説明

ナビゲーション装置

【課題】 サーバからダウンロードした交通情報と、予め記憶されている交通情報とを、使い勝手よく表示する。
【解決手段】
ナビゲーション装置は、サーバ装置からダウンロードした予測交通情報と、記憶装置に記憶されている統計交通情報とを、同一画面に表示する。両情報を、少なくとも一部が重なるように表示(重畳表示)してもよい。予測交通情報が統計交通情報より上になるように重ねてもよい。同一の対象(リンク、メッシュ領域)の同一時間帯の交通情報が、両方の情報に存在する場合、いずれか一方を選択して表示してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に車載用ナビゲーション装置の交通情報の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、交通情報を配信するサーバから予測交通情報をダウンロードして表示する車載用ナビゲーション装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−76580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用ナビゲーション装置は、自身の記憶装置に、予め交通情報を保持している場合がある。そして、同一の対象(リンク、メッシュ領域)について、サーバからダウンロードした予測交通情報と、予め記憶していた交通情報との両方が存在する場合がある。特許文献1は、この場合について考慮しておらず、交通情報を使い勝手よく表示できるとは限らない。
【0005】
本発明の目的は、サーバからダウンロードした交通情報と、予め記憶された交通情報とを、使い勝手よく、表示する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本発明のナビゲーション装置は、過去の交通情報から生成された統計交通情報を記憶する記憶装置と、交通情報を配信するサーバ装置から予測交通情報を受信する手段と、前記予測交通情報と前記統計交通情報とを同一画面に表示する表示手段とを有する。
【0007】
前記表示手段は、前記予測交通情報と前記統計交通情報とを重ねて表示してもよい。
【0008】
また、前記表示手段は、前記予測交通情報が前記統計交通情報より上になるように重ねて表示してもよい。
【0009】
また、前記予測交通情報及び統計交通情報には、地図上の道路を構成するリンクまたは領域を対象としてその交通情報が含まれている。そして、前記表示手段は、同一の対象について前記予測交通情報と前記統計交通情報との両方が存在する場合、いずれか一方を選択し、その対象については、選択した交通情報を表示するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステムの概略構成図である。図示するように、本実施形態のナビゲーションシステムは、車載用ナビゲーション装置100と、交通情報配信サーバ200とを有する。車載用ナビゲーション装置100と交通情報配信サーバ200とは、無線基地局(不図示)とネットワーク400を介して接続される。また、交通情報配信サーバ200からの交通情報は、FM多重放送局201、ビーコン202によっても車載用ナビゲーション装置100に送信される。
【0012】
交通情報配信サーバ200は、車載用ナビゲーション装置100に交通情報を配信するサーバ装置である。交通情報配信サーバ200は、自身の記憶装置に、リアルタイム予測交通情報210を保持する。
【0013】
リアルタイム予測交通情報210は、現在以降の未来の交通情報であり、過去の交通情報と現在の交通情報から生成され、随時更新されていく。すなわち、リアルタイム予測交通情報210は、動的な交通情報であるといえる。
【0014】
図2は、リアルタイム予測交通情報210の構成例である。リアルタイム予測交通情報210は、各リンクの、時間帯ごとの旅行時間等を含む。すなわち、地図上の領域を区分けしたメッシュ領域の識別コード(メッシュID)211ごとに、道路を構成するリンクの識別コード(リンクID)212と、時間帯213と、そのリンクの旅行時間214と、渋滞度215を含んでいる。
【0015】
このような予測交通情報は、現在の交通情報と、過去に収集された交通情報に基づいて生成することができる。図3に、予測交通情報の生成方法の例を示す。
【0016】
図3において、符号41は、過去に収集された交通情報から求められた、あるリンクの旅行時間Tdの経時変化を示す。符号42は、現在の交通情報から求められた、そのリンクの旅行時間Td’の経時変化を示す。現在時刻をtとする。
【0017】
まず、現在の交通情報から求められたリンク旅行時間Td’42と過去のリンク旅行時間Td41との差分43を、所定時刻間隔ごとに求める。そして、求めた差分の平均44を求める。時刻(t+n)における予測旅行時間Td’(t+n)は、
Td(t+n)+(差分の平均) により求めることができる。
【0018】
なお、交通情報配信サーバ200は、現況交通情報を配信するものであってもよい。
【0019】
図4は、車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車輪速センサ6と、地磁気センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、車内LAN装置11と、FM多重放送受信装置12と、ビーコン受信装置13と、ネットワーク通信装置14とを有する。
