説明

ナビゲーション装置

【課題】施設検索の際の操作頻度を低減させ、より利便性を向上させる。
【解決手段】目的地点を設定する場合、候補施設を名称検索により絞り込み、候補施設が十分に絞り込めない場合、施設の属性に基づく絞り込みを行う。属性による絞り込みを行う場合、候補施設が存在する属性を表示し、利用者に表示された属性項目から希望する属性の選択を促す。候補施設が存在する属性が多く存在する場合、属性項目を表示する際に全ての属性項目をディスプレイの一画面内に表示することができない。そこで、複数の属性を統合することによって表示する属性項目数を減らす処理を行う。そして、表示する属性項目数が、一画面にリスト表示可能な件数となるまで属性の統合処理を繰り返すことにより、全ての属性項目をディスプレイの一画面内に表示する。これにより、対象属性を見つける際の利用者のスクロール操作が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、例えば、特定の絞り込み処理の結果を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
設定された目的地点や立ち寄り地点までの経路を探索し運転者に提供するナビゲーション装置が広く普及している。
従来、ナビゲーション装置では、目的地や経由地点など特定の地点を入力する際に、名称の50音検索やジャンル検索に基づいて、データベースから物件の候補を絞り込む方法が用いられている。
また、名称やジャンルなどの絞込条件に合致する物件数が多く、目的地候補が十分に絞り込めない場合、さらにエリアの絞込条件を付加して候補物件を絞り込む技術が特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2001−116579公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のナビゲーション装置では、エリアの絞込条件を付加して目的地候補を絞り込む場合、利用者は、都道府県→市区町村のように上位階層から下位階層へ順に遷移していく選択メニュー画面から希望の絞込対象エリアを指定する。そして、ナビゲーション装置は、指定された絞込対象エリアに基づいて絞込検索を行う。
このような行政区画に基づいて絞込対象エリアの検索を行う場合、都道府県や市区町村など階層ごとの選択項目が多く存在すると、全ての選択項目を一画面に表示することができない。そのため、利用者は、選択するエリアを探すために、表示画面のスクロール操作を行う必要がある。ナビゲーション装置では、このような表示画面のスクロール操作の頻度が高くなるほど利便性が低下してしまう。
【0004】
また、絞込対象エリアとして、例えば特定の都道府県が指定された場合、この指定された絞込対象エリアに目的地候補が集中していると、エリアの絞込条件を付加しても目的地候補を十分に絞り込むことができない。このような場合、利用者は、再度、絞込対象エリアとして、より下層のエリアを指定する操作を行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、施設検索の際の利用者による操作頻度を低減させ、より利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、施設とその属性とを関連付けた施設情報を格納するデータベースと、特定の絞込条件に従って、前記データベースから対象施設を取得する対象施設取得手段と、前記取得した対象施設をその属性ごとに分別し、各属性ごとの対象施設数を計数する計数手段と、前記計数した各属性ごとの対象施設数に基づいて複数の属性を組み合わせ、組み合わせた属性群を包括する属性を決定する包括属性決定手段と、前記対象施設がある属性を表示する表示手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記属性は、階層構造に基づいて定義されており、前記包括属性決定手段は、同一階層に他の対象施設がある属性がない場合、前記属性群を包括する属性として、包括対象の属性の上位階層に定義された属性を決定し、同一階層に他の対象施設がある属性がある場合、前記属性群を包括する属性として、包括対象の属性より上位階層、又は、包括対象の属性と同一階層に位置する属性を、新たに生成することにより決定する、ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記包括属性決定手段は、対象施設数の少ない属性を優先的に組み合わせる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記包括属性決定手段は、所定の属性の項目数となるまで、前記属性群を包括する属性の決定処理を繰り返す、ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記属性は、施設の存在する地域属性、又は、施設の属する種別属性である、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、前記表示手段は、前記対象施設がある属性と、その属性に該当する対象物件数とを表示する、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の属性を組み合わせた属性群を包括する属性を決定し、そして、対象施設が関連付けられた属性を表示することにより、目的の施設を検索する際の操作頻度を低減させることができる。