説明

ナビゲーション装置

【課題】 より的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 主制御部11(機能処理部35の推定到達時刻算出部)は、ノードを通過する毎に交通情報記憶部9に記憶された交通情報を基に推定到達時刻を読み出すとともに実時刻を読み出す。主制御部11(機能処理部35の偏差比較判定部)は、その推定到達時刻と実時刻との差が基準値を超える場合に探索処理部33に再探索信号を出力し、再探索信号が入力された場合に探索処理部33は、再探索を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの経路を案内するナビゲーション装置として、車両に搭載されるカーナビゲーション装置が知られている。そのカーナビゲーション装置は、目的地を設定するだけで現在地から目的地までの経路探索をして、音声や画像によってその探索した経路の経路案内ができるといった利便性から広く利用されるようになっている。
【0003】
経路探索時において、カーナビゲーション装置は、経路探索時の最新の交通情報を基に出発地から目的地までの所要時間を計算する。ところが、交通情報は、例えば渋滞状況の変化等により時々刻々変化するので、経路走行開始後に、探索した経路上に渋滞が発生してしまい、目的地までの実際の所要時間が予想した所要時間と合わないことがあった。
【0004】
そのため、カーナビゲーション装置は、所定の時間毎に受信した交通情報のうち、過去のリンク所要時間の平均値をメモリに記憶していた。そして、所要時間が短い、すなわち目的地が出発地周辺である場合は、目的地に到達するまでに渋滞状況等の交通状況が変化しないとみなし、経路探索時の最新の交通情報(以下、現況値という)を使用して出発地から目的地までの経路を探索していた。一方、所要時間が長い、すなわち目的地が出発地から遠い場合は、目的地に到達するまでに交通状況が変化する虞がある。そのため、例えば、所要時間が1時間未満の場合は現況値を用いて経路を探索し、所要時間が1時間以上の場合については過去のリンク所要時間の平均値(以下、予測値という)を基に経路を探索していた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−019593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のカーナビゲーション装置では、現況値が予測値と大きく変化した場合でも、一度探索した経路をそのまま案内していた。その結果、例えば、経路案内中に、その経路を探索したときには予測できなかった渋滞がその経路に発生した場合等に、目的地に到達する時刻が大幅に遅延する虞があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することのできるナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、現在地から目的地に向かうための複数のリンクから構成される案内経路を探索するナビゲーション装置において、前記探索した案内経路の所定の地点における推定到達時刻を算出する推定到達時刻算出手段と、前記推定到達時刻算出手段が算出した所定の地点の推定到達時刻を記憶する推定到達時刻記憶手段と、前記案内経路中の所定の地点に到達するとき、前記推定到達時刻記憶手段に記憶した所定の地点に対する推定到達時刻を読み出し、その推定到達時刻とその時の実時刻との偏差を求め、その偏差と予め定めた基準値とを比較する比較手段と、前記偏差が前記基準値を超えるとき、前記所定の地点から前記目的地までの新たな案内経路を再探索する再探索手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、所定の時間
帯毎にリンクにおける交通情報を記憶する交通情報記憶手段を備え、前記推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の所定の地点における推定到達時刻を前記交通情報記憶手段の交通情報に基づいて算出し、前記推定到達時刻記憶手段に記憶することを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記再探索手段は、前記交通情報記憶手段の交通情報に基づいて前記所定の地点から前記目的地までの新たな案内経路を再探索することを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記交通情報記憶手段は、交通情報の提供対象となる情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、そのリンクにおける現在の交通情報である現況交通情報を記憶する現況情報記憶部と、前記情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部とを備え、前記推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の各リンクの交通情報を、前記現況情報記憶部の現況交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報に基づいて前記案内経路の所定の地点における推定到達時刻を算出することを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記交通情報記憶手段は、交通情報の提供対象となる情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、そのリンクにおける現在の交通情報である現況交通情報を記憶する現況情報記憶部と、過去に走行した過去走行道路であって、その過去走行道路の各リンクに対して、前記所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の実走行交通情報を記憶する実走行情報記憶部と、前記情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部と、案内対象となる案内対象道路であって、その案内対象道路の各リンクに対して予め与えられたそのリンクにおける基本交通情報を記憶する基本走行情報記憶部とを備え、前記推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の各リンクの交通