説明

ナビゲーション装置

【課題】前方の交差点における方面案内看板に示されていない行き先についても、車両の運転者に知らせることができるナビゲーション装置を実現する。
【解決手段】方面案内看板の模擬画像32に示された各進行方向の行き先地名部分のうち、「A市」の行き先地名部分がユーザのタッチパネル操作によって指定されると、「A市」の行き先地名に対応する進行方向である直進方向が、非掲示地名を通知する際の対象方向として特定される。そして、交差点31を直進方向に進んだときの次の交差点における行き先地名の「D市」が、吹き出し33により非掲示地名として表示モニタ16に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の前方にある交差点の手前において、その交差点付近に設置されている方面案内看板を模擬した画像を表示することにより、その交差点を通過する際にどちらに進んだらよいかを車両の運転者が判断しやすいようにしたナビゲーション装置が広く知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−311625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような従来のナビゲーション装置では、単に前方の交差点における方面案内看板を模擬した画像が画面表示されるのみであるため、車両の運転者は、その方面案内看板に示されていない行き先については知ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるナビゲーション装置は、前方の交差点における方面案内看板の模擬画像を表示モニタに表示する表示制御手段と、表示モニタに表示された方面案内看板の模擬画像に示された進行方向のうち、いずれかの進行方向を対象方向として特定する対象方向特定手段と、対象方向特定手段により特定された対象方向について、方面案内看板には示されていない行き先地名である非掲示地名をユーザに通知する通知手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、通知手段は、対象方向についての非掲示地名を表示モニタに表示または音声出力することにより、その非掲示地名をユーザに通知するものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、通知手段は、前方の交差点を対象方向に進んだときの次の交差点における行き先地名を、対象方向についての非掲示地名として表示モニタに表示または音声出力するものである。
請求項4の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、前方の交差点における対象方向の行き先地名と、前方の交差点を対象方向に進んだときの次の交差点における行き先地名とが同一である場合、通知手段は、さらにその次の交差点における行き先地名を、対象方向についての非掲示地名として表示モニタに表示または音声出力するものである。
請求項5の発明は、請求項2〜4いずれか一項に記載のナビゲーション装置において、表示モニタに対するタッチパネル操作を検出するタッチパネル手段をさらに備え、対象方向特定手段は、表示モニタに表示された方面案内看板の模擬画像に示された行き先地名部分のいずれかを指定するタッチパネル操作がタッチパネル手段によって検出されると、その行き先地名部分に対応する進行方向を対象方向として特定するものである。
請求項6の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、通知手段は、対象方向についての非掲示地名を含む新たな方面案内看板の模擬画像を表示モニタに表示することにより、その非掲示地名をユーザに通知するものである。
請求項7の発明は、請求項6に記載のナビゲーション装置において、通知手段は、前方の交差点を対象方向に進んだときの次の交差点における方面案内看板の模擬画像を、新たな方面案内看板の模擬画像として表示モニタに表示するものである。
請求項8の発明は、請求項7に記載のナビゲーション装置において、新たな方面案内看板の模擬画像に示された進行方向のうち、いずれかの進行方向が対象方向特定手段により対象方向として特定された場合、通知手段は、次の交差点のさらにその次の交差点における方面案内看板の模擬画像を表示モニタに表示するものである。
