説明

ナビゲーション装置

【課題】 交通情報が普段と異なるリンクを容易に判断することのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 主制御部11(機能処理部35の相違算出部)は、探索処理部33が案内経路を探索しているか否かに関わらず、ユーザが入出力部3を介して相違算出信号DSを入力すると、表示部13に表示される地図画像として描画される全リンクについて、リンク毎に現況の交通情報と普段の交通情報とを取得する。そして、現況の交通情報と普段の交通情報との相違が基準値を超えたとき、そのリンクを「普段と異なるリンク」と設定し、相違が基準値以下であれば、そのリンクを「普段と同じリンク」と設定する。主制御部11(機能処理部35の相違指標形成部)は、「普段と異なるリンク」と設定されたリンクを強調表示する相違指標を形成し、地図画像と共に入出力部3に出力し、表示部13に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの経路を案内するナビゲーション装置には、車両に搭載されるカーナビゲーション装置が知られている。そのカーナビゲーション装置は、目的地を設定するだけで現在地から目的地までの経路探索をして、音声や画像によってその探索した経路の経路案内ができるといった利便性から広く利用されるようになっている。
【0003】
また、カーナビゲーション装置においては、センタから受信した現況の交通情報および予め記憶されている過去の渋滞情報を統計的に処理した統計渋滞情報を表示することができるようになっていた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平09−113290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のカーナビゲーション装置では、センタから受信した現況の交通情報および過去の交通情報の統計値、すなわち普段の交通情報をそれぞれ表示するだけのものであった。そのため、ユーザは、例えば、表示されたそれぞれの交通情報を見て、今表示されている現況の交通情報が普段と異なるか否かを独自に判断しており、手間となっていた。また、ユーザがその判断を誤ることもあり、不便であった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、交通情報が普段と異なるリンクを容易に判断することのできるナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のリンクの交通情報を出力するナビゲーション装置において、前記複数のリンクの各々に対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける普段の交通情報を記憶する交通情報記憶手段と、前記複数のリンクのうちの任意の1つのリンクを対象リンクとして指定する指定手段と、前記対象リンクに対して、外部システムからの現況の交通情報と前記交通情報記憶手段からの普段の交通情報を取得する交通情報取得手段と、前記対象リンクに対して、前記普段の交通情報と前記現況の交通情報との相違を求め、その相違と予め定めた基準値とを比較する比較手段と、前記相違が前記基準値を超えたとき、前記対象リンクを強調出力するための相違指標を形成する相違指標形成手段と、その相違指標を出力部に出力する出力手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、現在地から目的地に向かうための複数のリンクから構成される案内経路を探索する経路探索手段と、前記案内経路を案内する経路案内手段とを備え、前記相違指標形成手段は、前記対象リンクが前記案内経路を構成する複数のリンクのうちの1つであるとき、前記対象リンクを特に強調出力するための強調相違指標を形成することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、前記相違の大きさに応じて前記相違指標、前記強調相違指標を変化させることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記相違指標と前記強調相違指標とを共に出力部に出力することを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記交通情報記憶手段は、交通情報の提供対象となる情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部を備え、前記交通情報取得手段は、前記普段の交通情報を前記過去統計情報記憶部の統計交通情報から読み出すことを要旨とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記交通情報記憶手段は、過去に走行した過去走行道路であって、その過去走行道路の各リンクに対して、前記所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の実走行交通情報を記憶する実走行情報記憶部と、交通情報の提供対象となる情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部と、案内対象となる案内対象道路であって、その案内対象道路の各リンクに対して予め与えられたそのリンクにおける基本交通情報を記憶する基本走行情報記憶部とを備え、前記交通情報取得手段は、前記普段の交通情報を前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報及び前記基本走行情報記憶部の基本交通情報のいずれかから選択して読み出すことを要旨とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のナビゲーション装置において、前記交通情報取得手段は、前記普段の交通情報を選択する優先順位を、前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報、前記基本走行情報記憶部の基本交通情報の順にしたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、複数のリンクのうちの対象リンクについて、現況の交通情報と交通情報記憶手段から普段の交通情報とを取得する。そして、比較手段がその普段の交通情報と現況の交通情報との相違を求め、その相違と予め定めた基準値とを比較する。