情報を、前記現況情報記憶部の現況交通情報、前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報及び前記基本走行情報記憶部の基本交通情報のいずれかから選択して読み出し、その読み出した各リンクの交通情報に基づいて前記案内経路の所定の地点における推定到達時刻を算出することを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、前記推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の各リンクの交通情報を選択する優先順位を、前記現況情報記憶部の現況交通情報、前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報、前記基本走行情報記憶部の基本交通情報の順にしたことを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記比較手段は、前記偏差が前記基準値を超えると判定した場合に、再探索手段にて再探索をするか否かをユーザが選択する選択手段を備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記基準値は、所定の地点から目的地までの距離に応じて変動することを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、案内経路中の所定の地点に到達するとき、比較手段は、推定到達時刻記憶手段に記憶した所定の地点に対する推定到達時刻を読み出し、その推
定到達時刻とその時の実時刻との偏差を求め、その偏差と予め定めた基準値とを比較する。再探索手段は、偏差が前記基準値を超えるとき、所定の地点から目的地までの新たな案内経路を再探索する。この結果、推定到達時刻と実時刻とが大きく異ならないうちに再探索をすることができる。従って、ユーザに対して迅速により的確な経路、より正確な到達時刻を提供することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、所定の時間帯毎にリンクにおける交通情報を記憶する交通情報記憶手段を備え、推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の所定の地点における推定到達時刻を交通情報記憶手段の交通情報に基づいて算出し、推定到達時刻記憶手段に記憶する。従って、案内経路の所定の地点について、常にその時々の時間帯に即した推定到達時刻を算出することができ、ユーザに対してより的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、再探索手段は、交通情報記憶手段の交通情報に基づいて所定の地点から目的地までの新たな案内経路を再探索する。この結果、常にその時々の時間帯に即した交通情報に基づいて新たな案内経路を再探索することができ、ユーザに対してより的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、交通情報記憶手段は、現在の交通情報である現況交通情報を記憶する現況情報記憶部と、過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部とを備えた。そして、推定到達時刻算出手段は、案内経路の各リンクの交通情報を、現況情報記憶部の現況交通情報、過去統計情報記憶部の統計交通情報に基づいて案内経路の所定の地点における推定到達時刻を算出する。この結果、現在の交通情報または過去の交通情報に基づいて実際に走行する時間帯に即した推定到達時刻を算出することができるので、より精度の良い経路案内、経路探索をすることができる。従って、ユーザに対し、より的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、交通情報記憶手段は、現在の交通情報である現況交通情報を記憶する現況情報記憶部と、過去の実走行交通情報を記憶する実走行履情報記憶部と、過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部と、基本交通情報を記憶する基本走行情報記憶部とを備えた。そして、推定到達時刻算出手段は、案内経路の各リンクの交通情報を、現況情報記憶部の現況交通情報、実走行情報記憶部の実走行交通情報、過去統計情報記憶部の統計交通情報及び基本走行情報記憶部の基本交通情報のいずれかから選択して読み出し、その読み出した各リンクの交通情報に基づいて案内経路の所定の地点における推定到達時刻を算出する。この結果、実際に走行する時間帯に即した推定到達時刻を算出することができるので、より精度の良い経路案内、経路探索をすることができる。従って、ユーザに対し、より的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、推定到達時刻算出手段は、案内経路の各リンクの交通情報を選択する優先順位を、現況情報記憶部の現況交通情報、実走行情報記憶部の実走行交通情報、過去統計情報記憶部の統計交通情報、基本走行情報記憶部の基本交通情報の順にした。この結果、例えば、過去に走行したことのないリンクであっても、交通情報の提供対象となっていないリンクであっても、実際に走行する時間帯に即した推定到達時刻を算出することができるので、より精度の良い経路案内、経路探索をすることができる。従って、ユーザに対し、より的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、比較手段は、偏差が基準値を超えると判定した場合に、再探索手段にて再探索をするか否かをユーザが選択する選択手段を備えた。この結果、
