説明

ナビゲーション装置

【課題】地図データの作成者から更新用データを取得する必要がなく、さらには更新操作を要することなく最新の地図を表示できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】本発明のナビゲーション装置は、車両の前方の画像を撮影することを繰り返す撮影手段29と、撮影された画像に含まれる2次元コード57a-57fを読み取って、2次元コード57a-57fが示す地図データ変更情報を記憶手段17に記憶するコード読取手段5,31と、地図データを格納する格納手段19と、地図データから取り出された描画区域のデータと、記憶手段17に記憶された描画区域に関する地図データ変更情報とを用いて、描画区域の地図を描画する描画手段5,23とを備える。地図データ変更情報は、店舗、施設、交通標識、又は道路に関する変更情報である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを用いて誘導画面を表示して、目的地に至るまで車両の誘導を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される一般的なナビゲーション装置は、地図データを格納した記録媒体を備えており、地図データを用いて車両誘導用の地図や目的地付近の地図等を表示する。地図データに含まれる店舗、施設や道路等に関する情報は、時間の経過と共に古くなることから、このようなナビゲーション装置において、地図データの更新は重要な問題となっている。また、近年、ナビゲーション装置にて、店舗の広告・宣伝情報を表示させる提案がされている。例えば、無線通信を用いて広告・宣伝情報をナビゲーション装置に配信することや、携帯電話で得られた広告・宣伝情報をナビゲーション装置に転送して表示することが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−350057号公報
【特許文献2】特開2006−209280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、地図データの更新は、地図データの一部又は全体を、地図データの作成者(又はナビゲーション装置の製造者)が用意した更新用データと置き換えることで行われる。従って、店舗や道路の追加、変更及び削除等の変更事項が調査されて、その調査結果に基づいて更新用データが作成され、さらに、使用者が更新用データを用いて地図データを更新するまでは、ナビゲーション装置に表示される地図に変更事項が反映されることはない。このような調査を行って、更新用データを作成するためには相当の労力及び時間を要することから、例えば、ナビゲーション装置の使用者の近所にて新たな道路が開通したり、使用者の通勤路の沿道にて新たな店舗が営業を開始した場合、ナビゲーション装置がこれらの道路と店舗が示された地図を表示可能となるには相当の時間を要する。
【0005】
使用者がナビゲーション装置を操作して、新たな店舗や道路などに関する情報を地図データに加えることも考えられるが、このような情報をナビゲーション装置に入力することは非常に面倒である。また、車両の走行記録に基づいて新たな道路に関する情報を自動的にナビゲーション装置で生成して、地図データに加えることも考えられるが、道路の名称や車線数などの情報を自動的に生成することはできない。
【0006】
店舗の広告・宣伝情報が無線通信でナビゲーション装置に配信される場合、基地局の設置や管理の必要が生じ、広告・宣伝情報をナビゲーション装置に表示させたいと店主が思っても、それが困難な事態が起こり得る。また、携帯電話を通じて取得した広告・宣伝情報は、ナビゲーション装置に表示されるまでもなく、携帯電話に表示させれば十分であって、ナビゲーション装置に広告・宣伝情報を表示させるのに携帯電話を利用する実益は少ないと思われる。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、地図データの作成者から更新用データを取得する必要がなく、さらには使用者による地図データの更新作業を要することなく、店舗や道路等に関する変更事項が反映された地図が表示されるナビゲーション装置を提供する。また、本発明は、特別な設備を沿道に設けることなく、店舗の広告・宣伝情報を取得して表示可能なナビゲーション装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、車両の前方の画像を撮影することを繰り返す撮影手段と、撮影された画像に含まれる2次元コードを読み取って、前記2次元コードが示す地図データ変更情報を記憶手段に記憶するコード読取手段と、地図データを格納する格納手段と、前記地図データから取り出された描画区域のデータと、前記記憶手段に記憶された前記描画区域に関する地図データ変更情報とを用いて、前記描画区域の地図を描画する描画手段とを備える。さらに、本発明のナビゲーション装置では、前記地図データ変更情報は、店舗、施設、交通標識、又は道路に関する変更情報とされる。