【0020】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ6〜8やGPS受信装置9から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データおよび交通情報配信サーバ200から受信した時系列交通情報を用いて、ユーザから指示された目的地と現在地(出発地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0021】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。演算処理部1とディスプレイ2との間の信号S1は、RGB信号やNTSC(National Television System Committee)信号で接続するのが一般的である。
【0022】
記憶装置3は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、予め、地図データ310と統計交通情報が記憶されている。
【0023】
図5は、地図データ310の構成を示す図である。地図データ310は、メッシュID311ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ312を含む。
【0024】
リンクデータ312は、リンクID3121ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報3122、リンクを含む道路の種別情報3123、リンクの長さを示すリンク長情報3124、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)3126などを含む。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。また、地図データ310には、対応するメッシュ領域に含まれている道路以外の地図構成物の情報(名称、種別、座標情報など)も含まれている。
【0025】
図6は、記憶装置3に予め記憶されている統計交通情報の構成例を示す。統計交通情報は、過去の交通情報から統計処理により生成されたものであり、静的な交通情報であるといえる。
【0026】
統計交通情報は、図示するように、上述のメッシュ領域毎に統計交通情報320が記憶されている。統計交通情報320は、メッシュ領域のメッシュID321、および、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクの交通情報統計値(過去に収集された交通情報の統計値)を管理するための管理データ322を有する。メッシュID321は、地図データ310のメッシュID311と同じものを用いている。管理データ322は、階層構造を有する複数のテーブル3221〜3223で構成されている。
【0027】
テーブル3221は、日の種類を登録するテーブルである。日の種類は、交通情報統計値が異なる傾向を示す単位毎に定めるとよい。ここでは、日の種類として、休日前の平日「平日(休日前)」、休日明けの平日「平日(休日後)」、盆、正月などといった特異日前の平日「平日(特異日前)」、特異日明けの平日「平日(特異日後)」、その他の平日「平日(一般)」、特異日の初日「休日(特異日初め)」、特異日の終日「休日(特異日終り)」、その他の休日「休日(一般)」を含めている。
【0028】
テーブル3222は、メッシュID321により登録されるメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクIDを登録するためのテーブルであり、テーブル3221に登録されている日の種類毎に設けられている。リンクIDは、地図データ310のリンクID3121と同じものを用いている。
【0029】
テーブル3223は、時間帯毎の交通情報統計値を登録するためのテーブルであり、テーブル3222に登録されているリンクID毎に設けられている。時間帯毎の交通情報統計値は、これらの元となる複数の交通情報により特定されるリンク旅行時間、リンク旅行時間のばらつき度、および、リンク渋滞度を含んでいる。また、時間帯毎の交通情報統計値は、これらの元となる交通情報の収集条件(元となる交通情報が収集された日の種類)と対象リンクとによって分類される。つまり、あるテーブル3223に登録されている時間帯毎の交通情報統計値の対象リンクは、このテーブル3223に対応付けられているテーブル3222のリンクIDにより特定されるリンクであり、これらの統計値の元となる交通情報は、このリンクIDが登録されているテーブル3222に対応付けられているテーブル3221の日の種類により特定される日に収集された交通情報である。
【0030】
図4に戻って説明する。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し演算処理部1にその内容を転送する処理を行う。
【0031】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0032】
センサ6〜8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車輪速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する。地磁気センサ7は、地球が保持している磁場を検知し、移動体が向いている方角を検出する。ジャイロ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定する。
