説明

ナビゲーション装置

【課題】運転者と非運転者に対してそれぞれ適切な入出力制御を実現すること。
【解決手段】操作入力受付部321が乗員からの操作入力を受け付けた場合に、操作者識別部321aによって操作者が運転者であるか非運転者であるかを識別する。さらに車速センサ322が自車両の走行速度を、変速機構状態検知部323が変速機の状態を、ブレーキ状態検知部324がブレーキの動作状態を、ハンドル操作状態検知部326がハンドルの操作状態をそれぞれ取得する。そして、運転者用入出力制御部311aと非運転者用入出力制御部311bが、自車両の走行速度や変速機の状態、ブレーキの状態、ハンドル操作状態などに基づいて運転者に対する入出力と非運転者に対する入出力とを個別に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーション装置に関し、特に運転者と非運転者に対してそれぞれ適切な操作入力制御・表示を実現するナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員に対して画像の表示出力を行なう車載表示装置が利用されてきた。この車載表示装置は、自車両の経路案内において使用することを目的として採用されたものであるが、近年、経路案内のみならず他の用途、例えば特許文献1に開示されるような車載テレビ装置や、オーディオ装置、DVD再生装置などの表示手段としても使用されている。
【0003】
このように車載表示装置の利用用途が拡大したことで、表示出力が対象とする利用者も変化している。すなわち、経路案内に使用する場合、その利用者は主に運転者となるのであるが、テレビなどの表示出力においては助手席や後部座席などに着座した乗員(非運転者)が利用者となる場合がある。
【0004】
ここで運転者に対する表示出力は、その運転操作を阻害しない範囲で行なう必要があり、車両走行中にテレビ出力やDVDの再生などを行なうことは好ましくない。そこで例えば特許文献2は、運転者以外の乗員にとっては完全な画像を視認することができ、運転者にとっては完全な画像を表示することができない車両用表示装置を開示している。
【0005】
また、特許文献3、4および5は、運転者用と非運転者用にそれぞれ個別の表示出力を行ない、例えば運転者への経路案内の表示と、非運転者への娯楽情報(テレビやDVDなど)を同時に実行する技術を公開している。さらに特許文献6及び特許文献7は、2種類の画像を、同時に、同一画面に表示することできる2画面表示装置を開示している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−244591号公報
【特許文献2】特開2003−308032号公報
【特許文献3】特開2000−137443号公報
【特許文献4】特開2004−206089号公報
【特許文献5】特開平6−186526号公報
【特許文献6】特開平11−331876号公報
【特許文献7】特開平9−46622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の技術では、運転者と非運転者に対して各々異なる表示出力を行なう場合であっても、それぞれの機能に対する入出力制御は同一であった。すなわち、運転者に対する入出力であるか、非運転者に対する入出力であるかは考慮されず、画一的な入出力制御が行なわれるという問題点があった。
【0008】
また、例えば車両の走行中、運転者に対しては目的地の設定やコンテンツ情報のタイトル編集など、複雑な操作や画面の注視が必要な入出力は禁止することが望ましいが、非運転者にはかかる制限は不要であり、運転者の所望の入力操作を非運転者が代行することが可能である。すなわち、運転者と非運転者とは連携して車載装置の操作を行なうことがあるが、従来の技術ではこのような運転者と非運転者との連携は考慮されていなかった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術における問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、特に運転者と非運転者に対してそれぞれ適切な操作入力制御・表示を実現するナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係るナビゲーション装置は、車両が走行予定経路に沿って走行するように誘導するナビゲーション装置であって、運転席方向と助手席方向に個別の表示画像を同一画面上に表示する表示手段と、自車両の走行状態を判断する走行状態判断手段と、前記走行状態判断手段による判断結果から自車両が走行中の場合は、前記運転席方向の表示画像に表示されるタッチボタンの表示を通常とは異なる表示にする制御手段と、備えたことを特徴とする。
【0011】
この請求項1の発明によればナビゲーション装置は、自車両が走行中であると判断した場合は、運転席方向の表示画像に表示されるタッチボタンの表示を通常とは異なる表示にする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によればナビゲーション装置は、自車両が走行中であると判断した場合は、運転席方向の表示画像に表示されるタッチボタンの表示を通常とは異なる表示にするので、運転席からの操作を規制しつつ、助手席側からは自由に操作可能なナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ物である。
【0014】
図1は、本発明に係る表示装置の概念図である。図中、1は第1の画像ソース、2は第2の画像ソース、3は第1の画像ソースからの第1の画像データ、4は第2の画像ソースからの第2の画像データ、5は表示制御部、6は表示データ、7は表示部(例えば液晶パネル等)、8は第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像、9は第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像、10は表示部7に対して左側に位置する観察者(利用者)、11は表示部7に対して右側に位置する観察者(利用者)である。
【0015】
図1の概念図は、表示部7に対する観察者10、11の相対的位置に応じて、換言すれば表示部7に対する視野角に応じて、観察者10は第1の表示画像8を、観察者11は第2の表示画像9を実質的に同時に見ることができ、しかも各々の表示画像8、9は表示部7の表示面全体に渡ってみることができることを概念的に示している。図1において、第1の画像ソース1は例えばDVDプレーヤの映画画像やテレビ受信機の受信画像等、第2の画像ソース2は例えばカーナビゲーション装置の地図やルート案内画像等であり、それぞれの第1の画像データ3及び第2の画像データ4は表示制御部5に供給され、それらを表示部7で実質的に同時に表示できるように処理される。
【0016】
