説明

ナビゲーション装置

【課題】割引適用時間帯に有料道路を通行するためにどのような速度で車両を走行させればよいかを知らせる。
【解決手段】ナビゲーション装置は、自車両が対象地点へ到達して通過すべき通過予定時刻を設定し(ステップS60)、設定した通過予定時刻に基づいて、現在の自車両の走行速度が適切であるか否かを判定する(ステップS80)。この判定の結果に応じて、ペースアップ、ペースキープまたはペースダウンのいずれかの指示を行うことにより、自車両が走行すべき速度について案内する(ステップS90、S100、S110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両が有料道路を通行する際に徴収される通行料金について、様々な割引サービスが運用されている。たとえば、ETC(Electronic Toll Collection System)を利用して通行料金を支払う車両は、その通行料金が時間帯に応じて割り引かれる場合がある。このような割引サービスの適用を受けるため、有料道路とその有料道路に対する通行料金の割引適用時間帯を記憶して、割引適用時間帯に有料道路を通行するような出発時刻を算出して表示するナビゲーション装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−85765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるナビゲーション装置では、単に出発時刻が表示されるだけであるため、割引適用時間帯に有料道路を通行するためにどのような速度で車両を走行させればよいかを知らせることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるナビゲーション装置は、自車両が対象地点へ到達すべき予定時刻を設定する予定時刻設定手段と、自車両の走行速度を検出する速度検出手段と、予定時刻設定手段により設定された予定時刻に基づいて、速度検出手段により検出された走行速度が適切であるか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定の結果に応じて、自車両が走行すべき速度について案内する案内手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、対象地点は、所定の割引適用時間帯に通行すると通行料金が割り引かれる割引対象有料道路の入口または出口を含み、予定時刻設定手段は、その割引適用時間帯に基づいて、予定時刻を設定するものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、自車両が走行すべき推奨経路を設定する経路設定手段をさらに備え、予定時刻設定手段は、推奨経路上に割引対象有料道路があるときに、その入口または出口に対して予定時刻を設定するものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、予定時刻設定手段は、ユーザに指定された地点および時刻を、対象地点および予定時刻としてそれぞれ設定するものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、判定手段により走行速度が適切でないと判定された場合、案内手段は、走行速度の増加または減少を運転者に対して指示するものである。
請求項6の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、走行速度と制限速度との差が所定の範囲内であるときには、判定手段により走行速度が適切でないと判定された場合であっても、案内手段による走行速度の増加の指示を禁止するものである。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、判定手段により走行速度が適切であると判定された場合、案内手段は、走行速度の維持を運転者に対して指示するものである。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、交通情報を取得する交通情報取得手段をさらに備え、判定手段は、交通情報取得手段により取得された交通情報に基づいて現在地から対象地点までの交通状況を判断し、走行速度が適切であるか否かを判定するものである。
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、自車両が対象地点へ予定時刻に到達するための速度が所定の最低速度を下回る場合、立ち寄り地点を設定してその立ち寄り地点へ自車両を誘導するものである。
請求項10の発明は、請求項9に記載のナビゲーション装置において、立ち寄り地点における立ち寄り時間の目安を通知するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、割引適用時間帯に有料道路を通行するためにどのような速度で車両を走行させればよいかを知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、ETCユニット15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。ナビゲーション装置1には、通信端末2が接続されている。