例えば、ある所定の地点において偏差が基準値を超えるときに、その所定の地点が目的地に近い場合は、再探索をせず、推定到達時刻のみ更新することができるので、不要な再探索を低減しながらも、正確な推定到達時刻を提供することができる。従って、ユーザに対し、より的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、基準値は、所定の地点から目的地までの距離に応じて変動する。この結果、例えば、現在地(所定の地点)が目的地に近いときのように、目的地における推定到達時刻と実時刻とが大きく異ならない場合に基準値を大きくし、多少の偏差に対しては再探索を行わないようにすることができるので、不要な再探索を低減しながらも、正確な推定到達時刻を提供することができる。従って、ユーザに対し、より的確な経路、より正確な推定到達時刻を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を自動車に搭載したナビゲーション装置の一実施形態を図1〜図8に従って説明する。図1はナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ナビゲーション装置(以下、ナビ装置という)1は、入出力部3、現在位置検出部5、情報記憶部7、交通情報記憶部9及び主制御部11を備えている。入出力部3、現在位置検出部5、情報記憶部7及び交通情報記憶部9は、それぞれ主制御部11に電気的に接続され、前記各部間で各種データの授受が可能となっている。
【0024】
入出力部3は、例えば、各種操作ボタンを備えるリモートコントローラ等の入力手段を備えており、経路案内を行うための各種操作信号を主制御部11に入力する。また、入出力部3は表示部13を備えており、その表示部13は、例えば、画像を表示するタッチパネル式のLCD等であって、主制御部11による各種演算処理結果を出力表示する。また、この表示部13は、指等で所定の位置を押すことにより、指等で押した画面上の位置を検知して、その位置に対応する経路案内を行うための各種操作信号を主制御部11へ出力する。すなわち、表示部13は出力手段でありながらも入力手段としても機能する。
【0025】
現在位置検出部5は、車両の現在位置を検出するものである。その現在位置検出部5には、GPS受信部(Global Positioning System )15、道路交通情報通信システム受信部17、車速センサ19及び方位センサ21が備えられている。そして、現在位置検出部5は、GPS受信部15、道路交通情報通信システム受信部17によって受信した各種データを、また、車速センサ19及び方位センサ21にて検出された各センサ値のデータを、それぞれ主制御部11へ出力する。尚、本実施形態において、現在位置検出部5は、ナビ装置1が経路案内を行う間、常にこうした現在位置の座標検出を行う。
【0026】
情報記憶部7は、ハードディスク、DVD−ROM等の記憶媒体を備えたデータベースあって、経路探索、経路案内等のためのプログラムや表示部13に地図、経路案内等を表示するためのプログラム等、各種プログラム及びデータが記憶されている。また、情報記憶部7は、主制御部11が目的地設定のために利用する目的地データ及び地図データや、経路探索に利用する道路データ、固定車速、基準値T等が記憶されている。
【0027】
固定車速とは、予め定めた走行速度であって、高速道路、都市高速道路、一般道路の3種類が用意されている。各道路の固定車速は、本実施形態では、渋滞がない条件での走行速度とし、例えば、高速道路で時速80キロメートル、都市高速道路で時速60キロメートル、一般道路で時速30キロメートルとしている。そして、これら固定車速は、それぞれの道路を走行する際にその道路上の各リンクを走行するのに要する時間(所要時間)を主制御部11が算出するときに利用される。
【0028】
基準値Tは、所定の地点、例えば案内経路上のノード、ユーザが設定した通過地点等で
の推定到達時刻に対して実際に到達する時刻(実時刻)の差(偏差)によって新たな処理動作を実行するかどうか判断するための基準となる時間であって、推定到達時刻を算出する時間間隔、すなわち推定到達時刻を算出する精度と同じ時間となっている。本実施形態では、基準値Tは、例えば、15分とする。従って、所定の地点としての案内経路上のノードに到達する時刻が推定到達時刻から15分(基準値T)を超えるとき、主制御部11は後記する新たな処理を実行する。
【0029】
さらに、情報記憶部7は、推定到達時刻記憶手段としての推定到達時刻情報記憶部7aを有し、推定到達時刻情報記憶部7aに主制御部11で算出された数値や案内経路の各ノードの推定到達時刻などの情報を一時的に記憶する。
【0030】
交通情報記憶手段としての交通情報記憶部9は、現況情報記憶部25、実走行情報記憶部27、過去統計情報記憶部29及び基本走行情報記憶部30を備えている。
現況情報記憶部25には、現況交通情報ITRが記憶される。現況交通情報ITRは、道路交通情報通信システム受信部17がその時々で受信する道路交通情報通信システムから一定範囲の道路上の各リンクの交通情報から抽出した、該リンクを走行するのに要する時間(リンク所要時間)であって、それぞれ走行方向(上り線又は下り線)毎に記憶されている。そして、道路交通情報通信システムから新しい交通情報が送信される毎に、現況交通情報ITRは更新されるようになっている。
【0031】
実走行情報記憶部27には、実走行交通情報IT1が記憶されている。実走行交通情報IT1は、過去に走行した各リンク(請求項4及び請求項5に記載の過去走行道路に相当する)の各々について、各時間帯に対する該リンクを走行するのに要する時間(リンク所要時間)であって、それぞれ走行方向(上り線又は下り線)毎に記憶されている。
【0032】
図3は、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1を説明するための模式図である。図3は、走行方向が上り線での、15:00〜18:00であって15分間隔に区分された各時間帯(所定の時間帯)での、リンク1〜リンク10の実走行交通情報(リンク所要時間)IT1を示す。ここで、例えば、リンク1の16:00〜16:14の時間帯には、「6」、即ち6分の実走行交通情報(リンク所要時間)IT1が記憶されている。
【0033】
この実走行交通情報IT1は、主制御部11によって、以下のように作成される。
主制御部11は、ある道路(案内経路)を走行中において、該道路上のリンク及びノードを現在位置と地図データから特定し、内蔵したタイマから該リンクを走行するのに要した所要時間(候補所要時間)を演算する。そして、そのときに候補所要時間とその時の時間帯と走行方向とを履歴用走行データとして情報記憶部7の所定の記憶領域に記憶する。従って、道路を走行すればするほど、履歴用走行データが蓄積される。本実施形態では、同じ時間帯であって、走行方向が同じである5個の履歴用走行データが蓄積された状態で新たな履歴用走行データが作成されたとき、最も古い履歴用走行データが消去され、その新たな履歴用走行データに更新される。
【0034】
