説明

ナビゲーション装置

【課題】簡単な操作でマップマッチングを修正できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車両が高速道路21を走行している場合、車両の走行軌跡は、車両が高速道路21の側道22を走行している場合と変わらない。したがって、マップマッチングしても車両が高速道路21を走行しているのか、または高速道路21の側道22を走行しているのかを判断できない。このような場合は、走行している可能性のある全ての道路21,22上に自車位置マーク23,24を表示する。そして、車両が実際に走行している道路(高速道路21)上に表示されている自車位置マーク23をユーザにタッチさせる。その結果、側道22上に表示されている自車位置マーク24は消去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マップマッチングによって地図上に表示した車両の位置を補正するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マップマッチングで判定された走行道路と、実際に走行している道路とが異なる場合がある。このような場合、実際に走行している道路の位置にカーソルを合わせることによって、マップマッチングで判定された走行道路を実際に走行している道路に修正するナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−98231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているような従来のナビゲーション装置では、実際に車両が走行している道路にカーソルを合わせる操作を行わなくてはならない。したがって、車両走行中は操作が困難であるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、道路のリンク情報を記憶するリンク情報記憶手段と、車両の走行軌跡を検出する走行軌跡検出手段と、リンク情報と走行軌跡とに基づいて車両が走行している可能性のある推定走行道路を検出する道路検出手段と、推定走行道路上に自車位置マークを重ねて表示する自車位置表示手段と、推定走行道路上に重ねて表示された複数の自車位置マークのいずれかひとつを選択する自車位置選択手段とを備え、推定走行道路が複数検出され、それら複数の道路上にそれぞれ表示されている自車位置マークのいずれかひとつが自車位置選択手段によって選択されると、選択された自車位置マークを残し、他の自車位置マークを消去することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、表示モニタの表示画面にタッチパネルを備え、自車位置選択手段は、推定走行道路上に重ねて表示された複数の自車位置マークの中でタッチされた自車位置マークを選択することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、ユーザの発する音声を認識する音声認識手段を備え、自車位置選択手段は、ユーザの発する音声に基づいて複数の自車位置マークのいずれかひとつを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、マップマッチングにより車両が走行していると推定される道路が複数あるときは、それぞれの道路について自車位置マークを表示する。そして、複数の自車位置マークの中から実際に走行している道路に表示されている自車位置マークをユーザに選択させる。したがって、自車位置マークの選択という簡単な操作でマップマッチングの修正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。このナビゲーション装置1は、マップマッチングで自車両が走行していると推定された走行道路(以下、推定走行道路と呼ぶ)と、実際に走行している道路とが異なる場合、推定走行道路を実際に走行している道路に修正することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、タッチパネル19およびディスクドライブ111を有している。ディスクドライブ111には、地図データが記憶されたDVD−ROM112が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。また、制御回路11は、DVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行う。そして、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の走行軌跡を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて、制御回路11において適宜生成される。
【0010】
ディスクドライブ111は、DVD−ROM112から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは補間ノード情報を含み、道路の形状も表している。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM112以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定や検索条件の入力などするための操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を操作することにより、目的地を設定する。
【0012】
タッチパネル19は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチであり、表示モニタ16に表示される画像はタッチパネル19を通して表示される。タッチパネル19は、タッチパネル19上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部110に送出する。そして、タッチパネルコントロール部110はタッチパネル19がタッチされた位置を算出する。表示モニタ16の表示画面をタッチするとタッチパネル19がタッチされる。そして、タッチされた各種ボタンや表示メニューに定義された処理が実行される。
