説明

ナビゲーション装置

【課題】 搭乗者の健康状態を考慮した施設を提示することが可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置は、リモコン20やステアリングホイル30に、体脂肪、血圧、脈拍数、及び体温の各センサを配置し、体脂肪率、血圧等を基礎データとして測定する。基礎データに基づいて、運転者の健康状態がどの区分に該当するかを判定する。健康状態の区分としては、施設データの区分に従って、例えば、良好A、普通B、不安Cに分類される。例えば、最高血圧120以下はA、120〜145はB、145以上はCのように区分し各測定項目毎に診断をする。一方、施設データには、各施設毎に健康区分データに各健康状態A、B、C…に対応したフラグが格納される。例えば、健康状態AとBのフラグが格納されている施設は、健康状態Aの搭乗者と健康状態Bの搭乗者に提案してよいが、健康状態Cの搭乗者に対しては提案しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、例えば、現在位置周辺に存在する施設を検索して提供するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の現在位置や目的地までの走行経路等を案内するナビゲーション装置が広く普及している。
このナビゲーション装置では、目的地までの走行経路の案内だけでなく、経路・地図に関する情報として、レストランやホテル等の施設情報も提供できるようになっている。
例えば、特許文献1記載のナビゲーション装置では、複数の施設の中から特定の施設を選択するための選択メニューを表示装置に表示し、選択された施設に関する施設情報を表示装置の地図上に重畳表示したり、リスト表示したりするようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−66584
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来のナビゲーション装置では、施設情報としては、施設のジャンル、施設の名称、位置座標、施設の説明、などが格納されているものの、搭乗者の健康状態に対応した分類や区分情報については格納されていない。
また、搭乗者の健康状態を検出する装置についても備えていない。
このため、施設情報を提供する場合には、単純に現在位置周辺に存在する施設が提供されるだけであった。
【0005】
そこで、本発明は、搭乗者の健康状態を考慮した施設を提示することが可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1記載の発明では、施設情報を、健康状態との対応が区別可能な状態で記憶した施設情報記憶手段と、搭乗者の健康状態を判断する基礎データを測定する基礎データ測定手段と、前記測定した基礎データに基づいて、前記測定した搭乗者の健康状態を診断する診断手段と、前記診断結果に対応する施設情報を前記施設情報記憶手段から読み出して提示する施設提示手段と、をナビゲーション装置に具備させて前記目的を達成する。
(2)請求項2に記載した発明では、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記基礎データ測定手段は、搭乗者の基礎データとして、体脂肪、血圧、脈拍数、及び体温のうちの少なくとも1つを測定することを特徴とする。
(3)請求項3に記載した発明では、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記基礎データ測定手段は、入力操作を行うリモートコントローラ、及び車両のステアリングホイルの少なくとも一方に配置されていることを特徴とする。
(4)請求項4に記載した発明では、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記基礎データ測定手段による測定値に対応する健康状態が規定された健康状態診断テーブルを備え、前記診断手段は、この健康状態診断テーブルを参照して前記搭乗者の健康状態を診断する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搭乗者の健康状態を判断する基礎データを測定して健康状態を診断し、診断結果に対応する施設を施設情報記憶手段から読み出して提示するようにしたので、搭乗者の健康状態を考慮した施設を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のナビゲーション装置の好適な実施形態について、図1から図4を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
