説明

ナビゲーション装置

【課題】使い勝手を向上させることができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置は、経度および緯度によって区分された図葉を単位として設定されており表示や経路探索に必要な地図データと、複数の交差点を指定することにより特定される所定領域を単位として設定されており所定のテーマに対応した施設の詳細データとを格納するDVD2と、所定領域の全体を考慮して所定のナビゲーション処理を行うナビゲーションコントローラ1等とを備える。ナビゲーションコントローラ1等によって行われるナビゲーション処理は所定領域に対応したテーマの案内動作であり、ナビゲーションコントローラ1等は、走行位置が所定領域に接近したときに、テーマに関する情報を画像および音声の少なくとも一方を用いて案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示や経路探索等の各種処理を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用のナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出してその近傍の地図画像を表示したり、任意の場所周辺の地図画像を画面上に表示する地図表示機能や、出発地と目的地とを結ぶ最適な経路を探索するとともに、この探索動作によって得られた経路にしたがって車両を誘導する経路探索・誘導機能を有している。このような各種の機能において、利用者が所望の施設等を検索して、経路探索の目的地として指定する場合の代表的な方法としては、(1)利用者の操作に応じて画面上の地図をスクロールさせて所望の施設等を画面に表示させた後に指定する方法や、(2)施設のジャンル別一覧を表示させて、その中から所望の施設等を選択して指定する方法などがある。
【特許文献1】特開平6−102051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のナビゲーション装置では、所望の施設等を経路探索の目的地として指定する場合には、指定された施設の地図上での座標(緯度・経度)に基づいて、この座標に最も近接している道路までの経路を探索していたが、実際に出発地から脱出する際の右左折の制限や、目的地に進入する際の右左折の制限等が考慮されていなかった。したがって、出発地から脱出する場合や目的地に進入する場合を考慮した適切な経路探索を行うことができず、使い勝手がよいとはいえなかった。
【0004】
例えば、目的の施設の両側を道路が通っており、一方の道路にのみこの施設への車両出入口があるような場合に、他方の道路と施設との距離の方が近いと、この他方の道路が誘導経路の目的地近傍として案内されるので、この地点に到着した後に、目的地の車両出入口を探さなければならない場合がある。また、進行方向右側に目的地があって中央分離帯等によって右折できなかったり、対向車線が何車線もある道路であり、しかも慢性的に渋滞していて右折が容易ではない場合もある。同様に、施設を出発地とした場合にも、右左折の制限等が考慮されていないので、車両出入口を出て右折する誘導経路が設定されている場合に、この車両出入口に隣接する道路に中央分離帯があって右折できなかったり、横切ろうとする対向車線の車線数が多くしかも渋滞しており、右折することが容易でない場合もある。
【0005】
また、施設のジャンル別一覧を表示させて、その中から所望の施設等を選択する手法は、経路探索の目的地を選択する場合だけでなく、走行中に立ち寄りたい施設(例えばコンビニエンスストアに立ち寄りたい場合等)を単に検索したい場合等にも使用される。ところが、従来のナビゲーション装置では、ジャンルを指定して最寄りの施設を検索すると、自車位置を中心に直線距離で近い順に特定ジャンルの施設を検索しており、車両の現在の走行道路に沿っているか否かが考慮されることはなかった。したがって、このようにして検索された最寄り施設が案内された場合であっても、必ずしも行きやすい施設を案内しているとは限らず、使い勝手がよいとはいえなかった。
【0006】
また、従来のナビゲーション装置では、例えば、繁華街や行楽地のように、その領域全体を避けた経路探索を行いたい場合や、反対にその領域を指定して目的地とするような経路探索を行ったり、このような領域を対象とした案内情報を得ることができず、このような大まかな目的にしたがった経路探索や案内を欲する利用者においては、使い勝手がよいとはいえなかった。したがって、このような経路探索を行おうとすると、特定の領域に含まれる経由地を設定したり、反対に特定の領域を避けるような経由地を設定する必要があり、操作が煩雑になる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、使い勝手を向上させることができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、経度および緯度によって区分された図葉を単位として設定されており表示や経路探索に必要な地図データと、複数の交差点を指定することにより特定される所定領域を単位として設定されており所定のテーマに対応した施設の詳細データとをデータ格納手段に格納し、ナビゲーション処理手段によって、所定領域の全体を考慮して、所定のナビゲーション処理を行っている。所定領域の全体を考慮して、大まかな目的にしたがった経路探索や案内情報の提供等の所定のナビゲーション処理を行うことができるので、使い勝手を向上させることができる。
【0009】
上述したナビゲーション処理手段によって行われるナビゲーション処理は、所定領域に対応したテーマの案内動作であり、ナビゲーション処理手段は、走行位置が所定領域に接近したときに、テーマに関する情報を画像および音声の少なくとも一方を用いて案内することが望ましい。車両の走行位置に近接した位置に繁華街や行楽地等の所定領域がある場合に、その領域に対応したテーマの内容を画像や音声を介して知ることができるので、目的地や経由地の選択の幅を広げることができ、使い勝手をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した一実施形態のナビゲーション装置について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(1)ナビゲーション装置の全体構成
図1は、本発明を適用した一実施形態の車載用ナビゲーション装置の全体構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、全体を制御するナビゲーションコントローラ1と、地図表示や経路探索等に必要な地図情報を記録したDVD2と、このDVD2に記録された地図情報を読み出すディスク読取装置3と、利用者が各種の指示を入力する操作部としてのリモートコントロール(リモコン)ユニット4と、自車位置と自車方位の検出を行うGPS受信機5および自律航法センサ6と、地図画像や誘導経路等を表示するディスプレイ装置7と、経路誘導等を行う際に所定の案内音声を出力するオーディオ部8とを備えている。
【0012】
上述したディスク読取装置3は、1枚あるいは複数枚のDVD2が装填可能であり、ナビゲーションコントローラ1の制御によっていずれかのDVD2から地図情報の読み出しを行う。なお、装填されるディスクは必ずしもDVDでなくてもよく、CDでもよい。また、DVDとCDの双方を選択的に装填可能としてもよい。
【0013】