各リンクの各時間帯において、5個の履歴用走行データが蓄積されると、又は新たな履歴用走行データに更新されると、主制御部11は、その5個の履歴用走行データから実走行交通情報(リンク所要時間)IT1を算出する。主制御部11は、蓄積された5個の履歴用走行データ(候補所要時間)の中央値となる走行データ(候補所要時間)を実走行交通情報(リンク所要時間)IT1として実走行情報記憶部27に記憶する。
【0035】
従って、実走行交通情報IT1は、過去に実際に走行したときに取得した所要時間(候補所要時間)に基づいて求められたものであるため、精度の高いものとなる。しかも、時間帯毎に実走行交通情報IT1が、求められているため、さらに精度の高いものとなる。
【0036】
ちなみに、図3において、空白部分は、そのリンクにおけるその時間帯での履歴用走行データがない、又は履歴用走行データが不足して、いまだ実走行交通情報IT1を算出できていない部分である。つまり、ある時間帯においていまだ走行してないリンク、又は走行していても走行した回数が5回未満である場合には、その時間帯での実走行交通情報IT1は作成されない。
【0037】
過去統計情報記憶部29には、統計交通情報IT2が記憶されている。統計交通情報IT2は、各リンクについて、統計的に取得した各日毎に0:00〜23:59の24時間の各時間帯に対する該リンクを走行するのに要する時間(リンク所要時間)であって、それぞれ走行方向(上り線又は下り線)毎に記憶されている。この統計交通情報IT2は、予め道路交通情報通信システムから取得した過去の交通情報と、道路交通センサスから取得した過去の交通情報に基づいて作成されたデータであって、予め記憶されている。従って、この統計交通情報IT2は、予め道路交通情報通信システムからの交通情報や道路交通センサスからの交通情報の情報提供を受けることができる道路(請求項4及び請求項5に記載の情報提供対象道路に相当する)の各リンクに対して与えられる。
【0038】
図4は、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2を説明するための模式図である。図4は、走行方向が上り線での、15:00〜18:00であって15分間隔に区分された各時間帯におけるリンク1〜リンク10の統計交通情報IT2を示す。因みに、例えば、リンク1の15:00〜15:14の時間帯には、「3」、即ちリンク所要時間が3分の統計交通情報IT2が記憶され、リンク1の15:15〜15:29の時間帯には、「5」、即ちリンク所要時間が5分の統計交通情報IT2が記憶されている。なお、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2は、道路交通情報通信システム及び道路交通センサスデータを基にしていることから、24時間、全てのリンクに対して統計交通情報IT2が全て蓄積されているため、図4に示すように、各リンクについて空白部分は無く全て埋まっている。
【0039】
基本走行情報記憶部30には、基本交通情報IT3が記憶されている。基本交通情報IT3は、このナビゲーション装置が案内対象とする全ての道路(請求項4及び請求項5に記載の案内対象道路に相当する)の各リンクについて、予め与えられた各日毎に0:00〜23:59の24時間の各時間帯に対する該リンクを走行するのに要する時間(リンク所要時間)である。そして、基本交通情報IT3は、それぞれ走行方向(上り線又は下り線)毎に記憶されている。この基本交通情報IT3は、案内対象道路の各リンクについて予め与えられている前記固定速度とそのリンク長からリンク所要時間が求められ、そのリンク所要時間が基本交通情報IT3として記憶されるようになっている。従って、基本走行情報記憶部30には、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2や実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1ではカバーしきれないリンクに対しても基本交通情報IT3が生成され、記憶されている。
【0040】
主制御部11は、検索処理部31、探索処理部33及び機能処理部35を備えている。本実施形態では、主制御部11が、情報記憶部7に記憶した経路案内プログラム、推定到達時刻算出プログラム、偏差比較判定プログラムを実行する。これにより、主制御部11は、推定到達時刻算出手段、比較手段、再探索手段として機能する。
【0041】
検索処理部31は、現在位置検出部5からの自動車の現在位置に関する各種データに基づいて自動車の現在位置を示す座標値を算出する。検索処理部31は、情報記憶部7に記憶された地図データを照会し、算出された座標値に対応する地図データ上の自動車の現在位置(以下、現在地Pという)を検索する。また、検索処理部31は、登録された目的地Gを地図データに照会し、地図データ上の位置を検索する。検索処理部31は、検索した
結果得られた自動車の現在地Pや目的地G周辺の地図データに対応した画像データを形成する。そして、検索処理部31は、検索した結果得られた自動車の現在地Pの地図データに対応した画像データを入出力部3に出力し、表示部13に画像として表示させる。また、本実施形態では、例えば、図6に示す案内画像M1のように、表示部13の画面上にあって現在地Pの座標と相対する位置に、現在地Pを表示記号「△」で表示する。
【0042】
探索処理部33は、ユーザの指示、あるいは自動で、任意の2点間の経路、即ち案内経路を探索する。入出力部3から案内経路を探索する探索操作信号が入力されると、探索処理部33は、出発地Sから目的地Gまでの案内経路R1を探索し、その案内経路R1を表示案内するための各種情報を作成する。このとき、本実施形態では、現況情報記憶部25の現況交通情報ITR、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2又は基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3を参照して案内経路R1を探索する。そして、図6に示すように、案内画像M1として、案内地図上にその案内経路R1を含む画像を入出力部3の表示部13に表示させる。また、探索処理部33は、後述する機能処理部35から再探索信号が入力されると、現在地Pから目的地Gまでの経路を再度探索するようになっている。
【0043】