【0009】
本発明のナビゲーション装置は、車両の前方の画像を撮影することを繰り返す撮影手段と、撮影された画像に含まれる2次元コードを読み取って、前記2次元コードが示す情報を得るコード読取手段と、前記2次元コードが示す情報を文字情報として表示する表示手段とを備える。さらに、本発明のナビゲーション装置では、前記2次元コードが示す情報は、店舗若しくは施設の広告・宣伝情報、又は交通情報とされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のナビゲーション装置は、車両の前方の風景を繰り返し撮影し、撮影した画像から地図データ変更情報を示す2次元コードを読み取り、得られた地図データ変更情報と地図データとを用いて、地図を表示する。故に、使用者による更新用データの取得や地図データの更新作業を要することなく、最新の地図、つまり更新された地図がナビゲーション装置に表示される。地図データ変更情報を示す2次元コードは、店舗や施設の看板、道路標識などに付される。例えば、新たな店舗の店主がその店舗に関する2次元コードを看板に付すことで、ナビゲーション装置は、車両の走行中にその2次元コードを読み取り、その新たな店舗に関する地図データ変更情報を取得する。その店舗が含まれる区域の地図が描画される際に、その店舗に関する地図データ変更情報が参照されて、描画される地図にその店舗が加えられる。
【0011】
本発明のナビゲーション装置は、車両の前方の風景を繰り返し撮影し、撮影した画像から2次元コードを読み取って、その2次元コードが示す店舗又は施設の広告・宣伝情報を、誘導画面と共に又は別画面にて文字情報として表示する。これにより店舗の店主や施設の関係者は、特別な設備を設けることなく、ナビゲーション装置に広告・宣伝情報を送ることができる。また、2次元コードが渋滞情報などの交通情報を示すことで、ナビゲーション装置に詳細な交通情報を表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例であるナビゲーション装置の概要を示すブロック図である。ナビゲーション装置は、車両に搭載されるものであって、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づいて車両位置を特定し、その付近の地図を含む誘導画面を表示することで、探索された誘導経路に沿って車両の走行を案内することを主たる機能としている。
【0013】
GPS部(1)は、受信アンテナ及びチューナ等で構成されており、GPS衛星から受信した電波を処理して測位用データを取り出す。取り出された測位用データは、インターフェイス部(3)を介して制御部(5)に送られる。制御部(5)は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、GPS部(1)から送られた測位用データに基づいて車両の現在位置を特定する。ナビゲーション装置は、所謂ハイブリッド方式を採用しており、車両の向きを検知するためのジャイロセンサ(7)と、車両の速度を検知するための車速センサ(9)とを備えている。インターフェイス部(3)を介して送られたこれらセンサ(7)(9)の信号に基づいて、制御部(5)は、車両の向き及び速度を特定する。
【0014】
制御部(5)は、ナビゲーション装置の制御を統括的に行うと共に、車両位置の特定や経路探索、さらには、後述する2次元コードの解析などの各種処理を実行する。制御部(5)は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、処理や動作の手順が記述された各種プログラムを実行するCPU(11)と、CPU(11)で使用されるデータやCPU(11)で実行されるプログラムを一時的に記憶するRAM(13)と、立上げ処理や入出力処理等に関する基本的な制御を記述したプログラムやフォントデータ等を記憶するROM(15)と、書換え可能な不揮発性のメモリであって、後述する地図データ変更情報を記憶するフラッシュメモリ(17)とを含んでいる。これらCPU(11)等は、図示を省略したバスを介して接続されている。
【0015】
記録媒体(19)には、誘導画面の描画や経路探索に用いられる地図データと、ナビゲーション装置の動作手順を記述したプログラムとが格納されている。制御部(5)は、ドライブ部(21)を介して記録媒体(19)からこのプログラムを読み出して実行する。記録媒体(19)には、ハードディスクやメモリーカードなどが使用される。地図データには、道路のノード、リンク及び種別等に関する情報、交通標識の位置及び種別等に関する情報、店舗や施設の位置、住所及び種別等に関する情報、地図の背景に関する情報等が含まれている。さらに、地図データには、地図を描画する際に参照される描画パラメータ、各種検索にて参照される索引データ、誘導用音声の生成に使用される音声データ等も含まれている。制御部(5)は、実行している処理に必要なデータを、地図データから部分的に取り出して使用する。例えば、地図の表示が行われる場合、制御部(5)は、描画される区域に関するデータを地図データから取り出す。
