説明

ナビゲーション装置

【課題】車両走行中に頻繁に経路探索を行うことなく複数経路の案内を実現する。
【解決手段】出発地から目的地まで複数の推奨経路を設定し(ステップS10)、その複数の推奨経路に基づいて案内対象地点を設定して(ステップS30、S120)、自車両の現在位置が案内対象地点付近であるかを判定する(ステップS40、S130)。この判定の結果、自車両の現在位置が案内対象地点付近であると判定したときに、設定した複数の推奨経路について案内するための経路案内を行う(ステップS50、S140)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの経路を探索して車両をその目的地まで誘導するナビゲーション装置において、経路上に設定された各案内ポイント毎に複数の経路を探索し、探索された複数の経路について同時に案内することで、複数経路の案内を行うものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−255162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来のナビゲーション装置は、各案内ポイント毎に複数の経路を探索するため、車両走行中に頻繁に経路探索を行わなければならない。したがって、ナビゲーション装置の処理負荷が大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるナビゲーション装置は、出発地から目的地まで複数の経路を設定する経路設定手段と、経路設定手段により設定された複数の経路に基づいて案内対象地点を設定する地点設定手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段により検出された車両の現在位置が案内対象地点付近であるか否かを判定する判定手段と、判定手段により車両の現在位置が案内対象地点付近であると判定されたときに、複数の経路について案内する経路案内手段とを備える。
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、地点設定手段は、複数の経路の分岐点を案内対象地点に設定するものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、経路案内手段は、複数の経路のうち分岐点において分岐する各経路について、目的地までの見込み所要時間、目的地までの距離、渋滞状況および有料道路の有無のいずれか少なくとも一つを案内するものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、車両が複数の経路から逸脱したときに、車両の現在位置と複数の経路の各々とをそれぞれ接続する複数の接続経路を探索する接続経路探索手段をさらに備え、地点設定手段は、接続経路探索手段により探索された複数の接続経路上に案内対象地点を設定するものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載のナビゲーション装置において、地点設定手段は、複数の接続経路の分岐点を案内対象地点に設定するものである。
請求項6の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、経路案内手段は、複数の接続経路のうち分岐点において分岐する各接続経路がそれぞれ複数の経路のいずれに接続しているかを案内するものである。
請求項7の発明は、請求項4〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、車両が複数の経路から逸脱したときに、接続経路探索手段により探索された複数の接続経路に基づいて経路を再探索するか否かを判定する再探索判定手段と、再探索判定手段により経路を再探索すると判定されたときに、経路を再探索する再探索手段とを備えるものである。
請求項8の発明は、請求項7に記載のナビゲーション装置において、再探索判定手段は、複数の接続経路のうちいずれか少なくとも一つの長さが所定のしきい値未満である場合は、経路を再探索しないと判定し、複数の接続経路の長さがいずれもしきい値以上である場合は、経路を再探索すると判定するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両走行中に頻繁に経路探索を行うことなく、複数経路の案内を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置について説明する。本実施形態のナビゲーション装置は、車両に搭載されて使用される。ユーザが目的地を設定すると、本実施形態のナビゲーション装置は、目的地までの推奨経路を複数探索し、探索した複数の推奨経路に従って自車両を当該目的地へと導く。なお、このときの具体的な処理内容については後で説明する。さらに、目的地へ向かって自車両が走行している途中で、自車両が推奨経路から逸脱すると、本実施形態のナビゲーション装置は、自車両の現在位置と推奨経路との位置関係に基づいて、目的地までの経路を再探索するか否かを判定する。そして、経路を再探索すると判定した場合に、リルート演算を行って目的地までの推奨経路を再探索する。
【0008】
