説明

ナビゲーション装置

【課題】 目的地までの経路を必要以上に迂回させることなしに、車両が雨に少しでも多く濡れることのない経路または強い日差しに少しでも多く照らされることのない経路を推奨経路として探索することのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 目的地までの経路の案内を行うナビゲーション装置であって、気象情報を取得する気象情報取得手段12と、道路地図データに、高架の上下に並走設置された互いの道路に対する上下位置関係を識別可能な高架識別情報を含み、前記取得した気象情報と前記高架識別情報とに基づいて経路探索を行う推奨経路探索手段20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在位置から目的地までの推奨経路を探索する推奨経路探索手段を備えたナビゲーション装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気象条件に適した推奨経路を探索するナビゲーション装置が提案されている。例えば、特許文献1に示すように、道路情報を含む地図データが記憶された地図データ記憶手段と、気象情報を取得する気象情報取得手段と、該気象情報取得手段が取得した気象情報と、前記地図データ記憶手段に記憶された道路情報とに基づく計算条件に従って出発地から目的地までの経路を計算する経路計算手段を備えることにより、気象条件に適した経路を計算し提示させるものや、例えば、特許文献2に示すように、車両に搭載され、該車両の現在位置を検出する位置検出手段と、道路地図データに基づいて目的地までの推奨する経路を探索する経路探索手段と、気象条件に関係して動作する車載機器の動作情報を取得する動作情報取得手段と、この動作情報取得手段により取得された前記車載機器の動作情報から気象条件を判定する気象条件判定手段を備え、前記経路探索手段が、前記気象条件判定手段の判定を加味して経路探索を行うように構成したものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−210865号公報
【特許文献2】特開2003−161628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、例えば、冬季等において路面の凍結の虞のある橋や山道を避けるように、また例えば、降雨時に浸水(冠水)の虞のある低地の道路や崖崩れの虞のある山道を避けるように推奨経路を探索するため、目的地までの経路が必要以上に迂回されてしまう可能性があった。
【0005】
また、種々の気象条件に対して、各ドライバ等が避けたいドライブ環境は、多種多様であり、各気象条件に対して、一律な条件で迂回経路を探索して推奨するものから、それぞれのドライバ等の事情を勘案した推奨経路を探索するナビゲーション装置の開発が望まれていた。
【0006】
例えば、自動車愛好家からは、降雨時に、なるべく車両が雨に濡れて汚れることなく目的地にまで辿り着くことが可能な推奨経路を、また例えば、特に女性ドライバからは、日照時に、なるべく強い日差しに照らされることなく目的地にまで辿り着くことが可能な推奨経路を探索するナビゲーション装置の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑み、目的地までの経路を必要以上に迂回させることなしに、車両が雨に少しでも多く濡れることのない経路または強い日差しに少しでも多く照らされることのない経路を推奨経路として探索することのできるナビゲーション装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明によるナビゲーション装置の第一の特徴構成は、目的地までの経路の案内を行うナビゲーション装置であって、気象情報を取得する気象情報取得手段と、道路地図データに、高架の上下に並走設置された互いの道路に対する上下位置関係を識別可能な高架識別情報を含み、前記取得した気象情報と前記高架識別情報とに基づいて経路探索を行う推奨経路探索手段と、を備える点にある。
【0009】
上述の構成とすることにより、例えば、特定の天候のときに、高架上道路を通行するよりも高架下道路を通行した方がドライバにとって都合がよいようなときに、目的地までの経路における高架の上下に並走設置された道路区間で、高架下道路を選択すれば、目的地までの経路を迂回させることがなく、且つ、ドライバにとって都合のよいドライブ環境が少しでも多く含まれる経路を推奨経路として探索することができるのである。また、前記道路地図データに、高架の上下に並走設置された互いの道路に対する上下位置関係を識別可能な高架識別情報が含まれているため、前記推奨経路探索手段は、高架の上下に並走設置された道路区間において、確実に高架下道路を選択することができるのである。
【0010】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記取得する気象情報が、現在位置における現在の天候情報であり、前記天候情報が降雨または日照のときに、前記推奨経路探索手段が高架下道路を選択する点にある。
【0011】
天候が降雨のときには、高架下道路は、高架上道路によって雨が遮られているため、車両が高架下道路を通行すれば、車両が雨に濡れることを防止することができる。また、天候が日照のときには、高架下道路は、高架上道路によって日差しが遮られているため、車両が高架下道路を通行すれば、ドライバは日差しを避けることができる。つまり、上述の構成とすることにより、天候が降雨であっても車両が雨に少しでも多く濡れない経路として、また、天候が日照であっても強い日差しに少しでも多く照らされない経路として、前記推奨経路を探索できるとともに、目的地までの経路を迂回させることのない経路として推奨経路を探索することができるのである。また、天候が降雨や日照でないときには、高架下道路であるか否かに関わることなしに、推奨経路を探索することができるのである。
【0012】
同第三の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記取得する気象情報が、現在位置から目的地までの通過予定地域における現在から所定の時間後までにおける予測天候であり、前記予測天候が降雨または日照のときに、前記推奨経路探索手段が高架下道路を選択する点にある。
【0013】