【0008】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、後で説明するような各種の処理を実行する。また、制御部10は通信端末2を制御して不図示の交通情報データベースと通信を行い、交通情報や制限速度情報、時間帯に応じた割引の適用がある有料道路についての割引情報などを、交通情報データベースから取得する。
【0009】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速すなわち走行速度を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することで、制御部10において自車両の位置移動量が求められ、それによって自車両の現在位置が検出される。
【0010】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0011】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。なお、地図データにおいて各道路を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクによって構成されている。
【0012】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0013】
ETCユニット15は、有料道路の料金所等に設置されている路側送受信機との間で所定の無線信号を送受信することにより、有料道路の通行料金の精算に必要な情報を交換する。たとえば、通過料金所を特定するための情報や、車両を特定するための情報、ETCカードの情報、通行料金の情報などが、ETCユニット15と路側送受信機との間で交換される。これらの情報に基づいて、不図示のETCサーバにおいて通行料金の精算処理が行われる。
【0014】
表示モニタ16は、様々な画像や映像などを表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ16により、自車位置周辺の地図などが表示される。なお、表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。
【0015】
スピーカ17は、制御部10の制御により、車両の走行に関する様々な音声情報を出力する。たとえば、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するための経路案内用の音声や、各種の警告音などが出力される。
【0016】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0017】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理により、出発地から目的地まで至る推奨経路が探索されると、探索された推奨経路にしたがってルート案内が行われ、自車両が目的地まで誘導される。
【0018】
上記のようにして自車両を目的地まで誘導する際、ナビゲーション装置1は、推奨経路上に割引対象有料道路があるか否かを判定する。なお、割引対象有料道路とは、通行料金が時間帯に応じて割り引かれる有料道路のことである。すなわち、所定の割引時間帯に自車両が入口または出口を通過してその有料道路を通行すると、通行料金が割り引かれる。現在、ETCを利用する車両に対して、深夜割引や早朝割引、通勤時間帯の割引などが、高速道路等の有料道路のうち所定の対象区間において運用されている。このような割引サービスの適用対象区間である有料道路を、以下では割引対象有料道路と称する。
【0019】
推奨経路上に割引対象有料道路がある場合、ナビゲーション装置1は、その入口または出口を対象地点として、その対象地点に自車両が到達すべき時刻(予定時刻)を設定する。そして、設定した予定時刻に対して現在の自車両の走行速度が適切であるか否かを判定し、その判定の結果に基づいて、自車両が走行すべき速度についての案内を自車両の運転者であるユーザに対して行う。
【0020】
すなわち、自車両の走行速度が遅すぎて、このままでは予定時刻に間に合わないのであれば、走行速度を増加させる(ペースアップ)ようにユーザに対して指示する。反対に、自車両の走行速度が速すぎて、このままでは予定時刻よりも早く到達してしまうのであれば、走行速度を減少させる(ペースダウン)ようにユーザに対して指示する。なお、自車両の走行速度が適切である場合は、走行速度を維持する(ペースキープ)ようにユーザに対して指示する。これにより、自車両が割引対象有料道路を通行する際に、入口または出口の通過時刻が割引条件を満たして通行料金の割引の適用を受けられるようにする。
【0021】
図2は、ペースアップの指示を行うときに表示モニタ16において表示される画面の例である。この画面では、地図上に推奨経路を示すと共に、その推奨経路の上に自車両の位置を示す自車位置マーク20が表示されている。さらに、上向きの矢印21を表示することにより、自車両の走行速度を増加させるようにユーザを促している。
