説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地の設定を行っていない場合でも、到着予想時刻に変化があったときに、所望の連絡先に到着予想時刻の変化を伝えることができるようにすること。
【解決手段】車両Cの位置情報を取得するGPS受信機101と、交通情報を取得するVICS受信機102と、車両Cの停車回数を前記位置情報から算出し車両Cの出発地点情報及び到着地点情報をリンクさせて記憶するメモリ107と、目的地が設定されていない状態で車両Cが走行している時に、車両Cの目的地候補をメモリ107に記憶された前記出発地点情報と前記到着地点情報に基づいて少なくとも1つ以上推定し、推定された目的地候補の到着予測時間を算出し、VICS受信機102で取得された前記交通情報によって前記到着予測時間に遅れが発生することを推測し、遅れが発生すると推測された時に前記車両の現在位置から近接した前記目的地候補に対して順番に連絡を行うCPU104と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、到着予想時刻に変化が生じた場合に所望の相手に到着時刻の変化を伝えることができるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置に関する技術として、目的地への到着時間が遅れたり、早まったりする場合に、到着時刻の変化を所望の相手にメールや電話等で伝えるものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3など参照)。
【特許文献1】特開平11−86194号公報
【特許文献2】特開2002−350165号公報
【特許文献3】特開2005−189040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば、一般的に、自宅と会社との間の通勤経路ように毎日決まった通り慣れたルートを走行する場合には、自宅や会社をその都度目的地として設定するような煩わしい操作をしないことが多いため、このように目的地を設定していない場合には、到着時刻の変化を所望の相手に伝えることができないという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、目的地の設定を行っていない場合でも、到着予想時刻に変化があったときに、所望の連絡先に到着予想時刻の変化を伝えることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため、本発明のナビゲーション装置は、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、交通情報を取得する交通情報取得手段と、前記車両の停車回数を前記位置情報から算出し前記車両の出発地点情報及び到着地点情報をリンクさせて記憶する記憶手段と、目的地が設定されていない状態で前記車両が走行している時に、前記車両の目的地候補を前記記憶手段に記憶された前記出発地点情報と前記到着地点情報に基づいて少なくとも1つ以上推定する目的地推定手段と、前記目的地推定手段で推定された目的地候補の到着予測時間を算出する到着予測時間算出手段と、前記交通情報手段で取得された前記交通情報によって前記到着予測時間算出手段で算出された到着予測時間に遅れが発生することを推測する遅延推測手段と、前記遅延推測手段で遅れが発生すると推測された時に前記車両の現在位置から近接した前記目的地候補に対して順番に連絡を行う連絡手段と、を備えて構成されている。
【0006】
このように構成された本発明のナビゲーション装置は、目的地を設定していない状態で走行していても、記憶手段に記憶された出発地点情報と到着地点情報に基づいて少なくとも1つ以上の目的地を推定し、交通情報取得手段で交通情報を取得し推定している目的地の到着予測時間よりも遅れが発生すると推測されると、車両の現在位置から近接した目的地候補に連絡するように構成しているので、目的地を設定していなくても、過去の出発地点情報と到着地点情報から目的地を推測し、推測された目的地までの到着予想時間よりも交通情報の情報によって遅れると判断すると自動的に目的地に連絡をすることができる。なお、出発地点情報、到着地点情報には、位置情報、時間、曜日、季節等が情報として保存されており、走行している時間や曜日や位置情報等を用いることで目的地推定手段を用いて目的地を推定することができる。
【0007】
また、本発明のナビゲーション装置の前記連絡手段は、前記交通情報取得手段から取得した交通情報を含めた連絡情報を送信する送信機能を備えて構成されている。
【0008】