本実施形態のナビゲーション装置の構成を図1のブロック図に示す。ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS受信部14、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)情報受信部15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。
【0009】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、各種の処理を実行する。たとえば、振動ジャイロ11と車速センサ12からそれぞれ出力される自車両の運動状態の検出信号と、GPS受信部14から出力されるGPS信号とに基づいて、所定時間毎に自車両の現在位置を検出する処理を行う。また、HDD13に記録されている地図データ等の各種データに基づいて、前述のように複数の推奨経路に従って自車両を目的地まで導くための処理を行う。これ以外にも、様々な処理が制御部10により実行される。
【0010】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサを用いて検出された自車両の運動状態を示す検出信号は前述のように制御部10へ出力され、制御部10が行う現在位置の検出処理に用いられる。
【0011】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0012】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までの予想所要時間を算出するために用いられるデータである。経路誘導データは、自車両を目的地まで誘導するために用いられるデータであり、たとえば交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状を表すためのデータである。背景データは、河川や鉄道など道路以外の地図形状を表したり、地図上の各種施設等(ランドマーク)などを表したりするためのデータである。
【0013】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、GPS受信部14が所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、制御部10において自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0014】
VICS情報受信部15は、VICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報により、渋滞情報や通行規制情報、駐車場情報などの様々な道路交通情報がナビゲーション装置1に対して送信される。VICS情報受信部15により受信されたVICS情報は制御部10に出力され、制御部10において推奨経路を探索するときに利用されると共に、その内容が表示モニタ16において表示される。
【0015】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0016】
表示モニタ16は、様々な画像や映像を表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ16により、自車位置周辺の地図画像などが表示される。なお、表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。スピーカ17は、制御部10の制御により、経路案内用の音声などが出力される。
【0017】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0018】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両を目的地まで導くための経路案内を開始する。このとき制御部10により実行される処理のフローチャートを図2に示す。図2のフローチャートについて以下に説明する。
【0019】
ステップS10では、推奨経路の設定を行う。ここでは、自車両の現在地を出発地として、その出発地からユーザに設定された目的地まで複数の経路を所定の経路探索条件に基づいて探索する。この際、HDD13に記録された地図データのうち前述の経路計算データに基づいて、所定のアルゴリズムによる経路探索演算が行われる。こうして探索された複数の経路を、目的地までの推奨経路としてそれぞれ設定する。
【0020】
なお、上記のステップS10では、二種類以上の経路探索条件を設定し、各経路探索条件に合致する経路をそれぞれ探索することで、複数の推奨経路を設定することができる。たとえば、出発地から目的地までの予想所要時間が最も短い経路(最短時間経路)と、出発地から目的地までの走行距離が最も短い経路(最短距離経路)と、有料道路を除いて出発地から目的地までの予想所要時間が最も短い経路(有料回避経路)とを探索し、それぞれを推奨経路として設定することができる。あるいは、一つの経路探索条件で複数の推奨経路を設定することとしてもよい。たとえば、予想所要時間が短い順に探索された所定数の経路を推奨経路とすることにより、複数の推奨経路を設定することができる。ステップS10では、このようにして複数の推奨経路を設定する。
【0021】
