説明

ナビゲーション装置

【課題】 即時に案内する必要がある情報の案内を遅らせることなく、利用者に与える不快感を低減することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 利用者に鑑賞させる鑑賞情報および案内を表す案内情報を音声出力装置に音声出力させる制御手段を備えたナビゲーション装置において、案内情報は、即時性を要する案内を表す即時情報と、即時性を要さない案内を表す非即時情報とを含み、制御手段は、即時情報を音声出力装置で即時に音声出力させ、非即時情報を音声出力装置で鑑賞情報の区切りに音声出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に鑑賞させる鑑賞情報および案内を表す案内情報を音声出力装置に音声出力させるナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置は、オーディオ装置の音楽再生状態を検出し、オーディオ装置が音楽再生中であったならば、音声案内するタイミングを音楽の再生終了まで遅らせることによって、音楽の再生を中断することなく音声案内を行い、音楽鑑賞中に行う案内による利用者に与える不快感を低減していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−108908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のナビゲーション装置は、音楽の再生が終了するまで案内を遅延させるため、即時に案内する必要がある情報の案内が遅れてしまうといった問題があった。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、即時に案内する必要がある情報の案内を遅らせることなく、利用者に与える不快感を低減することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のナビゲーション装置は、利用者に鑑賞させる鑑賞情報および案内を表す案内情報を音声出力装置に音声出力させる制御手段を備えたナビゲーション装置において、前記案内情報は、即時性を要する案内を表す即時情報と、即時性を要さない案内を表す非即時情報とを含み、前記制御手段は、前記即時情報を前記音声出力装置で即時に音声出力させ、前記非即時情報を前記音声出力装置で前記鑑賞情報の区切りに音声出力させる構成を有している。
【0006】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、即時性を要する案内を即時に行い、即時性を要さない案内を鑑賞情報の区切りに行うため、即時に案内する必要がある情報の案内を遅らせることなく、利用者に与える不快感を低減することができる。
【0007】
なお、前記制御手段は、前記音声出力装置で音声出力させるタイミングに応じて前記案内情報を変化させるように構成してもよい。
【0008】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、案内するタイミングのずれに応じて案内する内容を適したものに変更することができる。
【0009】
また、前記制御手段は、前記案内情報を前記音声出力装置で音声出力させるときに、前記鑑賞情報の再生音量を下げるように構成してもよい。
【0010】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、利用者が鑑賞情報を鑑賞中であっても、案内を聞きやすくすることができる。
【0011】
また、前記鑑賞情報は、音楽を表し、前記鑑賞情報の区切りは、前記音楽の間奏部分を含むようにしてもよい。
【0012】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、一般的に音楽にナレーションを入れるタイミングで案内が行われるため、利用者に与える不快感を低減することができる。
【0013】
また、前記鑑賞情報は、音楽を表し、前記鑑賞情報の区切りは、前記音楽の曲間を含むようにしてもよい。
【0014】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、曲間に案内が行われるため、利用者に与える不快感を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、即時に案内する必要がある情報の案内を遅らせることなく、利用者に与える不快感を低減することができるといった効果を有するナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
なお、本実施の形態においては、本発明に係るナビゲーション装置を構成する制御手段をCPU(Central Processing Unit)を用いて構成した例について説明する。
【0018】
本発明の一実施の形態のナビゲーション装置を図1に示す。
【0019】
ナビゲーション装置1は、車両に設けられ、CPU2と、メモリ3と、ハードディスク4と、複数の衛星から送出されGPS(Global Positioning System)アンテナで受信された電波に基づいて現在位置の緯度および経度を測るGPS受信機5と、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報を受信および復号するためのVICS受信機6と、操作スイッチ7と、画像情報を映像信号に変換する画像処理チップ8と、映像信号を出力するモニタ9と、案内音声を再生する案内音声再生装置10と、音楽を再生する音楽再生装置11と、案内音声と音楽とをミキシングするミキサ12と、ミキシングされた音声を出力するスピーカ13とを備えている。
【0020】
ここで、案内音声再生装置10、音楽再生装置11、ミキサ12およびスピーカ13は、本発明における音声出力装置を構成する。また、操作スイッチ7とモニタ9は、タッチパネル付き液晶ディスプレイによって一体に構成してもよい。
【0021】