請求項9の発明は、請求項6〜8いずれか一項に記載のナビゲーション装置において、表示モニタに対するタッチパネル操作を検出するタッチパネル手段をさらに備え、対象方向特定手段は、表示モニタに表示された方面案内看板の模擬画像に示された矢印部分のいずれかを指定するタッチパネル操作がタッチパネル手段によって検出されると、その矢印部分に対応する進行方向を対象方向として特定するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、前方の交差点における方面案内看板に示されていない行き先についても、車両の運転者に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、車両が交差点や分岐点に近づくと、その交差点や分岐点を通過する際にどちらに向かって進んだらよいかを車両の運転者(ユーザ)が判断しやすいようにするため、その交差点や分岐点における方面案内看板を模擬した画像を画面表示する。さらに、画面表示された方面案内看板の模擬画像においていずれかの進行方向をユーザが選択すると、その進行方向について方面案内看板の模擬画像には示されていない行き先地名をユーザに通知する。これにより、方面案内看板に示された行き先をさらに先へ進んだときの車両の行き先をユーザに知らせたり、方面案内看板に示された行き先地名の場所を知らなくてもユーザが進行方向を判断できるようにしている。なお、以下の説明では、交差点と分岐点を合わせて単に交差点と称することとする。
【0008】
図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、ディスクドライブ18、マイク20およびスピーカ21を備えている。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0009】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11により、DVD−ROM19に記録された地図データに基づいて、たとえば地図の表示や目的地の設定、設定された目的地までの推奨経路の探索などの処理が行われる。また、マイク20から入力される音声信号を予め記憶された音声信号パターンと照合するなどの方法を用いて周知の音声認識処理を制御回路11において行うことにより、ユーザの発話内容が音声認識される。
【0010】
現在地検出装置14は、自車両の現在地すなわち自車位置を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロセンサ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等の各種センサ類からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出される自車位置に基づいて、後述する経路探索開始点を決定したり、自車位置マークを地図上に示したりすることができる。
【0011】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を表示するための地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD−ROM19に記録されている地図データなどに基づいて、制御回路11により作成される。作成された画像データが制御回路11から画像メモリ15に出力されることによって、表示モニタ16に地図や各種画像が表示される。
【0012】
表示モニタ16にはタッチパネル16aが組み合わされており、ユーザの指などによって表示モニタ16上のいずれかの位置がタッチされると、そのタッチ位置を示す情報がタッチパネル16aから制御回路11へ出力される。このタッチ位置情報に基づいて、そのとき表示モニタ16に表示されていた画像のどの部分がタッチされたか制御回路11によって判断される。本実施形態のナビゲーション装置1は、このようなタッチパネル16aと制御回路11によって検出されるユーザからのタッチパネル操作に応じて、様々な処理が実行される。
【0013】
入力装置17は、車両の目的地や経由地(以下、これらを合わせて単に目的地という)をユーザが設定したりするための各種入力スイッチを有している。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、入力装置17を操作して、住所や電話番号、施設名称を入力したり、地図上の特定の地点を指定したり、予め登録された登録地のいずれかを選択したりすることにより、目的地を設定することができる。
【0014】
ディスクドライブ18は、装填されたDVD−ROM19より、地図を表示するための地図データを読み出す。この地図データには、目的地までのルート探索に用いられる経路計算データや、交差点名称および道路名称など、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる経路誘導データ、さらに道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなども地図データに含まれている。
【0015】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。