表示制御部5から表示データ6を供給される表示部7は、後述する視差バリアを備えた液晶パネル等で構成される。表示部7の横方向の総画素の半数が第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像8の表示に、残りの半数の画素が第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像9の表示に使用される。表示部7に対して左側に位置する観察者10には、第1の表示画像8に対応する画素のみが見え、第2の表示画像9は表示部7の表面に形成されている視差バリアによって遮られて実質的に見えない。一方、表示部7に対して右側に位置する観察者11には、第2の表示画像9に対応する画素のみが見え、第1の表示画像8は視差バリアにより遮られて実質的に見えない。尚、視差バリアについては、例えば特許文献8、特許文献9に開示された構成を応用できる。
【0017】
【特許文献8】特開平10−123462号公報
【特許文献9】特開平11−84131号公報
【0018】
係る構成により、単一の画面で左右の利用者に異なる情報やコンテンツを提供することができる。もちろん、第1、第2の画像ソースが同じであれば、従来どおり左右の利用者が同じ画像を見ることもできる。
【0019】
図2は、本発明に係るマルチビュー表示装置の車両への搭載例を示す斜視図である。図中、12は助手席、13は運転席、14はウインドシールド、15は操作部、16はスピーカである。
【0020】
図1のマルチビュー表示装置の表示部7は、例えば図2に示すように、運転席13と助手席12とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。マルチビュー表示装置に対する各種操作は、表示部7の表面に一体的に形成したタッチパネル(図示せず)や操作部15又は、赤外線又は無線リモートコントローラ(図示せず)の操作によって行なわれる。車両の各ドアにはスピーカ16が配置され、表示画像に連動した音声や警告音等が出力される。
【0021】
運転席13に図1の観察者11が、助手席12には観察者10が座る。表示部7に対する第1視方向(運転席側)から見ることができる画像は例えばカーナビゲーション装置の地図等の画像であり、実質的に同時に第2視方向(助手席側)から見ることができる画像は例えばテレビ受信画像やDVDムービー画像である。従って、運転席13の運転者がカーナビゲーションによる運転支援を受けるのと同時に助手席12の同乗者はテレビやDVDを楽しむことができる。しかもそれぞれの画像は例えば7インチの画面全体を使用して表示されるため、従来のマルチウインドウ表示のように画面サイズが小さくなることもない。つまり、運転者、同乗者にとっては、あたかも各々に独立した専用のディスプレイがあるかの如く、それぞれに最適な情報やコンテンツが提供されるのである。
【0022】
図3は、表示部7の断面構造の概略図である。図中、100は液晶パネル、101はバックライト、102は液晶パネルのバックライト側に設置された偏光板、103は液晶パネルの発光方向側の前面に配置された偏光板、104はTFT(ThinFilmTransistor)基板、105は液晶層、106はカラーフィルター基板、107はガラス基板、108は視差バリアである。液晶パネル100は、TFT基板104とそれに対向して配置されるカラーフィルター基板106の間に液晶層105を挟持した一対の基板と、その発光方向側の前面に配置された視差バリア108とガラス基板107とを、2枚の偏光板102・103の間に挟んだ構成となっており、バックライト101からやや離隔して配設される。また、液晶パネル100は、RGB色(三原色)構成される画素を有する。
【0023】
液晶パネル100の各画素は、左側(助手席側)表示用と、右側(運転席側)表示用に分けられて表示制御される。そして、左側(助手席側)表示用画素は、視差バリア108により右側(運転席側)への表示は遮断され、左側(助手席側)からは見えるようになっている。また、右側(運転席側)表示用画素は、視差バリア108により左側(助手席側)への表示が遮断され、右側(運転席側)からは見えるようになっている。これによって、運転席と同乗者に異なった表示を提供することが可能となる。つまり、運転者にはナビゲーションの地図情報を与え、同時に同乗者にはDVDの映画等を見せることが可能となる。なお、視差バリア108、前記液晶パネルの各画素の構成を変更すれば、3方向等、複数方向に異なった画像を表示する構成も可能である。また、視差バリア自体を電気的に駆動可能な液晶シャッター等で構成して視野角を可変するようにしてもよい。
【0024】
図4は、表示パネルを正面から見た構造の概略図であり、図3は図4中のA−A’断面である。図中、109は左側(助手席側)表示用の画素、110は右側(運転席側)表示用の画素である。図3及び図4は、例えば横方向に800画素、縦方向に480画素並べられた液晶パネル100の一部を表す。左側(助手席側)表示用の画素109と右側(運転席側)表示用の画素110は縦方向にグループ化され、交互に並んでいる。視差バリア108は、横方向にある間隔で配置され、縦方向には一様である。これによって、左側から表示パネルを見ると、視差バリア108が右側用画素110を覆い隠して、左側用画素109が見える。また同様に右側から見ると、視差バリア108が左側用画素109を覆い隠して、右側用画素110が見える。さらに正面付近では、左側用画素109と右側用画素110の両方が見えるため、左側表示画像と右側表示画像とが実質的に重なって見える。ここで、図4中の交互に並んだ左側用画素109及び右側用画素110は、図3のようにRGB色を有しているが、各グループ縦方向内は、R列、G列、B列のように単色で構成されていても良いし、RGBが複数混じった例として構成されていてもよい。
【0025】
図5はTFT基板104の概略を示す回路図である。111は表示パネル駆動部、112は走査線駆動回路、113はデータ線駆動回路、114はTFT素子、115〜118はデータ線、119〜121は走査線、122は画素電極、123はサブピクセルである。図5に示すように、サブピクセル123は各データ線115〜118及び各走査線119〜121によって囲まれた領域を一単位とし、複数形成される。各サブピクセルには、液晶層105に電圧を印加する画素電極122とそれをスイッチング制御するTFT素子114が形成されている。表示パネル駆動部111は走査線駆動回路112及びデータ線駆動回路113の駆動タイミングを制御する。走査線駆動回路112はTFT素子114の選択走査を行い、またデータ線駆動回路113は画素電極122への印加電圧を制御する。
【0026】
前記複数のサブピクセルは、第1の画像データと第2の画像データの合成データもしくは、第1と第2の個々の画像データに基づいて、例えばデータ線115と117に第1の画素データ(左側画像表示用)を、またデータ線116と118に第2の画素データ(右側画像表示用)を送信することによって、第1の画像を表示する第1の画像データ群と第2の画像を表示する第2の画像データ群が形成される。
【0027】
