ナビゲーション装置
【課題】コリドー機能を使用する際の地図ディスクから他ディスクへの切り替え時間を短縮するとともに、ユーザが地理に詳しくない地域においてナビゲーション装置の機能を極力損なわないようにすることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】地図データ入力器6にセットするディスクを地図ディスクから他ディスクに入れ替えて、他ディスクを再生しながら経路案内機能を実行する場合、ディスクの入れ替え前に、コリドー用メモリ13へ記録すべき地図データの範囲を指定して、地図データ入力器6を介して地図ディスクから指定した範囲の地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをコリドー用メモリ13へ記録し、ディスクの入れ替え後は、コリドー用メモリ13へ予め記録した地図データを用いて経路案内機能を実行する。
【解決手段】地図データ入力器6にセットするディスクを地図ディスクから他ディスクに入れ替えて、他ディスクを再生しながら経路案内機能を実行する場合、ディスクの入れ替え前に、コリドー用メモリ13へ記録すべき地図データの範囲を指定して、地図データ入力器6を介して地図ディスクから指定した範囲の地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをコリドー用メモリ13へ記録し、ディスクの入れ替え後は、コリドー用メモリ13へ予め記録した地図データを用いて経路案内機能を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されている技術のように、1つのCD/DVDドライブのみ備えるナビゲーション装置において、地図ディスクに記録された地図データをナビゲーション装置の内蔵メモリに予め記録しておくことによって、AVディスク等の他ディスクの再生時であってもその地図データを用いてナビゲーション装置の各種機能を実行することを可能とする機能(コリドー機能)を備えるものがある。
【特許文献1】特開2002−296051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、自宅周辺のように地理に詳しい地域や分岐・合流・交差することのない単調な高速道路上等においては、ユーザは、道路標識等に従うことで所望の場所へ向かうことが可能であるため、そのような地域の地図データの必要性は低い。一方、地理に詳しくない地域や、分岐・合流・交差することが多い高速道路上等においては、経路案内や周辺施設検索等の機能を使いたいというユーザのニーズが高いため、そのような地域の地図データの必要性は高い。
【0004】
しかしながら、従来のコリドー機能は、他ディスクの再生時であっても、地図ディスクの再生時と同様な動作を行うことを前提としていたため、その同様な動作に必要な地図データを内蔵メモリに記録していた。
【0005】
その結果、内蔵メモリには、地理に詳しい地域の地図データを含んで記録されることになり、例えば、内蔵メモリのメモリ容量が十分でない場合には、地理に詳しくない地域での経路案内や周辺施設検索等の機能が損なわれることがあった。
【0006】
また、内蔵メモリには、地理に詳しい地域の地図データを含んで記録されるため、最低限必要な地域の地図データのみを記録する場合に比べ、内蔵メモリに予め記録する際の地図データの読み込みに多くの時間を要し、その結果、地図ディスクから他ディスクへの切り替えを短時間で行うことができなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、コリドー機能を使用する際の地図ディスクから他ディスクへの切り替え時間を短縮するとともに、ユーザが地理に詳しくない地域においてナビゲーション装置の機能を極力損なわないようにすることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載のナビゲーション装置は、
地図データを記録する地図記録媒体から地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをナビゲーション装置の内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録し、地図記録媒体からの地図データの読み込みが不可の場合には、内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録された地図データを使用する制御手段を備えるものであって、
内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録する地図データについて、その地図データがカバーすべき範囲を指定する範囲指定手段を備え、
制御手段は、範囲指定手段の指定した範囲の地図データを地図記録媒体から読み込み、この読み込んだ地図データを内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録することを特徴とする。
【0009】
本発明は、自宅周辺のように地理に詳しい地域の地図データの必要性は低い一方、案内経路の目的地周辺のような地理に詳しくない地域の地図データの必要性は高いなど、ユーザの好みが多種多様に及ぶことに着目したものである。すなわち、上述したように、内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録する地図データについて、その地図データがカバーすべき範囲を指定する範囲指定手段を備え、この指定した範囲の地図データをナビゲーション装置の内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録する構成を採用した。
【0010】
これにより、例えば、地理に詳しくない地域の地図データの範囲を指定することが可能となるため、上記内蔵メモリ又は外部記録媒体のメモリ容量に制限がある場合でも、地理に詳しくない地域の地図データを記録することができる。その結果、地図記録媒体からの地図データの読み込みが不可の場合であっても、地理に詳しくない地域におけるナビゲーション装置の機能を極力損なわないようにすることができる。
【0011】
また、本発明によって、最低限必要な地域の地図データのみを記録することが可能となるため、上記内蔵メモリ又は外部記録媒体に予め記録する際の地図データの読み込み時間が短縮され、その結果、地図ディスクから他ディスクへの切り替え時間が短縮されるようになる。
【0012】
請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、案内経路上の任意な地点、及び道路区間の少なくとも一方を指定する案内経路指定手段を備え、範囲指定手段は、案内経路指定手段の指定した地点及び道路区間の少なくとも一方を含む範囲を指定することを特徴とする。これにより、案内経路が設定される場合には、その案内経路上の任意な地点や道路区間を含む範囲を指定することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載のナビゲーション装置は、案内経路の目的地、若しくは案内経路に含まれる高速道路のインターチェンジのうち、現在地の最寄りのインターチェンジと案内経路の目的地とを結ぶ道路区間の何れかを選択する選択手段を備え、
範囲指定手段は、選択手段の選択した目的地、若しくは道路区間を含む範囲を指定することを特徴とする。
【0014】
このように、案内経路の目的地や現在地の最寄りのインターチェンジと案内経路の目的地とを結ぶ道路区間の何れかを選択しておくことで、範囲指定手段は、その選択した目的地、若しくは道路区間を含む範囲を自動的に指定することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載のナビゲーション装置によれば、地図データは、所定範囲毎に分割された複数のメッシュによって構成されるものであることを特徴とする。このように地図データをメッシュで構成することで、例えば、地図記録媒体から地図データを読み込む際、メッシュ単位での読み込みが可能となる。
【0016】
請求項5に記載のように、制御手段は、案内経路指定手段によって案内経路上の現在地と目的地との間の任意な地点が指定された場合、地点を含むメッシュから案内経路の目的地を含むメッシュ及び案内経路上の現在地を含むメッシュの両方向に向かって順次、地図記録媒体から読み込んで内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することが好ましい。
【0017】
これにより、指定した地点を含むメッシュだけではなく、その指定した地点の周辺のメッシュを含めて内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録されるようになるため、例えば、指定した地点の手前から経路案内を開始したり、指定した地点の周辺の施設検索をしたりすることが可能となる。
【0018】
また、請求項6に記載のように、制御手段は、案内経路指定手段によって案内経路上の任意な道路区間が指定された場合、又は、選択手段によって道路区間が選択された場合、道路区間の両端の地点を含むメッシュから道路区間の中間地点を含むメッシュに向かって順次、地図記録媒体から読み込んで内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することが好ましい。
【0019】
これにより、その道路区間の両端の地点を含むメッシュが道路区間の中間により近い地点のメッシュよりも優先して内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録されるようになるため、その指定した道路区間へ進入する場合と退出する場合の経路案内を確実に行うようにすることが可能となる。