リモコンユニット4は、経路探索指示を与えるための探索キー、経路誘導モードの設定に用いる経路誘導モードキー、目的地入力キー、上下左右のカーソルキー、地図の縮小/拡大キー、表示画面上のカーソル位置にある項目の確定を行う設定キー等の各種操作キーを備えており、キーの操作状態に応じた赤外線信号をナビゲーションコントローラ1に向けて送信する。
【0014】
GPS受信機5は、複数のGPS衛星から送られてくる電波を受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算し(車両方位は現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)、これらを測位時刻とともに出力する。また、自律航法センサ6は、車両回転角度を相対方位として検出する振動ジャイロ等の角度センサと、所定走行距離毎に1個のパルスを出力する距離センサとを備えており、車両の相対位置および方位を計算する。
【0015】
ディスプレイ装置7は、ナビゲーションコントローラ1から出力される描画データに基づいて、自車周辺の地図画像を車両位置マークや出発地マーク、目的地マーク等とともに表示したり、この地図上に誘導経路や交差点案内情報等を表示したりする。オーディオ部8は、車両が接近中の交差点についての案内音声等の各種音声を出力する。
【0016】
(2)DVD2に記録された地図情報の内容
次に、DVD2に記録された地図情報の詳細について説明する。DVD2に記録された地図情報は、所定の経度および緯度で区切られた矩形形状の図葉を単位として内容が設定された地図データと、図葉の大きさとは無関係に複数の交差点を指定することにより特定される所定領域を単位として内容が設定された詳細データとを含んでいる。
【0017】
(2−1)地図データ
各図葉単位で内容が設定される地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。各図葉毎の地図データには、(1)地図表示に必要な各種のデータからなる描画ユニットと、(2)マップマッチングや経路探索、経路誘導等の各種の処理に必要なデータからなる道路ユニットと、(3)交差点等の詳細データからなる交差点ユニットが含まれている。
【0018】
道路ユニットは、各道路について、マップマッチングや経路探索、経路誘導等の各種処理に必要なデータを含んで構成されている。また、道路ユニットにおいて、道路上の任意の2点間を結ぶ線をリンクといい、2本以上のリンクを結ぶ隣接点をノードという。そして、道路ユニットには、リンクの道路属性、リンク通過に必要なコスト、ノードの緯度・経度等のデータが含まれている。
【0019】
交差点ユニットは、交差点の詳細データから構成されている。例えば、交差点ユニットには、交差点の緯度・経度、車線数、名称の文字列等のデータが含まれている。
【0020】
図2は、道路ユニットにの概略的な内容を示す図である。図2に示すように、道路ユニットには、道路ユニットであることを識別するためのユニットヘッダと、全ノードの詳細データを納めた接続ノードテーブルと、接続ノードテーブルの格納位置を示すノードテーブルと、隣接する2つのノードによって特定されるリンクの詳細データを納めたリンクテーブルとが含まれている。
【0021】
図3は、道路ユニットに含まれる各種のテーブルの詳細な内容を示す図である。ノードテーブルは、図3(A)に示すように、着目している図葉に含まれる全ノードに対応したノードレコード#0、#1、…を格納している。各ノードレコードは、その並び順に#0から順にノード番号が与えられており、各ノードに対応する接続ノードテーブルの格納位置を示す。
【0022】
また、接続ノードテーブルは、図3(B)に示すように、存在するノードのそれぞれ毎に、
a.正規化経度・緯度、
b.このノードが交差点ノードであるか否かを示す交差点ノードフラグ、他の図葉との境界にあるノードであるか否かを示す隣接ノードフラグ、このノードにおいてリンクが分岐しているか否か、分岐しているとしたら分岐の形状がT字路あるいはY字路に該当するか否かを示す分岐路情報などからなる「ノードの属性フラグ」、
c.このノードをリンクの一方端とするリンクがある場合に各リンクの他方端を構成するノードの数を示す「接続しているノードの数」、
d.このノードに接続されているリンクに右折禁止やUターン禁止等の交通規制が存在する場合にはその「交通規制の数」、
e.このノードが一方端となっている各リンクのリンク番号を示すリンク本数分の接続ノードレコード、
f.上述した交通規制が存在する場合にはその数に対応した交通規制の具体的な内容を示す交通規制レコード、
g.このノードが他の図葉との境界にあるノードである場合には、隣接する図葉の対応するノードの接続ノードテーブルの位置を示す「隣接ノードレコード」、
h.このノードが交差点ノードである場合には、交差点ユニットにおける対応する交差点レコードの格納位置およびサイズ、
等が含まれる。
【0023】
また、リンクテーブルは、図3(C)に示すように、着目している図葉に含まれる全てのリンクに対応したリンク番号順に複数のリンクレコードを含んでいる。これらの各リンクレコードは、
a.主に探索経路表示用に各リンクに付されたコードであるリンクID、
b.リンクの両端に位置する2つのノードを特定するノード番号1およびノード番号2、
c.リンクの距離、
d.このリンクを走行する場合のコスト、
e.このリンクに付随した道路の属性情報(一方通行の有無等)を含む各種の道路属性フラグ、
f.このリンクに対応した実際の道路が高速道路であるか一般道であるかといった道路の種類や、道路の幅が何メートルあるかといった道路の幅員を示す道路種別フラグ、
g.このリンクに対応した道路に付された路線番号、
等が含まれる。
【0024】
図4は、交差点ユニットの詳細な内容を示す図である。図4に示すように、交差点ユニットは、各交差点毎に、交差点そのものに関するデータが含まれる交差点レコードと、交差点から延びた道路の行先等に関するデータが含まれる交差点方面情報レコードと、交差点を構成する道路の各車線に関するデータが含まれる交差点車線情報レコード等を格納している。
【0025】
図5は、交差点レコードの詳細な内容を示す図である。図5に示すように、各交差点レコードは、存在する交差点のそれぞれに対応して、
a.この交差点に信号が立っているか否かを示す信号フラグなどからなる「交差点情報フラグ」、
b.この交差点が何差路であるかを示す「交差点の差路数」、
c.交差点名称を表示する場合の表示座標、
d.表示する交差点名称文字列、
e.この交差点を構成する各リンクのリンクIDとこのリンクに対応する交差点方面情報レコードの格納位置(交差点の差路数分)、
等が含まれる。
【0026】
(2−2)詳細データ
また、複数の交差点を指定することで特定される所定領域毎に設定される詳細データは、所定のテーマに対応した施設に関するものであり、利用者が興味を持つ、あるいは利用者が対価を払ってでも欲しがる内容が想定されている。設定されるテーマとしては、「繁華街」、「祭事」、「紅葉狩り」、「自然景観」等が設定されている。なお、上述した地図データと詳細データは、DVD2の異なる格納領域に分けて格納されており、テーマが増減することに伴って対応する詳細データが増減したときに、地図データの内容や格納位置を変更することなく、詳細データの内容を変更することができるようになっている。したがって、地図情報が格納されたDVD2の製造者、販売者は、DVD2の購買者の要求に応じた仕様変更によって、テーマを増減する際の設計変更の範囲を最小限に抑えることができる。また、地図データのみが格納されたDVD2を一般に市販するとともに、ナビゲーション装置の製造、販売業者毎に用意された詳細データを加えたDVD2を設計する際の手間が大幅に軽減される。
【0027】