【0022】
図3は、ペースダウンの指示を行うときに表示モニタ16において表示される画面の例である。この画面では、図2と同様に推奨経路の上に自車位置マーク20を表示すると共に、下向きの矢印22を表示することにより、自車両の走行速度を減少させるようにユーザを促している。
【0023】
図4は、ペースキープの指示を行うときに表示モニタ16において表示される画面の例である。この画面では、図2および3と同様に推奨経路の上に自車位置マーク20を表示すると共に、丸印23を表示することにより、自車両の走行速度を維持するようにユーザを促している。
【0024】
なお、以上説明した図2〜4の画面はあくまで一例であるため、これ以外の画面内容としてもよい。たとえば、現在の走行速度と目標速度との差を表示したり、指示内容を文字により表示したりしてもよい。さらに、表示モニタ16の画面表示の内容に合わせて、当該指示に合わせた音声を出力するようにしてもよい。
【0025】
以上説明したようにして自車両が走行すべき速度について案内するときの処理のフローチャートを図2に示す。このフローチャートの処理は、ナビゲーション装置1において制御部10により実行される。
【0026】
ステップS10では、自車両が走行すべき推奨経路の設定を行う。前述のようにユーザが目的地を設定すると、それに応じて実行されるルート探索処理の結果にしたがって、現在地から目的地までの推奨経路が設定される。ステップS20では、ステップS10で設定した推奨経路上に割引対象有料道路があるか否かを判定する。推奨経路上に前述のような割引対象有料道路がある場合はステップS30へ進み、ない場合は図5のフローチャートを終了する。
【0027】
ステップS30では、ステップS20で推奨経路上にあると判定された割引対象有料道路について、時間帯割引を適用するか否かを判定する。この判定は、たとえば、予め設定された時間帯割引の適用条件などに基づいて行われる。あるいは、ステップS20で割引対象有料道路があると判定したら、それに応じて確認用の画面を表示モニタ16に表示して、ユーザに時間帯割引を適用するか否かを確認してもよい。時間帯割引の適用条件を満たす場合や、時間帯割引の適用を希望する旨の所定の操作がユーザから入力された場合は、ステップS40へ進む。一方、このような条件を満たさずに時間帯割引を適用しないと判定した場合は、図5のフローチャートを終了する。
【0028】
ステップS40では、ステップS20で推奨経路上にあると判定された割引対象有料道路についての割引適用時間帯などの情報を表す割引情報と、その推奨経路に含まれる各道路の制限速度情報とを取得する。これらの情報は、前述のように通信端末2を用いて不図示の交通情報データベースと通信を行うことにより、取得することができる。あるいは、予めHDD13に記録された全国の道路についての割引情報や制限速度情報から、該当する情報を検索して取得するようにしてもよい。
【0029】
ステップS50では、推奨経路に含まれる各道路の交通状況に関する交通情報を取得する。この交通情報も、前述の割引情報および制限速度情報と同様に、通信端末2を用いて不図示の交通情報データベースと通信を行うことにより取得することができる。または、予めHDD13に記録された過去の統計交通情報に基づいて、現在の交通状況を予測し、交通情報を取得するようにしてもよい。あるいは、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)により提供されるVICS情報を受信することで、交通情報を取得してもよい。
【0030】
ステップS60では、通過予定時刻の設定を行う。ここでは、ステップS20で推奨経路上にあると判定された割引対象有料道路の入口または出口を対象地点として、その対象地点へ自車両が到達して通過すべき時刻を通過予定時刻に設定する。すなわち、ステップS40で取得した割引情報によって表される割引適用時間帯に基づいて、割引の適用が受けられるような通過予定時刻を設定する。このとき、ステップS40で取得した制限速度情報と、ステップS50で取得した交通情報とに基づいて、現在地から対象地点までの所要時間を推定し、通過予定時刻の設定に反映するようにしてもよい。
【0031】
なお、割引対象有料道路の入口を自車両が通過した時刻に応じて割引条件が決定される場合は、その入口を対象地点に設定して通過予定時刻を設定することが好ましい。たとえば、自車両が一般道を走行中であり、割引適用時間帯内に割引対象有料道路の入口を通過する必要がある場合に、このようにして入口の通過予定時刻を設定する。反対に、割引対象有料道路の出口を自車両が通過した時刻に応じて割引条件が決定される場合は、その出口を対象地点に設定して通過予定時刻を設定することが好ましい。たとえば、自車両が割引対象有料道路を走行中であり、割引適用時間帯内にその出口を通過する必要がある場合に、このようにして出口の通過予定時刻を設定する。
【0032】