CPU2は、案内音声再生装置10および音楽再生装置11による再生を制御するための再生制御プログラム等を含むプログラムをハードディスク4等の記憶媒体からメモリ3に読み込み、メモリ3に読み込んだプログラムを実行することによって、ナビゲーション装置1の各機能を制御するようになっている。
【0022】
ハードディスク4には、上記プログラムの他に地図情報、経路探索情報、案内音声源および音楽情報等が記憶されている。
【0023】
地図情報には、道路、交差点、建造物および河川などの地物を表す情報および各地物に関する説明や広告等の情報を含む地物情報や、道路の車線数や一方通行などの交通規制に関する道路情報等が含まれる。例えば、地図情報は、プログラムを実行するCPU2によってDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体やネットワーク等からハードディスク4に読み込まれる。
【0024】
経路探索情報は、利用者によって操作スイッチ7を介して設定された出発地から目的地までの経路を表し、例えば、経路探索情報には、探索日時を示す情報、出発地を示す情報、目的地を示す情報、および、道路や交差点等の地物に付与されたIDの配列よりなる経路情報が含まれる。
【0025】
案内音声再生装置10は、再生制御プログラムを実行するCPU2による制御に基づいて、案内音声源を合成し、経路探索情報が表す探索経路を案内するための案内音声情報を生成し、生成した案内音声情報が表す案内音声を再生するようになっている。
【0026】
音楽情報は、少なくとも1つの曲(以下単に「トラック」という。)を含み、プログラムを実行するCPU2によってDVD等の着脱可能な記録媒体やネットワーク等からハードディスク4に読み込まれる。
【0027】
音楽再生装置11は、再生制御プログラムを実行するCPU2による制御に基づいて、ハードディスク4に読み込まれた音楽情報を再生するようになっている。なお、音楽再生装置11は、ハードディスク4に読み込まれた音楽情報の他に、CD(Compact Disc)等の着脱可能な記録媒体に記録された音楽情報を再生するようにしてもよい。
【0028】
以上のように構成されたナビゲーション装置1において、図2および図3を用いてその動作を説明する。
【0029】
図2は、再生制御プログラムを実行するCPU2の動作を説明するためのフロー図である。なお、以下の説明では、音楽情報の再生が時刻「00:00:00」に開始されているものとする。
【0030】
経路案内が開始されると、まず、CPU2は、案内情報テーブルを作成し(S1)、作成した案内情報テーブルをメモリ3に格納する。ここで、案内情報テーブルは、例えば、図3(a)に示すように、案内を識別するためのポイント番号、案内する緯度および経度、案内内容、即時性ならびに当該緯度および経度に現在位置が達する予想時刻をそれぞれ表す情報を含む案内情報よりなる。
【0031】
ここで、本実施形態において、案内情報は、経路探索情報に含まれる交差点のID毎に予め定められた案内内容を含むものが用意され、即時性は、各案内内容に対して一意に定められる。
【0032】
なお、即時性が「あり」の案内情報は、即時性を要する案内情報(以下単に「即時情報」という。)のことをいい、即時情報とは、交差点直前における右左折の指示等のように、GPS受信機5によって測られた緯度および経度が、案内情報テーブルで定められた緯度および経度に達したタイミングで案内する必要がある情報のことをいう。
【0033】
一方、即時性が「なし」の案内情報は、即時性を要さない案内情報(以下単に「非即時情報」という。)のことをいい、非即時情報とは、交差点手前における右左折の予告等のように、GPS受信機5によって測られた緯度および経度が、案内情報テーブルで定められた緯度および経度に達したタイミングでなくとも案内してよい情報のことをいう。
【0034】
次に、CPU2は、音楽解析テーブルを作成し(S2)、作成した音楽解析テーブルをメモリ3に格納する。ここで、音楽解析テーブルは、例えば、図3(b)に示すように、トラックを識別するためのトラック番号、トラックの再生時間(曲長)およびトラックに含まれる間奏時間をそれぞれ表す情報を含む項目よりなる。
【0035】
また、間奏時間を表す情報は、トラックの先頭を時刻「00:00:00」とした間奏の開始時刻および終了時刻の組よりなる。CPU2は、例えば、トラックから人間の声の周波数帯域の音声情報を抽出し、抽出した音声情報の音声レベルと予め定められた閾値とを比較することによって間奏時間を決定する。
【0036】
なお、図3(b)では、2つの間奏時間が示されているが、音楽解析テーブルに含まれる間奏時間を表す情報の数を限定するものではない。
【0037】
次に、CPU2は、音楽解析テーブルに基づいて案内情報テーブルを再構築する(S3)。例えば、図3(a)および(b)に示すように、ポイント番号1の案内情報は、非即時情報であり、トラック番号1のトラックの間奏以外の部分が再生されているときに予想時刻があたるため、CPU2は、図3(c)に示すように、ポイント番号1の案内情報の内容を削除する。
【0038】
また、ポイント番号2の案内情報は、トラック番号1のトラックの間奏部分が再生されているときに予想時刻があたるため、CPU2は、図3(c)に示すように、ポイント番号2の案内情報をそのまま残す。
【0039】
また、ポイント番号3の案内情報は、即時情報であるため、CPU2は、図3(c)に示すように、ポイント番号3の案内情報をそのまま残す。
【0040】
なお、非即時情報であり、間奏以外の部分が再生されているときに予想時刻があたる案内情報に対して、CPU2は、ポイント番号4の案内情報のように、間奏部分が再生されるときまで予想時刻を早めてもよく、ポイント番号5の案内情報のように、間奏部分が再生されるときまで予想時刻を遅くしてもよい。
【0041】
