説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地までの希望所要時間内で立ち寄ることができ,かつユーザにとって好適な寄り道先を提案する。
【解決手段】車両の現在位置から目的地への経路を表示するナビゲーション装置であって,前記経路による前記目的地への予定所要時間を求め,前記予定所要時間が入力された希望所要時間より短い場合は,当該希望所要時間と当該予定所要時間の差である余裕時間内に経由可能な寄り道先をユーザの嗜好の程度に応じて表示して選択入力を促し,前記寄り道先の少なくとも1つが選択入力された場合は,当該選択された寄り道先を経由する経路を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,車両の経路を表示するナビゲーション装置に関し,特に,目的地までの希望所要時間内に経由可能な寄り道先を表示してユーザに選択を促すナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年広く普及している車載用ナビゲーション装置は,目的地と希望所要時間を入力すると,GPS(Global Positioning System)を利用して自車の現在位置を検知し,その現在位置から希望所要時間内に目的地に到着できる経路を地図情報から検索して,ユーザに表示し誘導を行う。かかるナビゲーション装置が検索する経路の所要時間は,過去の平均走行速度などを用いて計算されるが,実際の走行速度や交通渋滞などの要因により,希望の所要時間内に目的地へ到着するとは限らない。
【0003】
例えば,計算上の走行速度より早い速度で走行し,希望する時刻より早く目的地へ到着するような場合には,到着希望時刻と到着予定時刻との差分の余裕時間が生ずることがある。このような余裕時間を有効活用する方法として,経路を誘導中に当初の到着希望時刻より早い到着が予想される場合に,余裕のある時間で立ち寄ることができる寄り道先を表示するナビゲーション装置が特許文献1に記載されている。また,ユーザが走行中に当初の目的と異なる目的を意図した場合に,その目的を入力するとその目的に適した施設の位置を表示するナビゲーション装置が特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特許第3228640号公報
【特許文献2】特開平10−89981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,上記のような従来のナビゲーション装置が提案する寄り道先は,その寄り道先を経由した場合の所要時間に基づき検索されるので,ユーザにとって好適な寄り道先であるとは限らない。また,ユーザが目的を入力する場合は,ユーザの操作が煩雑となる。
【0005】
そこで,上記に鑑みてなされた本発明の目的は,目的地までの希望所要時間内で立ち寄ることができ,かつユーザにとって好適な寄り道先を提案するナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために,本発明の第1の側面によれば,車両の現在位置から目的地への経路を表示するナビゲーション装置であって,前記経路による前記目的地への予定所要時間を求め,前記予定所要時間が入力された希望所要時間より短い場合は,当該希望所要時間と当該予定所要時間の差である余裕時間内に経由可能な寄り道先をユーザの嗜好の程度に応じて表示して選択入力を促し,前記寄り道先の少なくとも1つが選択入力された場合は,当該選択された寄り道先を経由する経路を表示することを特徴とする。
【0007】
上記第1の側面によれば,希望所要時間内に経由して立ち寄ることができ,かつユーザの嗜好に合った寄り道先を提案できるので,時間を持て余すことがなく,ユーザの満足度を向上させることができる。
【0008】
