ナビゲーション装置
【課題】運転者の運転負荷の状態に応じて、経路誘導処理と詳細情報の表示処理とを自動的に切り替え、運転者の運転負荷を軽減する。
【解決手段】地図上に表示された地名が選択された際に、選択された地名を目的地とする経路誘導を行うか、選択された地名に関する詳細情報を表示するかを、運転者の運転負荷の状態に応じて自動的に設定する。
【解決手段】地図上に表示された地名が選択された際に、選択された地名を目的地とする経路誘導を行うか、選択された地名に関する詳細情報を表示するかを、運転者の運転負荷の状態に応じて自動的に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図上に表示された地名を直接指示する操作入力を支援するインタフェースを備えた車載のナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置においては、広い範囲にわたって地理情報の概略を確認する場合には小縮尺で広域表示した地図を概観し、また、運転者の行きたい場所を見つけ出そうとするような詳細な地理情報を確認する場合には、地点検索で候補地点をリストアップする等の個別検討を行う、というように、広域地理の確認把握と詳細地点の検討はそれぞれ独立した機能として行われるように設計されている。しかしこれら双方の機能の要求は、必ずしも個別に独立して生じるものではなく、広域地理の確認把握と詳細地点の検討を同時に行いたい場合もある。
【0003】
例えば、観光目的のドライブのような場合で、特定の場所を特定の順番で回るという予定が事前に明確に計画されてはおらず、次の行き先を走行中に決めるような場合には、広い範囲を視野に入れながら、どこにどんな見所があるのかについて見当をつける、といったことが容易にできることが望ましい。
【0004】
このように、明確な目的地が決まっていない場合、目的地を決定するための参考情報を提示する一例、すなわち、広域地理の確認把握と詳細地点の検討とを同時に成立させる解決策の一例として、特許文献1に開示されている「車載用地図表示装置」が挙げられる。これによれば、地図上に表示される地名を含む地域内に属する施設の情報がリンクされており、地図上の地名を選択指定することによって、リンクされた施設の詳細情報を含むリストが表示されるようになっている。
【特許文献1】実開平5−79575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記車載用地図表示装置にあっては、何らかの地点情報を得るまでに、広域地図を概観している状態から表示されている地名を選択し、提示された施設情報リストを検討する、という二段階の手順を必ず踏む必要があるため、詳細な検討が可能である反面、どんな状況でも常にこれだけの手数をかけなければ必要な情報を得られないという煩わしさがある。
【0006】
本発明では以上の問題点に鑑み、広域地図で地名を表示するに際し、各地名に対応付けられた施設や見所などの地点の概要情報をも視覚的に表現する形で地名を表示するようにし、表示された地名の一つを利用者が選択したときに想定される2通りの操作、すなわち選択された地名を暫定的に目的地に設定し、そこに至る経路を算出して経路誘導を開始するか、あるいは、選択前の時点では概要だけが示されたその知名に関連する地点の情報について、さらに検討を進めるためにより詳細な情報を表示するか、どちらの操作を実行するかを、運転負荷の多寡または運転行程の進捗度に応じて自動的に決定するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、地図上に表示された地名が選択された際に、選択された地名を目的地とする経路誘導を行うか、選択された地名に関する詳細情報を表示するかを、運転者の運転負荷の状態に応じて自動的に設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者が地図上の地名を選択した際に、運転者の運転負荷の状態に応じて選択した地名を目的地とする経路誘導を行うか、地名に関する詳細情報の表示を行うかが自動的に選択され、特に運転負荷が高い状態にあっては地図上の地名を選択するだけで経路誘導の目的地が設定できるため、運転者の操作の負担を大幅に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面に基づき説明する。
【0010】
図1は、この発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0011】
ナビゲーション装置100は、地名データ記憶手段10と、地点データ記憶手段20と、地名表記意匠決定手段30と、地図画面作成手段40と、表示手段50と、入力手段60と、地名対象処理制御手段70と、運転負荷判定手段80とを備えている。
【0012】
地名データ記憶手段10は、地図上に表記すべき地名または通称で呼称される地名(以下、地名とは、地名または通称で呼称される地名を指すものとする)、位置、およびその地名が定義される範囲の形状データ等を地名データとして記憶する。
【0013】
地点データ記憶手段20は、各種施設や観光スポットのような訪問対象になり得る地点の名称、位置、および種類等の属性情報を地点データとして記憶する。
【0014】
地名表記意匠決定手段30は、ある地名に関連する地点の集合である地点群について、地点群に含まれる地点数や地点の分類等、地点群の概要を表す概要情報を色、大きさ、形などにより視覚的に表現する意匠を、地点群が関連する地名を地図上に表記する地名表記意匠として決定する。
【0015】
地図画面作成手段40は、地名表記意匠決定手段30により決定された地名表記意匠を含む地図画面を作成する。
【0016】
表示手段50は、地図画面作成手段40により作成された地図画面を表示する。
【0017】
入力手段60は、地図上に表記された地名のいずれか一つを選択して入力する。
【0018】
地名対象処理制御手段70は、入力手段60により選択された地名を対象とする処理を運転負荷判定手段80により判定した運転負荷の大きさに応じて切り換える。
【0019】
運転負荷判定手段80は、自車両の挙動や周囲の環境、運転者の状態などを検出して分析し、運転者が運転操作で受けている負荷の多寡を判定する。
【0020】
ここで、地名データ記憶手段10、地点データ記憶手段20は、DVDなどの記憶媒体とそのドライバであり、地名表記意匠決定手段30、地図画面作成手段40、地名対象処理制御手段70は、CPU、内部メモリ等から成る一体のコンピュータ、またはコンピュータ上に登録された実行形式のプログラムである。また表示手段50は、CRTや液晶モニタなどの画像表示装置である。
【0021】
入力手段60は、表示手段50の画面上に表記された地名をカーソルなどで選択指定するためのポインティングデバイス、直接画面に触れて選択するタッチパネル、表記された地名を発話することで選択の旨を伝える音声入力装置など、地名を選択できるものであれば様々な形態の入力装置のいずれであっても良い。
【0022】
運転負荷判定手段80は、各種情報を検出するためのセンサ(図示省略)とそれらセンサからのセンサ信号を必要に応じて加工し地名対象処理制御手段に伝えるための信号処理部(図示省略)とで構成される。ここで、信号処理部は、地名対象処理制御手段70を構成するコンピュータと一体化されているか、あるいはコンピュータ上に登録された実行形式のプログラムである。
【0023】
ここで、運転負荷判定手段80の具体例について述べる。
【0024】
運転負荷判定手段80の簡単な例としては、パーキングブレーキを利用した方法が挙げられる。パーキングブレーキのオンオフを検出するパーキングブレーキセンサを用い、パーキングブレーキが引かれている場合(オンの場合)は、車両は停止状態にあるため、運転者は運転操作をしていない、すなわち運転負荷が低いと判定する。パーキングブレーキが引かれていない場合(オフの場合)は、必ずしも運転中とは限らないが、便宜上運転負荷が高いと判定する。
【0025】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、車速を基準に判定する方法が挙げられる。車速センサにより検出した車速が0、あるいはあらかじめ定めた速度以下の場合は運転負荷が低いと判定し、それ以上の場合は運転負荷が高いと判定する。さらに車速を詳細に分析することによって、例え低速であっても頻繁にゴー&ストップを繰り返す場合は運転負荷が高いと判定し、高速であっても一定速度で巡航している場合は運転負荷が低いと判定しても良い。
【0026】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、車両の横方向の動き(旋回)を検出し、左右に方向が頻繁に切り替わる場合は運転負荷が高いと判定し、旋回角が一定に保たれている場合は運転負荷が低いと判定する方法も考えられる。これら車両の縦方向や横方向の挙動は、加速度センサなどで直接測定しても良いし、車両挙動に代えて運転者のブレーキ、アクセルの踏み込み頻度やハンドル切り角など運転操作量を測定しても良い。
【0027】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、ナビゲーション装置100が有する情報を用いて判定する方法が考えられる。例えばナビゲーション装置100が本来有している、地図上に自車両の位置を同定する機能を用いれば、現在自車両が走行中の道路が高速道路か、一級国道か、住宅地の中の細街路か、その道路の幅員や車線数、さらに付近に学校などの施設があるか否か等の道路の属性情報を知ることも可能である。このような道路の属性情報を用いて、例えば高速道路では合流地点付近を除く範囲では一般に運転負荷が低いであるとか、スクールゾーンや商店街の近くでは運転負荷が高い、といった判定を行うこともできる。
【0028】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、VICSやビーコン等のインフラを通じて得られた渋滞情報を用いて判定する方法が考えられる。例えば、取得した渋滞情報により、走行中の道路が混雑していれば、運転負荷が高いと判定する。
【0029】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、車両周囲にカメラを設置してその画像を処理することで判定する方法が考えられる。例えば、カメラの画像から周辺の他車両や歩行者等の障害物の存在を検出し、障害物の検出状態に応じて運転負荷を判定する。
【0030】
さらに、運転負荷判定手段80の他の例としては、運転者の生体信号、例えば心拍数や脳波等を計測し、その変化から運転者の緊張状態等を予測して運転負荷を判定することもできる。
【0031】
運転負荷判定手段80による運転付加の判定は、いずれの方法を用いてもそれらを組み合わせてもよく、それらの手段が本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
本発明では、地図上の地名を選択した際に、運転者の運転負荷の状態に応じて選択された地名を目的地とする経路誘導か地名に関する詳細情報の表示かが自動的に選択されるものである。
【0033】
まず、図2に示すフローチャートを用いて、詳細な地点情報を含む地図表示について説明する。
【0034】
ステップS101では、まず描画される地図の範囲が決定される。一般に、ナビゲーション装置では、通常は自車位置を中心とした周辺の地図を描画するが、例えば利用者が地図を見たい場所をスクロールして探しているときなどは、スクロール操作量に応じて描画中心を自車位置から移動する。描画中心の座標は、GPS受信機のような自車位置測定装置やジョイスティックのような入力装置を通して決定されるものとする。また、表示する地図の縮尺から表示画面に相当する地図の広さが決まるので、与えられた描画中心の座標と合わせて地図描画範囲が決定される。この後に、フローはステップS102へ移行する。