図6は、本発明に係わる表示装置の概略を示すブロック図であり、いわゆるAudioVisualNavigation複合機への適用例である。図中、124はタッチパネル、200は制御部、201はCD/MD再生部、202はラジオ受信部、203はTV受信部、204はDVD再生部、205はHD(HardDisk)再生部、206はナビゲーション部、207は分配回路、208は第1の画像調整回路、209は第2の画像調整回路、210は音声調整回路、211は画像出力部、212はVICS情報受信部、213はGPS情報受信部、214はセレクタ、215は操作部、216はリモコン送受信部、217はリモコン、218はメモリ、219は外部音声/映像入力部、220はカメラ、221は明るさ検知手段、222は乗員検知手段、223はリア表示部、224はETC車載器、225は通信ユニットである。
【0028】
表示部7は、タッチパネル124、液晶パネル100及びバックライト101から構成される。表示部7の液晶パネル100は、これまでに述べてきたように、第1視方向として運転席側から見られる画像と、第2視方向として助手席側から見られる画像とを、実質的に同時に表示することが可能となっている。尚、表示部7には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることもできる。
【0029】
制御部200は、各種ソース(CD/MD再生部201、ラジオ受信部202、TV受信部203、DVD再生部204、HD再生部205及びナビゲーション部206)からの画像や音声を、分配回路207により、画像であれば第1の画像調整回路208及び第2の画像調整回路209に、音声であれば音声調整回路210にそれぞれ分配させる。そして、第1及び第2の画像調整回路208、209では、輝度や色調、コントラストなどが調整され、調整された各画像を画像出力部211にて、表示部7に表示させる。また音声調整回路210では、各スピーカへの分配や音量、音声が調整され、調整された音声が、スピーカ16から出力される。
【0030】
図7は、画像出力部211の概略を示すブロック図である。図中、226は第1の書込回路、227は第2の書込回路、228はVRAM(VideoRAM)である。
【0031】
画像出力部211は、例えば図7に示すように、第1の書込回路226と第2の書込回路227とVRAM(VideoRAM)228と表示パネル駆動部111とを備えている。例えば、第1の書込回路226は、第1の画像調整回路208で調整された画像データのうち奇数列に対応する画像データ(即ち、図1の第1の表示画像8用の画像データ)を、第2の書込回路227は、第2の画像調整回路209で調整された画像データのうち偶数列に対応する画像データ(即ち、図1の第2の表示画像9用の画像データ)をもとにし、それぞれVRAM228における該当する領域に書き込む。また表示パネル駆動部111は液晶パネル100を駆動する回路であり、VRAM228に保持されている画像データ(第1の画像データと第2の画像データの合成データ)に基づいて、液晶表示パネル100の対応する画素を駆動する。尚、VRAM228には第1の画像データと第2の画像データの合成されたマルチビュー表示用の画像に対応するように画像データの書き込みが行なわれているので、駆動回路は一つでよく、その動作も通常の液晶表示装置の駆動回路の動作と同じである。また別の構成として、第1の画像データと第2の画像データを合成せずに、それぞれの画像データに基づいて、液晶表示パネルの対応する画素を駆動する第1の表示パネル駆動回路及び第2の表示パネル駆動回路を用いることも考えられる。
【0032】
ここで、図6で示した各種ソースの一例について説明をすると、HD再生部205を選択した場合、ハードディスク(HD)に記憶されたMP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、ナビゲーション用の地図データ等か読み出され、音楽データを選択するためのメニュー表示や画像データを表示部7に表示させることができる。
【0033】
ナビゲーション部206は、ナビゲーションの為に利用される地図情報を記憶した地図情報記憶部を備え、VICS情報受信部212、GPS情報受信部213から情報を入手し、ナビゲーション動作の為の画像を作成し、表示させることができる。またTV受信部203は、アンテナからセレクタ214を介して、アナログTV放送波及びデジタルTV放送波を受信する。
【0034】
図8は制御部200の概略を示すブロック図である。図中、229はインターフェース、230はCPU、231は記憶部、232はデータ記憶部である。
【0035】
制御部200は分配回路207並びに各種ソースを制御し、選択された2つのソースもしくは1つのソースについて表示を行なわせる。また制御部200は、これら各種ソースをコントロールするための操作メニュー表示を表示部7に表示させることも行なっている。ここで、図8で示すように、制御部200はマイクロプロセッサなどで構成され、インターフェース229を介して、表示装置内の各部や各回路を統括的に制御しているCPU230を備えている。このCPU230には、表示装置の動作に必要な各種プログラムを保持するROMからなるプログラム記憶部231と、各種データを保持するRAMからなるデータ記憶部232とが設けられている。なお、ROMやRAM等は、CPUに内蔵されたものでも、外部に設けたものでも使用することが可能である。又、ROMはフラッシュメモリの様に電気的に書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0036】
ユーザは、上記各種ソースのコントロールを、表示部7の表面に取り付けられているタッチパネル124や表示部7の周囲に設けられたスイッチ、もしくは音声認識等の入力操作や選択操作を操作部215によって行なうことができる。またリモコン送受信部216を介して、リモコン217により入力もしくは選択操作をしてもよい。制御部200は、このタッチパネル124や操作部215の操作に従って、各種ソースを含めた制御を行なっている。また、制御部200は、図2のように車両内に複数備え付けられたスピーカ16の各音量等を、音声調整回路210を用いて制御することができるように構成されている。また制御部200は、メモリ218に画質設定情報やプログラム、車両情報等の各種設定情報を記憶させることも行なっている。
【0037】
図9は、メモリ218の概略を示すブロック図である。図中、233は第1の画面RAM、234は第2の画面RAM、235は画質設定情報記憶手段、236は対環境調整値保持手段である。
【0038】
メモリ218は、例えば図9に示すように、使用者が設定した第1の画像及び第2の画像の画質の調整値がそれぞれ書き込み可能な第1の画面RAM233および第2の画面RAM234と、第1の画像及び第2の画像の各画質調整用に予め複数段階の調整値が選択可能に記憶されている画質設定情報記憶手段235や、周囲環境に対する第1の映像及び第2の映像の画質の調整状態を保持する対環境調整値保持手段236を有している。画質設定情報記憶手段235及び対環境調整値保持手段236は、フラッシュメモリなどの電気的書き換え可能不揮発性メモリ又はバッテリバックアップされた揮発性メモリにより構成される。
【0039】
外部音声/画像入力部219に接続された、例えば後方監視用のカメラ220からの画像を表示部7に表示するようにしてもよい。なお、後方監視用カメラ220以外に、ビデオカメラ及びゲーム機等を外部音声/画像入力部219に接続してもよい。
【0040】