天候が降雨のときには、高架下道路は、高架上道路によって雨が遮られているため、車両が高架下道路を通行すれば、車両が雨に濡れることを防止することができる。また、天候が日照のときには、高架下道路は、高架上道路によって日差しが遮られているため、車両が高架下道路を通行すれば、ドライバは日差しを避けることができる。つまり、上述の構成とすることにより、天候が降雨であっても車両が雨に少しでも多く濡れない経路として、また、天候が日照であっても強い日差しに少しでも多く照らされない経路として、前記推奨経路を当該車両の現在位置における現在の天候が降雨または日照となる前に探索できるとともに、目的地までの経路を迂回させることのない経路として推奨経路を探索することができるのである。また、天候が降雨や日照にならないと予測されるときには、高架下道路であるか否かに関わることなしに、推奨経路を探索することができるのである。
【0014】
同第四の特徴構成は、上述の第三の特徴構成に加えて、前記推奨経路探索手段が前記予測天候の降雨または日照となっている地域に対して高架下道路を選択する点にある。
【0015】
上述の構成によれば、前記推奨経路探索手段が前記予測天候の降雨または日照となっている地域に対して高架下道路を選択するため、例えば、前記高架の上下に並走設置された道路において、一方が多くの交差点をバイパスしたバイパス道路であり、他方が多くの交差点をバイパスしたバイパス道路であったようなときに、他の地域においては、高架の上下に関係なく前記バイパス道路を選択することで車両の移動時間を短縮する経路を推奨経路として探索することができるとともに、前記予測天候の降雨または日照となっている地域に対しては、車両が雨に少しでも多く濡れない経路または強い日差しに少しでも多く照らされない経路を推奨経路として探索することができるのである。
【0016】
同第五の特徴構成は、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記道路地図データに、高架の上下に並走設置された道路と他の道路を識別する道路形態識別情報を含み、前記推奨経路探索手段が所定の迂回条件内で、前記道路形態識別情報に基づいて高架下道路を優先的に探索する点にある。
【0017】
上述の構成によれば、前記推奨経路探索手段が所定の迂回条件内で、前記道路形態識別情報に基づいて高架下道路を優先的に探索するため、車両が雨に更に少しでも多く濡れない推奨経路または強い日差しに更に少しでも多く照らされない推奨経路を、目的地までの経路を必要以上に迂回することのない経路として探索することができるのである。
【0018】
同第六の特徴構成は、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記推奨経路探索手段が推奨経路を探索した後に、再度取得した新たな気象情報が、前記所定の条件となったとき、または、前記所定の条件ではなくなったときに、前記推奨経路探索手段が新たな現在位置から目的地までの推奨経路を前記新たな気象情報に基づいて再探索する点にある。
【0019】
上述の構成とすることにより、車両が雨に濡れる恐れがなくなったときまたは強い日差しに照らされる恐れがなくなったときに、例えば、移動距離や移動時間を重視した経路を推奨経路として速やかに再探索できるとともに、車両が雨に濡れる恐れが発生したときまたは強い日差しに照らされる恐れが発生したときに、天候が降雨であっても車両が雨に少しでも多く濡れない経路または天候が日照であっても強い日差しに少しでも多く照らされない経路を推奨経路として速やかに再探索できるのである。
【0020】
同第七の特徴構成は、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記道路地図データに高架下道路の車線情報を含むとともに、前記推奨経路探索手段が、前記車線情報と前記取得した気象情報に基づいて前記高架下道路で車両が通行すべき車線を推奨案内する通行車線推奨案内手段を備えている点にある。
【0021】
高架下道路は、道路幅方向に対して、その全てが高架上道路に覆われているとは限らない。そして、高架下道路が複数車線あるようなときには、高架上道路に覆われている車線と、覆われていない車線があるときがある。つまり、上述の構成によれば、前記道路地図データに高架下道路の車線情報を含むとともに、通行車線推奨案内手段が前記車線情報と前記取得した気象情報に基づいて前記高架下道路で車両が通行すべき車線を推奨案内するため、例えば、前記車線情報が高架上道路に覆われている車線と覆われていない車線の存在の有無や、前記車線情報が高架上道路に覆われている車線と覆われていない車線の識別等の車線情報に基づいて、前記通行車線推奨案内手段が高架上道路に覆われている車線を推奨案内すれば、ドライバは車両が雨に少しでも多く濡れないように、または、強い日差しに少しでも多く照らされないように車線を選択して車両を運転することができるのである。
【0022】
同第八の特徴構成は、上述の第七の特徴構成に加えて、前記取得する気象情報に更に風速及び風向を含み、前記天候または前記予測天候が降雨のときに、前記通行車線推奨案内手段が前記風速及び前記風向に応じた車線を推奨案内する点にある。
【0023】
高架上道路に覆われている高架下道路の車線であっても、雨は風等の影響によって横方向から吹き付けるときがある。つまり、上述の構成によれば、前記取得する気象情報に更に風速及び風向を含み、前記天候または前記予測天候が降雨のときに、前記通行車線推奨案内手段が前記風速及び前記風向に応じた車線を推奨案内するため、例えば、前記通行車線推奨案内手段が、風が吹いていても、前記風速及び前記風向に応じて、雨が横方向からも吹き付けることのない車線を推奨案内すれば、ドライバは車両が雨に少しでも多く濡れないように車線を選択して車両を運転することができるのである。
【0024】
同第九の特徴構成は、上述の第一から第八の何れかの特徴構成に加えて、現在位置が高架下道路であるか否かを検出する高架下検出手段と、現在位置が高架下道路であったときに、当該高架下道路を抜け出るまでの残距離を前記道路地図データに基づいて導出するとともに、前記導出した残距離が所定距離以下になったときに、当該高架下道路から抜け出ることを案内する高架下道路終了案内手段を備えた点にあり、ドライバは当該高架下道路から抜け出ることを事前に認識することができるのである。
【0025】
同第十の特徴構成は、上述の第九の特徴構成に加えて、前記高架下道路終了案内手段は、前記取得した気象条件が前記所定の条件のときに、高架下道路終了案内を実行する点にある。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した通り、本発明によれば、目的地までの経路を必要以上に迂回させることなしに、車両が雨に少しでも多く濡れることのない経路または強い日差しに少しでも多く照らされることのない経路を推奨経路として探索することのできるナビゲーション装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明によるナビゲーション装置を車両に搭載した実施形態について説明する。前記ナビゲーション装置の概略構成は、図1に示すように、道路地図データを記憶した地図データ記憶手段10と、車両の現在位置を検出する位置検出手段11と、気象情報を取得する気象情報取得手段12と、所定の情報を映像表示及び/または音声出力する情報出力手段13と、当該ナビゲーション装置の動作モードや動作条件を設定する操作手段14と、前記道路地図データ、前記位置検出手段11により検出された車両の現在位置、前記気象情報取得手段12により取得された気象情報、または、前記操作手段14により設定された動作モードや動作条件等に基づいて前記所定の情報を生成し、前記情報出力手段13に前記所定の情報を映像表示及び/または音声出力させる制御部15を備えて構成されている。尚、前記制御部15は、単一または複数のCPUや、その動作プログラムが格納されたROM、ワーキングエリアに使用されるRAM等を備えたマイクロコンピュータからなり、前記各機能ブロックをも統括制御するように構成されている。
