図データの道路上にあるか否かを判定し、道路上にないと判定された場合には車両位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0025】
経路探索処理部22は、出発地と目的地(あるいは経由地)との間を所定の探索条件にしたがって結ぶ走行経路(誘導経路)を探索し、探索結果を誘導経路メモリ24に記録する。誘導経路描画部26は、経路探索処理部22による探索処理によって得られ誘導経路メモリ24に記録された誘導経路を地図上に重ねて表示するための誘導経路描画データを生成する。音声案内部28は、誘導経路メモリ24に記録された誘導経路に沿って車両を誘導するために必要な交差点案内等の音声信号を生成する。
【0026】
走行軌跡記録部30は、走行軌跡の記録が指示されると、車両位置計算部20によって計算された車両位置を所定間隔(一定の時間間隔あるいは距離間隔)で取得し、走行軌跡の記録開始位置、記録終了位置、記録日時等の付随データを含む軌跡データとして走行軌跡メモリ32に記録する。走行軌跡描画部34は、走行軌跡メモリ32に記録された軌跡データの内容が含まれる走行軌跡描画データを生成する。例えば、地図画像に重ねて表示する走行軌跡の画像が、付随データを示す文字とともに描画される。
【0027】
施設検索部40は、利用者によって指定される検索条件を満足する施設を検索する。施設情報描画部42は、施設検索部40によって検索された施設の詳細情報が含まれる施設情報描画データを生成する。また、施設検索部40による検索処理結果は、施設検索結果データとして検索履歴メモリ44に記録される。
【0028】
履歴検索部46は、現在の車両位置やタッチパネル61を用いて直接指定された位置を基準として所定の範囲内に含まれる履歴情報の有無を検索し、履歴情報が存在する場合にはその旨を利用者に通知する。この履歴情報には、検索履歴メモリ44に記録された施設検索結果データの他に、走行軌跡メモリ32に記録された軌跡データが含まれる。また、履歴検索部46は、経路探索処理部22による探索処理によって得られた誘導経路が誘導経路メモリ24に記録されている場合には、この誘導経路を基準として所定の範囲内に含まれる履歴情報の有無を検索する。なお、所定の範囲内とは、一定の距離以内の場合、一定の走行時間以内の場合、走行位置や誘導経路等が含まれる図葉に含まれる場合等が考えられるが、検索のし易さ等を考慮して適宜内容を決定すればよい。例えば、上記以外であれば、走行位置等から所定数のリンクで到達可能な範囲内でもよいし、走行位置が軌跡データによって特定される走行軌跡と交差あるいは重複した場合のみを検索するようにしてもよい。所定範囲内に履歴情報が含まれる旨が利用者に通知され、その詳細情報の表示が利用者によって指示された場合には、履歴検索部46から走行軌跡描画部34あるいは施設情報描画部42に描画指示が送られ、該当する軌跡データに対応する走行軌跡描画データや施設情報描画データが生成される。
【0029】
入力処理部50は、ディスプレイ装置6に操作内容を示す各種の操作ボタンが含まれる操作画面を表示するとともに、利用者によって指し示された操作ボタンをタッチパネル61による検出結果に基づいて判定し、指し示された操作ボタンに対応する命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。表示処理部60は、地図描画部14によって生成される地図画像描画データが入力されており、この描画データに基づいて所定範囲の地図画像をディスプレイ装置6の画面に表示する。また、誘導経路描画部26によって生成される誘導経路描画データ、走行軌跡描画部34によって生成される走行軌跡描画データ、施設情報描画部42によって生成される施設情報描画データが入力されると、表示処理部60は、これらの描画データを地図画像に重ねてディスプレイ装置6の画面に表示する。
【0030】
上述した走行軌跡メモリ32、検索履歴メモリ44が履歴記録手段に、履歴検索部46が履歴検索手段に、履歴検索部46、表示処理部60、ディスプレイ装置6が通知手段に、走行軌跡描画部34、施設情報描画部42、表示処理部60、ディスプレイ装置6が履歴情報表示手段にそれぞれ対応する。また、タッチパネル61、入力処理部50が操作手段に、走行軌跡記録部30が走行軌跡記録処理手段に、施設検索部40が施設検索手段にそれぞれ対応する。
【0031】
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次に、走行軌跡や施設検索結果を履歴情報として記録した後に、この記録した履歴情報を車両の走行位置等に関連づけて検索する動作について説明する。
【0032】