【0016】
描画部(23)は、描画専用のCPU等を含むICチップであって、制御部(5)からの指示により、ナビゲーション装置で表示される誘導画面や操作画面などの画像データを作成する。描画部(23)で作成された画像データは、表示制御部(25)に送られて、表示制御部(25)の有するRAMに記憶される。表示制御部(25)は、その画像データに基づいて表示部(27)に画像表示用の信号を送り、表示部(27)の表示領域に画像データに係る画面が表示される。表示部(27)には、LCDや有機ELディスプレイなどが使用される。
【0017】
カメラ部(29)は、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子及び撮影レンズなどを含んでおり、車両の前方の風景を撮影可能なように車両に装着されている。カメラ部(29)は、車両の車内にて、例えばフロントガラスの上側付近に装着されて、車両が進む道路及びその周辺の風景を撮影する。カメラ部(29)は、周期的に(又は制御部(5)の指示により)撮影を繰り返し、撮影された画像の画像データは、画像処理部(31)の有するRAMに逐次記憶されると共に、画像処理部(31)において、明るさの補正などの各種画像処理が施される。
【0018】
操作部(33)は、電源のオン/オフをする電源キー等のハードキーと、表示部(27)の表示領域上に配置されたタッチパネルとを含んでおり、これらの押下による信号は、操作部(33)からインターフェイス部(35)を介して制御部(5)に送られる。音源回路部(37)は、制御部(5)から送られた音声データに基づいて、経路案内用のアナログ音声信号を生成する。生成されたアナログ音声信号は、スピーカ(39)で再生される。
【0019】
図2は、本実施例のナビゲーション装置のカメラ部(29)で撮影された画像の一例を示す説明図である。美術館や公園等の施設の管理者や、コンビニエンスストアなどの店舗の店主は、施設や店舗を紹介する看板(51)(53)(55)を、それら施設や店舗の横又は付近を通る道路の沿道に設置している。これら看板(51)(53)(55)は、その道路を走行する車両の車内から認識できるように配置されている。
【0020】
施設「AAA」は、この道路の横に新たに建てられた施設であって、その看板(51)には、施設「AAA」に関する情報を示す2次元コード(57a)が付されている。2次元コード(57a)(及び後述するその他2次元コード(57b-57f))には、例えば、図3に示すQRコード(登録商標)が使用される。カラーコードなどのその他の2次元コードが、本発明に用いられてもよい。なお、図3のQRコードは、単に2次元コードの説明を目的として示されており、その具体的内容は、本件発明とは無関係である。
【0021】
店舗「BBB」は、当該店舗「BBB」が営業を行う前に営業を行っていた店舗「DDD」に代わって、図2に示された道路の横にて新たに営業を行っている店舗である。その看板(53)には、店舗「BBB」に関する情報を示す2次元コード(57b)が付されている。店舗「CCC」は、以前から道路の横にて営業を行っている店舗である。その看板(55)には、店舗「CCC」に関する情報を示す2次元コード(57c)が付されている。
【0022】
2次元コード(57a)(57b)は、ナビゲーション装置の記録媒体(19)に記録されている地図データの変更情報を、ナビゲーション装置に与えることを目的として看板(51)(53)に付されている。2次元コード(57a)は、新たな施設「AAA」の名称、住所、電話番号、緯度経度(及び/又はマップコード)及び種別等に関する情報を含んでおり、2次元コード(57b)は、新たな店舗「BBB」に関する同様な情報を含んでいる。2次元コード(57a)(57b)が示す情報には、店舗の営業時間、駐車場の有無、店舗や施設の概要、店舗や施設の広告・宣伝、施設や店舗の建物情報(階数、敷地面積等)などの付属的な情報が含まれていてもよい。2次元コード(57c)は、店舗の広告・宣伝情報をナビゲーション装置に与えることを目的としており、例えば、店舗「CCC」が販売する商品に関する広告・宣伝情報を含んでいる。
【0023】
