説明

ナビゲーション装置

【課題】衛星測位が不能となった場合に有益な経路案内を行う「ナビゲーション装置」を提供する。
【解決手段】衛星測位の不能状態が発生した時点の自車位置303である第0基準地点通過後の、推奨ルート301上の最初の右左折交差点である304が、第1番目の進路変更地点として算定され(a)、この第0基準地点と第1番目の進路変更地点とを含む範囲の地図を、推奨ルート301を表す推奨ルート図形312と共に表す案内地図320が、第1番目の進路変更地点の案内情報330と共に表示される。案内情報330には、第1番目の進路変更地点である交差点の交差点名称331や、当該交差点の目印や構造を表す案内画像332や、当該交差点の推奨ルート301に従った通過方向を表す図形333や、第0基準地点から第1番目の進路変更地点までの道程距離334や、当該道路区間の道の特徴の表示335を含める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位を行うナビゲーション装置において行う、衛星測位不能時における経路案内の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衛星測位を行うナビゲーション装置において行う、衛星測位不能時における経路案内の技術としては、予め衛星測位が不能となる道路区間を定義しておき、衛星測位が不能となる道路区間内に進路変更などを案内する案内ポイントが存在する場合には、当該道路区間に進入する手前の位置に前倒しして、当該案内ポイントにおける案内を行う技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2007-101379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1記載の技術によれば、予め衛星測位が不能となる道路区間を定義する必要がある。また、衛星測位が不能となる道路区間として定義された道路区間外において衛星測位が不能となった場合には、適切な経路案内を行うことができなくなる。
そこで、本発明は、衛星測位が不能となった場合に可及的に有益な経路案内を行える、予め衛星測位が不能となる道路区間を定義する必要のないナビゲーション装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題達成のために、衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備え、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定するナビゲーション装置に、地図データに基づいて目的地までのルートを探索し、推奨ルートとして設定するルート設定部と前記衛星測位部が、前記衛星測位が不能な状態となったときに、前記推奨ルート上の進路変更地点となる地点である候補地点のうちの、前記推奨ルートに従って進行した場合に最初に通過することになる前記候補地点を、着目地点として、当該着目地点を案内する地点案内情報を表示する衛星測位不能時案内部とを備えたものである。
【0005】
このようなナビゲーション装置によれば、前記衛星測位が不能な状態となったときに、推奨ルート上の次に到達すべき進路変更地点の案内情報を表示するので、予め衛星測位が不能となる道路区間が定義されていなくても、有益な経路案内を行うことができるようになる。
【0006】
ここで、このようなナビゲーション装置では、前記衛星測位不能時案内部において、ユーザから次地点の案内を要求された場合に、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の次に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示するようにしてもよい。また、この場合には、前記衛星測位不能時案内部において、ユーザから前地点の案内を要求された場合に、前記推奨ルート上の進路変更地点となる地点のうちの、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の直前に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示するようにしてもよい。
【0007】
これらのようにすることにより、ユーザに対して、前記衛星測位が不能な状態となった地点の直後の進路変更地点のみならず、それ以降の進路変更地点の案内情報による案内も、ユーザの要求に応じて提供することができるようになる。したがって、ユーザは、たとえば、案内情報によって案内された進路変更地点に到達したならば、その次の進路変更地点についての案内も受けることができるようになる。
【0008】
