説明

ナビゲーション装置

【課題】最終的な目的地を決定することなく使用者により設定された条件に応じた走行経路の情報を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、地図データにあらかじめ登録されている登録地点から、現在地周辺のコンビニを経由地として検索する。そして、車両の現在位置S→コンビニA→コンビニB→コンビニCの順に経由地を経由する走行経路を算出し、算出した走行経路を表示させる(a)。その後、走行経路に沿った車両の走行に伴い車両がコンビニAを通過すると、コンビニCからコンビニDまでの走行経路を新たに算出することで走行経路の延長を行う(b)。このように、車両の走行に伴い走行経路を延長する(c)。この結果、現在地周辺のコンビニを重複することなく最短経路で案内することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて用いられるナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者により設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、目的地だけではなく、目的地に到着するまでに通過する場所として経由地を設定可能なものが知られている。このような構成のものでは、使用者により経由地が設定されることにより、設定された経由地を通過するように目的地までの経路案内が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のナビゲーション装置は、目的地及び到着時刻が設定されることにより、経由地を含んだ旅行プランを適宜作成し、誘導経路を設定する。そして、気象情報や交通情報に基づき、経由地が条件に適合するか否かを定期的に判定し、適合しない場合には経由地を変更する。
【特許文献1】特開2003−148986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような従来のナビゲーション装置では、経路案内を行う前提として最終的な目的地を設定する必要があるが、最終的な目的地を決定しにくいケースも考えられる。例えば、入手困難な書籍を購入したい場合に、目的の書籍が見つかるまで複数の書店を巡るようなケースである。このようなケースでは、立ち寄った書店に目的の書籍が無ければ次の書店へ移動し、書籍が見つかった時点で移動を終了することとなるが、目的の書籍がどの書店にあるかは分からないため、最終的な目的地を決定することができない。
【0005】
このような場合、従来のナビゲーション装置では、いずれかの地点(上記例ではいずれかの書店)を最終的な目的地として設定しなければならず、その目的地へ到着した時点で目的が達成されていない場合には、目的地を再度設定する必要がある。
【0006】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、最終的な目的地を決定することなく使用者により設定された条件に応じた走行経路の情報を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のナビゲーション装置は、車両に搭載されて用いられるものであって、地図データ取得手段と、条件入力手段と、経路表示処理手段とを備えている。
【0008】
ここで、地図データ取得手段は、地図データを取得し、条件入力手段は、車両が走行すべき経路の条件を使用者から入力する。
そして、経路表示処理手段は、条件入力手段により入力された条件を満たす複数の経由地を地図データから抽出し、抽出した複数の経由地を経由する走行経路を使用者に対して表示する経路表示処理を行う。さらに、この経路表示処理手段は、車両の走行に伴う所定のタイミングで、条件を満たす新たな経由地まで走行経路を延長する。
【0009】
つまり、本ナビゲーション装置は、使用者から入力した条件を満たす複数の経由地を経由する走行経路を使用者に対して表示するとともに、車両の走行に伴い走行経路を延長する。
【0010】
このような構成のナビゲーション装置によれば、最終的な目的地を決定することなく使用者により設定された条件に応じた走行経路の情報を提供することができる。
ところで、経路表示処理手段が抽出する経由地としては、具体的には、例えば請求項2や請求項3に記載のものが考えられる。
【0011】
すなわち、請求項2に記載のナビゲーション装置では、経路表示処理手段が、条件を満たす経由地として、地図データにあらかじめ登録されている場所のうち条件に適合するものを抽出する。
【0012】
ここで、地図データにあらかじめ登録されている場所としては、具体的には、例えば、施設や交差点等のように、ランドマークとして登録されている地図上の特定の場所(登録地点)が挙げられる。なお、これらランドマークは種類や目的ごとにジャンル分けされた状態で登録されていることが一般的である。