【0033】
車内LAN装置11は、車載用ナビゲーション装置100が搭載された車両の様々な情報、例えばドアの開閉情報、ライトの点灯状態情報、エンジンの状況や故障診断結果などを受ける。
【0034】
FM多重放送受信装置12は、FM多重放送信号としてFM多重放送局201から送られてくる概略現況交通データ、交通規制情報、および、天気情報を受信する。
【0035】
ビーコン受信装置13は、ビーコン202から送られてくるリンク旅行時間を含む現況交通データを受信する。
【0036】
ネットワーク通信装置14は、車載用ナビゲーション装置100と、交通情報配信サーバ200との間の情報の授受を仲介する。また、定期的あるいは経路探索の際に、交通情報配信サーバ200にアクセスし、リアルタイム予測交通情報や現況交通情報を受信する。
【0037】
図7は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【0038】
図示するように、演算処理部1は、ユーザ操作解析部41と、経路探索部42と、経路記憶部43と、経路誘導部44と、現在位置算出部46と、表示処理部45、通信処理部47と、受信情報記憶部48とを有する。
【0039】
現在位置算出部46は、車輪速センサ6で計測される距離パルスデータS5およびジャイロ8で計測される角加速度データS7を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から自車走行後の位置である現在地(X′,Y′)を定期的に演算する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に、現在地を合わせ込む。
【0040】
ユーザ操作解析部41は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け、その要求内容を解析して、その要求内容に対応する処理が実行されるように演算処理部1の各部を制御する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、目的地を設定するため、地図をディスプレイ2に表示する処理を表示処理部45に要求する。また、現在地(出発地)から目的地までの経路を演算する処理を経路探索部42に要求する。
【0041】
経路探索部42は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ経路のコスト(例えば、旅行時間)が最少となる経路を探索する。経路記憶部43は、経路探索部42で探索された経路の情報を記憶する。
【0042】
経路誘導部44は、経路探索部42で探索された経路を用いて経路誘導を行う。例えば、経路の情報と、現在地の情報とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかを音声出入力装置4を用いて音声でユーザに知らせる。また、経路誘導部44は、ディスプレイ2に表示された地図上に進行すべき方向を表示して、ユーザに推奨経路を通知する。
【0043】
表示処理部45は、ディスプレイ2への表示が要求される領域にある地図データを記憶装置3から受け取り、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、誘導経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。そして、生成したコマンドを、ディスプレイ2に送信する。
【0044】
通信処理部47は、リアルタイム予測交通情報のダウンロード要求を受け付けると、ネットワーク通信装置14を介して、交通情報配信サーバ200に接続し、リアルタイム予測交通情報のダウンロードを要求する。そして、ダウンロードしたリアルタイム予測交通情報を受信情報記憶部48に記憶させる。また、通信処理部47は、FM多重放送局201やビーコン202から受信した交通情報を受信情報記憶部48に記憶させる。なお、記憶装置3が、書換え可能なHDD、フラッシュROMなどで構成される場合は、通信処理部47は、受信した情報を、記憶装置3に記憶させるようにしてもよい。
【0045】
図8は、演算処理部1のハードウェア構成例を示す図である。
【0046】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0047】
[動作の説明]次に、車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0048】
図9は、車載用ナビゲーション装置100の交通情報の表示処理のフロー図である。
【0049】
まず、ユーザ操作解析部41は、ユーザから入力装置5を介して、リアルタイム予測交通情報と、統計交通情報交通とを重畳表示するか否かのモードの設定の要求を受け付ける(S110)。
【0050】
このとき、ユーザ操作解析部41は、表示処理部45を介して、図10に示すように、ディスプレイ2に、設定画面510を表示する。
【0051】
設定画面510には、重畳表示するか否かのモードの選択肢511,512が表示されており、入力装置5を介して、いずれかのモードを選択できるようになっている。
【0052】