このように予想時刻を変更した場合には、CPU2は、緯度および経度ならびに案内内容を表す情報を予想時刻の変更量に応じて変化させる。例えば、図3(a)および(c)に示すように、CPU2は、ポイント番号4の案内情報に対して、予想時刻を早めたため、案内内容を「700m手前案内」から「750m手前案内」に変更している。一方、CPU2は、ポイント番号6の案内情報に対して、予想時刻を遅くしたため、案内内容を「100m手前案内」から「50m手前案内」に変更している。
【0042】
図2において、案内情報テーブルの再構築が完了すると、CPU2は、再構築された案内情報テーブルから予想時刻が最も近い案内情報を検出する(S4)。ここで、CPU2による案内情報の検出は、内容が削除された案内情報を除いて行われる。
【0043】
次に、CPU2は、検出した案内情報に含まれる緯度および経度とGPS受信機5によって測られた緯度および経度とを比較することによって、この案内情報に基づいた案内を行うタイミングまで待つ(S5)。
【0044】
案内を行うタイミングになると、CPU2は、当該案内情報に基づいた案内音声情報を案内音声再生装置10に生成させ、案内音声情報が表す案内音声を再生させる(S6)。ここで、音楽情報が音楽再生装置11によって再生されている場合には、CPU2は、音楽情報の再生音量を下げるように音楽再生装置11またはミキサ12を制御するようにしてもよい。
【0045】
ここで、CPU2は、経路案内が終了したか否かを判断し(S7)、経路案内が終了したと判断した場合には、動作を終了する。一方、CPU2は、経路案内が終了していないと判断した場合には、動作をステップS4に戻し、案内情報テーブルから予想時刻が最も近い案内情報を検出する(S4)。
【0046】
以上のような動作を実行しているときに、例えば、一時停止、早送りまたは巻き戻し等の音楽情報の再生状態の変更が利用者によって指示された場合や、再生する音楽情報の変更が指示された場合には、CPU2は、動作をステップS2に戻し、音楽解析テーブルの生成から再実行する。
【0047】
また、現在位置に到着した際の時刻と、現在位置に到着するものと予想された予想時刻との差が、予め定められた閾値を超えた場合には、CPU2は、動作をステップS1に戻し、案内情報テーブルの生成から再実行する。
【0048】
このような本発明の一実施の形態のナビゲーション装置1は、即時性を要する案内を即時に行い、即時性を要さない案内を鑑賞情報の区切りに行うため、即時に案内する必要がある情報の案内を遅らせることなく、利用者に与える不快感を低減することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、鑑賞情報として音楽情報を例に説明したが、本発明において、鑑賞情報は、講話や噺等を表す情報のように利用者に鑑賞させる他の情報でもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、案内情報として経路案内を表すものを例に説明したが、本発明において、案内情報は、VICS受信機6によって受信されたVICS情報等の他の案内を表すものでもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、鑑賞情報の区切りとしてトラックの間奏部分を例に説明したが、本発明において、鑑賞情報の区切りは、曲間でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置は、即時に案内する必要がある情報の案内を遅らせることなく、利用者に与える不快感を低減することができるという効果を有し、例えば、利用者に鑑賞させる鑑賞情報および案内を表す案内情報を音声出力装置に音声出力させるナビゲーション装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態におけるナビゲーション装置のブロック図
【図2】本発明の一実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を説明するためのフロー図
【図3】本発明の一実施の形態におけるナビゲーション装置が生成する案内情報テーブルおよび音楽解析テーブル
【符号の説明】
【0054】
1 ナビゲーション装置
2 CPU
3 メモリ
4 ハードディスク
5 GPS受信機
6 VICS受信機
7 操作スイッチ
8 画像処理チップ
9 モニタ
10 案内音声再生装置
11 音楽再生装置
12 ミキサ
13 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に鑑賞させる鑑賞情報および案内を表す案内情報を音声出力装置に音声出力させる制御手段を備えたナビゲーション装置において、
前記案内情報は、即時性を要する案内を表す即時情報と、即時性を要さない案内を表す非即時情報とを含み、
前記制御手段は、前記即時情報を前記音声出力装置で即時に音声出力させ、前記非即時情報を前記音声出力装置で前記鑑賞情報の区切りに音声出力させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記音声出力装置で音声出力させるタイミングに応じて前記案内情報を変化させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記案内情報を前記音声出力装置で音声出力させるときに、前記鑑賞情報の再生音量を下げることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記鑑賞情報は、音楽を表し、
前記鑑賞情報の区切りは、前記音楽の間奏部分を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記鑑賞情報は、音楽を表し、
前記鑑賞情報の区切りは、前記音楽の曲間を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−300648(P2006−300648A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121073(P2005−121073)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】