【0020】
また、請求項7に記載のように、制御手段は、選択手段によって案内経路の目的地が選択された場合、目的地を含むメッシュから案内経路上の現在地を含むメッシュに向かって順次、地図記録媒体から読み込んで内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することが好ましい。
【0021】
これにより、案内経路の目的地を含むメッシュだけではなく、その目的地に向かう手前の地点のメッシュを含めて内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録されるようになるため、例えば、目的地の手前から経路案内を開始したり、目的地の周辺の施設検索をしたりすることが可能となる。
【0022】
請求項8に記載のナビゲーション装置は、地図記録媒体は地図ディスクであって、
地図ディスクと、地図データと異なるデータを記録した他ディスクと、を入れ替えて使用するディスクドライブを備え、
制御手段は、ディスクドライブ内のディスクを地図ディスクから他ディスクへ入れ替える際、範囲指定手段の指定した範囲の地図データをディスクドライブを介して地図ディスクから読み込んで、この読み込んだ地図データを内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録し、ディスクドライブにて他ディスクを使用している場合には、内蔵メモリ又は外部記録媒体へ予め記録した地図データを使用することを特徴とする。
【0023】
これにより、地図ディスクと他ディスクとを入れ替えて使用するディスクドライブを備えるナビゲーション装置においても、ディスクドライブにて他ディスクを使用している場合には、内蔵メモリ又は外部記録媒体に予め記録された、指定手段の指定した地点や道路区間を含む範囲の地図データを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1に示す本実施形態のナビゲーション装置は、自動車等の車両に搭載して使用されるもので、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、送受信機11、これらに接続された制御回路8、制御回路8に接続された外部メモリ9、表示装置10、音声入力マイク12を備えている。
【0025】
制御回路8は、通常のコンピュータとして構成されており、その内部には周辺のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。また、制御回路8の内部には、コリドー用メモリ13も備えられている。
【0026】
位置検出器1は、いずれも周辺の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらのセンサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、更にステアリングの回転センサ、各転動輪の車両センサ等を用いてもよい。
【0027】
地図データ入力器6は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)等のディスクドライブであり、地図データを記録した地図CDや地図DVD等の地図ディスクと、地図データと異なるデータ(例えば、音楽データや映像データ等)を記録した音楽CDや映像DVD等の他ディスクとを入れ替えて使用する。
【0028】
ここで、地図ディスクに記録される地図データについて説明する。地図データは、図10(a)に示すパーセルデータと、図10(b)に示すリージョンデータによって構成される。図10(a)、(b)に示すように、パーセルデータとリージョンデータは、所定範囲毎に分割されたメッシュで構成されている。制御回路8は、地図データ入力器6から地図データを読み込む際、このメッシュ単位で読み込みを行う。
【0029】
図10(a)に示すパーセルデータは、地図の描画や施設検索に用いるデータであり、1枚の上位(広域な)メッシュに対し、4枚の下位(詳細な)メッシュが存在し、階層化されている。
【0030】
図10(b)に示すリージョンデータは、道路ネットワークに関するデータであり、このリージョンデータを用いて案内経路が計算される。リージョンデータは、階層構造を成しており、上位(広域な)メッシュでカバーするメッシュは、1枚の上位(広域な)メッシュに対して関連付けられた全ての下位(詳細な)メッシュとなる。例えば、図10(b)において、上位(広域な)メッシュAは、下位(詳細)メッシュA−1とA−2をカバーする。
【0031】
図11に、パーセルデータとリージョンデータとの関係図を示す。図11に示すように、リージョンデータは、必ず最下層のパーセルデータの1つのメッシュが包含されるように存在し、この包含を判定するには、パーセルデータの存在座標とリージョンデータの存在座標を比較することで行う。なお、図11に示すように、リージョンデータの存在座標は、リージョンデータの実体を包含する最小の長方形の南西(Rsw)・北東(Rne)の座標で管理され、パーセルデータの存在座標は、矩形の南西(Psw)・北東(Pne)の座標で管理される。
【0032】
操作スイッチ群7は、例えば、後述する表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、各種入力に使用される。外部メモリ9は、例えば、データの書き込みや読み出しが可能な不揮発性の記憶媒体で構成される。表示装置10はカラー表示装置であり、表示装置10の画面には位置検出器1から入力された車両現在位置マークと、地図データ入力器6より入力された地図データと、更に地図上に表示する案内経路等の付加データとを重ねて表示することが出来る。
【0033】
送受信機11は、VICS(Vehicle Information and Communication System)等の交通情報システムから提供される渋滞情報、通行規制情報、工事情報等を含む道路交通情報を取得するVICSセンサ等を備えるもので、車両の外部から情報を受信したり、車両の外部へ情報を送信したりする。
【0034】
音声入力マイク12は、ユーザの発話を電気信号に変換する。この電気信号は制御回路8に取り込まれ、制御回路8では、電気信号を分析し発話内容を解析する。コリドー用メモリ13は、コリドー機能に用いるためのメモリであり、制御回路8に内蔵される。
【0035】
本ナビゲーション装置は、操作スイッチ群7により目的地の位置が入力されると、現在地(又は出発地)からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して案内経路を形成し表示する、いわゆる経路案内機能も備えている。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0036】
また、本ナビゲーション装置は、地図データ入力器6にセットするディスクを地図ディスクから他ディスクに入れ替えて、他ディスクを再生しながら経路案内機能を実行する場合、ディスクの入れ替え前に、地図データ入力器6を介して地図ディスクから地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをコリドー用メモリ13へ記録し、ディスクの入れ替え後は、コリドー用メモリ13へ予め記録した地図データを用いて経路案内機能を実行する機能(コリドー機能)を備えている。
【0037】
ここで、従来のコリドー機能は、他ディスクの再生時であっても、地図ディスクの再生時と同様な動作を行うことを前提としていたため、その同様な動作に必要な範囲の地図データをコリドー用メモリ13に記録していた。そのため、コリドー用メモリ13のメモリ容量が十分でない場合には、ユーザが地理に詳しくない地域での経路案内や周辺施設検索等の機能が損なわれたり、コリドー用メモリ13に予め記録する際の地図データの読み込みに多くの時間を要し、その結果、地図ディスクから他ディスクへの切り替えを短時間で行ったりすることができなかった。
【0038】
そこで、本実施形態のナビゲーション装置は、コリドー用メモリ13に記録する地図データの範囲を指定可能とする構成を採用した。以下、その特徴部分について説明する。先ず、コリドー機能の実行前に、表示装置10にコリドー用メモリ13に記録する地図データの範囲をユーザ自身が指定(手動選択)するか、或いは自動的に指定(自動選択)するかの設定画面(図2)を表示する。ユーザは、この設定画面から手動選択するか、自動選択するかを設定する。
【0039】
図2の設定画面にて手動選択が設定された場合は、所望の目的地を設定し、経路計算が終了した後、図3に示すようなルート情報画面を表示して、コリドー用メモリ13に記録する案内経路上の道路区間を選択する。この道路区間は、例えば、経路案内機能における案内ポイント間を結んだ区間であり、図3のように、複数の道路区間を連続して選択することも可能である。
【0040】
図3は、名古屋市内の現在地から東京都内の新宿駅を目的地に設定した場合のルート情報画面である。このルート情報画面では、”現在地〜名古屋ICまでの一般道路”、”名古屋IC〜用賀ICまでの東名高速道路”、”用賀IC〜新宿ICまでの首都高速道路”、及び”首都高速〜新宿駅までの都道3号線”、の4つの案内ポイント間の道路区間が示されている。
【0041】
図3に示すように道路区間(”首都高速道路”、”都道3号線”)が選択されると、この選択した道路区間を含む範囲の地図データを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。そして、実際にコリドー機能にて経路案内を行う場合は、コリドー用メモリ13に記録された範囲内に車両が位置したとき、このコリドー用メモリ13に記録した地図データを用いて経路案内を開始する。なお、ユーザが選択した道路区間を含む範囲の地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理については、後述する。