機能処理部35には、図2に示すように、推定到達時刻算出手段としての推定到達時刻算出部37と比較手段としての偏差比較判定部41とが備えられている。
推定到達時刻算出部37は、探索処理部33にて探索された案内経路R1上のリンクとリンクを結ぶ各地点(ノード)の到達時刻(以下、これを推定到達時刻という)を算出する。推定到達時刻算出部37は、案内経路R1上の各リンクの交通情報を、現況情報記憶部25の現況交通情報ITR、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2又は基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3のいずれかから選択する。そして、推定到達時刻算出部37は、その選択した各交通情報ITR,IT1〜IT3に基づいて推定到達時刻を算出する。
【0044】
詳述すると、例えば、図5に示すように探索された案内経路Raについて、出発地S、第1〜第7ノードN1〜N7、目的地Gをそれぞれ結ぶ第1〜第8リンクLa1〜La8がある。このとき、推定到達時刻算出部37は、第1リンクLa1→第2リンクLa2→第3リンクLa3→……→第7リンクLa7→第8リンクLa8の順番で各リンクの交通情報を選択する。
【0045】
推定到達時刻算出部37は、第1リンクLa1について、まず現況情報記憶部25に出発地Sでの出発時刻の時間帯におけるその第1リンクLa1に対する現況交通情報ITRがあるかどうか検索し、ある場合には、その現況交通情報ITRを第1リンクLa1の交通情報(所要時間)とする。そして、推定到達時刻算出部37は、出発時刻に現況交通情報ITR(所要時間)を加算した時刻を第1ノードN1の推定到達時刻とする。従って、最も精度の高い交通情報に基づいて第1ノードN1の推定到達時刻が算出されることになる。
【0046】
一方、現況交通情報ITRがない場合には、推定到達時刻算出部37は、実走行情報記憶部27に出発地Sでの出発時刻の時間帯におけるその第1リンクLa1に対する実走行交通情報IT1があるかどうか検索し、ある場合には、その実走行交通情報IT1を第1リンクLa1の交通情報(所要時間)とする。そして、推定到達時刻算出部37は、出発時刻に実走行交通情報IT1(所要時間)を加算した時刻を第1ノードN1の推定到達時刻とする。
【0047】
また、実走行交通情報IT1がない場合には、推定到達時刻算出部37は、過去統計情報記憶部29に出発地Sでの出発時刻の時間帯におけるその第1リンクLa1に対する統
計交通情報IT2があるかどうか検索し、ある場合には、その統計交通情報IT2を第1リンクLa1の交通情報(所要時間)とする。そして、推定到達時刻算出部37は、出発時刻に統計交通情報IT2(所要時間)を加算した時刻を第1ノードN1の推定到達時刻とする。
【0048】
さらに、統計交通情報IT2がない場合には、推定到達時刻算出部37は、基本走行情報記憶部30に記憶された出発地Sでの出発時刻の時間帯におけるその第1リンクLa1に対する基本交通情報IT3を第1リンクLa1の交通情報(所要時間)とする。そして、推定到達時刻算出部37は、出発時刻に基本交通情報IT3(所要時間)を加算した時刻を第1ノードN1の推定到達時刻とする。
【0049】
つまり、第1ノードN1の推定到達時刻は、現況情報記憶部25の現況交通情報ITR、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2、基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3の順で交通情報が選ばれて算出される。
【0050】
第1ノードN1の推定到達時刻が算出されると、推定到達時刻算出部37は、第2リンクLa2について、まず実走行情報記憶部27に第1ノードN1での前記算出した推定到達時刻の時間帯におけるその第2リンクLa2に対する実走行交通情報IT1があるかどうか検索する。そして、実走行交通情報IT1がある場合には、その実走行交通情報IT1を第2リンクLa2の交通情報(所要時間)とする。そして、推定到達時刻算出部37は、第1ノードN1の推定到達時刻に実走行交通情報IT1(所要時間)を加算した時刻を第2ノードN2の推定到達時刻とする。
【0051】
また、実走行交通情報IT1がない場合には、推定到達時刻算出部37は、過去統計情報記憶部29に第1ノードN1の推定到達時刻の時間帯におけるその第2リンクLa2に対する統計交通情報IT2があるかどうか検索し、ある場合には、その統計交通情報IT2を第2リンクLa2の交通情報(所要時間)とする。そして、推定到達時刻算出部37は、第1ノードN1の推定到達時刻に統計交通情報IT2(所要時間)を加算した時刻を第2ノードN2の推定到達時刻とする。
【0052】
さらに、統計交通情報IT2がない場合には、推定到達時刻算出部37は、基本走行情報記憶部30に記憶された第1ノードN1の推定到達時刻の時間帯におけるその第2リンクLa2に対する基本交通情報IT3を第2リンクLa2の交通情報(所要時間)とする。そして、推定到達時刻算出部37は、第1ノードN1の推定到達時刻に基本交通情報IT3(所要時間)を加算した時刻を第2ノードN2の推定到達時刻とする。
【0053】
尚、本実施形態では、推定到達時刻算出部37は、第2ノードN2の推定到達時刻の算出の際には、第1ノードN1の推定到達時刻の算出のように、最初に、現況情報記憶部25から第2リンクLa2に対する現況交通情報ITRの検索を行わない。これは、第1ノードN1に到達した時、第2リンクLa2での現況交通情報ITRは、変更されている場合があり、これを避けるために現況交通情報ITRの検索を行わないようにしている。勿論、第1ノードN1のときのように、現況情報記憶部25の現況交通情報ITRを検索して推定到達時刻を算出したり、予め定めたノードの数だけ現況情報記憶部25の現況交通情報ITRを検索して推定到達時刻を算出したりした後、以後のノードについては現況交通情報ITRの検索を行わないようにしてもよい。
【0054】
以後、推定到達時刻算出部37は、第2ノードN2の推定到達時刻の算出のように、第3〜第7ノードN3〜N7及び目的地Gの推定到達時刻を算出する。
そして、推定到達時刻算出部37は、第1〜第7ノードN1〜N7及び目的地Gの推定
到達時刻を算出すると、推定到達時刻を情報記憶部7の推定到達時刻情報記憶部7aに記憶するようになっている。
【0055】