【0035】
ステップS102では、地図画面作成手段40が、道路や背景など地名以外の地図要素を描画する。この後に、フローはステップS103へ移行する。
【0036】
ステップS103以降は、表示位置が描画範囲内に存在する全地名について、各地名に帰属する地点の概要情報を検討し、地名表記意匠を決定して地図上に表記する処理を繰り返す処理となる。
【0037】
ステップS103では、ステップS101で決定した地図描画範囲内にある地名の中で、まだステップS104以降の処理がなされていないものが存在するかどうかを調べ、ステップS104以降の処理がなされていないものがあれば、フローはステップS104へ移行する。一方、ステップS104以降の処理がなされていないものがなければ、フローはステップS111へ移行し、一連の地図描画処理を終了する。
【0038】
ステップS104では、ステップS105以降の処理を行っていない地名があればその地名を選択し、再び処理がステップS103に戻ったときの分岐の判定のために、この地名に対して設けられた処理済みフラグをセットする。この後に、フローはステップS105へ移行する。
【0039】
ステップS105では、ステップS104で選択された地名がカバーする地域の中に存在する地点を検索し、これらの地点をこの地名に帰属する帰属地点とし、帰属地点の集合を地点群とする。本実施形態では地名データ記憶手段10が各地名の定義範囲を示す多角形などの形状データを有しているものとする。任意の座標がある形状の範囲内にあるか範囲外にあるかは、簡単な計算により知ることができるので、地点データ記憶手段20に記憶されている地点データのうち、その位置座標がステップS104で選択された地名の定義範囲内にあるものだけを選択して、選択した地点をこの地名に帰属する帰属地点とする。この後に、フローはステップS106へ移行する。
【0040】
ステップS106では、このような帰属地点がこの地名に対して何点見つかるかを検証する。本発明では、広域地図に表記される地名は訪問対象となる地点を探すための見出し語としての役割を果たすため、何らかの地点と関連付けられるものであることが望ましい。むしろ関連する地点のない地名は表示しないことにすれば、広域地図からでも訪問先の見当をつけられる、という効果をより明確に示すことができる。
【0041】
したがってステップS106は、見出し語として貢献しない地名を表記対象から除く処理に相当する。検証の判定基準は、帰属地点が所定数以上あるか無いか、とする。ここで、所定数を1として、帰属地点のある無しの単純な判定を行っても良いし、数点程度の地点としか関連しない地名では見出し語としての役割を十分果たせないという観点に基づいて、所定数を複数点としても良い。判定基準を満たさない場合は、その地名を表記しないこととし、フローはステップS103に戻る。一方、判定基準を満たす場合は、フローはステップS107に移行する。
【0042】
ステップS107では、ステップS105で選択された帰属地点の集合である地点群に対し、地点群の特徴分析を行う。すなわち、その地点群の概要を端的に示すことのできる特徴量や属性、具体的には各帰属地点の種類やその数、位置などを調べ、地点群の概要情報を決定する。この後に、フローはステップS108に移行する。
【0043】
ステップS108では、ステップS107で得られた地点群の特徴を表す概要情報に基づき、その地名を表記する際の地名表記意匠、すなわち地名自身を示す文字列や、シンボルとして表示される簡単な図形などの色、大きさ、形など、視覚的に差別化可能な意匠を決定する。この後に、フローはステップS109に移行する。
【0044】
ステップS109では、ステップS108で決定した地名表記意匠を地図上に表示するか否かが判定される。地名表記意匠は、常に表示されるのではなく、必要に応じて表示をする、しないが選択できた方が、不要なときに不要な表示を行って情報が煩雑になることを避けることができ、利便性が高い。このため、本ステップで表示を行うか否かの判定が行われる。ここで、表示をするか否か、の選択は、例えば表示手段50に地名表記意匠を表示するか否かを問うメッセージを表示し、操作者に別途設けた表示選択スイッチ(図示省略)を操作させる。あるいは、音声入力手段(図示省略)を用いて選択させても良い。地名表記意匠を表示する場合は、フローはステップS110へ移行する。一方、地名表記意匠を表示しない場合は、フローはステップS103へ戻る。
【0045】
ステップS110では、決定した地名表記意匠にしたがって地名を表記する。この後に、フローはステップS103に戻る。以下、描画範囲に表示すべき全ての地名について、上記処理を繰り返す。
【0046】
以上のフローにより作成された地図の表示例を図3に示す。
【0047】
この表示例では、「那須」「白河」「黒磯」「西那須野」の4つの地名について、それぞれに関連する帰属地点の全数を地名表記に添えられる大きな円の大きさで表し、また各帰属地点を「見る」「遊ぶ」「買う」の3つのカテゴリに分類したとき、それぞれの分類に属する帰属地点の数を大きな円の中にパターンを変えて示した小さな円の大きさで表している。例えば、那須では「見る」「遊ぶ」「買う」に分類される帰属地点がすべて存在するが、白河には「買う」に分類される帰属地点は存在しないことがわかる。また、白河に帰属する帰属地点の総数は、西那須野に帰属する帰属地点の総数より多いことがわかる。このような広域地図を概観するだけで、「那須に行けば、いろいろ遊ぶところがありそうだ」とか「ショッピングを楽しむなら白河は避けた方が無難だ」といった検討を事前に行うことができる。したがって、暫定的に行き先を決定し直ちに経路誘導を開始するという操作を、可能な限り単純な手順で実行することに便宜を与える本発明は、このような地図表示にあって極めて大きな効果を発揮するものである。
【0048】
次に、運転負荷の多寡に基づき、選択された地名を目的地とする経路誘導か地名に関する詳細情報の表示か地点の詳細情報の表示かを自動的に選択する動作の処理を、図4、5のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
ステップS201では、図2に示した地図表示の処理、自車両位置の同定、表示地名選択以外のユーザ入力(縮尺の変更など)に対応する処理等、通常のナビゲーション処理が実行される。この後に、フローはステップS202に移行する。
【0050】
ステップS202では、地図表示状態において、入力手段6によって地名が選択されたか否かの判定が行われる。地名が選択された場合は、フローは図5のステップS204へ移行する。一方、地名が選択されない場合は、フローはステップS203へ移行する。
【0051】
ステップS203では、本フローによる処理の終了が判定される。処理の終了は、例えばナビゲーション機能をオフにした場合、車両電源をオフにした場合等に行われる。処理を終了しない場合は、フローはステップS201へ戻り、通常のナビゲーション処理を繰り返し実行する。
【0052】
ステップS204では、運転負荷判定手段80が例えば先に述べたような方法で現在の運転者の運転操作に要する運転負荷が高いか低いかを判定する。運転負荷が高いと判定した場合は、運転者に運転負荷となる操作負荷を与えずに選択された地名を目的地とした経路誘導処理を開始するため、地名対象処理制御手段80はステップS205以降にフローを進める。一方、運転負荷が低いと判定した場合は、運転者がより詳細な情報の表示を要求する可能性を鑑み、ステップS212以降にフローを進める。
【0053】
ステップS205では、選択された地名、例えば「那須」に関連する帰属地点を暫定的に目的地に設定し、自車両の現在位置から「那須」までの最適経路が算出される。ここで、那須に関連する目的地とは、那須に存在する主要ターミナル駅、官公庁舎などである。また、那須に存在する地点が「見る」、「遊ぶ」、「買う」のカテゴリに分類されているが(図3参照)、その分類されているカテゴリの中で一番数の多いもので、そのカテゴリの中心地となり得そうな帰属地点を目的地としても良い。目的地が設定されると自車両位置からの最適経路が算出される。この後に、フローはステップS206へ移行する。
【0054】
ステップS206では、ステップS205で設定された目的地までの経路誘導を行うか否か、運転者の意図確認が行われる。すでにステップS204で、運転負荷が高いと判定されているが、例えば交差点を右折している等、たまたま運転負荷が高い状態にあっただけで、運転者は経路誘導ではなく、詳細情報の表示を希望している場合もありえる。したがって、ステップS204で最初の運転負荷の判定が行われた後、以降の処理が運転者の意図に沿ったものとなるように、本ステップで運転者の意図の確認が行われる。運転者の意図の確認は、経路誘導を行うか否かのメッセージを表示手段50に出力し、入力手段60で選択させることで実現できる。経路誘導を行う場合は、フローはステップS207へ移行する。一方、目的地までの経路誘導を行わない場合は、フローはステップS201へ戻る。
【0055】
ステップS207では、経路誘導の処理が行われる。図6に経路誘導中の表示例を示す。この後に、フローはステップS208へ移行する。
【0056】
ステップS208では、経路誘導が終了したか否かが判定される。経路誘導が終了していない場合は、フローはステップS209へ移行する。一方、目的地に到着し、経路誘導が終了した場合は、フローはステップS201へ戻る。
【0057】
ステップS209以降は、経路誘導開始後に、経路誘導を継続するか、詳細情報の表示に変更するかを、運転負荷の多寡の判定に基づいて決定するフローである。
【0058】
ステップS209では、運転負荷判定手段80により運転負荷が高いか低いかが判定される。運転負荷が高い場合は、ステップS204で運転負荷が高いとの判定が行われた後、継続して運転負荷が高い状態にあることを意味し、フローはステップS207へ戻って、運転負荷が高い状態に対応した処理、すなわち、経路誘導が継続される。一方、運転負荷が低い場合は、ステップS204で運転負荷が高いと判定が行われた後、運転負荷が低くなったことになり、運転負荷が低い状態での処理、すなわち、詳細情報の表示を行うか否かを確認するステップS210へフローが移行する。
【0059】
ステップS210では、運転負荷が低い状態にあたり、運転負荷が低い状態での処理、すなわち、詳細情報の表示を行うか否かの判定が行われる。本発明では、運転負荷が低い状態では、詳細情報の表示を基本としているが、運転負荷の変化点を挟んで、運転者の意図が変わる可能性がある。このため、以降の処理が運転者の意図に沿ったものとなるように、本ステップで運転者の意図の確認が行われる。運転者の意図の確認は、詳細情報の表示を行うか否かのメッセージを表示手段50に出力し、入力手段60で選択させることで実現できる。詳細情報の表示を行う場合は、フローはステップS211へ移行する。一方、詳細情報の表示を行わない場合は、フローはステップS201へ戻り、ステップS202で新たな地名が選択されるまで、経路誘導が継続される。この場合、フローはステップS201〜ステップS203の間を繰り返すことになり、運転負荷の判定は行われないため、運転負荷に変動があっても、経路誘導が継続され、ステップS210での詳細情報の表示の意図確認は行われることはない。
【0060】
ステップS211では、選択した地名に関する詳細情報の表示を行う。詳細情報の表示例を、図7に示す。詳細情報の表示は、先に従来例として挙げた実開平5−79575号公報にあるようなリスト形式の表示であっても構わないが、図7に示すような詳細地図の形で各地点の名称や分布を示すものでも良い。詳細地図の表示位置と縮尺は、先に選択入力された「那須」の位置と大きさから、それが画面全体に概ね表示されるように定められる。そしてその地図上に、例えば地名「那須」に関連付けられた帰属地点の位置が名称とともに表示される。この状態でフローはステップS201の通常のナビゲーション処理に戻される。したがって自車の現在位置を中心とした地図表示に復帰することもできるし、図6の状態でいずれかの地点名称を地名として選択すれば、S202の判定にしたがって、ステップS204の運転負荷の判定に進み、さらに経路誘導や詳細情報の表示のフローに進むことになる。
