説明

ナビゲーション装置

【課題】不要な処理負荷の増大や消費電力の増加などを生じることなく、自車両の補正精度を向上させる。
【解決手段】ナビゲーション装置は、複数の自車位置候補点を算出し(ステップS10)、各候補点に対して信頼度を算出する(ステップS20)ことにより、自車両の位置を検出する。その後、所定のカメラ動作条件を満たすか否かを判定する(ステップS30)。その結果、カメラ動作条件を満たすと判定されたときには、カメラ動作指令を出力して(ステップS40)、カメラに画像情報を取得させ、反対にカメラ動作条件を満たさないと判定されたときには、カメラ停止指令を出力して(ステップS60)、カメラによる画像情報の取得を禁止する。そして、カメラにより取得された画像情報に基づいて、検出された自車両の位置を補正する(ステップS70〜S90)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ナビゲーション装置において道路地図上に自車位置を表示するときに、GPSやジャイロなどによって得られた自車位置の検出結果を道路に合わせて補正することにより、道路から外れないように自車位置を表示するマップマッチング技術が周知となっている。このようなマップマッチング技術を利用した車載ナビゲーション装置において、車両にカメラを設置して、そのカメラを用いて撮影した車両周囲の道路の画像に基づいてマップマッチングを行うことにより、自車位置の補正精度を向上させるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−349580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来のナビゲーション装置では、自車位置の補正精度を向上させるために必要であるか否かに関わらず、常にカメラを動作させて車両の周囲を撮影し、画像を取得している。したがって、不要な処理負荷の増大や消費電力の増加などを生じる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるナビゲーション装置は、自車両周囲の情報を取得する周囲情報取得装置と接続されたナビゲーション装置であって、自車両の位置を検出する位置検出手段と、所定の動作条件を満たすか否かを判定する判定手段と、判定手段により動作条件を満たすと判定されたときには周囲情報取得装置に対して情報を取得させ、判定手段により動作条件を満たさないと判定されたときには周囲情報取得装置による情報の取得を禁止する動作制御手段と、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、位置検出手段により検出された自車両の位置を補正する位置補正手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、判定手段は、道路上に予め設定された判定対象地点から自車両の位置までの距離が所定値以内となったときに、動作条件を満たすと判定するものである。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、位置検出手段は、自車両の位置の候補点を複数求めて、各候補点に対して信頼度をそれぞれ算出することにより、自車両の位置を検出し、判定手段は、その複数の候補点のうちいずれか少なくとも二つに対する信頼度の差が所定の範囲内であるときに、動作条件を満たすと判定するものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、位置補正手段は、位置検出手段により求められた複数の候補点のいずれかを、信頼度および上記の情報に基づいて選択することにより、自車両の位置を補正するものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、補正手段は、周囲情報取得装置が動作していないときには、自車両の位置に基づいてマップマッチング対象道路を特定すると共に、特定したマップマッチング対象道路に合わせて自車両の位置を補正し、判定手段は、補正手段がそれまでの道路とは異なる道路をマップマッチング対象道路として特定したときに、動作条件を満たすと判定するものである。
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、補正手段は、周囲情報取得装置が動作していないときには、自車両の位置に基づいてマップマッチング対象道路を特定すると共に、特定したマップマッチング対象道路に合わせて自車両の位置を補正し、判定手段は、補正手段がマップマッチング対象道路を特定できないときに、動作条件を満たすと判定するものである。
請求項7の発明は、請求項5または6に記載のナビゲーション装置において、補正手段は、周囲情報取得装置が動作しているときには、自車両の位置および上記の情報に基づいて、マップマッチング対象道路を特定するものである。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、位置検出手段が自車両の位置を検出するための無線信号を受信する受信手段をさらに備え、判定手段は、この受信手段により受信された無線信号の強度が所定値以下となったときに、動作条件を満たすと判定するものである。