図6は、各テーマに対応して設定される所定領域について概念的に説明する図である。同図に示すように、例えば、飲食店等の各種店舗が密集している繁華街の所在範囲が、ハッチングで示されているように繁華街領域200として設定される。同様に、紅葉狩りを楽しむことのできる範囲が、ハッチングで示されているように紅葉狩り領域210として設定される。他のテーマについても同様であり、祭事が行われる範囲は祭事領域、美しい自然景観を鑑賞することができる範囲は自然景観領域、というように各テーマに基づいた所定領域が設定される。また、このようなテーマ毎に対応した所定領域は、複数の交差点を指定してその外周を特定することにより設定される。所定領域を指定するために必要な交差点には、擬似的な交差点も含まれる。擬似的な交差点とは、交差点を指定することができないような場合に、適当な経度および緯度に対応した地点を擬似的に交差点として扱うものである。例えば、駅の裏側がすぐに海岸線になるような場合には、この駅を含む所定領域を特定する際に、海岸線上の地点が擬似的な交差点として扱われる。
【0028】
図7は、各テーマ毎に設定される詳細データのデータ構造を示す図である。同図に示すように、1つのテーマに対応する詳細データには、ヘッダ情報テーブル、出入口座標点テーブル、補間座標点テーブル、エリアデータテーブル、道路データテーブル、エリア外周座標点テーブル、交差点データテーブル、交差点名称テーブル、交差点画像テーブル、交差点規制テーブル、書店データテーブル、映画データテーブル、駐車場データテーブル、待ち合わせ場所データテーブル、劇場演芸場データテーブル、トイレデータテーブル、ATMデータテーブル、施設画像テーブルが含まれている。
【0029】
(2−2−1)ヘッダ情報テーブル
図8は、ヘッダ情報テーブルの詳細な内容を示す図である。ヘッダ情報テーブルは、詳細データのインデックスとして使用されるものであり、各テーマに対応して、
a.各施設を特定する施設ID、
b.この施設が属する領域に対応するテーマ(例えば、「繁華街」等)を示すテーマ種別、
c.この領域に対応するテーマ毎に付された連番(例えば、繁華街領域#0、#1、#2、…等)であるエリア番号、
d.駐車場、映画館、銀行など、この施設が属するジャンルを示す施設種別、
e.施設の名称文字列や名称読み仮名文字列、
f.施設の電話番号や郵便番号
g.施設の所在地が属する都道府県を示す都道府県コード、
h.施設の所在地が属する市町村を示す市町村コード、
i.施設の所在地の住所文字列、および住所読み仮名文字列、
j.施設の画像ファイルの有無を示す画像有無フラグ、
k.施設の所在地を緯度・経度で示した取得座標、
l.施設の所在地まで車両で進入することが不適切であるか否かを示す周辺探索フラグ、
等が含まれる。
【0030】
なお、本実施形態では、施設の所在地がアーケード街となっている道路に面している等の理由からその施設まで車両で行くことが不適切な場合には、施設までの経路案内を行う代わりに、この施設の周辺にある至近の駐車場が探索される。このような処理を行うために、その施設の近くの駐車場を探索する必要があるか否かが上述した「周辺探索フラグ」によって指定される。このフラグが立っている施設については、経路探索の際に、近くの駐車場が自動的に検索され、検索された駐車場が目的地として設定される。
【0031】
(2−2−2)出入口座標点テーブル
図9は、出入口座標点テーブルの詳細な内容を示す図である。出入口座標点テーブルは、各施設に進入したり、各施設から脱出する場合の情報を格納するためのものであり、各施設毎に、
a.施設ID、
b.着目している施設が有するすべての車両出入口に対して付される番号である通し番号、
c.車両出入口を緯度・経度で示した出入口座標、
d.車両出入口が接する道路(直近道路)を識別するために用いられる直近道路ID、
e.進入交差点を識別するために用いられる進入交差点ID、
f.脱出交差点を識別するために用いられる脱出交差点ID、
等が含まれる。
【0032】
図10は、図9に示した出入口座標点テーブルに含まれる出入口座標、進入交差点、脱出交差点と施設との関係を示す図である。
【0033】
本実施形態では、個々の施設について、(1)施設の所在地を示す「取得座標」、(2)施設の車両出入口から出入りする場合の直近道路上の位置を示す「出入口座標」、(3)施設に対する進入に適した交差点を示す「進入交差点」、(4)施設からの脱出に適した交差点を示す「脱出交差点」、の4点が特定される。
【0034】
なお、上述した4点の中で、(1)取得座標は、従来から行われている最寄り施設の検索等に用いられているものであり、地図データ内に含まれる。したがって、それ以外の(2)出入口座標、(3)進入交差点、(4)脱出交差点については、地図情報の詳細データに含まれるものが用いられる。
【0035】
また、上述した進入交差点および脱出交差点は、基本的に、施設の車両出入口に対して車両が左折して進入し、車両出入口から左折により脱出することができるように設定される。ただし、施設の前を通っている道路に一方通行などの交通規制があり、施設の車両出入口に対して左折による進入および脱出ができないような場合には、その状況に応じて、適宜、進入交差点および脱出交差点が設定される。また、施設において車両出入口が複数ある場合には、それぞれの車両出入口に対応して(2)出入口座標、(3)進入交差点、(4)脱出交差点が設定される。
【0036】
従来のように、(1)取得座標のみを用いた場合には、車両出入口の位置を考慮せずに隣接道路までの経路探索が行われていたため、目的地周辺まで経路誘導が行われた場合であっても、その後に利用者自身が施設の車両出入口を探さなければならない場合もあった。しかし、本実施形態では、経路探索によって確実に進入交差点まで走行経路を設定することができる。しかも、進入交差点と出入口座標によって特定される位置を結ぶ経路を設定することにより、施設の車両出入口まで確実に経路誘導を行うことができるようになる。特に、このようにして施設の車両出入口まで経路の探索を行う際に、進入時や脱出時の進行方向を考慮して設定された進入交差点および脱出交差点を含めて経路探索が行われるため、例えば、車両の通行量が多い道路において右折を行って各種施設に対する進入や脱出を行うこと等を極力回避して、走行しやすい経路を設定することができる。
【0037】
(2−2−3)補間座標点テーブル
施設によっては、経路探索の対象となる道路から分岐した細街路を通って行き来する場合もある。このような場合には、上述した(2)出入口座標が経路探索の対象となる道路上に設定されたとしても、その先どのように走行すればその施設に到達することができるかがわからない場合がある。このために、補間座標点テーブルが用意されている。
【0038】
図11は、補間座標点テーブルの詳細な内容を示す図である。補間座標点テーブルは、施設とこれに対応する出入口座標との間を結ぶ細街路上に設定された1あるいは複数の補間座標点を特定するためのものであり、各施設毎に、
a.施設ID、
b.通し番号、
c.補間座標点の経度、
d.補間座標点の緯度
等が含まれる。補間座標点が複数存在する場合には、補間座標点の経度と緯度を組み合わせた補間座標点の数だけ設定される。また、経路探索の対象となる道路に隣接して施設が存在する場合には、施設に対応した補間座標点が存在しないため、図11に示した補間座標点テーブル自体が存在しない。
【0039】
(2−2−4)施設画像テーブル
図12は、施設画像テーブルの詳細な内容を示す図である。施設画像テーブルは、施設の詳細案内等を行う際に、文字情報以外に画像情報を格納するためのものであり、各施設毎に、
a.施設ID、