また、探索処理部33が再探索を実行して新たな案内経路が再探索されたとき、その新たな案内経路における各ノード及び目的地の推定到達時刻を、前記と同様に算出する。つまり、新たな案内経路のノードの推定到達時刻は、その時の時間帯に即した現況情報記憶部25の現況交通情報ITR、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2又は基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3から選択されて算出される。また、本実施形態では、探索処理部33は、案内経路から外れたとき、ユーザの操作に基づいて再探索を実行する他に、偏差比較判定部41の比較結果に基づいて偏差比較判定部41から出力された再探索信号が入力されると、再探索を実行するようになっている。
【0056】
詳述すると、偏差比較判定部41は、案内経路の各ノードに到達する直前に来たことを現在位置検出部5から判断すると、そのノードの推定到達時刻を推定到達時刻情報記憶部7aから読み出し、推定到達時刻とその時の時刻(実時刻)との偏差を求める。偏差比較判定部41は、その偏差(本実施形態では、偏差は絶対値とする)が情報記憶部7に記憶した基準値Tを超えるかどうか比較する。偏差比較判定部41は、偏差が基準値Tを超える場合、実際の到達時刻と推定到達時刻とに大きな開きがあり、再探索して新たな案内経路とその各ノードの推定到達時刻を取得する必要があるとして、探索処理部33に対して再探索信号を出力するようになっている。偏差比較判定部41は、偏差が基準値T以下の場合、探索処理部33に対して再探索信号を出力しない。
【0057】
次に、上記するナビ装置1の作用について説明する。図7は、ナビゲーション処理(経路探索、経路案内)の全体のフローチャートを示している。まず、ユーザは、目的地Gの住所等を入出力部3から主制御部11(探索処理部33)に入力し、目的地Gの設定を行う(ステップS11)。探索処理部33は、情報記憶部7に記憶されている地図情報から目的地Gを検索し、その地図情報と道路情報とに基づいて、出発地Sから目的地Gまでの経路探索を行う(ステップS15)。本実施形態では、例えば、探索処理部33が複数の案内経路を探索し、それらの案内経路を構成する各リンクの交通情報に基づいて、各案内経路の目的地までの所要時間を算出する。そして、探索処理部33が、その各案内経路のうち最も所要時間の短い案内経路を案内経路R1として選択する。そして、探索された案内経路R1は、図6に示すように、表示部13に案内画像M1として表示される。このとき、主制御部11(推定到達時刻算出部37)は案内経路R1の各ノードの推定到達時刻を算出して情報記憶部7の推定到達時刻情報記憶部7aに記憶する。また、本実施形態では、図6に示すように、案内画像M1上に目的地の到着予想時刻(推定到達時刻)を表示する。本実施形態では、到着予想時刻は、18:00であったとする。
【0058】
そして、経路案内を開始する(ステップS20)。そして、図8のステップS25〜ステップS50に示すような処理を行う。
まず、主制御部11(偏差比較判定部41)は、現在地Pがノードに到達したか(正確にはノードに到達する直前に来たか)を判断する(ステップS25)。偏差比較判定部41は、現在地Pがノードに到達したと判断すると(ステップS25でYES)、そのノードが目的地Gのノードか判断する(ステップS26)。そのノードが目的地Gのノードのとき(ステップS26でYES)、主制御部11は、経路案内処理動作を終了する。
【0059】
そのノードが目的地Gのノードでないとき(ステップS26でNO)、主制御部11(偏差比較判定部41)は、そのノードにおける推定到達時刻を推定到達時刻情報記憶部7aから読み出す(ステップS30)。続いて、偏差比較判定部41は、その時の実時刻をタイマから読み出す(ステップS35)。
【0060】
次に、偏差比較判定部41は、推定到達時刻と実時刻との偏差を求め、その偏差が基準値Tを超えるかどうか判断する(ステップS40)。そして、その偏差が基準値T以下のとき(ステップS40でNO)、偏差比較判定部41は、ステップS25に移り、次のノードに到達したどうかの判断を行う。一方、その偏差が基準値Tを超えるとき(ステップS40でYES)、主制御部11(探索処理部33)は、そのノードから目的地Gまでの新たな案内経路を再探索する(ステップS50)。このとき、新たな案内経路であって目的地Gを含む各ノードについて推定到達時刻が新たに算出される。そして、ステップS25に移り、次にノードに到達したかどうかの判断を前記と同様に行う。
【0061】
そして、主制御部11は、目的地Gに到達するまで、前記の処理(ステップS25〜ステップS50)を繰り返し、目的地Gに到達すると(ステップS26でYES)、案内経路の案内を終了する。
【0062】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態によれば、経路案内中に、自動車がノードを通過する毎に推定到達時刻と実時刻との偏差を求めた。そして、その偏差が基準値Tを超える場合、その時間帯における現況情報記憶部25の現況交通情報ITR、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2又は基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3を参照して現在地Pから目的地Gまでの経路の再探索を行った。従って、その現在地Pにおいて、常に時間帯に即した案内経路が探索できるとともに推定到達時刻を算出することができ、ユーザに対してより的確な経路を提供することができる。
【0063】
(2)本実施形態によれば、経路案内中にノード毎に推定到達時刻を設定し、ノードに実際に到達した時刻が推定到達時刻より基準値Tを超える開きがあった場合、自動的に再探索を行った。従って、所要時間の推定到達時刻と実時刻とが大きく異ならないうちに、再探索をすることができるので、ユーザに対して迅速により的確な経路を提供することができる。
【0064】
(3)本実施形態によれば、各リンクの実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2又は基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3を時間帯毎に記憶した。従って、実際に走行する時間帯に即した推定到達時刻を算出できるので、より精度の良い経路探索、経路案内をすることができる。