これにより、より利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のナビゲーション装置における好適な実施の形態について、図1から図7を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
ナビゲーション装置では、行き先や経由地点、立ち寄り地点などの特定の地点(目的地点)を設定する場合、この目的地点の候補施設を種々の絞込条件に基づいて絞り込み、その絞込検索結果、即ち候補リストから設定する目的地点を決定する。
候補施設は、例えば、はじめにキーワードに基づく名称検索により絞り込むが、候補施設が十分に絞り込めない場合、施設の属性に基づく絞り込みを行う。
本実施形態では、名称検索により絞り込まれた候補施設から、さらに、地域属性又は種別属性に基づく絞り込みを行う。
属性による絞り込みを行う場合、候補施設が存在する属性を表示し、利用者に表示された属性項目から希望する属性の選択を促す。
【0009】
候補施設が存在する属性が多く存在する場合、候補施設が存在する属性項目を表示する際に、全ての属性項目をディスプレイの一画面内に表示することができない。そのため、希望する属性項目がはじめの画面に表示されていない場合、利用者は、対象属性を見つけるために画面のスクロール操作を行う必要がある。特に、属性項目の表示画面が多ページに渡る場合には、スクロール操作の頻度が増してしまう。
そこで、本実施形態では、複数の属性を統合することによって表示する属性項目数を減らす処理を行う。
そして、表示する属性項目数が、一画面にリスト表示可能な件数となるまで、属性の統合処理を繰り返すことにより、全ての属性項目をディスプレイの一画面内に表示する。
これにより、対象属性を見つける際の利用者のスクロール操作が不要となる。
【0010】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態におけるナビゲーション装置1の構成を示した図である。
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、CPU11、ROM12、RAM13、入力装置14、出力装置15、現在位置検出装置16、情報送受信装置17、情報記憶装置18などを備えている。
CPU11は、ROM12、RAM13や情報記憶装置18などに格納されている各種プログラムやデータに従ってナビゲーション装置1を制御する中央演算処理装置である。
ROM12は、ナビゲーション装置1を機能させるための基本的なプログラムやパラメータなどが記憶された読み取り専用メモリである。
RAM13は、CPU11の作業領域として機能する記憶領域であり、処理中のデータ、例えば、入力された絞込条件データなどを一時的に記憶する。
【0011】
入力装置14は、利用者の意志によりナビゲーション処理をCPU11に指示する装置、例えば、目的地(住所や電話番号、地図上の座標など)、通過地点、立ち寄り地点、探索条件、絞込条件などの情報、経路案内のリクエスト要求などを入力する装置である。
本実施形態では、入力装置14は、表示画面(ディスプレイ)に、指で直接触れることでポインティングすることができるタッチパネル(タッチスクリーン)で構成されているが、ジョグダイアル等のリモートコントローラ等によって構成するようにしてもよい。
【0012】
出力装置15は、例えば、入力装置14からの入力情報、経路案内情報、目的地の設定画面、現在地周辺の地図画面、各種メニュー画面などCPU11の処理結果を出力する装置である。
本実施形態では、出力装置15は、入力装置14としての機能も有する、目的地の設定画面や現在地周辺の地図画面、絞込エリアの設定画面など各種メニュー画面を表示するタッチパネルによって構成されているが、経路案内を音声で出力するスピーカや、処理データを印字出力するプリンタを別途設けるようにしてもよい。
【0013】
現在位置検出装置16は、ナビゲーション装置1が搭載される車両の現在位置(緯度、経度からなる絶対座標値)を検出するためのものであり、人工衛星を利用して車両の位置を測定する衛星利用測位システム(GPS)から情報を取得するためのGPS受信装置を備えている。