ステップS20では、ステップS10で設定した推奨経路を表示モニタ16に表示する。ここでは、たとえば表示モニタ16に地図を表示し、その地図において推奨経路を他の道路とは異なる色で表示することにより、推奨経路の表示を行う。なお、この際に複数の推奨経路をそれぞれ異なる色で表示するなどして、ユーザが各推奨経路を識別可能とすることが好ましい。これにより、ユーザは表示モニタ16に表示された地図画面において、各推奨経路を容易に認識することができる
【0022】
ステップS30では、ステップS10で設定した各推奨経路に対して案内対象地点をそれぞれ設定する。ここでは、通常の経路案内用の案内対象地点と、複数経路案内用の案内対象地点と、二種類の案内対象地点を設定する。なお、通常の経路案内とは、走行中の推奨経路に従って自車両を目的地へ導くために行う経路案内である。したがって、通常の経路案内用の案内対象地点には、各推奨経路上の右左折交差点、分岐点、合流点などを設定する。
【0023】
一方、複数経路案内とは、ステップS10で設定した複数の推奨経路のうちいずれか二つ以上の推奨経路を自車両が走行可能である場合に、どの推奨経路を走行すればよいかをユーザに判断させるために行う経路案内である。したがって、複数経路案内用の案内対象地点には、ステップS10で設定した複数の推奨経路のうちいずれか二つ以上の推奨経路が分岐している地点を設定する。
【0024】
ステップS40では、制御部10により所定時間毎に検出される自車両の現在位置が、ステップS30で設定した案内対象地点付近であるか否かを判定する。ステップS30で設定した二種類の案内対象地点のいずれかが自車両走行中の道路上において前方に存在し、かつ、自車両の現在位置からその案内対象地点までの距離が所定距離以内である場合は、自車両の現在位置が案内対象地点付近であると判定してステップS50へ進む。一方、上記のような条件を満たさない場合は、自車両の現在位置が案内対象地点付近でないと判定してステップS60へ進む。
【0025】
ステップS50では、ステップS40において自車両の現在位置付近にあると判定された案内対象地点に対応する推奨経路について経路案内を行う。このとき、当該案内対象地点が前述の二種類の案内対象地点のいずれであるかに応じて、異なる内容の経路案内を行う。すなわち、通常の経路案内用の案内対象地点である場合は、現在走行中の推奨経路に従って自車両が進むべき方向を画像や音声などにより指示することで、通常の経路案内を行う。
【0026】
一方、複数経路案内用の案内対象地点である場合は、そこから分岐している各推奨経路がそれぞれどのような特徴を有しているかの情報をユーザに伝えることで、いずれの推奨経路を走行すべきかをユーザが判断する際の手助けをする。たとえば、目的地までの見込み所要時間、目的地までの距離、渋滞状況、有料道路の有無などの情報を、各推奨経路の特徴を表す情報としてユーザに伝える。当該案内対象地点から分岐する各推奨経路についてこうした情報を案内することで、複数経路案内を行う。
【0027】
なお、ステップS50で複数経路案内を行う際には、案内の対象とする複数の推奨経路をそれぞれ区別するために、たとえば各推奨経路を「ルート1」、「ルート2」等と表現したり、各推奨経路が途中で通過する著名な道路名を用いたりすることができる。また、ステップS10において複数の経路探索条件を設定し、各経路探索条件に応じて探索された複数の経路を推奨経路にそれぞれ設定した場合は、その経路探索条件を用いて複数の推奨経路をそれぞれ区別してもよい。あるいは、表示モニタ16において複数の推奨経路を色分けして表示している場合は、その表示色により複数の推奨経路をそれぞれ区別するようにしてもよい。
【0028】
ステップS60では、ステップS10で設定した推奨経路から自車両が逸脱しているか否かを判定する。推奨経路から自車両が逸脱していなければステップS70へ進み、逸脱していればステップS80へ進む。なお、推奨経路から自車両が逸脱しているか否かの判定は、自車両の現在位置と各推奨経路との位置関係に基づいて行うことができる。たとえば、自車両の現在位置がいずれの推奨経路上にもない場合、あるいはいずれの推奨経路からも所定距離以上離れている場合に、推奨経路から自車両が逸脱していると判定する。
【0029】
あるいは、自車両の走行方向と、ステップS50で行った経路案内の内容とに基づいて、推奨経路から自車両が逸脱しているか否かを判定してもよい。すなわち、ステップS50において通常の経路案内により指示した進行方向と同じ方向に自車両が進んだ場合は、推奨経路から自車両が逸脱していないと判定する。一方、指示した進行方向とは違う方向に自車両が進んだ場合は、推奨経路から自車両が逸脱したと判定する。このようにしてステップS60の判定を行ってもよい。
【0030】
ステップS60において推奨経路から自車両が逸脱していないと判定された場合、次のステップS70では、自車両が目的地に到着したか否かを判定する。まだ目的地に到着していない場合はステップS40へ戻り、上記のような処理を繰り返す。一方、自車両が目的地に到着した場合は、図2のフローチャートを終了して経路案内を完了する。
【0031】