図2に示す画像には、交通情報を示す看板(59)も含まれている。この看板(59)は、渋滞、通行止め、所用時間、交通規制や路面状況等に関する交通情報を、2次元コード(57d)(57e)(57f)を用いてナビゲーション装置に提供する目的で設置されている。これら2次元コード(57d)(57e)(57f)は、非表示にすることも含めて、頻繁に変化させる必要がある。故に、2次元コード(57d)(57e)(57f)は、看板(59)に設けられたLED等を用いた表示装置を用いて表示されるのが好ましい。2次元コード(57d)(57e)(57f)を介して提供される交通情報は、瞬時に理解することが困難な比較的詳しい情報であるのが好ましい。少ない文字数で表現できる情報は、看板(59)にて文字列として表示されることで足りるからである。
【0024】
カメラ部(29)が、車両の走行中に図2に示す画像を撮影すると、その画像データは、画像処理部(31)にて処理された後、制御部(5)によって解析される。制御部(5)は、撮影した画像に2次元コードが含まれるか否かを判断し、2次元コードが画像に含まれる場合には、その2次元コードを読み取って、得られた情報を(RAM(13)に)記憶する。さらに、制御部(5)は、得られた情報が地図データの変更に関する地図データ変更情報であるか、又は店舗の広告・宣伝情報若しくは交通情報などのリアルタイムで表示する情報であるかを判別する。例えば、情報の種別を区別する識別情報を2次元コードに含ませることで、2次元コードが示す情報が、地図データ変更情報であるか、又はリアルタイムで表示する情報であるかという判別が容易になされる。得られた情報が地図データ変更情報である場合、制御部(5)は、その地図データ変更情報をフラッシュメモリ(17)に記憶する。車両の走行に伴って、フラッシュメモリ(17)に地図データ変更情報が蓄積される。蓄積された地図データ変更情報は、ナビゲーション装置が地図を表示する際に参照されて、変更事項が反映された地図が表示部(27)に表示される。得られた情報がリアルタイムで表示する情報である場合、制御部(5)は、その情報を文字情報として直ちに表示する処理を行う。
【0025】
図4(a)は、実施例のナビゲーション装置の表示部(27)に表示される誘導画面の一例であって、図2に示す画像がカメラ部(29)にて撮影されて、ナビゲーション装置が、該画像に含まれる2次元コード(57a-57f)の読取り動作と、これら2次元コード(57a-57f)の情報を用いたリアルタイムな文字情報の表示動作とを行った後における誘導画面を示している。 誘導画面の大部分には車両周辺の地図(71)が描画されており、該地図(71)には、車両位置を示すアイコン(73)と、店舗を示す図形(75)(77)と、道路を示すライン(79)とが含まれている。記録媒体(19)に記録された地図データは、店舗「CCC」に関する店舗名、住所及び緯度経度などの情報を有していることから、従前より営業をしている店舗「CCC」を示す図形(75)が地図(71)に含まれておる。図形(77)は、過去に営業をしていた店舗「DDD」を表している。これは、店舗「DDD」に関する情報を地図データが有していることによる。なお、施設「AAA」に関する情報を地図データを有していないことから、施設「AAA」を表す図形は、地図(71)に含まれていない。
【0026】
誘導画面において、地図(71)の右側の領域には、撮影した画像に含まれた2次元コードから得られた店舗若しくは施設の広告・宣伝情報や交通情報が文字情報として示される。該領域の上部には、2次元コード(57d)(57e)(57f)が示す交通情報を表す文字列(91)が、当該文字列(91)の下側には、2次元コード(57c)が示す広告・宣伝情報を表す文字列(93)が配置されている。なお、操作部(33)を操作することで、これら文字列(91)(93)が示された別の画面が表示部(27)に表示されてもよい。
【0027】
図4(b)は、本実施例のナビゲーション装置を装着した車両が、図2の画像に示された道路を、図2の画像が撮影された後に再度走行する場合に、表示部(27)に表示される誘導画面を示している。制御部(5)のフラッシュメモリ(17)には、図2に示す2次元コード(57a)(57b)から読み出された地図データ変更情報が記憶されており、それらの地図データ変更情報が、図4(b)の誘導画面の地図(71)が描画される際に参照される。地図(71)には、施設「AAA」を表す図形(81)が加えられると共に、図形(77)は、店舗「DDD」ではなく店舗「BBB」を示すように変更されている。地図(71)の右側の文字列(91)は、看板(59)にて現在示されている2次元コード(57d)(57e)(57f)に基づいて、現在の交通情報を示している。
【0028】