【0013】
このような構成のナビゲーション装置によれば、地図データにあらかじめ登録されている場所を巡る走行経路を使用者に提供することができる。
一方、請求項3に記載のナビゲーション装置では、経路表示処理手段が、条件を満たす経由地として、地図データにおいて任意に設定可能な地点であって条件に適合するものを抽出する。
【0014】
このような構成のナビゲーション装置によれば、抽出される経由地の自由度が高い走行経路を提供することができる。すなわち、地図データにあらかじめ登録されている場所を経由地として抽出する構成の場合、あらかじめ登録されている場所の数が少ない地域や片寄りがある地域などでは走行経路の自由度が制限されてしまうことが考えられる。これに対し、請求項3に記載のように地図データにおいて任意に設定可能な地点を経由地として抽出する構成によれば、自由度の高い走行経路を提供することができる。
【0015】
ところで、例えば、抽出された経由地を周回するようにドライブするようなケースであれば、同じ経由地を複数回経由する走行経路であっても問題ないが、一度経由した場所を再度経由する走行経路が好ましくないケースも考えられる。具体的には、例えば、上述したように目的の書籍が見つかるまで複数の書店を巡るようなケースである。このようなケースでは、同じ経由地を複数回経由することは無駄であると考えられるため、こうした走行経路の情報が提供されることは好ましくない。
【0016】
そこで、請求項4に記載のナビゲーション装置では、経路表示処理手段が、同一の経由地を重複しないように抽出する。
このような構成のナビゲーション装置によれば、複数の経由地を重複することなく経由する走行経路を提供することができる。
【0017】
また、請求項5に記載のナビゲーション装置では、車両が経由地を通過したタイミングで、経路表示処理手段が、条件を満たす新たな経由地まで走行経路を延長する。
このような構成のナビゲーション装置によれば、経由地を車両が通過することで走行経路が延長されるため、使用者の要求が満たされるまで走行経路を継続して提供することができる。
【0018】
また、請求項6に記載のナビゲーション装置は、処理中止命令を使用者から入力する中止命令入力手段を備えている。そして、経路表示処理手段が、中止命令入力手段により処理中止命令が入力された場合に、経路表示処理を終了する。
【0019】
このような構成のナビゲーション装置によれば、使用者が希望するタイミングで走行経路の提供を終了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.全体構成]
図1は、ナビゲーション装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
本ナビゲーション装置10は車両に搭載されて用いられるものであり、同図に示すように、位置検出器11と、地図データ入力器12と、外部メモリ13と、送受信機14と、表示装置15と、操作スイッチ群16と、音声出力装置17と、マイクロフォン18と、リモコンセンサ19と、制御装置20とを備えている。
【0022】
位置検出器11は、地磁気から車両の進行方位を検出してその検出信号を制御装置20に出力する地磁気センサ11aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出してその検出信号を制御装置20に出力するジャイロスコープ11bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出してその検出信号を制御装置20に出力する距離センサ11cと、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波をGPSアンテナを介して受信してその受信信号を制御装置20に出力するGPS受信機11dとを備えている。そして、これら各センサ11a〜11dからの出力信号に基づき、制御装置20が、車両の位置、方位、速度等を算出する。なお、GPS受信機11dからの出力信号に基づき現在位置を求める方式としては、単独測位方式、相対測位方式(D−GPS方式、干渉測位方式)等の様々な方式があるが、そのいずれを用いてもよい。ここで、干渉測位方式を用いる場合には、その一種であるRTK−GPS(Real Time Kinematics Global Positioning System)方式を用いるとよい。また、車両に搭載されているエンジンECUやステアリングECU等(図示せず)が取得するアクセル開度、ブレーキ操作量、車速等の情報を、図示しない車内LANを介して制御装置20が取得可能な構成とし、制御装置20が、車内LANを介して取得した情報に基づき車両の現在位置(制御装置20が位置検出器11からの出力信号に基づき算出した車両の現在位置)の誤差を補正するようにしてもよい。
【0023】