上記第1の側面における好ましい態様によれば,前記寄り道先をそのジャンルと対応づけて記憶した記憶部を有し,前記寄り道先が目的地または寄り道先として選択入力される履歴を記憶し,前記寄り道先に対するユーザの嗜好の程度は,当該寄り道先または当該寄り道先と同じジャンルの他の寄り道先に対する前記選択入力の頻度であることを特徴とするナビゲーション装置ナビゲーション装置が提供される。この態様によれば,ナビゲーション装置が過去に入力された目的地や寄り道先からユーザの嗜好のジャンルをいわば学習することができるので,ユーザがわざわざ嗜好や目的を入力しなくても,好適な寄り道先を提案することができ,ユーザの満足度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記側面によれば,目的地への希望所要時間を有効活用して寄り道ができ,なおかつユーザが目的や嗜好を入力しなくてもユーザの嗜好に適した好適な寄り道先への経路を設定することができる。よって,時間を持て余すことなく,より満足度の高い経路をユーザに提示できるナビゲーション装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下,図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し,本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0011】
図1は,本実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を説明する図である。このナビゲーション装置100では,入力操作部40から目的地と到着希望時刻が入力されると,CPU10は記憶部20に格納されたナビゲーションプログラム22に従って,地図情報24からの経路の検索と,その経路に基づくユーザの誘導を開始する。経路の検索・誘導に際してCPU10は,車速センサ60,方位センサ70,GPS受信機80およびVICS情報受信機90からインターフェース12を介して各種情報を取得し,これらの情報をもとに各種演算処理を行う。
【0012】
まずCPU10は,GPS受信機80がGPS(Global Positioning System)衛星から受信する信号に基づいて現在位置を求め,地図情報24に含まれる道路形状情報や道路の接続情報に基づいて,現在位置から目的地へ到達する経路を検索する。その際,記憶部20に格納される過去の走行速度の平均値に基づいて,検索した経路の所要時間を算出する。さらにCPU10はVICS情報受信機90が路側機から受信する渋滞情報や道路工事情報などに基づいて経路の所要時間を修正して,より確度の高い所要時間を計算する。そして,CPU10は入力された到着希望時刻と現在時刻の差から希望所要時間を求め,希望所要時間内に目的地に到着できる経路を検索された経路から抽出する。
【0013】
抽出された経路は,表示部30によって現在位置の周辺地図に重ね合わせてディスプレイ32に表示される。ディスプレイ32はタッチパネルを組み込むことにより入力操作部40と一体化する構成としてもよい。また,ディスプレイ表示とともに再生制御部50が地図情報24に格納される経路の誘導情報をスピーカ52から音声出力して,ユーザに対して誘導を行う。
【0014】
CPU10は車両の走行中にもGPS信号に基づき車両の現在位置を求める。そしてCPU10は,車速センサ60が検知する車両の走行速度と,方位センサ70が検知する車両の進行方向の方位から車両の走行軌跡を求め,GPS信号に基づき算出した現在位置の誤差を適宜補完する。このようにして車両の現在位置を求めることにより,CPU10は設定した経路における残行程の距離を計算し,車両の走行速度の平均値と残行程の距離とから目的地到着までに実際に要する予定所要時間を求め,目的地への実際の到着予定時刻を計算する。
【0015】
CPU10は予定所要時間とそれに基づく到着予定時刻の計算を定期的に,例えば毎分実行して,当初入力された到着希望時刻とのずれがある程度以上になったときはユーザに通知する。例えば,到着予定が到着希望時刻より遅れそうな場合には,そのことをユーザに通知し,ユーザは走行速度を加速するなどして対応することができる。逆に,到着予定が到着希望時刻より早まりそうな場合には,CPU10は到着希望時刻と到着予定時刻との差分,つまり希望所要時間と予定所要時間との差分である余裕時間を算出し,余裕時間が一定以上となったときに,その余裕時間で立ち寄ることができる寄り道先を記憶部20に格納される施設情報28から検索して,検索された施設を周辺地図上に寄り道先として配置してディスプレイ32に表示する。
【0016】
