説明

ナビゲーション装置

【課題】経路設定における操作者の指示操作が簡易で効率的なナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】現在位置を測位する測位手段1と、測位手段1から得られる現在位置を位置情報として記憶する位置記憶手段4と、位置記憶手段4に記憶された位置を目的地として経路を設定する経路設定手段5と、操作者が操作指示を入力する操作ボタン(入力手段2)と、操作ボタンの操作状態に応じて、測位手段1から得られる現在位置を位置記憶手段4に記憶させるのか、経路設定手段5に位置記憶手段4に記憶された位置を目的地として経路を設定させるかを決定する制御手段9と、を有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路設定を行うナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、経路設定において登録済みの位置を目的地として経路設定が可能なナビゲーション装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなナビゲーション装置は、予め登録している任意の地点に対して経路設定を行う際、登録済みの位置を目的地として地図上に経路を設定する。
【特許文献1】特開平9−269237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記経路設定において予め登録しておく位置情報というのは、経路設定とは異なる地点登録機能として用意されており、測位情報に基づいて登録したり、地図表示上でユーザがカーソル指定することで登録したりするようになっており、操作的には別々にメニューをたどる等の操作が要求されているため、操作者は地点登録の操作と経路設定の操作をそれぞれ覚えておき、さらにそれらを実行する必要があり、操作的には非常に煩わしいものであった。
【0005】
本発明は、経路設定における操作者の指示操作が簡易で効率的なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題を解決するために本願の請求項1に係る発明は、現在位置を測位する測位手段と、測位手段から得られる現在位置を位置情報として記憶する位置記憶手段と、位置記憶手段に記憶された位置を目的地として経路を設定する経路設定手段と、操作者が操作指示を入力する操作ボタンと、操作ボタンの操作状態に応じて、測位手段から得られる現在位置を位置記憶手段に記憶させるか、経路設定手段に位置記憶手段に記憶された位置を目的地として経路を設定させるかを決定する制御手段と、を有する構成とした。
【0007】
この構成により、一つの操作ボタンへの操作者からの操作状態によって、操作メニュー的には異なる地点登録と当該地点を目的地とする経路設定とを指示操作できるようになる。
【0008】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、制御手段による操作ボタンの操作状態の判別は、長押し状態と短押し状態を検出することに基づく構成としたものである。
【0009】
この構成により、一つの操作ボタンに対する2つの異なる操作状態を検出することができる。
【0010】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、制御手段は、操作ボタンからの指示が経路設定手段に位置記憶手段に記憶された位置を目的地として経路を設定させるものである場合に、位置記憶手段に位置情報が登録されていなければ、その旨を操作者に知らせる、構成とした。
【0011】
この構成により、操作ボタンへの操作指示が誤った場合でも、その状況を操作者は確認することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一つの操作ボタンへの操作者からの操作状態によって、操作メニュー的には異なる地点登録と当該地点を目的地とする経路設定とを指示操作できるようになり、操作者は、地点登録と当該地点を目的地とする経路設定とを行う際の操作指示の煩雑さから解放され、操作性に優れたナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の機能ブロック図である。
【0016】
図1において、1は自位置の測位を行う測位手段である。2は操作者からの指示を入力する入力手段である。3は道路情報を中心とする地図情報を記憶した地図記憶手段である。4は位置(座標)情報を記憶する位置記憶手段である。5は地図上における2点間の経路を設定する経路設定手段である。10は経路設定手段5で設定された経路を記憶する経路記憶手段である。6は音声案内情報を記憶した音声案内記憶手段である。7は音声案内記憶手段6に記憶された音声案内情報を音声合成処理する音声合成手段である。8は音声合成手段7で処理された音声データを音声として出力する音声出力手段である。9は各手段の制御を行う制御手段である。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置のハードウェア構成図である。