【0065】
(4)本実施形態によれば、現況情報記憶部25、実走行情報記憶部27、過去統計情報記憶部29及び基本走行情報記憶部30に記憶された各交通情報ITR,IT1〜IT3をリンク毎に適宜組み合わせて、より的確な案内経路を探索するとともにより正確な推定到達時刻を算出した。そのため、例えば、道路交通情報通信システムに交通情報が蓄積されていないリンクや、走行したことのないリンクであっても、実際に走行する時間帯に即した推定到達時刻を算出することができる。従って、より精度の良い経路探索、経路案内をすることができる。
【0066】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、ナビ装置1に適用して好適な結果を得たが、これをナビ装置1及びそのナビ装置1を設けたナビゲーションシステムに適用してもよい。
【0067】
この場合、図9に示すように、ナビ装置1は自動車CAに取り付けられたナビ装置であって、そのナビ装置1は、携帯電話網等のネットワークMを介して情報センタNCと双方向通信可能な状態である。このように、ナビ装置1と情報センタNCとでナビゲーションシステムAが構成される。そして、ナビゲーションシステムA内のナビ装置1は、情報セ
ンタNC内に予めユーザ登録されており、ユーザIDによりそれぞれのナビ装置1が管理されているものとする。
【0068】
そして、ナビ装置1には交通情報記憶部9及び推定到達時刻算出部37を設けずに、情報センタNCに推定到達時刻算出部37と各ユーザの持つユーザIDに対応した交通情報記憶部9とを設ける。そして、ナビ装置1が推定到達時刻の算出の際に、ネットワークMを介して情報センタNCにユーザIDと案内経路を送信すると、情報センタNCは、その案内経路を構成する各ノードの推定到達時刻をナビ装置1に送信する。また、再探索の際も同様に、ナビ装置1が情報センタNCにネットワークMを介してユーザIDとユーザIDと新たな案内経路を送信すると、情報センタNCは、その新たな案内経路を構成する各ノードの推定到達時刻をナビ装置1に送信する。
【0069】
このようにすることによって、ナビ装置1に交通情報記憶部9を設ける必要がないため、ナビ装置1を小型化することができる。また、ナビ装置1が推定到達時刻を算出する必要がないため、ナビ装置1が実行する処理数を少なくすることができる。従って、簡単で小型な装置でありながらも、ユーザに対してより的確な経路を提供することができる。
【0070】
さらに、情報センタNCに設けた交通情報記憶部9のうち、実走行情報記憶部27には、情報センタNCの周辺のリンクを走行した各自動車から送信された履歴用走行データの中央値となる走行データを実走行交通情報IT1(リンク所要時間)として記憶するようにしてもよい。このようにすることによって、複数のユーザが送信した履歴用走行データを実走行交通情報IT1として蓄積することができるので、ユーザが走行したことのないリンクであっても、この実走行交通情報IT1を参照することにより、他のユーザの履歴用走行データを用いて経路探索、経路案内をすることができる。従って、精度のよい経路探索、経路案内ができる。
【0071】
○上記実施形態では、基準値Tを一定にしたが、これを、現在地Pが目的地Gに近くなるにしたがって大きくしてもよい。つまり、現在地Pが目的地Gに近くなるにしたがって、目的地Gに到着するまでに通過するリンク数が減るため、推定到達時刻と実時刻との偏差の蓄積は少なくなる。そのため、目的地Gにおける推定到達時刻と実時刻が大きく異ならなくなるので、基準値Tを大きくし、多少の偏差に対しては再探索を行わないようにしてもよい。
【0072】
○上記実施形態では、基準値Tは絶対値としたが、正数または負数であってもよい。すなわち、基準値Tが正数である場合は、偏差が基準値Tを超えるときは推定到達時刻が実時刻よりも遅れているので、主制御部11は、再探索及び推定到達時刻の再計算を行う。そして、基準値Tが負数である場合は、偏差が基準値Tを超えるときは推定到達時刻が実時刻よりも早いので、主制御部11は、推定到達時刻の再計算のみを行う。
【0073】
○上記実施形態では、再探索は、推定到達時刻算出部37から探索処理部33に再探索信号が入力されると自動で行った。これを、再探索をするか否かをユーザが選択手段としての入出力部3により選択するようにしてもよい。また、ユーザが再探索をしないことを選択したときにも、推定到達時刻算出部37は交通情報記憶部9を参照し、時間帯に即した推定到達時刻を再計算し、表示部13にその推定到達時刻を表示させてもよい。
【0074】
○上記実施形態では、実走行情報記憶部27に記憶する実走行交通情報IT1は、履歴用走行データの中央値をとったが、算術平均値をとるようにしてもよい。
○上記実施形態では、所要時間を記憶する間隔(時間帯)は15分としたが、これに限らない。また、時間帯は固定値ではなく、ユーザ指定により可変としてもよい。
【0075】
○上記実施形態では、現況情報記憶部25、実走行情報記憶部27、過去統計情報記憶部29及び基本走行情報記憶部30に記憶された各交通情報ITR,IT1〜IT3をリンク毎に適宜組み合わせて、より的確な案内経路を探索するとともにより正確な推定到達時刻を算出した。これを、各交通情報ITR,IT1〜IT3のうち少なくとも1つを選択してより的確な案内経路を探索するとともにより正確な推定到達時刻を算出するようにしてもよい。
【0076】
○上記実施形態では、経路探索は、最初にナビ装置1が複数の案内経路を探索し、それらの案内経路を構成する各リンクの交通情報に基づいて、各案内経路の目的地までの所要時間を算出する。そして、ナビ装置1は、その各案内経路のうち最も所要時間の短い案内経路を選択する。これを、経路探索時に、ナビ装置1が最適な案内経路を1つだけ探索するようにしてもよい。すなわち、リンクの交通情報及び通行規制等のリンク間の接続情報等を用いて出発地S(現在地P)から各ノードに至るまでの案内経路コスト(案内経路に対する評価値)を計算し、目的地Gまでの全てのコスト計算が終了したときに、案内経路コストが最小となるリンクを接続して、最適な案内経路を1つだけ探索するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施形態のナビゲーション装置のブロック図。
【図2】同じく、ナビゲーション装置のブロック図。
【図3】同じく、実走行交通情報を説明する説明図。