一方、ステップS60において推奨経路から自車両が逸脱していると判定された場合、次のステップS80では、自車位置から各推奨経路までの接続経路を探索する。ここでは、自車両の現在位置とステップS10で設定した複数の推奨経路の各々とをそれぞれ接続する複数の接続経路を探索する。すなわち、推奨経路ごとに自車位置からの接続経路を探索する。
【0032】
なお、ステップS80において、自車両が逸脱前に走行していた推奨経路については、自車両の現在位置からその推奨経路へ戻るのに最も適切な接続経路、たとえば推奨経路までの距離が最短の接続経路や、目的地までの予想所要時間が最も短くなる接続経路を探索する。このとき、必ずしも逸脱した地点に戻る必要はなく、推奨経路上のどの地点に戻ってもよい。一方、自車両が逸脱前に走行していなかった推奨経路については、自車両の現在位置からその推奨経路へ到達するまでに最も適切な接続経路を探索する。
【0033】
ステップS90では、自車両の現在位置から各推奨経路までの接続経路の長さが、いずれも所定のしきい値以上であるか否かを判定する。各接続経路の長さがいずれもしきい値以上である場合、すなわち、設定された全ての推奨経路について自車両の現在位置からの道のりがしきい値以上である場合は、経路の再探索を行うために次のステップS100へと進む。一方、いずれかの接続経路の長さがしきい値未満である場合、すなわち、設定された推奨経路のうち少なくとも一つについて自車両の現在位置からの道のりがしきい値未満である場合は、経路の再探索を行わないとしてステップS120へ進む。このようにして、自車両の現在位置と各推奨経路との位置関係に基づいて、経路を再探索するか否かを判定する。
【0034】
以上説明したようにして経路を再探索するか否かを判定する具体例を図3に示す。この図3の例では、出発地Oから目的地Dまでの間に、合計3本の推奨経路R1、R2およびR3が設定されている。なお、推奨経路R1とR2は、一部分において重複している。自車両は、この3本の推奨経路のうち真ん中の推奨経路R2から逸脱して、自車位置20にいるとする。
【0035】
図3のような場合、ステップS80において、自車位置20から各推奨経路までの接続経路C1、C2およびC3がそれぞれ探索される。なお、接続経路C2は、接続経路C1の一部分と重複している。この複数の接続経路C1〜C3の長さがいずれも所定のしきい値以上である場合は、ステップS90において経路を再探索すると判定して、ステップS100へ進む。一方、複数の接続経路C1〜C3のうちいずれか少なくとも一つの長さが所定のしきい値未満である場合は、ステップ90において経路を再探索しないと判定して、ステップS120へ進む。このようにして、ステップS90の判定を行う。
【0036】
ステップS100では、目的地までの経路を再探索するためのリルート演算を実行する。これにより、自車両の現在位置から目的地まで複数の推奨経路が新たに再探索される。次のステップS110では、リルート演算の実行前に設定されていた元の推奨経路を消去して、リルート演算により再探索された新たな推奨経路を設定する。
【0037】
ステップS110を実行したらステップS20へ戻る。これにより、ステップS110で設定した新たな複数の推奨経路をステップS20において表示し、その複数の推奨経路に対して案内対象地点をステップS30においてそれぞれ設定する。こうして設定した案内対象地点の付近に自車両が近づくと、ステップS50の経路案内を実行して、新たに設定した複数の推奨経路について案内する。
【0038】
一方、ステップS90においていずれかの接続経路の長さがしきい値未満であると判定された場合、次のステップS120では、ステップS80で探索した各接続経路に対して案内対象地点をそれぞれ設定する。ここでは前述のステップS30とは異なり、複数経路案内用の案内対象地点のみを各接続経路上に設定する。すなわち、複数の接続経路のうちいずれか二つ以上の接続経路が分岐している地点を案内対象地点に設定する。
【0039】
ステップS130では、前述のステップS40と同様に、自車両の現在位置がステップS120で接続経路上に設定した案内対象地点付近であるか否かを判定する。すなわち、ステップS120で設定した案内対象地点のいずれかが自車両走行中の道路上において前方に存在し、かつ、自車両の現在位置からその案内対象地点までの距離が所定距離以内である場合は、自車両の現在位置が案内対象地点付近であると判定してステップS140へ進む。一方、上記のような条件を満たさない場合は、自車両の現在位置が案内対象地点付近でないと判定してステップS150へ進む。
【0040】
ステップS140では、ステップS130において自車両の現在位置付近にあると判定された案内対象地点に対応する接続経路について経路案内を行う。ここでは、当該案内対象地点から分岐している各接続経路がそれぞれ設定した複数の推奨経路のいずれに接続しているかの情報をユーザに伝えることで、どの接続経路を走行して推奨経路に戻るべきかをユーザが判断する際の手助けをする。
【0041】
例として、前述の図3に示す自車位置20において経路案内を行う場合について説明する。この場合、自車位置20の前方にある分岐点を左に進むと、接続経路C1またはC2を通って推奨経路R1またはR2に戻ることができ、分岐点を右に進むと、接続経路C3を通って推奨経路R3に戻ることができる。このような情報をユーザに伝えることで、接続経路について経路案内を行うことができる。
【0042】