相違が前記基準値を超えたとき、相違指標形成手段は任意の1つのリンクを強調出力するための相違指標を形成し、出力手段がその相違指標を出力部に出力する。この結果、ユーザは普段と交通情報の異なるリンクを容易に判断することができる。従って、ユーザは、例えば、普段と交通情報の異なるリンクを回避して走行したり、回避できない場合は、目的地に到着する時刻が遅れる旨を予め連絡したりすることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、現在地から目的地に向かうための複数のリンクから構成される案内経路を探索する経路探索手段と、案内経路を案内する経路案内手段とを備え、相違指標形成手段は、対象リンクが案内経路を構成する複数のリンクのうちの1つであるとき、その対象リンクを特に強調出力するための強調相違指標を形成する。この結果、ユーザは、案内経路の一部であるリンクについて普段の交通情報と現況の交通情報とが異なることを容易に判断することができる。従って、例えば、ユーザが経路案内手段の経路案内に依らずに自らそのリンクを回避して走行したり、回避できない場合は、目的地に到着する時刻が遅れる旨を予め連絡したりすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、相違の大きさに応じて相違指標、強調相違指標を変化させるので、例えば、ユーザが、普段の交通情報と現況の交通情報とがどの程度異なるかを容易に判断することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、相違指標と強調相違指標とを共に出力部に出力する。この結果、ユーザは、普段の交通情報と現況の交通情報とが異なるリンクを容易に判断し
ながらも、さらに、案内経路の一部であるリンクについて普段の交通情報と現況の交通情報とが異なることを容易に判断することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、交通情報記憶手段は、過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部を備え、普段の交通情報をその過去統計情報記憶部の統計交通情報から読み出す。従って、過去の交通情報に基づいた普段の交通情報を取得することができるので、ユーザは普段と交通情報の異なるリンクをより精度良く、容易に判断することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、交通情報記憶手段は、過去の実走行交通情報を記憶する実走行情報記憶部と、過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部と、基本交通情報を記憶する基本走行情報記憶部とを備えた。そして、交通情報取得手段は、普段の交通情報を実走行情報記憶部の実走行交通情報、過去統計情報記憶部の統計交通情報及び基本走行情報記憶部の基本交通情報のいずれかから選択して読み出す。従って、実際に走行する時間帯に即した普段の交通情報を取得することができるので、ユーザは普段と交通情報の異なるリンクをより精度良く、容易に判断することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、交通情報取得手段は、前記普段の交通情報を選択する優先順位を、前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報、前記基本走行情報記憶部の基本交通情報の順にした。この結果、例えば、過去に走行したことのないリンクであっても、交通情報の提供対象となっていないリンクであっても、実際に走行する時間帯に即した普段の交通情報を取得することができる。従って、ユーザは普段と交通情報の異なるリンクをより精度良く、容易に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の自動車に搭載したナビゲーション装置の第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。図1はナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、ナビゲーション装置(以下、ナビ装置という)1は、入出力部3、現在位置検出部5、情報記憶部7、交通情報記憶部9及び主制御部11を備えている。入出力部3、現在位置検出部5、情報記憶部7及び交通情報記憶部9は、それぞれ主制御部11に電気的に接続され、前記各部間で各種データの授受が可能となっている。
【0021】
入出力部3は、例えば、各種操作ボタンを備えるリモートコントローラ等の入力手段を備えており、経路案内を行うための各種操作信号を主制御部11に入力する。また、入出力部3は出力部としての表示部13を備えており、その表示部13は、例えば、画像を表示するタッチパネル式のLCD等であって、主制御部11による各種演算処理結果を出力表示する。また、この表示部13は、指等で所定の位置を押すことにより、指等で押した画面上の位置を検知して、その位置に対応する経路案内を行うための各種操作信号を主制御部11へ出力する。すなわち、表示部13は出力手段でありながらも入力手段としても機能する。
【0022】
現在位置検出部5は、車両の現在位置を検出するものである。その現在位置検出部5には、GPS受信部(Global Positioning System )15、道路交通情報通信システム受信部17、車速センサ19及び方位センサ21が備えられている。そして、現在位置検出部5は、GPS受信部15、道路交通情報通信システム受信部17によって受信した各種データを、また、車速センサ19及び方位センサ21にて検出された各センサ値のデータを、それぞれ主制御部11へ出力する。尚、本実施形態において、現在位置検出部5は、ナビ装置1が経路案内を行う間、常にこうした現在位置の座標検出を行う。
【0023】
情報記憶部7は、ハードディスク、DVD−ROM等の記憶媒体を備えたデータベースであって、経路探索、経路案内、相違算出処理等のためのプログラムや表示部13に地図、経路案内等を表示するためのプログラム等、各種プログラム及びデータが記憶されている。また、情報記憶部7は、主制御部11が目的地設定のために利用する目的地データ及び地図データや、経路探索に利用する道路データ、固定車速、基準値T等が記憶されている。
【0024】