図4(b)において、地図(71)には、新しい道路を示すライン(83)が追加されている。この道路に関する情報を地図データは有していないことから、ライン(83)は、図4(a)の地図(71)には描画されていない。この新しい道路の沿道には、当該道路に関する地図データ変更情報を含む2次元コードが付された看板が、道路のノードを規定する各位置に設置されている。本実施例のナビゲーション装置を装着した車両が当該道路を走行したことで(例えば、図2の画像が撮影された後に走行したことで)、図4(b)に示す地図(71)が描画される際に、これら2次元コードの地図データ変更情報が、制御部(5)のフラッシュメモリ(17)に既に記憶されている。そして、地図(71)が描画される際にこれら地図データ変更情報が参照されることで、ライン(83)が地図(71)に追加されている。道路に関する地図データ変更情報は、道路の名称、ノードの緯度経度(及び/又はマップコード)、ノード属性、道路の種別、車線数、信号、道幅、トンネル、制限速度及び高低差などに関する情報と、当該ノードに関係するリンクに関する情報等とを含んでいる。
【0029】
2次元コードは、道路標識に関する地図データ変更情報を示すものであってもよい。例えば、新たな道路標識と共に、その標識の内容(例えば、制限速度、駐車禁止、一旦停止やUターン禁止など)と、その道路標識の緯度経度(及び/又はマップコード)などとを含んだ地図データ変更情報を示す2次元コードが付された看板を設置することで、新たな道路標識が示された地図を表示させることが可能となる。また、本実施例のナビゲーション装置では、フラッシュメモリ(17)に記憶された地図データ変更情報は、地図の描画だけでなく、目的地の設定、経路探索、施設や店舗の検索等に使用される。
【0030】
図5は、本実施例のナビゲーション装置における2次元コードの情報取得動作の手順を示すフローチャートである。この手順を記述したプログラムは、例えば記録媒体(19)から読み出されて制御部(5)にて実行される。上述したように、車両の走行中、ナビゲーション装置のカメラ部(29)は、車両前方の風景の撮影を繰り返す。カメラ部(29)が撮影を行うと(S1)、制御部(5)は、画像処理部(31)で処理された画像データを解析して、撮影された画像に2次元コードが含まれているか否かを判定する(S3)。画像に2次元コードが含まれていない場合、再度の撮影が行われるまで(S1)、2次元コードの情報取得に関する処理は行われない。撮影された画像に2次元コードが含まれている場合、制御部(5)は、その2次元コードの読取りを行い、2次元コードで表されている情報を、例えば文字データに復元し、RAM(13)に記憶する(S5)。図2に示すように、撮影された画像に複数の2次元コードが含まれていることがあり得るので、その場合、ステップS5から後述するステップS11までのステップは、画像に含まれる2次元コードの各々について実行される。
【0031】
ステップS5の後、制御部(5)は、ステップS5にて2次元コードから復元されたデータが、地図データ変更情報に関するデータであるのか否かを判定する(S7)。ステップS5にて復元されたデータが、地図データ変更情報に関するデータである場合、制御部(5)は、当該データがフラッシュメモリ(17)に既に記憶されているか否を確認する(S9)。ステップS5にて復元されたデータがフラッシュメモリ(17)に記憶されていない場合、制御部(5)は、RAM(13)に記憶されている復元されたデータ、つまり、地図データ変更情報に関するデータを、フラッシュメモリ(17)に記憶する(S11)。ステップS11の後、制御部(5)は、未処理の2次元コードがあるか否かを判定する(S13)。復元されたデータがフラッシュメモリ(17)に記憶されている場合にも、ステップS9の後、ステップS13が行われる。また、ステップS7にて、ステップS5にて2次元コードから復元されたデータが、地図データ変更情報に関するデータでないと判定された場合にも、ステップS13が行われる。未処理の2次元コードがある場合、ステップS13の後、ステップS5乃至S11の処理が、未処理の2次元コードの1つに対して実行される。
【0032】
ステップS13にて、未処理の2次元コードがないと判定された場合、制御部(5)は、2次元コードから復元された店舗若しくは施設の広告・宣伝情報又は交通情報(リアルタイムで表示する情報)に関するデータが、RAM(13)に記憶されているか否かを確認する(S15)。店舗の広告・宣伝情報及び/又は交通情報に関するデータが記憶されている場合、制御部(5)は、(制御部(5)に記憶されている)広告・宣伝情報及び/又は交通情報を示す文字列のフォントデータを表示制御部(25)に送り、表示制御部(25)は、広告・宣伝情報及び/又は交通情報を示す文字列を誘導画面に重畳するように表示部(27)に表示する(S17)。ステップS17の後、又は、ステップS15にて、リアルタイムで表示する情報が記憶されていないと判定された場合、ステップS1及びそれ以降のステップが再度行われる。
【0033】