【0016】
なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスク、メモリーカードなどから地図データを読み出すこととしてもよい。あるいは、外部より携帯電話回線などを介して送信される地図データを受信し、その地図データを用いることとしてもよい。すなわち、地図データの取得にはどのような方法を用いてもよい。
【0017】
ユーザが入力装置17を操作して前述のような方法により目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0018】
マイク20は、ユーザが発した音声を検出して音声信号に変換し、制御回路11へ出力する。なお、マイク20は、ユーザの発話時以外に誤って音声認識が行われることを防ぐために、図示しない音声認識ボタンがユーザに押されたときや、後で説明する運転情報の提供が行われたときに音声の検出を開始する。
【0019】
スピーカ21は、制御回路11から出力される音声信号に基づいて各種の音声を出力する。たとえば、ルート案内時の進行方向指示の音声などがスピーカ21から出力される。なお、後で説明するような方面案内看板に掲示されていない非掲示地名を音声出力する場合にも、スピーカ21が用いられる。
【0020】
次に、ナビゲーション装置1において方面案内看板を表示するときの動作内容について説明する。ナビゲーション装置1は、車両前方にある交差点までの距離が所定距離以内になると、その交差点における方面案内看板の模擬画像を表示モニタ16に表示する。方面案内看板とは、実際の交差点において進行方向ごとの行き先を車両の運転者に知らせるための案内板であり、交差点前方の道路上方など交差点の付近に設置されている。この方面案内看板には、交差点の進行方向を表す複数の矢印と、その進行方向ごとの行き先地名とが示されている。このような方面案内看板を模擬した画像が、車両が交差点を通過するまでの間ナビゲーション装置1において画面表示される。
【0021】
なお、このとき全ての交差点に対して方面案内看板の模擬画像を表示する必要はない。すなわち、実際の道路において方面案内看板が存在しない交差点などは方面案内看板の模擬画像を表示する対象から除外してもよい。あるいは、実際の道路において方面案内看板が存在しなくても、適切な行き先地名を示した方面案内看板の模擬画像を表示するようにしてもよい。
【0022】
さらにナビゲーション装置1は、方面案内看板の模擬画像が表示モニタ16に画面表示されているときに、その方面案内看板の模擬画像において進行方向のいずれかがタッチパネル操作によってユーザに指定されると、その進行方向について方面案内看板には示されていない行き先地名をユーザに通知する。その具体的な方法について以下に説明する。なお以下の説明では、方面案内看板に示されていない行き先地名を非掲示地名と称することとする。
【0023】
非掲示地名のユーザへの通知方法には次の二種類の方法がある。一つ目の通知方法は、車両前方の交差点をユーザに指定された進行方向に進んだときの次の交差点(以下、単に次の交差点と称する)における行き先地名を表示または音声出力することにより、非掲示地名を通知する方法である。この一つ目の通知方法では、車両前方の交差点に対する方面案内看板の模擬画像が表示されたままの状態で、次の交差点における行き先地名が非掲示地名として表示または音声出力される。二つ目の通知方法は、次の交差点における方面案内看板の模擬画像を表示することにより、非掲示地名を通知する方法である。この二つ目の通知方法では、車両前方の交差点に対する方面案内看板の模擬画像に替えて、次の交差点における方面案内看板の模擬画像が、先の方面案内看板における非掲示地名をその行き先地名に含む新たな方面案内看板の模擬画像として表示される。
【0024】
一つ目の通知方法の具体例を図2により説明する。図2(a)は、車両前方の交差点における方面案内看板の模擬画像が表示モニタ16において表示されているときの画面例である。この図2(a)の画面例では、車両付近の地図が表示されており、その地図上に車両位置を示す自車位置マーク30が表示されている。自車位置マーク30によって表された車両が前方の交差点31から所定距離以内に近づくと、交差点31に対して方面案内看板を模擬した模擬画像32が表示される。
【0025】
方面案内看板の模擬画像32には、交差点31の付近に設置された実際の方面案内看板と同様に、交差点31における進行方向をそれぞれ表す三方向の矢印と、その各進行方向における行き先地名とが示されている。これによりユーザは、交差点31を直進した先は「A市」へ向かっており、左折した先は「B町」へ向かっており、右折した先は「C町」へ向かっていることが分かる。このような方面案内看板の模擬画像32が表示されることで、ユーザは交差点31においてどの方向に進めば良いかを交差点31の手前で知ることができる。