施設情報28には立ち寄り可能な施設の情報がそれぞれの位置情報とともに格納されており,CPU10は,車両の現在位置から一定範囲内に位置する施設を検索し,その施設を経由する場合の所要時間を計算する。そして,CPU10は余裕時間内に経由して立ち寄りが可能な施設を絞り込んでディスプレイ32に表示することにより,ユーザに寄り道先の選択を促す。ユーザがディスプレイ32に表示される寄り道先を例えばタッチパネルで構成される入力操作部40により選択入力すると,CPU10はこれに応答して選択された寄り道先を経由し且つ目的地に到着希望時刻までに到着するような経路を検索して,ディスプレイ32に表示する。
【0017】
本実施の形態では,寄り道先の検索の際に,さらに記憶部20に格納されたユーザの嗜好の程度に関するユーザ情報26を参照して寄り道先を絞込むことを特徴とする。ユーザ情報26には次に述べるようにユーザの入力履歴が含まれており,この履歴を参照することによりユーザの嗜好の程度が高い施設を希望所要時間内に経由することができる施設から抽出することが可能となる。
【0018】
図2は,記憶部20に格納された施設情報28,ユーザ情報26の例を模式的に説明する図である。施設情報28には,地図情報24に含まれる各施設について,地図情報24における「座標」,各施設の「施設名」,各施設の「ジャンル」,各施設において必要とされる「滞在必要時間」及び「費用」,各施設の「お勧め度」といった情報が含まれる。施設とジャンルの対応関係は,例えば「Aラーメン」,「Dラーメン」,「Gラーメン」などの施設はジャンル「ラーメン店」に分類される。また,「B書店」,「F書店」,「H書店」などの施設はジャンル「書店」に分類される。さらに,「C美術館」,「E画廊」などの施設はジャンル「美術館」に分類される。また,「滞在必要時間」,「費用」,「お勧め度」などの情報は,情報サービス提供者が提供する情報に基づき予め設定される。ここで,「お勧め度」は,「A」ランクが最も高く,続いて「B」ランク,「C」ランクとの順位となる。このような施設情報28は,ナビゲーション装置100に接続可能な不図示の携帯電話などの情報端末を用いて随時更新データを公衆回線からダウンロードし,または情報サービス提供者から記憶媒体によるデータの提供を受けて更新される。また,施設情報28に含まれる項目は上記に限られず,営業時間,他のユーザのコメント等を含むことも可能である。
【0019】
ユーザ情報26には,目的地または寄り道先として入力された施設の「ジャンル」に対応づけられた入力の「日付」からなる入力履歴が含まれる。前述したように,ナビゲーション装置100ではユーザが目的地あるいは寄り道先を選択して入力を行う。すると,例えば,ユーザが4月1日に,地図情報24の座標「(x1,y1)」に位置する「Aラーメン」を目的地として入力すると,CPU10は施設情報28を参照して,座標「(x1,y1)」にある施設「Aラーメン」のジャンル「ラーメン店」と,日付「4月1日」とを対応づけて記憶する。以下同様にして,4月4日には「B書店」が目的地として入力され,ユーザ情報26には施設「B書店」のジャンル「書店」と日付「4月4日」とが対応付けて記憶される。また,4月10日には「Aラーメン」が目的地として入力され,ユーザ情報26には施設「Aラーメン」のジャンル「ラーメン店」と日付「4月10日」とが対応付けて記憶される。また,4月15日には「F書店」が目的地として入力され,ユーザ情報26には施設「F書店」のジャンル「書店」と日付「4月15日」とが対応付けて記憶される。また,4月20日に「C美術館」が目的地として入力され,ユーザ情報26には施設「C美術館」のジャンル「美術館」と日付「4月20日」とが対応付けて記憶される。そして,4月25日に「F書店」が目的地として入力され,ユーザ情報26には施設「F書店」のジャンル「書店」と日付「4月25日」とが対応付けて記憶される。
【0020】
上記のように構成されるユーザ情報26をジャンルごとにグループ化して履歴の件数を集計することにより,一定期間におけるジャンルごとの入力頻度を得ることができる。すなわち,ユーザ情報26を集計した集計テーブル26aによれば,ジャンル「書店」の件数が「3」,ジャンル「ラーメン店」の件数が「2」,ジャンル「美術館」の件数が「1」となる。このジャンルごとの件数は,ユーザが4月の一箇月間にそのジャンルの施設を訪れる頻度を表し,つまりそのジャンルに対するユーザの嗜好の程度に相当する。
【0021】