固定車速とは、予め定めた走行速度であって、高速道路、都市高速道路、一般道路の3種類が用意されている。各道路の固定車速は、本実施形態では、渋滞がない条件での走行速度とし、例えば、高速道路で時速80キロメートル、都市高速道路で時速60キロメートル、一般道路で時速30キロメートルとしている。そして、これら固定車速は、それぞれの道路を走行する際にその道路上の各リンクを走行するのに要する時間(所要時間)を主制御部11が算出するときに利用される。
【0025】
基準値Tは、あるリンクでの普段の交通情報(所要時間)に対して現況の交通情報(所要時間)との差分(相違)によって新たな処理動作を実行するかどうか判断するための基準となる時間である。本実施形態では、基準値Tは、例えば5分とする。従って、現況の交通情報(所要時間)と普段の交通情報(所要時間)との相違が5分(基準値T)を超えたとき、主制御部11は後記する新たな処理を実行する。
【0026】
交通情報記憶手段としての交通情報記憶部9は、現況の交通情報及びそれぞれ異なる条件で求めた普段の交通情報を記憶するデータベースであって、現況情報記憶部25、実走行情報記憶部27、過去統計情報記憶部29及び基本走行情報記憶部30を備えている。そして、現況の交通情報は現況情報記憶部25に記憶されている。また、それぞれ異なる条件で求めた普段の交通情報は、実走行情報記憶部27、過去統計情報記憶部29、基本走行情報記憶部30に記憶されている。
【0027】
現況情報記憶部25には、現況交通情報ITRが記憶される。現況交通情報ITRは、道路交通情報通信システム受信部17がその時々で受信する外部システムとしての道路交通情報通信システムから一定範囲の道路上の各リンクの交通情報から抽出した、該リンクを走行するのに要する時間(リンク所要時間)であって、それぞれ走行方向(上り線又は下り線)毎に記憶されている。そして、道路交通情報通信システムから新しい交通情報が送信される毎に、現況交通情報ITRは更新されるようになっている。
【0028】
実走行情報記憶部27には、実走行交通情報IT1が記憶されている。実走行交通情報IT1は、過去に走行した各リンク(請求項6に記載の過去走行道路に相当する)の各々について、各時間帯に対する該リンクを走行するのに要する時間(リンク所要時間)であって、それぞれ走行方向(上り線又は下り線)毎に記憶されている。
【0029】
図3は、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1を説明するための模式図である。図3は、走行方向が上り線での、15:00〜18:00であって15分間隔に区分された各時間帯(所定の時間帯)での、リンク1〜リンク10の実走行交通情報(リンク所要時間)IT1を示す。ここで、例えば、リンク1の16:00〜16:14の時間帯には、「6」、即ち6分の実走行交通情報(リンク所要時間)IT1が記憶されている。
【0030】
この実走行交通情報IT1は、主制御部11によって、以下のように作成される。
主制御部11は、ある道路(案内経路)を走行中において、該道路上のリンク及びノードを現在位置と地図データから特定し、内蔵したタイマから該リンクを走行するのに要した所要時間(候補所要時間)を演算する。そして、そのときに候補所要時間とその時の時
間帯と走行方向とを履歴用走行データとして情報記憶部7の所定の記憶領域に記憶する。従って、道路を走行すればするほど、履歴用走行データが蓄積される。本実施形態では、同じ時間帯であって、走行方向が同じである5個の履歴用走行データが蓄積された状態で新たな履歴用走行データが作成されたとき、最も古い履歴用走行データが消去され、その新たな履歴用走行データに更新される。
【0031】
各リンクの各時間帯において、5個の履歴用走行データが蓄積されると、又は新たな履歴用走行データに更新されると、主制御部11は、その5個の履歴用走行データから実走行交通情報(リンク所要時間)IT1を算出する。主制御部11は、蓄積された5個の履歴用走行データ(候補所要時間)の中央値となる走行データ(候補所要時間)を実走行交通情報(リンク所要時間)IT1として実走行情報記憶部27に記憶する。
【0032】
従って、実走行交通情報IT1は、過去に実際に走行したときに取得した所要時間(候補所要時間)に基づいて求められたものであるため、精度の高いものとなる。しかも、時間帯毎に、実走行交通情報IT1が求められているため、さらに精度の高いものとなる。
【0033】
ちなみに、図3において、空白部分は、そのリンクにおけるその時間帯での履歴用走行データがない、又は履歴用走行データが不足して、いまだ実走行交通情報IT1を算出できていない部分である。つまり、ある時間帯においていまだ走行してないリンク、又は走行していても走行した回数が5回未満である場合には、その時間帯での実走行交通情報IT1は作成されない。
【0034】
過去統計情報記憶部29には、統計交通情報IT2が記憶されている。統計交通情報IT2は、各リンクについて、統計的に取得した各日毎に0:00〜23:59の24時間の各時間帯に対する該リンクを走行するのに要する時間(リンク所要時間)であって、それぞれ走行方向(上り線又は下り線)毎に記憶されている。この統計交通情報IT2は、予め道路交通情報通信システムから取得した過去の交通情報と、道路交通センサスから取得した過去の交通情報に基づいて作成されたデータであって、予め記憶されている。従って、この統計交通情報IT2は、予め道路交通情報通信システムからの交通情報や道路交通センサスからの交通情報の情報提供を受けることができる道路(請求項5及び請求項6に記載の情報提供対象道路に相当する)の各リンクに対して与えられる。
【0035】
図4は、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2を説明するための模式図である。図4は、走行方向が上り線での、15:00〜18:00であって15分間隔に区分された各時間帯におけるリンク1〜リンク10の統計交通情報IT2を示す。因みに、例えば、リンク1の15:00〜15:14の時間帯には、「3」、即ちリンク所要時間が3分の統計交通情報IT2が記憶され、リンク1の15:15〜15:29の時間帯には、「5」、即ちリンク所要時間が5分の統計交通情報IT2が記憶されている。なお、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2は、道路交通情報通信システム及び道路交通センサスデータを基にしていることから、24時間、全てのリンクに対して統計交通情報IT2が全て蓄積されているため、図4に示すように、各リンクについて空白部分は無く全て埋まっている。