【0028】
前記道路地図データは、道路地図を前記情報出力手段13にグラフィック映像として表示するための地図情報と、地図上の道路を複数に分割したリンク情報が含まれている。
【0029】
前記リンク情報は、図2、図3に示すように、前記地図上の道路を各ノードN(i)、例えば、交差点やインターチェンジ等で分割して生成するリンクR(j)毎に、前記各リンクに対応した個別情報が登録されている。具体的には、当該リンクR(j)を識別するためのリンクID、前記ノードN(i)で分割された道路長としての当該リンクR(j)のリンク長、当該リンクR(j)の始点及び終点の座標、当該リンクR(j)の角度(延伸方向)、当該リンクR(j)における道路幅、当該リンクR(j)における道路種別情報、及び、当該リンクR(j)における特殊情報等が登録されている。
【0030】
尚、前記道路種別情報には、図4(a)、図4(b)に示すような、高架21の上下に並走設置された道路(道路区間Lk)と他の道路(道路区間Lk以外の道路)を識別する道路形態識別情報と、高架の上下に並走設置された互いの道路に対する上下位置関係を識別可能な高架識別情報が含まれている。また、前記特殊情報には、当該リンクR(j)に当該車両23の現在位置があるときにドライバ等に案内すべき詳細情報が登録されている。
【0031】
前記位置検出手段11は、当該車両23の地上面での位置を検出する地上面位置検出手段16と、高架21の上下に並走設置された道路区間Lkに車両が位置するときに、当該車両の現在位置が高架下道路22であるか否かを検出する高架下検出手段17を備えて構成されている。
【0032】
前記地上面位置検出手段16は、例えば、GPSシステムが適用され、GPSアンテナによりGPS衛星からの信号を受信するとともに、ジャイロセンサや車速センサからの検出値に基づいて補正値を算出し、前記受信信号から解読される経度及び緯度を前記補正値に基づいて補正することで当該車両23の地上面での現在位置を検出するように構成されている。
【0033】
前記高架下検出手段17は、例えば、電波、赤外線または光などの電波を送信し、その送信した電波などがその方向にある物体に反射して戻ってきた信号を受信して、その方向の物体の有無の判断や物体までの距離を測定するレーダー装置を適用し、所定の条件のときに、当該車両23の上方に物体が有ると判断されたときに、つまり、当該車両23の上方に高架上道路24が有ると判断されたときに、当該車両23の現在位置が高架下道路22であると判断するように構成されている。また、前記所定の条件のときに、当該車両23の上方に高架上道路24が無いと判断されたときに、当該車両23の現在位置が高架上道路24であると判断するように構成されている。つまり、前記高架下検出手段17は、当該車両23の高さ方向における相対的位置を検出するように構成されている。
【0034】
前記気象情報取得手段12は、当該車両23の現在位置における現在の天候情報を取得するリアル気象情報取得手段18と、当該車両23の現在位置から目的地までの通過予定地域(現在位置及び目的地を含む)における現在から所定の時間後までにおける予測天候情報を取得するフォアキャスト気象情報取得手段19を備えて構成されている。
【0035】
前記リアル気象情報取得手段18は、例えば、水滴を検知する雨滴センサやワイパーの動作を検知するワイパー動作検知センサを適用し、当該車両23の外部に設置された雨滴センサが水滴を検知したとき、または、当該車両のワイパーに設置されたワイパー動作検知センサがワイパーの動作を検知したときに、当該車両23の現在位置における現在の天候が降雨であるとして検出するように構成されている。つまり、前記リアル気象情報取得手段18は、当該車両23の現在位置における実際の天候と、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候との一致確率が高くなるように構成されている。
【0036】
前記フォアキャスト気象情報取得手段19は、例えば、基地局から無線送信されてくる各地域の気象現況または気象予報等を受信する無線受信装置を適用し、前記受信した各地域の気象現況または気象予報等から所定の地域における現在から所定の時間後までにおける天候が降雨であるか否かを予測するように構成されている。つまり、前記フォアキャスト気象情報取得手段19は、当該車両23の現在位置における実際の天候と、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される当該車両23の現在位置における現在の天候との一致確率は低くなるものの、当該車両23の現在位置における今後の予測天候や当該車両23がその後に移動することとなる地域の予測天候をも導出可能なように構成されている。
【0037】
前記制御部15における機能ブロック構成は、前記位置検出手段11により検出される当該車両の現在位置から前記操作手段14を介してドライバ等から入力される目的地までの推奨経路を前記気象情報取得手段12により取得される気象情報や前記道路地図データに基づいて探索する推奨経路探索手段20と、前記推奨経路探索手段20により探索された推奨経路に基づいてドライバ等に対して所定の案内を実施する推奨経路案内手段30等を備えて構成されている。
【0038】
前記推奨経路探索手段20は、当該車両23の現在位置から目的地までの推奨経路を探索するもので、推奨経路を探索する上で優先される条件を予め設定することが可能なように構成されている。例えば、当該車両23の現在位置から目的地までの移動距離が最短となる経路を探索する移動距離重視モードや当該車両23の現在位置から目的地までの移動時間が最短となる経路を探索する移動時間重視モード、心理的に安心して運転することが可能な経路を探索する心理状態重視モード、天候が降雨であってもなるべく当該車両23を濡らすことなく目的地まで辿りつくことができる経路を探索する愛車モードなど種々の経路探索モードが用意されている。
【0039】