よって,本実施の形態では,ナビゲーション装置100が希望所要時間内に経由することができる施設から寄り道先を抽出して表示する際には,こうしたユーザの嗜好の程度に応じて寄り道先を抽出する。例えば,入力件数「3」件で最も入力頻度が高く,よってユーザの嗜好が最も高い「書店」ジャンルの施設のみを検索して寄り道先として表示することができる。また,「書店」ジャンルに加えて,入力件数「2」件で次に嗜好の程度が高い「ラーメン店」ジャンルの施設も抽出してもよい。あるいは,抽出した「書店」ジャンルの施設と,「ラーメン店」ジャンルの施設とで,嗜好の程度に応じて異なる表示形態を用いても良い。
【0022】
このように,ユーザの嗜好の程度に応じたジャンルの施設を抽出することにより,ユーザに好適な寄り道先を提案することができる。また,ユーザ情報26は目的地や寄り道先が入力操作部40から入力される都度に更新されるので,ユーザの入力の履歴が蓄積されるに伴い,ナビゲーション装置100はユーザの嗜好をいわば学習してゆくことができる。
【0023】
図3,図4は,ナビゲーション装置100の動作手順を説明するフローチャート図である。図4のフローチャート図は,図3に示す手順のサブルーチンに対応する。図5〜図10は,表示部30がディスプレイ32に表示させる画面の表示例である。以下,図3,図4の手順に,図5〜図10の表示例を対応させて説明する。
【0024】
まず図3において,目的地,到着希望時刻が入力されると(S10),CPU10は到着希望時刻までに目的地に到達できる経路を地図情報24から検索し,ディスプレイ32に表示する(S12)。そして,CPU10は目的地として入力された施設のジャンルと入力日付をユーザ情報26に追加してユーザ情報26を更新する(S14)。
【0025】
図5は,目的地「Z動物園」,到着希望時刻「16:00」が入力された場合の表示画面例である。地図上には,目的地DNに現在位置CLから到着希望時刻までに到達可能な経路Rt1が表示され,画面右側には「到着希望時刻」,「現在地」,「目的地」,「有料道路」の使用・不使用,「寄り道提案」の有無などの情報が表示される。ここでは,「寄り道提案」モードが「ON」となっているので,以下では寄り道提案を行う場合の手順を示す。なおこのモードが「OFF」の場合は,最短の経路のみ表示されるモードとなる。また,現在地CLはGPS信号に基づき計算される座標と,ユーザにより予め入力設定される位置情報とから「自宅」であることが示される。そして,「経路を決定しました。案内を開始します。」と表示がなされ,ユーザにより走行が開始される。
【0026】
図3に戻ると,CPU10は走行が開始されてからは定期的に現在位置を取得し(S16),目的地または目的地から所定距離の地点に到着しない場合は(S18のNO),残行程の距離を求め到着予定時刻を計算する(S20)。そして,入力された到着希望時刻と算出された到着予定時刻とを例えば毎分に一回比較し,到着予定時刻の方が基準値「X」秒以上早い場合は(S22のYES),その余裕時間以内に立ち寄ることができる施設を施設情報28から検索する(S24)。ここで,基準値には他の施設に立ち寄るのに最低限必要な時間,例えば「1200秒」(20分)などが用いられる。そして,検索された寄り道先からさらにユーザ情報のユーザ情報26に基づき,ユーザが入力する頻度の高い,つまりより嗜好の程度の高い寄り道先を抽出し(S26),抽出した寄り道先をディスプレイ32に表示する(S28)。
【0027】
図6は,3件の寄り道先を表示する画面の表示例である。図6(A),(B)の例いずれも,それぞれを経由した場合に目的地DNへ到着希望時刻までに到着することができるような位置にある施設の中から,ユーザ情報26に基づき,ユーザの嗜好の程度が上位のジャンル「書店」と「ラーメン店」に対応したもののみが抽出された表示例である。
【0028】
まず,図6(A)に示す画面の表示例では,画面中央に「予定より早く目的地に到着しそうです。経由可能な寄り道先の提案を行います。3件の候補が見つかりました。」と表示してユーザの注意を喚起する。そして,地図上に寄り道先S1〜S3を図示する。さらに,画面右側には,地図上に表示した寄り道先S1〜S3に対応する寄り道先と,それぞれの寄り道先を経由した場合の到着予定時刻を表示する。この到着予定時刻は,現在位置CLからその寄り道先を経由して目的地へ向かう場合の所要時間に,施設情報28に格納される施設ごとの滞在必要時間(図2)を加えて求められる。例えば,寄り道先S1は「H書店」であって,この寄り道先を経由した場合の到着予定時刻が「15時50分」である。また,寄り道先S2は「Aラーメン」であって,この寄り道先を経由した場合の到着予定時刻が「15時55分」である。そして,寄り道先S3は「Dラーメン」であって,この寄り道先を経由した場合の到着予定時刻が「15時55分」である。さらに,各施設ごとに,サービス提供者から提供される料金やお勧め度(図2)といった情報を表示してもよい。ナビゲーション装置100は,このような画面を表示することにより,ユーザに好適な寄り道先の選択を促すことができる。