図2は、車両の走行軌跡を記録する動作手順を示す流れ図である。走行軌跡記録部30は、走行軌跡の記録が指示されたか否かを判定しており(ステップ100)、指示されない場合には否定判断を行ってこの判定を繰り返す。この指示は、ディスプレイ装置6の画面に表示された走行記録開始ボタンを利用者の指で指し示すことによって行われる。走行記録開始ボタンが指し示されたことをタッチパネル61を用いて検出した場合にはステップ100の判定において肯定判断が行われ、走行軌跡記録部30は、走行軌跡の記録を開始する(ステップ101)。具体的には、走行軌跡の記録開始時における車両位置(経度、緯度、住所)と記録開始時刻とが検出され、走行軌跡メモリ32に格納される。その後、走行軌跡記録部30は、記録終了が指示されたか否かを判定し(ステップ102)、指示されていない場合には否定判断を行って走行軌跡の記録を継続した後(ステップ103)、ステップ102に戻って記録終了指示ありか否かの判定を繰り返す。なお、記録終了の指示も開始指示と同様に、ディスプレイ装置6の画面に表示された走行記録終了ボタンを利用者の指で指し示すことによって行われる。また、ステップ103における走行軌跡の記録は、その時点における車両位置と時刻とを一定距離あるいは一定時間毎に検出して走行軌跡メモリ32に格納することにより行われる。走行記録終了ボタンが指し示されたことをタッチパネル61を用いて検出した場合にはステップ102の判定において肯定判断が行われ、走行軌跡記録部30は、走行軌跡の記録終了時における車両位置と記録終了時刻を走行軌跡メモリ32に格納して走行軌跡の記録を終了する(ステップ104)。その後、ステップ100に戻って走行軌跡記録指示の有無判定が繰り返される。
【0033】
図3は、施設検索の履歴を記録する動作手順を示す流れ図である。施設検索部40は、施設検索が指示されたか否かを判定しており(ステップ200)、指示されない場合には否定判断を行ってこの判定を繰り返す。この指示は、ディスプレイ装置6の画面に表示された施設検索ボタンを利用者の指で指し示すことによって行われる。施設検索ボタンが指し示されたことをタッチパネル61を用いて検出した場合にはステップ200の判定において肯定判断が行われ、施設検索部40は、施設検索を開始する(ステップ201)。施設検索の具体例としては、例えば、ジャンルを指定して自車位置等の周辺に存在する施設を検索する場合や、電話番号を指定して該当する施設を検索する場合、名称を直接指定して施設を検索する場合などいくつかの方法があり、利用者によって選択された方法が用いられる。施設検索部40は、検索結果が得られたか否かを判定しており(ステップ202)、得られない場合には否定判断を行った後に検索終了か否かを判定する(ステップ204)。検索が終了していない場合には否定判断が行われ、ステップ202に戻って検索結果が得られたか否かの判定が繰り返される。また、検索結果が得られた場合にはステップ202の判定において肯定判断が行われ、施設検索部40は、検索結果として得られた施設の詳細情報を履歴情報として検索履歴メモリ44に記録する(ステップ203)。また、検索が終了した場合にはステップ204において肯定判断が行われ、ステップ200に戻って施設検索指示の有無判定が繰り返される。
【0034】
図4は、記録された履歴情報を車両の走行位置に関連づけて検索する動作手順を示す流れ図である。なお、以下の説明では、走行位置周辺に存在する履歴情報を検索する場合を説明するが、スクロールされた地図画像上の任意位置をタッチパネル61で指定してその位置周辺に存在する履歴情報を検索する場合や、誘導経路メモリ24に格納されている誘導経路周辺(この場合には誘導経路に含まれる各ノード位置の周辺)に存在する履歴情報を検索する場合についても同様である。
【0035】
履歴検索部46は、走行位置周辺に履歴情報(軌跡データ、施設検索結果データ)が存在するか否かを判定しており(ステップ300)、存在しない場合には否定判断を行ってこの判定を繰り返す。走行位置周辺の所定範囲内に履歴情報が存在する場合にはステップ300の判定において肯定判断が行われ、次に、履歴検索部46は、周辺に履歴情報が存在する旨を利用者に知らせるための通知を行う(ステップ301)。なお、走行位置周辺に履歴情報が存在するとは、自車位置を中心とした所定範囲内に、軌跡データで示される走行軌跡の少なくとも一部が含まれている場合や、施設検索結果データで示される施設の所在地が含まれている場合をいう。また、ステップ301において行われる通知は、例えば、過去の走行軌跡があることを示す「走行記録があります」という情報や、過去に検索したことのある施設が周辺に存在することを示す「施設検索記録があります」という情報を表示処理部60を介してディスプレイ装置6に表示することにより行われる。図5は、「走行記録があります」という情報を用いて通知を行った表示例を示す図である。
【0036】
次に、履歴検索部46は、履歴情報の内容確認が利用者によって指示されたか否かを判定する(ステップ302)。例えば、この指示は、ディスプレイ装置6の画面に表示されたステップ301における通知を行うために表示された部分(「走行記録があります」、「施設検索記録があります」の表示箇所)を利用者の指で指し示すことによって行われる。内容確認が指示されない場合にはステップ302の判定において否定判断が行われ、この判定が繰り返される。一方、内容確認が指示された場合にはステップ302の判定において肯定判断が行われ、次に、履歴検索部46は、画面を分割していずれかの分割領域に履歴情報の内容を表示する処理を行う(ステップ303)。図6は、画面を分割して行った履歴情報の内容の表示例を示す図である。図6に示す例では、画面の右半分の分割領域に、2つの走行軌跡の内容として、日付と記録開始地点の住所と記録終了地点の住所とがリスト表示されている。なお、この表示にはさらに詳細な情報を含ませるようにしてもよいし、走行軌跡を地図画像に重ねて表示するようにしてもよい。
【0037】