なお、現在位置検出装置16は、GPS受信装置による現在位置検出を補足する装置として、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ等を備えるようにしてもよい。
情報送受信装置17は、衛星利用測位システム(GPS)を利用して現在位置や日付、時間情報等を入手するGPS受信装置、FM多重放送、電波ビーコン、光ビーコン等を利用して交通情報等を入手するためのVICS情報受信装置、携帯電話、パソコン等を利用することにより、情報センター(例えばATIS)や他車両と情報を双方向に通信するためのデータ送受信装置等から構成される。
【0014】
情報記憶装置18は、ナビゲーション用のプログラム及びデータを記憶した外部記憶装置であり、例えばCD−ROMやDVD−ROM等からなり、例えば、目的地検索処理プログラム、経路探索プログラム、経路案内プログラムなどのデータ、また、各プログラムの処理で用いられるデータが格納されている。
情報記憶装置18に格納されるデータとして、例えば、経路探索に使用する探索データ(目的地データ、登録地点データ、道路データ、ジャンル別データ等)、それ以外の案内・表示用のデータ(経路案内をする際に使用する案内データ、地図を表示する際に使用する表示データ、現在位置を検出する際に使用するマップマッチングデータ等)などが記憶されている。
【0015】
また、情報記憶装置18には、本実施形態で用いられる施設情報データベース181、属性階層テーブル182が格納されている。
図2(a)は、施設情報データベース181の一例を示した図である。
施設情報データベース181は、名称検索(50音検索)や住所絞込検索、ジャンル絞込検索に基づいて候補施設の絞り込みを行う際に用いられるデータベースある。
図2(a)に示すように、施設情報データベース181には、名称、読みデータの他、施設の属性情報として、行政区画(地域属性)やジャンル(種別属性)などがのデータが各施設ごとに格納されている。
なお、施設情報として格納されている地域属性(行政区画)や種別(ジャンル)などの属性は、属性階層テーブル182(所定の階層構造)に基づいて定義されている。
【0016】
図2(b)は、地域属性の階層構造の一例を示した図である。
属性階層テーブル182として、例えば、図2(b)に示す地域属性の階層構造を設定したテーブルを備える。
本実施形態では、図2(b)に示す階層構造(ツリー構造)の最下位階層に定義されている属性の名称が、施設情報の地域属性として定義されている。
例えば、図2(b)に示すように、「関東」に関する地域属性としては、「足立区」「荒川区」「江東区」などの最下位階層に位置する属性の名称が施設情報の地域属性として定義されている。
【0017】
次に、以上のように構成されたナビゲーション装置1における目的地の検索設定処理、詳しくは、設定(入力)する行き先や経由地点、立ち寄り地点など(以下、目的地とする)の目的地候補の絞込処理の方法について説明する。
図3は、目的地の設定処理の手順を示したフローチャートである。
はじめにCPU11は、目的地として設定する施設を名称に基づいて絞り込む名称検索の指示を受け付け(ステップ11)、受け付けた指示内容に基づいて検索処理を行う。
【0018】
詳しくは、名称検索の絞込キーワードの入力画面において、利用者が、例えば、タッチパネルに表示された文字入力画面を操作することによって、目的地の検索文字列として“○○××”を入力すると、CPU11は、入力された文字列“○○××”を名称絞込検索のキーワードとして受け付ける。
CPU11は、情報記憶装置18に格納されている施設情報データベース181から、受け付けた名称絞込条件のキーワードの読みと一致する施設レコードを検索し、その絞込結果をタッチパネルに表示する(ステップ12)。
【0019】
図4(a)は、名称検索による目的地候補の絞込結果の表示の一例を示した図である。
図4(a)に示すように、名称検索による目的地候補の絞込結果として、該当施設情報として、該名称にヒットした件数、及びヒットした施設の名称がタッチパネルに表示される。
一画面内に表示しきれない施設情報は、タッチパネルに表示されたスクロールキー(△/▽キー)を操作することにより表示させることができるように構成されている。
また、図4(a)に示す検索結果画面には、地域属性による絞り込みを指示するための「住所絞込」キー及び種別属性による絞り込みを指示するための「ジャンル絞込」キーが表示される。
なお、本実施形態では、タッチパネルの一画面にリスト表示可能な検索結果項目の件数(以下、表示項目件数とする)nは、7件に設定されている。この表示項目件数nは、表示する文字サイズの設定を変えることによって増減させることができる。しかし、視認可能な文字サイズには限界があるため、表示項目件数nは、タッチパネルのサイズによって制限される。つまり、表示項目件数nは、表示画面のサイズに基づいて設定される。