ナビゲーション装置は、リモコンやステアリングホイルに、体脂肪、血圧、脈拍数、及び体温の各センサを配置し、所定のタイミング、例えば、リモコンやステアリングホイルに配置した送信ボタンが押された時や、定期的に、又はリモコンの操作がされた場合等に、測定した体脂肪率、血圧等を、健康情報を判断する基礎データとして測定する。
【0009】
そして基礎データの測定値に基づいて、例えば、被測定者(通常は運転者)の健康状態がどの区分に該当するかを判定する。
健康状態の区分としては、施設データの区分に従って、例えば、良好A、普通B、不安Cに分類される。例えば、最高血圧120以下はA、120〜145はB、145以上はCのように区分し、また、体脂肪率が20以下はA、20〜28はB、28以上はCというように各測定項目毎に診断をする。
【0010】
一方、施設データには、各施設毎に健康区分データが格納される。健康区分データは各健康状態A、B、C…に対応したフラグが格納される。
例えば、健康状態AとBのフラグが格納されている施設は、健康状態Aの搭乗者と健康状態Bの搭乗者に提案してよいが、健康状態Cの搭乗者に対しては提案しないようになっている。
【0011】
本実施形態によれば、例えば、運転者の体脂肪率が運転中にステアリングホイルに配置されたセンサで測定され、健康状態A〜Cのいずれかについて診断され、対応した施設が提示される。
例えば、ジャンル「レストラン」で施設検索の要求があり、健康状態を測定して体脂肪率が28以上であれば健康状態Cと判断されたものとする。この場合、レストランに分類される施設のうち、健康状態Cに区分されている「焼き肉店」等のレストランが抽出対象から除かれ、健康状態AとBにフラグが格納されている「和食」等のレストランが抽出され、健康状態の評価と共に表示される。
検索結果の表示(施設表示)は、現在位置や検索基準点(地図上においてカーソルで指定した地点)から近い順にソートしてリスト表示される。
【0012】
(2)実施形態の詳細
図1は、ナビゲーション装置の構成を表したものである。
図1に示されるように、ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置全体を制御するナビゲーション制御部10を備えている。
また、ナビゲーション装置は、ナビゲーション制御部10に対して入力手段として機能し各種操作の入力を行うと共に、搭乗者の健康状態を測定する健康状態測定手段とて機能するリモコン(リモートコントローラ20)を備えている。
ナビゲーション装置はまた、ステアリングホイル30に配置され、健康状態測定手段として機能するセンサ部(後述する)を備えており、ナビゲーション制御部10と接続されている。
このナビゲーション制御部10には、表示装置11、スピーカ12、現在位置検出部13、記憶部14、停止状態検出部15が接続されている。
【0013】
ナビゲーション制御部10は、図示しないCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムで構成されており、RAMを所定の作業領域としてROMや記憶部14に格納された各種プログラムを実効することで、本実施形態における施設検索処理を含め、目的地設定、経路探索、経路案内、各種情報の提供等の各種機能を実現するようになっている。
【0014】
表示装置11は、液晶ディスプレイ11aを備えており、この液晶ディスプレイ11aには、経路案内に必要な目的地設定用の画面を表示したり、走行中の現在位置を地図と共に表示したり、さらに経路案内において車両の走行すべき経路を表示したりするようになっている。
またディスプレイ11aには、本実施形態の施設検索において、搭乗者の健康状態に応じて推奨すべく検索された施設の名称等がリスト表示されたり、リストから選択された施設の詳細情報などが表示されるようになっている。
なお、本実施形態の表示装置11としては液晶ディスプレイ11aが使用されるが、他にCRTやプラズマディスプレイ等を使用するようにしてもよい。
【0015】
表示装置11は、液晶ディスプレイ11aの表面にタッチパネルが配置されており、液晶ディスプレイ11aに表示された各種操作キーに対応する表示部位を押圧(タッチ)することで当該部位に対応した操作キーが選択されるようになっている。
なお、これらの操作キーは、液晶ディスプレイ11aの外側の外側パネル部11bに常設された専用操作キーとして配置するようにしてもよい。
【0016】
表示装置11の外側パネル部11bには、リモコン受光部11cが配置されている。
リモコン受光部11cは、リモコン20から送信される情報の受信手段として機能する。
リモコン20から受信する情報としては、入力された操作信号の他に、リモコン20で検出されたリモコン操作者の健康状態に関する基礎データがある。
【0017】
本実施形態におけるリモコン20は、赤外線リモコンが採用されており、赤外線によるシリアル通信により入力された操作内容に対応する信号が送信され、リモコン受光部11cでこれを受光してナビゲーション制御部10で受信内容が解析されるようになっている。