図7は、記録された履歴情報を車両の走行位置に関連づけて検索する動作手順の変形例を示す流れ図であり、周辺に存在する走行軌跡等を地図画像上に重ねて表示する場合の動作手順が示されている。車両位置周辺に履歴情報が存在する場合であってその内容確認が指示されるまでの動作については図4に示すステップ300〜302と同様であり、その次の動作から説明を行うものとする。
【0038】
内容確認が指示されてステップ302の判定において肯定判断が行われると、次に、履歴検索部46は、履歴情報の内容(走行軌跡や検索結果としての施設の所在地)を地図画像に重ねて表示するために表示縮尺の変更が必要か否かを判定する(ステップ310)。例えば、施設検索結果データに対応する施設の所在地を示す特定画像(アイコン等)を表示する場合であって、この所在地が現時点において表示されている地図画像から外れる場合には、表示縮尺を小さくして広域表示に切り替えないと地図画像内に特定画像を含ませることができない。また、軌跡データに対応する走行軌跡を示す特定画像を表示する場合であって、この走行軌跡の少なくとも一部(走行軌跡が広範囲に渡る場合にはその全体を表示させようとすると表示縮尺が小さくなりすぎるため本実施形態では走行軌跡の一部が表示されればよいとするが、全体を表示するようにしてもよい)が、現時点において表示されている地図画像に含まれない場合には、表示縮尺を小さくして広域表示を切り替えないと地図画像内に走行軌跡を含ませることができない。このような場合にはステップ310の判定において肯定判断が行われ、履歴検索部46は、表示縮尺の変更を地図描画部14に指示し、地図画像の表示縮尺変更が行われる(ステップ311)。また、履歴検索部46は、走行軌跡描画部34あるいは施設情報描画部42に指示を送り、履歴情報の内容(施設検索結果データに対応する施設の所在地を示す特定画像や軌跡データに対応する走行軌跡を示す特定画像)を地図画像に重ねて表示する(ステップ312)。図8は、表示縮尺が変更された後の地図画像上に走行軌跡を示す特定画像Rを重ねて表示した場合の表示例を示す図である。
【0039】
このように、本実施形態のナビゲーション装置では、走行軌跡メモリ32や検索履歴メモリ44に記録された履歴情報の中から、特定された位置(走行位置等)を基準とした所定範囲内に含まれるものが検索されて所定の通知が行われるため、煩雑な操作を行わずに位置に関連づけた履歴情報の検索を行うことが可能になる。また、所定の通知の後に履歴情報の内容を表示することができるため、利用者は、位置に関連づけた履歴情報の内容を煩雑な操作を行うことなく知ることができる。特に、所定の通知の後にタッチパネル61を用いて利用者によって内容確認の指示がなされた後に履歴情報の内容表示を行うことにより、利用者は、位置に関連づけた履歴情報の内容を必要に応じて知ることができる。
【0040】
また、上述した履歴情報として車両の過去の走行軌跡を特定する軌跡データを含ませることにより、利用者は、土地勘がない場合などであっても、単に位置を特定するだけでその周辺に存在する走行軌跡を抽出することができる。特に、車両の走行軌跡を検出して軌跡データとして記録しておくことにより、単に位置を特定するだけで、自車の過去の走行軌跡の中からその周囲に存在するものを抽出することができるため、利用者自身が忘れてしまったような過去の走行内容を思い出す手助けをすることができる。
【0041】
また、上述した履歴情報として、所定の条件を満たす施設を検索した結果得られた検索履歴データを含ませることにより、利用者は、土地勘がない場合などであっても、単に位置を特定するだけでその周辺に存在する検索結果としての施設を抽出することができる。特に、指定された条件を満たす施設を検索するとともに、検索結果を検索履歴データとして記録しておくことにより、単に位置を特定するだけで、条件を指定して過去に検索した結果得られた施設の中からその周囲に存在するものを抽出することができるため、利用者自身が忘れてしまった、あるいは土地勘がないためにその周辺に存在することがわからないような施設を思い出す手助けをすることができる。
【0042】
また、表示画面を分割して得られた分割領域に履歴情報の内容表示を行うことにより、現在の表示内容を画面内に残した状態で履歴情報の内容を表示することが可能になる。あるいは、表示中の地図画像に重ねて、履歴情報に関連づけられている位置に対応させたアイコン等の特定画像を表示することにより、周辺に存在する履歴情報についての具体的な位置関係を明確にすることができる。
【0043】
また、上述した履歴情報の検索の基準となる位置として、車両の自車位置、表示中の地図画像をスクロールして特定された位置、経路探索処理によって得られた走行経路に沿った位置などを用いることにより、これら様々な位置周辺についての履歴情報の有無を、特別な操作を行うことなく把握することができ、ドライブ計画を立てる際や、実際に車両を運転する際に記憶を引き出すきっかけとすることができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、実際に車両に搭載されるナビゲーション装置について説明したが、同等の機能を机上のパーソナルコンピュータ等で実現するようにしてもよい。机上のパーソナルコンピュータを用いる場合には、車両位置検出部5は省略されるが、マウス等で任意の位置を指定したり、所定の出発地と目的地とをつなぐ誘導経路を特定して、それら周辺に存在する軌跡データや施設検索結果データを検索することができる。