利用者が、図4(a)に示す目的地候補リストから希望の施設を選択(タッチ)すると、CPU11は、その施設の選択を受け付け、該施設を目的地として設定する。
【0020】
本実施形態に係るナビゲーション装置1では、上述した名称検索に基づく絞り込み処理によって、十分に目的地候補の絞り込みがなされない場合、さらに、施設の地域属性や種別属性などの属性条件に基づく目的地候補の絞り込みを行うことができる。
利用者は、図4(a)に示す「住所絞込」キー又は「ジャンル絞込」キーを操作することによって、属性条件に基づく目的地候補の絞り込み検索の指示(要求)を入力することができる。
CPU11は、目的地候補の絞り込み検索の指示の有無を判断する(ステップ13)。
ここでは、「住所絞込」キー又は「ジャンル絞込」キーの操作信号の有無に基づいて、目的地候補の絞り込み検索の指示の有無の判断を行う。
【0021】
目的地候補の絞り込み検索の指示がある場合(ステップ13;Y)、例えば、「住所絞込」キーが押下された場合、CPU11は、先の名称検索において絞り込まれた各絞込対象施設の属性(地域属性)を施設情報データベース181から読み出し、絞込対象施設を属性ごとに分別する(ステップ14)。CPU11は、分別結果をRAM13に格納する。
そして、CPU11は、各属性の絞込対象施設の件数を計数する(ステップ15)。CPU11は、各属性の絞込対象施設件数の計数結果をRAM13に格納する。
【0022】
ここでは、例えば、図4(a)に示す名称に“○○××”の文字列を含む対象施設(目的地候補)に対して、地域属性による絞り込み検索が指示された場合について説明する。
図5は、各属性の絞込対象施設の件数の計数結果の一例を示した図である。
なお、図5では、施設情報データベース181から読み出した属性を斜線で示し、また、各属性の絞込対象施設の件数を括弧内に示す。
図5に示すように“○○××”の文字列を含む絞込対象施設は、17の属性に分別され、各属性に該当する絞込対象施設の件数は以下の通りである。
札幌の「中央区」に2件、東京の「八王子」に3件、「多摩」に1件、「足立区」に5件、「荒川区」に3件、「江東区」に6件、「品川区」に4件、愛知の「名古屋」に30件、「一宮」に8件、「岡崎」に80件、「豊田」に70件、「安城」に20件、「刈谷」に16件、「豊橋」に10件、「豊川」に5件、岐阜の「各務原」に4件、三重の「四日市」に4件存在する。
【0023】
次に、CPU11は、絞込対象施設が分別される属性の数と、表示項目件数n(=7)とを比較し、属性の数が表示項目件数n(=7)以下であるか否かを判断する(ステップ16)。
属性の数が表示項目件数n(=7)より大きい場合(ステップ16;N)、CPU11は、属性の数を減らすために、属性の統合処理を行う(ステップ19)。
例えば、初期状態(属性の統合が行われていない状態)では、図5に示すように、属性の数は17であるため、属性の統合処理が行われる。属性の統合処理は、属性の数が表示項目件数n(=7)になるまで繰り返し行われる。
なお、属性の統合処理の詳細については後述する。
【0024】
属性の数が表示項目件数n(=7)以下である場合(ステップ16;Y)、CPU11は、各属性を該当する絞込対象施設の件数と共にタッチパネルに表示する(ステップ17)。
図4(b)は、住所絞込検索による目的地候補の絞込結果の表示の一例を示した図である。
図4(b)に示すように、住所絞込検索による目的地候補の絞込結果として、各地域属性が該当する絞込対象施設の件数と共にタッチパネルに表示される。
利用者が、図4(b)に示す目的地候補(施設リスト)から希望の属性(地域属性)を選択(タッチ)すると、CPU11は、その属性の選択を受け付け、該属性に該当する絞込対象施設の目的地候補リストをタッチパネルに表示する。
なお、本実施形態では、住所絞込検索による目的地候補の絞込結果として、各属性を該当する絞込対象施設の件数と共に表示するように構成されているが、絞込対象施設の件数は表示せずに、絞込対象施設が存在する属性のみを表示するようにしてもよい。
そして、利用者が、表示された目的地候補リストから希望の施設を選択(タッチ)すると、CPU11は、その施設の選択を受け付け、該施設を目的地として設定する。
【0025】
次に、CPU11は、タッチパネルに表示された目的地候補リスト(検索結果)から、特定の施設が選択され、その施設が目的地として設定されたか否かを判断する(ステップ18)。
特定の施設が目的地として設定された場合(ステップ18;Y)、CPU11は、メインルーチンにリターンする。
一方、特定の施設が目的地として設定されない場合(ステップ18;N)、CPU11は、ステップ11に戻って絞込条件の受け付けを継続する。
【0026】
次に、上述したステップ19における属性の統合処理について、図5に示す例に基づいて詳しく説明する。