地図データ入力器12は、地図データ(道路データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている図示しない可搬型の記憶媒体に記憶された各種データを入力する装置である。なお、記憶媒体としては、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカード等を用いるとよい。
【0024】
外部メモリ13は、不揮発性の記憶装置であり、電源が切られても消去すべきでないデータや、制御装置20が行う各種処理において頻繁に使用されるデータ(地図データ入力器12からのデータ等)を記憶する。なお、このような記憶装置としては、ハードディスクやメモリカード等の記憶媒体を用いるとよい。
【0025】
送受信機14は、外部(例えばVICSシステム等のインフラ)から提供される交通情報、気象情報、施設情報、広告情報等を受信し、車両情報、使用者情報等を外部へ送信するためのものである。
【0026】
表示装置15は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT等があるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置15の表示画面には、地図データ入力器12より入力された地図データの表す地図画像が表示される。さらに、表示装置15の表示画面には、位置検出器11にて検出した車両の現在位置を示すマーク、目的地までの走行経路、各種施設を表すマーク等が地図画像に重なった状態で表示される。
【0027】
操作スイッチ群16は、使用者からの各種指令を制御装置20に入力するためのものであり、表示装置15の表示画面と積層一体化されたタッチパネルや表示装置15の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成されている。なお、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式等、各種方式のものがあるが、そのいずれを用いてもよい。
【0028】
音声出力装置17は、地図データ入力器12より入力された案内用の音声データが表す音声を出力する。
マイクロフォン18は、操作スイッチ群16と同様に使用者からの各種指令を制御装置20に入力するためのものである。具体的には、マイクロフォン18は、使用者の音声を表す電気信号(音声信号)を制御装置20に出力する。そして、制御装置20は、このマイクロフォン18からの入力電気信号に基づき各種処理を実行する。
【0029】
リモコンセンサ19は、操作スイッチ群16及びマイクロフォン18と同様に使用者からの各種指令を制御装置20に入力するためのものである。具体的には、リモコンセンサ19は、ナビゲーション装置10と別体に構成されたリモコン19aがナビゲーション装置10の使用者からの指示操作に応じて送信する信号を受信可能に構成されている。そして、制御装置20は、リモコンセンサ19が受信した信号に基づき各種処理を実行する。
【0030】
制御装置20は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、制御装置20は、位置検出器11、地図データ入力器12、外部メモリ13、送受信機14、操作スイッチ群16、マイクロフォン18及びリモコンセンサ19からの入力に応じて、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づき各種処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索処理、経路案内処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理)を実行し、外部メモリ13、送受信機14、表示装置15及び音声出力装置17を制御する。また、制御装置20のRAMには、経路案内処理で用いられるデータを一時的に記憶するための記憶領域である後述する経由地バッファ(図5)が確保されている。さらに、制御装置20のROMには、後述する走行経路案内処理(図3)を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0031】
[2.本ナビゲーション装置が行う処理]
次に、本実施形態のナビゲーション装置10により実現される機能について説明する。
上述したように、従来のナビゲーション装置は、目的地までの経路案内を行う前提として、最終的な目的地を使用者に設定させる必要があった。
【0032】
これに対し、本実施形態のナビゲーション装置10は、最終的な目的地を使用者に設定させることなく経路案内を行うことができる。具体的には、車両が経由する経由地に関する条件(以下「経由地条件」という。)と、経由地条件を満たす複数の経由地をどのような規則で経由するかを表す条件(以下「経路算出条件」という。)とを使用者に設定させる。ここで、経由地としては、地図データにあらかじめ登録されている施設や交差点等の場所(以下「登録地点」という。)の他、登録地点に限定されることなく決定した地図上の任意の地点が挙げられる。また、経路算出条件としては、例えば、複数の経由地を経由する順序が挙げられる。