なお、リモコン20の通信方式としては、赤外線に限られるものではなく、ブルートゥース等の他の無線通信方式により構成するようにしてもよい。
その場合、リモコン受光部11cに代えて、リモコン20の通信方式に対応したリモコン受信部が外側パネル部11bに配置され、対応した受信情報の解析がナビゲーション制御部10で行われるように構成される。
【0018】
スピーカ12は、図示しない音声プロセッサが接続され、ナビゲーション制御部10による制御のもと各種音声を出力するようになっている。
スピーカ12からは、例えば、「この道300m先を右方向です」といった経路案内用の音声や、液晶ディスプレイ11aに表示された各種画面操作方法についての操作案内音声等が出力されるようになっている。
またスピーカ12からは、本実施形態における施設検索の際に診断した搭乗者の健常状態を報知する音声、例えば、「リモコンを操作された方/運転者の健康状態はBです」といった音声が出力されるようにしてもよい。
なお、スピーカ12は、車両に配置されているオーディオ用のスピーカを兼用するようにしてもよい。
【0019】
現在位置検出部13は、ナビゲーション装置を搭載している車両の現在位置(例えば、緯度、経度による絶対位置)を検出する。検出した現在位置は、例えば、経路案内において道路データとのマッチング等に使用され、液晶ディスプレイ11aに表示された地図上に車両の現在位置として表示される。
現在位置検出部13としては、例えば人工衛星を利用して車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)、車速センサ、ジャイロセンサ、方位センサ、舵角センサ、距離センサ等の1又は複数を備えている。
【0020】
記憶部14は、プログラム記憶部14aとデータ記憶部14bを備えている。
プログラム記憶部14aには、本実施形態における施設検索プログラムの他、経路案内を行うための各種プログラムとして目的地設定プログラム、経路探索プログラム、経路案内プログラム、その他各種プログラムが格納されている。
データ記憶部14bには、ナビゲーション処理に必要な各種データとして、地図データ、道路データ、施設検索プログラムで使用される施設データ(図3で後述)及び健康状態診断テーブル等の各種データが格納されている。
【0021】
健康状態診断テーブルは、本実施形態において測定項目となっている基礎データ(体脂肪、血圧、脈拍数、体温)の測定値に対する健康状態の区分が規定されている。
例えば、最高血圧120以下がA、120〜145がB、145以上がCに規定され、また、体脂肪率が20以下がA、20〜28がB、28以上がCに規定されている。
そして、各区分毎に点数化されており、A=p点、B=q点、C=r点(p>q>r)、これらの各測定項目毎の点数の合計値Xが所定の閾値t1以上(X≧t1)であれば健康状態A、また、合計値Xが閾値t1未満t2(t1>t2)以上(t1>X≧t2)であれば健康状態B、合計値Xが閾値t2未満(X<t2)であれば健康状態Cというように総合的に健康状態が診断される。
【0022】
なお、健康状態の診断については、各測定項目毎の点数の合計値Xではなく平均値から判断するようにしてもよい。この場合、例えば、閾値T1、T2(T1>T2)に対して、平均値をEとして、E≧T1の場合に健康状態A、T1>E≧T2の場合に健康状態B、E<T2の場合に健康状態Cとする。
また、他の方法により健康状態を診断するようにしてもよい。
【0023】
停止状態検出部15は、車両が停止状態であるか否かをナビゲーション制御部10で判断するための車両の状態を検出する。
本実施形態での停止状態検出部15は、車速センサを備え、車速がナビゲーション制御部10に供給される。ナビゲーション制御部10では車速V=0の場合にナビゲーション停止状態であると判断するようになっている。
なお、ナビゲーション制御部10は、車速V>所定車速v1(例えば、5km/h)である場合に停止状態と判断するようにしてもよい。
また、停止状態検出部15は、シフトレバー位置を検出し、又はサイドブレーキのオン、オフを検出してナビゲーション制御部10に供給するようにしてもよい。この場合、ナビゲーション制御部10は、シフトレバー位置がパーキングP位置である場合、サイドブレーキがオンである場合に停止状態と判断する。
なお、停止状態検出部15の車速センサは、現在位置検出部13の車速センサと兼用するようにしてもよい。
【0024】
次に、基礎データ測定手段として機能するリモコン20とステアリングホイル30による、基礎データの測定について説明する。
図2は、リモコン20とステアリングホイル30の外観構成を表したものである。
リモコン20は、図2(a)に示されるように、送信部25と、カーソル移動キー22、縮尺選択キー23、その他の操作キー24、及びセンサ部31a、31bを備えている。