b.着目している施設に関して用意された画像に付される通し番号、
c.画像ファイル、
が含まれる。複数の画像ファイルが存在する場合もある。また、着目している施設に対応する画像ファイルが存在しない場合には、図12に示した施設画像テーブル自体が存在しない。
【0040】
(2−2−5)エリアデータテーブル
図13は、エリアデータテーブルの詳細な内容について説明する図である。エリアデータテーブルは、各テーマに対応して設定された所定領域毎の概略的な情報を格納するものであり、各領域毎に、
a.情報の検索用に付されたインデックス情報であるエリアID、
b.領域に対応するテーマ(例えば、「繁華街」等)を示すテーマ種別、
c.領域の代表点となる交差点の位置を示す代表点座標(緯度・経度)、
d.この領域に対応した詳細データを用いた案内動作等が有効となる時期、日時、曜日、時間帯などの時間的なタイミングを示す案内タイミング情報、
e.領域のシンボルとなる画像(例えば、「紅葉狩り領域」であれば紅葉マーク等)を格納したシンボル画像ファイル、
f.領域の概略を説明するための画像データや音声データ等からなるエリア概略情報、
等が含まれている。
【0041】
(2−2−6)エリア外周座標点テーブル
図14は、エリア外周座標点テーブルの詳細な内容について説明する図である。エリア外周座標点テーブルは、領域の外周を規定する情報を格納するためのものであり、各領域毎に、
a.エリアID、
b.領域の外周を規定する複数の交差点のそれぞれに付される通し番号、
c.領域の外周を規定する複数の交差点のそれぞれを特定する交差点ID、が含まれている。このように、各領域は、複数の交差点を指定してその外周を特定することにより範囲が規定される。また、これらの交差点には、擬似的な交差点も含まれる。
【0042】
(2−2−7)道路データテーブル
図15は、道路データテーブルの詳細な内容を示す図である。道路データテーブルは、領域内の道路の詳細情報を格納するためのものであり、各道路毎に、
a.共通インデックス情報である道路ID、
b.道路の両端に位置する2つの交差点を特定する開始交差点IDおよび終了交差点ID、
c.中央分離帯の有無を示す中央分離帯有無フラグ、
e.道路に付された名称(例えば、「○○通り」等)を示す採用名称文字列、および採用名称読み仮名文字列、
f.道路に対応した各種規制、具体的には、通行が規制される日付、曜日、時間、車種のそれぞれに関する情報を示す規制日時、規制曜日、規制時間、規制車種、
等が含まれている。道路に関するこれらの情報は、従来の地図データにおいても部分的に含まれていたが、本実施形態では、各領域の詳細データを作成する際に、調査員が各道路について実際に調査を行い、その結果に基づいて設定されたものである。なお、この点は、他の各種のデータについても同様である。例えば、上述した出入口座標点テーブルに含まれる出入口座標や進入交差点、脱出交差点についても、調査員が実際に施設の周辺を調べて、これらのデータが作成されている。
【0043】
(2−2−8)交差点データテーブル
図16は、交差点データテーブルの詳細な内容を示す図である。交差点データテーブルは、領域内の交差点の詳細情報を格納するためのものであり、各交差点毎に、
a.共通インデックス情報である交差点ID、
b.この交差点が領域の外周に対応するものであるか否かを示す交差点種別、
c.交差点の名称等を含む交差点名称テーブルの特定に用いられる交差点名称区分
d.交差点を撮影した画像を含む交差点画像テーブルの特定に用いられる交差点画像区分、
e.交差点に関する規制情報を含む交差点規制テーブルを特定するために用いられる交差点規制区分、
f.交差点を構成するリンクの数を示す交差点形状数
等が含まれている。
【0044】
図17は、交差点規制テーブルの詳細な内容を示す図である。交差点規制テーブルは、各種の規制情報を格納するためのものであり、各交差点毎に、
a.交差点ID、
b.この交差点に進入が可能な他の交差点を特定する進入元交差点ID、
c.この交差点から進入することが禁止されている交差点を特定する脱出禁止交差点ID、
d.交差点に対応する各種規制、具体的には、通行が規制される日付、曜日、時間、車種のそれぞれに関する情報を示す規制日時、規制曜日、規制時間、規制車種、
等が含まれている。
【0045】
図18は、交差点名称テーブルの詳細な内容を示す図である。交差点名称テーブルは、交差点の名称を特定する情報を格納するためのものであり、各交差点毎に、
a.交差点ID、
b.進入元交差点ID、
c.交差点の名称文字列や名称読み仮名文字列、
等が含まれている。
【0046】
図19は、交差点画像テーブルの詳細な内容を示す図である。交差点画像テーブルは、交差点を実際に撮影した画像等を格納するためものであり、各交差点毎に、
a.交差点ID、
b.画像の内容を示す画像種別、
c.実際の画像データが格納された画像ファイル、
が含まれている。なお、複数の画像データが存在する場合には、画像種別と画像ファイルが画像データの数だけ存在する。また、画像データが存在しない交差点については、図19に示した交差点画像データテーブル自体が存在しない。
【0047】
(2−2−9)駐車場データテーブル
図20は、駐車場データテーブルの詳細な内容を示す図である。駐車場データテーブルは、領域内に存在する各駐車場の詳細情報を格納するためものであり、各駐車場毎に、
a.共通インデックス情報である駐車場ID、
b.無人式か有人式か、時間貸しか否か等の駐車場の種類を示す駐車場種別、
c.中型車や1ボックスカー等に対する規制の有無を示す車両制限、
d.営業開始時間と営業終了時間、
e.定休日、
f.料金、
g.許容可能な駐車の台数、
等が含まれる。
【0048】
なお、本実施形態の詳細データに含まれる他の施設毎のテーブル(書店データテーブル、映画データテーブル、待ち合わせ場所データテーブル、劇場演芸場データテーブル、トイレデータテーブル、ATMデータテーブル)の内容は、基本的に駐車場データテーブルの内容と同じであり、その施設に特有な詳細情報が格納されている。また、これらのテーブルの種類は、テーマ毎に適宜増減されるものであり、必ずしも同じテーブルが全てのテーマに対応して備わっているわけではない。例えば、テーマ「紅葉狩り」の場合には、書店データテーブルや映画データテーブル、劇場演芸場データテーブルは除かれる。
【0049】
(3)ナビゲーションコントローラの詳細構成
次に、図1に示したナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。ナビゲーションコントローラ1は、ディスプレイ装置7に、自車位置周辺の地図画像、交差点において車線案内等を含む交差点案内情報、各種領域に関する情報等を表示するための地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、VRAM16、交差点案内部18、エリア案内部20、画像合成部22と、自車位置の計算やマップマッチング処理、経路探索処理、経路誘導処理を行うとともにその結果を表示するための車両位置計算部30、経路探索処理部32、誘導経路メモリ34、誘導経路描画部38、マーク画像描画部40と、利用者に対する各種の操作画面を表示したりリモコンユニット4からの操作指示を各部に伝えるためのリモコン制御部60、カーソル位置計算部62、操作画面発生部64と、利用者の操作指示に応じて施設情報等の検索処理を行う検索処理部66とを備えている。
【0050】
地図バッファ10は、ディスク読取装置3によってDVD2から読み出された地図データを一時的に格納するものである。地図読出制御部12は、車両位置計算部30によって自車位置が算出されると、この自車位置を含む所定範囲の地図データの読み出し要求をディスク読取装置3に送り、地図表示に必要な地図データをDVD2から読み出して地図バッファ10に格納する。