【0042】
一方、図2に示した設定画面にて自動選択を設定する場合には、”目的地付近は詳細、現在地付近は不要”、”現在地から最寄ICは不要(降線ICから目的地までは詳細)”、”詳しく情報がほしい場所を指定”、の3つの設定うち、何れか1つの設定を選択する。
【0043】
この設定画面にて、”目的地付近は詳細、現在地付近は不要”が選択された場合には、目的地付近より現在地方向に向かって地図データをコリドー用メモリ13に出来るだけ記録しておき、実際にコリドー機能にて経路案内を行う場合は、コリドー用メモリ13に予め記録した範囲に車両が位置したとき、このコリドー用メモリ13に記録した地図データを用いて経路案内を開始する。
【0044】
このように、案内経路の目的地を選択しておくことで、その選択した目的地を含む地図データの範囲を自動的に指定することが可能となる。なお、この目的地付近から現在地方向に向かって地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理については、後述する。
【0045】
また、”現在地から最寄ICは不要(降線ICから目的地までは詳細)”が選択された場合には、最寄ICと目的地とを結ぶ道路区間を含む範囲の地図データを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。そして、実際にコリドー機能にて経路案内を行う場合は、コリドー用メモリ13に記録された範囲内に車両が位置したとき、このコリドー用メモリ13に記録した地図データを用いて経路案内を開始する。
【0046】
このように、現在地の最寄ICと案内経路の目的地とを結ぶ道路区間を選択しておくことで、その選択した道路区間を含む地図データの範囲を自動的に指定することが可能となる。なお、道路区間を含む範囲の地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理については、後述する。
【0047】
また、”詳しく情報がほしい場所を指定”が設定された場合には、ユーザが指定する案内経路上の任意な地点から案内経路の目的地、及び案内経路上の現在地の両方向に向かって地図データをコリドー用メモリ13に出来るだけ記録する。そして、実際にコリドー機能にて経路案内を行う場合は、コリドー用メモリ13に予め記録した範囲に車両が位置したとき、このコリドー用メモリ13に記録した地図データを用いて経路案内を開始する。なお、この案内経路上の任意な地点から目的地と現在地の両方向に向かって地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理については、後述する。
【0048】
次に、図2に示した設定画面にて手動選択が設定された場合における、道路区間を含む範囲の地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図3に示した首都高速道路と都道3号線の区間(用賀IC〜新宿駅の道路区間)が選択された場合について説明する。
【0049】
先ず、図7に示すステップS10では、地点1を目的地(新宿駅)とし、地点2をユーザが案内開始を所望した地点(用賀IC)として設定する。ステップS20では、地点1に対する地図データの最小単位の領域を決定し、この地点1の最小単位の領域に対応するパーセルデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0050】
ステップS30では、ステップS20で記録したパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。ステップS40では、ステップS20で記録したパーセルデータの周囲8近傍のパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0051】
ステップS50では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るか否かを判断する。ここで、肯定判定される場合には、ステップS60へ処理を進め、否定判定される場合には、本処理を終了する。
【0052】
ステップS60では、地点2に対する地図データの最小単位の領域を決定し、この地点2の最小単位の領域に対応するパーセルデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0053】
ステップS70では、ステップS60で記録したパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。ステップS80では、ステップS60で記録したパーセルデータの周囲8近傍のパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0054】
ステップS90では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るか否かを判断する。ここで、肯定判定される場合には、ステップS100へ処理を進め、否定判定される場合には、本処理を終了する。
【0055】
ステップS100では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るため、地点1及び地点2の地図データの最小単位の領域(図4のm1、m2)から右方向の領域(図4のm3、m4)に移動する。そして、ステップS20〜ステップS90を繰り返す。このステップS20〜ステップS90の処理について、地点1及び地点2の周辺8メッシュに対して、交互に順次反時計回りに繰り返し、コリドー用メモリ13のメモリ領域に余裕があれば、更なる周辺メッシュに対して反時計回りに、コリドー用メモリ13に空きがある限り繰り返していき、空きが無くなった時点で終了する。
【0056】
これにより、地点1と地点2の道路区間の両端の地点を含むメッシュから道路区間の中間地点を含むメッシュに向かって順次、コリドー用メモリ13に記録されるようになる。従って、道路区間の両端の地点を含むメッシュが道路区間の中間により近い地点のメッシュよりも優先してコリドー用メモリ13に記録されるようになる。その結果、その指定した道路区間へ進入する場合と退出する場合の経路案内を確実に行うようにすることが可能となる。
【0057】
なお、図2に示した設定画面にて自動選択の”現在地から最寄ICは不要(降線ICから目的地までは詳細)”が設定された場合には、目的地を地点1とし、最寄ICを地点2として設定して、図7に示したフローチャートの処理を行えばよい。
【0058】
次に、図2に示した設定画面にて自動選択の”現在地から最寄ICは不要(降線ICから目的地までは詳細)”が設定された場合における、目的地付近から現在地方向に向かって地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0059】
先ず、図8に示すステップS110では、地点1を目的地(新宿駅)として設定する。ステップS120では、地点1に対する地図データの最小単位の領域を決定し、この地点1の最小単位の領域に対応するパーセルデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0060】
ステップS130では、ステップS120で記録したパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。ステップS140では、ステップS120で記録したパーセルデータの周囲8近傍のパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0061】
ステップS150では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るか否かを判断する。ここで、肯定判定される場合には、ステップS160へ処理を進め、否定判定される場合には、本処理を終了する。
【0062】
ステップS160では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るため、地点1の地図データの最小単位の領域(図5のm1)から右方向の領域(図5のm2)に移動する。そして、ステップS120〜ステップS150を繰り返す。このステップS120〜ステップS150の処理については、地点1の周辺8メッシュに対して順次反時計回りに繰り返し、コリドー用メモリ13のメモリ領域に余裕があれば、更なる周辺メッシュ(図5のm3、m4、・・・)に対して反時計回りに、コリドー用メモリ13に空きがある限り繰り返していき、空きが無くなった時点で終了する。
【0063】
これにより、目的地を含むメッシュから案内経路上の現在地を含むメッシュに向かって順次、地図ディスクから地図データを読み込んでコリドー用メモリ13に記録されるようになる。従って、例えば、目的地の手前から経路案内を開始したり、目的地の周辺の施設検索をしたりすることが可能となる。
【0064】
続いて、図2に示した設定画面にて自動選択の”詳しく情報がほしい場所を指定”が設定された場合における、この案内経路上の任意な地点から目的地と現在地の両方向に向かって地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0065】
先ず、図9に示すステップS210では、地点1を案内経路上の現在地と目的地との間の任意な経路途中地点として設定する。ステップS220では、地点1に対する地図データの最小単位の領域を決定し、この地点1の最小単位の領域に対応するパーセルデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0066】