なお、ステップS140において接続経路について経路案内を行う際には、ステップS50で説明したのと同様の方法により、接続先の複数の推奨経路をそれぞれ区別して案内することができる。このとき、推奨経路と同様の方法により各接続経路を地図上で識別可能に表示してもよいし、表示しなくてもよい。
【0043】
ステップS150では、ステップS10で設定した複数の推奨経路のいずれかに自車両が復帰したか否かを判定する。推奨経路のいずれかに自車両が復帰し、その推奨経路上を自車両が走行している場合は、ステップS40へ戻る。一方、いずれの推奨経路にも自車両が復帰しておらず、推奨経路から逸脱したままの状態である場合は、ステップS130へ戻る。ステップS40またはステップS130へ戻ったら、前述したような処理をそれぞれ繰り返す。
【0044】
なお、ステップS90では、自車位置と各推奨経路とを接続する接続経路の長さの代わりに、自車位置から各推奨経路までの距離に基づいて、経路を再探索するか否かを判定することとしてもよい。すなわち、自車位置から各推奨経路までの距離をそれぞれ算出し、その距離がいずれも所定のしきい値以上であるとステップS90において判定された場合は、リルート演算を実行して推奨経路を再探索するためにステップS100へ進む。一方、算出された自車両の現在位置から各推奨経路までの距離のうち、いずれか少なくとも一つの推奨経路に対する距離が所定のしきい値未満であるとステップS90において判定された場合は、推奨経路を再探索する必要がないのでステップS120へ進む。このようにして、経路を再探索するか否かを判定することとしてもよい。
【0045】
さらに、ステップS90において経路を再探索するか否かを判定する際に用いられるしきい値を変化させるようにしてもよい。たとえば、推奨経路が表示されている地図の縮尺に応じて、このしきい値を変化させることができる。すなわち、地図の縮尺が比較的大きく、そのため表示モニタ16において表示されている地図の範囲が相対的に狭い場合は、その地図縮尺に応じて、ステップS90におけるしきい値を小さな値へと変化させる。これと反対に、地図の縮尺が比較的小さく、そのため表示モニタ16において表示されている地図の範囲が相対的に広い場合は、その地図縮尺に応じて、ステップS90におけるしきい値を大きな値へと変化させる。
【0046】
上記のような処理を行うことで、自車両が推奨経路を逸脱した場合に、その推奨経路が地図画面に表示されている間はリルート演算を実行せず、地図画面の表示範囲から外れたらリルート演算を実行するようにすることができる。これにより、推奨経路へ戻るまでに通るべき経路が地図画面から簡単に分かるような場合は、自車両が推奨経路を逸脱してもリルート演算を行わないようにすることができる。したがって、状況をより一層適切に判断して経路を再探索することができる。
【0047】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)出発地から目的地まで複数の推奨経路を設定し(ステップS10)、その複数の推奨経路に基づいて案内対象地点を設定して(ステップS30、S120)、自車両の現在位置が案内対象地点付近であるかを判定する(ステップS40、S130)。この判定の結果、自車両の現在位置が案内対象地点付近であると判定したときに、設定した複数の推奨経路について案内するための経路案内を行う(ステップS50、S140)。このようにしたので、車両走行中に頻繁に経路探索を行うことなく、複数経路の案内を実現することができる。
【0048】
(2)ステップS30では、設定した複数の推奨経路の分岐点を案内対象地点に設定する。このようにしたので、複数の推奨経路に対して複数経路案内用の案内対象地点を適切に設定することができる。
【0049】
(3)ステップS50では、設定した複数の推奨経路のうち案内対象地点に設定した分岐点において分岐する各推奨経路について、目的地までの見込み所要時間、目的地までの距離、渋滞状況および有料道路の有無のいずれか少なくとも一つを案内することで、複数経路案内を行うことができる。このようにして各推奨経路の特徴を表す情報をユーザに伝えることで、いずれの推奨経路を走行すべきかをユーザが判断する際の手助けをすることができる。
【0050】
(4)自車両が設定した複数の推奨経路から逸脱したか否かを判定し(ステップS60)、逸脱したと判定したときに、自車両の現在位置と複数の推奨経路の各々とをそれぞれ接続する複数の接続経路を探索する(ステップS80)。ステップS120では、こうして探索した複数の接続経路上に案内対象地点を設定する。具体的には、複数の接続経路の分岐点を案内対象地点に設定する。このようにしたので、自車両が推奨経路から逸脱したときであっても、複数経路案内用の案内対象地点を適切に設定することができる。
【0051】
(5)ステップS140では、探索した複数の接続経路のうち案内対象地点に設定した分岐点において分岐する各接続経路がそれぞれ複数の推奨経路のいずれに接続しているかを案内することで、複数経路案内を行う。このようにしたので、どの接続経路を走行して推奨経路に戻るべきかをユーザが判断する際の手助けをすることができる。
【0052】