【0033】
そして、ナビゲーション装置10は、経由地条件を満たす経由地を地図データから抽出し、抽出した複数の経由地を経路算出条件の表す規則に従い経由する走行経路を算出する。
【0034】
さらに、ナビゲーション装置10は、走行経路に従い車両が走行することにより車両が走行経路上の経由地を通過するごとに、経由地条件を満たす新たな経由地を抽出して走行経路を延長する。
【0035】
次に、本ナビゲーション装置10の制御装置20が実行する処理の概要を、図2の機能ブロック図を用いて説明する。
同図に示すように、制御装置20は、目的情報入力部31、位置情報検出部32、通過点作成部33、経路作成部34及び経路追加判定部35として機能する。なお、これらの各機能はそれぞれ独立したハードウェアにより実現することも可能であるが、本実施形態では共通のハードウェアにより実現している。
【0036】
目的情報入力部31は、操作スイッチ群16により入力された使用者からの指令に基づき、上述した経由地条件及び経路算出条件を設定する。
位置情報検出部32は、位置検出器11からの出力信号に基づき車両の現在位置を算出する。
【0037】
通過点作成部33は、経由地条件を満たす経由地を地図データから抽出する。具体的には、経由地条件を満たす経由地の中から、あらかじめ設定された数(本実施形態では5つ)の経由地を、経路算出条件が表す規則に従い抽出する。
【0038】
経路作成部34は、通過点作成部33により抽出された経由地のうちの一部(本実施形態では3つ)の経由地について、それらを順に経由する走行経路を算出する。
経路追加判定部35は、位置情報検出部32で算出された車両の現在位置に基づき走行経路の延長を行うか否かの判定を行う。具体的には、位置情報検出部32で算出された車両の現在位置と走行経路上の経由地との位置関係を算出し、算出した位置関係に基づき車両が経由地を通過したか否かを判定する。そして、車両が経由地を通過したと判定した場合には、経路作成部34に、走行経路上に存在しない新たな経由地まで走行経路を延長させる。また、通過点作成部33に、経由地条件を満たす経由地を新たに一つ抽出させる。
【0039】
ここで、このような処理を実現するために制御装置20が行う走行経路案内処理について、図3のフローチャートを用いて具体的に説明する。本走行経路案内処理は、経由地条件及び経路算出条件を設定するための条件設定操作が操作スイッチ群16等で行われた場合に開始される。
【0040】
ここで、条件設定操作について、図4を用いて具体的に説明する。
条件設定操作は、表示装置15の表示画面に表示される選択肢を選択することにより行う。具体的には、「目的」、「副項目1」、「副項目2」、「副項目3」の4つの階層について、それぞれ1つの選択肢を選択する。
【0041】
「目的」としては、「施設を巡る」、「周辺を巡る」等の選択肢が用意されている。ここで、「施設を巡る」とは、特定の経由地を経由するように車両を走行させることを目的とするものであり、地図データにあらかじめ登録されている登録地点を、重複しないように経由する走行経路が設定される。一方、「周辺を巡る」とは、特に経由すべき経由地が存在しない条件下で車両を走行させることを目的とするものであり、地図上から任意に決定した地点を経由する走行経路が設定される。
【0042】
また、「副項目1」としては、「現在地周辺」、「地点周辺」等の選択肢が用意されている。ここで、「現在地周辺」とは、車両の現在位置を中心に経由地を設定する場合の選択肢であり、「地点周辺」とは、指定した地点を中心に経由地を設定する場合の選択肢である。
【0043】
また、「施設を巡る」についての「副項目2」としては、経由地とすべき登録地点の種類を絞り込むための条件として、「中華料理屋」、「コンビニ」、「ショッピングセンター」等の選択肢(登録地点のジャンル)が用意されている。
【0044】
一方、「周辺を巡る」についての「副項目2」としては、経由地として決定する地点の範囲を絞り込むための条件として、「半径〜km以内」、「〜市内」、「〜県内」、「〜km分の経路」等の選択肢が用意されている。
【0045】
さらに、「施設を巡る」についての「副項目3」としては、経由地をどのような規則で経由するかについての条件として、「連続経路最短到達順」、「指定経路からの最短順」、「〜(数)店舗を巡回」等の選択肢が用意されている。
【0046】
一方、「周辺を巡る」についての「副項目3」としては、経由地をどのような規則で経由するかについての条件として、「〜km分を巡回」、「範囲内の交差点をすべて通過」、「同一経路は省く」等の選択肢が用意されている。
【0047】