ステップS70では、ステップS60で設定した通過予定時刻に対して、自車両が現在走行しているべき地点(想定走行地点)を算出する。ここでは、ステップS40で取得した制限速度情報と、ステップS50で取得した交通情報とに基づいて、現在地から対象地点までの交通状況を判断し、現在の時刻から通過予定時刻までの時間内で自車両が走行可能な道路範囲を対象地点から逆算することで、想定走行地点を求めることができる。
【0033】
ステップS80では、ステップS60で設定した通過予定時刻に基づいて、車速センサ12により検出された現在の自車両の走行速度が適切であるか否かを判定する。ここでは、ステップS70で算出した想定走行地点と現在の自車位置とを比較することで、現在の走行速度が適切であるか否かを判定することができる。すなわち、想定走行地点と現在の自車位置との距離が所定の範囲内にある場合は、現在の走行速度が適切であると判定する。一方、対象地点に向かって現在の自車位置が想定走行地点よりも所定距離以上後方にある場合や、反対に現在の自車位置が想定走行地点よりも所定距離以上前方にある場合は、現在の走行速度が適切でないと判定する。
【0034】
ステップS80において現在の走行速度が適切であるか否かを判定したら、その判定結果に応じて、ステップS90、S100またはS110のいずれかに進む。現在の走行速度が適切ではなく遅いと判定した場合、すなわち、対象地点に向かって現在の自車位置が想定走行地点よりも所定距離以上後方にある場合は、ステップS90へ進む。現在の走行速度が適切であると判定した場合、すなわち、想定走行地点と現在の自車位置との距離が所定の範囲内にある場合は、ステップS100へ進む。現在の走行速度が適切ではなく速いと判定した場合、すなわち、対象地点に向かって現在の自車位置が想定走行地点よりも所定距離以上前方にある場合は、ステップS110へ進む。
【0035】
ステップS90〜S110では、ステップS80の判定の結果に応じて、自車両が走行すべき速度についての案内をそれぞれ行う。すなわち、ステップS80で現在の走行速度が遅いと判定した場合は、ステップS90において図2のような画面を表示モニタ16に表示してペースアップの指示を行うことにより、自車両の走行速度を増加するように案内する。また、ステップS80で現在の走行速度が適切であると判定した場合は、ステップS100において図4のような画面を表示モニタ16に表示してペースキープの指示を行うことにより、自車両の走行速度を維持するように案内する。ステップS80で現在の走行速度が速いと判定した場合は、ステップS110において図3のような画面を表示モニタ16に表示してペースダウンの指示を行うことにより、自車両の走行速度を減少するように案内する。
【0036】
なお、ステップS80で現在の走行速度が遅いと判定した場合であっても、現在の自車両の走行速度と、走行中の道路における制限速度との差が所定の範囲内であるときには、ステップS90の実行を禁止してペースアップ指示を行わないようにすることが好ましい。このとき、ステップS90の代わりにステップS100を実行してもよい。このようにすることで、走行速度が制限速度をオーバーしてしまうのを防ぐことができる。なお、自車両の走行速度が既に制限速度をオーバーしてしまっている場合も同様である。
【0037】
さらに、ステップS80で現在の走行速度が速いと判定した場合であっても、自車両が設定された通過予定時刻に対象地点へ到達するための速度が所定の最低速度を下回るときには、ステップS110においてペースダウン指示を行う代わりに、立ち寄り地点を設定してその立ち寄り地点へと自車両を誘導することが好ましい。たとえば、自車両が一般道路を走行中であれば、推奨経路の途中またはその付近にあるドライブインやコンビニエンスストアを立ち寄り地点として設定することができる。また、自車両が有料道路を走行中であれば、途中にあるサービスエリアやパーキングエリアを立ち寄り地点として設定することができる。このようにすることで、ユーザに対して適切に時間調節の指示を行うことができる。
【0038】
なお、上記のようにして立ち寄り地点へと自車両を誘導する場合は、その立ち寄り地点における立ち寄り時間の目安を画面表示や音声などによりユーザに通知するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザにとってさらに分かりやすい時間調節の指示を行うことができる。
【0039】
ステップS90〜S110のいずれかを実行したら、ステップS120へ進む。ステップS120では、自車両が対象地点を通過したか否かを判定する。対象地点に設定した割引対象有料道路の入口または出口を自車両が通過した場合は、図5のフローチャートを終了する。まだ通過していなければステップS50へ戻り、前述のような処理を繰り返す。すなわち、最新の交通情報を取得した後、その交通情報に基づいて通過予定時刻を再設定して、自車両の想定走行地点を再算出する。そして、自車両の現在位置と再算出した想定走行地点とを比較することにより、現在の走行速度が適切であるか否かを判定し、その判定結果に応じて自車両が走行すべき速度について案内する。