【0018】
図2において、21はGPS衛星からの信号を受信して位置(緯度経度)情報に変換するGPS(グローバル・ポジショニング・システム)モジュールである。22は自立航法装置からの信号を受信して位置情報に変換するジャイロ・モジュールである。23は操作者が指示を入力するために操作する操作部である。
【0019】
24は処理制御部であって、プロセッサやRAM、ROM等で構成され、装置全体の制御を行う。25は外部記憶媒体であるメモリカードであり、SDカード等が用いられる。
【0020】
26は点灯処理部、27はLEDであり、点灯制御部26はLED27の発行状態等を制御する。
【0021】
28は音声処理部、29はスピーカーであり、音声処理部28で音声合成された音声データをスピーカ29から音声として出力する。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の外観斜視図である。本実施の形態では、地図表示のための表示画面を持たず、音声案内のみによって案内を行うナビゲーション装置を想定している。
【0023】
図3において、31、32はLEDであり、LED31は電源のON/OFF状態を操作者に知らせるためのものであり、LED32は測位した情報の精度を操作者に知らせるためのものである。
【0024】
33はメモリカード・スロットであり、地図情報等が記憶されたメモリカードを挿入するスロットである。34はリモコン受光部であり、赤外線通信によってデータを転送する場合等に用いられる。35はケーブルであり、移動体(自動車等)と接続され、電力や信号を受けるために用いられる。36はスピーカである。
【0025】
37、38は操作ボタンであり、操作者が押下することによって信号が装置内に伝えられる。操作ボタン37は現在位置から登録地点までの経路設定を指示するためのボタンであり、操作ボタン38は経路設定に際して、その条件を指示するためのボタンである。
【0026】
ここで、図1の機能手段と図2のハードウェアとの対応関係について説明する。
【0027】
測位手段1はGPSモジュール21とジャイロ・モジュール22によって実現される。GPSモジュール21とジャイロ・モジュール22は両方備えておいても良いが、何れか一方だけを備えていても良い。
【0028】
入力手段2は操作部23で実現され、操作部23は機械的なボタンを操作者が押すことで信号が入力される。
【0029】
地図記憶手段3はメモリーカード25で実現されるが、装置内部にHDD等の記憶手段を備え、その中に記憶させる構成であっても良い。
【0030】
位置記憶手段4、音声案内記憶手段6、経路記憶手段10は処理制御部24内のRAMやROMで実現される。位置記憶手段4の記憶する位置情報は装置の電源を落としてもデータが消去されないSRAMに記憶するのが好ましい。
【0031】
経路設定手段5、制御手段9は、処理制御部24によって実現され、処理制御部24内のプロセッサがROM等に記憶された各種制御プログラムを実行することによって実現される。
【0032】
音声合成手段7は音声合成処理部28、音声出力手段8はスピーカー29でそれぞれ実現される。
【0033】
以上のように構成されたナビゲーション装置において、以下にその動作を説明する。
【0034】
本実施の形態1におけるナビゲーション装置は、地図表示のための表示画面を持たず、音声案内のみによって操作者に案内を行う装置を想定しており、まず、その基本的動作について説明する。
【0035】
装置の電源がONになり、測位手段1から測位情報を得ると、制御手段9は地図記憶手段3に記憶された道路情報との照合を行う。照合の結果、地図上での位置情報を得ると、制御手段9は当該位置情報に基づく音声案内記憶手段に記憶された音声案内情報を取得し、音声合成手段7に渡す。音声合成手段7で音声合成処理によって音声データに変換し、音声出力手段8から音声として案内情報を出力する。
【0036】
経路設定手段5によって経路が設定されていれば、「次の交差点を右へ進んで下さい」等の経路を誘導する案内を行い、経路が設定されていなければ、「〇〇交差点です」等の自位置を確認できるような案内を行う。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の動作フローチャートである。本実施の形態では、指定地点の登録処理と、現在位置から登録された指定地点までの経路設定処理を1つのボタン(図3の操作ボタン37)操作で指示できることを特徴としており、その動作について示したものである。
【0038】
図4に示すように、ステップ1では、制御手段9によって入力手段2(操作ボタン37)が操作者から押下されているかを検出している。押下が検出されればステップ2へ進む。
【0039】
ステップ2では、制御手段9は、入力手段2からの指示が、指定地点の登録処理であるのか?現在位置から登録された指定地点までの経路設定処理であるか?を判別する。
【0040】