属性の統合処理は、基本的に、絞込対象施設件数の最小な属性を、同階層、上位階層、又は下位階層の属性と統合するというアルゴリズムに従って行う。
はじめに、同階層に自身以外の他の属性が存在しないものを、その上位階層の属性とする。
詳しくは、「中央区」(2件)は、同階層に自身以外の他の属性が存在しないため、その上位階層属性である「北海道」(2件)とする。
同様に、「各務原」(4件)及び「四日市」(4件)は、それぞれ「岐阜」(4件)、「三重」(4件)とする。
【0027】
図6(a)は、属性の統合処理を説明するための図である。
1番目の統合対象は、絞込対象施設件数が最小の「多摩」(1件)であり、図5(a)に示すように、同階層の「八王子」(3件)と統合することによって、これらの上位階層、つまり「東京」と同階層に、属性を包括する包括属性として「東京−その他」(4件)が新たに生成される。
なお、包括属性(「東京−その他」)が生成された時点で、「多摩」及び「八王子」の属性は消去される。
この属性の統合処理によって、属性の数が16となる。
属性の統合処理は、属性の数が表示項目件数n(=7)になるまで繰り返す。
【0028】
本実施形態では、同階層に存在する属性の一部を統合した場合、予め属性階層テーブル182で定義されている統合対象の属性の上位階層の属性の名称に“−その他”を付加したものを、属性を包括する包括属性の名称とする。
しかしながら、同階層に存在する属性の一部を統合した場合における包括属性の名称の付け方はこれに限定されるものではなく、例えば「八王子・多摩」のように、統合した属性の名称を併記するようにしてもよい。
地域属性を統合する場合において、特に同階層の隣接する属性同士を統合した際は、統合した属性の名称を併記する方法を優先して採用するようにしてもよい。
なお、同一階層内の属性を統合し、統合した属性の名称を併記することによって包括属性の名称を設定した場合、包括属性を上位階層ではなく同階層に位置づけるようにしてもよい。
【0029】
2番目の統合対象は「荒川区」(3件)であり、同階層の「品川区」(4件)と統合することによって、「東京23区」と同階層に「東京23区−その他」(7件)が生成され、属性の数が15となる。
なお、「北海道」(2件)は、「荒川区」(3件)より絞込対象施設件数が少ないが、同階層内に統合可能な属性が存在しないためこの時点では、統合対象とならない。
3番目の統合対象は「三重県」(4件)であり、同階層の「岐阜県」(4件)と統合することによって、「中部」と同階層に「中部−その他」(8件)が生成され、属性の数が14となる。
4番目の統合対象は「足立区」(5件)であり、上位階層の「東京23区−その他」(7件)と統合することによって、「東京23区−その他」(12件)となり、属性の数が13となる。
なお、この時点で、「江東区」(6件)は、同階層に自身以外の他の属性が存在しないため、その上位階層属性である「東京23区」(6件)となる。
【0030】
5番目の統合対象は「豊川」(5件)であり、同階層の「豊橋」(10件)と上位統合することによって、上位階層の「東三河」(15件)となり、属性の数が12となる。
このように、同階層に存在する属性の全てを統合した場合、予め属性階層テーブル182で定義されている統合対象の属性の上位階層の属性の名称を、属性を包括する包括属性の名称とする。
6番目の統合対象は「東京23区」(6件)であり、同階層の「東京23区−その他」(12件)と統合することによって「東京23区」(18件)となり、属性の数が11となる。
なお、この時点で、「東京23区」(18件)は、同階層に自身以外の他の属性が存在しないため、その上位階層属性である「東京」(18件)となる。
7番目の統合対象は「東京−その他」(4件)であり、同階層の「東京」(18件)と上位統合することによって、上位階層の「関東」(22件)となり、属性の数が10となる。
【0031】
8番目の統合対象は「北海道」(2件)であり、「関東」(22件)と統合することによって、同階層に「その他」(24件)が生成され、属性の数が9となる。
なお、「北海道」及び「関東」は、属性階層テーブル182に示す階層構造において、最上位階層に位置するため、包括属性を同階層(最上位階層)に生成される。
9番目の統合対象は「一宮」(8件)であり、同階層の「名古屋」(30件)と上位統合することによって、上位階層の「尾張」(38件)となり、属性の数が8となる。
10番目の統合対象は「刈谷」(16件)であり、同階層の「安城」(20件)と統合することによって、「西三河」と同階層に「西三河−その他」(36件)が生成され、属性の数が7となる。
この時点で、属性の数が表示項目件数n(=7)となるため、属性の統合処理を終了する。
【0032】
図6(b)は、属性の統合処理の結果を示した図である。
図6(b)に示すように、上述した10回の属性の統合処理を行うことによって、絞込対象施設を分別する属性の数が17から7に絞られ、統合処理後の各属性に該当する絞込対象施設の件数は以下の通りである。