ユーザ操作解析部41は、ユーザにより選択された内容で、重畳表示するか否かのモードを設定する。
【0053】
つぎに、ユーザ操作解析部41は、表示する交通情報の時間帯(「注目時間帯」という)を設定する(S120)。ユーザ操作解析部41は、ユーザから入力装置5を介して、時間帯が指定された場合は、その時間帯を、注目時間帯とする。指定を受け付けなかった場合は、現在時刻の属する時間帯を、注目時間帯とする。また、経路探索のために、出発時刻が設定されている場合は、出発時刻の属する時間帯を、注目時間帯とする
つぎに、ユーザ操作解析部41は、交通情報を表示する対象のメッシュ領域を設定する(S130)。ユーザ操作解析部41は、現在位置の周辺(例えば、20km以内)のメッシュを対象のメッシュとする。または、経路探索がされている場合は、経路上のリンクを含むメッシュを、交通情報を表示する対象のメッシュとする。
【0054】
つぎに、通信処理部47は、ネットワーク通信装置14を介して、交通情報配信サーバ200に、リアルタイム予測交通情報のダウンロードを要求する。このとき、S120で設定された注目時間帯に関し、かつ、S130で設定された対象(メッシュ)のリアルタイム予測交通情報をダウンロードするように要求する。
【0055】
これを受けて、交通情報配信サーバ200は、指定された注目時間帯で、かつ指定された対象のリアルタイム予測交通情報を、自身の記憶装置に記憶するリアルタイム予測交通情報210から抽出し、車載用ナビゲーション装置100に送信(ダウンロード)する。
【0056】
通信処理部47は、ダウンロードしたリアルタイム予測交通情報を、受信情報記憶部48に記憶させる(S140)。
【0057】
つぎに、表示処理部45は、ダウンロードしたリアルタイム予測交通情報と、予め記憶装置3に記憶されている統計交通情報とを用いて、ディスプレイ2に交通情報の表示を行う(S150)。なお、ここでは、対象のリンクについて、渋滞度を表示する場合について説明するが、旅行時間を表示するようにしてもよい。
【0058】
図11は、表示処理の流れを示すフロー図である。
【0059】
表示処理部45は、交通情報の表示対象であるリンクごとに、図11で示した処理を行う。
【0060】
表示処理部45は、対象のリンクについて、リンクごとに、S120で設定した注目時間帯に関するリアルタイム予測交通情報と、統計交通情報とを参照する。そして、その両方に、渋滞度情報が含まれているか判定する(S152)。
【0061】
片方の交通情報にしか、渋滞度が含まれていない場合、表示処理部45は、その片方の交通情報の渋滞度を表示する(S158)。本実施形態では、統計交通情報には、全てのリンクの全ての時間帯についての渋滞度が含まれている。したがって、S152でNoとなるのは、その対象リンクの注目時間帯に関するリアルタイム予測交通情報の渋滞度がない場合である。そこで、S152でNoの場合、表示処理部45は、その対象リンクについて、統計交通情報から抽出した渋滞度を表示することになる。
【0062】
一方、対象リンクの注目時間帯に関する渋滞度が、リアルタイム予測交通情報と、統計交通情報の両方に存在する場合(S152でYes)、表示処理部45は、重畳表示するか否か判定する(S154)。
【0063】
表示処理部45は、S110で重畳表示するモードに設定されている場合、重畳表示すると判定する(S154でYes)。そして、リアルタイム予測交通情報に含まれる渋滞度と、統計交通情報に含まれる渋滞度とを重畳表示する。
【0064】
一方、S110で重畳表示しないモードに設定されている場合、重畳表示しないと判定する(S154でNo)。そして、いずれかの交通情報の渋滞度を表示するようにする。本実施形態では、リアルタイム予測交通情報を優先し、リアルタイム予測交通情報の渋滞度を表示する(S157)。
【0065】
図12は、重畳表示するモードに設定されていた場合(S154でYes)の表示例である。
【0066】
図示するように、表示画面530には、地図532上に、注目時間帯537にける渋滞度が、表示物(図中、矢印)533,534,535により示されている。渋滞度を示す矢印の向きは、車両の走行方向を示す。
【0067】
表示処理部45は、ダウンロードしたリアルタイム予測交通情報の渋滞度と、統計交通情報の渋滞度とを、異なる態様で表示する。例えば、色の濃淡で異ならせる。
【0068】
表示処理部45は、図12の例では、ダウンロードしたリアルタイム予測交通情報の渋滞度(矢印)を、統計交通情報の渋滞度(矢印)に比べて濃い色で示している。また、渋滞度を、矢印の色の違いで示しており、渋滞度の高い順に、赤、黄、緑となっている。
【0069】
また、図示するように、同一のリンクの注目時間帯において、リアルタイム予測交通情報の渋滞度と、統計交通情報の渋滞度とが存在する場合、両方の渋滞度533、534が重畳表示されている。本実施形態では、リアルタイム予測交通情報の渋滞度を示す情報(矢印)533が、統計交通情報の渋滞度を示す情報(矢印)534より、上になるように少なくとも一部を重ねて表示している。ただし、重ねて表示せずに、並べて表示するようにしてもよい。
【0070】
また、統計交通情報の渋滞度のみが存在するリンクについては(S152でNo)、統計交通情報の渋滞度の情報(矢印)535のみを表示している。
【0071】
表示処理部45は、リアルタイム予測交通情報を表示している場合、表示画面530に、そのことを示す情報を、メッセージ536で表示したり、アイコン535で表示したりしてもよい。また、渋滞度の凡例540を表示してもよい。