【0026】
DVD−ROM19に記録された地図データには、上記のような方面案内看板の模擬画像を表示するための方面案内看板データが各交差点について記録されている。この地図データに含まれる方面案内看板データに基づいて、交差点31に対して方面案内看板の模擬画像32が表示される。このとき、車両が交差点31に進入するときの方向によって方面案内看板の模擬画像の表示内容が変化する。すなわち、車両が図2(a)に示す方向から交差点31に進入した場合は、符号32に示すような方面案内看板の模擬画像が表示されるが、他の方向から進入した場合は、これとは異なる内容で方面案内看板の模擬画像が表示される。このようにするために方面案内看板データでは、交差点の進入方向ごとに異なる内容で方面案内看板の模擬画像が設定されている。
【0027】
なお、方面案内看板データには、上記のような方面案内看板の模擬画像を各交差点について表示するための情報に加えて、さらに各交差点の進行方向ごとの行き先地名を表した行き先地名情報と、各交差点の進行方向ごとに隣接する交差点との接続関係を表した接続情報とが含まれている。この行き先地名情報および接続情報を用いることにより、次の交差点についてその行き先地名を求めることができると共に、次の交差点における方面案内看板の模擬画像を素早く検索して表示することができる。
【0028】
以上説明した方面案内看板の模擬画像32が表示されている状態で、その模擬画像32に示された各進行方向の行き先地名部分のうち、図2(b)に示すように「A市」の行き先地名部分がユーザのタッチパネル操作によって指定されたとする。このとき、「A市」の行き先地名に対応する進行方向である直進方向が、非掲示地名を通知する際の対象方向として特定される。そして、交差点31を直進方向に進んだときの次の交差点における行き先地名が、非掲示地名として表示モニタ16に表示される。
【0029】
図2(c)は、以上説明したようにして次の交差点における行き先地名が非掲示地名として表示モニタ16に表示されたときの画面例を示している。この画面例では、方面案内看板の模擬画像32においてユーザにタッチされた「A市」の行き先地名に対して、吹き出し33により非掲示地名である「D市」が表示されている。この「D市」は、次の交差点における行き先地名のうち、そのまま直進を続けた場合の行き先地名を非掲示地名として表示したものである。このようにして、非掲示地名がユーザに通知される。なお、このとき次の交差点における行き先地名も「A市」であった場合は、さらにその次の交差点における行き先地名が非掲示地名として表示される。また、このとき表示される行き先地名は直進方向の「D市」のみでなくてもよい。次の交差点における全ての進行方向の行き先地名を非掲示地名として表示してもよい。
【0030】
なお、直進方向以外の進行方向が対象方向として特定された場合も、以上説明した直進方向の場合と同様にして、交差点31をその対象方向に進んだときの次の交差点における行き先地名が非掲示地名として表示モニタ16に表示される。すなわち、方面案内看板の模擬画像32において「B町」の行き先地名部分がユーザのタッチパネル操作によって指定された場合は、対応する左折方向が対象方向として特定される。そして、交差点31を左折方向に進んだときの次の交差点における行き先地名が非掲示地名として符合33に示すような吹き出し内に表示される。同様に「C町」の行き先地名部分がユーザのタッチパネル操作によって指定された場合は、対応する右折方向が対象方向として特定され、交差点31を右折方向に進んだときの次の交差点における行き先地名が非掲示地名として表示される。
【0031】
上記の説明では、図2(c)の画面例により、次の交差点の行き先地名である「D市」を表示モニタ16に表示することで非掲示地名をユーザに通知する例を説明したが、これを音声出力することでユーザに通知してもよい。すなわち、吹き出し33の文章をスピーカ21から音声出力することにより、非掲示地名の通知を行うこともできる。さらに、表示モニタ16への表示と音声出力の両方を行うこととしてもよい。
【0032】
また、上記の説明では、タッチパネル操作により非掲示地名を通知する対象方向をユーザが指定する例を説明したが、これを音声認識により行ってもよい。すなわち、ユーザがマイク20に対して音声を発することによりいずれかの進行方向を指定すると、その音声が制御回路11の音声認識処理によって認識される。この音声認識の結果により、ユーザに指定された進行方向を対象方向として特定する。たとえば、ユーザが「A市」と発声した場合は、方面案内看板の模擬画像32において対応する直進方向が対象方向として特定される。同様に、ユーザが「B町」と発声した場合は対応する左折方向が対象方向として特定され、「C町」と発声した場合は対応する右折方向が対象方向として特定される。