【0045】
また、履歴情報の内容確認が指示された後の表示例として図6や図8に示す例を用いたが、履歴情報の内容表示を行う方法については色々な例が考えられる。例えば、履歴情報の内容確認が指示されたときに画面全体に走行軌跡や検索結果としての施設の情報を詳細に表示するようにしてもよいし、図6に示す表示内容と図8に示す表示内容の両方を同時に1画面内に含ませるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】車両の走行軌跡を記録する動作手順を示す流れ図である。
【図3】施設検索の履歴を記録する動作手順を示す流れ図である。
【図4】記録された履歴情報を車両の走行位置に関連づけて検索する動作手順を示す流れ図である。
【図5】通知の具体例を示す図である。
【図6】画面を分割して行った履歴情報の内容の表示例を示す図である。
【図7】記録された履歴情報を車両の走行位置に関連づけて検索する動作手順の変形例を示す流れ図である。
【図8】表示縮尺が変更された後の地図画像上に走行軌跡を示す特定画像を重ねて表示した場合の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ナビゲーションコントローラ
5 車両位置検出部
6 ディスプレイ装置
10 地図バッファ
12 地図読出制御部
14 地図描画部
20 車両位置計算部
22 経路探索処理部
24 誘導経路メモリ
26 誘導経路描画部
30 走行軌跡記録部
32 走行軌跡メモリ
34 走行軌跡描画部
40 施設検索部
42 施設情報描画部
44 検索履歴メモリ
46 履歴検索部
50 入力処理部
60 表示処理部
61 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置に関連づけた履歴情報が記録された履歴記録手段と、
位置が特定されたときに、この特定された位置を基準とした所定範囲内に、関連づけられた位置が含まれる前記履歴情報の有無を検索する履歴検索手段と、
前記履歴検索手段によって肯定的な検索結果が得られたときに所定の通知を行う通知手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記通知手段による通知の後に、前記履歴情報の内容を表示する履歴情報表示手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記履歴情報の内容表示を指示する操作手段をさらに備え、
前記履歴情報表示手段は、前記操作手段を用いた指示がなされた後に前記履歴情報の内容表示を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記履歴情報は、車両の過去の走行軌跡を特定する軌跡データであることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4において、
車両の走行軌跡を検出して前記軌跡データとして前記履歴記録手段に記録する処理を行う走行軌跡記録処理手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記履歴情報は、所定の条件を満たす施設を検索した結果得られた施設検索結果データであることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6において、
指定された条件を満たす施設を検索するとともに、検索結果を前記施設検索結果データとして前記履歴記録手段に記録する処理を行う施設検索手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項2または3において、
前記履歴情報表示手段は、表示画面を分割して得られた分割領域に前記履歴情報の内容表示を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項2または3において、
前記履歴情報表示手段は、表示中の地図画像に重ねて、前記履歴情報に関連づけられている位置に対応させた特定画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記履歴検索手段による検索の基準となる位置は、車両の自車位置であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記履歴検索手段による検索の基準となる位置は、表示中の地図画像をスクロールして特定された位置であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記履歴検索手段による検索の基準となる位置は、経路探索処理によって得られた走行経路に沿った位置であることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−10475(P2006−10475A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187501(P2004−187501)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】