制御部200は、明るさ検知手段221(例えば、車両のライトスイッチや光センサ)や乗員検知手段222(例えば、座席に設けられた感圧センサ)により検知された情報を元に、出力画像や音声の定位位置等の設定を変更させることが可能である。
【0041】
223は車両の後席用に設けられたリア表示部であり、画像出力部211を介して、表示部7に表示される画像と同じもの、もしくは運転席用の画像か助手席用の画像の一方が表示可能である。
【0042】
制御部200は、ETC車載器250からの料金表示等を表示させることを行っている。また制御部200は、携帯電話などと無線接続するための通信ユニット225を制御し、これに関する表示がされるようにしてもよい。
【0043】
つづいて、本発明にかかる操作入力制御処理と表示処理について説明する。既に述べたように、単一のディスプレイにて乗員の着座角度からそれぞれ異なった画像を視認できるようなマルチディスプレイを適用した場合、運転席側からは例えば地図画像、助手席側からは目的地の操作画像が見え、助手席側からその目的地設定のための操作(タッチパネルによる操作)画像を見ることができ、その操作を行なうことができる。しかしながら、走行時などでは操作に規制がかかるため、従来では折角の助手席側からの操作も受付が禁止され、操作できなくなってしまう。
【0044】
そこで、本実施例では、このような走行規制がかかってしまっても、助手席側(運転席以外)からの操作については、その操作を受け付けるようにする。即ち、自車の停止時には、運転席側および助手席側にはそれぞれナビゲーション装置を動作させるような操作画像(タッチパネルのボタンなど)を表示するが、自車が走行している場合は、運転席側は従前どおりナビゲーション装置を動作させるような操作画像(タッチパネルのボタンなど)は表示させず、運転に適した表示を行い(又はボタンの表示はするが、操作は受け付けない)、一方助手席側には、ナビゲーション装置を動作させるような操作画像(タッチパネル等のボタン)を表示させ、助手席側でも操作できるようにする。尚、ナビゲーション装置にこだわることなく、オーディオ・ビジュアル等についての表示・操作画像であってもよい。
【0045】
また、このような操作の受付に関するだけでなく、運転席側に適した表示、助手席側(運転席以外)に適した表示をそれぞれ制御して表示させるのも特徴である。例えば、映画等は、運転席側は表示を禁止し、助手席側については表示を可能にする。従って、これらを包括すると、マルチディスプレイにおいて、運転席に対する操作の受付、もしくは表示についてのみ運転に適した内容に制限し、運転席以外に対する操作の受付、もしくは表示については、このような制限を行なわないようにする。
【0046】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る表示装置の好適な実施の形態である車載装置について詳細に説明する。なお、以下では説明を簡明にするため、操作入力制御処理と表示処理に関わる部分を特に抽出した概要構成を用いて説明を行なう。
【実施例1】
【0047】
図10は、本発明の実施例1である車載装置301の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、車載装置301は、その内部に主制御部311、ナビゲーションユニット312、AV(オーディオ・ビジュアル)ユニット13、操作入力受付部321、車速センサ322、変速機構状態検知部323、ブレーキ状態検知部324、ハンドル操作状態検知部326、表示処理部331、音声処理部332、ディスプレイ341およびスピーカ342を有する。
【0048】
操作入力受付部321は、スイッチやタッチパネルなどを用いた乗員からの操作入力を受け付ける処理部であり、その内部に操作者識別部321aを備える。操作者識別部321aは、操作入力が運転席側から(すなわち運転者によって)実行されたか、助手席側から(すなわち非運転者によって)実行されたかを識別する。具体的な識別方法としては、例えば下記のa〜eが考えられる。
【0049】
a)タッチパネルへの接近物(指)が接近してくる方向から判断。
i)タッチパネルの縦方向に赤外線を放射し、該赤外線が遮断された箇所から左右のどちらから接近物が接近しているかを判断する。
b)操作形態の違いから判断。
i)押圧力の違いから判断する。
ii)押下時間の違いから判断する。
iii)押下回数(クリック数)の違いから判断する。
c)運転席乗員と助手席乗員とにそれぞれ異なる物(装置)を持たせて、該物(装置)から判断。
i)発信周波数や発信するコードなどの異なる発信機を両者の指に付けて、その違いから判断する。
ii)画像により識別可能な物(色の異なる指輪)を指に付けて、その違いから判断する。
d)生体認識(指紋など)。
e)その場所に人が存在するか否かから判断。
i)助手席乗員がいない場合、運転者からの操作と判断し、他方、運転者がいない場合、助手席乗員からの操作と判断する。
【0050】
車速センサ322は、自車両のタイヤ回転速度などから自車両の走行速度を検知するセンサであり、変速機構状態検知部323は、自車両の変速機構の状態を取得するセンサである。また、ブレーキ状態検知部324は、自車両の制動機構の動作状態を検知するセンサであり、ハンドル操作状態検知部326は、運転者によるハンドル操作を検知するセンサである。
【0051】
ナビゲーションユニット312は、自車両の走行経路の設定および誘導を行なうユニットである。具体的には、ナビゲーションユニット312は、GPS(GlobalPositioningSystem)によって自車両の現在位置を取得し、地図データを用いて自車両が走行している道路を特定し、ディスプレイ341やスピーカ342を用いて経路誘導を実行する。
【0052】
AVユニット313は、ラジオ放送、テレビ放送などの受信によって取得したコンテンツデータやCD、DVD、HDなどの記録媒体から読み出したコンテンツデータを車両の乗員に提供するユニットである。ここでは、AVユニット313は、その内部にオーディオ機能313a、DVD再生機能313b、ゲーム機能313cを備えている。
【0053】
スピーカ342は、乗員に対する音声出力を行なう装置であり、その出力内容は音声処理部332が作成する。また、ディスプレイ341は、乗員に対する表示出力を行なう装置であり、その表示内容は表示処理部331が作成する。
【0054】
ここで、表示処理部331は、運転席側表示制御部331aおよび助手席側表示制御部331bを有する。運転席側表示制御部331aは、ディスプレイ341に運転者用の表示画像を作成する処理部であり、助手席側表示制御部331bは、ディスプレイ341に非運転者用の表示画像を作成する処理部である。
【0055】
この運転席側表示制御部331aおよび助手席側表示制御部331bによって単一のディスプレイ341に運転者用の表示画像と非運転者用の表示画像とを個別に作成することができる。
【0056】
単一のディスプレイ341に運転者用の画像と非運転者用の画像とを個別に表示する方法には、「表示画面を分割し、それぞれの画像を表示する方法(図11−1)」、「乗員の視線方向の差を利用し、複数の画像を合成して表示する方法(図11−2)」などがある。また、本実施例1では単一のディスプレイを利用する場合を例に説明を行なうが、運転者用と非運転者用にそれぞれ専用のディスプレイを設けてもよい。