【0033】
一つ目の通知方法では、以上説明したようにして非掲示地名がユーザに通知される。次に、二つ目の通知方法の具体例を図3により説明する。図3(a)は、車両前方の交差点31における方面案内看板の模擬画像32が表示モニタ16において表示されているときの画面例である。この画面例は、図2(a)の画面例と同じものである。
【0034】
ここで図3(b)に示すように、方面案内看板の模擬画像32に示された矢印部分のうち直進方向の矢印部分がユーザのタッチパネル操作によって指定されたとする。このとき、タッチされた矢印部分に対応する進行方向すなわち直進方向が、非掲示地名を通知する際の対象方向として特定される。そして、方面案内看板の模擬画像32に替えて、交差点31を直進方向に進んだときの次の交差点における方面案内看板の模擬画像が、先の方面案内看板における非掲示地名を含む新たな方面案内看板の模擬画像として表示モニタ16に表示される。
【0035】
図3(c)は、以上説明したようにして次の交差点における方面案内看板の模擬画像が表示モニタ16に表示されたときの画面例を示している。この画面例では、交差点31に対して表示されていた方面案内看板の模擬画像32に替えて、次の交差点における方面案内看板の模擬画像34が、図3(a)の画面で非掲示地名である「D市」および「E村」を含む新たな方面案内看板の模擬画像として表示されている。このようにして、非掲示地名がユーザに通知される。
【0036】
なお、図3(c)の画面において、さらに方面案内看板の模擬画像34に示されたいずれかの矢印部分がユーザのタッチパネル操作によって指定されると、その矢印部分に対応する進行方向について、さらにその次の交差点における方面案内看板の模擬画像が新たに表示される。このようにして、表示された方面案内看板の模擬画像において矢印部分がタッチされる度に、その進行方向について新たな方面案内看板の模擬画像が次々に表示される。このとき何番目の交差点についての方面案内看板であるかが分かるように、たとえば図3(c)に示す「前方1つ目」などの文字が合わせて表示される。
【0037】
なお、直進方向以外の進行方向が対象方向として特定された場合も、以上説明した直進方向の場合と同様にして、交差点31をその対象方向に進んだときの次の交差点における方面案内看板の模擬画像が表示モニタ16に表示される。すなわち、方面案内看板の模擬画像32において左折方向の矢印部分がユーザのタッチパネル操作によって指定された場合は、交差点31を左折方向に進んだときの次の交差点における方面案内看板の模擬画像が表示される。同様に右折方向の矢印部分がユーザのタッチパネル操作によって指定された場合は、交差点31を右折方向に進んだときの次の交差点における方面案内看板の模擬画像が表示される。
【0038】
また、この二つ目の通知方法においても一つ目の通知方法で説明したように、音声認識によって非掲示地名を通知する対象方向をユーザが指定してもよい。すなわち、ユーザがマイク20に対して音声を発することによりいずれかの進行方向を指定すると、その音声が制御回路11の音声認識処理によって認識される。この音声認識の結果により、ユーザに指定された進行方向を対象方向として特定する。たとえば、ユーザが「直進」と発声した場合は、方面案内看板の模擬画像32において直進方向が対象方向として特定される。同様に、ユーザが「左」と発声した場合は左折方向が対象方向として特定され、「右」と発声した場合は右折方向が対象方向として特定される。
【0039】
以上説明したようにして非掲示地名をユーザに通知するときに制御回路11において実行されるフローチャートを図4に示す。ステップS10では、車両の前方において所定距離以内に交差点があるか否かを判定する。所定距離以内に交差点がある場合は、ステップS20へ進む。
【0040】
ステップS20では、ステップS10において所定距離以内にあると判定された交差点に方面案内看板があるか否かを判定する。この判定は、DVD−ROM19に記録された地図データに含まれる前述の方面案内看板データに基づいて判断される。方面案内看板がある場合はステップS30へ進む。一方、方面案内看板がない場合はステップS10へ戻り、車両前方の所定距離以内に別の交差点が来るまでステップS10に留まる。
【0041】
ステップS30では、ステップS10において所定距離以内にあると判定された交差点について方面案内看板の模擬画像を表示する。これにより、表示モニタ16において、図2(a)や図3(a)に示すように交差点31についての方面案内看板の模擬画像32が表示される。
【0042】