【0036】
基本走行情報記憶部30には、基本交通情報IT3が記憶されている。基本交通情報IT3は、このナビゲーション装置が案内対象とする全ての道路(請求項6に記載の案内対象道路に相当する)の各リンクについて、予め与えられた各日毎に0:00〜23:59の24時間の各時間帯に対する該リンクを走行するのに要する時間(リンク所要時間)である。そして、基本交通情報IT3は、それぞれ走行方向(上り線又は下り線)毎に記憶されている。この基本交通情報IT3は、案内対象道路の各リンクについて予め与えられている前記固定速度とそのリンク長からリンク所要時間が求められ、そのリンク所要時間
が基本交通情報IT3として記憶されるようになっている。従って、基本走行情報記憶部30には、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2や実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1ではカバーしきれないリンクに対しても基本交通情報IT3が生成され、記憶されている。
【0037】
図1に示すように、主制御部11は、検索処理部31、探索処理部33及び機能処理部35を備えている。本実施形態では、主制御部11が、情報記憶部7に記憶した経路案内プログラム、相違算出プログラムを実行する。これにより、主制御部11は、指定手段、交通情報取得手段、比較手段、相違指標形成手段、出力手段、経路案内手段等として機能する。
【0038】
検索処理部31は、現在位置検出部5からの自動車の現在位置に関する各種データに基づいて自動車の現在位置を示す座標値を算出する。検索処理部31は、情報記憶部7に記憶された地図データを照会し、算出された座標値に対応する地図データ上の自動車の現在位置(以下、現在地Pという)を検索する。また、検索処理部31は、登録された目的地Gを地図データに照会し、地図データ上の位置を検索する。検索処理部31は、検索した結果得られた自動車の現在地Pや目的地G周辺の地図データに対応した画像データを形成する。そして、検索処理部31は、検索した結果得られた自動車の現在地Pの地図データに対応した画像データを入出力部3に出力し、表示部13に画像として表示させる。また、本実施形態では、例えば、図5に示すように、表示部13の画面上であって現在地Pの座標と相対する位置に、現在地Pを表示記号「△」で表示する。
【0039】
経路探索手段としての探索処理部33は、ユーザの指示、あるいは自動で、任意の2点間の経路、即ち案内経路を探索する。例えば、入出力部3から案内経路を探索する探索操作信号が入力されると、探索処理部33は、出発地Sから目的地Gまでの案内経路を探索し、その案内経路を表示案内するための各種情報を作成する。
【0040】
機能処理部35には、図2に示すように、相違算出部37と相違指標形成部41とが備えられている。
相違算出部37は、探索処理部33が案内経路を探索、案内しているか否かに関わらず、ユーザが入出力部3を介して相違算出信号DSを入力すると、表示部13に表示される一画面の画像であって現在地Pを含んだ画像である地図画像M1(図5参照)として描画される全リンクについて、相違算出処理を実行する。すなわち、経路案内されていないときであっても、ユーザが走行しない予定のリンクであっても、さらに現在地Pより後方(進行方向と逆向き)にあるリンクであっても、地図画像M1上に描画される全リンクに対して、相違算出処理が実行される。また、本実施形態では、各リンクの上り線、下り線についてそれぞれ相違算出処理が行われ、一方通行でないリンクのとき、上り線、下り線の順番で相違算出処理が行われる。相違算出処理は、リンク毎に現況の交通情報と前記それぞれの異なる条件で求められた普段の交通情報の中から選ばれた普段の交通情報との相違を算出し、その相違が基準値Tを超えたとき、そのリンクを強調表示するようになっている。
【0041】
詳述すると、相違算出部37は、まず、普段の交通情報として、地図画像M1上に描画される全リンクからリンクを1つずつ指定する。相違算出部37は、その指定した各リンクに対してそれぞれ交通情報を、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2又は基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3のいずれかから1つ選択する。そして、相違算出部37は、その選択した各指定されたリンクに対する交通情報IT1〜IT3、すなわちリンク所要時間をそれぞれ取得する。
【0042】
相違算出部37は、例えば、図5に示すように描画された地図画像M1上のリンクにつ
いて、地図画像M1の左側のリンクから右側のリンクに向かって順番にリンクを1つずつ指定し、その指定したリンク(対象リンク)の普段の交通情報、現況の交通情報を選択する。本実施形態では、第1リンクL1を指定したとする。
【0043】
まず、相違算出部37は、その第1リンクL1について、入出力部3から相違算出信号DSが入力された時間帯におけるその第1リンクL1に対する実走行交通情報IT1が実走行情報記憶部27にあるかどうか検索し、ある場合には、その実走行交通情報IT1を第1リンクL1の普段の交通情報(所要時間)とする。
【0044】
また、普段の交通情報となる実走行交通情報IT1がない場合には、相違算出部37は、入出力部3から相違算出信号DSが入力された時間帯におけるその第1リンクL1に対する統計交通情報IT2が過去統計情報記憶部29にあるかどうか検索し、ある場合には、その統計交通情報IT2を第1リンクL1の普段の交通情報(所要時間)とする。
【0045】
さらに、普段の交通情報となる統計交通情報IT2がない場合には、相違算出部37は、入出力部3から相違算出信号DSが入力された時間帯における基本走行情報記憶部30に記憶された第1リンクL1に対する基本交通情報IT3を第1リンクL1の普段の交通情報(リンク所要時間)とする。
【0046】
つまり、第1リンクL1のリンク所要時間は、実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2、基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3の順で交通情報が選ばれて取得される。