【0061】
ステップS212では、ステップS202で選択した地名に関する詳細情報の表示が行われる。図7に、詳細情報の表示の一例を示す。この後に、フローはステップS213に移行する。
【0062】
ステップS213では、詳細情報表示画面に対する操作入力の有無が判定される。操作入力の有無は、表示された詳細情報を利用するか否かを表す指標となり、詳細情報の表示後、所定時間内に操作入力が行われた場合、例えば現在位置周辺の地図表示に復帰したり、地図の縮尺を変更したり等の操作入力が行われた場合は、その操作入力に応じた処理を行うために、フローはステップS214へ移行する。一方、詳細情報の表示後、所定時間経過しても操作入力がない場合は、詳細情報を利用する意図がないものと判定する。このため、フローはステップS215へ移行し、経過時間の判定が行われる。
【0063】
ステップS214では、操作入力に従い所定の処理を実行する。この後に、フローはステップS201へ戻り、通常のナビゲーション動作に復帰する。
【0064】
ステップS215では、ステップS213に説明した理由により、詳細情報の表示後所定時間経過したか否かの判定が行われる。所定時間経過していない場合は、まだ操作入力がある可能性があり、フローはステップS213へ戻る。一方、所定時間経過した場合は、フローはステップS216へ移行する。
【0065】
ステップS216では、ステップS202で選択した地名を目的地に設定して経路誘導を行うか否か、運転者の意図確認が行われる。運転者の意図の確認は、経路誘導を行うか否かのメッセージを表示手段50に出力し、入力手段60で選択させることで実現できる。ステップS202で選択した地名を目的地に設定し経路誘導を行う場合は、フローはステップS217へ移行する。一方、ステップS202で選択した地名を目的地に設定しない場合は、フローはステップS201へ戻り、ステップS202で新たな地名が選択されるまで、詳細情報の表示が継続される。この場合、フローはステップS201〜ステップS203の間を繰り返すことになり、運転負荷の判定は行われないため、運転負荷に変動があっても、詳細情報の表示が継続され、ステップS216での目的地設定の意図確認は行われることはない。
【0066】
ステップS217では、選択された地名、例えば「那須」に関連する帰属地点を暫定的に目的地に設定し、自車両の現在位置から「那須」までの最適経路が算出される。
【0067】
以上のようにして、本実施形態では、地名の選択入力があった場合、運転者のその時点での運転負荷の多寡に応じて選択された地名を目的地とする経路誘導か地名に関する詳細情報の表示かのいずれかを実行する。このとき、運転者の意図に反していた場合の対応措置として、後から運転者の意図を一度だけ確認し、必要ならば他方の処理に切り替える。意図確認は一回の地名選択入力に対して一回だけとし、煩わしさを回避している。
【実施例1】
【0068】
図8に、本発明の実施例1のブロック図を示す。
【0069】
本実施例は前述した実施形態とほぼ同様であるが、入力された地名に対する処理を選択するための判定手段として、運転負荷判定手段80ではなく、行程進捗度判定手段90を用いている。これは車両の走行状態や周囲環境などから、運転行程全体の中で現在どの辺りまで行程が進捗しているか、行程の序盤にあるのか終盤に近いのかを予測、判定するものである。
【0070】
行程進捗度を最も確実に示す指標は、既に目的地が設定されている場合に、現在位置からその目的地に至るまでの距離である。例えばあらかじめ定めた距離以下まで自車両が目的地に接近していれば、運転行程は終盤にあると判定し、所定距離以上を残していればまだ行程序盤であると判定する。行程の最終地点である目的地が明確にされているのだから、これ以上確実な指標はないが、反面、目的地が設定されている場合だけにこの指標の利用は限られる。
【0071】
なお、運転者が選択入力した地名に対する処理について、前述した実施形態では「選択した地名を目的地に設定して経路誘導を開始する」か、「選択した地名に関連する地点の詳細情報を表示する」か、を運転者の運転負荷に応じて選択するものとしたが、行程進捗度の判定に目的地までの距離を用いる場合は、既に目的地が設定されているので、「選択した地名を目的地に設定して経路誘導を開始する」は、「選択した地名を次に立ち寄るべき第一の経由地に設定して経路誘導を開始する」と読み代えることにする。
【0072】
目的地までの距離以外の指標は、全て行程進捗度の予測指標にとどまる。そのような指標の単純な例は、出発してから現在までに経過した時間や走行した距離である。システムは起動されたときにその時間や場所、すなわち自車両の出発時刻や出発場所を記憶しておき、それを現在時刻や現在位置と比較して出発後の経過時間や走行距離を算出する。出発後の経過時間や走行距離があらかじめ定めた閾値より小さければ行程の序盤にあると判定し、閾値を超えていれば終盤と判定する。全体の行程が比較的長い場合は、この指標により、ある程度行程進捗度を予測することができる。
【0073】
長距離の運転で高速道路を利用する場合、最終的に目的地に接近する際は一般道路を走行する。また一級国道などの主要幹線を走行していても、目的地はその沿線ではなく、主要幹線から外れた場所にある場合が多い。そこで、現在走行中の道路の属性(種別)をモニタして、高速道路や一級国道の継続的な走行が比較的長い時間続いた後で、高速道路を降りた、あるいは国道を外れた、という事象を検知した場合に、行程が序盤から終盤に移ったと予測することができる。
【0074】
同様の予測は、車両挙動をモニタすることで行うこともできる。すなわち、高速道路や主要幹線を走行中は、車両の操舵角は比較的緩やかに変化する。一方、細街路の走行中や特に目的地に接近する際などは、ハンドルを何度も切りながら運転する場合が多い。そこで操舵角の変化量をモニタして、操舵角の変化が緩やかな状態から細かく変化を繰り返す状態に変わった場合に、行程進捗度を終盤と予測することができる。
【0075】
さらに、普段の生活圏から出発して、あまり行き慣れていない場所に向かうような行程を想定すると、場所に対する精通度(なじみ度合い、土地勘)も行程進捗度の判定指標として考えられる。本願発明者の出願である特開2003−083759等によれば、走行履歴を蓄積して分析することによって道路ごとの通過頻度やそれら道路を含む土地に対する精通度を定義することができるので、自車両の走行している場所に対する精通度が高い間は行程の序盤とし、精通度の低い場所に侵入したら行程終盤、というように予測することもできる。
【0076】
行程進捗度の判定については、以上挙げたいずれの方法を用いても、それらを組み合わせてもよい。本願発明者の発明である特開2005−345150にも行程進捗度を予測する方法がいくつか開示されている。なお行程進捗度の判定方法が本発明を限定するものではない。
【0077】
次に、行程進捗度に基づき、選択された地名を目的地とする経路誘導か地名に関連する地点の詳細情報の表示かを自動的に選択する動作の処理を、図9、10のフローチャートを用いて説明する。
【0078】
なお、本実施例は、前述した実施形態のフローチャートのステップS204、ステップS209をステップS304、ステップS309に置き換えたものであり、このステップ以外は前述した実施形態と同様の処理を行うため、以下、ステップS303、ステップS309についてのみ説明を行う。
【0079】
ステップS304では、行程進捗度を判定する。行程進捗度が序盤であれば、行き先の詳細情報はなくても、その方面への走行は可能であるため、フローはステップS305へ移行し、経路誘導を行う処理が実施される。一方、行程進捗度が終盤であれば、目的地についての詳細情報が必要になるため、フローはステップS312へ移行し、詳細情報の表示を行う処理が実施される。
【0080】
ステップS309についても、ステップS304と同様の処理が行われる。
【実施例2】
【0081】
図11に、本発明の実施例2のブロック図を示す。
【0082】
本実施例では、選択された地名に対する処理を選択するための判定手段として、運転負荷判定手段80と行程進捗度判定手段90の両方を用いている。
【0083】
具体的な判定方法の例を、図12に示す。ここではまず、運転負荷は低負荷か高負荷かの2値ではなく、0〜1の実数値のいずれかをとるように定める。例えば車速に基づいて運転負荷を定めるのであれば、停止時(0km/h)の運転負荷を0、40km/h走行時の運転負荷を1として、0〜40km/hの車速に対する運転負荷を0〜1の間で比例関係となるように対応づけを行うものとする。
【0084】
そして、地名選択後の処理を経路誘導とするか詳細情報の表示とするかを前述した実施形態と同様に運転負荷の多寡に応じて切り替えるが、その切替の境目となる運転負荷の閾値を、行程進捗度が序盤である場合は低い値に、終盤である場合は高い値に設定する。
【0085】
このように運転負荷の閾値を設定することによって、当面の経路誘導が重視される行程序盤においては、運転負荷がある程度低くても経路誘導を優先し、詳細な目的地の設定が求められる行程終盤においては、運転負荷が多少高くても詳細情報の表示を優先することができる。
【0086】
第13、14図に、本実施例の処理のフローチャートを示す。本フローチャートは、全体の流れは前述した実施形態のフローチャートとほぼ同じであるが、ステップS404、S409では、行程進捗度に応じて定めた運転負荷の閾値に対して、現在の運転負荷がそれより高いか否かを判定する点のみが異なる。
【0087】
以上説明した本発明の実施の形態のナビゲーション装置によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0088】
本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、 地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、前記地名を選択して入力する入力手段と、車両走行速度、車両挙動、走行道路属性、走行道路渋滞情報、運転操作量、運転者の生体信号、周囲画像情報のうち少なくとも1つに基づいて運転者が運転操作に要する負荷の多寡を判定する運転負荷判定手段と、前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が高いと判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が低いと判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行う地名対象処理制御手段と、を備えたこととした。
【0089】
この構成によれば、運転者の運転負荷の状態に応じて適切な処理を自動的に選択することができ、特に運転負荷が高い状態にあっては地図上の地名を選択するだけで経路誘導の目的地が設定され経路誘導が行われるため、運転者の負担を大幅に軽減することができる。
【0090】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、前記地名を選択して入力する入力手段と、走行時間、走行距離、走行道路属性、車両挙動、走行地域に対する精通度、設定目的地までの距離のうち少なくとも1つに基づいて全運転行程に対する現在の運転行程の進捗度を判定する行程進捗度判定手段と、前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が序盤であると判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が終盤であると判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行う地名対象処理制御手段と、を備えたこととした。