【図4】同じく、統計交通情報を説明する説明図。
【図5】同じく、推定到達時刻の算出方法を説明する説明図。
【図6】同じく、経路探索、経路案内を説明する説明図。
【図7】同じく、ナビゲーション処理を説明するフローチャート。
【図8】同じく、偏差比較判定処理を説明するフローチャート。
【図9】別例のナビゲーションシステムのブロック図。
【符号の説明】
【0078】
1…ナビゲーション装置、3…入出力部、5現在位置検出部、7…情報記憶部、9…交通情報記憶部、11…主制御部、13…表示部、15…GPS受信部、17…道路交通情報通信システム受信部、25…現況情報記憶部、27…実走行情報記憶部、29…過去統計情報記憶部、30…基本走行情報記憶部、31…検索処理部、33…探索処理部、35…機能処理部、37…推定到達時刻算出部、41…偏差比較判定部、A…ナビゲーションシステム、G…目的地、ITR…現況交通情報、IT1…実走行交通情報、IT2…統計交通情報、IT3…基本交通情報、La1〜La8…第1〜第8リンク、N1〜N7…第1〜第7ノード、NC…情報センタ、P…現在地、R1,Ra…案内経路、S…出発地、T…基準値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から目的地に向かうための複数のリンクから構成される案内経路を探索するナビゲーション装置において、
前記探索した案内経路の所定の地点における推定到達時刻を算出する推定到達時刻算出手段と、
前記推定到達時刻算出手段が算出した所定の地点の推定到達時刻を記憶する推定到達時刻記憶手段と、
前記案内経路中の所定の地点に到達するとき、前記推定到達時刻記憶手段に記憶した所定の地点に対する推定到達時刻を読み出し、その推定到達時刻とその時の実時刻との偏差を求め、その偏差と予め定めた基準値とを比較する比較手段と、
前記偏差が前記基準値を超えるとき、前記所定の地点から前記目的地までの新たな案内経路を再探索する再探索手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
所定の時間帯毎にリンクにおける交通情報を記憶する交通情報記憶手段を備え、
前記推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の所定の地点における推定到達時刻を前記交通情報記憶手段の交通情報に基づいて算出し、前記推定到達時刻記憶手段に記憶することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記再探索手段は、前記交通情報記憶手段の交通情報に基づいて前記所定の地点から前記目的地までの新たな案内経路を再探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記交通情報記憶手段は、
交通情報の提供対象となる情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、そのリンクにおける現在の交通情報である現況交通情報を記憶する現況情報記憶部と、
前記情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部と
を備え、
前記推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の各リンクの交通情報を、前記現況情報記憶部の現況交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報に基づいて前記案内経路の所定の地点における推定到達時刻を算出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記交通情報記憶手段は、
交通情報の提供対象となる情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、そのリンクにおける現在の交通情報である現況交通情報を記憶する現況情報記憶部と、
過去に走行した過去走行道路であって、その過去走行道路の各リンクに対して、前記所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の実走行交通情報を記憶する実走行情報記憶部と、
前記情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部と、
案内対象となる案内対象道路であって、その案内対象道路の各リンクに対して予め与え
られたそのリンクにおける基本交通情報を記憶する基本走行情報記憶部と
を備え、
前記推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の各リンクの交通情報を、前記現況情報記憶部の現況交通情報、前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報及び前記基本走行情報記憶部の基本交通情報のいずれかから選択して読み出し、その読み出した各リンクの交通情報に基づいて前記案内経路の所定の地点における推定到達時刻を算出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記推定到達時刻算出手段は、前記案内経路の各リンクの交通情報を選択する優先順位を、前記現況情報記憶部の現況交通情報、前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報、前記基本走行情報記憶部の基本交通情報の順にしたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記比較手段は、前記偏差が前記基準値を超えると判定した場合に、再探索手段にて再探索をするか否かをユーザが選択する選択手段を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記基準値は、所定の地点から目的地までの距離に応じて変動することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−23135(P2006−23135A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199901(P2004−199901)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】