制御部(5)は、ステップS5にて2次元コードを読み取って、交通情報に関する新たなデータを取得すると、現在記憶している交通情報に関するデータを消去して、新たなデータを記憶してもよい。また、制御部(5)のRAM(13)に記憶される店舗又は施設の広告・宣伝情報の件数には上限を設け、制御部(5)は、ステップS5にて2次元コードを読み取って、広告・宣伝情報に関する新たなデータを取得すると、この上限を超えないように必要に応じてRAM(13)から古い(広告・宣伝情報に関する)データを消去して、新たなデータを記憶してもよい。広告・宣伝情報及び交通情報に関するデータは、記憶されてから所定の時間が経過した後にRAM(13)から消去されてもよい。また、操作部(33)を操作することで、制御部(5)に記憶されている広告・宣伝情報及び交通情報が、誘導画面にて選択的に示されてもよい。
【0034】
図6は、本実施例のナビゲーション装置における誘導画面の表示動作の手順を示すフローチャートである。この手順を記述したプログラムは、例えば記録媒体(19)から読み出されて制御部(5)にて実行される。制御部(5)は、車両の現在位置に基づいて、その位置を含む描画区域の地図データを記録媒体(19)の地図データから取り出して、RAM(13)に記憶する(S31)。ステップS31の後、制御部(5)は、地図データ変更情報に関するデータがフラッシュメモリ(17)に記憶されているか否かを確認する(S33)。地図データ変更情報に関するデータがフラッシュメモリ(17)に記憶されている場合、制御部(5)は、ある地図データ変更情報について、描画区域に関係しているか否か(描画される地図の変更に使用されるものであるか否か)を判定する(S35)。地図データ変更情報には、店舗、施設、道路ノードや交通標識の緯度経度(及び/又はマップコード)が含まれており、ステップS35では、制御部(5)は、参照した地図データ変更情報の緯度経度(又はマップコード)が、描画区域に含まれるか否かが判断される。
【0035】
ステップS35にて、参照した地図データ変更情報が描画区域に関係すると判断された場合、制御部(5)は、その地図データ変更情報に関するデータを用いて、RAM(13)に記憶されている地図データを書き換える処理を行う(S37)。ステップS37の後、又はステップS35で否と判断された場合、制御部(5)は、フラッシュメモリ(17)に記憶されている全ての地図データ変更情報について、ステップS35、又はステップS35及びS37が行われたか否かを判断する(S39)。フラッシュメモリ(17)に記憶されている地図データ変更情報の各々について、ステップS35、又はステップS35及びS37が行われる。
【0036】
ステップS33にて、地図データ変更情報に関するデータがフラッシュメモリ(17)に記憶されていないと判断された場合、又は、ステップS39にて、全ての地図データ変更情報について、ステップS35、又はステップS35及びS37が行われたと判断された場合、制御部(5)は、誘導画面を描画して表示部(27)に表示する処理を行う(S41)。制御部(5)からの指示により、描画部(23)は、制御部(5)に記憶された描画区域の地図データや各種画面要素の画像データを用いて、車両の現在位置が示された地図を含む誘導画面の画像データを作成し、表示制御部(25)は、作成された画像データに基づいて地図が描画された誘導画面を表示部(27)に表示する。制御部(5)は、車両の現在位置の変化に応じて誘導画面の更新が必要であるかを判断し(S43)、更新が必要であると判断された場合、ステップS31及びそれ以降のステップを再度行う。
【0037】
本実施例のナビゲーション装置では、目的地付近の地図やその他の地図の表示動作においても、図6に示すステップS31乃至S41と同様なステップが行われて、地図データ変更情報が反映された地図が表示部(27)に表示される。
【0038】
本実施例のナビゲーション装置では、記録媒体(19)に格納されている地図データにおいて、区域毎に、さらには、店舗、施設、道路標識及び道路の各種別について、地図データ変更情報の有無を示すフラグが設定されてもよい。例えば、図5に示した2次元コードの情報取得動作において、店舗に関する地図データ変更情報が2次元コードから得られた場合、制御部(5)は、その店舗が含まれる区域について店舗に関する地図データ変更情報の有無を示すフラグがオンになるように、記録媒体(19)に記録されている地図データを書き換える。図6に示す誘導画面の表示動作のステップS31では、これらフラグも含めて地図データが部分的に読み出されて、ステップS33では、フラグを参照することで判断がなされる。また、ステップS35及びS39では、フラグがオンである種別の地図データ変更情報のみが参照される(例えば、店舗のフラグのみがオンである場合、店舗に関する地図データ変更情報のみが参照される)。
【0039】