【0091】
この構成によれば、運転行程の進捗度合いに応じて適切な処理を自動的に選択することができ、特に行程序盤にあっては地図上の地名を選択するだけで経路誘導の目的地が設定され経路誘導が行われるため、運転者の負担を大幅に軽減することができる。
【0092】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、前記地名を選択して入力する入力手段と、車両走行速度、車両挙動、走行道路属性、走行道路渋滞情報、運転操作量、運転者の生体信号、周囲画像情報のうち少なくとも1つに基づいて運転者が運転操作に要する負荷の多寡を判定する運転負荷判定手段と、走行時間、走行距離、走行道路属性、車両挙動、走行地域に対する精通度、設定目的地までの距離のうち少なくとも1つに基づいて全運転行程に対する現在の運転行程の進捗度を判定する行程進捗度判定手段と、前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が所定の閾値より高いと判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が前記閾値より低いと判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行うとともに、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が序盤であると判定された場合には前記閾値を通常時より低く設定し、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が終盤であると判定された場合には前記閾値を通常時より高く設定することを特徴とする地名対象処理制御手段と、を備えたこととした。
【0093】
この構成によれば、運転負荷と行程進捗度の両面を考慮したうえで適切な処理を自動的に選択することができ、かつ安全上優先されるべき運転負荷条件に対しては、高負荷時に確実に運転者の負担を軽減することができる。
【0094】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、前記地名対象処理制御手段は、前記経路誘導処理を実行した後に前記運転負荷判定手段の判定結果が変化した場合には前記詳細情報の表示処理を行うこととした。
【0095】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、前記地名対象処理制御手段は、前記経路誘導処理を実行した後に前記行程進捗度判定手段の判定結果が変化した場合には前記詳細情報の表示処理を行うこととした。
【0096】
この構成によれば、経路誘導処理が自動選択されたが運転者の意図は詳細情報の検討にあった場合でも、運転者からの能動的な操作を要求せずに判定の誤りを修正することができ、運転者の負担を軽減することができる。
【0097】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、前記地名対象処理制御手段は、前記詳細情報の表示処理を実行した後、前記入力手段による入力が所定時間ない場合に、前記経路誘導処理を行うこととした。
【0098】
この構成によれば、詳細情報の表示が自動選択されたが運転者の意図は経路誘導であった場合でも、運転者からの能動的な操作を要求せずに判断の誤りを修正することができ、運転者の負担を軽減することができる。
【0099】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、前記地名対象処理制御手段は、前記処理の変更を行う際に該処理の変更の可否を運転者に選択させることとした。
【0100】
この構成によれば、処理を変更する際に変更の可否を運転者に選択させるので、運転者の意図に合った処理を行うことができる。
【0101】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
【0102】
例えば、ブロック図は一例であり、本発明の機能を有するものであれば、
また、地名表記意匠は一例であり、実施例に示すものに限られるものではない。
【0103】
また、詳細情報の表示は一例であり、実施例に示すものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の画面表示処理のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における広域地図の表示例である。
【図4】本発明の実施形態における地名対象処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における地名対象処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態における経路誘導画面の表示例である。
【図7】本発明の実施形態における詳細情報の表示の表示例である。
【図8】本発明の実施例1のブロック図である。
【図9】本発明の実施例1における地名対象処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1における地名対象処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2のブロック図である。
【図12】運転負荷と行程進捗度を考慮して地名対象処理を切り替える説明図である。
【図13】本発明の実施例2における地名対象処理のフローチャートである。
【図14】本発明の実施例2における地名対象処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0105】
10 地名データ記憶手段
20 地点データ記憶手段
30 地名表記意匠決定手段
40 地図画面作成手段
50 表示手段
60 入力手段
70 地名対象処理制御手段
80 運転負荷判定手段
90 行程進捗度判定手段
100 101 102 ナビゲーション装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図上に表示された地名を直接指示する操作入力を支援するインタフェースを備えた車載のナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置においては、広い範囲にわたって地理情報の概略を確認する場合には小縮尺で広域表示した地図を概観し、また、運転者の行きたい場所を見つけ出そうとするような詳細な地理情報を確認する場合には、地点検索で候補地点をリストアップする等の個別検討を行う、というように、広域地理の確認把握と詳細地点の検討はそれぞれ独立した機能として行われるように設計されている。しかしこれら双方の機能の要求は、必ずしも個別に独立して生じるものではなく、広域地理の確認把握と詳細地点の検討を同時に行いたい場合もある。
【0003】
例えば、観光目的のドライブのような場合で、特定の場所を特定の順番で回るという予定が事前に明確に計画されてはおらず、次の行き先を走行中に決めるような場合には、広い範囲を視野に入れながら、どこにどんな見所があるのかについて見当をつける、といったことが容易にできることが望ましい。
【0004】
このように、明確な目的地が決まっていない場合、目的地を決定するための参考情報を提示する一例、すなわち、広域地理の確認把握と詳細地点の検討とを同時に成立させる解決策の一例として、特許文献1に開示されている「車載用地図表示装置」が挙げられる。これによれば、地図上に表示される地名を含む地域内に属する施設の情報がリンクされており、地図上の地名を選択指定することによって、リンクされた施設の詳細情報を含むリストが表示されるようになっている。
【特許文献1】実開平5−79575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記車載用地図表示装置にあっては、何らかの地点情報を得るまでに、広域地図を概観している状態から表示されている地名を選択し、提示された施設情報リストを検討する、という二段階の手順を必ず踏む必要があるため、詳細な検討が可能である反面、どんな状況でも常にこれだけの手数をかけなければ必要な情報を得られないという煩わしさがある。
【0006】
本発明では以上の問題点に鑑み、広域地図で地名を表示するに際し、各地名に対応付けられた施設や見所などの地点の概要情報をも視覚的に表現する形で地名を表示するようにし、表示された地名の一つを利用者が選択したときに想定される2通りの操作、すなわち選択された地名を暫定的に目的地に設定し、そこに至る経路を算出して経路誘導を開始するか、あるいは、選択前の時点では概要だけが示されたその知名に関連する地点の情報について、さらに検討を進めるためにより詳細な情報を表示するか、どちらの操作を実行するかを、運転負荷の多寡または運転行程の進捗度に応じて自動的に決定するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、地図上に表示された地名が選択された際に、選択された地名を目的地とする経路誘導を行うか、選択された地名に関する詳細情報を表示するかを、運転者の運転負荷の状態に応じて自動的に設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者が地図上の地名を選択した際に、運転者の運転負荷の状態に応じて選択した地名を目的地とする経路誘導を行うか、地名に関する詳細情報の表示を行うかが自動的に選択され、特に運転負荷が高い状態にあっては地図上の地名を選択するだけで経路誘導の目的地が設定できるため、運転者の操作の負担を大幅に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面に基づき説明する。
【0010】
図1は、この発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0011】
ナビゲーション装置100は、地名データ記憶手段10と、地点データ記憶手段20と、地名表記意匠決定手段30と、地図画面作成手段40と、表示手段50と、入力手段60と、地名対象処理制御手段70と、運転負荷判定手段80とを備えている。
【0012】
地名データ記憶手段10は、地図上に表記すべき地名または通称で呼称される地名(以下、地名とは、地名または通称で呼称される地名を指すものとする)、位置、およびその地名が定義される範囲の形状データ等を地名データとして記憶する。
【0013】
地点データ記憶手段20は、各種施設や観光スポットのような訪問対象になり得る地点の名称、位置、および種類等の属性情報を地点データとして記憶する。
【0014】
地名表記意匠決定手段30は、ある地名に関連する地点の集合である地点群について、地点群に含まれる地点数や地点の分類等、地点群の概要を表す概要情報を色、大きさ、形などにより視覚的に表現する意匠を、地点群が関連する地名を地図上に表記する地名表記意匠として決定する。
【0015】
地図画面作成手段40は、地名表記意匠決定手段30により決定された地名表記意匠を含む地図画面を作成する。
【0016】
表示手段50は、地図画面作成手段40により作成された地図画面を表示する。
【0017】
入力手段60は、地図上に表記された地名のいずれか一つを選択して入力する。
【0018】
地名対象処理制御手段70は、入力手段60により選択された地名を対象とする処理を運転負荷判定手段80により判定した運転負荷の大きさに応じて切り換える。
【0019】
運転負荷判定手段80は、自車両の挙動や周囲の環境、運転者の状態などを検出して分析し、運転者が運転操作で受けている負荷の多寡を判定する。