そして、このような選択肢を選択する操作(条件設定操作)が行われることにより、図3の走行経路案内処理が開始されると、まずS101で、条件設定操作により操作スイッチ群16等から入力される指令に従い経由地条件及び経路算出条件を設定する。
【0048】
続いて、S102では、S101で設定した経由地条件及び経路算出条件に基づき経路算出処理を行う。具体的には、経由地条件を満たす経由地を地図データから検索し、その中から5つの経由地を、経路算出条件の表す規則に従い抽出する。そして、抽出した経由地を、図5に示す経由地バッファに記憶させる。
【0049】
ここで、経由地バッファとは、「現在位置」、「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」及び「目的地候補キュー」を一時的に記憶するために、制御装置20のRAMに確保された記憶領域のことである。具体的には、「現在位置」とは、車両が最後に通過した経由地を表す。また、「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」とは、車両がこれから通過する走行経路上の経由地を表す。一方、「目的地候補キュー」は、走行経路上に存在しない2つの予備の経由地(以下、各経由地を、それぞれ「第1目的地候補キュー」、「第2目的地候補キュー」という。)を表すものである。
【0050】
そして、本S102では、抽出した5つの経由地を、「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」、「第1目的地候補キュー」及び「第2目的地候補キュー」として経由地バッファに記憶させる。さらに、「現在位置」→「第1目的地」→「第2目的地」→「第3目的地」の順に経由地を経由する走行経路を算出し、算出した走行経路を表す画像を表示装置15の表示画面に表示させる。
【0051】
例えば、図6に示すように、経由地条件を満たす経由地を地図データから検索し、検索された経由地A〜Gの中から5つの経由地A〜Eを抽出する。そして、抽出した経由地A〜Eを、「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」、「第1目的地候補キュー」及び「第2目的地候補キュー」として記憶する(図5における「Start時」の行を参照)。さらに、「現在位置」→「第1目的地」→「第2目的地」→「第3目的地」(車両の現在位置S→経由地A→経由地B→経由地C)の順に経由地を経由する走行経路(図面上、実線で表した部分)を算出する。
【0052】
続いて、S103では、経由地バッファに「第1目的地」として記憶されている経由地を車両が通過したか否かを判定し、通過したと判定した場合にS104へ移行する。
S104では、「第2目的地」としての経由地が経由地バッファに記憶されているか否かを判定する。
【0053】
そして、S104で、「第2目的地」としての経由地が経由地バッファに記憶されていると判定した場合には、S105へ移行し、経路案内を強制終了するための案内中止操作が操作スイッチ群16で行われたか否かを判定する。なお、案内中止操作は、例えば、運転目的が達成された場合や、運転目的の達成を断念した場合に行われる。
【0054】
このS105で、案内中止操作が行われていないと判定した場合には、S106へ移行し、「第1目的地候補キュー」としての経由地が経由地バッファに記憶されているか否かを判定する。
【0055】
そして、S106で、「第1目的地候補キュー」としての経由地が経由地バッファに記憶されていると判定した場合には、S107へ移行し、経由地バッファに記憶している経由地をシフトする処理を行う。
【0056】
具体的には、まず、「現在位置」に記憶されている経由地を消去する。なお、本走行経路案内処理の開始直後(最初の経由地を通過するまで)は、「現在位置」としての経由地は記憶されていない(図6の「S」)。
【0057】
次に、「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」、「第1目的地候補キュー」及び「第2目的地候補キュー」についての各経由地を、順序を保った状態で、「現在位置」、「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」、「第1目的地候補キュー」の各経由地にシフトさせるように経由地バッファを更新する。つまり、図5に示す「Start時」の行から「A地点通過時」の行への更新(「A地点通過時」の行から「B地点通過時」の行への更新等も同様)を行う。なお、更新された直後の経由地バッファには「第2目的地候補キュー」としての経由地が記憶されていないものとする(例えば、図5に示す「Start時」の行から「A地点通過時」の行への更新を行った場合には、「A地点通過時」の行に示す「第2目的地候補キュー」としての経由地Fは、目的地バッファに記憶されていない)。
【0058】