前記推奨経路の探索は、例えば、ダイクストラ法により実施される。具体的には、現在位置が含まれるリンクR(i)であるスタートリンクRsの始点または終点と目的地が含まれるリンクR(i)であるエンドリンクReの始点または終点とを結合することが可能な他の幾つかのリンクR(i)からなる1列に連続した種々のリンク列において、前記リンク列を構成する各リンクR(i)に与えられたコスト評価値の和が最小となるリンク列が推奨経路として選択されるように実施される。また、前記各リンクR(i)のコスト評価値は、予め前記各経路探索モードに対応して設定されているコスト評価値付加条件に基づいて設定される。
【0040】
例えば、前記移動距離重視モードでは、前記リンク情報における道路長をそのままコスト評価値として設定すれば、当該車両23の現在位置から目的地までの移動距離を、前記リンク列を構成する各リンクR(i)のコスト評価値の和によって評価することができる。つまり、前記コスト評価値の和が小さいリンク列ほど、当該車両23の現在位置から目的地までの移動距離が短い経路として評価される。
【0041】
また、前記移動時間重視モードでは、前記道路長に道路種別情報に応じたコスト評価係数としての移動速度成分を乗算した値を評価値として設定すれば、当該車両23の現在位置から目的地までの移動時間を、前記リンク列を構成する各リンクR(i)のコスト評価値の和によって評価することができる。例えば、制限速度が比較的速く渋滞の可能性も低いバイパス道路のコスト評価係数をバイパス道路以外のコスト評価係数よりも小さな値に設定したり、渋滞の発生しやすい道路のコスト評価係数を大きな値に設定し、前記コスト評価値の和の小さいリンク列を当該車両23の現在位置から目的地までの移動時間が短い経路として評価すればよい。また、前記評価値の和に対して前記リンク列の数、つまり、交差点の数やインターチェンジ等の数に応じた補正係数を乗算した評価値の補正和によって、当該車両23の現在位置から目的地までの移動時間を評価すれば、交差点での信号待ち時間等の影響を加味することができ好ましい。
【0042】
前記心理状態重視モードでは、前記道路長に道路幅に応じたコスト評価係数を乗算した値を評価値として設定すれば、心理的な安心度として評価することができる。つまり、道路幅が広ければそれだけ視界が開けるとともに対向車とのすれ違う際の間隔なども広く開けることができるため、このような道路幅の広いリンクのコスト評価係数を道路幅の狭いリンクのコスト評価係数よりも小さな値に設定すれば、当該車両23の現在位置から目的地までにおける心理的な安心度を前記コスト評価値の和によって評価することができる。
【0043】
前記愛車モードでは、前記道路長に当該リンクが雨を避けることが可能な道路に対応しているか否かに応じたコスト評価係数を乗算した値を評価値として設定すれば、天候が降雨であったときにおける当該車両の濡れ具合を評価することができる。つまり、例えば、雨を避けることが可能な道路として高架下道路に対応するリンクの道路長に乗算されるコスト評価係数を、雨を避けることのできない道路に対応するリンクの道路長に乗算されるコスト評価係数よりも小さな値に設定すれば、当該車両23の現在位置から目的地までにおける当該車両23の濡れ具合を前記コスト評価値の和によって評価することができる。
【0044】
ここで、前記心理状態重視モードや前記愛車モードでは、前記道路長にそれぞれに対応したコスト評価係数を乗算することでコスト評価値を算出しているため、前記コスト評価係数の設定具合により、前記心理状態重視モードや前記愛車モードで設定される経路が、前記移動距離重視モードで設定される経路に比べて必要以上に迂回されることのないように設定することが可能となっている。
【0045】
また、前記心理状態重視モードや前記愛車モードにおける経路の評価において、前記移動時間重視モードで適用される評価値に対してそれぞれに対応するコスト評価係数を乗算した評価値の和によって評価すれば、前記心理状態重視モードや前記愛車モードでの前記コスト評価係数の設定具合により、前記心理状態重視モードや前記愛車モードで設定される経路が、前記移動時間重視モードで設定される経路に比べて必要以上に迂回されることのないように設定することが可能となる。
【0046】
例えば、当該車両23の現在位置から目的地までの間に、高架21の上下に並走設置された道路区間Lkがあって、前記道路区間Lkにおける高架上道路24が多く交差点をバイパスするバイパス道路であり、また、前記道路区間Lkにおける高架下道路22が交差点の多い一般道路であったときには、前記移動時間重視モードで設定される推奨経路では移動時間の短くなる前記高架上道路24としてのバイパス道路が選択されるが、前記愛車モードで設定される推奨経路では雨を避けることが可能な前記高架下道路22としての一般道路が優先的に選択されることとなる。つまり、このようなときには、前記移動時間重視モードで設定される推奨経路と、前記愛車モードで設定される推奨経路とでは、前記道路区間Lkにおける移動距離はほぼ等しく、前記愛車モードで設定される推奨経路を、前記移動時間重視モードで設定される推奨経路に対して迂回することなく設定することができる。また、前記移動距離重視モードや前記移動時間重視モードでは選択されなかった前記道路区間Lkがあったようなときには、前記コスト評価係数の設定具合により、前記愛車モードで設定される経路に迂回をしてでも優先的に前記道路区間Lkを含むか否かを変更することができる。
【0047】
前記推奨経路案内手段30は、前記位置検出手段11により検出される現在位置が所定の位置に達したときに、前記推奨経路探索手段20により探索された推奨経路に応じた進路を前記情報出力手段13を介して映像表示案内及び/または音声出力案内するように構成されている。
【0048】
以下、前記ナビゲーション装置の動作について、図5、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。ドライバ等により当該ナビゲーション装置が起動されると、前記位置検出手段11は、当該車両23の現在位置の検出を開始する(SA1)。また、前記制御部15は、前記道路地図データに基づいて、図7(a)に示すように、前記情報出力手段13に、前記位置検出手段11により検出される当該車両23の現在位置に対応する道路地図上の位置が前記情報出力手段13の表示部中央となるように道路地図を表示させるとともに、当該車両23の現在位置に対応する道路地図上の位置に現在位置マーカMaを表示させる(SA2)。尚、前記情報出力手段13に表示される道路地図は、前記位置検出手段11により常時検出される現在位置に応じて常時更新表示される。
【0049】