また、これらのナビゲーション装置において、前記地点案内情報には、前記着目地点のようすを、当該着目地点通過時の前記推奨ルートに従った通過方向と共に表す地点案内図を含めたり、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの距離の情報を含めたり、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの道路区間の形状の特徴を表す情報を含めたり、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの道路区間から視認できるランドマークや施設等の風景の特徴を表す情報を含めたり、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの間にある交差点の数と交通信号機の数とのうちの少なくとも一方の情報を含めたりしてもよい。
【0009】
これらのようにすることにより、ユーザを、効果的に、迷わず着目地点に到達したり、当該着目地点を推奨ルートに従った方向に正しく通過するように誘導することができるようになる。
また、以上のナビゲーション装置は、前記推奨ルート上の進路変更地点となる地点に代えて、前記推奨ルート上の交通信号機が設置された地点もしくは前記推奨ルート上の交通信号機が設置された交差点である地点や、前記推奨ルート上の交差点である地点を候補地点として、着目地点を選定して、上記地点案内情報を表示するように構成してもよい。
【0010】
これらのようにすることにより、より確実にユーザの推奨ルートに沿った進行を誘導することができるようになる。
また、この場合において、前記推奨ルート上の交通信号機が設置された地点もを候補地点として、着目地点を選定するようにしたときには、ナビゲーション装置に、進行方向前方を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像に写り込んだ交通信号機を認識する画像認識部とを備え、前記衛星測位不能時案内部において、前記画像認識部の交通信号機の認識に基づいて、交通信号機設置位置への到達を検出し、当該到達が検出されたならば、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の次に通過することになる候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示するようにしてもよい。または、ナビゲーション装置に、交通信号機設置位置に配置された送信装置と通信する無線通信装置を備え、前記衛星測位不能時案内部において、前記無線通信装置と前記送信装置との通信の発生に基づいて、交通信号機設置位置への到達を検出し、当該到達が検出されたならば、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の次に通過することになる候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、衛星測位が不能となった場合に可及的に有益な経路案内を行える、予め衛星測位が不能となる道路区間を定義する必要のないナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、自動車に搭載される車載システムへの適用を例にとり説明する。
図1に本実施形態に係る車載システムの構成を示す。
図示するように、車載システム1は、ナビゲーション装置11、地図データを記憶した地図データベース12、GPS受信機13、表示装置14、入力装置15とを備えている。
但し、ナビゲーション装置11は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有するコンピュータであって良く、この場合、ナビゲーション装置11は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして以下に示す各処理を実行する。なお、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置11に提供されるものであって良い。
【0013】
次に、図2に、地図データベース12に記憶される地図データの内容を示す。
図示するように、地図データは、地図データのバージョン等を記述した管理データ、各路線の路線名称などの各種情報を登録した路線データ、地図を表す基本地図データとを含んで構成される。
そして、基本地図データは、道路網を表す道路ユニットと、地図に含まれる道路以外の描画オブジェクト(地名や地形図形等)を表す描画ユニットとを有する。
ここで、道路ユニットは、ノードと、ノード間を連結するリンクの集合として道路網を定義しており、当該道路ユニットは、ノード毎に設けられたノードデータと、リンク毎に設けられたリンクデータとを有する。なお、同じ道路区間の上り、下り方向のそれぞれについて、各々リンクは設けられる。
【0014】