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、周囲情報取得装置は、自車両の周囲を撮像して画像情報を取得するカメラ、または自車両の周囲を走査して反射物情報を取得するレーダのいずれかであり、位置補正手段は、その画像情報または反射物情報に基づいて、自車両の位置を補正するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、不要な処理負荷の増大や消費電力の増加などを生じることなく、自車両の補正精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、表示モニタ15、スピーカ16および入力装置17を備えている。ナビゲーション装置1には、カメラ2が接続されている。カメラ2は、自車両の周囲を撮像して取得した画像情報に基づいて、画像信号をナビゲーション装置1へ出力する。
【0008】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、後で説明するような各種の処理を実行する。また、制御部10はカメラ2に対して、カメラ2の動作を制御するための制御信号を出力すると共に、カメラ2から出力される画像信号を受信して、自車両の周囲の画像情報を取得する。
【0009】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の走行速度を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することで、制御部10において自車両の位置移動量が求められ、それによって自車位置すなわち自車両の現在位置が検出される。
【0010】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0011】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。なお、地図データにおいて各道路を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクによって構成されている。
【0012】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車位置と現在時刻を算出することができる。
【0013】
表示モニタ15は、様々な画像や映像などを表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ15により、たとえば自車位置周辺の地図が表示され、その地図上に自車位置を示す自車位置マークが表示される。なお、表示モニタ15は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。
【0014】
スピーカ16は、制御部10の制御により、車両の走行に関する様々な音声情報を出力する。たとえば、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するための経路案内用の音声や、各種の警告音などが出力される。
【0015】
入力装置17は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置17を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置17を表示モニタ15と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0016】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理により、出発地から目的地まで至る推奨経路が探索されると、探索された推奨経路にしたがってルート案内が行われ、自車両が目的地まで誘導される。
【0017】
なお、制御部10は、自車位置を検出する際に、振動ジャイロ11、車速センサ12およびGPS受信部14からの各出力に基づいて、複数の自車位置の候補点を求める。このとき求める候補点の数は予め設定されている。そして、求めた各候補点に対して、それぞれの候補点が自車位置としてどれだけ確からしいかを表す信頼度を算出する。こうして算出した信頼度に基づいて、いずれかの候補点を自車位置として選択することにより、自車位置の検出結果を補正することができる。
【0018】
また、制御部10はマップマッチングを行うことにより、上記のようにして補正した自車位置を、マップマッチング対象道路に合わせてさらに補正する。このマップマッチング対象道路は、自車位置や自車両の進行方向などの検出結果と、HDD13に記録された地図データによって表される各道路の位置や方向などに基づいて特定される。これにより、選択された候補点が道路から外れていた場合でも、道路上に自車位置が補正される。こうしてマップマッチングされた自車位置に対応する自車位置マークが、表示モニタ15において地図上に表示される。
【0019】
ところで、自車両が走行している可能性がある道路が複数存在する場合には、マップマッチング対象道路の特定が困難となることがある。これには、たとえば高速道路のランプ分岐点付近のように、進行方向が近い複数の道路が近接している地点の付近を自車両が走行している場合などが該当する。また、自車位置の検出精度が低い場合にも、マップマッチング対象道路の特定が困難となることがある。これには、たとえば各候補点の信頼度の差が小さい場合や、GPS信号の受信強度が不十分なときなどが該当する。
【0020】
上記のようにマップマッチング対象道路の特定が困難な場合、制御部10はカメラ2を起動させ、カメラ2から出力される画像信号を受信する。そして、自車位置や自車両の進行方向などに加えて、受信した画像信号が表す画像情報の内容に基づいて、マップマッチング対象道路を特定する。たとえば、画像から道路上の白線を検出し、その白線の画像中の位置に基づいて、分岐点から先に続く道路のどちらを自車両が走行しようとしているかを判断する。この判断の結果に応じて、マップマッチング対象道路を特定する。これにより、マップマッチングの精度を上げて自車位置の補正精度を向上させるようにする。