【0020】
ここで、地名データ記憶手段10、地点データ記憶手段20は、DVDなどの記憶媒体とそのドライバであり、地名表記意匠決定手段30、地図画面作成手段40、地名対象処理制御手段70は、CPU、内部メモリ等から成る一体のコンピュータ、またはコンピュータ上に登録された実行形式のプログラムである。また表示手段50は、CRTや液晶モニタなどの画像表示装置である。
【0021】
入力手段60は、表示手段50の画面上に表記された地名をカーソルなどで選択指定するためのポインティングデバイス、直接画面に触れて選択するタッチパネル、表記された地名を発話することで選択の旨を伝える音声入力装置など、地名を選択できるものであれば様々な形態の入力装置のいずれであっても良い。
【0022】
運転負荷判定手段80は、各種情報を検出するためのセンサ(図示省略)とそれらセンサからのセンサ信号を必要に応じて加工し地名対象処理制御手段に伝えるための信号処理部(図示省略)とで構成される。ここで、信号処理部は、地名対象処理制御手段70を構成するコンピュータと一体化されているか、あるいはコンピュータ上に登録された実行形式のプログラムである。
【0023】
ここで、運転負荷判定手段80の具体例について述べる。
【0024】
運転負荷判定手段80の簡単な例としては、パーキングブレーキを利用した方法が挙げられる。パーキングブレーキのオンオフを検出するパーキングブレーキセンサを用い、パーキングブレーキが引かれている場合(オンの場合)は、車両は停止状態にあるため、運転者は運転操作をしていない、すなわち運転負荷が低いと判定する。パーキングブレーキが引かれていない場合(オフの場合)は、必ずしも運転中とは限らないが、便宜上運転負荷が高いと判定する。
【0025】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、車速を基準に判定する方法が挙げられる。車速センサにより検出した車速が0、あるいはあらかじめ定めた速度以下の場合は運転負荷が低いと判定し、それ以上の場合は運転負荷が高いと判定する。さらに車速を詳細に分析することによって、例え低速であっても頻繁にゴー&ストップを繰り返す場合は運転負荷が高いと判定し、高速であっても一定速度で巡航している場合は運転負荷が低いと判定しても良い。
【0026】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、車両の横方向の動き(旋回)を検出し、左右に方向が頻繁に切り替わる場合は運転負荷が高いと判定し、旋回角が一定に保たれている場合は運転負荷が低いと判定する方法も考えられる。これら車両の縦方向や横方向の挙動は、加速度センサなどで直接測定しても良いし、車両挙動に代えて運転者のブレーキ、アクセルの踏み込み頻度やハンドル切り角など運転操作量を測定しても良い。
【0027】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、ナビゲーション装置100が有する情報を用いて判定する方法が考えられる。例えばナビゲーション装置100が本来有している、地図上に自車両の位置を同定する機能を用いれば、現在自車両が走行中の道路が高速道路か、一級国道か、住宅地の中の細街路か、その道路の幅員や車線数、さらに付近に学校などの施設があるか否か等の道路の属性情報を知ることも可能である。このような道路の属性情報を用いて、例えば高速道路では合流地点付近を除く範囲では一般に運転負荷が低いであるとか、スクールゾーンや商店街の近くでは運転負荷が高い、といった判定を行うこともできる。
【0028】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、VICSやビーコン等のインフラを通じて得られた渋滞情報を用いて判定する方法が考えられる。例えば、取得した渋滞情報により、走行中の道路が混雑していれば、運転負荷が高いと判定する。
【0029】
また、運転負荷判定手段80の他の例としては、車両周囲にカメラを設置してその画像を処理することで判定する方法が考えられる。例えば、カメラの画像から周辺の他車両や歩行者等の障害物の存在を検出し、障害物の検出状態に応じて運転負荷を判定する。
【0030】
さらに、運転負荷判定手段80の他の例としては、運転者の生体信号、例えば心拍数や脳波等を計測し、その変化から運転者の緊張状態等を予測して運転負荷を判定することもできる。
【0031】
運転負荷判定手段80による運転付加の判定は、いずれの方法を用いてもそれらを組み合わせてもよく、それらの手段が本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
本発明では、地図上の地名を選択した際に、運転者の運転負荷の状態に応じて選択された地名を目的地とする経路誘導か地名に関する詳細情報の表示かが自動的に選択されるものである。
【0033】
まず、図2に示すフローチャートを用いて、詳細な地点情報を含む地図表示について説明する。
【0034】
ステップS101では、まず描画される地図の範囲が決定される。一般に、ナビゲーション装置では、通常は自車位置を中心とした周辺の地図を描画するが、例えば利用者が地図を見たい場所をスクロールして探しているときなどは、スクロール操作量に応じて描画中心を自車位置から移動する。描画中心の座標は、GPS受信機のような自車位置測定装置やジョイスティックのような入力装置を通して決定されるものとする。また、表示する地図の縮尺から表示画面に相当する地図の広さが決まるので、与えられた描画中心の座標と合わせて地図描画範囲が決定される。この後に、フローはステップS102へ移行する。
【0035】
ステップS102では、地図画面作成手段40が、道路や背景など地名以外の地図要素を描画する。この後に、フローはステップS103へ移行する。
【0036】
ステップS103以降は、表示位置が描画範囲内に存在する全地名について、各地名に帰属する地点の概要情報を検討し、地名表記意匠を決定して地図上に表記する処理を繰り返す処理となる。
【0037】
ステップS103では、ステップS101で決定した地図描画範囲内にある地名の中で、まだステップS104以降の処理がなされていないものが存在するかどうかを調べ、ステップS104以降の処理がなされていないものがあれば、フローはステップS104へ移行する。一方、ステップS104以降の処理がなされていないものがなければ、フローはステップS111へ移行し、一連の地図描画処理を終了する。
【0038】
ステップS104では、ステップS105以降の処理を行っていない地名があればその地名を選択し、再び処理がステップS103に戻ったときの分岐の判定のために、この地名に対して設けられた処理済みフラグをセットする。この後に、フローはステップS105へ移行する。
【0039】
ステップS105では、ステップS104で選択された地名がカバーする地域の中に存在する地点を検索し、これらの地点をこの地名に帰属する帰属地点とし、帰属地点の集合を地点群とする。本実施形態では地名データ記憶手段10が各地名の定義範囲を示す多角形などの形状データを有しているものとする。任意の座標がある形状の範囲内にあるか範囲外にあるかは、簡単な計算により知ることができるので、地点データ記憶手段20に記憶されている地点データのうち、その位置座標がステップS104で選択された地名の定義範囲内にあるものだけを選択して、選択した地点をこの地名に帰属する帰属地点とする。この後に、フローはステップS106へ移行する。
【0040】
ステップS106では、このような帰属地点がこの地名に対して何点見つかるかを検証する。本発明では、広域地図に表記される地名は訪問対象となる地点を探すための見出し語としての役割を果たすため、何らかの地点と関連付けられるものであることが望ましい。むしろ関連する地点のない地名は表示しないことにすれば、広域地図からでも訪問先の見当をつけられる、という効果をより明確に示すことができる。
【0041】
したがってステップS106は、見出し語として貢献しない地名を表記対象から除く処理に相当する。検証の判定基準は、帰属地点が所定数以上あるか無いか、とする。ここで、所定数を1として、帰属地点のある無しの単純な判定を行っても良いし、数点程度の地点としか関連しない地名では見出し語としての役割を十分果たせないという観点に基づいて、所定数を複数点としても良い。判定基準を満たさない場合は、その地名を表記しないこととし、フローはステップS103に戻る。一方、判定基準を満たす場合は、フローはステップS107に移行する。
【0042】
ステップS107では、ステップS105で選択された帰属地点の集合である地点群に対し、地点群の特徴分析を行う。すなわち、その地点群の概要を端的に示すことのできる特徴量や属性、具体的には各帰属地点の種類やその数、位置などを調べ、地点群の概要情報を決定する。この後に、フローはステップS108に移行する。
【0043】
ステップS108では、ステップS107で得られた地点群の特徴を表す概要情報に基づき、その地名を表記する際の地名表記意匠、すなわち地名自身を示す文字列や、シンボルとして表示される簡単な図形などの色、大きさ、形など、視覚的に差別化可能な意匠を決定する。この後に、フローはステップS109に移行する。
【0044】
ステップS109では、ステップS108で決定した地名表記意匠を地図上に表示するか否かが判定される。地名表記意匠は、常に表示されるのではなく、必要に応じて表示をする、しないが選択できた方が、不要なときに不要な表示を行って情報が煩雑になることを避けることができ、利便性が高い。このため、本ステップで表示を行うか否かの判定が行われる。ここで、表示をするか否か、の選択は、例えば表示手段50に地名表記意匠を表示するか否かを問うメッセージを表示し、操作者に別途設けた表示選択スイッチ(図示省略)を操作させる。あるいは、音声入力手段(図示省略)を用いて選択させても良い。地名表記意匠を表示する場合は、フローはステップS110へ移行する。一方、地名表記意匠を表示しない場合は、フローはステップS103へ戻る。
【0045】
ステップS110では、決定した地名表記意匠にしたがって地名を表記する。この後に、フローはステップS103に戻る。以下、描画範囲に表示すべき全ての地名について、上記処理を繰り返す。
【0046】
以上のフローにより作成された地図の表示例を図3に示す。
【0047】
この表示例では、「那須」「白河」「黒磯」「西那須野」の4つの地名について、それぞれに関連する帰属地点の全数を地名表記に添えられる大きな円の大きさで表し、また各帰属地点を「見る」「遊ぶ」「買う」の3つのカテゴリに分類したとき、それぞれの分類に属する帰属地点の数を大きな円の中にパターンを変えて示した小さな円の大きさで表している。例えば、那須では「見る」「遊ぶ」「買う」に分類される帰属地点がすべて存在するが、白河には「買う」に分類される帰属地点は存在しないことがわかる。また、白河に帰属する帰属地点の総数は、西那須野に帰属する帰属地点の総数より多いことがわかる。このような広域地図を概観するだけで、「那須に行けば、いろいろ遊ぶところがありそうだ」とか「ショッピングを楽しむなら白河は避けた方が無難だ」といった検討を事前に行うことができる。したがって、暫定的に行き先を決定し直ちに経路誘導を開始するという操作を、可能な限り単純な手順で実行することに便宜を与える本発明は、このような地図表示にあって極めて大きな効果を発揮するものである。
【0048】
次に、運転負荷の多寡に基づき、選択された地名を目的地とする経路誘導か地名に関する詳細情報の表示か地点の詳細情報の表示かを自動的に選択する動作の処理を、図4、5のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
ステップS201では、図2に示した地図表示の処理、自車両位置の同定、表示地名選択以外のユーザ入力(縮尺の変更など)に対応する処理等、通常のナビゲーション処理が実行される。この後に、フローはステップS202に移行する。