【0047】
次に、相違算出部37は、現況の交通情報として、第1リンクL1の交通情報を、現況情報記憶部25の現況交通情報ITR(リンク所要時間)から取得する。現況の交通情報と普段の交通情報を取得すると、相違算出部37は、現況の交通情報と普段の交通情報との相違を算出し、その相違が基準値Tを超えたか否かを判断する。そして、相違算出部37は、現況の交通情報と普段の交通情報との相違(本実施形態では、相違は絶対値とする)が基準値T以下であるとき、第1リンクL1を「普段と同じリンク」に設定する。そして、その第1リンクL1は、図6に示すように、単に道路として地図画像M1上に描画される。
【0048】
一方、相違算出部37は、相違が基準値Tを超えた場合、普段の交通情報と現況の交通情報とに大きな開きがあり、ユーザに知らせる必要があるとして、そのリンクを「普段と異なるリンク」に設定する。そのリンクが「普段と異なるリンク」に設定されると、相違指標形成部41により、そのリンクを強調表示する相違指標D(図6参照)が形成される。
【0049】
詳述すると、相違指標形成部41は、「普段と異なるリンク」と設定されたリンク周辺部分に対応する地図データ及び道路データを情報記憶部7から読み出す。そして、相違指標形成部41は、そのリンクに対応した道路データの近辺に表示されるように相違指標Dを形成する。例えば、「普段と同じリンク」と設定された第1リンクL1の次に第2リンクL2を指定し、その第2リンクL2が「普段と異なるリンク」と設定されたとする。すると、図6に示すように、相違指標Dは、どのリンクに対応した情報であるかをユーザが容易に判断出来るように、第2リンクL2から少しずらした状態で、第2リンクL2と重ならないように形成される。
【0050】
また、相違指標Dは、上り線、下り線の別がわかるように、例えば、車両の進行方向を示した矢印の指標であって、上り線側あるいは下り線側に表示されるように形成される。すなわち、例えば、第2リンクL2の上り線が「普段と異なるリンク」として設定された
ときは、図6に示すように、相違指標Dは第2リンクL2の上り線側に、上り方向を示した矢印の指標として形成される。そして、相違指標形成部41は、相違指標Dを形成すると、その相違指標Dを地図画像M1と共に描画し、入出力部3に出力し、表示部13に表示(出力)させる。
【0051】
次に、上記するナビ装置1の作用について説明する。図7は、相違算出処理の全体のフローチャートを示している。なお、本実施形態では、経路探索及び経路案内は行わずに、ユーザが表示部13に表示された現在地Pを含む地図画像M1を適宜見ながら、目的地まで走行するものとする。そして、ユーザが入出力部3を介して相違算出信号DSを入力すると、ナビ装置1は、相違算出処理を行う。
【0052】
図7に示すように、まず、最初に、相違算出部37は、地図画像M1(図5参照)として一画面に描画対象の全リンクについて相違算出処理が終了したか否かを判断する(ステップS10)。そして、描画対象の全リンクについて相違算出処理が終了していれば(ステップS10でYES)、主制御部11は、相違算出処理を終了する。
【0053】
描画対象の全リンクについて相違算出処理を終了していないとき(ステップS10でNO)、相違算出部37は、相違算出処理を行う対象リンクを指定する(ステップS15)。なお、本実施形態では、相違算出部37は、そのリンクが一方通行でなければ、上り線、下り線の順番で相違算出処理を行う。そして、相違算出部37は、その指定したリンクの上り線の普段の交通情報を実走行情報記憶部27、過去統計情報記憶部29、基本走行情報記憶部30のいずれかから取得する(ステップS20)。続いて、相違算出部37は、指定したリンクの上り線の現況の交通情報を現況情報記憶部25から取得する(ステップS25)。
【0054】
次に、相違算出部37は、取得した普段の交通情報と現況の交通情報との相違を算出し(ステップS30)、算出した相違が基準値Tを超えたかどうかを判定する(ステップS35)。そして、その相違が基準値T以下のとき(ステップS35でNO)、主制御部11(相違算出部37)は、その指定した対象リンクの上り線は、「普段と同じリンク」であると設定する(ステップS40)。対象リンクを「普段と同じリンク」に設定すると、特別な処理は行われず、単にそのリンクは道路として地図画像M1と共に描画される。
【0055】
一方、その相違が基準値Tを超えたとき(ステップS35でYES)、主制御部11(相違算出部37)は、その指定した対象リンクの上り線は、「普段と異なるリンク」であると設定する(ステップS45)。対象リンクを「普段と異なるリンク」とすると、相違指標形成部41は、相違指標Dを形成し、地図画像M1と共に描画する。
【0056】
そして、主制御部11(相違算出部37)は、その指定した対象リンクについて上下線共に相違算出処理が終了したか否かを判断する(ステップS50)。指定した対象リンクについて上下線共に相違算出処理が終了していないとき(ステップS50でNO)、ステップS20に移り、普段の交通情報の取得を前記と同様に行う。
【0057】
一方、その指定した対象リンクについて上下線共に相違算出処理が終了した、あるいはその指定した対象リンクが一方通行であって相違算出処理が終了したとき(ステップS50でYES)、ステップS10に移り、一画面に描画対象の全リンクについて相違算出処理を終了したか否かの判断を前記と同様に行う。
【0058】
そして、主制御部11は、相違算出処理(ステップS10〜ステップS50)を繰り返し、一画面に描画される地図画像M1上の全リンクについて相違算出処理が終了する(ステップS10でYES)と終了する。そして、主制御部11(相違算出部37)は、自動
車が走行するのに伴い画面が切り替わったり、ユーザが地図画像M1の縮尺を変更したり等することにより相違算出処理を行っていないリンクが表示部13の画面に表示される度に、上記相違算出処理を実行する。