これは操作者による操作ボタン37の操作状態によって判別し、本実施の形態では操作ボタン37が長押しされた場合には指定地点の登録処理であると、短押しされた場合には現在位置から登録された指定地点までの経路設定処理であると判別するように構成している。
【0041】
操作ボタン37の操作状態である長押し、短押しの状態判定は、制御手段9を構成するプロセッサの動作クロックを基準に計測することで容易に実現できる。
【0042】
ステップ2で制御手段9が「長押し」であると判別した場合は、ステップ3の指定地点の登録処理を実行する。これは、測位手段1の測位情報から得られる現在の位置情報を位置記憶手段4に記憶させるものである。
【0043】
ステップ2で制御手段9が「短押し」であると判別した場合は、ステップ4の現在位置から登録された指定地点までの経路設定処理を実行する。これは、位置記憶手段4に記憶されている位置を目的地とし、測位手段1の測位情報から得られる現在位置を出発地として、この2点を結ぶ地図上での経路を経路設定手段5によって求めるものである。
【0044】
なお、経路設定手段5によって経路設定を行う際、位置記憶手段4に位置情報が記憶されていない場合が想定されるが、その場合には、制御手段9は「目的地が登録されていません」という音声を音声出力手段8から出力させ、経路設定を中止する。
【0045】
以上のように本実施の形態によれば、入力手段2(操作ボタン37)の操作状態が「長押し」か「短押し」かによって、指定地点の登録処理と、現在位置から登録された指定地点までの経路設定処理とを区別して実行できるようにしたので、操作者は、地点登録と、当該登録地点までの経路設定とを操作指示する際に、別々のメニューを辿る必要が無くなり、操作の煩雑さが解消する。
【0046】
また、登録地点を「自宅」とし、当該地点までの経路設定を「自宅までの帰路設定」と定義付けることによって、操作者はより直感的にわかりやすい操作ボタンとして受け止めることができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、地図表示のための表示画面を持たず、音声案内のみで案内を実行するナビゲーション装置を記載したが、地図表示を行うナビゲーション装置においても本実施の形態における発明を実現することは容易である。また、その際には、機械的な操作ボタンではなく、GUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)におけるタッチパネル式のボタン等であっても操作状態を検出して本実施の形態における発明を実現することは容易である。
【0048】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について説明する。
【0049】
図5は、本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の機能ブロック図である。
【0050】
図5において、52は操作者からの操作指示を入力する入力手段、54は経路設定の際の条件を記憶する経路条件記憶手段、55は経路条件記憶手段54の経路条件に従って、指定された地図上の2点間の経路を計算する経路設定手段、60は経路設定手段55で得られた経路を記憶する経路記憶手段であり、59は装置全体の各種制御を行う制御手段である。
【0051】
図5に示されるその他の手段は、図1に記載される同名の手段と同じであり、各手段の説明は省略する。
【0052】
ハードウェア構成についても図2、図3に示すものと基本的には同様であり、相違する点について説明しておく。
【0053】
経路条件記憶手段54、経路記憶手段60は、図2に示す処理制御部24内のRAMに記憶されることで実現される。この場合のRAMは装置の電源が落ちたときでも内容が消去されないSRAM等のRAMが好ましい。
【0054】
経路設定手段55、制御手段59は、図2に示す処理制御部24内のプロセッサ(CPU等)が各種の制御プログラムを実行することによって実現される。
【0055】
入力手段52は、図2示す操作部23によって実現されるが、より詳細には図3に示す操作ボタン38によって実現している。
【0056】
以上のように構成された本実施の形態のナビゲーション装置について、以下にその動作を説明する。
【0057】
本実施の形態のナビゲーション装置も、実施の形態1と同様に音声のみによって案内を行う装置である。
【0058】
このようなナビゲーション装置によって、経路設定を行う際に出発地と目的地を入力する一例を説明する。
【0059】
図3に示すように、本実施の形態のナビゲーション装置では、装置の前面にリモコン受光部34を備えており、赤外線通信可能な別装置から出発地と目的地の位置座標を送信し、ナビゲーション装置は、出発地と目的地の位置座標を受信すると、これら2点間の地図上での経路を計算によって求める。
【0060】
図6は、本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の動作フローチャートであり、経路計算時に用いられる経路条件を変更する動作を示したものである。具体的な経路条件とは「一般道路のみ」「有料道路優先」等の経路計算時に道路を選択するための大きな条件であり、本実施の形態では、この2つの条件の切り替え操作を例に挙げて説明する。