ステップS230では、ステップS220で記録したパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。ステップS240では、ステップS220で記録したパーセルデータの周囲8近傍のパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0067】
ステップS250では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るか否かを判断する。ここで、肯定判定される場合には、ステップS260へ処理を進め、否定判定される場合には、本処理を終了する。
【0068】
ステップS260では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るため、地点1の地図データの最小単位の領域(図6のm1)から右方向の領域(図6のm2)に移動する。そして、ステップS220〜ステップS250を繰り返す。このステップS220〜ステップS250の処理については、地点1の周辺8メッシュに対して順次反時計回りに繰り返し、コリドー用メモリ13のメモリ領域に余裕があれば、更なる周辺メッシュ(図6のm3、m4、・・・)に対して反時計回りに、コリドー用メモリ13に空きがある限り繰り返していき、空きが無くなった時点で終了する。
【0069】
これにより、地点1を含むメッシュから案内経路の目的地を含むメッシュ及び案内経路上の現在地を含むメッシュの両方向に向かって順次、地図ディスクから地図データを読み込んでコリドー用メモリ13に記録されるようになる。従って、例えば、指定した地点の手前から経路案内を開始したり、指定した地点の周辺の施設検索をしたりすることが可能となる。
【0070】
このように、本実施形態のナビゲーション装置は、地図データ入力器6にセットするディスクを地図ディスクから他ディスクに入れ替えて、他ディスクを再生しながら経路案内機能を実行する場合、ディスクの入れ替え前に、コリドー用メモリ13へ記録すべき地図データの範囲を指定して、地図データ入力器6を介して地図ディスクから指定した範囲の地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをコリドー用メモリ13へ記録し、ディスクの入れ替え後は、コリドー用メモリ13へ予め記録した地図データを用いて経路案内機能を実行する。
【0071】
これにより、例えば、地理に詳しくない地域の地図データの範囲を指定することが可能となるため、コリドー用メモリ13のメモリ容量に制限がある場合でも、地理に詳しくない地域の地図データを記録することができる。その結果、地図ディスクからの地図データの読み込みが不可の場合であっても、地理に詳しくない地域におけるナビゲーション装置の機能を極力損なわないようにすることができる。
【0072】
また、本実施形態のナビゲーション装置によって、最低限必要な地域の地図データのみを記録することが可能となるため、コリドー用メモリ13に予め記録する際の地図データの読み込み時間が短縮され、その結果、地図ディスクから他ディスクへの切り替え時間が短縮されるようになる。そして、ナビゲーション装置を用いてDVD映像を楽しんでいる最中でも、ユーザの好みにあった経路案内が行えるようになる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0074】
例えば、大記憶容量を特徴としたHDD(Hard Disk Drive)を搭載したナビゲーション装置(以下、HDD搭載ナビ)では、HDDは基本的に常時取り付けられているため、HDDに記憶される地図データの読み出しが不可となる状況は起こり得ないと考えられていた。
【0075】
しかしながら、例えば、HDD内の地図データのメンテナンスを行う場合にはHDDを取り外すため、HDDからの地図データの読み出しが不可となる状況がある。それゆえに、HDD搭載ナビであっても、HDDを取り外す前にコリドー用メモリへ地図データを記録させ、HDDを取り外した後は、この予め記録させた地図データを利用するコリドー機能の必要性が考えられる。
【0076】
従って、本実施形態のコリドー機能は、地図ディスクと他ディスクとを入れ替えて使用するディスクドライブである地図データ入力器6を備えるものに限らず、HDDを搭載したHDD搭載ナビにおいても適用可能である。
【0077】
また、本実施形態では、コリドー用メモリ13に地図データを予め記録するものであるが、外部メモリ9に予め記録するものであってもよい。
【0078】
このほか、本実施形態では、コリドー用メモリ13に予め記録した地図データを用いて経路案内を行う例について説明しているが、このコリドー用メモリ13に予め記録した地図データを用いて周辺施設検索等を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】コリドー用メモリ13への経路記憶設定画面を示す図である。
【図3】ルート情報画面を示す図である。
【図4】2点を指定してコリドー用メモリ13に記録する例を示す図である。
【図5】目的地からコリドー用メモリ13に記録する例を示す図である。
【図6】経路途中よりコリドー用メモリ13に記録する例を示す図である。
【図7】2点を指定してコリドー用メモリ13に記録する処理を示すブローチャートである。
【図8】目的地からコリドー用メモリ13に記録する処理を示すブローチャートである。
【図9】経路途中よりコリドー用メモリ13に記録する処理を示すフローチャートである。
【図10】(a)は、パーセルデータを示す図であり、(b)は、リージョンデータを示す図である。
【図11】パーセルデータとリージョンデータとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1...位置検出器、2...地磁気センサ、3...ジャイロスコープ、4...距離センサ、5...GPS受信機、6...地図データ入力器、7...操作スイッチ群、8...制御回路、9...外部メモリ、10...表示装置、11...送受信機、12... 音声入力マイク、13・・・コリドー用メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されている技術のように、1つのCD/DVDドライブのみ備えるナビゲーション装置において、地図ディスクに記録された地図データをナビゲーション装置の内蔵メモリに予め記録しておくことによって、AVディスク等の他ディスクの再生時であってもその地図データを用いてナビゲーション装置の各種機能を実行することを可能とする機能(コリドー機能)を備えるものがある。
【特許文献1】特開2002−296051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、自宅周辺のように地理に詳しい地域や分岐・合流・交差することのない単調な高速道路上等においては、ユーザは、道路標識等に従うことで所望の場所へ向かうことが可能であるため、そのような地域の地図データの必要性は低い。一方、地理に詳しくない地域や、分岐・合流・交差することが多い高速道路上等においては、経路案内や周辺施設検索等の機能を使いたいというユーザのニーズが高いため、そのような地域の地図データの必要性は高い。
【0004】
しかしながら、従来のコリドー機能は、他ディスクの再生時であっても、地図ディスクの再生時と同様な動作を行うことを前提としていたため、その同様な動作に必要な地図データを内蔵メモリに記録していた。
【0005】
その結果、内蔵メモリには、地理に詳しい地域の地図データを含んで記録されることになり、例えば、内蔵メモリのメモリ容量が十分でない場合には、地理に詳しくない地域での経路案内や周辺施設検索等の機能が損なわれることがあった。
【0006】
また、内蔵メモリには、地理に詳しい地域の地図データを含んで記録されるため、最低限必要な地域の地図データのみを記録する場合に比べ、内蔵メモリに予め記録する際の地図データの読み込みに多くの時間を要し、その結果、地図ディスクから他ディスクへの切り替えを短時間で行うことができなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、コリドー機能を使用する際の地図ディスクから他ディスクへの切り替え時間を短縮するとともに、ユーザが地理に詳しくない地域においてナビゲーション装置の機能を極力損なわないようにすることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載のナビゲーション装置は、
地図データを記録する地図記録媒体から地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをナビゲーション装置の内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録し、地図記録媒体からの地図データの読み込みが不可の場合には、内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録された地図データを使用する制御手段を備えるものであって、
内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録する地図データについて、その地図データがカバーすべき範囲を指定する範囲指定手段を備え、
制御手段は、範囲指定手段の指定した範囲の地図データを地図記録媒体から読み込み、この読み込んだ地図データを内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録することを特徴とする。