ドライバ等により前記操作手段14を介して目的地が入力されると、前記推奨経路探索手段20は、当該車両23の現在位置から前記入力された目的地までの推奨経路を前記気象情報取得手段12により取得される気象情報と前記道路地図データに基づいて探索し、前記探索した推奨経路と目的地を前記道路地図上に表示する。
【0050】
詳述すると、前記推奨経路探索手段20は、ドライバ等により前記操作手段14を介して目的地が設定入力されると(SA3)、前記気象情報取得手段12により前記気象情報の取得を開始する(SA4)。つまり、前記リアル気象情報取得手段18としての前記雨滴センサや前記ワイパー動作検知センサにより、当該車両23の現在位置における現在の天候が降雨であるか否かの検出を開始するとともに、前記フォアキャスト気象情報取得手段19としての無線受信装置により基地局から無線送信されてくる各地域の気象現況または気象予報等に基づいた所定の地域、例えば、当該車両の現在位置や前記目的地、更には、当該車両の現在位置から前記目的地までの間の地域における現在から所定の時間後までにおける予測天候が降雨であるか否かの導出を開始する。
【0051】
前記推奨経路探索手段20は、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候が降雨でなく(SA5)、且つ、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候が降雨でなかったときには(SA6)、現在の天候状況Wtを前記天候が降雨でなく且つ予測天候が降雨でないとした第一天候条件W1として記憶する(SA7)。一方、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候が降雨(SA5)、または、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候が降雨であったときには(SA6)、前記推奨経路探索手段20は、現在の天候状況Wtを前記天候が降雨または予測天候が降雨とした第二天候条件W2として記憶する(SA8)。
【0052】
そして、前記推奨経路探索手段20は、現在の天候状況Wtが前記第一天候条件W1であったときには(SA9)、前記第一天候条件W1に対応して予め任意に設定されている経路探索モードに応じた推奨経路の探索を実施する(SA10)。即ち、予め前記移動距離重視モードが設定されているときには、現在位置から目的地までの移動距離が最短となるように、また、予め前記移動時間重視モードが設定されているときには、現在位置から目的地までの移動時間が最短となるように、更に、予め前記心理状態重視モードが設定されているときには、心理的な安心度が高くなるように、また更に、予め前記愛車モードが設定されているときには、仮に天候が降雨であったときにおける当該車両の濡れ具合が小さくなるように推奨経路の探索を実施する。
【0053】
また、現在の天候状況Wtが前記第二天候条件W2であったときには(SA9)、前記愛車モードに応じた推奨経路の探索を実施する(SA11)。つまり、天候が降雨であったときにおける当該車両の濡れ具合が小さくなるように推奨経路の探索を実施する。
【0054】
そして、前記推奨経路探索手段20は、推奨経路の探索が終了すると、図7(b)に示すように、前記情報出力手段13に表示されている地図上に、探索した推奨経路を示す推奨経路マーカMsと、前記目的地を示す目的地マーカMbを表示させる(SA12)。
【0055】
また、前記推奨経路探索手段20は、引き続き前記気象情報取得手段12により取得される気象情報の監視を行う。具体的には、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候が降雨でなく(SA13)、且つ、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候が降雨でなかったときには(SA14)、新たな現在の天候状況Wgを前記天候が降雨でなく且つ予測天候が降雨でないとした前記第一天候条件W1として記憶する(SA15)。一方、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候が降雨(SA13)、または、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候が降雨であったときには(SA14)、前記新たな現在の天候状況Wgを前記天候が降雨または予測天候が降雨とした前記第二天候条件W2として記憶する(SA16)。そして、前記現在の天候状況Wtと前記新たな現在の天候状況Wgとを比較し、前記現在の天候状況Wtと前記新たな現在の天候状況Wgが異なる天候条件であったときに(SA17)、前記現在の天候状況Wtを前記新たな現在の天候状況Wgに更新して(SA18)、前記ステップSA9に戻る。つまり、前記推奨経路探索手段20は、前記天候が降雨でなく且つ予測天候が降雨でないとした第一天候条件W1から前記天候が降雨または予測天候が降雨とした第二天候条件W2に天候条件が変化したとき、または、前記天候が降雨または予測天候が降雨とした第二天候条件W2から前記天候が降雨でなく且つ予測天候が降雨でないとした第一天候条件に天候条件が変化したときに、再度、前記天候条件に対応した経路探索モードで推奨経路を探索する。
【0056】
尚、前記推奨経路探索手段20は、図8に示すように、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候を所定の単位地域E(k)毎に導出するとともに、当該車両23の現在位置Yaから目的地Ybまでの間を前記単位地域E(k)に分割し、当該車両23の現在位置Yaから目的地Ybまでの推奨経路を前記単位地域E(k)毎に前記各単位地域E(k)の予測天候に応じた経路探索モードで探索する構成としてもよい。つまり、前記天候状況Wtまたは前記新たな天候状況Wgが前記第一天候条件W1となっている単位地域E(k)に対しては、前記予め任意に設定されている経路探索モードで、また、前記天候状況Wtまたは前記新たな天候状況Wgが前記第二天候条件W2となっている単位地域E(k)に対しては、前記愛車モードで経路を探索する構成としてもよい。
【0057】
前記推奨経路案内手段30は、前記推奨経路探索手段20により推奨経路が探索されると(SB1)、前記情報出力手段13を介して前記推奨経路に従った進路案内を開始する。
【0058】
詳述すると、前記車両23が移動することで、前記地上面位置検出手段16により検出される現在位置Pgが、前記リンクの始点または終点、つまり、前記ノードN(i)としての交差点やインターチェンジ等に所定の距離Dthまで近づくと(SB2)、ドライバが前記推奨経路探索手段20により探索された推奨経路、つまり、リンク列から外れないように、前記近づきつつある交差点やインターチェンジ等で次に選択すべきリンクのある方向を案内する(SB3)。即ち、当該車両23が交差点に近づきつつあるときには、前記情報出力手段13に直進、右折、左折等の次の交差点で選択すべき進行方向を映像表示及び/または音声出力させる。また、当該車両23がインターチェンジに近づきつつあるときには、前記情報出力手段13に選択すべき車線を映像表示及び/または音声出力させる。