【0061】
なお、以下の動作説明では、指定された出発地と目的地に基づいて経路設定手段55により経路計算が行われ、経路記憶手段60に経路が記憶された状態であるとして説明する。
【0062】
図6に示すように、ステップ21では、制御手段59によって入力手段52(操作ボタン38)が操作者から押下されているかを検出している。押下が検出されればステップ2へ進む。
【0063】
ステップ22では、制御手段59は、経路条件記憶手段54に記憶されている経路条件を更新する。具体的には、図2に示す処理制御部24のRAMに、「一般道路のみ」であれば「0」のフラグを、「有料道路優先」であれば「1」のフラグをたてるように構成しておき、ステップ21で操作ボタン38が押されたことを検出すると、そのときのフラグが「0」であれば「1」に変更することを意味している。
【0064】
ステップ23では、更新された経路条件に基づいて、経路記憶手段60に記憶されている経路を再計算する。具体的には、上記のように経路条件記憶手段54のフラグが「0」から「1」に変更されれば、一般道路のみで計算されて経路記憶手段60に記憶されている経路を、有料道路優先で再計算し、経路記憶手段60に記憶されている経路を更新する。
【0065】
なお、本実施の形態のような装置では、地図表示のための表示画面を持たないため、最初に設定する経路が、どのような条件で設定されたのかを操作者がつかみ辛いため、経路設定を行う際に、音声等で「一般道路のみで経路設定します」等の経路条件をアナウンスするとより便利なものとなる。
【0066】
以上のように本実施の形態によれば、操作ボタン38を押すことによって経路条件を変更と、当該変更された経路条件に基づく経路計算を指示することができ、条件を替えた経路の再計算における操作性が格段に向上する。
【0067】
なお、本実施の形態では、地図表示のための表示画面を持たず、音声案内のみで案内を実行するナビゲーション装置を記載したが、実施の形態1と同様に地図表示を行うナビゲーション装置においても本実施の形態における発明を実現することは容易である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置は、一つの操作ボタンへの操作者からの操作状態によって、操作メニュー的には異なる地点登録と当該地点を目的地とする経路設定とを指示操作できるようになるという効果を有し、登録済みの地点を目的地として経路設定を行うナビゲーション装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置のハードウェア構成図
【図3】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の外観斜視図
【図4】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の動作フローチャート
【図5】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の機能ブロック図
【図6】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の動作フローチャート
【符号の説明】
【0070】
1 測位手段
2 入力手段
3 地図記憶手段
4 位置記憶手段
5 経路設定手段
9 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段から得られる現在位置を位置情報として記憶する位置記憶手段と、
前記位置記憶手段に記憶された位置を目的地として経路を設定する経路設定手段と、
操作者が操作指示を入力する操作ボタンと、
前記操作ボタンの操作状態に応じて、前記測位手段から得られる現在位置を前記位置記憶手段に記憶させるのか、前記経路設定手段に前記位置記憶手段に記憶された位置を目的地として経路を設定させるかを決定する制御手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段による操作ボタンの操作状態の判別は、長押し状態と短押し状態を検出することに基づくものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記操作ボタンからの指示が前記経路設定手段に前記位置記憶手段に記憶された位置を目的地として経路を設定させるものである場合に、前記位置記憶手段に位置情報が登録されていなければ、その旨を操作者に知らせる、ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−343099(P2006−343099A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−306654(P2003−306654)
【出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】