【0009】
本発明は、自宅周辺のように地理に詳しい地域の地図データの必要性は低い一方、案内経路の目的地周辺のような地理に詳しくない地域の地図データの必要性は高いなど、ユーザの好みが多種多様に及ぶことに着目したものである。すなわち、上述したように、内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録する地図データについて、その地図データがカバーすべき範囲を指定する範囲指定手段を備え、この指定した範囲の地図データをナビゲーション装置の内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録する構成を採用した。
【0010】
これにより、例えば、地理に詳しくない地域の地図データの範囲を指定することが可能となるため、上記内蔵メモリ又は外部記録媒体のメモリ容量に制限がある場合でも、地理に詳しくない地域の地図データを記録することができる。その結果、地図記録媒体からの地図データの読み込みが不可の場合であっても、地理に詳しくない地域におけるナビゲーション装置の機能を極力損なわないようにすることができる。
【0011】
また、本発明によって、最低限必要な地域の地図データのみを記録することが可能となるため、上記内蔵メモリ又は外部記録媒体に予め記録する際の地図データの読み込み時間が短縮され、その結果、地図ディスクから他ディスクへの切り替え時間が短縮されるようになる。
【0012】
請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、案内経路上の任意な地点、及び道路区間の少なくとも一方を指定する案内経路指定手段を備え、範囲指定手段は、案内経路指定手段の指定した地点及び道路区間の少なくとも一方を含む範囲を指定することを特徴とする。これにより、案内経路が設定される場合には、その案内経路上の任意な地点や道路区間を含む範囲を指定することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載のナビゲーション装置は、案内経路の目的地、若しくは案内経路に含まれる高速道路のインターチェンジのうち、現在地の最寄りのインターチェンジと案内経路の目的地とを結ぶ道路区間の何れかを選択する選択手段を備え、
範囲指定手段は、選択手段の選択した目的地、若しくは道路区間を含む範囲を指定することを特徴とする。
【0014】
このように、案内経路の目的地や現在地の最寄りのインターチェンジと案内経路の目的地とを結ぶ道路区間の何れかを選択しておくことで、範囲指定手段は、その選択した目的地、若しくは道路区間を含む範囲を自動的に指定することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載のナビゲーション装置によれば、地図データは、所定範囲毎に分割された複数のメッシュによって構成されるものであることを特徴とする。このように地図データをメッシュで構成することで、例えば、地図記録媒体から地図データを読み込む際、メッシュ単位での読み込みが可能となる。
【0016】
請求項5に記載のように、制御手段は、案内経路指定手段によって案内経路上の現在地と目的地との間の任意な地点が指定された場合、地点を含むメッシュから案内経路の目的地を含むメッシュ及び案内経路上の現在地を含むメッシュの両方向に向かって順次、地図記録媒体から読み込んで内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することが好ましい。
【0017】
これにより、指定した地点を含むメッシュだけではなく、その指定した地点の周辺のメッシュを含めて内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録されるようになるため、例えば、指定した地点の手前から経路案内を開始したり、指定した地点の周辺の施設検索をしたりすることが可能となる。
【0018】
また、請求項6に記載のように、制御手段は、案内経路指定手段によって案内経路上の任意な道路区間が指定された場合、又は、選択手段によって道路区間が選択された場合、道路区間の両端の地点を含むメッシュから道路区間の中間地点を含むメッシュに向かって順次、地図記録媒体から読み込んで内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することが好ましい。
【0019】
これにより、その道路区間の両端の地点を含むメッシュが道路区間の中間により近い地点のメッシュよりも優先して内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録されるようになるため、その指定した道路区間へ進入する場合と退出する場合の経路案内を確実に行うようにすることが可能となる。
【0020】
また、請求項7に記載のように、制御手段は、選択手段によって案内経路の目的地が選択された場合、目的地を含むメッシュから案内経路上の現在地を含むメッシュに向かって順次、地図記録媒体から読み込んで内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することが好ましい。
【0021】
これにより、案内経路の目的地を含むメッシュだけではなく、その目的地に向かう手前の地点のメッシュを含めて内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録されるようになるため、例えば、目的地の手前から経路案内を開始したり、目的地の周辺の施設検索をしたりすることが可能となる。
【0022】
請求項8に記載のナビゲーション装置は、地図記録媒体は地図ディスクであって、
地図ディスクと、地図データと異なるデータを記録した他ディスクと、を入れ替えて使用するディスクドライブを備え、
制御手段は、ディスクドライブ内のディスクを地図ディスクから他ディスクへ入れ替える際、範囲指定手段の指定した範囲の地図データをディスクドライブを介して地図ディスクから読み込んで、この読み込んだ地図データを内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録し、ディスクドライブにて他ディスクを使用している場合には、内蔵メモリ又は外部記録媒体へ予め記録した地図データを使用することを特徴とする。
【0023】
これにより、地図ディスクと他ディスクとを入れ替えて使用するディスクドライブを備えるナビゲーション装置においても、ディスクドライブにて他ディスクを使用している場合には、内蔵メモリ又は外部記録媒体に予め記録された、指定手段の指定した地点や道路区間を含む範囲の地図データを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1に示す本実施形態のナビゲーション装置は、自動車等の車両に搭載して使用されるもので、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、送受信機11、これらに接続された制御回路8、制御回路8に接続された外部メモリ9、表示装置10、音声入力マイク12を備えている。
【0025】
制御回路8は、通常のコンピュータとして構成されており、その内部には周辺のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。また、制御回路8の内部には、コリドー用メモリ13も備えられている。
【0026】
位置検出器1は、いずれも周辺の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらのセンサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、更にステアリングの回転センサ、各転動輪の車両センサ等を用いてもよい。
【0027】
地図データ入力器6は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)等のディスクドライブであり、地図データを記録した地図CDや地図DVD等の地図ディスクと、地図データと異なるデータ(例えば、音楽データや映像データ等)を記録した音楽CDや映像DVD等の他ディスクとを入れ替えて使用する。
【0028】
ここで、地図ディスクに記録される地図データについて説明する。地図データは、図10(a)に示すパーセルデータと、図10(b)に示すリージョンデータによって構成される。図10(a)、(b)に示すように、パーセルデータとリージョンデータは、所定範囲毎に分割されたメッシュで構成されている。制御回路8は、地図データ入力器6から地図データを読み込む際、このメッシュ単位で読み込みを行う。
【0029】
図10(a)に示すパーセルデータは、地図の描画や施設検索に用いるデータであり、1枚の上位(広域な)メッシュに対し、4枚の下位(詳細な)メッシュが存在し、階層化されている。
【0030】
図10(b)に示すリージョンデータは、道路ネットワークに関するデータであり、このリージョンデータを用いて案内経路が計算される。リージョンデータは、階層構造を成しており、上位(広域な)メッシュでカバーするメッシュは、1枚の上位(広域な)メッシュに対して関連付けられた全ての下位(詳細な)メッシュとなる。例えば、図10(b)において、上位(広域な)メッシュAは、下位(詳細)メッシュA−1とA−2をカバーする。
【0031】
図11に、パーセルデータとリージョンデータとの関係図を示す。図11に示すように、リージョンデータは、必ず最下層のパーセルデータの1つのメッシュが包含されるように存在し、この包含を判定するには、パーセルデータの存在座標とリージョンデータの存在座標を比較することで行う。なお、図11に示すように、リージョンデータの存在座標は、リージョンデータの実体を包含する最小の長方形の南西(Rsw)・北東(Rne)の座標で管理され、パーセルデータの存在座標は、矩形の南西(Psw)・北東(Pne)の座標で管理される。