【0059】
また、前記車両23が移動することで、前記位置検出手段11により検出される現在位置、つまり、当該車両23が新たなリンクに移ると(SB4)、前記リンク情報に基づいて前記新たなリンクに対応する特殊情報を前記情報出力手段13を介して案内する(SB5)。
【0060】
例えば、前記新たなリンクが高架下道路22であって、当該高架下道路22が、図9(a)に示すように、前記高架下道路22が複数車線からなり、その一部が高架上道路24によって覆われていないようなときに、予め前記リンク情報における当該リンクに対応する特殊情報に、高架上道路24によって覆われている車線Rsと、高架上道路24によって覆われていない車線Rhとを区分け可能な詳細情報を登録しておけば、高架上道路24によって覆われていない車線Rhの存在及びその車線、または、高架上道路24によって覆われている車線Rhの存在及びその車線を案内する。
【0061】
また例えば、前記新たなリンクが高架下道路22であって、かつ、図9(b)に示すように、風速及び風向の関係によって、高架上道路24で覆われているにもかかわらず、風雨にさらされやすい車線Rshがあるようなときに、予め風雨にさらされやすい車線Rshと風雨にさらされにくい車線Rssとを区分け可能な詳細情報を登録しておけば、風雨にさらされやすい車線Rshの存在及びその車線、または、風雨にさらされにくい車線Rssの存在及びその車線を案内する。尚、この場合には、予め当該ナビゲーション装置に風速及び風向を検出する風速風向センサを備え、前記現在の天候状況Wtが前記第二天候条件W2であったときに、つまり、前記天候が降雨または予測天候が降雨であったときに、前記風速風向センサにより検出される風速及び風向に応じて、前記風雨にさらされやすい車線Rshの存在及びその車線、または、前記風雨にさらされにくい車線Rssの存在及びその車線を案内する構成としてもよい。前記風雨にさらされやすい車線Rshの存在及びその車線、または、前記風雨にさらされにくい車線Rssの存在及びその車線の案内が必要なときに、これらの案内を実行する構成となり好ましい。
【0062】
更に、前記推奨経路案内手段30は、前記探索モードが前記愛車モードに設定されているときに(SB6)、当該車両23の現在位置Pgが、前記地上面位置検出手段16により前記高架区間Lkとして検出され(SB7)、また、前記高架下検出手段17により高架下として検出されたときには(SB8)、当該車両23の現在位置Pgを高架下道路22として判断するとともに、当該高架下道路22を抜け出るまでの残距離Zaを前記道路地図データに基づいて導出し、前記導出した残距離が所定距離Zth以下になったときに(SB9)、当該車両23が当該高架下道路22から抜け出ることを、前記情報出力手段13に映像表示及び/または音声出力させることで案内する(SB10)。つまり、前記推奨経路案内手段30は、当該車両23が高架下道路22から抜け出ることを案内する高架下道路終了案内手段としても構成されている。
【0063】
以下、別の実施形態について説明する。上述の実施形態では、愛車モードの設定が可能な構成について説明したが、前記愛車モードに代えて、なるべく強い日差しに照らされることなく目的地まで辿りつくことができる日除けモードの設定が可能な構成について説明する。
【0064】
本別の実施形態では、前記リアル気象情報取得手段18は、例えば、当該車両23外部に照らされる照度を検出する照度センサを適用し、前記照度センサにより検出される照度が所定の照度閾値を超えたときに、当該車両23の現在位置における現在の天候が日照であるとして検出するように構成されている。
【0065】
また、前記フォアキャスト気象情報取得手段19は、例えば、基地局から無線送信されてくる各地域の気象現況または気象予報等を受信する無線受信装置を適用し、前記受信した各地域の気象現況または気象予報等から所定の地域における現在から所定の時間後までにおける予測天候が日照であるか否かを予測するように構成されている。
【0066】
そして、前記日除けモードにおける推奨経路を探索するための評価は、前記道路長に当該リンクが強い日差しを避けることが可能な道路に対応しているか否かに応じたコスト評価係数を乗算した値を評価値として設定すれば、天候が日照であったときにおけるドライバ等への日差しの照らされ具合を評価することができる。つまり、例えば、強い日差しを避けることが可能な道路として高架下道路に対応するリンクの道路長に乗算されるコスト評価係数を、強い日差しを避けることのできない道路に対応するリンクの道路長に乗算されるコスト評価係数よりも小さな値に設定すれば、現在位置から目的地までにおけるドライバ等への日差しの照らされ具合を前記コスト評価値の和によって評価することができる。
【0067】
以下、本別の実施形態におけるナビゲーション装置の動作について、図10、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。ドライバ等により当該ナビゲーション装置が起動されると、前記位置検出手段11は、当該車両23の現在位置の検出を開始する(SC1)。また、前記制御部15は、前記道路地図データに基づいて、前記図7(a)に示すように、前記情報出力手段13に、前記位置検出手段11により検出される当該車両23の現在位置に対応する道路地図上の位置が前記情報出力手段13の表示部中央となるように、道路地図を表示させるとともに、当該車両23の現在位置に対応する道路地図上の位置に、現在位置マーカMaを表示させる(SC2)。尚、前記情報出力手段13に表示される道路地図は、前記位置検出手段11により常時検出される現在位置に応じて常時更新表示される。
【0068】
ドライバ等により前記操作手段14を介して目的地が入力されると、前記推奨経路探索手段20は、当該車両23の現在位置から前記入力された目的地までの推奨経路を前記気象情報取得手段12により取得される気象情報と前記道路地図データに基づいて探索し、前記探索した推奨経路と目的地を前記道路地図上に表示する。
【0069】
詳述すると、前記推奨経路探索手段20は、ドライバ等により前記操作手段14を介して目的地が設定入力されると(SC3)、前記気象情報取得手段12により前記気象情報の取得を開始する(SC4)。つまり、前記リアル気象情報取得手段18としての前記照度センサにより、当該車両23の現在位置における現在の天候が日照であるか否かの検出を開始するとともに、前記フォアキャスト気象情報取得手段19としての無線受信装置により基地局から無線送信されてくる各地域の気象現況または気象予報等に基づいた所定の地域、例えば、当該車両の現在位置や前記目的地、更には、当該車両の現在位置から前記目的地までの間の地域における現在から所定の時間後までにおける予測天候が日照であるか否かの導出を開始する。