【0050】
ステップS202では、地図表示状態において、入力手段6によって地名が選択されたか否かの判定が行われる。地名が選択された場合は、フローは図5のステップS204へ移行する。一方、地名が選択されない場合は、フローはステップS203へ移行する。
【0051】
ステップS203では、本フローによる処理の終了が判定される。処理の終了は、例えばナビゲーション機能をオフにした場合、車両電源をオフにした場合等に行われる。処理を終了しない場合は、フローはステップS201へ戻り、通常のナビゲーション処理を繰り返し実行する。
【0052】
ステップS204では、運転負荷判定手段80が例えば先に述べたような方法で現在の運転者の運転操作に要する運転負荷が高いか低いかを判定する。運転負荷が高いと判定した場合は、運転者に運転負荷となる操作負荷を与えずに選択された地名を目的地とした経路誘導処理を開始するため、地名対象処理制御手段80はステップS205以降にフローを進める。一方、運転負荷が低いと判定した場合は、運転者がより詳細な情報の表示を要求する可能性を鑑み、ステップS212以降にフローを進める。
【0053】
ステップS205では、選択された地名、例えば「那須」に関連する帰属地点を暫定的に目的地に設定し、自車両の現在位置から「那須」までの最適経路が算出される。ここで、那須に関連する目的地とは、那須に存在する主要ターミナル駅、官公庁舎などである。また、那須に存在する地点が「見る」、「遊ぶ」、「買う」のカテゴリに分類されているが(図3参照)、その分類されているカテゴリの中で一番数の多いもので、そのカテゴリの中心地となり得そうな帰属地点を目的地としても良い。目的地が設定されると自車両位置からの最適経路が算出される。この後に、フローはステップS206へ移行する。
【0054】
ステップS206では、ステップS205で設定された目的地までの経路誘導を行うか否か、運転者の意図確認が行われる。すでにステップS204で、運転負荷が高いと判定されているが、例えば交差点を右折している等、たまたま運転負荷が高い状態にあっただけで、運転者は経路誘導ではなく、詳細情報の表示を希望している場合もありえる。したがって、ステップS204で最初の運転負荷の判定が行われた後、以降の処理が運転者の意図に沿ったものとなるように、本ステップで運転者の意図の確認が行われる。運転者の意図の確認は、経路誘導を行うか否かのメッセージを表示手段50に出力し、入力手段60で選択させることで実現できる。経路誘導を行う場合は、フローはステップS207へ移行する。一方、目的地までの経路誘導を行わない場合は、フローはステップS201へ戻る。
【0055】
ステップS207では、経路誘導の処理が行われる。図6に経路誘導中の表示例を示す。この後に、フローはステップS208へ移行する。
【0056】
ステップS208では、経路誘導が終了したか否かが判定される。経路誘導が終了していない場合は、フローはステップS209へ移行する。一方、目的地に到着し、経路誘導が終了した場合は、フローはステップS201へ戻る。
【0057】
ステップS209以降は、経路誘導開始後に、経路誘導を継続するか、詳細情報の表示に変更するかを、運転負荷の多寡の判定に基づいて決定するフローである。
【0058】
ステップS209では、運転負荷判定手段80により運転負荷が高いか低いかが判定される。運転負荷が高い場合は、ステップS204で運転負荷が高いとの判定が行われた後、継続して運転負荷が高い状態にあることを意味し、フローはステップS207へ戻って、運転負荷が高い状態に対応した処理、すなわち、経路誘導が継続される。一方、運転負荷が低い場合は、ステップS204で運転負荷が高いと判定が行われた後、運転負荷が低くなったことになり、運転負荷が低い状態での処理、すなわち、詳細情報の表示を行うか否かを確認するステップS210へフローが移行する。
【0059】
ステップS210では、運転負荷が低い状態にあたり、運転負荷が低い状態での処理、すなわち、詳細情報の表示を行うか否かの判定が行われる。本発明では、運転負荷が低い状態では、詳細情報の表示を基本としているが、運転負荷の変化点を挟んで、運転者の意図が変わる可能性がある。このため、以降の処理が運転者の意図に沿ったものとなるように、本ステップで運転者の意図の確認が行われる。運転者の意図の確認は、詳細情報の表示を行うか否かのメッセージを表示手段50に出力し、入力手段60で選択させることで実現できる。詳細情報の表示を行う場合は、フローはステップS211へ移行する。一方、詳細情報の表示を行わない場合は、フローはステップS201へ戻り、ステップS202で新たな地名が選択されるまで、経路誘導が継続される。この場合、フローはステップS201〜ステップS203の間を繰り返すことになり、運転負荷の判定は行われないため、運転負荷に変動があっても、経路誘導が継続され、ステップS210での詳細情報の表示の意図確認は行われることはない。
【0060】
ステップS211では、選択した地名に関する詳細情報の表示を行う。詳細情報の表示例を、図7に示す。詳細情報の表示は、先に従来例として挙げた実開平5−79575号公報にあるようなリスト形式の表示であっても構わないが、図7に示すような詳細地図の形で各地点の名称や分布を示すものでも良い。詳細地図の表示位置と縮尺は、先に選択入力された「那須」の位置と大きさから、それが画面全体に概ね表示されるように定められる。そしてその地図上に、例えば地名「那須」に関連付けられた帰属地点の位置が名称とともに表示される。この状態でフローはステップS201の通常のナビゲーション処理に戻される。したがって自車の現在位置を中心とした地図表示に復帰することもできるし、図6の状態でいずれかの地点名称を地名として選択すれば、S202の判定にしたがって、ステップS204の運転負荷の判定に進み、さらに経路誘導や詳細情報の表示のフローに進むことになる。
【0061】
ステップS212では、ステップS202で選択した地名に関する詳細情報の表示が行われる。図7に、詳細情報の表示の一例を示す。この後に、フローはステップS213に移行する。
【0062】
ステップS213では、詳細情報表示画面に対する操作入力の有無が判定される。操作入力の有無は、表示された詳細情報を利用するか否かを表す指標となり、詳細情報の表示後、所定時間内に操作入力が行われた場合、例えば現在位置周辺の地図表示に復帰したり、地図の縮尺を変更したり等の操作入力が行われた場合は、その操作入力に応じた処理を行うために、フローはステップS214へ移行する。一方、詳細情報の表示後、所定時間経過しても操作入力がない場合は、詳細情報を利用する意図がないものと判定する。このため、フローはステップS215へ移行し、経過時間の判定が行われる。
【0063】
ステップS214では、操作入力に従い所定の処理を実行する。この後に、フローはステップS201へ戻り、通常のナビゲーション動作に復帰する。
【0064】
ステップS215では、ステップS213に説明した理由により、詳細情報の表示後所定時間経過したか否かの判定が行われる。所定時間経過していない場合は、まだ操作入力がある可能性があり、フローはステップS213へ戻る。一方、所定時間経過した場合は、フローはステップS216へ移行する。
【0065】
ステップS216では、ステップS202で選択した地名を目的地に設定して経路誘導を行うか否か、運転者の意図確認が行われる。運転者の意図の確認は、経路誘導を行うか否かのメッセージを表示手段50に出力し、入力手段60で選択させることで実現できる。ステップS202で選択した地名を目的地に設定し経路誘導を行う場合は、フローはステップS217へ移行する。一方、ステップS202で選択した地名を目的地に設定しない場合は、フローはステップS201へ戻り、ステップS202で新たな地名が選択されるまで、詳細情報の表示が継続される。この場合、フローはステップS201〜ステップS203の間を繰り返すことになり、運転負荷の判定は行われないため、運転負荷に変動があっても、詳細情報の表示が継続され、ステップS216での目的地設定の意図確認は行われることはない。
【0066】
ステップS217では、選択された地名、例えば「那須」に関連する帰属地点を暫定的に目的地に設定し、自車両の現在位置から「那須」までの最適経路が算出される。
【0067】
以上のようにして、本実施形態では、地名の選択入力があった場合、運転者のその時点での運転負荷の多寡に応じて選択された地名を目的地とする経路誘導か地名に関する詳細情報の表示かのいずれかを実行する。このとき、運転者の意図に反していた場合の対応措置として、後から運転者の意図を一度だけ確認し、必要ならば他方の処理に切り替える。意図確認は一回の地名選択入力に対して一回だけとし、煩わしさを回避している。
【実施例1】
【0068】
図8に、本発明の実施例1のブロック図を示す。
【0069】
本実施例は前述した実施形態とほぼ同様であるが、入力された地名に対する処理を選択するための判定手段として、運転負荷判定手段80ではなく、行程進捗度判定手段90を用いている。これは車両の走行状態や周囲環境などから、運転行程全体の中で現在どの辺りまで行程が進捗しているか、行程の序盤にあるのか終盤に近いのかを予測、判定するものである。
【0070】
行程進捗度を最も確実に示す指標は、既に目的地が設定されている場合に、現在位置からその目的地に至るまでの距離である。例えばあらかじめ定めた距離以下まで自車両が目的地に接近していれば、運転行程は終盤にあると判定し、所定距離以上を残していればまだ行程序盤であると判定する。行程の最終地点である目的地が明確にされているのだから、これ以上確実な指標はないが、反面、目的地が設定されている場合だけにこの指標の利用は限られる。
【0071】
なお、運転者が選択入力した地名に対する処理について、前述した実施形態では「選択した地名を目的地に設定して経路誘導を開始する」か、「選択した地名に関連する地点の詳細情報を表示する」か、を運転者の運転負荷に応じて選択するものとしたが、行程進捗度の判定に目的地までの距離を用いる場合は、既に目的地が設定されているので、「選択した地名を目的地に設定して経路誘導を開始する」は、「選択した地名を次に立ち寄るべき第一の経由地に設定して経路誘導を開始する」と読み代えることにする。
【0072】
目的地までの距離以外の指標は、全て行程進捗度の予測指標にとどまる。そのような指標の単純な例は、出発してから現在までに経過した時間や走行した距離である。システムは起動されたときにその時間や場所、すなわち自車両の出発時刻や出発場所を記憶しておき、それを現在時刻や現在位置と比較して出発後の経過時間や走行距離を算出する。出発後の経過時間や走行距離があらかじめ定めた閾値より小さければ行程の序盤にあると判定し、閾値を超えていれば終盤と判定する。全体の行程が比較的長い場合は、この指標により、ある程度行程進捗度を予測することができる。
【0073】
長距離の運転で高速道路を利用する場合、最終的に目的地に接近する際は一般道路を走行する。また一級国道などの主要幹線を走行していても、目的地はその沿線ではなく、主要幹線から外れた場所にある場合が多い。そこで、現在走行中の道路の属性(種別)をモニタして、高速道路や一級国道の継続的な走行が比較的長い時間続いた後で、高速道路を降りた、あるいは国道を外れた、という事象を検知した場合に、行程が序盤から終盤に移ったと予測することができる。
【0074】
同様の予測は、車両挙動をモニタすることで行うこともできる。すなわち、高速道路や主要幹線を走行中は、車両の操舵角は比較的緩やかに変化する。一方、細街路の走行中や特に目的地に接近する際などは、ハンドルを何度も切りながら運転する場合が多い。そこで操舵角の変化量をモニタして、操舵角の変化が緩やかな状態から細かく変化を繰り返す状態に変わった場合に、行程進捗度を終盤と予測することができる。
【0075】