【0032】
操作スイッチ群7は、例えば、後述する表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、各種入力に使用される。外部メモリ9は、例えば、データの書き込みや読み出しが可能な不揮発性の記憶媒体で構成される。表示装置10はカラー表示装置であり、表示装置10の画面には位置検出器1から入力された車両現在位置マークと、地図データ入力器6より入力された地図データと、更に地図上に表示する案内経路等の付加データとを重ねて表示することが出来る。
【0033】
送受信機11は、VICS(Vehicle Information and Communication System)等の交通情報システムから提供される渋滞情報、通行規制情報、工事情報等を含む道路交通情報を取得するVICSセンサ等を備えるもので、車両の外部から情報を受信したり、車両の外部へ情報を送信したりする。
【0034】
音声入力マイク12は、ユーザの発話を電気信号に変換する。この電気信号は制御回路8に取り込まれ、制御回路8では、電気信号を分析し発話内容を解析する。コリドー用メモリ13は、コリドー機能に用いるためのメモリであり、制御回路8に内蔵される。
【0035】
本ナビゲーション装置は、操作スイッチ群7により目的地の位置が入力されると、現在地(又は出発地)からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して案内経路を形成し表示する、いわゆる経路案内機能も備えている。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0036】
また、本ナビゲーション装置は、地図データ入力器6にセットするディスクを地図ディスクから他ディスクに入れ替えて、他ディスクを再生しながら経路案内機能を実行する場合、ディスクの入れ替え前に、地図データ入力器6を介して地図ディスクから地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをコリドー用メモリ13へ記録し、ディスクの入れ替え後は、コリドー用メモリ13へ予め記録した地図データを用いて経路案内機能を実行する機能(コリドー機能)を備えている。
【0037】
ここで、従来のコリドー機能は、他ディスクの再生時であっても、地図ディスクの再生時と同様な動作を行うことを前提としていたため、その同様な動作に必要な範囲の地図データをコリドー用メモリ13に記録していた。そのため、コリドー用メモリ13のメモリ容量が十分でない場合には、ユーザが地理に詳しくない地域での経路案内や周辺施設検索等の機能が損なわれたり、コリドー用メモリ13に予め記録する際の地図データの読み込みに多くの時間を要し、その結果、地図ディスクから他ディスクへの切り替えを短時間で行ったりすることができなかった。
【0038】
そこで、本実施形態のナビゲーション装置は、コリドー用メモリ13に記録する地図データの範囲を指定可能とする構成を採用した。以下、その特徴部分について説明する。先ず、コリドー機能の実行前に、表示装置10にコリドー用メモリ13に記録する地図データの範囲をユーザ自身が指定(手動選択)するか、或いは自動的に指定(自動選択)するかの設定画面(図2)を表示する。ユーザは、この設定画面から手動選択するか、自動選択するかを設定する。
【0039】
図2の設定画面にて手動選択が設定された場合は、所望の目的地を設定し、経路計算が終了した後、図3に示すようなルート情報画面を表示して、コリドー用メモリ13に記録する案内経路上の道路区間を選択する。この道路区間は、例えば、経路案内機能における案内ポイント間を結んだ区間であり、図3のように、複数の道路区間を連続して選択することも可能である。
【0040】
図3は、名古屋市内の現在地から東京都内の新宿駅を目的地に設定した場合のルート情報画面である。このルート情報画面では、”現在地〜名古屋ICまでの一般道路”、”名古屋IC〜用賀ICまでの東名高速道路”、”用賀IC〜新宿ICまでの首都高速道路”、及び”首都高速〜新宿駅までの都道3号線”、の4つの案内ポイント間の道路区間が示されている。
【0041】
図3に示すように道路区間(”首都高速道路”、”都道3号線”)が選択されると、この選択した道路区間を含む範囲の地図データを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。そして、実際にコリドー機能にて経路案内を行う場合は、コリドー用メモリ13に記録された範囲内に車両が位置したとき、このコリドー用メモリ13に記録した地図データを用いて経路案内を開始する。なお、ユーザが選択した道路区間を含む範囲の地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理については、後述する。
【0042】
一方、図2に示した設定画面にて自動選択を設定する場合には、”目的地付近は詳細、現在地付近は不要”、”現在地から最寄ICは不要(降線ICから目的地までは詳細)”、”詳しく情報がほしい場所を指定”、の3つの設定うち、何れか1つの設定を選択する。
【0043】
この設定画面にて、”目的地付近は詳細、現在地付近は不要”が選択された場合には、目的地付近より現在地方向に向かって地図データをコリドー用メモリ13に出来るだけ記録しておき、実際にコリドー機能にて経路案内を行う場合は、コリドー用メモリ13に予め記録した範囲に車両が位置したとき、このコリドー用メモリ13に記録した地図データを用いて経路案内を開始する。
【0044】
このように、案内経路の目的地を選択しておくことで、その選択した目的地を含む地図データの範囲を自動的に指定することが可能となる。なお、この目的地付近から現在地方向に向かって地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理については、後述する。
【0045】
また、”現在地から最寄ICは不要(降線ICから目的地までは詳細)”が選択された場合には、最寄ICと目的地とを結ぶ道路区間を含む範囲の地図データを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。そして、実際にコリドー機能にて経路案内を行う場合は、コリドー用メモリ13に記録された範囲内に車両が位置したとき、このコリドー用メモリ13に記録した地図データを用いて経路案内を開始する。
【0046】
このように、現在地の最寄ICと案内経路の目的地とを結ぶ道路区間を選択しておくことで、その選択した道路区間を含む地図データの範囲を自動的に指定することが可能となる。なお、道路区間を含む範囲の地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理については、後述する。
【0047】
また、”詳しく情報がほしい場所を指定”が設定された場合には、ユーザが指定する案内経路上の任意な地点から案内経路の目的地、及び案内経路上の現在地の両方向に向かって地図データをコリドー用メモリ13に出来るだけ記録する。そして、実際にコリドー機能にて経路案内を行う場合は、コリドー用メモリ13に予め記録した範囲に車両が位置したとき、このコリドー用メモリ13に記録した地図データを用いて経路案内を開始する。なお、この案内経路上の任意な地点から目的地と現在地の両方向に向かって地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理については、後述する。
【0048】
次に、図2に示した設定画面にて手動選択が設定された場合における、道路区間を含む範囲の地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図3に示した首都高速道路と都道3号線の区間(用賀IC〜新宿駅の道路区間)が選択された場合について説明する。
【0049】
先ず、図7に示すステップS10では、地点1を目的地(新宿駅)とし、地点2をユーザが案内開始を所望した地点(用賀IC)として設定する。ステップS20では、地点1に対する地図データの最小単位の領域を決定し、この地点1の最小単位の領域に対応するパーセルデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0050】
ステップS30では、ステップS20で記録したパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。ステップS40では、ステップS20で記録したパーセルデータの周囲8近傍のパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0051】
ステップS50では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るか否かを判断する。ここで、肯定判定される場合には、ステップS60へ処理を進め、否定判定される場合には、本処理を終了する。
【0052】
ステップS60では、地点2に対する地図データの最小単位の領域を決定し、この地点2の最小単位の領域に対応するパーセルデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0053】
ステップS70では、ステップS60で記録したパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。ステップS80では、ステップS60で記録したパーセルデータの周囲8近傍のパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0054】