【0059】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、探索処理部33が案内経路を探索しているか否かに関わらず、ユーザが入出力部3を介して相違算出信号DSを入力すると、表示部13に表示される現在地Pを含んだ地図画像M1として描画される全リンクについて、リンク毎に普段の交通情報と現況の交通情報とを取得した。そして、普段の交通情報と現況の交通情報との相違を算出し、その相違が基準値Tを超えたとき、そのリンクを「普段と異なるリンク」と設定し、現況の交通情報と普段の交通情報との相違が基準値T以下であれば、そのリンクを「普段と同じリンク」と設定した。相違指標形成部41は、相違算出部37によって「普段と異なるリンク」と設定されたリンクを強調表示する相違指標Dを形成し、地図画像M1と共に入出力部3に出力し、表示部13に表示させた。この結果、ユーザは「普段と異なるリンク」を容易に判断することができる。従って、ユーザは経路案内をしていないのにも関わらず「普段と異なるリンク」を回避して走行したり、回避できない場合は、目的地に到着する時刻が遅れる旨を予め連絡したりすることができる。
【0060】
(2)本実施形態によれば、探索処理部33が案内経路を探索していないときであっても、ユーザが入出力部3を介して相違算出信号DSを入力すると、相違算出処理が実行され、表示部13に「普段と異なるリンク」が表示される。すなわち、経路案内されていないときであっても、ユーザが走行しない予定であるリンクであっても、さらに現在地Pより後方(進行方向と逆向き)にあるリンクであっても、地図画像M1上に描画される全リンクに対して、相違算出処理が実行された。この結果、ユーザは、例えば、土地勘のある場所を運転するとき等、経路案内せずに走行する際にも、普段の交通情報と異なるリンクを容易に把握することができる。
【0061】
(3)本実施形態によれば、各リンクの実走行情報記憶部27の実走行交通情報IT1、過去統計情報記憶部29の統計交通情報IT2又は基本走行情報記憶部30の基本交通情報IT3を時間帯毎に記憶した。従って、実際に走行する時間帯に即したリンク所要時間を取得できるので、より精度の良い相違算出処理を実行することができる。
【0062】
(4)本実施形態によれば、実走行情報記憶部27、過去統計情報記憶部29及び基本走行情報記憶部30に記憶された各交通情報IT1〜IT3からリンク所要時間を取得した。そのため、例えば、道路交通情報通信システムに交通情報が蓄積されていないリンクや、走行したことのないリンクであっても、より正確なリンク所要時間を取得することができる。従って、より精度の良い相違算出処理を実行することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図8〜図10に従って説明する。本実施形態では、第1実施形態で説明した相違算出処理を経路案内中に行い、案内経路上のリンクが「普段と異なるリンク」であった場合に、そのリンクを特に強調表示することに特徴を有するので、以下の実施形態において、前記第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0063】
本実施形態においても、相違指標形成部41は、相違算出部37によって「普段と異なるリンク」と設定されたリンクを強調表示する相違指標を形成するが、さらに、その「普段と異なるリンク」が探索処理部33の探索した案内経路の一部であった場合、そのリンクを特に強調表示する強調相違指標を形成する。すなわち、例えば、図8に示すように、「普段と異なるリンク」である第3リンクL3が案内経路Rの一部でないとき、相違指標形成部41は、第1実施形態と同様に相違指標D1を形成する。一方、「普段と異なるリ
ンク」である第2リンクL2が案内経路Rの一部であるとき、相違指標形成部41は、相違指標D1と同じ形状であるが、点滅表示させて特に強調表示する強調相違指標D2を形成する。
【0064】
次に、上記するナビ装置1の作用について説明する。本実施形態では、図8に示すような案内経路Rに沿って走行するものとする。図9は、ナビゲーション処理(経路探索、経路案内)の全体のフローチャートを示している。まず、ユーザは、目的地の住所等を入出力部3から主制御部11(探索処理部33)に入力し、目的地の設定を行う(ステップS1)。探索処理部33は、情報記憶部7に記憶されている地図情報から目的地を検索し、その地図情報と道路情報とに基づいて、出発地から目的地までの経路探索を行う(ステップS3)。本実施形態では、例えば、探索処理部33が複数の案内経路を探索し、その複数の案内経路の中からユーザが最適な案内経路を選択する。そして、探索された案内経路Rは、図8に示すように、表示部13に表示される。
【0065】
そして、経路案内を開始し(ステップS5)、ユーザが入出力部3を介して相違算出信号DSを入力すると、相違算出処理(図7のステップS10〜ステップS50)を行う。なお、本実施形態では、図7のステップS10〜ステップS50のうち、ステップS45以外は第1実施形態と同様の処理のため、その詳細な説明は省略する。
【0066】
相違算出部37は、指定したリンクを「普段と異なるリンク」として設定すると(図7のステップS45)、図10のステップS60〜ステップS70の処理を行う。相違算出部37は、指定した対象リンクが案内経路R上にあるか否かを判断し(ステップS60)、案内経路R上にないときは(ステップS60でNO)、第1実施形態と同様に、相違指標形成部41がその指定したリンクを強調表示する相違指標D1を形成する(ステップS65)。
【0067】
一方、指定した対象リンクが案内経路R上にあるときは(ステップS60でYES)、相違指標形成部41がその対象リンクを特に強調表示する強調相違指標D2を形成する(ステップS70)。そして、相違指標形成部41は、相違指標または強調相違指標を形成すると、地図画像M1と共に描画して入出力部3に出力し、表示部13に表示させる。
【0068】
そして、相違算出部37は、目的地に達するまで前記の処理(ステップS10〜ステップS70)を繰り返し、目的地に達すると、案内経路の案内を終了する。
上記実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0069】
(1)本実施形態によれば、相違算出部37は、経路案内をしているときに、地図画像M1上に描画される全リンクに対して、相違算出処理を実行した。そして、相違算出部37により、「普段と異なるリンク」と設定されたリンクが探索処理部33の探索した案内経路Rの一部であった場合、相違指標形成部41は、そのリンクを特に強調表示する強調相違指標D2で示した。この結果、ユーザは、案内経路の一部であるリンクが普段と異なる状態であることを容易に判断することができる。従って、ユーザがナビ装置1の経路案内に依らずに自らそのリンクを回避して走行したり、回避できない場合は、目的地に到着する時刻が遅れる旨を予め連絡したりすることができる。