【0040】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10が実行する処理により、自車両が対象地点へ到達して通過すべき通過予定時刻を設定し(ステップS60)、設定した通過予定時刻に基づいて、車速センサ12により検出された自車両の走行速度が適切であるか否かを判定する(ステップS80)。この判定の結果に応じて、自車両が走行すべき速度について案内する(ステップS90、S100およびS110)こととした。このようにしたので、割引時間帯に有料道路を通行するためにどのような速度で車両を走行させればよいかを知らせることができる。
【0041】
(2)ステップS60では、所定の割引適用時間帯に通行すると通行料金が割り引かれる割引対象有料道路の入口または出口を対象地点として、その割引対象有料道路における割引適用時間帯に基づいて、通過予定時刻を設定することとした。このようにしたので、割引の適用を受けられるように通過予定時刻を設定することができる。
【0042】
(3)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、自車両が走行すべき推奨経路を設定する(ステップS10)。この推奨経路上に割引対象有料道路があるときに、ステップS60において、その入口または出口に対して通過予定時刻を設定することとした。このようにしたので、割引対象有料道路を自車両が走行する予定のときに、確実に割引の適用を受けられるように通過予定時刻を設定することができる。
【0043】
(4)ナビゲーション装置1は、ステップS80において自車両の走行速度が適切でないと判定した場合、ステップS90またはS110を実行して、走行速度の増加または減少を運転者に対して指示することとした。このようにしたので、自車両の走行速度が適切となるように案内することができる。
【0044】
(5)ただし、自車両の走行速度と制限速度との差が所定の範囲内であるときには、ステップS80で自車両の走行速度が適切でないと判定した場合であっても、ステップS90で走行速度の増加を指示するのを禁止することが好ましい。このようにすれば、自車両の走行速度が制限速度をオーバーしてしまうのを防ぐことができる。
【0045】
(6)ナビゲーション装置1は、ステップS80において自車両の走行速度が適切であると判定した場合、ステップS100を実行して、走行速度の維持を運転者に対して指示することとした。このようにしたので、適切な自車両の走行速度を保つように案内することができる。
【0046】
(7)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、交通情報を取得する(ステップS50)。この交通情報に基づいて、現在地から対象地点までの交通状況を判断し、設定した通過予定時刻に対する自車両の想定走行地点をステップS70で算出して、その想定走行地点をステップS80において現在の自車位置と比較することにより、自車両の走行速度が適切であるか否かを判定する。このようにしたので、交通状況に応じた正確な判断を行うことができる。
【0047】
(8)自車両が対象地点へ通過予定時刻に到達するための速度が所定の最低速度を下回る場合、ステップS110を実行する代わりに、立ち寄り地点を設定してその立ち寄り地点へと自車両を誘導することが好ましい。このようにすれば、ユーザに対して適切に時間調節の指示を行うことができる。
【0048】
(9)上記のようにして立ち寄り地点へと自車両を誘導する場合は、その立ち寄り地点における立ち寄り時間の目安を通知するとより一層好ましい。このようにすれば、ユーザにとってさらに分かりやすい時間調節の指示を行うことができる。
【0049】
なお、上記の実施の形態では、割引対象有料道路の入口または出口を対象地点として通過予定時刻を設定し、その通過予定時刻に合わせて、自車両が走行すべき速度について案内する例を説明した。しかし、このようにはせず、ユーザに指定された対象地点および予定時刻に合わせて、自車両が走行すべき速度について案内するようにしてもよい。すなわち、ユーザはナビゲーション装置1に対して、任意の地点を指定して対象地点に設定すると共に、その対象地点に自車両が到達すべき任意の時刻を指定して予定時刻に設定する。ナビゲーション装置1は、こうして設定された対象地点および予定時刻に対して前述のような処理を行うことにより、現在の自車両の走行速度が適切であるか否かを判定し、この判定の結果に応じて、ペースアップ、ペースダウンまたはペースキープのいずれかの指示を行うことで、自車両が走行すべき速度についての案内を行う。
【0050】
以上説明したような案内を行うことで、割引対象有料道路の走行時に限らず様々な状況において、どのような速度で車両を走行させればよいかをユーザに対して知らせることができる。たとえば、指定された場所と時間に待ち合わせを行う際などに、このような案内を利用できる。
【0051】
上記の実施の形態では、ETCユニット15をナビゲーション装置1の構成の一部としたが、別体の構成としてもよい。すなわち、ETCの通行料金の精算に関する処理をナビゲーション装置1が行わないこととしてもよい。
【0052】