【0057】
運転者用と非運転者用に個別にディスプレイを設ける場合の構成例を図11−3および図11−4に示す。図11−3の構成では、運転席351側に向けて運転者用のディスプレイ341aを設置するとともに、助手席352側に向けて助手席乗員用のディスプレイ341bを設置している。また、図11−4の構成では、前席(運転席および助手席)の乗員用にディスプレイ341cを設置するとともに、後席乗員用にディスプレイ341dを設置している。
【0058】
なお、このように複数のディスプレイを設置する場合、図12−1に示すように、単一の表示制御部内に複数の表示制御部を設け、各表示制御部がそれぞれ異なるディスプレイの表示制御を行なうように構成してもよいし、図12−2に示すように各ディスプレイに対応する複数の表示処理部を設けてもよい。また、複数のディスプレイを設置する場合には、各ディスプレイの車室内における設置位置を登録し、この設置位置に基づいて表示制御を行なうことで、各座席に対応した入出力制御を実現することができる。
【0059】
主制御部311は、車載装置301を全体制御する制御部であり、操作入力受付部321、車速センサ322、変速機構状態検知部323、ブレーキ状態検知部324、ハンドル操作状態検知部326からの入力を受けてナビゲーションユニット312およびAVユニット313の動作を制御し、表示処理部331および音声処理部332を介してディスプレイ341およびスピーカ342への出力を行なう。
【0060】
また、主制御部311は、その内部に運転者用入出力制御部311aおよび非運転者用入出力制御部311bを有する。運転者用入出力制御部311aは、運転者からの操作入力の受け付けおよび運転者への出力を制御する制御部であり、非運転者用入出力制御部311bは非運転者(本実施例1では助手席に座った乗員)からの操作入力の受け付けおよび非運転者への出力を制御する制御部である。
【0061】
この運転者用入出力制御部311aおよび非運転者用入出力制御部311bによって、主制御部311は、運転者に対する入出力と、非運転者に対する入出力とを個別に制御することができる。
【0062】
例えば、自車両が走行中である場合には、運転者用入出力制御部311aは運転者による目的地の設定など、複雑な操作や画面の注視が必要な入出力を制限するが、非運転者用入出力制御部311bはこのような制限は行なわない。したがって、車両走行中の目的地設定は、助手席側からのみ受け付けることとなる。
【0063】
ここで、自車両が走行中であるか否かは、車速センサ322が取得した自車両の走行速度や、変速機構状態検知部323が取得したシフトレバーの状態(レバーが「パーキング」や「ニュートラル」に入っているか否か)、ブレーキ状態検知部324が取得したブレーキの状態(パーキングブレーキが動作中であるか否か)、ハンドル操作状態検知部326が取得した運転者によるハンドル操作の状態(ハンドル操作が頻繁になされているか否か)などによって判定することができる。
【0064】
また、自車両の走行に関する情報、例えば渋滞発生などの交通情報やナビゲーションユニット312による案内出力、自車両周辺の映像出力は、運転者にとっては重要な情報であるが、非運転者にとっての重要度は比較的低い。そこで、走行に関する情報出力の必要が発生した場合、運転者用入出力制御部311aは割り込み処理によって優先的に出力を行なうが、非運転者用入出力制御部311bは割り込み処理を行なわない。
【0065】
この主制御部311の処理動作について図13を参照して説明する。同図に示すフローチャートは、車載装置301の稼動中に繰り返し実行される処理である。まず、主制御部311は、車速センサ322、変速機構状態検知部323、ブレーキ状態検知部324、ハンドル操作状態検知部326からの入力に基づいて、自車両が走行中であるか否かを判定する(ステップS101)。
【0066】
その結果、自車両が走行中でない場合(ステップS101,No)、主制御部311は、つぎに運転席側表示制御部331aと助手席側表示制御部331bとが同一の画像を表示中であるか否かを判定し(ステップS102)、同一の画像を表示中であるならば(ステップS102,Yes)、単一の制御、すなわち運転者用と非運転者用とで同一の制御を行なって(ステップS103)、処理を終了する。
【0067】
一方、自車両が走行中である場合(ステップS101,Yes)、もしくはその時点での表示画像が異なる場合(ステップS102,No)、主制御部311は個別の制御、すなわち運転者用と非運転者用とで異なる制御を行なって(ステップS104)、処理を終了する。
【0068】
つぎに、運転者用入出力制御部311aおよび非運転者用入出力制御部311bによる個別の制御の具体例について説明する。図14−1は、助手席側(非運転者用)と運転席側(運転者用)の制御について説明する説明図である。
【0069】
同図に示すように、ナビゲーション機能に対しては、助手席側では全操作を受け付ける。しかし、運転席側では自車両が走行中である場合に操作制限、例えば目的地の設定や各種検索を禁止する制限などを行なう。
【0070】
また、運転席側では、助手席側から操作がなされた場合に、操作入力があったことを運転者に通知する表示(助手席操作の表示)を行なう。さらに、助手席側から例えば目的地の設定があった場合に、その目的地を登録するか否かの最終的な確定操作を運転席側から行なう(助手席操作の確定)。
【0071】
このように、目的地設定などの複雑な操作を助手席側からのみ操作可能とし、運転席側に操作入力の発生を通知し、操作内容の確定を行なわせることで、運転者と非運転者とによる連携した入力を実現し、運転操作を阻害することなくナビゲーション機能の複雑な操作を実行可能とすることができる。
【0072】
また、運転席側におけるさらなる制御としては、運転に関連する情報(例えばVICSなどによって取得した交通情報、経路誘導時の案内画像、自車両の側方の映像(画像)を表示するコーナモニタ、自車両の後方の映像(画像)を表示するバックモニタ、など)の割り込み表示によって、運転に使用する情報を速やかに運転者に認識させる制御を行なう。
【0073】
同様にオーディオ機能についても、助手席側では全操作を受け付けるが、運転席側では自車両が走行中である場合に操作制限、例えばコンテンツデータのタイトル編集など、複雑な操作や画面の注視が必要な入出力を制限する。
【0074】
また、DVD再生機能については、助手席側ではその機能、すなわちDVDの再生を許可するが、運転席側では再生を許可しない。同様に、ゲーム機能については、助手席側、すなわち非運転者に対してはゲームコンテンツの提供を行なうが、運転席側、すなわち運転者に対してはゲームコンテンツの提供を行なわない。
【0075】