【0072】
図13は、重畳表示しないモードに設定されていた場合(S154でNo)の表示例である。
【0073】
図示するように、表示処理部45は、同一のリンクの注目時間帯について、リアルタイム予測交通情報の渋滞度と、統計交通情報の渋滞度とが存在する場合、リアルタイム予測交通情報の渋滞度533を選択して表示する。なお、統計交通情報の渋滞度のみが存在するリンクについては(S152でNo)、統計交通情報の渋滞度の情報(矢印)535を選択して表示する。
【0074】
図14は、表示するリアルタイム予測交通情報の渋滞度がなく、統計交通情報の渋滞度のみを表示しているところを示す。
【0075】
かかる場合、表示処理部45は、表示画面530に、統計交通情報のみを表示していることを示す情報を、メッセージ536bで表示したり、アイコン535bで表示したりしてもよい。
【0076】
また、図12〜14では、矢印で渋滞度を示す例について説明したが、図15に示すように、リアルタイム予測交通情報の渋滞度を実線で示し、統計交通情報の渋滞度を破線で示すなど、線の態様を異ならせてもよい。そして、線の色により、渋滞度を示してもよい。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0078】
本実施形態によれば、配信された交通情報と、予め記憶装置に記憶されていた交通情報とを異なる態様で表示できる。すなわち、随時更新され配信される交通情報(動的な交通情報)と、予め記憶装置に格納され容易に更新されない交通情報(静的な交通情報)とを異なる態様で表示できる。したがって、ユーザは、両者を容易に対比することができる。
【0079】
また、リアルタイム予測交通情報の方が、統計交通情報より信頼性が高いが、重畳表示において、リアルタイム予測交通情報を統計交通情報より上に重ねて表示することで、ユーザは容易に情報の信頼性を確認することができる。
【0080】
また、随時更新され配信される交通情報を優先的に表示し、配信される交通情報がない場合にのみ、予め記憶装置に格納された交通情報を表示することもできる。
【0081】
上記実施形態は、様々な変形が可能である。
【0082】
例えば、図11のS154における重畳表示するか否かの判定を、リアルタイム予測交通情報と統計交通情報の一致度により行っても良い。
【0083】
図16は、かかる場合の処理のフロー図である。
【0084】
表示処理部45は、その対象リンク周辺のリンク(例えば、その対象リンクが含まれるメッシュに含まれるリンク)について、リアルタイム予測交通情報の渋滞度(又は旅行時間)と、統計交通情報の渋滞度(又は旅行時間)とが一致する割合を求める。一致の割合が予め定めた値(例えば70%)以上の場合(S1541でYes)、その対象リンクについて、重畳表示すると判定する(S1542)。一方、一致の割合が予め定めた値未満の場合(S1541でNo)、その対象リンクについては、重畳表示しないと判定する(S1543)。
【0085】
こうすれば、両方の交通情報の一致度が低い場合には、両方の交通情報が同時に表示されることがないので、表示画面が混雑するのを防止できる。
【0086】
なお、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用以外のナビゲーション装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかるナビゲーションシステムの概略構成図である。
【図2】図2は、リアルタイム予測交通情報の構成例である。
【図3】図3は、リアルタイム予測交通情報の生成方法を説明するための図である。
【図4】図4は、車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。
【図5】図5は、記憶装置3に記憶されている地図データの構成を示す図である。
【図6】図6は、記憶装置3に記憶されている統計交通情報の構成を示す図である。
【図7】図7は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図8】図8は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図9】図9は、車載用ナビゲーション装置100の処理の概略を示すフロー図である。
【図10】図10は、表示に関するモード設定の画面の表示例である。
【図11】図11は、図9のS150の表示処理のフロー図である。
【図12】図12は、交通情報の表示例である。
【図13】図13は、交通情報の表示例である。
【図14】図14は、交通情報の表示例である。
【図15】図15は、交通情報の表示例である。
【図16】図16は、変形例にかかる重畳表示するか否かの決定処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0088】
100…車載用ナビゲーション装置、200…交通情報配信サーバ、400…ネットワーク、