ステップS40では、ステップS30で表示した方面案内看板の模擬画像において示された行き先地名部分のいずれかがユーザによって選択されたか否かを判定する。この選択は、前述のようにタッチパネル操作または音声認識によって行われる。行き先地名部分のいずれかが選択された場合はステップS50へ進み、選択されなかった場合はステップS100へ進む。以下、ステップS50へ進んだ場合から先に説明する。
【0043】
ステップS40からステップS50へ進んだ場合、ステップS50では、非掲示地名をユーザに通知する際の対象方向の特定を行う。ここでは、ステップS40でユーザに選択されたと判定した行き先地名部分に対応する進行方向を対象方向として特定する。これにより、たとえば図2(b)のように「A市」の行き先地名部分が選択された場合は、その行き先地名部分に対応する直進方向を対象方向として特定する。
【0044】
ステップS60では、ステップS50で特定した対象方向にある次の交差点の特定を行う。ここでは、ステップS10において検出された車両前方の交差点をステップS50で特定した対象方向に進んだときの次の交差点を、対象方向にある次の交差点として特定する。
【0045】
ステップS70では、ステップS60で特定した交差点に方面案内看板があるか否かを判定する。この判定もステップS20と同様に、DVD−ROM19に記録された地図データに含まれる方面案内看板データに基づいて行われる。方面案内看板がある場合はステップS80へ進む。一方、方面案内看板がない場合はステップS60へ戻り、ステップS60においてさらにその次の交差点を特定してからステップS70の判定を再度行う。これにより、方面案内看板がない交差点は処理の対象から除外される。
【0046】
ステップS80では、車両前方の交差点における対象方向の行き先地名、すなわちステップS30で表示した方面案内看板の模擬画像において対象方向に示された行き先地名と、ステップS60で特定した次の交差点における行き先地名とが同一であるか否かを判定する。これらの行き先地名が同一である場合はステップS60へ戻り、ステップS60においてさらにその次の交差点を特定してから、ステップS70およびS80の判定を再度行う。これにより、車両前方の交差点における行き先地名と次の交差点の行き先地名が同一である場合、次の交差点は処理の対象から除外され、さらにその次の交差点が処理の対象とされる。
【0047】
ステップS90では、ステップS60で特定した次の交差点の行き先地名を表示または音声出力することにより、次の行き先地名の出力を行う。これにより、次の行き先地名を表示した場合は、表示モニタ16において図2(c)に示す吹き出し33が表示される。ステップS90を実行したら、ステップS150へ進む。
【0048】
一方、ステップS40からステップS100へ進んだ場合、ステップS100では、ステップS30で表示した方面案内看板の模擬画像において示された矢印部分のいずれかがユーザによって選択されたか否かを判定する。この選択も前述のステップS40と同様にタッチパネル操作または音声認識によって行われる。矢印部分のいずれかが選択された場合はステップS110へ進み、選択されなかった場合はステップS150へ進む。
【0049】
ステップS110では、非掲示地名をユーザに通知する際の対象方向の特定を行う。ここでは、ステップS100でユーザに選択されたと判定した矢印部分に対応する進行方向を対象方向として特定する。これにより、たとえば図3(b)のように直進方向の矢印部分が選択された場合は、その直進方向を対象方向として特定する。
【0050】
ステップS120では、前述のステップS60と同様に、ステップS110で特定した対象方向にある次の交差点の特定を行う。すなわち、ステップS10において検出された車両前方の交差点をステップS110で特定した対象方向に進んだときの次の交差点を、対象方向にある次の交差点として特定する。
【0051】
ステップS130では、前述のステップS70と同様に、DVD−ROM19に記録された地図データに含まれる方面案内看板データに基づいて、ステップS120で特定した交差点に方面案内看板があるか否かを判定する。方面案内看板がある場合はステップS140へ進む。一方、方面案内看板がない場合はステップS120へ戻り、ステップS120においてさらにその次の交差点を特定してからステップS130の判定を再度行う。これにより、方面案内看板がない交差点は処理の対象から除外される。
【0052】
ステップS140では、ステップS120で特定した交差点の方面案内看板の模擬画像を表示モニタ16において表示することにより、次の方面案内看板の模擬画像の表示を行う。これにより、図3(c)に示す新たな方面案内看板の模擬画像34が表示される。ステップS140を実行したら、ステップS150へ進む。
【0053】