【0051】
地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに含まれる描画ユニットに基づいて、表示に必要な地図描画データを作成する。作成された地図描画データはVRAM16に格納される。
【0052】
交差点案内部18は、車両が接近中の交差点における案内を表示画像および音声で行うものであり、実際の経路誘導時に、自車が誘導経路前方にある交差点から所定距離内に接近したときに、この接近中交差点の案内図(交差点拡大図、行先、進行方向矢印)をディスプレイ装置7の画面に表示するとともに、オーディオ部8を通して進行方向を音声で案内する。
【0053】
エリア案内部20は、各種の領域に関する案内を表示画像および音声で行うものであり、自車位置から所定距離以内に接近した各種領域について、所定の案内画像をディスプレイ装置7の画面に表示するとともに、オーディオ部8を通して所定の案内音声を出力する。
【0054】
画像合成部22は、VRAM16から読み出した地図描画データや、交差点案内部18、エリア案内部20、誘導経路描画部38、マーク画像描画部40、操作画面発生部64、検索処理部66のそれぞれから出力される描画データを重ねて画像合成を行い、合成描画データをディスプレイ装置7に出力する。
【0055】
車両位置計算部30は、GPS受信機5および自律航法センサ6の各検出データに基づいて自車位置を計算するとともに、計算した自車位置が地図データの道路上にない場合には、自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。経路探索処理部32は、あらかじめ設定された目的地と出発地との間を所定の条件下で結ぶ走行経路を探索する。例えば、距離最短、時間最短等の各種の条件下で、コストが最小となる走行経路が誘導経路として設定される。経路探索の代表的な手法としては、ダイクストラ法や横型探索法が知られている。このようにして経路探索処理部32によって設定された誘導経路は、出発地から目的地までのノードの集合{NS、N1、N2、…、ND}として表されて誘導経路メモリ34に格納される。
【0056】
誘導経路描画部38は、経路探索処理部32によって設定されて誘導経路メモリ34に格納された誘導経路データの中から、その時点でVRAM16に描画された地図エリアに含まれるものを選び出し、誘導経路を地図画像上に重ねて表示するための誘導経路描画データを作成する。マーク画像描画部40は、マップマッチング処理された後の自車位置に車両位置マークを発生させたり、所定形状を有するカーソルマークを発生するための描画データを作成する。
【0057】
検索処理部66は、利用者の操作指示に応じて、施設情報や領域情報等の検索処理を行う。検索処理部66の具体的な動作については後述する。
【0058】
上述したDVD2が地図データ格納手段に、ナビゲーションコントローラ1、GPS受信機5、自律航法センサ6、ディスプレイ装置7、オーディオ部8がナビゲーション処理手段にそれぞれ対応する。また、DVD2が地図情報を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に対応する。
【0059】
(4)ナビゲーション装置の動作
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次に、上述した地図情報に含まれる詳細データを用いることにより実現されるナビゲーション動作についていくつかの例を挙げて説明する。
【0060】
(4−1)各種領域に関する情報の案内動作
図21は、自車位置から所定距離以内に接近した各種領域に関する情報の案内を行う場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図であり、主にエリア案内部20において行われる動作内容が説明されている。
【0061】
エリア案内部20は、車両位置計算部30から出力される現在の自車位置を取得し、地図バッファ10に格納されたエリアデータテーブルに含まれる各領域の代表点座標(緯度、経度)を参照することにより、自車位置から所定距離以内に各種領域があるか否かを判定する(ステップ100)。自車位置から所定距離以内に各種領域がない間は、ステップ100の判定動作が繰り返される。
【0062】
自車位置から所定距離以内に各種領域がある場合には、ステップ100で肯定判断がなされ、次にエリア案内部20は、該当する領域についての各種情報を案内するタイミングであるか否かを判定する(ステップ101)。具体的には、上述したように、エリアデータテーブルには各種領域のテーマに応じて、案内すべき時期、日時、曜日、時間帯などの時間的なタイミングが予め設定されて格納されているので、これらの情報を取得することにより案内タイミングであるか否かが判定できる。例えば、該当する領域が「紅葉狩り領域」であれば、案内すべき時期が、例えば、10月〜11月などと設定されており、その日の日付が10月〜11月に該当すれば、案内タイミングであると判定される。
【0063】
次に、エリア案内部20は、地図画像上において各種領域を強調表示するよう設定されているか否かを判定する(ステップ102)。なお、各種領域を強調表示するか否かについては、例えば、運転開始時等に利用者によって予め設定されているものとする。
【0064】
強調表示をするよう設定されている場合には、ステップ102において肯定判断がなされ、エリア案内部20は、該当する領域を強調表示する処理を行う(ステップ103)。具体的には、エリア案内部20は、該当する領域に対応する外周座標点を読み出して、この外周座標点に対応する地図上の領域を強調した描画データを作成するよう地図描画部14に指示する。また、エリア案内部20は、該当領域のシンボル画像ファイルを読み出して、地図画像において、シンボル画像を重ねて描画する。具体的な表示例については後述する。
【0065】
上述したステップ102において否定判断がなされた場合、または、上述したステップ103に示した動作が行われると、エリア案内部20は、各種領域に関する案内を行うよう設定されているか否かを判定する(ステップ104)。この各種領域に関する案内を行うか否かについても、運転開始時等に利用者によって予め設定されているものとする。
【0066】
領域の案内を行うよう設定されている場合には、ステップ104で肯定判断がなされ、エリア案内部20は、エリアデータテーブル内の「エリア概略」を読み出し、これに基づいて該当する領域に関する情報を音声等によって案内する(ステップ105)。その後、エリア案内部20は、上述したステップ100に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0067】
図22は、自車位置から所定距離以内に存在する各種領域を強調表示した場合の表示例を示す図である。例えば、自車位置から所定距離以内に「紅葉狩り領域」が存在し、時期が10月中旬等で案内タイミングに合致しているとすると、図22にハッチングで示したように、紅葉狩り領域が強調表示される。また、該当領域に関する案内を行う旨の設定がなされている場合には、「近くに紅葉のきれいな地域があります」等の案内音声が出力される。
【0068】
(4−2)各種領域を考慮した経路探索動作
図23は、各種領域を考慮した経路探索動作を行う場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図であり、主に経路探索処理部32において行われる動作内容が説明されている。