なお、助手席側など非運転者からの操作についても、制限することは可能である。この制限は、操作の範囲(操作の種類)の全てであってもよいし、一部を選択的に制限することもできる。また、例えば助手席に座った人物を識別し、人物に対して制限の範囲を設定することもできる。すなわち、助手席の人物が大人であれば操作を受け付け、子供であれば操作を禁止する、などのように制限範囲を設定することとしてもよい。このように助手席の人物を識別して助手席からの操作について制限を行なう場合には、助手席に座った人物の識別方法として、車載装置の起動時に助手席の人物を設定したり、助手席に設けられた感圧センサにより識別する、チャイルドシート装着有無検知により識別する、等で実現することができる。
【0076】
助手席側に対する操作制限の一例を図14−2に示す。同図では、助手席からの操作受付に対してレベル1〜3の3つの区分を設けている。レベル1の操作受付では、助手席側に対する操作制限を行なわず、ナビゲーション機能およびオーディオ機能の全ての操作を許可し、DVD再生機能の使用を許可し、ゲーム機能を提供する。
【0077】
一方、レベル2の操作受付では、助手席側からの操作に対して一部制限を行う。具体的には、ナビゲーション機能による目的地設定を禁止し、オーディオ機能におけるタイトル編集を禁止する。また、レベル3の操作受付では、助手席側からの全ての操作を禁止している。
【0078】
さらに、走行状態に基づいて助手席側の操作範囲を設定することもできる。例えば、車両が比較的長い直線道路を安定した速度で走行中である場合は助手席側からの目的地設定を許可し、山道などカーブが連続する道路では助手席側からであっても操作を制限する、などの処理を行なうようにしてもよい。
【0079】
また、運転者側の操作制限についても、必ずしも「走行中」、「停止中」と2段階で制御を行なう必要はなく、走行速度や走行中の道路の形状によって操作制限を可変制御するようにしてもよい。
【0080】
なお、本実施例ではナビゲーション機能、オーディオ機能、DVD再生機能、ゲーム機能を例に説明を行なっているが、例えばTV受信機能など、他の機能についても同様の制御を行なうことができる。
【0081】
さらに、運転者に対するDVD再生の禁止やゲーム機能の提供の禁止は、走行中などに限定し、停止中には実行可能としてもよいし、走行中、停止中に関わらず禁止する、すなわちDVD再生機能とゲーム機能は非運転者用に限定した機能としてもよい。禁止した場合(走行中)には、他の画像(例えば、ナビ画像、DVD再生機能やゲーム機能の前に使用したソースのうち規制がかからないもので、一番最近使用したソース、固定のソース、使用頻度の最も多いソース、「映像出力を遮断しました」などの通知画像)に切り替える。
【0082】
続いて、ディスプレイ341に表示する画像の具体例について説明する。図15は、運転者に対する操作制限を行なう場合の映像の具体例である。停止中時には、助手席(P席)用の表示領域と運転席(D席)用の表示領域は、それぞれ地図表示に加えてタッチパネルによる仮想的な操作ボタンを表示している。
【0083】
しかし、走行時には、助手席側には助手席側の操作ボタンは継続して表示する(操作も可能で、例えば「地点登録ボタン」が押下された場合は、「検索・設定画面」に移行する)が、運転席側の表示領域では操作ボタンの表示を消去し、運転者による操作が行なわれないようにしている。ここで、操作ボタンの消去に替えて、操作ボタンの表示状態を変更、例えばトーンダウンし、操作制限中(操作入力を受け付けない状態)であることを視認可能としてもよい。
【0084】
また、操作ボタンを表示し、操作された場合には設定画像に移行するが、それ以降の入力操作を禁止したり、操作された場合に操作制限中であることを表示や音声で通知する構成としても良い。
【0085】
なお、図15においては助手席側と運転者側とでそれぞれ指定された、異なる地図を表示中である場合を例に説明を行なったが、同一の画像を表示中である場合にも同様の制御を実行可能であることは言うまでも無い。
【0086】
つぎに、運転者に助手席操作を表示し、操作内容の確定を行なわせる場合の表示例を図16に示す。同図に示すように、助手席側で「地点登録ボタン」が押下された場合、運転席側の画像に「P席で目的地設定中です」との通知メッセージを表示している。また、助手席側での目的地入力が終了した時点で「P席で目的地を設定します。よろしいですか?」との確認メッセージを表示するとともに、運転者からの確認入力を受け付けるボタン(同図では「YES」のボタン)を表示している。
【0087】
つぎに、運転者に対する割り込み表示の具体例を図17および図18を参照して説明する。図17および図18では、助手席(P席)側と運転席(D席)側にそれぞれ同一の画像(オーディオ再生画像)を表示している。
【0088】
そして、車両の走行によって案内表示の必要性が発生した場合、図17に示すように運転席側にのみ案内表示を行ない、案内が終了した時点で元のオーディオ画像に復帰する。同様に、例えば車両が後進する場合など車両後方の映像(画像)を表示する必要が発生した場合は、図18に示すように運転席にのみ車両後方の映像(画像)を表示し、後進終了時点で元のオーディオ画像に復帰する。
【0089】
このように運転操作に関係する割り込み表示を運転者に対してのみ行い、助手席乗員など非運転者に対しては元の表示を継続することで、運転者と非運転者のそれぞれに対して最適な表示を行なうことができる。
【0090】
上述してきたように、本実施例1にかかる車載装置では、運転者用入出力制御部311aと助手席側表示制御部311bが、自車両の走行速度や変速機の状態、ブレーキの状態、ハンドル操作状態などに基づいて運転者に対する入出力と非運転者に対する入出力とを個別に制御するので、それぞれに対して適切な入出力制御を実現することができる。
【実施例2】
【0091】
つぎに、本発明の他の実施例について説明する。図19は、本発明の実施例2である車載装置301aの概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、車載装置301aは、その内部に音声認識部325をさらに備えるとともに、主制御部311の内部に送信タイミング制御部311cおよび設定制御部311dを有する。その他の構成および動作は実施例1に示した車載装置301と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
音声認識部325は、車室内の音声を収集して音声認識することで乗員からの音声入力を受け付ける。これにより、乗員は音声によって車載装置301aを操作することができる。また、音声認識部325は、その内部に話者識別部325aを有する。話者識別部325aは、その音声がどの乗員のものであるか、すなわち音声の話者を識別する処理を行なう。
【0093】
具体的には、話者識別部325aは、音声の入力方向、すなわち音声がどの方向から入力されたかを検知して話者を識別する。この音声の入力方向の検知について、その具体例を図20に示す。
【0094】
図20−1は、2つのマイクを運転席と助手席とに設置する方法について説明する説明図である。同図では、運転席351の近傍にマイク361を、助手席352の近傍にマイク362を設置している。
【0095】
そのため、運転者が音声入力を行なった場合にはマイク361の入力レベルがマイク362の入力レベルに比して大きくなり、助手席352に座った乗員が音声入力を行なった場合にはマイク362の入力レベルがマイク361の入力レベルに比して大きくなる。このように2つのマイクを離して設置すれば、指向性を持たないマイクであったとしてもその入力レベルの比較によって話者を識別することができる。