このように構成された本発明のナビゲーション装置は、目的地推定手段で推定された目的地に対して連絡手段を用いて連絡する際に、到着時刻が遅れる理由がわかる(証明することができる)交通情報と共に連絡情報を送信することができる送信機能を備えることで、送信先に到着時刻が遅れることを明確に把握することができる。なお、連絡情報としては、車両の所有者名、車両名、車両ナンバー等を用いることができる。
【0009】
また、本発明のナビゲーション装置の前記連絡手段は、前記目的地候補が複数存在する場合、前記車両が前記目的地候補の到着地に過去に到着した到着頻度を比較し、前記到着頻度が多い方の目的地候補の到着地を優先的に連絡先とする連絡先選択手段を備えて構成されている。
【0010】
このように構成された本発明のナビゲーション装置は、目的地推定手段で推定された目的地が複数存在する場合に、目的地推定手段で推定された目的地候補の到着地に過去に到着した到着頻度を比較して、到着頻度が高い到着地を優先的に連絡先として連絡先選択手段が選択するので、自動的に最適な目的地候補に到着時間が遅れることを自動的に連絡することができる。
【0011】
また、本発明のナビゲーション装置の前記連絡手段は、前記目的地候補が複数存在する場合、前記車両が前記目的地候補の到着地に過去に到着した到着頻度を比較し、前記到着頻度の差が少なく前記連絡先選択手段により前記連絡先を特定できない場合に、前記位置情報取得手段により取得した前記車両の走行レーンに基づいて前記目的地候補を絞り込む目的地候補絞り込み手段を備えて構成されている。
【0012】
このように構成された本発明のナビゲーション装置は、目的地推定手段で推定された目的地が複数存在する場合に、目的地推定手段で推定された目的地候補の到着地に過去に到着した到着頻度を比較して、到着頻度の差が少なく最適な目的地候補の連絡先を特定できないときに、車両の走行している走行レーンの位置に基づいて目的地候補を絞り込むことができ、絞り込んだ目的地に到着時間が遅れることを自動的に連絡することができる。
【0013】
また、本発明のナビゲーション装置の前記連絡手段は、前記車両の走行速度に基づいて前記目的地候補から連絡先を推定するように構成されている。
【0014】
このように構成された本発明のナビゲーション装置は、車両の走行速度に基づいて最適な目的地候補の連絡先を判断するので、連絡先の推定する精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、目的地の設定を行っていない場合でも、目的地候補を推定し、推定された目的地候補の到着予想時刻が遅れると判断したときに、所望の連絡先に到着時刻が遅れることを正確に伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置ついて、図面を参照して詳細に説明する。なお、ここでは、本例のナビゲーション装置を車両に搭載した場合を例にとって説明することとする。図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、本例のナビゲーション装置100は、GPS受信機101、VICS受信機102、操作部103、CPU104、画像処理部105、モニタ106、メモリ107、ハードディスク108を備えている。
【0018】
図1において、位置情報取得手段としてのGPS受信機101は、本例のナビゲーション装置100を搭載した車両の現在位置の位置情報を取得する。
【0019】
交通情報取得手段としてのVICS受信機102は、外部から送信される交通情報を受信する。交通情報としては、渋滞(区間・程度)情報、事故(場所)情報、臨時規制(区間・場所・内容)情報などがある。
【0020】
選択・入力手段としての操作部103は、モニタ106に配置されたタッチパネルや操作キーなどを備え、モニタ106に表示されたメニューの選択や連絡先情報などの入力を行う。
【0021】
制御手段としてのCPU104は、入力情報に基づく演算処理、及びハードディスク108に予め記憶されている所定の制御プログラムに従ってナビゲーション装置100の各部の動作等を制御する。
【0022】
画像処理手段としての画像処理部105は、CPU104とやり取りしてハードディスク108に記憶されている画像データを表示レートで読み出し、読み出した画像データを描画処理してモニタ106に表示する。
【0023】
表示手段としてのモニタ106は、画像処理部105で描画処理された画像をLCDパネル等に表示する。
【0024】
一時記憶手段としてのメモリ107は、車両走行時の出発地点情報(出発地、出発時刻、日付(曜日))や、到着地点情報(到着地、到着時刻、日付(曜日)、走行経路)などを記憶する。
【0025】
大容量記憶手段としてのハードディスク108は、モニタ106に表示するための地図データ、過去の走行経路や交通情報(渋滞地点情報)、及び渋滞発生時に到着予想時刻の遅れなどを連絡する連絡先の電話番号やメールアドレスなどを記憶する。