【0069】
経路探索処理部32は、出発地や目的地等が設定されて、経路探索を行うよう指示がなされたか否かを判定する(ステップ200)。経路探索指示がなされない間は、ステップ200の判定処理が繰り返される。
【0070】
経路探索指示がなされると、上述したステップ200で肯定判断がなされ、経路探索処理部32は、経路探索を行う際に各種領域を自動的に回避して経路探索処理を行うよう設定されているか否かを判定する(ステップ201)。各種領域を自動的に回避するよう設定されていない場合には、ステップ201において否定判断がなされ、経路探索処理部32は、利用者によって設定された出発地と目的地に応じて経路探索処理を行う(ステップ202)。
【0071】
次に経路探索処理部32は、求めた誘導経路上に各種領域が存在するか否かを否かを判定する(ステップ203)。各種領域が存在する場合には、ステップ203で肯定判断がなされ、経路探索処理部32は、誘導経路上に存在する各種領域に関する情報を操作画面発生部64に出力する。操作画面発生部64は、各種領域の種別や名称文字列等の情報を地図バッファ10から読み出して、誘導経路上に存在する各種領域のリストを表示する(ステップ204)。
【0072】
次に、経路探索処理部32は、利用者により、各種領域の一部または全部について、その領域を回避するよう指定がなされたか否かを判定する(ステップ205)。各種領域に対する回避指定がなされた場合には、ステップ205で肯定判断がなされ、経路探索処理部32は、利用者によって指定された領域の周辺について、この領域を回避する誘導経路を再度探索する(ステップ206)。
【0073】
回避指定する領域がない旨の指示がなされた場合(ステップ205で否定判断)、または、上述したステップ206に示した処理によって誘導経路の探索が行われると、経路探索処理部32は、経路探索結果を誘導経路メモリ34に格納する(ステップ207)。
【0074】
また、各種領域を自動的に回避する旨の設定がなされている場合には、上述したステップ201において肯定判断がなされ、経路探索処理部32は、各種領域を回避するようにして経路探索処理を行い(ステップ208)、経路探索結果を誘導経路メモリ34に格納する(ステップ207)。
【0075】
その後、出発地と目的地を含む所定範囲の地図画像が地図描画部14によって描画され、誘導経路描画部38によってこの地図画像上に誘導経路が太く強調表示されることにより、経路探索結果の表示が行われ(ステップ209)、一連の経路探索処理が終了する。
【0076】
図24は、経路探索結果の表示例を示す図である。同図において、画面中央付近にハッチングで示された領域が「繁華街領域」であり、渋滞が頻発するために、この「繁華街領域」を回避して経路探索を行って得られた経路探索結果の表示例を示している。このように、本実施形態では、予め設定された各種領域に対して、例えば、渋滞が頻発するような領域全体を回避するような経路を探索する等の処理を容易に行うことができ、所望の誘導経路を効率的に探索することができる。
【0077】
(4−3)各種領域を検索する動作
図25は、各種領域を検索する場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【0078】
操作画面発生部64は、領域検索を行う旨の指示がなされたか否かを判定し(ステップ300)、領域検索を行う旨の指示がなされると、所定の領域検索画面を表示する。具体的には、画面上に各種領域のテーマ(「繁華街」、「紅葉狩り」、「祭事」等)が表示される。
【0079】
次に、検索処理部66は、検索対象とするテーマが指定されたか否かを判定する(ステップ301)。テーマが指定されると、ステップ301で肯定判断がなされ、検索処理部66は、指定されたテーマに対応する領域を検索し(ステップ302)、検索結果を表示する(ステップ303)。具体的には、テーマが「繁華街」と指定された場合には、対応する検索結果として、例えば、銀座、有楽町、丸の内、……といった領域が検索結果として得られ、これらがリスト化されて検索結果として表示される。
【0080】
また、リスト項目のいずれかが反転表示され、リモコンユニット4に備わったカーソルキーを操作してこの反転表示領域を上下に移動することにより、いずれかの領域が選択される(ステップ304)。
【0081】
次に、エリア案内部20は、選択された領域の周辺の地図表示を行うよう指示がなされたか否かを判定する(ステップ305)。領域周辺の地図表示を行うよう指示がなされると、エリア案内部20は、領域周辺の地図を表示するための処理を行う。具体的には、エリア案内部20は、該当する領域の代表点座標を読み出し、この代表点座標を含む図葉の地図データを読み出すように地図読出制御部12に指示する。この結果、該当する領域を含む図葉が読み出され、対応する地図画像が地図描画部14によって描画されてVRAM16に格納される。その後、エリア案内部20は、該当する領域の外周座標点を読み出して、この外周座標点に対応する地図上の領域を強調した描画データを作成するよう地図描画部14に指示する。この結果、ディスプレイ装置7の画面上には、該当領域が強調表示された地図画像が表示される(ステップ306)。その後、ステップ304に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0082】
また、領域周辺の地図表示を行う旨の指示がなされない場合には、上述したステップ305で否定判断がなされ、エリア案内部20は、選択された領域に関する情報を表示するよう指示がなされたか否かを判定する(ステップ307)。
【0083】
領域に関する情報を表示するよう指示がなされると、エリア案内部20は、該当する領域に対応するエリアデータテーブルから、「エリア概要」等を読み出し、これに基づいて領域に関する情報表示を行う(ステップ308)。具体的には、エリア案内部20は、情報表示を行うための描画データを作成して、これを画像合成部22に出力する。その後、ステップ304に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0084】
また、領域に関する情報を表示する旨の指示がなされない場合には、上述したステップ307において否定判断がなされ、エリア案内部20は、選択された領域を経路探索処理の目的地とするよう指示がなされたか否かを判定する(ステップ309)。経路探索処理の目的地とするよう指示がなされた場合には、ステップ309で肯定判断がなされ、エリア案内部20は、該当する領域の代表点座標を読み出し、この位置を目的地として経路探索処理を行うように経路探索処理部32に指示を行う。指示を受けた経路探索処理部32は、車両位置計算部30から出力される現在の自車位置を取得して出発地とし、この出発地とエリア案内部20から受け取った目的地とを結ぶ経路を探索する所定の経路探索処理を行う(ステップ310)。その後、ステップ300に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0085】
また、選択された領域を経路探索処理の目的地とする旨の指示がなされない場合には、上述したステップ309で否定判断がなされ、次に、検索処理部66は、領域検索処理を終了する旨の指示がなされたか否かを判定する(ステップ311)。領域検索処理を終了する旨の指示がなされない場合には、ステップ311で否定判断がなされ、上述したステップ304に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0086】