1…演算処理部、2…ディスプレイ、3…記憶装置、4…音声出入力装置、5…入力装置、6…車輪速センサ、7…地磁気センサ、8…ジャイロ、9…GPS受信機、11…車内LAN装置、12…FM多重放送受信装置、13…ビーコン受信装置、14…ネットワーク通信装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…PIO、31…カウンタ、41…ユーザ操作解析部、42…経路探索部、43…経路記憶部、44…経路誘導部、45…表示処理部、46…現在位置算出部、47…通信処理部、48…受信情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
過去の交通情報から生成された統計交通情報を記憶する記憶装置と、
交通情報を配信するサーバ装置から予測交通情報を受信する手段と、
前記予測交通情報と前記統計交通情報とを同一画面に表示する表示手段と
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示手段は、
前記予測交通情報と前記統計交通情報とを重ねて表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記表示手段は、
前記予測交通情報が前記統計交通情報より上になるように重ねて表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
ナビゲーション装置であって、
過去の交通情報から生成された統計交通情報を記憶する記憶装置と、
交通情報を配信するサーバ装置から予測交通情報を受信する手段と、
交通情報を表示する表示手段とを有し、
前記予測交通情報及び統計交通情報には、地図上の道路を構成するリンクまたは領域を対象としてその交通情報が含まれており、
前記表示手段は、
同一の対象について前記予測交通情報と前記統計交通情報との両方が存在する場合、いずれか一方を選択し、その対象については、選択した交通情報を表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記表示手段は、
同一の対象について前記予測交通情報と前記統計交通情報との両方が存在する場合、その対象については、前記予測交通情報を表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、
前記表示手段は、前記予測交通情報と前記統計交通情報とを異なる態様で表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、
前記表示手段は、
前記予測交通情報を表示している場合、その旨を示す情報を表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項において、
前記表示手段は、
前記統計交通情報のみが表示されている場合、その旨を示す情報を表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
ナビゲーション装置であって、
過去の交通情報から生成された統計交通情報を記憶する記憶装置と、
交通情報を配信するサーバ装置から予測交通情報を受信する手段と、
交通情報を表示する表示手段とを有し、
前記予測交通情報及び統計交通情報には、地図上の道路を構成するリンクまたは領域を対象としてその交通情報が含まれており、
前記表示手段は、
同一の対象について前記予測交通情報と前記統計交通情報との両方が存在する場合、前記予測交通情報と前記統計交通情報との一致度により両方表示するか否かを決定する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記表示装置は、同一対象について前記予測交通情報と前記統計交通情報の両方が存在する場合、その対の周辺の予測交通情報と統計交通情報との一致度が予め定めた値以上の場合、両方表示し、その他の場合は、いずれか一方を選択し、その対象について、選択した交通情報を表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
ナビゲーション装置であって、
過去の交通情報から生成された統計交通情報を記憶する記憶装置と、
交通情報を配信するサーバ装置から予測交通情報を受信する手段と、
注目時間帯を設定する手段と、
前記注目時間帯の交通情報を表示する表示手段とを有し、
前記予測交通情報及び統計交通情報には、地図上の道路を構成するリンクまたは領域を対象としてその対象の時間帯ごとの交通情報が含まれており、
前記表示手段は、
同一の対象の前記注目時間帯において前記予測交通情報と前記統計交通情報との両方が存在する場合、いずれか一方を選択し、その対象については、選択した交通情報を表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
ナビゲーション装置の交通情報表示方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
過去の交通情報から生成された統計交通情報を記憶する記憶装置を有し、
交通情報を配信するサーバ装置から予測交通情報を受信するステップと、
前記予測交通情報と前記統計交通情報とを同一画面に表示する表示ステップと
を行うことを特徴とする交通情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−215782(P2006−215782A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27433(P2005−27433)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】