【0070】
(2)本実施形態によれば、相違算出部37は、経路案内をしているときに、地図画像M1上に描画される全リンクに対して、相違算出処理を実行した。そして、相違算出部37により、「普段と異なるリンク」と設定されたリンクが探索処理部33の探索した案内経路Rの一部でない場合、相違指標形成部41は、そのリンクを強調表示する相違指標D1を形成するが、特に強調表示することはない。従って、ユーザは、普段と異なる状態のリンクを容易に判断しながらも、さらに、案内経路の一部であるリンクが普段と異なる状
態であることを容易に判断することができる。
【0071】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記第1実施形態では、相違指標Dを地図画像M1と共に描画して表示部13に表示したが、これを相違指標Dを単独で表示部13に表示するようにしてもよい。
【0072】
○上記第2実施形態では、相違指標D1と強調相違指標D2を共に描画して表示部13に表示したが、これを相違指標D1を描画せずに、強調相違指標D2を表示部13に表示するようにしてもよい。
【0073】
○上記第2実施形態では、「普段と異なるリンク」を示す強調相違指標D2は、点滅表示させることにより強調表示したが、これに限定されず、「普段と異なるリンク」の色を変えたり、強調相違指標D2を太線の画像にしたりして強調表示してもよい。
【0074】
○上記各実施形態では、ナビ装置1に適用して好適な結果を得たが、これをナビ装置1及びそのナビ装置1を設けたナビゲーションシステムに適用してもよい。
この場合、図11に示すように、ナビ装置1は自動車CAに取り付けられたナビ装置であって、そのナビ装置1は、携帯電話網等のネットワークMを介して情報センタNCと双方向通信可能な状態である。このように、ナビ装置1と情報センタNCとでナビゲーションシステムAが構成される。そして、ナビゲーションシステムA内のナビ装置1は、情報センタNC内に予めユーザ登録されており、ユーザIDによりそれぞれのナビ装置1が管理されているものとする。
【0075】
そして、ナビ装置1には交通情報記憶部9及び相違算出部37を設けずに、情報センタNCに相違算出部37と各ユーザの持つユーザIDに対応した交通情報記憶部9とを設ける。そして、ナビ装置1がネットワークMを介して情報センタNCにユーザIDと相違算出処理対象のリンクを送信すると、情報センタNCの相違算出部37は、「普段と異なるリンク」と設定されたリンクをナビ装置1に送信する。そして、ナビ装置1の相違指標形成部41は、相違指標または強調相違指標を形成する。
【0076】
このようにすることによって、ナビ装置1に交通情報記憶部9を設ける必要がないため、ナビ装置1を小型化することができる。また、ナビ装置1が普段の交通情報と現況の交通情報との相違を算出する必要がないため、ナビ装置1が実行する処理数を少なくすることができる。従って、簡単で小型な装置でありながらも、ユーザは交通情報が普段と異なるリンクを容易に判断することができる。
【0077】
さらに、情報センタNCに設けた交通情報記憶部9のうち、実走行情報記憶部27には、情報センタNCの周辺のリンクを走行した各自動車から送信された履歴用走行データの中央値となる走行データを実走行交通情報IT1(リンク所要時間)として記憶するようにしてもよい。このようにすることによって、複数のユーザが送信した履歴用走行データを実走行交通情報IT1として蓄積することができるので、ユーザが走行したことのないリンクであっても、この実走行交通情報IT1を参照することにより、他のユーザの履歴用走行データを用いて相違算出処理をすることができる。従って、精度のよい相違算出処理をすることができる。
【0078】
○上記各実施形態では、現況交通情報ITRを現況情報記憶部25に記憶したが、これを現況情報記憶部25に記憶せず、道路交通情報通信システム受信部17が道路交通情報通信システムから受信する毎に、その現況交通情報ITRを相違算出処理に用いてもよい。
【0079】
○上記各実施形態では、基準値Tは絶対値としたが、正数または負数であってもよい。すなわち、現況の交通情報から普段の交通情報を減算して相違を算出すると、基準値Tが正数である場合は、相違が基準値Tを超えたときは普段の交通情報(リンク所要時間)より現況の交通情報(リンク所要時間)の方が長い。そのため、例えば、ユーザがそのリンクを回避して走行したり、回避できない場合は、目的地に到着する時刻が遅れる旨を予め連絡したりすることができる。一方、基準値Tが負数である場合は、相違が基準値Tを超えたときは普段の交通情報(リンク所要時間)より現況の交通情報(リンク所要時間)の方が短いので、例えば、ユーザがそのリンクを進んで選択して走行したり、目的地に到着する時刻が早くなる旨を予め連絡したりすることができる。
【0080】
○上記各実施形態では、実走行情報記憶部27に記憶する実走行交通情報IT1は、履歴用走行データの中央値をとったが、算術平均値をとるようにしてもよい。
○上記各実施形態では、所要時間を記憶する間隔(時間帯)は15分としたが、これに限らない。また、時間帯は固定値ではなく、ユーザ指定により可変としてもよい。
【0081】
○上記各実施形態では、実走行情報記憶部27、過去統計情報記憶部29及び基本走行情報記憶部30に記憶された各交通情報ITR,IT1〜IT3をリンク毎に適宜選択して、普段の交通情報を取得した。これを、各交通情報IT1〜IT3のうち少なくとも1つの交通情報を選択して、地図画像M1上に描画される全リンクはすべてその選択した少なくとも1つの交通情報から普段の交通情報を取得するようにしてもよい。
【0082】
○上記各実施形態では、経路探索は、最初にナビ装置1が複数の案内経路を探索し、その複数の案内経路の中からユーザが最適な案内経路を選択した。これを、経路探索時に、最適な案内経路を1つだけ探索するようにしてもよい。すなわち、リンクの交通情報及び通行規制等のリンク間の接続情報等を用いて出発地(現在地P)から各ノードに至るまでの案内経路コスト(案内経路に対する評価値)を計算し、目的地Gまでの全てのコスト計算を終了したときに、案内経路コストが最小となるリンクを接続して、最適な案内経路を1つだけ探索するようにしてもよい。
【0083】
○上記各実施形態では、相違は普段の交通情報(リンク所要時間)と現況の交通情報(リンク所要時間)との差分であったが、これを普段の交通情報(リンク所要時間)と現況の交通情報(リンク所要時間)との比率にしてもよい。