また、領域検索処理を終了する旨の指示がなされた場合には、ステップ311で肯定判断がなされ、操作画面発生部64は、領域検索画面の表示を終了する。その後、上述したステップ300に戻り、以降の処理が繰り返される。このようにして、特定の領域内が目的地に設定されるため、この領域を優先的に走行する経路が設定される。
【0087】
(4−4)各種施設を目的地または出発地とした経路探索処理
図26は、各種施設を目的地として経路探索処理を行う場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【0088】
経路探索処理部32は、経路探索処理の目的地として各種施設が設定されたか否かを判定する(ステップ400)。
【0089】
各種施設が目的地として設定されると、経路探索処理部32は、設定された施設に対応する進入交差点IDを読み出して(ステップ401)、この進入交差点IDによって特定される交差点を仮の目的地として設定する(ステップ402)。
【0090】
また、経路探索処理部32は、車両位置計算部30から現在の自車位置を取得し、現在の自車位置を出発地とし、仮の目的地としての進入交差点までの経路探索処理を行い(ステップ403)、この結果得られた誘導経路データ(通過する交差点ノードのリスト)を誘導経路データとして誘導経路メモリ34に格納する(ステップ404)。
【0091】
次に、経路探索処理部32は、目的地として設定された施設に対応する出入口座標(経度、緯度)を読み出して(ステップ405)、この座標によって特定される車両出入口を経路探索の最終的な目的地に設定して、誘導経路メモリ34に格納する(ステップ406)。
【0092】
図27は、誘導経路メモリ34に格納される誘導経路データの一例を示す図である。同図に示すように、仮の目的地として進入交差点Ninが設定され、さらにそれに続く最終的な目的地として施設の車両出入口Nenが設定される。したがって、このようにして設定された誘導経路に従って所定の経路誘導動作が行われると、各種施設へ向かう際には、施設に対応付けられた進入交差点を通過して、その後車両出入口まで確実に到達することができる経路が案内されることとなる。
【0093】
図28は、各種施設を出発地として経路探索処理を行う場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【0094】
経路探索処理部32は、経路探索処理の出発地として各種施設が設定されたか否かを判定する(ステップ500)。
【0095】
各種施設が出発地として設定されると、経路探索処理部32は、設定された施設に対応する脱出交差点IDを読み出して(ステップ501)、この脱出交差点IDによって特定される交差点を仮の出発地として設定する(ステップ502)。
【0096】
また、経路探索処理部32は、利用者により設定された目的地を取得し、上述した仮の出発地から目的地までの経路探索を行い(ステップ503)、この結果得られた誘導経路データを誘導経路データとして誘導経路メモリ34に格納する(ステップ504)。
【0097】
次に、経路探索処理部32は、出発地として設定された施設に対応する出入口座標(経度、緯度)を読み出して(ステップ505)、この座標によって特定される車両出入口を経路探索の本来の出発地に設定して、誘導経路メモリ34に格納する(ステップ506)。
【0098】
図29は、誘導経路メモリ34に格納される誘導経路データの一例を示す図である。同図に示すように、仮の出発地として脱出交差点Notが設定され、それより一つ前に本来の出発地である施設の車両出入口Nenが設定される。したがって、このようにして設定された誘導経路に従って所定の経路誘導動作が行われると、各種施設から出発した車両は、車両出入口を通過した後、確実に脱出交差点を通過することができる。
【0099】
(4−5)道路をキーワードとした施設情報の検索動作
ところで、本実施形態では、施設と近接している道路の情報が出入口座標点テーブル内の直近道路IDに格納されており、この情報を用いることにより、道路をキーワードとして施設情報の検索を行うことができる。具体的には、例えば、(1)自車が走行している道路、(2)経路誘導時における誘導経路等を指定して、その道路沿いに存在する施設の情報を検索することができる。
【0100】
図30は、道路をキーワードとして施設情報を検索する場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。操作画面発生部64は、施設情報の検索を行う旨の指示がなされたか否かを判定し(ステップ600)、施設情報の検索を行う旨の指示がなされると、所定の施設情報検索画面を表示する。
【0101】
次に、検索処理部66は、検索対象とする道路が指定されたか否かを判定する(ステップ601)。具体的には、検索対象とする道路としては上述したように、(1)自車が走行中の道路、(2)経路誘導が行われている場合の誘導経路などがある。なお、道路名称等を指定することにより、利用者が任意に検索対象の道路を指定できるようにしてもよい。
【0102】
利用者により検索対象の道路が指定されると、ステップ601で肯定判断がなされ、次に検索処理部66は、指定された道路に沿って存在する施設を検索し(ステップ602)、検索結果を表示する(ステップ603)。具体的には、例えば、自車が走行中の道路が指定された場合であれば、検索処理部66は、車両位置計算部30から自車位置を取得し、地図バッファ10に格納されている地図データに含まれるリンク情報等に基づいて自車が走行中の道路を特定する。そして、検索処理部66は、特定された道路に基づいて、出入口座標点テーブル内の直近道路IDを検索することにより、この道路に沿って存在する施設を検索する。同様に、経路誘導時の誘導経路が検索対象の道路として指定された場合であれば、検索処理部66は、経路探索処理部32を介して誘導経路メモリ34に格納された誘導経路データを取得することにより、誘導経路を特定し、この誘導経路に沿って存在する施設を検索する。
【0103】
また、検索結果項目のいずれかが反転表示され、リモコンユニット4に備わったカーソルキーを操作してこの反転表示領域を上下に移動することにより、いずれかの施設が選択される(ステップ604)。いずれかの施設が指定されると、ステップ604において肯定判断がなされ、検索処理部66は、該当する施設に対応する詳細情報を取得して施設情報の表示を行う(ステップ605)。具体的には、検索処理部66は、情報表示を行うための画像データを図12に示した施設画像テーブル内の画像ファイルから読み出して、これを画像合成部22に出力する。
【0104】
図31は、道路をキーワードとした施設情報の検索における画面表示例を示す図である。図31(A)は、施設情報検索画面の表示例を示しており、例えば、「この道路沿い」という項目を選択することにより、自車が走行中の道路を検索対象として指定することができる。また、図31(B)は、施設の検索結果の表示例を示しており、反転表示(図面上ではハッチングで表現)されている部分を上下させることによって、所望の施設を選択することができる。このようにして所望の施設が選択されると、図31(C)に示す表示例のように、施設の概要や画像等からなる所定の施設情報が表示される。
【0105】
このように、本実施形態のナビゲーション装置では、所望の施設を指定するだけで、この施設に対する進入に適した進入交差点、あるいはこの施設からの脱出に適した脱出交差点を知ることができるので、施設周辺の道路状況を考慮した各種ナビゲーション処理を容易に行うことができ、使い勝手を向上させることができる。
【0106】