ステップS90では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るか否かを判断する。ここで、肯定判定される場合には、ステップS100へ処理を進め、否定判定される場合には、本処理を終了する。
【0055】
ステップS100では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るため、地点1及び地点2の地図データの最小単位の領域(図4のm1、m2)から右方向の領域(図4のm3、m4)に移動する。そして、ステップS20〜ステップS90を繰り返す。このステップS20〜ステップS90の処理について、地点1及び地点2の周辺8メッシュに対して、交互に順次反時計回りに繰り返し、コリドー用メモリ13のメモリ領域に余裕があれば、更なる周辺メッシュに対して反時計回りに、コリドー用メモリ13に空きがある限り繰り返していき、空きが無くなった時点で終了する。
【0056】
これにより、地点1と地点2の道路区間の両端の地点を含むメッシュから道路区間の中間地点を含むメッシュに向かって順次、コリドー用メモリ13に記録されるようになる。従って、道路区間の両端の地点を含むメッシュが道路区間の中間により近い地点のメッシュよりも優先してコリドー用メモリ13に記録されるようになる。その結果、その指定した道路区間へ進入する場合と退出する場合の経路案内を確実に行うようにすることが可能となる。
【0057】
なお、図2に示した設定画面にて自動選択の”現在地から最寄ICは不要(降線ICから目的地までは詳細)”が設定された場合には、目的地を地点1とし、最寄ICを地点2として設定して、図7に示したフローチャートの処理を行えばよい。
【0058】
次に、図2に示した設定画面にて自動選択の”現在地から最寄ICは不要(降線ICから目的地までは詳細)”が設定された場合における、目的地付近から現在地方向に向かって地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0059】
先ず、図8に示すステップS110では、地点1を目的地(新宿駅)として設定する。ステップS120では、地点1に対する地図データの最小単位の領域を決定し、この地点1の最小単位の領域に対応するパーセルデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0060】
ステップS130では、ステップS120で記録したパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。ステップS140では、ステップS120で記録したパーセルデータの周囲8近傍のパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0061】
ステップS150では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るか否かを判断する。ここで、肯定判定される場合には、ステップS160へ処理を進め、否定判定される場合には、本処理を終了する。
【0062】
ステップS160では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るため、地点1の地図データの最小単位の領域(図5のm1)から右方向の領域(図5のm2)に移動する。そして、ステップS120〜ステップS150を繰り返す。このステップS120〜ステップS150の処理については、地点1の周辺8メッシュに対して順次反時計回りに繰り返し、コリドー用メモリ13のメモリ領域に余裕があれば、更なる周辺メッシュ(図5のm3、m4、・・・)に対して反時計回りに、コリドー用メモリ13に空きがある限り繰り返していき、空きが無くなった時点で終了する。
【0063】
これにより、目的地を含むメッシュから案内経路上の現在地を含むメッシュに向かって順次、地図ディスクから地図データを読み込んでコリドー用メモリ13に記録されるようになる。従って、例えば、目的地の手前から経路案内を開始したり、目的地の周辺の施設検索をしたりすることが可能となる。
【0064】
続いて、図2に示した設定画面にて自動選択の”詳しく情報がほしい場所を指定”が設定された場合における、この案内経路上の任意な地点から目的地と現在地の両方向に向かって地図データを読み込んでコリドー用メモリ13へ記録する処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0065】
先ず、図9に示すステップS210では、地点1を案内経路上の現在地と目的地との間の任意な経路途中地点として設定する。ステップS220では、地点1に対する地図データの最小単位の領域を決定し、この地点1の最小単位の領域に対応するパーセルデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0066】
ステップS230では、ステップS220で記録したパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。ステップS240では、ステップS220で記録したパーセルデータの周囲8近傍のパーセルデータに付随するリージョンデータを地図ディスクから読み込んでコリドー用メモリ13に記録する。
【0067】
ステップS250では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るか否かを判断する。ここで、肯定判定される場合には、ステップS260へ処理を進め、否定判定される場合には、本処理を終了する。
【0068】
ステップS260では、コリドー用メモリ13のメモリ領域に空きが有るため、地点1の地図データの最小単位の領域(図6のm1)から右方向の領域(図6のm2)に移動する。そして、ステップS220〜ステップS250を繰り返す。このステップS220〜ステップS250の処理については、地点1の周辺8メッシュに対して順次反時計回りに繰り返し、コリドー用メモリ13のメモリ領域に余裕があれば、更なる周辺メッシュ(図6のm3、m4、・・・)に対して反時計回りに、コリドー用メモリ13に空きがある限り繰り返していき、空きが無くなった時点で終了する。
【0069】
これにより、地点1を含むメッシュから案内経路の目的地を含むメッシュ及び案内経路上の現在地を含むメッシュの両方向に向かって順次、地図ディスクから地図データを読み込んでコリドー用メモリ13に記録されるようになる。従って、例えば、指定した地点の手前から経路案内を開始したり、指定した地点の周辺の施設検索をしたりすることが可能となる。
【0070】
このように、本実施形態のナビゲーション装置は、地図データ入力器6にセットするディスクを地図ディスクから他ディスクに入れ替えて、他ディスクを再生しながら経路案内機能を実行する場合、ディスクの入れ替え前に、コリドー用メモリ13へ記録すべき地図データの範囲を指定して、地図データ入力器6を介して地図ディスクから指定した範囲の地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをコリドー用メモリ13へ記録し、ディスクの入れ替え後は、コリドー用メモリ13へ予め記録した地図データを用いて経路案内機能を実行する。
【0071】
これにより、例えば、地理に詳しくない地域の地図データの範囲を指定することが可能となるため、コリドー用メモリ13のメモリ容量に制限がある場合でも、地理に詳しくない地域の地図データを記録することができる。その結果、地図ディスクからの地図データの読み込みが不可の場合であっても、地理に詳しくない地域におけるナビゲーション装置の機能を極力損なわないようにすることができる。
【0072】
また、本実施形態のナビゲーション装置によって、最低限必要な地域の地図データのみを記録することが可能となるため、コリドー用メモリ13に予め記録する際の地図データの読み込み時間が短縮され、その結果、地図ディスクから他ディスクへの切り替え時間が短縮されるようになる。そして、ナビゲーション装置を用いてDVD映像を楽しんでいる最中でも、ユーザの好みにあった経路案内が行えるようになる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0074】
例えば、大記憶容量を特徴としたHDD(Hard Disk Drive)を搭載したナビゲーション装置(以下、HDD搭載ナビ)では、HDDは基本的に常時取り付けられているため、HDDに記憶される地図データの読み出しが不可となる状況は起こり得ないと考えられていた。
【0075】
しかしながら、例えば、HDD内の地図データのメンテナンスを行う場合にはHDDを取り外すため、HDDからの地図データの読み出しが不可となる状況がある。それゆえに、HDD搭載ナビであっても、HDDを取り外す前にコリドー用メモリへ地図データを記録させ、HDDを取り外した後は、この予め記録させた地図データを利用するコリドー機能の必要性が考えられる。
【0076】
従って、本実施形態のコリドー機能は、地図ディスクと他ディスクとを入れ替えて使用するディスクドライブである地図データ入力器6を備えるものに限らず、HDDを搭載したHDD搭載ナビにおいても適用可能である。
【0077】
また、本実施形態では、コリドー用メモリ13に地図データを予め記録するものであるが、外部メモリ9に予め記録するものであってもよい。
【0078】
このほか、本実施形態では、コリドー用メモリ13に予め記録した地図データを用いて経路案内を行う例について説明しているが、このコリドー用メモリ13に予め記録した地図データを用いて周辺施設検索等を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】コリドー用メモリ13への経路記憶設定画面を示す図である。