【0013】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1は現在地検出装置14により検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0014】
次に、図2を参照して、本発明の実施形態のマップマッチング処理について説明する。
【0015】
上述したように推定走行道路が複数存在する場合、ナビゲーション装置1は周知の信頼度演算を行い、いずれか一つの推定走行道路上に自車位置マークを表示する。また、ナビゲーション装置1は、上述した信頼度演算により一つの推定走行道路を決定することに代えて、複数の推定走行道路上の全てに自車位置マークを表示し、ユーザに選択させる。前者の信頼度演算によるマップマッチング(以下、自動マップマッチングと呼ぶ)と、後者のユーザによるマップマッチング(以下、手動マップマッチングと呼ぶ)とをメニュー設定で切換えることができる。
【0016】
図2は、手動マップマップマッチングを説明する図である。たとえば、図2(a)に示すように、ほぼ並行に存在する高速道路21と側道22とが共に推定走行道路として認識されている場合、高速道路21と側道22のそれぞれに自車位置マーク23および24を表示する。また、表示画面に選択指示画面25を表示し、ユーザに対して、いずれか一方の自車位置マークを選択することを促す。すなわち、「自車位置マーク調整!正しい位置の自車位置マークをタッチしてください。」という操作指示文章を表示した選択指示画面25を表示モニタ16の表示画面に表示する。
【0017】
たとえば、図2(b)に示すように、ユーザが、車両が実際に走行している高速道路上に表示されている自車位置マーク23をタッチと、図2(c)に示すように、高速道路21の側道上に表示されている自車位置マーク24は消去され、自車位置マーク調整完了と表示した確認画面26が表示画面に表示される。このとき、ナビゲーション装置1は、側道22を推定走行道路から除外し、マップマッチングの対象の道路を高速道路21のみとする。
【0018】
次に、本発明の実施形態のマップマッチング修正処理について図3のフローチャートを参照して説明する。図3の処理は、自車位置マークを重ねて表示した地図を表示モニタ16の表示画面に表示するとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0019】
ステップS301では、現在地検出装置14によって、車両の走行軌跡を検出する。ステップS302では、DVD−ROM112に記憶されている地図データより、車両の現在地から所定範囲内のリンク情報とノード情報とを呼び出す。ステップS303では、車両の走行軌跡と一致する形状の道路、すなわちリンク(以下、候補リンクと呼ぶ)を検出する。
【0020】
ステップS304では、図2(c)に示すように、表示モニタ16に表示された地図20において、上述した候補リンク上に自車位置マークを表示する。このとき、候補リンクが複数あるときは、各々の候補リンク上に自車位置マークを表示する。つまり、複数の推定走行道路のそれぞれに自車位置マークが表示されることになる。ステップS305では、候補リンクはひとつであるか否かを判定する。ひとつの場合はステップS305が肯定判定され、そのままリターンする。複数ある場合はステップS305が否定判定され、ステップS306へ進む。
【0021】
ステップS306では、表示モニタ16に操作指示画面を表示し、ユーザに対して複数の自車位置マークの中からひとつの自車位置マークを選択させる。ステップS307では、タッチパネルコントロール部110が算出したタッチパネル19のタッチ位置に基づいて、自車位置マークが選択されたか否かを判定する。選択された場合はステップS307が肯定判定され、ステップS308へ進む。選択されていない場合はステップS307を繰り返す。ステップS308では、選択されなかった自車位置マークの表示を消去する。そして、リターンする。
【0022】
以上の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)車両が複数の道路21,22を走行している可能性があるときは、それぞれの道路21,22を推定走行道路として各道路上に自車位置マーク23,24を表示する。複数の自車位置マーク23,24の中から実際に走行している道路21に表示されている自車位置マーク23をユーザに選択させる。したがって、自車位置マーク23,24の選択という簡単な操作により、マップマッチング処理で候補とされた道路の中から実際に走行している道路を確実に選択することができる。
(2)自車位置マーク23,24をタッチすることによって自車位置マーク23,24を選択することができるので、簡単な操作で、自車位置マーク23,24の選択を行うことができる。
【0023】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)自車位置マーク23,24をタッチすることによって自車位置マーク23,24を選択したが、音声認識によって自車位置マーク23,24を選択するようにしてもよい。この場合、図4に示すように、ナビゲーション装置1Aはマイク113、音声認識部114および辞書115を備えることになる。ここで、マイク113は、ユーザが発する音声を入力する。音声認識部114は、マイク113で入力された音声の音声パターンを辞書115に格納されている音声パターンと照合して入力された音声を認識する。その認識結果は制御回路11へ出力される。
【0024】