また、各施設について、これらの施設に対して進入や脱出が可能な直近道路を知ることができるため、車両の走行道路に沿って存在する施設のみを容易に抽出することができるようになり、利用者の使い勝手を向上させることができる。
【0107】
さらに、所定領域の全体を考慮して、大まかな目的にしたがった経路探索や案内情報の提供等の所定のナビゲーション処理を行うことができるので、使い勝手を向上させることができる。
【0108】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、各種領域は、繁華街や紅葉狩り等の所定のテーマに基づいて分類されていたが、行政区等によって分類してもよい。具体的には、例えば、「横浜市」を1つの領域として分類すれば、目的地の施設等が明確でなく漠然と「横浜に行きたい」というような利用者の要求にも応えることができ、ナビゲーション動作のバリエーションを増やすことができる。
【0109】
また、上述した詳細データを含む地図情報の全てをDVD2に格納しておくのではなく、必要に応じて、外部の情報センタ等との間でデータ通信を行って各種データを取得するようにしてもよい。この場合には、ナビゲーション装置内に通信制御部を設け、携帯電話等の移動体電話と接続することにより、外部の情報センタ等と通信を行えばよい。外部から各種データを取得するようにすれば、DVD2に格納するデータ量を低減できるとともに、常に最新の情報に更新されたデータを取得することができる。
【0110】
また、上述した実施形態では、地図情報を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としてDVD2を考えたが、その他の記録媒体、例えばCDやハードディスク、半導体メモリ等を用いるようにしてもよい。また、本明細書で使用しているコンピュータには、パーソナルコンピュータ等の他に、CPUやDSPを含む情報処理装置を広く含んでおり、ナビゲーション装置も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】一実施形態の車載用ナビゲーション装置の全体構成を示す図である。
【図2】道路ユニットの概略的な内容を示す図である。
【図3】道路ユニットに含まれる各種のテーブルの詳細な内容を示す図である。
【図4】交差点ユニットの詳細な内容を示す図である。
【図5】交差点レコードの詳細な内容を示す図である。
【図6】各テーマに対応して設定される所定領域について概念的に説明する図である。
【図7】各テーマ毎に設定される詳細データのデータ構造を示す図である。
【図8】ヘッダ情報テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図9】出入口座標点テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図10】図9に示した出入口座標点テーブルに含まれる出入口座標、進入交差点、脱出交差点と施設との関係を示す図である。
【図11】補間座標点テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図12】施設画像テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図13】エリアデータテーブルの詳細な内容について説明する図である。
【図14】エリア外周座標点テーブルの詳細な内容について説明する図である。
【図15】道路データテーブルの詳細な内容を示す図である。
【図16】交差点データテーブルの詳細な内容を示す図である。
【図17】交差点規制テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図18】交差点名称テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図19】交差点画像テーブルの詳細な内容を示す図である。
【図20】駐車場データテーブルの詳細な内容を示す図である。
【図21】自車位置から所定距離以内に接近した各種領域に関する情報の案内を行う場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図22】自車位置から所定距離以内に存在する各種領域を強調表示した場合の表示例を示す図である。
【図23】各種領域を考慮した経路探索動作を行う場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図24】経路探索結果の表示例を示す図である。
【図25】各種領域を検索する場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図26】各種施設を目的地として経路探索処理を行う場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図27】誘導経路メモリに格納される誘導経路データの一例を示す図である。
【図28】各種施設を出発地として経路探索処理を行う場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図29】誘導経路メモリに格納される誘導経路データの一例を示す図である。
【図30】道路をキーワードとして施設情報を検索する場合のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図31】道路をキーワードとした施設情報の検索における画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1 ナビゲーションコントローラ
2 DVD
3 ディスク読取装置
4 リモートコントロール(リモコン)ユニット
5 GPS受信機
6 自律航法センサ
7 ディスプレイ装置
8 オーディオ部
10 地図バッファ
12 地図読出制御部
14 地図描画部
16 VRAM
18 交差点案内部
20 エリア案内部
22 画像合成部
30 車両位置計算部
32 経路探索処理部
34 誘導経路メモリ
38 誘導経路描画部
60 リモコン制御部
62 カーソル位置計算部
64 操作画面発生部
66 検索処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経度および緯度によって区分された図葉を単位として設定されており表示や経路探索に必要な地図データと、複数の交差点を指定することにより特定される所定領域を単位として設定されており所定のテーマに対応した施設の詳細データとを格納するデータ格納手段と、
前記所定領域の全体を考慮して、所定のナビゲーション処理を行うナビゲーション処理手段と、を備え、
前記ナビゲーション処理手段によって行われるナビゲーション処理は、前記所定領域に対応した前記テーマの案内動作であり、
前記ナビゲーション処理手段は、走行位置が前記所定領域に接近したときに、前記テーマに関する情報を画像および音声の少なくとも一方を用いて案内することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−263971(P2007−263971A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138981(P2007−138981)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【分割の表示】特願2000−149563(P2000−149563)の分割
【原出願日】平成12年5月22日(2000.5.22)
【出願人】(500230347)株式会社エムビーエイ (22)
【Fターム(参考)】