また、各ノードデータには、対応するノードの識別子となるノード番号、対応するノードの各種属性を表すノード属性、対応するノードの位置を表すノード座標、ノード接続情報を含み、ノード接続情報には、対応するノードに接続するリンクのリンク番号と、対応するノードに一本のリンクを介して接続する他のノードのノード番号とが登録される。
【0015】
そして、ノード属性には、当該ノードが交差点に対応するノードであるか否かや、当該ノードに対応する地点における交通信号機設置の有無が登録される。ただし、交通信号機設置地点は必ずノードとなるように、ノード、リンクは設定する。また、当該ノードが交差点に対応する場合には、ノード属性に、対応する交差点の交差点名称や、当該交差点への進入路毎に対応して設けた当該交差点の目印や構造を、対応する進入路方向から視た形態で案内する案内画像なども登録される。
【0016】
また、各リンクデータには、対応するリンクの識別子となるリンク番号、対応するリンク各種属性を表すリンク属性、対応するリンクの端点となる二つノードのノード番号を表す端点ノード番号、リンクの端点となる各ノードに接続する他のリンクを表すリンク接続情報が登録される。
【0017】
そして、リンク属性としては、当該リンクの勾配の程度や、当該リンクを進行しているときに見えるランドマークなどが登録される。
そして、このような構造において、ナビゲーション装置11は、ユーザから入力装置15を介して目的地の設定を受け付け、自車位置/進行方位から受け付けた目的地までの推奨されるルートを地図データに基づいて探索し、推奨ルートとして設定する処理を行う。
また、ナビゲーション装置11は、以下のような案内処理を行う。
すなわち、ナビゲーション装置11は、GPS受信機13が衛星測位した自車の位置やこれらより求まる自車の軌跡と、地図データベース12に記憶された地図データとのマップマッチングによって自車位置/進行方位を算出する。
そして、算出した自車位置/進行方位を地図データが表す地図上に表示した案内画像を生成し、表示装置14に表示する処理を行う。また、このとき、推奨ルートが設定されている場合には、推奨ルートも、案内画像上に併せて表示する。
すなわち、ナビゲーション装置11は、図3aのように推奨ルート301が設定されており、衛星測位位置と地図データとのマップマッチングによって自車位置/進行方位302が算出されている場合には、図3bに示すように、自車位置周辺の地図上に、自車位置/進行方位302を表す自車マーク311と、推奨ルート301を表すルート図形312を表した案内画像を表示装置14に表示する。
【0018】
さて、ナビゲーション装置11は、このような案内処理と並行して、測位不能時案内処理を行う。
図4に、この測位不能時案内処理の手順を示す。
図示するように、推奨ルート301が設定されている状態における(ステップ402)、GPS受信機13の衛星測位の不能状態の発生を監視する(ステップ404)。なお、GPS受信機13は、たとえば、トンネル内、高架下などに進入して衛星電波を正常に受信できなくなると衛星測位が不能となる。
【0019】
そして、衛星測位の不能状態が発生したならば、まず、当該時点で算出されている自車位置、すなわち、衛星測位不能となる前に最後に衛星測位された位置に基づいて算出した自車位置を第0基準地点に設定する(ステップ406)。
そして、i=1とし(ステップ408)、交差点案内ウインドウを表示装置14上に設定する(ステップ410)。そして、GPS受信機13が衛星測位が可能な状態に復帰するまで、(ステップ418)、以下の処理を行う。
すなわち、第i-1基準位置と第i番目の進路変更地点間の案内地図と(ステップ412)、第i番目の進路変更地点の案内情報と(ステップ414)の交差点案内ウインドウへの表示を行った上で、第i番目の進路変更地点を第i基準位置に設定する(ステップ416)。ここで、第i番目の進路変更地点とは、推奨ルート301に従って第0基準位置から進行を続けた場合に、右左折など進路を変更することになる交差点のうちの、第0基準位置通過後、第i番目に通過することになる地点である。
【0020】
そして、ユーザからの次交差点案内指示が発生した場合には(ステップ420)、iを1増加し(ステップ428)、増加後のiについての、第i-1基準位置と第i番目の進路変更地点間の案内地図と(ステップ412)と、第i番目の進路変更地点の案内情報と(ステップ414)の交差点案内ウインドウへの表示を行い、第i番目の進路変更地点を第i基準位置に設定する(ステップ416)。
【0021】
また、i>1のときに(ステップ422)、ユーザからの次交差点案内指示が発生した場合には(ステップ424)、iを1減少し(ステップ430)、減少後のiについての、第i-1基準位置と第i番目の進路変更地点間の案内地図(ステップ412)と、第i番目の進路変更地点の案内情報と(ステップ414)の交差点案内ウインドウへの表示を行い、第i番目の進路変更地点を第i基準位置に設定する(ステップ416)。
【0022】