【0021】
なお、上記のような状況に該当せず、マップマッチング対象道路の特定が困難でないと考えられる場合には、制御部10はカメラ2を起動させずに、カメラ2による画像情報の取得を禁止する。これにより、カメラ2の動作に伴う消費電力の増加や、画像情報の解析等に伴う処理負荷の増大を防ぐようにする。
【0022】
本実施形態のナビゲーション装置1において自車位置を求める際に実行される処理のフローチャートを図2に示す。このフローチャートの処理は、ナビゲーション装置1において制御部10により実行される。
【0023】
ステップS10では、振動ジャイロ11、車速センサ12およびGPS受信部14からの各出力に基づいて、自車位置の候補点を複数算出する。ステップS20では、ステップS10で求めた各候補点に対して、自車位置としての確からしさを表す信頼度をそれぞれ算出する。このステップS10およびS20の処理を実行することにより、自車両の位置が検出される。
【0024】
ステップS30では、所定のカメラ動作条件を満たすか否かを判定する。このカメラ動作条件は、マップマッチング対象道路を特定するのが困難になりやすい状況に応じて予め決められている。たとえば、特定の地点を判定対象地点として予め設定しておき、その判定対象地点から自車両の位置までの距離が所定値以内となったときに、カメラ動作条件を満たすと判定する。この場合、マップマッチング対象道路を特定するのが困難となりやすい地点、たとえば高速道路のランプ分岐点付近のように進行方向が近い複数の道路が近接している地点や、トンネル内、高架下、高層ビル街等のようにGPS信号が受信されにくい地点などが、判定対象地点に設定される。なお、GPS受信部14におけるGPS信号の受信強度を検出して、その受信強度が所定値以下となったときに、カメラ動作条件を満たすと判定するようにしてもよい。
【0025】
また、後で説明するステップS80を実行したときに、複数ある道路のうちどの道路をマップマッチング対象道路として特定するかを迷うことが予想されるときに、カメラ動作条件を満たすと判定するようにしてもよい。ここでは、各候補点の信頼度に基づいて、ステップS80でマップマッチング対象道路の特定を迷うかどうかを判断することができる。すなわち、ステップS20で自車位置の各候補点に対して算出した信頼度のうち、いずれか少なくとも二つの候補点に対する信頼度の差が所定範囲内であるときには、マップマッチング対象道路の特定を迷うことが予想される。したがって、このような場合はカメラ動作条件を満たすと判定する。反対に、いずれの候補点についても互いに信頼度が所定範囲以上離れているときは、カメラ動作条件を満たさないと判定する。
【0026】
さらに、前回ステップS80を実行したときに、それまでの道路とは異なる道路がマップマッチング対象道路として特定されたときにも、カメラ動作条件を満たすと判定することが好ましい。すなわち、上記のようにマップマッチング対象道路の特定を迷うと予想される場合だけでなく、マップマッチング対象道路の特定を誤ってしまった場合にも、カメラ動作条件を満たすと判定するようにする。加えて、前回ステップS80を実行したときにマップマッチング対象道路が特定できなかったときにも、カメラ動作条件を満たすと判定するようにすれば、より一層好ましい。すなわち、自車両が道路から外れて走行しているとき(フリー走行)にも、カメラ動作条件を満たすと判定するようにする。
【0027】
以上説明したようなカメラ動作条件を満たすと判定した場合は、ステップS30からステップS40へ進む。一方、このようなカメラ動作条件を満たさないと判定した場合は、ステップS30からステップS60へ進む。
【0028】
ステップS40へ進んだ場合、ステップS40では、カメラ2に対して起動を指示するカメラ動作指令を、制御部10から出力する制御信号により出力する。これにより、カメラ2に対して、自車両の周囲を撮像させ、画像情報を取得させるようにする。次のステップS50では、カメラ2から出力される画像信号を受信して、カメラ2により撮像された画像情報を取得する。ステップS50を実行したら、ステップS70へ進む。
【0029】
一方、ステップS60へ進んだ場合、ステップS60では、カメラ2に対して動作の停止を指示するカメラ停止指令を、制御部10から出力する制御信号により出力する。これにより、カメラ2による自車両周囲の画像情報の取得を禁止する。なお、この場合には、カメラ2から画像信号は出力されない。ステップS60を実行したら、ステップS70へ進む。
【0030】
ステップS70では、ステップS10で求められた複数の候補点のいずれかを自車位置として選択する。このとき、ステップS20で算出した信頼度と、さらにステップS50でカメラ2からの画像情報を取得した場合はその画像情報とに基づいて、候補点の選択を行う。すなわち、カメラ2が動作していないときには、信頼度が最も高い候補点を自車位置として選択する。一方、カメラ2が動作しており自車両周囲の画像情報が取得されているときには、その画像情報に基づいて信頼度を重み付けした後、重み付け後の信頼度が最も高い候補点を自車位置として選択する。たとえば、画像から白線や障害物を検出し、これらの画像中の位置変化に基づいて、自車両の移動方向と移動量とを予測する。この予測結果に基づいて、自車両が位置する可能性が高い候補点には信頼度の重み付けを高くし、反対に自車両が位置する可能性が低い候補点には信頼度の重み付けを低くする。このようにして重み付けされた信頼度が最も高い候補点を自車位置として選択する。
【0031】