【0029】
図6(B)は,図6(A)の表示画面の寄り道先S1〜S3がユーザの嗜好の程度に応じて異なる表示形態で表示された例を示している。すなわち,ユーザ情報26によれば,このユーザの嗜好はジャンル「書店」に対して最も高く,次いでジャンル「ラーメン店」が高い。よって,ジャンル「書店」に対応する寄り道先S1「H書店」は3つ星で表示し,ジャンル「ラーメン店」に対応する寄り道先S2「Aラーメン」と寄り道先S3「Dラーメン」は2つ星で表示することにより,嗜好の程度が順位づけして表示される。このようにして,ユーザはより自分の嗜好に適した寄り道先の選択を容易に行うことができ,操作の利便性とユーザの満足度を高めることが可能となる。
【0030】
なお,さらなる変形例としては,寄り道先の嗜好が同じ程度のときは,施設情報28に含まれる情報サービス提供者が提供する「お勧め度」情報(図2)に基づいて寄り道先の表示形態を使い分けてもよい。例えば,寄り道先S2の「Aラーメン」と寄り道先S3の「Dラーメン」は同じ「ラーメン店」ジャンルであるのでユーザの嗜好の程度は同じであるが,図2に示すように「お勧め度」は,「Aラーメン店」が「A」ランクであるのに対し,「Dラーメン店」は「B」ランクであるので,寄り道先S2の「Aラーメン店」を寄り道先S3の「Dラーメン店」より目立つような色や表示を用いて表示することも可能である。そうすることで,さらにきめ細かい寄り道先の提案が可能となり,ユーザの満足度を向上させることができる。
【0031】
図3に戻り,ユーザが寄り道先を選択入力すると(S30のYES),CPU10は寄り道先を含む経路に変更して(S32)表示する。図7(A)は,図6(A)の表示画面に基づく寄り道先の選択入力の画面表示例を示している。まず,タッチパネルが組み込まれた地図上の寄り道先S1の表示をユーザが押すと,寄り道先S1の仮選択が入力される。すると,寄り道先S1の表示が円で囲まれ,画面右側には「H書店」が仮選択された表示がなされる。あるいは,画面右側の「H書店」の表示を押すことにより,選択入力がなされるようにしてもよい。
【0032】
そして,画面右下に「選択した寄り道を追加しますか」と表示されるので,これに対しユーザはタッチパネルの「YES」または「NO」の表示を押して,選択入力を行う。ここで,「YES」が選択入力されると,図7(B)に示すように,寄り道先S1を経由する経路R2が表示される。そして画面中央には「寄り道先を経路の追加しました。案内を再開します。」と表示されて,ユーザに経路が変更されたことが通知される。さらに,画面右側には寄り道先「H書店」の表示が追加され,画面右上の到着予定時刻が寄り道先経由後「15時50分」に変更される。そして,図3の手順S34において,選択された寄り道先「H書店」のジャンル「書店」と入力日付をユーザ情報26に追加して入力履歴を更新する。
【0033】
上記のように設定される寄り道先を経由する経路に従って走行を行いながら,CPU10は再び現在位置を取得して(S16),到着予定時刻の計算を行う(S20)。そして,余裕時間が生じる場合には(S22のYES),再度寄り道先の表示を行う(S28)。
【0034】
図8(A)では,再び寄り道先S3とS4の2件を表示してユーザに選択を促す表示例を示している。ここでは,ユーザの嗜好の程度が最も高いジャンル「書店」に分類される寄り道先が検索されなかったので,次に嗜好の程度が高いジャンル「ラーメン店」に分類される寄り道先S3「Dラーメン」,寄り道先S4「Gラーメン」が検索されて表示された場合が例示されている。そして,図7において説明したように寄り道先,例えば「Dラーメン」が選択入力されると(図3手順S30のYES),図8(B)に示すように,経路Rt2から寄り道先S3「Dラーメン」を経由する経路Rt3に表示変更される(図3手順S32)。また,画面右側の予定到着時刻と寄り道先の表示も変更され,画面中央には「寄り道先を経路に追加しました。案内を再開します。」と表示されユーザに経路の変更が通知される。そして,選択された寄り道先「Dラーメン」のジャンル「ラーメン店」と入力日付をユーザ情報26に追加して入力履歴を更新する(S34)。