ステップS150では、ステップS10で検出した前方の交差点を車両が通過したか否かを判定する。まだ通過していなければステップS40へ戻り、上記に説明したステップS40以降の処理を繰り返す。なお、このときステップS140を実行することで次の交差点についての方面案内看板の模擬画像を表示していた場合は、その方面案内看板の模擬画像を対象として、ステップS40およびステップS100の判定を実行する。これにより、さらにその次の交差点における行き先地名や方面案内看板の模擬画像が、ユーザの操作に応じて表示モニタ16に表示される。一方、前方の交差点を車両が通過した場合は、ステップS160へ進む。
【0054】
ステップS160では、ステップS30またはステップS140において表示した方面案内看板の模擬画像を表示モニタ16から消去する。ステップS160を実行したらステップS10へ戻り、上記のような処理を繰り返す。以上説明したようにして、非掲示地名がユーザに通知される。
【0055】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)前方の交差点における方面案内看板の模擬画像を表示モニタ16に表示し(ステップS30)、その方面案内看板の模擬画像に示された進行方向のうち、いずれかの進行方向を対象方向として特定する(ステップS50、S110)。こうして特定された対象方向について、次の交差点における行き先地名の出力や方面案内看板の表示を行う(ステップS90、S140)ことで、方面案内看板には示されていない行き先地名である非掲示地名をユーザに通知することとした。このようにしたので、前方の交差点における方面案内看板に示されていない行き先についても、車両の運転者に知らせることができる。
【0056】
(2)ステップS90において、特定された対象方向についての非掲示地名を表示モニタ16に表示または音声出力することにより、その非掲示地名をユーザに通知することとした。具体的には、前方の交差点を対象方向に進んだときの次の交差点を特定し(ステップS60)、その交差点における行き先地名を、対象方向についての非掲示地名としてステップS90において表示モニタ16に表示または音声出力することとした。このようにしたので、適切な非掲示地名をユーザに通知することができる。
【0057】
(3)前方の交差点における対象方向の行き先地名と、前方の交差点を対象方向に進んだときの次の交差点における行き先地名とが同一であるか否かを判定し(ステップS80)、これらの行き先地名が同一である場合、さらにその次の交差点をステップS60において特定し、その交差点における行き先地名を、対象方向についての非掲示地名としてステップS90において表示モニタ16に表示または音声出力することとした。このようにしたので、次の交差点における行き先地名が非掲示地名でなくても、さらにその次の交差点における行き先地名により非掲示地名をユーザに通知することができる。
【0058】
(4)表示モニタ16に表示された方面案内看板の模擬画像に示された行き先地名部分のいずれかを指定するタッチパネル操作がタッチパネル16aおよび制御回路11によって検出されると(ステップS40)、その行き先地名部分に対応する進行方向を対象方向として、ステップS50において対象方向を特定することとした。このようにしたので、ユーザは簡単な操作により、ナビゲーション装置1に対して非掲示地名を表示させる対象方向を指定することができる。
【0059】
(5)ステップS140において、特定された対象方向についての非掲示地名を含む新たな方面案内看板の模擬画像を表示モニタ16に表示することにより、その非掲示地名をユーザに通知することとした。具体的には、前方の交差点を対象方向に進んだときの次の交差点を特定し(ステップS120)、その交差点における方面案内看板の模擬画像を、新たな方面案内看板の模擬画像としてステップS140において表示モニタ16に表示することとした。このようにしたので、上記(2)と同様に、適切な非掲示地名をユーザに通知することができる。
【0060】
(6)ステップS140において表示された新たな方面案内看板の模擬画像に示された進行方向のうち、いずれかの進行方向がステップS110において対象方向として特定された場合、さらにその次の交差点をステップS120において特定し、その交差点における方面案内看板の模擬画像を、ステップS140において表示モニタ16に表示することとした。このようにしたので、対象方向に連なる交差点についての新たな方面案内看板の模擬画像をユーザの操作に応じて次々に表示し、これによって様々な非掲示地名をユーザに通知することができる。
【0061】
(7)表示モニタ16に表示された方面案内看板の模擬画像に示された矢印部分のいずれかを指定するタッチパネル操作がタッチパネル16aおよび制御回路11によって検出されると(ステップS100)、その矢印部分に対応する進行方向を対象方向として、ステップS110において対象方向を特定することとした。このようにしたので、上記(4)と同様に、ユーザは簡単な操作により、ナビゲーション装置1に対して非掲示地名を表示させる対象方向を指定することができる。