ステップS80では、マップマッチング対象道路の特定を行う。このとき、ステップS70で自車位置として選択した候補点と、さらにステップS50でカメラ2からの画像情報を取得した場合はその画像情報とに基づいて、マップマッチング対象道路を特定する。すなわち、カメラ2が動作していないときには、自車位置や自車両の進行方向などに基づいて、マップマッチング対象道路を特定する。一方、カメラ2が動作しており自車両周囲の画像情報が取得されているときには、自車位置や自車両の進行方向などに加えて、その画像情報に基づいてマップマッチング対象道路を特定する。たとえば前述のように、画像から道路上の白線を検出し、その白線の画像中の位置に基づいて、分岐点から先に続く道路のどちらを自車両が走行しようとしているかを判断することで、マップマッチング対象道路を特定する。
【0032】
ステップS90では、ステップS80で特定したマップマッチング対象道路に合わせて自車位置のマップマッチングを行う。すなわち、ステップS70で自車位置として選択した候補点の位置を、マップマッチング対象道路に合わせて補正することにより、自車位置がマップマッチング対象道路の上に重なるようにする。
【0033】
以上説明したステップS70〜S90の処理を実行することで、ステップS10およびS20で検出した自車両の位置が補正される。
【0034】
ステップS100では、ステップS90でマップマッチングされた自車位置を、表示モニタ15において地図上に表示する。これにより、表示モニタ15の地図画面において、道路上に重ねて自車位置マークが表示される。ステップS100を実行したら、ステップS10へ戻って前述のような処理を繰り返す。
【0035】
以上説明した実施の形態によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、自車両の位置を検出する(ステップS10、S20)と共に、所定のカメラ動作条件を満たすか否かを判定する(ステップS30)。その結果、カメラ動作条件を満たすと判定されたときには、カメラ2へカメラ動作指令を出力して(ステップS40)、カメラ2に対して画像情報を取得させ、反対にカメラ動作条件を満たさないと判定されたときには、カメラ2へカメラ停止指令を出力して(ステップS60)、カメラ2による画像情報の取得を禁止する。そして、カメラ2を動作させた場合には、カメラ2により取得された画像情報に基づいて、ステップS10で算出された候補点のいずれかを選択する(ステップS70)と共に、マップマッチング対象道路を特定し(ステップS80)、マップマッチングを行う(ステップS90)。これにより、ステップS10およびステップS20で検出された自車両の位置を補正することとした。このようにして、カメラ動作条件を満たすと判定されたときにのみカメラ2を起動させることとしたので、ナビゲーション装置1における画像情報の解析等に伴う不要な処理負荷の増大や、カメラ2の動作に伴う不要な消費電力の増加などを生じることなく、自車両の補正精度を向上させることができる。
【0036】
(2)ステップS30では、たとえば、道路上に予め設定された判定対象地点から自車両の位置までの距離が所定値以内となったときに、カメラ動作条件を満たすと判定する。これにより、マップマッチング対象道路を特定するのが困難になりやすい状況が予め分かっているときに、カメラ2の動作を適切に制御することができる。
【0037】
(3)またステップS30では、ステップS20で信頼度を算出した複数の自車位置の候補点のうち、いずれか少なくとも二つに対する信頼度の差が所定の範囲内であるときに、カメラ動作条件を満たすと判定することもできる。これにより、ステップS80において複数ある道路のうちどの道路をマップマッチング対象道路として特定するかを迷うことが予想されるかどうかに応じて、カメラ2の動作を適切に制御することができる。
【0038】
(4)なお、上記(3)のようにしてカメラ動作条件を満たすと判定した場合は、ステップS70において、ステップS10で求めた複数の候補点のいずれかを、ステップS20で算出した信頼度、および、ステップS50でカメラ2からの画像信号を受信して取得した画像情報に基づいて選択する。こうして候補点を選択することにより自車位置の補正を行うこととしたので、精度良く自車位置を補正することができる。
【0039】
(5)さらにステップS30では、ステップS80においてそれまでの道路とは異なる道路をマップマッチング対象道路として特定したときに、カメラ動作条件を満たすと判定することもできる。または、ステップS80においてマップマッチング対象道路を特定できないときに、カメラ動作条件を満たすと判定することもできる。これにより、実際のマップマッチングの状況に応じて、カメラ2の動作を適切に制御することができる。
【0040】
(6)なお、上記(5)のようにしてカメラ動作条件を満たすと判定した場合は、ステップS80において、ステップS70で自車位置として選択した候補点の位置、および、ステップS50でカメラ2からの画像信号を受信して取得した画像情報に基づいて、マップマッチング対象道路を特定する。こうしてマップマッチング対象道路を特定することにより自車位置の補正を行うこととしたので、精度良く自車位置を補正することができる。
【0041】
(7)ステップS30において、GPS受信部14により受信されたGPS信号の強度が所定値以下となったときに、カメラ動作条件を満たすと判定するようにしてもよい。このようにすれば、GPS信号に基づいて検出される自車位置の検出精度に応じて、カメラ2の動作を適切に制御することができる。
【0042】