【0035】
次に,図3の手順S22で余裕時間が基準値未満の場合についての手順を,図4を用いて説明する。図4において,まず到着希望時刻が予定時刻より早ければ(S40のNO),寄り道をするのに十分な時間はないが到着希望時刻までには目的地へ到着できるので,図3の手順S16へ戻る。しかし,到着希望時刻より到着予定が遅い場合(S40のYES)は,経路の修正をユーザに促す(S42)。
【0036】
例えば,図9(A)に示すように,図3の手順S32で寄り道先を含む経路Rt2に変更された場合の表示画面の地図上に「希望到着時刻を超えてしまうおそれがあります。経路を修正しますか?」と表示し,画面右上には到着予定時刻「16時10分」を表示して修正を促す。ユーザがこれに応じて図9(A)のタッチパネルの「YES」の表示を押した場合は(S44のYES),図9(B)に示す画面により削除する寄り道先の選択を促す(S46)。すなわち図9(B)の画面右側には,それぞれの寄り道先を削除した場合の到着予定時刻が計算されて表示される。ここで,ユーザがタッチパネルにより寄り道先S3の表示または画面右側の「Dラーメン」の表示を押すと,寄り道先S3の表示にバツ印が付され削除対象として仮選択されたことが示され,画面の右側の「Dラーメン」の表示にも削除を示す表示がされる。
【0037】
そして,画面右下の画面で「選択した寄り道先を削除しますか」との表示に対しユーザが「Yes」を選択すると,選択した寄り道先S3が削除され(S48),図10(A)に示すように寄り道先S3を経由しない経路Rt2の表示に戻される。そして,画面中央には「経路を修正しました。案内を再開します。」と表示されてユーザに経路の変更が通知される。また,画面右上には寄り道先S3を経由しない場合の到着予定時刻が表示され,画面右側の「寄り道先」の表示からも「Dラーメン」が削除される。
【0038】
反対に,図9(A)の画面でユーザが「NO」を選択入力した場合,つまり経路の修正を行わない場合(S44のNO)は,図10(B)に示すようにもとの経路が維持され,当初の到着希望時刻が,それより遅れると予想される到着予定時刻「16時10分」に変更される。そして,画面中央には「経路修正は行いません。到着希望時刻を現在の予定時刻に変更しました。」と表示され,ユーザに経路の維持と到着希望時刻の変更を通知する。この場合は,以後の処理においては変更された到着予定時刻を基準として,随時計算される到着予定時刻との差に応じて寄り道先が提案される。
【0039】
上述した図3の手順の変形例としては,手順S12において経路を検索して表示する際に,入力された到着希望時刻よりある程度以上早い到着予定時刻が計算される場合には,走行を開始する前であってもナビゲーション装置100が寄り道先の提案を行うようにしてもよい。
【0040】
また,上述した図4の手順S46の変形例としては,削除する寄り道先をユーザが選択する代わりに,ナビゲーション装置100が自動的に削除する寄り道先を選択する手順としてもよい。その場合はユーザの嗜好の程度が低い寄り道先を削除するようにしてもよいし,経由することによる所要時間増加分が大きい寄り道先を削除するようにしてもよい。または,施設情報28に含まれる各施設の「お勧め度」が低いもの,例えばお勧め度「C」の施設を削除するようにしてもよい。そうすることにより,ユーザの操作を簡便にすることができる。
【0041】
さらに,以上の実施形態においては,ユーザが目的地や寄り道先を入力することによりユーザ情報26が更新されるが,車両の走行履歴に基づき更新する方法も可能である。すなわち,ナビゲーション装置100が経路の誘導をする・しないにかかわらず,GPS受信機80が取得するGPS信号,車速センサ60が取得する車速,方位センサ70が取得する車両の走行方位に基づいてCPU10は車両の現在位置を検知し,定期的に現在位置とその現在位置を検知した日時のログを記憶部20に記憶する。そして,例えばログの記録日時がある程度経過していても車両の現在位置が変化しないような場合は車両が一定時間以上停車している場合であるので,その地点の座標を地図情報24から取得して,その座標に位置する施設のジャンルに対応する日付をユーザ情報26に追加するようにしてもよい。そうすることにより,ユーザが明示的に入力することなく,ユーザが立ち寄る場所の情報をナビゲーション装置が蓄積して,ユーザの嗜好に関するデータを収集することができる。