また、上記の実施の形態では、割引時間帯において通行料金の割引率が一定であるものとして説明したが、割引時間帯において通行料金の割引率が変化する場合はこれを考慮してもよい。このようにすれば、割引率の変化を考慮して、どのような速度で車両を走行させればよいかを知らせることができる。
【0053】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0054】
以上説明した実施の形態では、速度検出手段を除いて、特許請求の範囲に記載された各手段を制御部10が実行する処理によってそれぞれ実現することとした。すなわち、制御部10は、予定時刻設定手段、判定手段、案内手段、経路設定手段および交通情報取得手段として機能する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ペースアップの指示を行うときに表示される画面の例を示す図である。
【図3】ペースダウンの指示を行うときに表示される画面の例を示す図である。
【図4】ペースキープの指示を行うときに表示される画面の例を示す図である。
【図5】自車両が走行すべき速度について案内するときに実行される処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1:ナビゲーション装置、2:通信端末、10:制御部、11:振動ジャイロ、
12:車速センサ、13:HDD、14:GPS受信部、15:ETCユニット、
16:表示モニタ、17:スピーカ、18:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が対象地点へ到達すべき予定時刻を設定する予定時刻設定手段と、
前記自車両の走行速度を検出する速度検出手段と、
前記予定時刻設定手段により設定された予定時刻に基づいて、前記速度検出手段により検出された走行速度が適切であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果に応じて、前記自車両が走行すべき速度について案内する案内手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記対象地点は、所定の割引適用時間帯に通行すると通行料金が割り引かれる割引対象有料道路の入口または出口を含み、
前記予定時刻設定手段は、前記割引適用時間帯に基づいて、前記予定時刻を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記自車両が走行すべき推奨経路を設定する経路設定手段をさらに備え、
前記予定時刻設定手段は、前記推奨経路上に前記割引対象有料道路があるときに、その入口または出口に対して前記予定時刻を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記予定時刻設定手段は、ユーザに指定された地点および時刻を、前記対象地点および前記予定時刻としてそれぞれ設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記判定手段により前記走行速度が適切でないと判定された場合、前記案内手段は、前記走行速度の増加または減少を運転者に対して指示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記走行速度と制限速度との差が所定の範囲内であるときには、前記判定手段により前記走行速度が適切でないと判定された場合であっても、前記案内手段による前記走行速度の増加の指示を禁止することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記判定手段により前記走行速度が適切であると判定された場合、前記案内手段は、前記走行速度の維持を運転者に対して指示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
交通情報を取得する交通情報取得手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記交通情報取得手段により取得された交通情報に基づいて現在地から前記対象地点までの交通状況を判断し、前記走行速度が適切であるか否かを判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記自車両が前記対象地点へ前記予定時刻に到達するための速度が所定の最低速度を下回る場合、立ち寄り地点を設定してその立ち寄り地点へ前記自車両を誘導することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項9に記載のナビゲーション装置において、
前記立ち寄り地点における立ち寄り時間の目安を通知することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−192404(P2009−192404A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34357(P2008−34357)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】