【0026】
本例のナビゲーション装置100には、通信機器200が接続されており、この通信機器200は、走行中に突発的渋滞が発生した場合などに、CPU104により演算した到着予想時刻の遅れ情報などを所望の連絡先に無線通信により伝える。
【0027】
次に、本例のナビゲーション装置100の動作について説明する。図2は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の推定目的地の登録動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、図3及び図4に示すように、自宅Aと会社Bとの間を車両Cが往復する場合を例にとって説明することとする。
【0028】
図2に示す推定目的地の登録動作がスタートすると、まず車両Cが走行開始したか否か判断される(ステップST201)。
【0029】
ここで、車両Cが走行を開始したと判定されると、例えば、図3(a)に示すような、「2月20日(月)、A.M8:05出発、出発場所:自宅」という出発地点情報がメモリ107に記憶される(ステップST202)。
【0030】
次いで、走行開始した車両Cが停車したか否か判断される(ステップST203)。
【0031】
そして、ステップST203において、車両Cが停車したと判定されると、車両Cが一定時間、つまり車両Cが目的地に到着して駐車していると確定できる時間停車しているか否か判断される(ステップST204)。
【0032】
ここで、車両Cが一定時間停車していると判定されると、例えば、図3(a)に示すような、「2月20日(月)、A.M9:35到着、到着場所:会社」という到着地点情報がメモリ107に記憶される(ステップST205)。
【0033】
上述の出発地点情報及び到着地点情報は、GPS受信機101により取得した位置情報、図示しないタイマにより取得した時刻情報、及び操作部103により入力した入力情報に基づいて、ユーザ判断によりハードディスク108に保存される。
【0034】
次いで、上述の出発地点情報と到着地点情報とを比較し、車両Cが、同一時間帯・曜日に同一出発地から同一到着地へ走行した履歴があるか否か判断される(ステップST206)。
【0035】
ここで、車両Cが、同一時間帯・曜日に同一出発地から同一到着地へ走行した履歴があると判定された場合には、車両Cの走行履歴の停車回数をカウントする(ステップST207)。
【0036】
そして、ステップST207でカウントした車両Cの走行履歴の停車回数が一定回数(例えば、5回)以上であるか否か判断する(ステップST208)。
【0037】
ここで、ステップST207でカウントした車両Cの走行履歴の停車回数が一定回数以上であると判定された場合には、ステップST205で記憶した到着地を推定目的地に登録し、前述の出発地点情報と到着地点情報とをリンクさせる(ステップST209)。また、ここで登録した推定目的地をメモリ地点として、この地点の電話番号やメールアドレスをハードディスク108に登録する。
【0038】
具体的には、車両Cが、図3(a)に示す2月20日(月)から、図3(b)に示す2月24日(金)までの、平日、同じ時間帯に自宅Aを出発し、会社Bに向かう場合には、車両Cが同じ時間帯に一定回数(5回)、会社Bに停車することになる。
【0039】
従って、この場合には、ステップST209において、到着地である会社Bが推定目的地に登録され、図3(c)に示すように、出発地である自宅Aの出発地点情報と到着地である会社Bの到着地点情報とがリンクされる。これにより、車両Cが同じ時間帯に一定回数停車し、平日A.M8:00ころ、自宅Aを出発した場合には、車両Cは「会社Bに行く」というように推測する。
【0040】
そして、本例のナビゲーション装置100においては、図3(d)に示すように、出発地である自宅Aから到着地である会社Bに車両Cが向かう途中で渋滞が発生し、当初の到着予想時刻に遅れが発生する場合に、登録した推定目的地から到着予想時刻に遅れが生じたことを連絡する連絡先である会社Bを選択して、車両Cから会社Bに到着予想時刻の遅れを連絡する。つまり、車両Cが平日A.M8:00ころ、自宅Aを出発した場合は、車両Cは「会社Bに行く」というように推測しているが、その途中で突発的渋滞が発生した場合には、到着が遅れそうということを会社Bに連絡する。
【0041】
また、車両Cが、図4(a)に示す2月20日(月)から、図4(b)に示す2月24日(金)までの、平日、同じ時間帯に会社Bを出発し、自宅Aに向かう場合には、車両Cが同じ時間帯に一定回数(5回)、自宅Aに停車することになる。
【0042】