愛知の「岡崎」に80件、「豊田」に70件、「西三河−その他」に36件、「東三河」に15件、「尾張」に38件、「中部−その他」に8件、「その他」に24件存在する。
CPU11は、図6(b)に示す属性の統合処理の結果に基づいて、図4(b)に示す住所絞込検索による目的地候補の絞込結果をタッチパネルに表示する。
【0033】
また、属性の統合処理は、最終的にタッチパネルに表示される各属性における絞込対象施設の件数が、できるだけ均等になるように行うようにしてもよい。
例えば、140件の絞込対象施設が存在した場合、対象件数(140件)を表示項目件数n(=7)で割った値(20件)を、1属性あたりの目標件数に設定する。
そして、最終的にタッチパネルに表示される各属性における絞込対象施設の件数が目標件数となるように(目標件数に近づくように)、属性の統合処理を行う。
なお、各属性における絞込対象施設の件数を目標件数とする(より目標件数に近づける)ために、属性階層テーブル182の階層構造(ツリー構造)は、できるだけ深く設定しておくことが好ましい。
【0034】
また、目的地候補の絞り込み検索として、種別属性による絞り込み検索が指示された場合、つまり「ジャンル絞込」キーが押下された場合にも、上述した属性の統合処理と同様の方法を用いて種別属性を統合させることができる。
図7(a)は、種別属性の階層構造の一例を示した図である。
属性階層テーブル182として、例えば、図7(a)に示す種別属性の階層構造を設定したテーブルを備える。
本実施形態では、図7(a)に示す階層構造(ツリー構造)の最下位階層に定義されている属性の名称が、施設情報の地域属性として定義されている。
例えば、図7(a)に示すように、「飲食店」に関する種別属性としては、「ファーストフード」「うどん・そば」「寿司」「懐石・割烹」などの最下位階層に位置する属性の名称が施設情報の種別属性として定義されている。
【0035】
CPU11は、絞込対象施設が分別される種別属性の数が表示項目件数n(=7)より大きい場合、図7(a)に示す種別属性の階層構造に基づいて、上述した属性の統合処理と同様に、絞込対象施設件数の最小な属性を、同階層、上位階層、下位階層の属性と統合するというアルゴリズムに従って種別属性の統合処理を行う。この種別属性の統合処理は、種別属性の数が表示項目件数n(=7)になるまで繰り返し行う。
図7(b)は、ジャンル絞込検索による目的地候補の絞込結果の表示の一例を示した図である。
CPU11は、種別属性の統合処理の結果に基づいて、図7(b)に示すジャンル絞込検索による目的地候補の絞込結果をタッチパネルに表示する。
図7(b)に示すように、ジャンル絞込検索による目的地候補の絞込結果として、各種別属性が該当する絞込対象施設の件数と共にタッチパネルに表示される。
【0036】
このように、本実施形態によれば、地域属性や種別属性などの属性に基づく検索結果として、異なる階層の属性を同一画面上に表示させることができる。
例えば、図4(b)に示すように、属性の階層構造において最下位階層に位置する「岡崎」と、最上位階層に位置する「中部−その他」とを同一画面上に表示させることができる。
このように異なる階層の属性を同一画面上に表示させることにより、属性に基づく絞込検索が指示された際(早い段階)に、絞込対象施設が集中している最下位階層の属性を表示させることができる。
これにより、従来のように、最下位階層の属性に辿り着く(表示する)までのキー操作を行うことなく、速やかに、下層に位置する属性を選択することができる。
【0037】
本実施形態によれば、属性に基づく検索結果を、タッチパネルの一画面内に表示することができるため、絞込の対象属性を選択する際のスクロールキーの操作が不要となる。
本実施形態によれば、地域属性や種別属性などの属性に基づく検索結果として、絞込対象として有効な属性、つまり目的地候補が存在する地域やジャンルのみを表示させることができる。
これにより、従来のように、絞込対象として無効な属性、つまり目的地候補が存在しない地域やジャンルを選択してしまうことがないため、検索効率を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、絞込対象として有効な属性の名称だけでなく、各属性に該当する絞込対象施設の件数を表示することにより、絞込対象施設が集中している属性を容易に視認することができる。
特に、種別(ジャンル)属性に基づく絞込検索処理においては、目的地に設定したい施設(見つけたい施設)がどのジャンルに含まれるか不明な場合、絞込対象施設の件数を手がかりに、検索する種別を選択することができる。
種別属性の認識は、人によって異なる場合がある。例えば、某回転寿司のチェーン店の施設情報を施設情報データベース181に登録する場合、ある人は、種別属性を図7(a)に示す「寿司」として登録し、またある人は「ファーストフード」として登録する場合がある。