一方、以上の処理中に、GPS受信機13が衛星測位が可能な状態に復帰したならば(ステップ418)、交差点案内ウインドウを閉じ(ステップ426)、推奨ルート301が設定されている状態におけるGPS受信機13の衛星測位の不能状態の発生の監視(ステップ402、404)に戻る。
【0023】
また、この結果、表示装置14の表示は、図3bに示したような、当該時点においてGPS受信機13の衛星測位位置に基づいて算出した自車位置を推奨ルート301と共に地図上で表す案内画像の表示に戻ることになる。
次に、以上のような測位不能時案内処理の処理例を示す。
まず、たとえば、図3aのように推奨ルート301が設定されているときに、303の位置まで算出された自車位置が進んだときに衛星測位の不能状態が発生した場合には(ステップ402、404)、この302の地点が第0基準地点に設定される(ステップ406)。
【0024】
そして、表示装置14の表示画面の全面に図3cに示すような交差点案内ウインドウを設定する(ステップ410)。
そして、図3aに示すように、衛星測位の不能状態が発生した時点の自車位置303である第0基準地点通過後の、推奨ルート301上の最初の右左折交差点である304が、第1番目の進路変更地点として算定され、図3cに示すように、この第0基準地点と第1番目の進路変更地点とを含む範囲の地図を、推奨ルート301を表す推奨ルート図形312と共に表す案内地図320が、交差点案内ウインドウ中に表示される(ステップ412)。ここで、この案内地図320上には、第i-1基準位置(ここでは、第0基準地点)を表す基準位置マーク321と、第i番目の進路変更地点(ここでは、第1番目の進路変更地点)の推奨ルート301上の直前位置を表す案内位置マーク322を表示するようにする。
【0025】
また、図3cに示すように、交差点案内ウインドウに、第1番目の進路変更地点の案内情報330が(ステップ414)表示される。
図示するように、案内情報330は、地図データに含まれる、第i番目の進路変更地点(ここでは、第1番目の進路変更地点)の進路変更地点に対応する交差点であるノードのノードデータのノード属性に登録されている、当該交差点の交差点名称331や、当該交差点の目印や構造を推奨ルート301に従った当該交差点への進入路方向から視た形態で案内する案内画像332や、当該交差点の推奨ルート301に従った通過方向を表す図形333を含む。また、案内情報330には、第i-1基準位置(ここでは、第0基準地点)から第i番目の進路変更地点(ここでは、第1番目の進路変更地点)までの道路区間を形成するリンクやノードのリンクデータやノードデータに基づいて求まる、第i-1基準位置(ここでは、第0基準地点)から第i番目の進路変更地点(ここでは、第1番目の進路変更地点)までの推奨ルート301上の道路区間の道程距離の表示334や、当該道路区間の道の特徴(当該道路区間の道の曲がりや勾配、当該道路区間中に存在する交通信号機や交差点の数数)の表示335を含む。なお、道路区間の勾配は、当該道路区間を形成するリンクのリンクデータのリンク属性から求めることができる。
【0026】
さて、ここで、交差点案内ウインドウには、次交差点案内指示をユーザから受け付けるためのボタン340と、前交差点案内指示をユーザから受け付けるためのボタン341を設ける。但し、i=1のときには、前交差点案内指示をユーザから受け付けるためのボタン341は設けない。
【0027】
そして、第1番目の進路変更地点を案内する図3cの交差点案内ウインドウのボタン340によってユーザから次交差点案内指示を受け付けたならば(ステップ420)、iが2に増加され(ステップ428)、図3aに示すように、衛星測位の不能状態が発生した時点の自車位置303である第0基準地点通過後の、推奨ルート301上の2番目の右左折交差点である305が、第2番目の進路変更地点として算定される。
【0028】
そして、交差点案内ウインドウの表示は、図3dに示すように、第1基準位置から第2番目の進路変更地点との間の案内地図320と、第2番目の進路変更地点の案内情報330が表示されたものに更新される(ステップ412、414)。
ここで、図示するように、i=2のときの交差点案内ウインドウの案内地図320は、第1番目の進路変更地点である第1基準地点と第2番目の進路変更地点とを含む範囲の地図を、推奨ルート301を表す推奨ルート図形312と、第1番目の進路変更地点である第1基準地点を表す基準位置マーク321と、第2番目の進路変更地点の推奨ルート301上の直前位置を表す案内位置マーク322と共に表示したものとなる。また、i=2のときの交差点案内ウインドウの案内情報330は、第2番目の進路変更地点に対応する交差点の交差点名称331や、当該交差点の目印や構造を推奨ルート301に従った当該交差点への進入路方向から視た形態で案内する案内画像332や、当該交差点の推奨ルート301に従った通過方向を表す図形333や、第1番目の進路変更地点である第1基準地点から第2番目の進路変更地点までの道路区間の道程距離の表示334や、当該道路区間の道の特徴(当該道路区間の道の曲がりや勾配、当該道路区間中に存在する交通信号機や交差点の数)の表示335を含むものとなる。