【0084】
○上記各実施形態では、普段の交通情報、現況の交通情報はいずれもリンク所要時間としたが、これを渋滞度としてもよい。すなわち、普段の交通情報と現況の交通情報との渋滞度が異なったとき、相違指標形成部41が相違指標または強調相違指標を形成するようにしてもよい。
【0085】
○上記各実施形態では、「普段と異なるリンク」を示す相違指標、強調相違指標を、矢印の画像としたが、これに限定されず、「普段と異なるリンク」の色を変えたり、相違指標、強調相違指標を太線の画像にしたり、破線の画像にしたりしてもよい。
【0086】
○上記各実施形態では、相違が基準値Tを超えたとき、そのリンクを「普段と異なるリンク」と設定し、相違指標、強調相違指標を形成した。これを、さらにその相違の大きさに応じて相違指標、強調相違指標の色や形状を変化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態のナビゲーション装置のブロック図。
【図2】同じく、ナビゲーション装置のブロック図。
【図3】同じく、実走行交通情報を説明する説明図。
【図4】同じく、統計交通情報を説明する説明図。
【図5】同じく、相違算出処理を説明する説明図。
【図6】同じく、相違指標を説明する説明図。
【図7】同じく、相違算出処理を説明するフローチャート。
【図8】第2実施形態の強調相違指標を説明する説明図。
【図9】同じく、ナビゲーション処理を説明するフローチャート。
【図10】同じく、強調相違指標を形成する処理を説明するフローチャート。
【図11】別例のナビゲーションシステムのブロック図。
【符号の説明】
【0088】
1…ナビゲーション装置、3…入出力部、5…現在位置検出部、7…情報記憶部、9…交通情報記憶部、11…主制御部、13…表示部、15…GPS受信部、17…道路交通情報通信システム受信部、25…現況情報記憶部、27…実走行情報記憶部、29…過去統計情報記憶部、30…基本走行情報記憶部、31…検索処理部、33…探索処理部、35…機能処理部、37…相違算出部、41…相違指標形成部、A…ナビゲーションシステム、D,D1…相違指標、D2…強調相違指標、IT1…実走行交通情報、IT2…統計交通情報、IT3…基本交通情報、L1…第1リンク、L2…第2リンク、L3…第3リンク、NC…情報センタ、P…現在地、R…案内経路、T…基準値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクの交通情報を出力するナビゲーション装置において、
前記複数のリンクの各々に対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける普段の交通情報を記憶する交通情報記憶手段と、
前記複数のリンクのうちの任意の1つのリンクを対象リンクとして指定する指定手段と、
前記対象リンクに対して、外部システムからの現況の交通情報と前記交通情報記憶手段からの普段の交通情報を取得する交通情報取得手段と、
前記対象リンクに対して、前記普段の交通情報と前記現況の交通情報との相違を求め、その相違と予め定めた基準値とを比較する比較手段と、
前記相違が前記基準値を超えたとき、前記対象リンクを強調出力するための相違指標を形成する相違指標形成手段と、
その相違指標を出力部に出力する出力手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
現在地から目的地に向かうための複数のリンクから構成される案内経路を探索する経路探索手段と、
前記案内経路を案内する経路案内手段と
を備え、
前記相違指標形成手段は、前記対象リンクが前記案内経路を構成する複数のリンクのうちの1つであるとき、前記対象リンクを特に強調出力するための強調相違指標を形成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記相違の大きさに応じて前記相違指標、前記強調相違指標を変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記相違指標と前記強調相違指標とを共に出力部に出力することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記交通情報記憶手段は、
交通情報の提供対象となる情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部を備え、
前記交通情報取得手段は、前記普段の交通情報を前記過去統計情報記憶部の統計交通情報から読み出すことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記交通情報記憶手段は、
過去に走行した過去走行道路であって、その過去走行道路の各リンクに対して、前記所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の実走行交通情報を記憶する実走行情報記憶部と、
交通情報の提供対象となる情報提供対象道路であって、その情報提供対象道路の各リンクに対して、所定の時間帯毎にそのリンクにおける過去の交通情報に基づく統計交通情報を記憶する過去統計情報記憶部と、
案内対象となる案内対象道路であって、その案内対象道路の各リンクに対して予め与え
られたそのリンクにおける基本交通情報を記憶する基本走行情報記憶部と
を備え、
前記交通情報取得手段は、前記普段の交通情報を前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報及び前記基本走行情報記憶部の基本交通情報のいずれかから選択して読み出すことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、
前記交通情報取得手段は、前記普段の交通情報を選択する優先順位を、前記実走行情報記憶部の実走行交通情報、前記過去統計情報記憶部の統計交通情報、前記基本走行情報記憶部の基本交通情報の順にしたことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−23241(P2006−23241A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203523(P2004−203523)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】