上述した例では、地図データ変更情報用の2次元コードと、広告・宣伝情報のようなリアルタイムで表示される情報用の2次元コードとが存在していたが、ある2次元コードに、地図データ変更情報とリアルタイムで表示される情報とが含まれていてもよい。例えば、ある2次元コードに、店舗に関する地図データ変更情報と、その店舗の広告・宣伝情報とが含まれていてもよい。また、上記の説明では、新たな店舗や道路等に関する地図データ変更情報を示す2次元コードについて述べられているが、地図から削除すべき店舗や道路等に関する地図データ変更情報をナビゲーション装置に与えるために、2次元コードが利用されてもよい。例えば、営業を停止した店舗の看板に、当該店舗の削除を指示する地図データ変更情報を示す2次元コードが付されてもよい。また、この看板の2次元コードは、移転先に関する地図データ変更情報をナビゲーション装置に与えるために利用されてもよい。
【0040】
上記実施例では、店舗若しくは施設の広告・宣伝情報及び交通情報が文字情報として表示部(27)に表示されていたが、広告・宣伝情報及び交通情報は、音源回路部(37)及びスピーカ(39)を用いて、音声として使用者に通知されてもよい。
【0041】
課題を解決するための手段で言及した撮影手段は、上記実施例のカメラ部(29)に、記憶手段はフラッシュメモリ(17)に、コード読取手段は、画像処理部(31)、制御部(5)及び制御部(5)で実行されるプログラムに、格納手段は記録媒体(19)に、描画手段は、制御部(5)、制御部(5)で実行されるプログラム及び描画部(23)に、表示手段は、制御部(5)、制御部(5)で実行されるプログラム、表示制御部(25)及び表示部(27)に対応している。
【0042】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を減縮する様に解すべきではない。また、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例であるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例であるナビゲーション装置が撮影した画像の一例を示す説明図である。
【図3】QRコードを示す説明図である。
【図4】図4(a)は、本発明の実施例であるナビゲーション装置の誘導画面の一例を示す説明図であり、図4(b)は、地図データ変更情報を用いて変更された地図を含む誘導画面を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例であるナビゲーション装置における2次元コードの情報取得動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例であるナビゲーション装置における誘導画面の表示動作の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
(5) 制御部
(17) フラッシュメモリ
(19) 記録媒体
(27) 表示部
(29) カメラ部
(51-59) 看板
(57a-57f) 2次元コード
(71) 誘導画面
(91)(93) 文字列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方の画像を撮影することを繰り返す撮影手段と、
撮影された画像に含まれる2次元コードを読み取って、前記2次元コードが示す地図データ変更情報を記憶手段に記憶するコード読取手段と、
地図データを格納する格納手段と、
前記地図データから取り出された描画区域のデータと、前記記憶手段に記憶された前記描画区域に関する地図データ変更情報とを用いて、前記描画区域の地図を描画する描画手段とを備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図データ変更情報は、店舗、施設、交通標識、又は道路に関する変更情報である、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
車両の前方の画像を撮影することを繰り返す撮影手段と、
撮影された画像に含まれる2次元コードを読み取って、前記2次元コードが示す情報を得るコード読取手段と、
前記2次元コードが示す情報を文字情報として表示する表示手段とを備えるナビゲーション装置。
【請求項4】
前記2次元コードが示す情報は、店舗若しくは施設の広告・宣伝情報、又は交通情報である、請求項3に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−241507(P2008−241507A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83560(P2007−83560)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】