名称に“×○×○”を含む回転寿司のチェーン店を検索する際、該施設が「寿司」に属するのか「ファーストフード」に属するのか判断が曖昧な場合であっても、利用者は、絞込対象施設の件数を手がかりに、絞込対象施設が集中している種別属性から優先して検索することができる。これにより、見つけたい施設に辿り着くまでの検索操作回数(頻度)を低減させることができる。
【0039】
本実施形態では、タッチパネルの一画面にリスト表示可能な検索結果項目の件数(表示項目件数)nとなるまで属性の数を減らすために、属性の統合処理を繰り返すように構成されているが、属性の統合処理の回数はこれに限定されるものではない。
属性の統合処理を繰り返す回数は、例えば、1〜3回の少ないスクロールキーの操作範囲で表示可能な検索結果項目の件数mに基づいて設定するようにしてもよい。
この場合、属性の数が表示項目件数nを超えたときには、図4(b)に示す目的地候補の絞込結果におけるスクロールキー(△/▽キー)がアクティブ(操作可能)状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態におけるナビゲーション装置の構成を示した図である。
【図2】(a)は施設情報データベースの一例を示した図であり、(b)は地域属性の階層構造の一例を示した図である。
【図3】目的地の設定処理の手順を示したフローチャートである。
【図4】(a)は名称検索による目的地候補の絞込結果の表示の一例を示した図であり、(b)は住所絞込検索による目的地候補の絞込結果の表示の一例を示した図である。
【図5】各属性の絞込対象施設の件数の計数結果の一例を示した図である。
【図6】(a)は属性の統合処理を説明するための図であり、(b)は属性の統合処理の結果を示した図である。
【図7】(a)は種別属性の階層構造の一例を示した図であり、(b)はジャンル絞込検索による目的地候補の絞込結果の表示の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ナビゲーション装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 入力装置
15 出力装置
16 現在位置検出装置
17 情報送受信装置
18 情報記憶装置
181 施設情報データベース
182 属性階層テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設とその属性とを関連付けた施設情報を格納するデータベースと、
特定の絞込条件に従って、前記データベースから対象施設を取得する対象施設取得手段と、
前記取得した対象施設をその属性ごとに分別し、各属性ごとの対象施設数を計数する計数手段と、
前記計数した各属性ごとの対象施設数に基づいて複数の属性を組み合わせ、組み合わせた属性群を包括する属性を決定する包括属性決定手段と、
前記対象施設がある属性を表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記属性は、階層構造に基づいて定義されており、
前記包括属性決定手段は、
同一階層に他の対象施設がある属性がない場合、前記属性群を包括する属性として、包括対象の属性の上位階層に定義された属性を決定し、
同一階層に他の対象施設がある属性がある場合、前記属性群を包括する属性として、包括対象の属性より上位階層、又は、包括対象の属性と同一階層に位置する属性を、新たに生成することにより決定する、ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記包括属性決定手段は、対象施設数の少ない属性を優先的に組み合わせる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記包括属性決定手段は、所定の属性の項目数となるまで、前記属性群を包括する属性の決定処理を繰り返す、ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記属性は、施設の存在する地域属性、又は、施設の属する種別属性である、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記対象施設がある属性と、その属性に該当する対象物件数とを表示する、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−250565(P2008−250565A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89698(P2007−89698)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】