センサ部31a、31bは、リモコン20の操作キーの配置面からみて両側面に配置されており、操作キーの入力操作のためにリモコン20を把持した際に手が接触して基礎データを測定するようになっている。
送信部25からは、赤外線により操作内容等の各種操作信号と、センサ部31a、31bで測定された体脂肪率等の各種基礎データが送信される。
【0025】
ステアリングホイル30には、直進状態の位置における左右両側にセンサ部31a、31bが配置されており、運転者がステアリング操作により握った手から基礎データを測定するようになっている。
本実施形態においてステアリングホイル30で測定された基礎データは、接続線を介してナビゲーション制御部10と接続されている(図1参照)が、リモコン20と同様に、赤外線通信やブルートゥース等による無線通信により、表示装置11のリモコン受光部11cに送信するようにしてもよい。
【0026】
リモコン20及びステアリングホイル30は、健康状態を判断するための基礎データとして、体脂肪計、血圧計、脈拍数計、体温計を備えており、これらの各検出部が、センサ部21a、21b、及びセンサ部31a、31bに配置されている。
【0027】
体脂肪計は、リモコン20の両センサ部21a、21bとステアリングホイル30の両センサ部31a、31bに配置された一対の電極を有し、各電極がリモコン20の操作者や車両運転者の手で握られた状態で、基礎データとしての体脂肪率を測定する。
体脂肪計は、脂肪の非伝導体性を利用して、両電極から身体に微弱電流を流し、生体インピーダンス(体の電気抵抗)の測定値から体脂肪率を求めることで測定する。
【0028】
体温計は、例えば体脂肪計用の電極の温度を測定し、その温度をリモコン20の操作者や車両運転者の体温を基礎データとして測定する。
【0029】
血圧計は、例えば、人体において心臓の収縮に伴う血液の脈波が心臓から指先に到達するまでの脈波伝播時間(PWTT:Pulse Wave Transmit Time)と血圧との相関関係を利用して血圧測定を行うものである。
血圧計は、心臓の拍動時に発生する電位変化を検知して心臓の収縮タイミングを検知するための電極センサと、指先の血流量の変化を赤外線により検知して脈波が指先に到達したタイミング(脈拍)を捉えるための赤外線センサを備えており、これらセンサにより検知した脈波伝播時間に基づいた演算により血圧を測定する。
本実施形態の血圧計としては、一方のセンサ部21a、31aに心臓の収縮タイミング(心電波(R波))を検知するための電極センサを配置し、他方のセンサ部21b、31bに赤外線センサが配置される。
【0030】
なお、特開2000−107141号公報に記載されるように、心臓からの距離の差を利用して、脈拍を計測する脈拍センサを両センサ部21a、21b、31a、31bに配置するようにしてもよい。
この場合のリモコン20は、一方のセンサ例えば、センサ部21bを、操作キーに配置するようにする。これにより、リモコン20を把持した手からセンサ部21aで脈泊を検出し、操作キーから他方の手で操作した際に操作キーに配置されたセンサ部21bで脈泊が検出される。
本実施形態の血圧計は、その他各種公知の方法を採用することができる。
【0031】
脈泊数計は、センサ部21a、31aに、血流に向けて超音波を発振する発振器と、血流で反射された反射派を受信する受信器が配置され、受信した反射派の周波数変化や振幅の変化から脈拍を検出し、その間隔から脈拍数を測定する。
なお、脈拍数計としては、血圧計と兼用し、血圧計で測定した脈拍を利用して脈泊数を測定するようにしてもよい。
【0032】
これら、リモコン20及びステアリングホイル30で測定された基礎データは、次のタイミングでナビゲーション制御部10に送信される。
すなわち、リモコン20、ステアリングホイル30に基礎データ用の送信ボタンを配置し、この送信ボタンが押された際に送信される。
なお、ステアリングホイル30の場合、予め規定された時間間隔毎に基礎データを測定し、その測定後自動的に送信するようにしてもよい。
逆に、ステアリングホイル30は、ナビゲーション制御部10から要求があった際に基礎データを測定して送信するようにしてもよい。
また、リモコン20の場合、リモコン20が握られた際、すなわち、センサ部21a、21bによる測定が可能になった際に基礎データを測定し、操作キーが押された際に操作キーに対応する情報と共に、基礎データを送信するようにしてもよい。
【0033】
図3は、施設データの内容を概念的に表したものである。
施設データは、各施設の識別番号(通し番号)、名称、住所、座標、ジャンル、健康区分データを備えており、さらに、各施設によって電話番号、URL、メールアドレス、画像データ、おすすめ情報等の各種データが格納されている。
施設のジャンルは、一番大きな分類として「食」(食事)、「店」(コンビニ等)、「車」(ガソリンスタンド等)、「宿」(宿泊)、「遊」(遊園地)等に分類されており、各分類の下位に細分類が複数層に分類されている。