なお、上記の実施の形態では、カメラ2が自車両の周囲を撮像することで取得される画像情報に基づいて、自車位置の検出結果を補正する例を説明したが、これ以外の装置を用いて取得される情報に基づいて自車位置の検出結果を補正してもよい。たとえば、自車両に電波や光波などを用いたレーダを搭載し、このレーダが自車両の周囲を操作することで取得される反射物の情報に基づいて、自車位置の検出結果を補正することもできる。これ以外にも、自車位置の検出結果を補正するための自車両周囲の情報を取得することができる装置であれば、どのような装置を利用してもよい。
【0043】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0044】
以上説明した実施の形態では、周囲情報取得装置をカメラ2により実現すると共に、受信手段を除いて、特許請求の範囲に記載された各手段を制御部10が実行する処理によってそれぞれ実現することとした。すなわち、制御部10は、位置検出手段、判定手段、動作制御手段および位置補正手段として機能する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のナビゲーション装置において自車位置を求める際に実行される処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1:ナビゲーション装置、2:カメラ、10:制御部、11:振動ジャイロ、
12:車速センサ、13:HDD、14:GPS受信部、15:表示モニタ、
16:スピーカ、17:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周囲の情報を取得する周囲情報取得装置と接続されたナビゲーション装置であって、
前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、
所定の動作条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記動作条件を満たすと判定されたときには前記周囲情報取得装置に対して前記情報を取得させ、前記判定手段により前記動作条件を満たさないと判定されたときには前記周囲情報取得装置による前記情報の取得を禁止する動作制御手段と、
前記周囲情報取得装置により取得された前記情報に基づいて、前記位置検出手段により検出された前記自車両の位置を補正する位置補正手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記判定手段は、道路上に予め設定された判定対象地点から前記自車両の位置までの距離が所定値以内となったときに、前記動作条件を満たすと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記位置検出手段は、前記自車両の位置の候補点を複数求めて、各候補点に対して信頼度をそれぞれ算出することにより、前記自車両の位置を検出し、
前記判定手段は、複数の前記候補点のうちいずれか少なくとも二つに対する前記信頼度の差が所定の範囲内であるときに、前記動作条件を満たすと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記位置補正手段は、前記位置検出手段により求められた複数の前記候補点のいずれかを、前記信頼度および前記情報に基づいて選択することにより、前記自車両の位置を補正することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記補正手段は、前記周囲情報取得装置が動作していないときには、前記自車両の位置に基づいてマップマッチング対象道路を特定すると共に、特定したマップマッチング対象道路に合わせて前記自車両の位置を補正し、
前記判定手段は、前記補正手段がそれまでの道路とは異なる道路を前記マップマッチング対象道路として特定したときに、前記動作条件を満たすと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記補正手段は、前記周囲情報取得装置が動作していないときには、前記自車両の位置に基づいてマップマッチング対象道路を特定すると共に、特定したマップマッチング対象道路に合わせて前記自車両の位置を補正し、
前記判定手段は、前記補正手段が前記マップマッチング対象道路を特定できないときに、前記動作条件を満たすと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のナビゲーション装置において、
前記補正手段は、前記周囲情報取得装置が動作しているときには、前記自車両の位置および前記情報に基づいて、前記マップマッチング対象道路を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記位置検出手段が前記自車両の位置を検出するための無線信号を受信する受信手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記受信手段により受信された前記無線信号の強度が所定値以下となったときに、前記動作条件を満たすと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記周囲情報取得装置は、前記自車両の周囲を撮像して画像情報を取得するカメラ、または前記自車両の周囲を走査して反射物情報を取得するレーダのいずれかであり、
前記位置補正手段は、前記画像情報または前記反射物情報に基づいて、前記自車両の位置を補正することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−192406(P2009−192406A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34361(P2008−34361)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】