【0070】
前記推奨経路探索手段20は、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候が日照でなく(SC5)、且つ、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候が日照でなかったときには(SC6)、現在の天候状況Wtを前記天候が日照でなく且つ予測天候が日照でないとした第三天候条件W3として記憶する(SC7)。一方、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候が日照(SC5)、または、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候が日照であったときには(SC6)、前記推奨経路探索手段20は、現在の天候状況Wtを前記天候が日照または予測天候が日照とした第四天候条件W4として記憶する(SC8)。
【0071】
そして、前記推奨経路探索手段20は、現在の天候状況Wtが前記第三天候条件W3であったときには(SC9)、前記第三天候条件W3に対応して予め任意に設定されている経路探索モードに応じた推奨経路の探索を実施する(SC10)。即ち、予め前記移動距離重視モードが設定されているときには、現在位置から目的地までの移動距離が最短となるように、また、予め前記移動時間重視モードが設定されているときには、現在位置から目的地までの移動時間が最短となるように、更に、予め前記心理状態重視モードが設定されているときには、心理的な安心度が高くなるように、また更に、予め前記日除けモードが設定されているときには、仮に天候が日照であったときにおけるドライバ等への日差しの照らされ具合が小さくなるように推奨経路の探索を実施する。
【0072】
また、現在の天候状況Wtが前記第四天候条件W4であったときには(SC9)、前記日照モードに応じた推奨経路の探索を実施する(SC11)。つまり、天候が日照であったときにおけるドライバ等への日差しの照らされ具合が小さくなるように推奨経路の探索を実施する。
【0073】
そして、前記推奨経路探索手段20は、推奨経路の探索が終了すると、前記図7(b)に示すように、前記情報出力手段13に表示されている地図上に、探索した推奨経路を示す推奨経路マーカMsと、前記目的地を示す目的地マーカMbを表示させる(SC12)。
【0074】
また、前記推奨経路探索手段20は、引き続き前記気象情報取得手段12により取得される気象情報の監視を行う。具体的には、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候が日照でなく(SC13)、且つ、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候が日照でなかったときには(SC14)、新たな現在の天候状況Wgを前記天候が日照でなく且つ予測天候が日照でないとした前記第三天候条件W3として記憶する(SC15)。一方、前記リアル気象情報取得手段18により検出される天候が日照(SC13)、または、前記フォアキャスト気象情報取得手段19により導出される予測天候が日照であったときには(SC14)、前記新たな現在の天候状況Wgを前記天候が降雨または予測天候が降雨とした前記第四天候条件W4として記憶する(SC16)。そして、前記現在の天候状況Wtと前記新たな現在の天候状況Wgとを比較し、前記現在の天候状況Wtと前記新たな現在の天候状況Wgが異なる天候条件であったときに(SC17)、前記現在の天候状況Wtを前記新たな現在の天候状況Wgに更新して(SC18)、前記ステップSC9に戻る。つまり、前記推奨経路探索手段20は、前記天候が日照でなく且つ予測天候が日照でないとした第三天候条件W3から前記天候が日照または予測天候が日照とした第四天候条件W4に天候条件が変化したとき、または、前記天候が日照または予測天候が日照とした第四天候条件W4から前記天候が日照でなく且つ予測天候が日照でないとした第三天候条件に天候条件が変化したときに、再度、前記天候条件に対応した経路探索モードで推奨経路を探索する。
【0075】
前記推奨経路案内手段30は、前記推奨経路探索手段20により推奨経路が探索されると(SD1)、前記情報出力手段13を介して前記推奨経路に従った進路案内を開始する。
【0076】
詳述すると、前記車両23が移動することで、前記地上面位置検出手段16により検出される現在位置Pgが、前記リンクの始点または終点、つまり、前記ノードN(i)としての交差点やインターチェンジ等に所定の距離Dthまで近づくと(SD2)、ドライバが前記推奨経路探索手段20により探索された推奨経路、つまり、リンク列から外れないように、前記近づきつつある交差点やインターチェンジ等で次に選択すべきリンクのある方向を案内する(SD3)。即ち、当該車両23が交差点に近づきつつあるときには、前記情報出力手段13に直進、右折、左折等の次の交差点で選択すべき進行方向を映像表示及び/または音声出力させる。また、当該車両23がインターチェンジに近づきつつあるときには、前記情報出力手段13に選択すべき車線を映像表示及び/または音声出力させる。
【0077】
また、前記車両23が移動することで、前記位置検出手段11により検出される現在位置、つまり、当該車両23が新たなリンクに移ると(SD4)、前記リンク情報に基づいて前記新たなリンクに対応する特殊情報を前記情報出力手段13を介して案内する(SD5)。
【0078】
更に、前記探索モードが前記愛車モードに設定されているときに(SD6)、当該車両23の現在位置Pgが、前記地上面位置検出手段16により前記高架区間Lkとして検出され(SD7)、また、前記高架下検出手段17により高架下として検出されたときには(SD8)、当該車両23の現在位置Pgを高架下道路22として判断し、当該高架下道路22を抜け出るまでの残距離Zaを前記道路地図データに基づいて導出し、前記導出した残距離が所定距離Zth以下になったときに(SD9)、当該車両23が当該高架下道路22から抜け出ることを、前記情報出力手段13に映像表示及び/または音声出力させることで案内する(SD10)。
【0079】
尚、上述のナビゲーション装置は、前記リンク情報に高架21の上下に並走設置された道路(前記道路区間Lk)と他の道路(前記道路区間Lk以外の道路)を識別する道路形態識別情報と、高架の上下に並走設置された互いの道路に対する上下位置関係を識別可能な高架識別情報を含むことによって、高架下道路22を目的地として設定することも可能なように構成されている。例えば、当該車両23の現在位置から最も近くにある高架下道路22を前記道路地図データに基づいて検出し、前記検出した高架下道路22を目的地として設定する。