【図3】ルート情報画面を示す図である。
【図4】2点を指定してコリドー用メモリ13に記録する例を示す図である。
【図5】目的地からコリドー用メモリ13に記録する例を示す図である。
【図6】経路途中よりコリドー用メモリ13に記録する例を示す図である。
【図7】2点を指定してコリドー用メモリ13に記録する処理を示すブローチャートである。
【図8】目的地からコリドー用メモリ13に記録する処理を示すブローチャートである。
【図9】経路途中よりコリドー用メモリ13に記録する処理を示すフローチャートである。
【図10】(a)は、パーセルデータを示す図であり、(b)は、リージョンデータを示す図である。
【図11】パーセルデータとリージョンデータとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1...位置検出器、2...地磁気センサ、3...ジャイロスコープ、4...距離センサ、5...GPS受信機、6...地図データ入力器、7...操作スイッチ群、8...制御回路、9...外部メモリ、10...表示装置、11...送受信機、12... 音声入力マイク、13・・・コリドー用メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記録する地図記録媒体から前記地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをナビゲーション装置の内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録し、前記地図記録媒体からの地図データの読み込みが不可の場合には、前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録された地図データを使用する制御手段を備えるナビゲーション装置であって、
前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録する地図データについて、その地図データがカバーすべき範囲を指定する範囲指定手段を備え、
前記制御手段は、前記範囲指定手段の指定した範囲の地図データを前記地図記録媒体から読み込み、この読み込んだ地図データを前記内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
案内経路上の任意な地点、及び道路区間の少なくとも一方を指定する案内経路指定手段を備え、
前記範囲指定手段は、前記案内経路指定手段の指定した地点及び道路区間の少なくとも一方を含む範囲を指定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
案内経路の目的地、若しくは案内経路に含まれる高速道路のインターチェンジのうち、現在地の最寄りのインターチェンジと前記案内経路の目的地とを結ぶ道路区間の何れかを選択する選択手段を備え、
前記範囲指定手段は、前記選択手段の選択した目的地、若しくは道路区間を含む範囲を指定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図データは、所定範囲毎に分割された複数のメッシュによって構成されるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記案内経路指定手段によって案内経路上の現在地と目的地との間の任意な地点が指定された場合、前記地点を含むメッシュから前記案内経路の目的地を含むメッシュ及び前記案内経路上の現在地を含むメッシュの両方向に向かって順次、前記地図記録媒体から読み込んで前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記案内経路指定手段によって案内経路上の任意な道路区間が指定された場合、又は、前記選択手段によって道路区間が選択された場合、前記道路区間の両端の地点を含むメッシュから前記道路区間の中間地点を含むメッシュに向かって順次、前記地図記録媒体から読み込んで前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記選択手段によって案内経路の目的地が選択された場合、前記目的地を含むメッシュから前記案内経路上の現在地を含むメッシュに向かって順次、前記地図記録媒体から読み込んで前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記地図記録媒体は地図ディスクであって、
前記地図ディスクと、前記地図データと異なるデータを記録した他ディスクと、を入れ替えて使用するディスクドライブを備え、
前記制御手段は、前記ディスクドライブ内のディスクを前記地図ディスクから前記他ディスクへ入れ替える際、前記範囲指定手段の指定した範囲の地図データを前記ディスクドライブを介して前記地図ディスクから読み込んで、この読み込んだ地図データを前記内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録し、前記ディスクドライブにて前記他ディスクを使用している場合には、前記内蔵メモリ又は外部記録媒体へ予め記録した地図データを使用することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項1】
地図データを記録する地図記録媒体から前記地図データを読み込み、この読み込んだ地図データをナビゲーション装置の内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録し、前記地図記録媒体からの地図データの読み込みが不可の場合には、前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録された地図データを使用する制御手段を備えるナビゲーション装置であって、
前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録する地図データについて、その地図データがカバーすべき範囲を指定する範囲指定手段を備え、
前記制御手段は、前記範囲指定手段の指定した範囲の地図データを前記地図記録媒体から読み込み、この読み込んだ地図データを前記内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
案内経路上の任意な地点、及び道路区間の少なくとも一方を指定する案内経路指定手段を備え、
前記範囲指定手段は、前記案内経路指定手段の指定した地点及び道路区間の少なくとも一方を含む範囲を指定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
案内経路の目的地、若しくは案内経路に含まれる高速道路のインターチェンジのうち、現在地の最寄りのインターチェンジと前記案内経路の目的地とを結ぶ道路区間の何れかを選択する選択手段を備え、
前記範囲指定手段は、前記選択手段の選択した目的地、若しくは道路区間を含む範囲を指定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図データは、所定範囲毎に分割された複数のメッシュによって構成されるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記案内経路指定手段によって案内経路上の現在地と目的地との間の任意な地点が指定された場合、前記地点を含むメッシュから前記案内経路の目的地を含むメッシュ及び前記案内経路上の現在地を含むメッシュの両方向に向かって順次、前記地図記録媒体から読み込んで前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記案内経路指定手段によって案内経路上の任意な道路区間が指定された場合、又は、前記選択手段によって道路区間が選択された場合、前記道路区間の両端の地点を含むメッシュから前記道路区間の中間地点を含むメッシュに向かって順次、前記地図記録媒体から読み込んで前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記選択手段によって案内経路の目的地が選択された場合、前記目的地を含むメッシュから前記案内経路上の現在地を含むメッシュに向かって順次、前記地図記録媒体から読み込んで前記内蔵メモリ又は外部記録媒体に記録することを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記地図記録媒体は地図ディスクであって、
前記地図ディスクと、前記地図データと異なるデータを記録した他ディスクと、を入れ替えて使用するディスクドライブを備え、
前記制御手段は、前記ディスクドライブ内のディスクを前記地図ディスクから前記他ディスクへ入れ替える際、前記範囲指定手段の指定した範囲の地図データを前記ディスクドライブを介して前記地図ディスクから読み込んで、この読み込んだ地図データを前記内蔵メモリ又は外部記録媒体へ記録し、前記ディスクドライブにて前記他ディスクを使用している場合には、前記内蔵メモリ又は外部記録媒体へ予め記録した地図データを使用することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−147318(P2007−147318A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338755(P2005−338755)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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