【0062】
なお、以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】非掲示地名の一つ目の通知方法を説明するための図である。
【図3】非掲示地名の二つ目の通知方法を説明するための図である。
【図4】非掲示地名をユーザに通知するときに実行されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM
20 マイク
21 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方の交差点における方面案内看板の模擬画像を表示モニタに表示する表示制御手段と、
前記表示モニタに表示された方面案内看板の模擬画像に示された進行方向のうち、いずれかの進行方向を対象方向として特定する対象方向特定手段と、
前記対象方向特定手段により特定された対象方向について、前記方面案内看板には示されていない行き先地名である非掲示地名をユーザに通知する通知手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記通知手段は、前記対象方向についての非掲示地名を前記表示モニタに表示または音声出力することにより、その非掲示地名をユーザに通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記通知手段は、前記前方の交差点を前記対象方向に進んだときの次の交差点における行き先地名を、前記対象方向についての非掲示地名として前記表示モニタに表示または音声出力することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記前方の交差点における前記対象方向の行き先地名と、前記前方の交差点を前記対象方向に進んだときの次の交差点における行き先地名とが同一である場合、
前記通知手段は、さらにその次の交差点における行き先地名を、前記対象方向についての非掲示地名として前記表示モニタに表示または音声出力することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2〜4いずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記表示モニタに対するタッチパネル操作を検出するタッチパネル手段をさらに備え、
前記対象方向特定手段は、前記表示モニタに表示された方面案内看板の模擬画像に示された行き先地名部分のいずれかを指定するタッチパネル操作が前記タッチパネル手段によって検出されると、その行き先地名部分に対応する進行方向を対象方向として特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記通知手段は、前記対象方向についての非掲示地名を含む新たな方面案内看板の模擬画像を前記表示モニタに表示することにより、その非掲示地名をユーザに通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、
前記通知手段は、前記前方の交差点を前記対象方向に進んだときの次の交差点における方面案内看板の模擬画像を、前記新たな方面案内看板の模擬画像として前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記新たな方面案内看板の模擬画像に示された進行方向のうち、いずれかの進行方向が前記対象方向特定手段により対象方向として特定された場合、
前記通知手段は、前記次の交差点のさらにその次の交差点における方面案内看板の模擬画像を前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項6〜8いずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記表示モニタに対するタッチパネル操作を検出するタッチパネル手段をさらに備え、
前記対象方向特定手段は、前記表示モニタに表示された方面案内看板の模擬画像に示された矢印部分のいずれかを指定するタッチパネル操作が前記タッチパネル手段によって検出されると、その矢印部分に対応する進行方向を対象方向として特定することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−32629(P2008−32629A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208256(P2006−208256)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】