【0042】
あるいは,例えば図11に示すような画面を表示して,ユーザに嗜好の入力を促し,明示的に入力されたユーザの嗜好の程度に基づいて寄り道先を抽出してもよい。図11(A)は,ユーザにプロフィールの入力を促す画面の例であり,例えばユーザが項目「食べ物」を選択すると,図11(B)の画面に遷移し,さらにユーザが食べ物の種類「麺類」を選択すると図11(C)に遷移する。そして,ユーザが麺類の種類「ラーメン」を選択すると,記憶部20のユーザ情報26に,このユーザの嗜好として,ジャンル「ラーメン店」が記憶される。よって,ナビゲーション装置100が寄り道先を抽出する場合には,このデータを参照して,ユーザの嗜好の程度が高いジャンル「ラーメン店」の施設を抽出することができる。
【0043】
以上のとおり,本実施の形態におけるナビゲーション装置は,到着希望時刻より到着予定時刻が早い場合に,ユーザがわざわざ指示入力することなくユーザの嗜好に適した寄り道先を提案し,選択された寄道先を経路に組み込むことができる。よって余った時間を有効活用でき,より満足度の高い経路を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を説明する図である。
【図2】記憶部20に格納された施設情報28,ユーザ情報26の例を模式的に説明する図である。
【図3】ナビゲーション装置100の動作手順を説明するフローチャート図である
【図4】図3に示す手順のサブルーチンの手順を説明するフローチャート図である。
【図5】目的地,到着希望時刻が入力された場合の表示画面例である。
【図6】寄り道先を表示する画面の表示例である。
【図7】寄り道先の選択入力の画面表示例である。
【図8】寄り道先を表示する画面の表示例である。
【図9】寄り道先の変更を促す画面の表示例である。
【図10】寄り道先の変更をする場合としない場合の画面の表示例である。
【図11】ユーザの嗜好情報を入力する画面の表示例である。
【符号の説明】
【0045】
100:ナビゲーション装置 24: 地図情報
26: ユーザ情報 28: 施設情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置から目的地への経路を表示するナビゲーション装置であって,
前記経路による前記目的地への予定所要時間を求め,前記予定所要時間が入力された希望所要時間より短い場合は,当該希望所要時間と当該予定所要時間の差である余裕時間内に経由可能な寄り道先をユーザの嗜好の程度に応じて表示して選択入力を促し,
前記寄り道先の少なくとも1つが選択入力された場合は,当該選択された寄り道先を経由する経路を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において,
前記寄り道先をそのジャンルと対応づけて記憶した記憶部を有し,
前記寄り道先が目的地または寄り道先として選択入力される履歴を記憶し,
前記寄り道先に対するユーザの嗜好の程度は,当該寄り道先または当該寄り道先と同じジャンルの他の寄り道先に対する前記選択入力の頻度であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2において,
前記寄り道先は,前記ユーザの嗜好の程度に応じて異なる表示形態で表示されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて,
前記余裕時間内に経由可能な寄り道先をユーザの嗜好の程度に応じて表示して選択入力を促し,選択入力された寄り道先を経由する経路を表示する処理を,前記予定所要時間が前記希望所要時間より短くなる度に繰り返すことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−3027(P2008−3027A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174948(P2006−174948)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】