さらに、普段の生活圏から出発して、あまり行き慣れていない場所に向かうような行程を想定すると、場所に対する精通度(なじみ度合い、土地勘)も行程進捗度の判定指標として考えられる。本願発明者の出願である特開2003−083759等によれば、走行履歴を蓄積して分析することによって道路ごとの通過頻度やそれら道路を含む土地に対する精通度を定義することができるので、自車両の走行している場所に対する精通度が高い間は行程の序盤とし、精通度の低い場所に侵入したら行程終盤、というように予測することもできる。
【0076】
行程進捗度の判定については、以上挙げたいずれの方法を用いても、それらを組み合わせてもよい。本願発明者の発明である特開2005−345150にも行程進捗度を予測する方法がいくつか開示されている。なお行程進捗度の判定方法が本発明を限定するものではない。
【0077】
次に、行程進捗度に基づき、選択された地名を目的地とする経路誘導か地名に関連する地点の詳細情報の表示かを自動的に選択する動作の処理を、図9、10のフローチャートを用いて説明する。
【0078】
なお、本実施例は、前述した実施形態のフローチャートのステップS204、ステップS209をステップS304、ステップS309に置き換えたものであり、このステップ以外は前述した実施形態と同様の処理を行うため、以下、ステップS303、ステップS309についてのみ説明を行う。
【0079】
ステップS304では、行程進捗度を判定する。行程進捗度が序盤であれば、行き先の詳細情報はなくても、その方面への走行は可能であるため、フローはステップS305へ移行し、経路誘導を行う処理が実施される。一方、行程進捗度が終盤であれば、目的地についての詳細情報が必要になるため、フローはステップS312へ移行し、詳細情報の表示を行う処理が実施される。
【0080】
ステップS309についても、ステップS304と同様の処理が行われる。
【実施例2】
【0081】
図11に、本発明の実施例2のブロック図を示す。
【0082】
本実施例では、選択された地名に対する処理を選択するための判定手段として、運転負荷判定手段80と行程進捗度判定手段90の両方を用いている。
【0083】
具体的な判定方法の例を、図12に示す。ここではまず、運転負荷は低負荷か高負荷かの2値ではなく、0〜1の実数値のいずれかをとるように定める。例えば車速に基づいて運転負荷を定めるのであれば、停止時(0km/h)の運転負荷を0、40km/h走行時の運転負荷を1として、0〜40km/hの車速に対する運転負荷を0〜1の間で比例関係となるように対応づけを行うものとする。
【0084】
そして、地名選択後の処理を経路誘導とするか詳細情報の表示とするかを前述した実施形態と同様に運転負荷の多寡に応じて切り替えるが、その切替の境目となる運転負荷の閾値を、行程進捗度が序盤である場合は低い値に、終盤である場合は高い値に設定する。
【0085】
このように運転負荷の閾値を設定することによって、当面の経路誘導が重視される行程序盤においては、運転負荷がある程度低くても経路誘導を優先し、詳細な目的地の設定が求められる行程終盤においては、運転負荷が多少高くても詳細情報の表示を優先することができる。
【0086】
第13、14図に、本実施例の処理のフローチャートを示す。本フローチャートは、全体の流れは前述した実施形態のフローチャートとほぼ同じであるが、ステップS404、S409では、行程進捗度に応じて定めた運転負荷の閾値に対して、現在の運転負荷がそれより高いか否かを判定する点のみが異なる。
【0087】
以上説明した本発明の実施の形態のナビゲーション装置によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0088】
本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、 地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、前記地名を選択して入力する入力手段と、車両走行速度、車両挙動、走行道路属性、走行道路渋滞情報、運転操作量、運転者の生体信号、周囲画像情報のうち少なくとも1つに基づいて運転者が運転操作に要する負荷の多寡を判定する運転負荷判定手段と、前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が高いと判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が低いと判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行う地名対象処理制御手段と、を備えたこととした。
【0089】
この構成によれば、運転者の運転負荷の状態に応じて適切な処理を自動的に選択することができ、特に運転負荷が高い状態にあっては地図上の地名を選択するだけで経路誘導の目的地が設定され経路誘導が行われるため、運転者の負担を大幅に軽減することができる。
【0090】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、前記地名を選択して入力する入力手段と、走行時間、走行距離、走行道路属性、車両挙動、走行地域に対する精通度、設定目的地までの距離のうち少なくとも1つに基づいて全運転行程に対する現在の運転行程の進捗度を判定する行程進捗度判定手段と、前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が序盤であると判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が終盤であると判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行う地名対象処理制御手段と、を備えたこととした。
【0091】
この構成によれば、運転行程の進捗度合いに応じて適切な処理を自動的に選択することができ、特に行程序盤にあっては地図上の地名を選択するだけで経路誘導の目的地が設定され経路誘導が行われるため、運転者の負担を大幅に軽減することができる。
【0092】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、前記地名を選択して入力する入力手段と、車両走行速度、車両挙動、走行道路属性、走行道路渋滞情報、運転操作量、運転者の生体信号、周囲画像情報のうち少なくとも1つに基づいて運転者が運転操作に要する負荷の多寡を判定する運転負荷判定手段と、走行時間、走行距離、走行道路属性、車両挙動、走行地域に対する精通度、設定目的地までの距離のうち少なくとも1つに基づいて全運転行程に対する現在の運転行程の進捗度を判定する行程進捗度判定手段と、前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が所定の閾値より高いと判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が前記閾値より低いと判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行うとともに、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が序盤であると判定された場合には前記閾値を通常時より低く設定し、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が終盤であると判定された場合には前記閾値を通常時より高く設定することを特徴とする地名対象処理制御手段と、を備えたこととした。
【0093】
この構成によれば、運転負荷と行程進捗度の両面を考慮したうえで適切な処理を自動的に選択することができ、かつ安全上優先されるべき運転負荷条件に対しては、高負荷時に確実に運転者の負担を軽減することができる。
【0094】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、前記地名対象処理制御手段は、前記経路誘導処理を実行した後に前記運転負荷判定手段の判定結果が変化した場合には前記詳細情報の表示処理を行うこととした。
【0095】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、前記地名対象処理制御手段は、前記経路誘導処理を実行した後に前記行程進捗度判定手段の判定結果が変化した場合には前記詳細情報の表示処理を行うこととした。
【0096】
この構成によれば、経路誘導処理が自動選択されたが運転者の意図は詳細情報の検討にあった場合でも、運転者からの能動的な操作を要求せずに判定の誤りを修正することができ、運転者の負担を軽減することができる。
【0097】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、前記地名対象処理制御手段は、前記詳細情報の表示処理を実行した後、前記入力手段による入力が所定時間ない場合に、前記経路誘導処理を行うこととした。
【0098】
この構成によれば、詳細情報の表示が自動選択されたが運転者の意図は経路誘導であった場合でも、運転者からの能動的な操作を要求せずに判断の誤りを修正することができ、運転者の負担を軽減することができる。
【0099】
また、本発明の実施の形態のナビゲーション装置においては、前記地名対象処理制御手段は、前記処理の変更を行う際に該処理の変更の可否を運転者に選択させることとした。
【0100】
この構成によれば、処理を変更する際に変更の可否を運転者に選択させるので、運転者の意図に合った処理を行うことができる。
【0101】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
【0102】
例えば、ブロック図は一例であり、本発明の機能を有するものであれば、
また、地名表記意匠は一例であり、実施例に示すものに限られるものではない。
【0103】
また、詳細情報の表示は一例であり、実施例に示すものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の画面表示処理のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における広域地図の表示例である。
【図4】本発明の実施形態における地名対象処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における地名対象処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態における経路誘導画面の表示例である。
【図7】本発明の実施形態における詳細情報の表示の表示例である。
【図8】本発明の実施例1のブロック図である。
【図9】本発明の実施例1における地名対象処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1における地名対象処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2のブロック図である。
【図12】運転負荷と行程進捗度を考慮して地名対象処理を切り替える説明図である。
【図13】本発明の実施例2における地名対象処理のフローチャートである。
【図14】本発明の実施例2における地名対象処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0105】
10 地名データ記憶手段
20 地点データ記憶手段
30 地名表記意匠決定手段
40 地図画面作成手段
50 表示手段
60 入力手段
70 地名対象処理制御手段
80 運転負荷判定手段
90 行程進捗度判定手段
100 101 102 ナビゲーション装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、
訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、
前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、
前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、
前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、
前記地名を選択して入力する入力手段と、
車両走行速度、車両挙動、走行道路属性、走行道路渋滞情報、運転操作量、運転者の生体信号、周囲画像情報のうち少なくとも1つに基づいて運転者が運転操作に要する負荷の多寡を判定する運転負荷判定手段と、
前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が高いと判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が低いと判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行う地名対象処理制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、
訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、
前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、
前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、
前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、
前記地名を選択して入力する入力手段と、
走行時間、走行距離、走行道路属性、車両挙動、走行地域に対する精通度、設定目的地までの距離のうち少なくとも1つに基づいて全運転行程に対する現在の運転行程の進捗度を判定する行程進捗度判定手段と、
前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が序盤であると判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が終盤であると判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行う地名対象処理制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、
訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、
前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、
前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、
前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、
前記地名を選択して入力する入力手段と、
車両走行速度、車両挙動、走行道路属性、走行道路渋滞情報、運転操作量、運転者の生体信号、周囲画像情報のうち少なくとも1つに基づいて運転者が運転操作に要する負荷の多寡を判定する運転負荷判定手段と、
走行時間、走行距離、走行道路属性、車両挙動、走行地域に対する精通度、設定目的地までの距離のうち少なくとも1つに基づいて全運転行程に対する現在の運転行程の進捗度を判定する行程進捗度判定手段と、
前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が所定の閾値より高いと判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が前記閾値より低いと判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行うとともに、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が序盤であると判定された場合には前記閾値を通常時より低く設定し、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が終盤であると判定された場合には前記閾値を通常時より高く設定することを特徴とする地名対象処理制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地名対象処理制御手段は、前記経路誘導処理を実行した後に前記運転負荷判定手段の判定結果が変化した場合には前記詳細情報の表示処理を行うことを特徴とする請求項1または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記地名対象処理制御手段は、前記経路誘導処理を実行した後に前記行程進捗度判定手段の判定結果が変化した場合には前記詳細情報の表示処理を行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記地名対象処理制御手段は、前記詳細情報の表示処理を実行した後、前記入力手段による入力が所定時間ない場合に、前記経路誘導処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記地名対象処理制御手段は、前記処理の変更を行う際に該処理の変更の可否を運転者に選択させることを特徴とする請求項4〜6のいすれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項1】
地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、
訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、
前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、
前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、
前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、
前記地名を選択して入力する入力手段と、
車両走行速度、車両挙動、走行道路属性、走行道路渋滞情報、運転操作量、運転者の生体信号、周囲画像情報のうち少なくとも1つに基づいて運転者が運転操作に要する負荷の多寡を判定する運転負荷判定手段と、
前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が高いと判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が低いと判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行う地名対象処理制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、
訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、
前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、
前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、
前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、
前記地名を選択して入力する入力手段と、
走行時間、走行距離、走行道路属性、車両挙動、走行地域に対する精通度、設定目的地までの距離のうち少なくとも1つに基づいて全運転行程に対する現在の運転行程の進捗度を判定する行程進捗度判定手段と、
前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が序盤であると判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が終盤であると判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行う地名対象処理制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
地図上に表示する地名を地名データとして記憶する地名データ記憶手段と、
訪問対象となり得る地点に関する情報を地点データとして記憶する地点データ記憶手段と、
前記地名に関連する前記地点の前記情報を視覚的に表現する意匠を前記地名を前記地図上に表記する地名表記意匠として決定する地名表記意匠決定手段と、
前記地名表記意匠決定手段により決定された前記地名表記意匠を含む地図画面を作成する地図画面作成手段と、
前記地図画面作成手段により作成された前記地図画面を表示する表示手段と、
前記地名を選択して入力する入力手段と、
車両走行速度、車両挙動、走行道路属性、走行道路渋滞情報、運転操作量、運転者の生体信号、周囲画像情報のうち少なくとも1つに基づいて運転者が運転操作に要する負荷の多寡を判定する運転負荷判定手段と、
走行時間、走行距離、走行道路属性、車両挙動、走行地域に対する精通度、設定目的地までの距離のうち少なくとも1つに基づいて全運転行程に対する現在の運転行程の進捗度を判定する行程進捗度判定手段と、
前記入力手段により入力された前記地名に対し、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が所定の閾値より高いと判定された場合には該地名を目的地に設定した経路誘導処理を行い、前記運転負荷判定手段により前記運転負荷が前記閾値より低いと判定された場合には該地名に関する詳細情報の表示処理を行うとともに、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が序盤であると判定された場合には前記閾値を通常時より低く設定し、前記行程進捗度判定手段により現在の前記運転行程が終盤であると判定された場合には前記閾値を通常時より高く設定することを特徴とする地名対象処理制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地名対象処理制御手段は、前記経路誘導処理を実行した後に前記運転負荷判定手段の判定結果が変化した場合には前記詳細情報の表示処理を行うことを特徴とする請求項1または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記地名対象処理制御手段は、前記経路誘導処理を実行した後に前記行程進捗度判定手段の判定結果が変化した場合には前記詳細情報の表示処理を行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記地名対象処理制御手段は、前記詳細情報の表示処理を実行した後、前記入力手段による入力が所定時間ない場合に、前記経路誘導処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記地名対象処理制御手段は、前記処理の変更を行う際に該処理の変更の可否を運転者に選択させることを特徴とする請求項4〜6のいすれか1項に記載のナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−145333(P2008−145333A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334439(P2006−334439)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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