例えば、ジャンル「食」の下位には、「レストラン」、「ファミリーレストラン」、「ファーストフード」、「ラーメン」等に分類されている。
図3に表示した施設データは、ジャンル「食」の下位にある「レストラン」についての施設データが例示されている。
【0034】
図3に示すように、各施設データには、健康区分データとして、健康状態A、健康状態B、健康状態Cエリアが確保されており、各エリアには、フラグが付与されるようになっている。
そして、フラグが付与されている施設が各健康状態における施設検索対象となる。例えば、施設○○○は健康状態A、Bにフラグが付与されているので、健康状態Aと診断された場合には検索対象となるが、フラグが付与されていない健康状態Cと診断された場合には検索対象から外される。
【0035】
なお、施設データの健康区分データは、本実施形態の場合、健康状態A、健康状態B、健康状態Cの3つに区分されているが、この区分は、後述する健康状態判断における区分と一致しているものである。
従って、健康状態の判断として更に細かくnの場合に分けて診断する場合には、施設データの健康区分データもn種類に区分されることになる。
【0036】
次に以上のように構成された車両における、健康状態を考慮した施設検索の処理動作について説明する。
図4は、施設検索処理の動作を表したフローチャートである。
施設情報の検索は、例えば、経路探索の対象となる目的地を設定する際や、ユーザが指定したジャンルの車両周辺にある施設を表示したり、表示した施設の最新情報をユーザが閲覧する場合に使用される。
【0037】
ナビゲーション制御部10は、リモコン20の入力操作や、液晶ディスプレイ11aの入力キー操作により施設検索が選択されると、リモコン20又はステアリングホイル30から基礎データを受信する(ステップ10)。
【0038】
そしてナビゲーション制御部10は、受信した基礎データに基づいて、例えば、被測定者(通常は運転者)の健康状態の診断を行う(ステップ11、ステップ12)。
すなわち、ナビゲーション制御部10は、受信した各測定項目毎の基礎データをデータ記憶部14bの健康状態診断テーブルに従って、各測定項目毎の点数を求め、その合計値Xを算出する。
そして、ナビゲーション制御部10は、合計値Xが所定の閾値t1以上(X≧t1)であれば健康状態Aと診断する。
また、ナビゲーション制御部10は、合計値Xが閾値t1未満t2(t1>t2)以上(t1>X≧t2)であれば健康状態Bと診断し、合計値Xが閾値t2未満(X<t2)であれば健康状態Cと診断する。
【0039】
ついで、ナビゲーション制御部10は、健康状態A〜Cの診断結果に応じて、その健康状態において勧める施設の検索を行う(ステップ13〜ステップ15)。
すなわち、ナビゲーション制御部10は、データ記憶部14bの施設データから診断した健康状態A〜Cに対応する健康区分にフラグが付与されている施設を検索する。例えば、健康状態Cと診断した場合には、施設データに格納されている施設のうち、健康状態区分Cにフラグが付与されている施設を検索する。
なお、操作キーから検索対象となるジャンルが指定されている場合、ナビゲーション制御部10は、当該指定されているジャンルの範囲で検索を行う。
【0040】
ナビゲーション制御部10は、検索した施設を液晶ディスプレイ11aに表示する(ステップ16)。
ナビゲーション制御部10は、液晶ディスプレイ11aに検索した施設を表示する場合、現在位置検出部13で検出された車両の現在位置からの距離が近い順に施設をソートして表示する。
【0041】
なお、施設検索の指示を行う際に、液晶ディスプレイ11aに表示された地図上の所定地点をカーソルで検索基準地点として指定している場合、ナビゲーション制御部10は、車両の現在位置ではなく、指定された検索基準地点からの距離が近い順に施設をソートして表示する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、測定した搭乗者の健康状態の基礎データから健康状態を診断し、診断した健康状態に応じた施設を検索して提示するようにしたので、搭乗者の健康を考慮したお薦めの施設を提案することができる。
例えば、体脂肪率や血圧が高いために総合的に健康状態Cと診断される場合には、焼き肉や中華料理等の油分が多い飲食店を区分Cとすることで、これらの店を検索対象から除外することができる。
【0043】
以上、本発明のナビゲーション装置の実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、本実施形態による健康状態判断は、健康状態を判断する基礎データを総合して健康状態を診断するようにしているが、測定される各基礎データ毎に健康状態を診断するようにしてもよい。例えば、体脂肪率は健康状態A1、B1、C1の3種類、血圧は健康状態A2、健康状態B2、健康状態C3の3種類、体温は健康状態A3と健康状態Bの2種類、…という具合に各測定項目毎に診断する。