【0080】
また、上述のナビゲーション装置では、地図データに高架識別情報を含んでいるため、気象情報と道路とを対応付けたデータを特別に持っていなくても、気象状態に応じて経路探索をすることが可能である。
【0081】
上述の実施形態において、気象情報の取得の開始を、ドライバ等の指示により手動で行うように設定することもできるし、愛車モードまたは日除けモードを選択したときに連動して開始するように設定することもできる。
【0082】
上述の実施形態では、降雨や日照を例に挙げて説明してきたが、降雪の場合にも上述の実施形態を適用することができる。その場合は、例えば、降雨の場合と同様にリアル気象情報取得手段18を用いて降雪を検出し、フォアキャスト気象情報取得手段19によって降雪であるか否かを予測するように構成される。
【0083】
上述の実施形態において、高架の上下に並走設置された互いの道路に対する上下位置関係を識別可能な情報を持っていなかったとしても、有料道路(または自動車専用道路)と一般道路との情報を地図データに含んでいれば、地図上で重なっている位置に道路がある場合に、有料道路または自動車専用道路を上の道路、一般道路を下の道路と看做すことで、高架の上下を判断することもできる。
【0084】
上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成の説明図
【図2】ノード及びリンクの説明図
【図3】リンク情報の説明図
【図4】高架の上下に並走設置された道路の説明図であり、(a)は高架上道路と高架下道路の上下位置関係、(b)は高架区間
【図5】ナビゲーション装置の動作を説明するためのフローチャート
【図6】ナビゲーション装置の動作を説明するためのフローチャート
【図7】情報出力装置の表示部における映像表示の例であり、(a)は道路地図、(b)は道路地図上に重ねて表示された推奨経路
【図8】単位地域の説明図
【図9】(a)高架下道路の一部が高架上道路によって覆われていない例、(b)風速及び風向の関係によって、高架上道路で覆われているにもかかわらず、風雨にさらされやすい車線の説明図
【図10】別実施形態におけるナビゲーション装置の動作を説明するためのフローチャート
【図11】別実施形態におけるナビゲーション装置の動作を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0086】
10:地図データ記憶手段
11:位置検出手段
12:気象情報取得手段
13:情報出力手段
14:操作手段
15:制御部
16:地上面位置検出手段
17:高架下検出手段
18:リアル気象情報取得手段
19:フォアキャスト気象情報取得手段
20:推奨経路探索手段
30:推奨経路案内手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの経路の案内を行うナビゲーション装置であって、気象情報を取得する気象情報取得手段と、道路地図データに、高架の上下に並走設置された互いの道路に対する上下位置関係を識別可能な高架識別情報を含み、前記取得した気象情報と前記高架識別情報とに基づいて経路探索を行う推奨経路探索手段と、を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記取得する気象情報が、現在位置における現在の天候情報であり、前記天候情報が降雨または日照のときに、前記推奨経路探索手段が高架下道路を選択する請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記取得する気象情報が、現在位置から目的地までの通過予定地域における現在から所定の時間後までにおける予測天候であり、前記予測天候が降雨または日照のときに、前記推奨経路探索手段が高架下道路を選択する請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記推奨経路探索手段が前記予測天候の降雨または日照となっている地域に対して高架下道路を選択する請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記道路地図データに、高架の上下に並走設置された道路と他の道路を識別する道路形態識別情報を含み、前記推奨経路探索手段が所定の迂回条件内で、前記道路形態識別情報に基づいて高架下道路を優先的に探索する請求項1から4の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記推奨経路探索手段が推奨経路を探索した後に、再度取得した新たな気象情報が、前記所定の条件となったとき、または、前記所定の条件ではなくなったときに、前記推奨経路探索手段が新たな現在位置から目的地までの推奨経路を前記新たな気象情報に基づいて再探索する請求項1から5の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記道路地図データに高架下道路の車線情報を含むとともに、前記推奨経路探索手段が、前記車線情報と前記取得した気象情報に基づいて前記高架下道路で車両が通行すべき車線を推奨案内する通行車線推奨案内手段を備えている請求項1から6の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記取得する気象情報に更に風速及び風向を含み、前記天候または前記予測天候が降雨のときに、前記通行車線推奨案内手段が前記風速及び前記風向に応じた車線を推奨案内する請求項7記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
現在位置が高架下道路であるか否かを検出する高架下検出手段と、現在位置が高架下道路であったときに、当該高架下道路を抜け出るまでの残距離を前記道路地図データに基づいて導出するとともに、前記導出した残距離が所定距離以下になったときに、当該高架下道路から抜け出ることを案内する高架下道路終了案内手段を備えた請求項1から8の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記高架下道路終了案内手段は、前記取得した気象条件が前記所定の条件のときに、高架下道路終了案内を実行する請求項9記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−139477(P2007−139477A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330941(P2005−330941)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】