従って、この場合には、ステップST209において、到着地である自宅Aが推定目的地に登録され、図4(c)に示すように、出発地である会社Bの出発地点情報と到着地である自宅Aの到着地点情報とがリンクされる。これにより、車両Cが同じ時間帯に一定回数停車し、平日P.M6:00ころ、会社Bを出発した場合には、車両Cは「自宅Aに帰る」というように推測する。
【0043】
そして、本例のナビゲーション装置100においては、図4(d)に示すように、出発地である会社Bから到着地である自宅Aに車両Cが向かう途中で渋滞が発生し、当初の到着予想時刻に遅れが発生する場合に、登録した推定目的地から到着予想時刻に遅れが生じたことを連絡する連絡先である自宅Aを選択して、車両Cから自宅Aに到着予想時刻の遅れを連絡する。つまり、車両Cが平日P.M6:00ころ、会社Bを出発した場合は、車両Cは「自宅Aに帰る」というように推測しているが、その途中で突発的渋滞が発生した場合には、到着が遅れそうということを自宅Aに連絡する。
【0044】
次に、車両Cが所定の出発地から所定の目的地に向かって走行しているときのナビゲーション装置100の動作について説明する。図5は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の走行時の動作を示すフローチャートである。
【0045】
図5に示すように、車両Cが走行を開始すると、まず、GPS受信機101により取得した位置情報や、エンジンの始動時刻、カレンダーなどから出発地点情報(出発地、出発時刻、日付(曜日))をメモリ107に記憶する(ステップST501)。
【0046】
次いで、走行中の車両Cが、「いつも渋滞している地点」に到着したか否かを、過去の走行時にハードディスク108に蓄積しておいた渋滞統計データ及び走行履歴から、判断する(ステップST502)。
【0047】
ここで、車両Cが「いつも渋滞している地点」に到着したと判定された場合には、VICS受信機102により取得した交通情報から渋滞が発生しているか否か判断する(ステップST503)。
【0048】
そして、ステップST503において、渋滞が発生していると判定された場合には、発生している渋滞が突発的渋滞であるか否かを、渋滞統計データ及び走行履歴から判断する(ステップST504)。ここでいう突発的渋滞とは、日常的に発生している自然渋滞では無く、事故や工事等によって発生する一時的な渋滞をいう。
【0049】
次いで、ステップST504において、突発的渋滞が発生していると判定された場合には、車両Cが、突発的渋滞の影響により一定時間停車もしくは一定速度で走行しているか否か判断される(ステップST505)。ここでいう一定時間もしくは一定速度とは、突発的渋滞が発生している地点での過去の平均的な停車時間もしくは走行速度と比較して、到着予想時刻の遅れの発生を余儀なくされる停車時間もしくは走行速度をいう。
【0050】
そして、ステップST505において、車両Cが、到着予想時刻の遅れの発生を余儀なくされる一定時間停車もしくは一定速度で走行していると判定された場合には、ステップST506の連絡先(推定目的地)選択ルーチンが実行される。
【0051】
図6は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の連絡先の選択動作である連絡先選択ルーチンを示すフローチャートである。
【0052】
図6に示す連絡先選択ルーチンが実行されると、まず、予め登録されている推定目的地があるか否か、つまり、現在の出発地点情報と、ハードディスク108に記憶している出発地点情報及び到着地点情報とを比較し、現在の出発地とリンクする渋滞発生箇所以降の推定目的地があるか否かを判断する(ステップST601)。
【0053】
ここで、推定目的地があると判定された場合には、モニタ106に目的地候補を表示する(ステップST602)。
【0054】
次いで、モニタ106に表示された目的地候補が複数有るか否か判断される(ステップST603)。
【0055】
ここで、モニタ106に表示された目的地候補が複数有ると判定された場合には、図7に示す目的地候補絞り込みルーチンが実行される(ステップST604)。
【0056】
次いで、図7に示す目的地候補絞り込みルーチンが実行されて、複数の目的地候補が1つの推定目的地に絞り込まれた場合、もしくはステップST603でモニタ106に表示された目的地候補が1つのみの場合には、渋滞により到着予想時刻が遅れることを連絡する連絡先は上述の推定目的地でOKであるか否か判断する(ステップST605)。
【0057】
ここで、連絡先は上述の推定目的地でOKであると判定された場合には、選択した推定目的地へ通信機器200により電話もしくはメール等で、渋滞により到着予想時刻が遅れることを連絡する(ステップST606)。なお、メールを送信する際には、渋滞状況や渋滞原因(事故等)を本文に加えることも可能であり、渋滞通過予想時間から「○○分遅れます」と本文に加えることも可能である。
【0058】