この場合、健康状態で診断される各健康状態に応じて、健康区分データも各施設に対した基礎データ毎に区分されることになる。
【0044】
このように、健康状態の区分及び診断を各測定項目毎とすることで、より搭乗者の健康状態に合致した施設の提供と、細かな健康管理を行うことができる。
例えば、血圧が高くて健康状態Cである場合には、塩分が多い料理店を検索対象から除外する(該当する施設の血圧区分にフラグを付与しない)ことで、より細かな健康状態管理を行うことができる。
【0045】
また、別の変形例として、ユーザが施設を検索する際にジャンル(検索項目)を指定している場合、指定されたジャンルに応じて、健康状態を判断する項目を変更するようにしてもよい。
例えば、レストラン等の飲食に関する検索の場合には、体脂肪率が測定項目となり、レジャー施設の場合には血圧や脈拍数が測定項目となるようにしてもよい。
【0046】
また、説明した実施形態では、健康状態に対応して検索した施設を液晶ディスプレイ11aにリスト表示する場合について説明したが、表示方法はこれに限定されるものではなく、他の方法でもよい。
例えば、ナビゲーション制御部10は、液晶ディスプレイ11aに表示されている地図の表示範囲内に存在する施設を抽出し、各施設の座標から対応する地図上の位置に表示する。施設を表示する際には、施設に対応するマークを表示する。表示するマークとしては、各施設に対して最も細かく分類されているジャンルに対応するマークが表示される。例えば、検索した施設の最小分類が和食である場合、地図上の該当位置に和食のイメージをデザインしたマーク(絵)が表示される。
ユーザにより、表示したマークがタッチされると、ナビゲーション制御部10は、当該位置に存在する施設の詳細情報を液晶ディスプレイ11aに表示する。
【0047】
また、説明した実施形態及びその変形において、健康状態に対応した施設を検索して表示し、表示した施設からいずれかの施設が選択された場合に、ナビゲーション制御部10は、選択された施設を目的地、又は中継地点として現在位置から施設までの走行経路を探索し、経路案内を行うようにしてもよい。
【0048】
本実施形態では、基礎データ測定手段としてリモコン20と、ステアリングホイル30の両方を備える構成としたが、いずれか一方としてもよい。
【0049】
なお、本実施形態のように、リモコン20とステアリングホイル30の両方で基礎データを測定する場合、運転者の基礎データがステアリングホイル30から測定され、運転者以外の搭乗者の基礎データがリモコン20から測定される場合がある。
この場合、ナビゲーション制御部10は、運転者と他の搭乗者の健康状態をそれぞれの基礎データから別々に診断し、別々に施設を検索する。すなわち、運転者用の施設と、他の搭乗者用の施設を別々に検索する。
そして、ナビゲーション制御部10は、運転者用の施設と、他の搭乗者用の施設の両方に存在する施設を最終的な検索施設として液晶ディスプレイ11aに表示する。表示方法は、リスト表示、地図上へのマーク表示のいずれでもよい。
【0050】
また、説明した実施形態では、診断した健康状態A〜Cに対応した健康区分にフラグが付与されている施設を検索するようにした。
これに対してナビゲーション制御部10は、車両現在地又は検索基準点から所定距離範囲内に存在する全施設を(ジャンルが指定されている場合には指定されているジャンルの範囲内で)検索し、検索した施設を近い順にソートして各施設の名称と共にA〜Cの健康区分を表示するようにしてもよい。
そして、ナビゲーション制御部10は、「あなたの健康状態はBです。」と診断した健康状態を併せて表示し、又は/及び、音声により報知する。
【0051】
この場合、「あなたの健康状態はBです。」と健康状態を報知するか否かに関わらず、表示した施設のうち、診断した健康状態に合致した区分の施設に枠付けをし、ハイライト、色を変えるなどして、合致しない施設と識別して表示するようにしてもよい。
【0052】
さらに、説明した実施形態では、運転者の基礎データの測定、基礎データに基づく健康状態の診断処理、及び健康状態の診断結果に対応する施設情報の検索処理について全てナビゲーション装置で行う場合について説明したが、運転者の基礎データの測定を除く他の処理を情報センタが行うようにしてもよい。
【0053】
すなわち、ナビゲーション装置は、情報センタの間で双方向の無線通信を行うための通信手段を備える。
そして、基礎データに基づく健康状態の診断処理、健康状態の診断結果に対応する施設情報の検索処理の一方又は双方を情報センタで行い、その処理結果をナビゲーション装置に送信するようにしてもよい。
具体的には情報センタが(a)基礎データに基づく健康診断処理を行う場合、(b)基礎デー基づく健康診断処理と健康状態の診断結果に対応する施設情報の検索処理の双方を行う場合、又は(c)健康状態の診断結果に対応する施設情報の検索処理を行う場合がある。