【0096】
図20−2は、指向性マイクを利用する方法について説明する説明図である。同図では、ディスプレイ341の近傍に指向性マイク363,364を設置するとともに、指向性マイク363の集音方向を運転席351に向け、指向性マイク364の集音方向を助手席352に向けている。
【0097】
そのため、運転者の音声は指向性マイク363が選択的に集音し、助手席352に座った乗員の音声は、指向性マイク364が選択的に集音することとなる。このように指向性のマイクを用いれば、その設置位置が近接していたとしても話者を識別することができる。
【0098】
送信タイミング制御部311cは、非運転者用入出力制御部311bが運転者用の表示領域に表示要求を送信する場合の送信タイミングを制御する処理を行なう。例えば、助手席の乗員が非運転者用の画像を用いて各種処理を行なっている場合に、その内容を運転者にも伝えるべく非運転者用の表示領域を運転者用画像に送信して表示する処理を行なうことが考えられる。
【0099】
しかし、運転者が運転者用画像を確認中であるタイミングで助手席側から表示要求が行なわれると、運転者に対する表示を阻害する可能性がある。同様に、運転者が車載装置301aを操作中である場合や、ナビゲーションユニット312が案内音声を出力中である場合や案内出力発生の直前、連続するカーブなど運転操作が忙しく、不安定である場合やその直前などにも助手席からの表示要求は行なうべきではない。
【0100】
そこで、送信タイミング制御部311cは、車載装置301aの動作状態や運転者による車載装置301aの操作状態、車両の運転操作状態などを取得して、運転者にとって邪魔にならないタイミングで運転者用表示領域への表示を行なう。
【0101】
この送信タイミング制御部311cの処理動作の具体例を図21に示す。同図に示したフローチャートは、非運転者用入出力制御部311bから運転者用表示領域に表示要求を送信する必要が発生した場合に開始する。
【0102】
まず送信タイミング制御部311cは、運転者用入出力制御部311aが運転者からの操作を受付中であるか否かを判定する(ステップS201)。その結果、運転者からの操作入力を受付中でない場合には(ステップS201,No)、車載装置301aがスピーカ342から音声を出力中であるか(特にナビゲーションに関する音声出力が実行中であるか否か)を判定する(ステップS202)。
【0103】
そして、運転者からの操作を受付中である場合(ステップS201,Yes)やスピーカ342から音声を出力中である場合には(ステップS202,Yes)、所定時間待機して(ステップS206)、再度ステップS201に移行する。
【0104】
一方、スピーカ342から音声出力中ではない場合(ステップS202,No)、送信タイミング制御部311cは、つぎにナビゲーションユニット312による案内の発生が予想されるか否か、すなわち現在位置の近傍で案内出力の予定があるか否かを判定する(ステップS203)。
【0105】
その結果、案内出力の予定がない場合(ステップS203,No)、自車両の予定経路と地図情報から、運転操作の安定が予想されるか(例えば他車両の少ない直線道路などであるか)否かを判定する(ステップS204)。
【0106】
その結果、運転操作の安定が予想される場合には(ステップS204,Yes)、送信タイミング制御部311cは、非運転者用入出力制御部311bからの表示要求を運転席側表示制御部331aに送信して、運転者用表示画像を切り替えて処理を終了する(ステップS205)。
【0107】
その一方、案内操作の発生や予想される場合(ステップS203,Yes)や運転操作が不安定である場合には(ステップS204,No)、送信タイミング制御部311cは、運転者用の表示領域に切り替えボタンを表示する(ステップS207)。この切り替えボタンは、運転者による操作を検知した場合に非運転者用入出力制御部311bから要求された画像への切り替えを実行する操作手段である。
【0108】
このように、車載装置301aの状態や運転者の状態などを監視し、非運転者用入出力制御部311bから運転者用表示領域への表示要求の送信タイミングを制御することで、運転者に邪魔にならないように画像の切り替えを行なうことができる。また、状況によっては画像の切り替え用のボタンを表示し、運転者自身に切り替えタイミングを選択させることもできる。
【0109】
なお、ここで示した送信タイミング制御処理はあくまで一例であり、任意に変更して使用することができる。たとえば、同図のステップS206で切替ボタンを表示し、ステップS207で所定時間待機する処理であってもよい。
【0110】
設定制御部311dは、画面の輝度やコントラストなどの設定を、表示ソース(ナビゲーションユニット312、DVD再生機能313b、ゲーム機能313c、テレビ放送など)ごとに決定、変更する手段である。
【0111】
この設定制御部311dは、例えば非運転者用入出力制御11bから設定変更の入力を受け付けた場合には、その時点で助手席側表示領域に表示している表示ソースの設定を変更する。
【0112】
さらに、非運転者用入出力制御部311bは、運転席側表示領域が表示している表示ソースの設定についても変更することができる。この場合、非運転者用表示領域の一部に、運転者用表示領域の表示内容(運転者用表示画像)を表示することが望ましい。
【0113】
例えば、図22に示す画面例では、まず、助手席側表示領域にオーディオ再生画像を表示し、運転席側表示領域に経路誘導の案内画像を表示している。そして、助手席の乗員が運転席側表示領域の設定を変更する場合には、運転席側表示画像の内容(案内画像)を含む設定用画像を作成する。
【0114】
上述してきたように本実施例2にかかる車載装置では、音声入力についてもどの乗員から入力であるかを識別して個別に入出力制御を行なうことができる。また、非運転者が運転席用表示領域に対して表示要求を送信する場合に、その送信タイミングを制御することで運転者の操作などを阻害することなく表示制御を実行することができる。
【0115】
さらに、運転者用表示領域に表示中である表示ソースに対する設定を、非運転者からの操作入力に基づいて変更可能とすることができる。なお、本実施例では各表示ソースに対して単一の設定を有する場合を例に説明を行なったが、例えばユーザごとに個別に表示設定を有する構成では、その時点での運転者であるユーザの設定を他の乗員が変更可能である。
【0116】
また、助手席側表示領域を運転席側表示領域の表示ソースと同じものにすることで、助手席側の表示に対する操作を運転席側の表示に反映させる構成であってもよい。この場合、メニュー操作などで操作されたメニュー項目の一連の設定(確定)がされた時点でタイミング制御部11cの調停のもと、運転席側の表示に反映される。助手席側は、反映後、別のソースに切り替えることで、別ソースの表示と操作が可能となる。
【0117】