一方、ステップST601において、推定目的地が無いと判定された場合、又はステップST605において、連絡先は上述の推定目的地でOKではないと判定された場合には、ハードディスク108に予め登録されている連絡先を電話帳等から選択し、選択した連絡先に渋滞により到着予想時刻が遅れることを連絡する(ステップST607)。
【0059】
なお、図5のステップST503において、渋滞が発生していないと判定された場合には、ステップST506の連絡先選択ルーチンを実行し、図6のステップST606又はステップSDT607において、選択した推定目的地又は連絡先に、到着予想時刻が早くなることを連絡する。
【0060】
次に、図6のステップST604で実行される目的地候補絞り込みルーチンについて説明する。図7は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の目的地候補の絞り込み動作である目的地候補絞り込みルーチンを示すフローチャートである。図8は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の目的地候補の絞り込み動作について説明するための概略図である。
【0061】
図6のステップST603において目的地候補が複数有ると判定されて、図7に示す目的地候補絞り込みルーチンが実行されると、まず、複数ある目的地候補同士の停車回数の差が大きいか否か判断される(ステップST701)。
【0062】
ここで、複数ある目的地候補同士の停車回数の差が所定値よりも大きいと判定された場合には、停車回数の多い方を推定目的地とする(ステップST702)。
【0063】
すなわち、図8(a)に示すように、目的地候補が複数あり、候補を表示する際、停車回数に差がある場合には、停車回数が多い推定目的地Eに向かっている確立が高くなるので、指定目的地Eを推定目的地とする。
【0064】
なお、複数ある目的地候補同士の停車回数の差の大小の判断は、ハードディスク108に記憶されている車両Cの過去の走行履歴に基づいて総合的に判断される。
【0065】
一方、ステップST701において、複数ある目的地候補同士の停車回数の差が所定値以下であると判断された場合、例えば、図8(b)に示すように、推定目的地Dの過去の停車回数が7回、推定目的地Eの過去の停車回数が10回で、両者の停車回数にあまり差がない場合には、何れかを推定目的地として絞り込む必要がある。
【0066】
そこで、このような場合には、車両Cの位置が一番手前の目的地候補(図8に示す推定目的地D)まで近いか否か、また右左折が無いか否かを判断する(ステップST703)。
【0067】
ここで、車両Cの位置が一番手前の目的地候補まで近く、また右左折が無いと判定された場合には、走行中道路に複数車線あるか否か判断する(ステップST704)。
【0068】
そして、ステップST704において、走行中道路に複数車線あると判定された場合には、車両Cが左端レーン以外を走行中であるか否か判断される(ステップST705)。
【0069】
ここで、例えば、図8(c)に実線の矢印で示すように、車両Cが左端レーン以外を走行中であると判定された場合には、一番手前の目的地候補である推定目的地Dを候補から削除する(ステップST706)。つまり、目的地候補付近になっても左端レーンを走行していない場合は、そこへ行く確立が低いと判断して削除することができる。
【0070】
そして、次の目的地候補である推定目的地Eを、車両Cが向かっている推定目的地とする(ステップST707)。
【0071】
一方、ステップST704において、車両Cの走行中道路に複数車線が無いと判定された場合、また、ステップST705において、図8(c)に破線の矢印で示すように、左端レーンを走行中であると判定された場合には、一番手前の目的地候補である推定目的地Dを、推定目的地とする(ステップST708)。
【0072】
上述のように、本例のナビゲーション装置100においては、目的地を設定していない場合でも、走行中に突発的渋滞が発生したと判断された場合に、到着予想時刻が遅れそうであるということを、所定の連絡先の相手(会社など)に伝えることができる。
【0073】
特に、通勤時など、知っている道を走行する場合には、目的地設定を行わないことが多いが、このような場合に発生した突発的渋滞等に対しても、車両を停車させることなく、到着予想時間の変更を所望の相手に伝えることができる。
【0074】
また、本例のナビゲーション装置100においては、渋滞統計データ、走行データと比較し、普段発生している渋滞が無い場合など、早く到着しそうな場合も任意の相手に連絡することができる。
【0075】
なお、連絡先は、例えば、平日の朝は会社、土曜日及び日曜日は友人などのように、時間帯や曜日などによって、指定できるようにしてもよい。
【0076】