【0054】
(a)の場合、ナビゲーション装置は測定した基礎データを情報センタに送信する。
情報センタは受信した基礎データに基づいて健康状態を診断して診断結果をナビゲーション装置に送信する。ナビゲーション装置では、受診した診断結果に応じた施設情報を検索して表示する。
【0055】
(b)の場合、情報センタは、ナビゲーション装置と同様に、図3に示した施設データを記憶しておく。
そして、ナビゲーション装置は測定した基礎データを情報センタに送信する。
情報センタでは、受信した基礎データに基づいて健康状態を診断し、診断結果に応じた施設情報を検索して、検索結果をナビゲーション装置に送信する。ここで送信される検索結果は、検索された施設の識別番号(通し番号、図3参照)である。
一方、ナビゲーション装置では、受信した検索結果に対応する施設情報をデータ記憶部14bの施設データから読み出して表示する。
なお、ナビゲーション装置が施設情報を保持しないようにしても良く、この場合には、情報センタから検索した施設の識別番号ではなく、施設情報そのものが送信される。
【0056】
(c)の場合にも情報センタは、ナビゲーション装置と同様に、図3に示した施設データを記憶しておく。
そして、ナビゲーション装置は、測定した基礎データに基づいて健康状態を診断し、診断結果(説明した実施形態の場合であれば健康状態A〜C)を情報センタに送信する。
情報センタでは、受信した健康状態に対応する施設を検索し、ナビゲーション装置が施設情報を記憶していれば施設の識別番号(通し番号)を送信し、施設情報を記憶していなければ施設情報を送信する。
情報センタでは、受信した識別番号に対応する施設情報を施設データから読み出して表示し、又は受信した施設情報を表示する。
【0057】
なお、以上説明したように情報センタの間で双方向の無線通信を行う場合、情報センタは、施設情報を適宜更新するようにし、ナビゲーション装置か基礎データを受信し、所定の処理を行いその処理結果をナビゲーション装置に送信する際に、最新の施設情報に更新するための更新情報を送信するようにしてもよい。
この場合、ナビゲーション装置は、基礎データを情報センタに送信する際に、自己の施設情報の更新情報(最新の更新日)を送信することで、情報センタは必要な更新情報を特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】ナビゲーション装置の構成図である。
【図2】リモコンとステアリングホイルの外観構成図である。
【図3】施設データの内容を概念的に表した説明図である。
【図4】施設検索処理の動作を表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
10 ナビゲーション制御部
11 表示装置
11a 液晶ディスプレイ
11b 外側パネル部
11c リモコン受光部
12 スピーカ
13 現在位置検出部
14 記憶部
14a プログラム記憶部
14b データ記憶部
15 停止状態検出部
20 リモコン
21a、21b センサ部
30 ステアリングホイル
31a、31b センサ部
25 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設情報を、健康状態との対応が区別可能な状態で記憶した施設情報記憶手段と、
搭乗者の健康状態を判断する基礎データを測定する基礎データ測定手段と、
前記測定した基礎データに基づいて、前記測定した搭乗者の健康状態を診断する診断手段と、
前記診断結果に対応する施設情報を前記施設情報記憶手段から読み出して提示する施設提示手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記基礎データ測定手段は、搭乗者の基礎データとして、体脂肪、血圧、脈拍数、及び体温のうちの少なくとも1つを測定する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記基礎データ測定手段は、入力操作を行うリモートコントローラ、及び車両のステアリングホイルの少なくとも一方に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記基礎データ測定手段による測定値に対応する健康状態が規定された健康状態診断テーブルを備え、
前記診断手段は、この健康状態診断テーブルを参照して前記搭乗者の健康状態を診断する、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−47196(P2007−47196A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228328(P2005−228328)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】