続いて、S108では、経由地バッファに「第2目的地」として記憶されている経由地から「第3目的地」として記憶されている経由地までの走行経路を新たに算出することで走行経路の延長を行う。
【0059】
続いて、S109では、S108で延長した走行経路を表す画像を表示装置15に表示させる。つまり、表示画面上の走行経路を延長する。
続いて、S110では、S101で設定した経由地条件を満たす経由地が地図データに存在するか否かを判定する。なお、上述したように、「目的」として「施設を巡る」が選択された場合には、地図データにあらかじめ登録されている登録地点を、重複しないように経由する走行経路を設定するため、すでに経由地バッファに記憶されたものについては除外される。このため、経由地条件を満たす経由地が地図データに存在しないと判定される可能性がある。一方、「目的」として「周辺を巡る」が選択された場合には、同じ経由地を重複して経由してもよいため、経由地条件を満たす経由地が地図データに存在すると判定されることになる。
【0060】
そして、S110で、経由地条件を満たす経由地が地図データに存在すると判定した場合には、S111へ移行し、経由地条件を満たす経由地を経路算出条件の表す規則に従い地図データから新たに一つ抽出し、「第2目的地候補キュー」として経由地バッファに記憶させる。その後、S103へ戻る。
【0061】
一方、S110で、経由地条件を満たす経由地が地図データに存在しないと判定した場合には、S111の処理を行わずにそのままS103へ戻る。したがって、「第2目的地候補キュー」としての経由地が経由地バッファに記憶されない状態となる。
【0062】
また、S106で、「第1目的地候補キュー」としての経由地が経由地バッファに記憶されていないと判定した場合には、S112へ移行し、S107の処理と同様、経由地のシフト処理を行い、S103へ戻る。ただし、「第1目的地候補キュー」としての経由地が経由地バッファに記憶されていないため(S106:NO)、「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」についての各経由地を、順序を保った状態で、「現在位置」、「第1目的地」、「第2目的地」の各経由地にシフトさせるように経由地バッファを更新することとなる。
【0063】
一方、S104で、「第2目的地」としての経由地が経由地バッファに記憶されていないと判定した場合や、S105で、案内中止操作が行われたと判定した場合には、本走行経路案内処理を終了する。
【0064】
[3.処理の具体例]
次に、本実施形態のナビゲーション装置10により実現される処理の具体例について説明する。
【0065】
[3.1.「目的」として「施設を巡る」が選択された場合]
まず、条件設定操作において、「目的」として「施設を巡る」が選択された場合の具体例を、図7を用いて説明する。具体的には、「副項目1」として「現在地周辺」が、「副項目2」として「コンビニ」が、「副項目3」として「連続経路最短到達順」が、それぞれ選択されたものとする。
【0066】
このような条件設定操作が行われると、ナビゲーション装置10は、地図データにあらかじめ登録されている登録地点から、現在地周辺(例えば半径15km以内)のコンビニ(コンビニエンスストアのこと。以下同じ。)を経由地として検索する。そして、検索されたコンビニA〜Gの中から、経路算出条件の表す規則に従い5つのコンビニを抽出する。具体的には、「副項目3」として「連続経路最短到達順」が選択されているため、車両の現在位置Sから最も短い経路で到達可能なコンビニA、このコンビニAから最も短い経路で到達可能なコンビニB、…というように、5つのコンビニA〜Eを抽出する。そして、これらを順に「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」、「第1目的地候補キュー」及び「第2目的地候補キュー」として経由地バッファに記憶させる。
【0067】
続いて、ナビゲーション装置10は、「現在位置」→「第1目的地」→「第2目的地」→「第3目的地」(車両の現在位置S→コンビニA→コンビニB→コンビニC)の順に経由地を経由する走行経路を算出し、算出した走行経路を表す画像を表示装置15の表示画面に表示させる(図7(a))。
【0068】
その後、走行経路に沿った車両の走行に伴い車両がコンビニAを通過すると、ナビゲーション装置10は、経由地バッファに記憶している経由地をシフトする処理を行う。そして、経由地バッファに「第2目的地」として記憶されている経由地から「第3目的地」として記憶されている経由地までの走行経路(コンビニCからコンビニDまでの走行経路)を新たに算出することで走行経路の延長を行う(図7(b))。
【0069】
また、ナビゲーション装置10は、経由地条件を満たす経由地であって経由地バッファにまだ記憶されていないものを、経路算出条件の表す規則に従い地図データから新たに一つ抽出し(コンビニF)、「第2目的地候補キュー」として経由地バッファに記憶させる。