また、本例のナビゲーション装置100においては、例えば、過去の停車回数と、停車時間帯から、目的地を予測し、電話帳から検索するなどして、連絡先を予測する手段を備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係るナビゲーション装置は、目的地の設定を行っていない場合でも、到着予想時刻に変化があったときに、所望の連絡先に到着予想時刻の変化を伝えることができるので、車載用のナビゲーション装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の推定目的地の登録動作を示すフローチャート
【図3】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の推定目的地を会社とした場合の登録動作について説明するための概略図
【図4】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の推定目的地を自宅とした場合の登録動作について説明するための概略図
【図5】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の走行時の動作を示すフローチャート
【図6】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の連絡先の選択動作である連絡先選択ルーチンを示すフローチャート
【図7】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の目的地候補の絞り込み動作である目的地候補絞り込みルーチンを示すフローチャート
【図8】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の目的地候補の絞り込み動作について説明するための概略図
【符号の説明】
【0079】
100 ナビゲーション装置
101 GPS受信機
102 VICS受信機
103 操作部
104 CPU
105 画像処理部
106 モニタ
107 メモリ
108 ハードディスク
200 通信機器
A 自宅
B 会社
C 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
交通情報を取得する交通情報取得手段と、
前記車両の停車回数を前記位置情報から算出し前記車両の出発地点情報及び到着地点情報をリンクさせて記憶する記憶手段と、
目的地が設定されていない状態で前記車両が走行している時に、前記車両の目的地候補を前記記憶手段に記憶された前記出発地点情報と前記到着地点情報に基づいて少なくとも1つ以上推定する目的地推定手段と、
前記目的地推定手段で推定された目的地候補の到着予測時間を算出する到着予測時間算出手段と、
前記交通情報手段で取得された前記交通情報によって前記到着予測時間算出手段で算出された到着予測時間に遅れが発生することを推測する遅延推測手段と、
前記遅延推測手段で遅れが発生すると推測された時に前記車両の現在位置から近接した前記目的地候補に対して順番に連絡を行う連絡手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記連絡手段は、前記交通情報取得手段から取得した交通情報を含めた連絡情報を送信する送信機能を備えて構成されることを特徴する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記連絡手段は、前記目的地候補が複数存在する場合、前記車両が前記目的地候補の到着地に過去に到着した到着頻度を比較し、前記到着頻度が多い方の目的地候補の到着地を優先的に連絡先とする連絡先選択手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記連絡手段は、前記目的地候補が複数存在する場合、前記車両が前記目的地候補の到着地に過去に到着した到着頻度を比較し、前記到着頻度の差が少なく前記連絡先選択手段により前記連絡先を特定できない場合に、前記位置情報取得手段により取得した前記車両の走行レーンに基づいて前記目的地候補を絞り込む目的地候補絞り込み手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記連絡手段は、前記車両の走行速度に基づいて前記目的地候補から連絡先を推定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−70257(P2008−70257A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249808(P2006−249808)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】