図5に、音声認識による自車位置マーク23,24の選択の一例を示す。図5(a)に示すように、車両が走行している可能性のある推定走行道路として道路21,22が検出された場合、各々の道路21,22に色違いの自車位置マーク23,24を表示する。そして、図5(a)に示すように、「自車位置マーク調整!どの色の自車位置マークの位置が正しいですか?」という音声51をスピーカ17から出力する。ユーザが、車両が実際に走行している高速道路上に表示されている自車位置マーク23の色である「あお!」という言葉52をマイク113に向かって発すると、図5(b)に示すように、高速道路21の側道上に表示されている自車位置マーク24は消去され、スピーカ17より「青色の自車位置マークの位置を自車位置マークの位置とします。」という音声53が出力される。
【0025】
音声認識によって自車位置マーク23,24を選択することができるので、ナビゲーション装置1を手動で操作する必要もなく、走行中も安全に自車位置マーク23,24の選択を行える。
【0026】
(2)ナビゲーション装置1が、車両が実際に走行している可能性のある推定走行道路が複数存在することを検出したとき、自車位置マーク23,24を複数表示して、ユーザに選択させた。しかし、ユーザが、自車位置マークが表示されている道路が実際に走行している道路と異なっていることに気がついたとき、自車位置マーク23,24を複数表示させて、選択できるようにしてもよい。
【0027】
たとえば、図6(a)に示すように、車両が高速道路21を走行しているのに、高速道路21の側道22に自車位置マーク24が表示されることがある。図6(a)では、自動マップマッチングにより選択されている道路22、すなわち、高速道路21の側道22が強調されて表示されている。そこで、ユーザは、自車位置マーク24をタッチするなどの所定の操作をすることによって、ナビゲーション装置1に、高速道路21の側道以外で、車両の走行軌跡と一致する形状の道路を検出させる。これにより、図6(b)に示すように、高速道路21が検出されると、高速道路21にも自車位置マーク23が表示される。後は、上述の実施形態と同様に、自車位置マーク23をタッチして、自車位置マーク23の表示位置を修正する。
【0028】
ナビゲーション装置が誤った道路を対象としてマップマッチングしているときも、簡単な操作で安全にマップマッチングを修正することができ、便利である。
【0029】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0030】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明のリンク情報記憶手段はディスクドライブ111およびDVD−ROM112に対応し、走行軌跡検出手段は現在地検出装置14に対応する。道路検出手段および自車位置表示手段は制御回路11に対応し、自車位置選択手段はタッチパネル19およびタッチパネルコントロール部110、またはマイク113、音声認識部114および辞書115に対応する。音声認識手段は音声認識部114および辞書115に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】手動マップマッチングを説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態のマップマッチング修正処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の変形例のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図5】音声認識によるマップマッチング修正処理を説明するための図である。
【図6】マップマッチング修正処理の開始の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0032】
1,1A ナビゲーション装置
11 制御回路
16 表示モニタ
17 スピーカ
18 入力装置
19 タッチパネル
20 地図
21 高速道路
22 高速道路の側道
23,24 自車位置マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路のリンク情報を記憶するリンク情報記憶手段と、
車両の走行軌跡を検出する走行軌跡検出手段と、
前記リンク情報と前記走行軌跡とに基づいて前記車両が走行している可能性のある推定走行道路を検出する道路検出手段と、
前記推定走行道路上に自車位置マークを重ねて表示する自車位置表示手段と、
前記推定走行道路上に重ねて表示された複数の自車位置マークのいずれかひとつを選択する自車位置選択手段とを備え、
前記推定走行道路が複数検出され、それら複数の道路上にそれぞれ表示されている前記自車位置マークのいずれかひとつが前記自車位置選択手段によって選択されると、選択された自車位置マークを残し、他の自車位置マークを消去することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示モニタの表示画面にタッチパネルを備え、
前記自車位置選択手段は、前記推定走行道路上に重ねて表示された複数の自車位置マークの中でタッチされた自車位置マークを選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
ユーザの発する音声を認識する音声認識手段を備え、
前記自車位置選択手段は、前記ユーザの発する音声に基づいて前記複数の自車位置マークのいずれかひとつを選択することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−180572(P2008−180572A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13518(P2007−13518)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】