【0070】
以上のような処理を繰り返すことにより、車両の走行に伴い走行経路が延長される(図7(c))。この結果、現在地周辺のコンビニを重複することなく最短経路で案内することができる。
【0071】
[3.2.「目的」として「周辺を巡る」が選択された場合]
次に、条件設定操作において、「目的」として「周辺を巡る」が選択された場合の具体例を、図8を用いて説明する。具体的には、「副項目1」として「現在地周辺」が、「副項目2」として「半径〜km以内」(この例では半径5km以内)が、「副項目3」として「同一経路は省く」が、それぞれ選択されたものとする。
【0072】
このような条件設定操作が行われると、ナビゲーション装置10は、現在地から半径5km以内の範囲で地図上(具体的には道路上)の任意の5つの地点A〜Eを経由地として抽出する(図8(a)。なお、地点F,Gについてはこの時点では抽出されていないものとする。)。そして、これらの経由地を「第1目的地」、「第2目的地」、「第3目的地」、「第1目的地候補キュー」及び「第2目的地候補キュー」として経由地バッファに記憶させる。
【0073】
続いて、ナビゲーション装置10は、「現在位置」→「第1目的地」→「第2目的地」→「第3目的地」の順に経由地を経由する走行経路を算出し、算出した走行経路を表す画像を表示装置15の表示画面に表示させる(図8(b))。
【0074】
その後、走行経路に沿った車両の走行に伴い車両が地点Aを通過すると、ナビゲーション装置10は、経由地バッファに記憶している経由地をシフトする処理を行う。そして、経由地バッファに「第2目的地」として記憶されている経由地から「第3目的地」として記憶されている経由地までの走行経路(地点Cから地点Dまでの走行経路)を新たに算出することで走行経路の延長を行う(図8(c))。
【0075】
また、ナビゲーション装置10は、経由地条件を満たす経由地を、経路算出条件の表す規則に従い地図データから新たに一つ抽出し(地点F)、「第2目的地候補キュー」として経由地バッファに記憶させる。なお、新たに抽出する経由地は、経由地バッファに既に記憶したことのある地点であってもよい。
【0076】
以上のような処理を繰り返すことにより、車両の走行に伴い走行経路が延長される(図8(d))。この結果、運転目的が存在しない状況下で走行経路を案内することができる。さらに、経由地を地図上の任意の地点を経由地としているため、抽出される経由地の自由度が高い走行経路を案内することができる。
【0077】
[4.実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置10によれば、最終的な目的地を決定することなく使用者により設定された条件に応じた走行経路の情報を提供することができる。特に、一度に多数の経由地を表示させずに一定数の経由地についての走行経路のみを表示させるようにしているため、走行経路が見づらくなることを防ぐことができる。
【0078】
また、案内中止操作により、使用者が希望するタイミングで走行経路の提供を終了することができる。
さらに、抽出した経由地を経由地バッファの「第1目的地候補キュー」及び「第2目的地候補キュー」に記憶させることで走行経路の延長先となる経由地をストックしておくようにしているため、走行経路の延長をスムーズに行うことができる。すなわち、「第1目的地候補キュー」及び「第2目的地候補キュー」を確保しない構成の場合には、走行経路の延長を行う際に延長先となる経由地の検索及び抽出を行う必要があり、走行経路の延長に必要な処理時間も長くなる。これに対し、本のナビゲーション装置10によれば、「第1目的地候補キュー」及び「第2目的地候補キュー」にあらかじめストックしておいた予備の経由地を走行経路の延長先とするため走行経路の延長をスムーズに行うことができる。
【0079】
[5.特許請求の範囲との対応]
なお、操作スイッチ群16と、走行経路案内処理(図3)におけるS101とが、本発明の条件入力手段に相当する。また、走行経路案内処理におけるS102,S108,S109の処理が、本発明の経路表示手段に相当する。そして、操作スイッチ群が16と、走行経路案内処理におけるS105とが、本発明の中止命令入力手段に相当する。
【0080】
[6.他の形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0081】
例えば、経由地条件は上記実施形態のようなものに限定される訳ではなく、現在地から半径1km以内の場所や地点を経由地としないといった条件としてもよい。