また、本実施例では単一ディスプレイ上の表示画面を2つに分割し、それぞれの画面に運転者用の画像と非運転者用の画像を表示する2画面表示形態と、2つの視方向に対して異なる2つの画像を出力する2視野表示形態とを例に説明を行なったが、単一ディスプレイ上の表示画面を3以上に分割し、それぞれの画面に画像を表示する多画面表示形態や、3以上の複数の視方向に対して異なる画像を出力する多方向表示形態、3以上のディスプレイを設ける多ディスプレイ形態として実施することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置は、多方向への表示制御に有用であり、特に車載への搭載時に運転者および非運転者に対して異なる出力を行なう場合の制御に適している。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明に係る表示装置の概念図である。
【図2】表示装置の搭載例を示す斜視図である。
【図3】表示部の断面構造の概略図である。
【図4】表示パネルを正面から見た構造の概略図である。
【図5】TFT基板の概略を示す回路図である。
【図6】本発明に係る表示装置の概略を示すブロック図である。
【図7】画像出力部211の概略を示すブロック図である。
【図8】制御部200の概略を示すブロック図である。
【図9】メモリ218の概略を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例1である車載装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図11−1】運転者用の画像と非運転者用の画像とを個別に表示する方法について説明する説明図である。
【図11−2】運転者用の画像と非運転者用の画像とを重ねて表示する方法について説明する説明図である。
【図11−3】運転席用のディスプレイと助手席用のディスプレイを設置する場合の構成図である。
【図11−4】前席用のディスプレイと後席用のディスプレイを設置する場合の構成図である。
【図12−1】単一の表示制御部が複数のディスプレイを制御する場合の構成図である。
【図12−2】ディスプレイごとに表示制御部を設置する場合の構成図である。
【図13】図10に示した主制御部の処理動作について説明するフローチャートである。
【図14−1】助手席側(非運転者用)と運転席側(運転者用)の操作制御について説明する説明図である。
【図14−2】助手席側に対する操作制限について説明する説明図である。
【図15】運転者に対する操作制限を行なう場合の表示の具体例を示す図である。
【図16】運転者に助手席操作を表示し、操作内容の確定を行なわせる場合の表示例を示す図である。
【図17】案内発生時の割り込み表示の具体例を示す図である。
【図18】バックモニタの割り込み表示の具体例を示す図である。
【図19】本発明の実施例2である車載装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図20−1】2つのマイクを運転席と助手席とに設置する方法について説明する説明図である。
【図20−2】指向性マイクを利用する方法について説明する説明図である。
【図21】図19に示した送信タイミング制御部の処理動作を説明するフローチャートである。
【図22】運転席側の画面設定について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0120】
1 第1の画像ソース
2 第2の画像ソース
3 第1の画像データ
4 第2の画像データ
5 表示制御部
6 表示データ
7 表示部
8 第1の表示画像
9 第2の表示画像
10 観察者
11 観察者
12 助手席
13 運転席
14 ウインドシールド
15 操作部
16 スピーカ
100 液晶パネル
101 バックライト
102 偏光板
103 偏光板
104 TFT基板
105 液晶層
106 カラーフィルター基板
107 ガラス基板
108 視差バリア
109 左側(助手席側)表示用の画素
110 右側(運転席側)表示用の画素
111 表示パネル駆動部
112 走査線駆動回路
113 データ線求道回路
114 TFT素子
115〜118 データ線
119〜121 走査線
122 画素電極
123 サブピクセル
124 タッチパネル
200 制御部
201 CD/MD再生部
202 ラジオ受信部
203 TV受信部
204 DVD再生部
205 HD(HardDisk)再生部
206 ナビゲーション部
207 分配回路
208 第1の画像調整回路
209 第2の画像調整回路
210 音声調整回路
211 画像出力部
212 VICS情報受信部
213 GPS情報受信部
214 セレクタ
215 操作部
216 リモコン送受信部
217 リモコン
218 メモリ
219 外部音声/映像入力部
220 カメラ
221 明るさ検知手段
222 乗員検知手段
223 リア表示部
224 ETC車載器
225 通信ユニット
226 第1の書込回路
227 第2の書込回路
228 VRAM(VideoRAM)
229 インターフェース
230 CPU
231 記憶部
232 データ記憶部
233 第1の画面RAM
234 第2の画面RAM
235 画質設定情報記憶手段
236 対環境調整値保持手段
301,301a 車載装置
311 主制御部
311a 運転者用入出力制御部
311b 非運転者用入出力制御部
311c 送信タイミング制御部
311d 設定制御部
312 ナビゲーションユニット
313 AVユニット
313a オーディオ機能
313b DVD再生機能
313c ゲーム機能
321 操作入力受付部
321a 操作者識別部
322 車速センサ
323 変速機構状態検知部
324 ブレーキ状態検知部
325 音声認識部
325a 話者識別部
326 ハンドル操作状態検知部
331 表示処理部
331a 運転席側表示制御部
331b 助手席側表示制御部
332 音声処理部
341 ディスプレイ
342 スピーカ
351 運転席
352 助手席
361,362 マイク
363,364 指向性マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行予定経路に沿って走行するように誘導するナビゲーション装置であって、
運転席方向と助手席方向に個別の表示画像を同一画面上に表示する表示手段と、
自車両の走行状態を判断する走行状態判断手段と、
前記走行状態判断手段による判断結果から自車両が走行中の場合は、前記運転席方向の表示画像に表示されるタッチボタンの表示を通常とは異なる表示にする制御手段と、
備えたことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−24866(P2007−24866A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63044(P2006−63044)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【分割の表示】特願2005−259574(P2005−259574)の分割
【原出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】