(6)ステップS60で自車両が設定した複数の推奨経路から逸脱したと判定したとき、ステップS80で探索した複数の接続経路に基づいて、推奨経路を再探索するか否かを判定する(ステップS90)。この判定の結果、推奨経路を再探索すると判定したときに、リルート演算を実行して推奨経路を再探索する(ステップS100)。このようにしたので、ユーザにとって不要な推奨経路の再探索が行われるのを防ぎ、適切な状況において推奨経路を再探索することができる。
【0053】
(7)ステップS90では、ステップS80で探索した複数の接続経路のうちいずれか少なくとも一つの長さが所定のしきい値未満である場合は、経路を再探索しないと判定する。一方、探索した複数の接続経路の長さがいずれもしきい値以上である場合は、経路を再探索すると判定する。このようにしたので、経路を再探索するか否かを適切に判断することができる。
【0054】
以上説明した実施の形態や各種の変形例は、あくまで一例である。したがって、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【0055】
以上説明した実施の形態では、特許請求の範囲に記載された各手段を、ナビゲーション装置1の制御部10において実行される処理によりそれぞれ実現することとした。すなわち、ナビゲーション装置1の制御部10は、経路設定手段、地点設定手段、位置検出手段、判定手段、経路案内手段、接続経路探索手段、再探索判定手段、および再探索手段として機能することができる。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】経路案内時に実行される処理のフローチャートである。
【図3】経路を再探索するか否かを判定する具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1:ナビゲーション装置 10:制御部
11:振動ジャイロ 12:車速センサ
13:HDD 14:GPS受信部
15:VICS情報受信部 16:表示モニタ
17:スピーカ 18:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地まで複数の経路を設定する経路設定手段と、
前記経路設定手段により設定された前記複数の経路に基づいて案内対象地点を設定する地点設定手段と、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された前記車両の現在位置が前記案内対象地点付近であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記車両の現在位置が前記案内対象地点付近であると判定されたときに、前記複数の経路について案内する経路案内手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記地点設定手段は、前記複数の経路の分岐点を前記案内対象地点に設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記経路案内手段は、前記複数の経路のうち前記分岐点において分岐する各経路について、前記目的地までの見込み所要時間、前記目的地までの距離、渋滞状況および有料道路の有無のいずれか少なくとも一つを案内することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記車両が前記複数の経路から逸脱したときに、前記車両の現在位置と前記複数の経路の各々とをそれぞれ接続する複数の接続経路を探索する接続経路探索手段をさらに備え、
前記地点設定手段は、前記接続経路探索手段により探索された前記複数の接続経路上に前記案内対象地点を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記地点設定手段は、前記複数の接続経路の分岐点を前記案内対象地点に設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記経路案内手段は、前記複数の接続経路のうち前記分岐点において分岐する各接続経路がそれぞれ前記複数の経路のいずれに接続しているかを案内することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記車両が前記複数の経路から逸脱したときに、前記接続経路探索手段により探索された前記複数の接続経路に基づいて経路を再探索するか否かを判定する再探索判定手段と、
前記再探索判定手段により経路を再探索すると判定されたときに、経路を再探索する再探索手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記再探索判定手段は、前記複数の接続経路のうちいずれか少なくとも一つの長さが所定のしきい値未満である場合は、経路を再探索しないと判定し、前記複数の接続経路の長さがいずれも前記しきい値以上である場合は、経路を再探索すると判定することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−198193(P2009−198193A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37231(P2008−37231)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】