また、経路算出条件も、上記実施形態のようなものに限定される訳ではなく、片道車線や山道を避けるといった規則としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態のナビゲーション装置10では、算出した走行経路に従い車両が走行した場合に、走行経路上の経由地を通過するごとに走行経路の延長を行うようにしているが、このような構成のものに限定される訳ではなく、例えば、使用者からの指示に基づき走行経路の延長を行うように構成してもよい。具体的には、図3のS103における第1目的地を車両が通過したか否かを判定する判定処理での待機処理中に、走行経路を延長するための指令が入力されたか否かを判定する判定処理を行い、走行経路を延長するための指令が入力された場合にも、待機処理を解除しS104へ移行するような構成としてもよい。例えば、「次」「先」等の音声を使用者がマイクロフォン18に入力された場合に、走行経路を延長するための指令が入力されたと判定し、走行経路の延長を行うような構成が考えられる。このような構成のナビゲーション装置によれば、使用者が望むタイミングで走行経路を延長することができる。
【0083】
一方、例えば、経由地バッファ(図5)に記憶可能な経由地の数は上記実施形態のようなものに限定される訳ではなく、いくつであってもよい。また、操作スイッチ群16で行われる使用者からの指示操作に基づき経由地バッファに記憶可能な経由地の数を設定可能な構成としてもよい。このような構成のナビゲーション装置によれば、走行経路に含まれる経由地の数を使用者が自由に設定することができるため、過剰な数の経由地を経由するような走行経路が提供されることなく、使用者が希望する適当な数の経由地を経由するような走行経路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施形態のナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態のナビゲーション装置の機能ブロック図である。
【図3】走行経路案内処理のフローチャートである。
【図4】条件設定操作の説明図である。
【図5】経由地バッファの説明図である。
【図6】走行経路を算出する処理に関する説明図である。
【図7】「目的」として「施設を巡る」が選択された場合の処理の説明図である。
【図8】「目的」として「周辺を巡る」が選択された場合の処理の説明図である。
【符号の説明】
【0085】
10…ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…地図データ入力器、13…外部メモリ、14…送受信機、15…表示装置、16…操作スイッチ群、17…音声出力装置、18…マイクロフォン、19…リモコンセンサ、20…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて用いられるナビゲーション装置であって、
地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記車両が走行すべき経路の条件を使用者から入力する条件入力手段と、
前記条件入力手段により入力された条件を満たす複数の経由地を前記地図データから抽出し、抽出した複数の経由地を経由する走行経路を使用者に対して表示する経路表示処理を行う経路表示処理手段と、
を備え、
前記経路表示処理手段は、前記車両の走行に伴う所定のタイミングで、前記条件を満たす新たな経由地まで前記走行経路を延長すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路表示処理手段は、前記地図データにあらかじめ登録されている場所のうち前記条件に適合するものを前記条件を満たす経由地として抽出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路表示処理手段は、前記地図データにおいて任意に設定可能な地点であって前記条件に適合するものを前記条件を満たす経由地として抽出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路表示処理手段は、同一の経由地を重複しないように抽出することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路表示処理手段は、前記車両が経由地を通過したタイミングで、前記条件を満たす新たな経由地まで前記走行経路を延長することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
処理中止命令を使用者から入力する中止命令入力手段を備え、
前記経路表示処理手段は、前記中止命令入力手段により処理中止命令が入力された場合に、前記経路表示処理を終了することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−14712(P2008−14712A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184592(P2006−184592)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】