【0029】
さて、次に、図3dのi=2のときに表示される交差点案内ウインドウのボタン340によってユーザから次交差点案内指示を受け付けたならば(ステップ420)、iが3に増加され、交差点案内ウインドウの表示が、第2番目の進路変更地点と第3番目の進路変更地点間の案内地図320と、次の進路変更地点である第3番目の進路変更地点を案内する案内地図320と案内情報330との表示に更新される(ステップ428、412、414)。
【0030】
また、以下、同様に、交差点案内ウインドウのボタン340によってユーザから次交差点案内指示を受け付ける度に、iが1増加され、当該時点において交差点案内ウインドウで案内している進路変更地点の次の進路変更地点間の案内地図320と、当該次の進路変更地点の案内情報330の表示に、交差点案内ウインドウの表示が更新してくことになる(ステップ428、412、414)。
【0031】
一方、図3dのように、i>1のときに表示される交差点案内ウインドウのボタン341によってユーザから前交差点案内指示を受け付けた場合には(ステップ424)、iが1減少され、当該時点において交差点案内ウインドウで案内している進路変更地点の前の進路変更地点間の案内地図320と、当該前の進路変更地点の案内情報330の表示に、交差点案内ウインドウの表示が更新される(ステップ430、412、414)。
【0032】
すなわち、たとえば、図3dのi=2のときに表示される交差点案内ウインドウのボタン341によってユーザから前交差点案内指示を受け付けたならば(ステップ424)、iが1に戻され、交差点案内ウインドウの表示は、図3cの表示に戻ることになる(ステップ430、412、414)。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態は、i=nのときに交差点案内ウインドウに表示する案内地図320上で、推奨ルート301の第i-1基準地点と第i進路変更地点間の区間を進行している場合に見えるはずのランドマークを表す図形350を図3cに示すように表すようにしてもよい。ここで、このランドマークは、推奨ルート301の第i-1基準地点と第i進路変更地点間の区間を形成するリンクのリンクデータのリンク属性に登録されているランドマークとして求めることができる。
【0034】
また、以上の実施形態では、衛星測位不能時に、今後、推奨ルート301に従って走行する場合に右左折することになる進路変更地点を交差点案内ウインドウによって案内するようにしたが、これは、衛星測位不能時に、今後、推奨ルート301に従って走行する場合に通過する各交差点を交差点案内ウインドウによって案内するようにしたり、衛星測位不能時に、今後、推奨ルート301に従って走行する場合に通過する交通信号機設置地点を交差点案内ウインドウによって案内するようにしたり、衛星測位不能時に、今後、推奨ルート301に従って走行する場合に通過する、交通信号機が設置された交差点である交通信号機設置交差点を交差点案内ウインドウによって案内するようにしてもよい。なお、交通信号機地点は、ノード属性に交通信号機設置が登録されているノードデータのノードとして求めることができる。また、交差点は、交差点である旨がノード属性に登録されたノードデータのノードとして求めることができる。
【0035】
すなわち、たとえば、衛星測位不能時に、今後、推奨ルート301に従って走行する場合に通過する、交通信号機が設置された各交差点を交差点案内ウインドウによって案内する場合には、第i番目の進路変更地点を、第i番目の交通信号機設置交差点に置き換えて図4に示した測位不能時案内処理を行うようにすればよい。
【0036】
このようにすることにより、測位不能時案内処理は、次のように行われることになる。
すなわち、たとえば、図5aのように推奨ルート301が設定されているときに、303の位置まで、算出された自車位置が進んだときに衛星測位の不能状態が発生した場合には、この303の地点が第0基準地点に設定される。そして、衛星測位の不能状態が発生した時点の自車位置303通過後の、推奨ルート301上の最初の交通信号機が設置された交差点である511が、第1番目の交通進行機設置交差点として算定される。
【0037】
そして、図5bに示すように、交差点案内ウインドウには、第0基準位置から第1番目の交通信号機設置交差点511との間の案内地図320と、第1番目の交通信号機設置交差点511の案内情報330が表示される。また、第1番目の交通信号機設置交差点511が、第1基準位置に設定される。
【0038】
そして、この状態で、交差点案内ウインドウのボタン340によってユーザから次交差点案内指示を受け付けたならば、図5aに示すように、衛星測位の不能状態が発生した時点の自車位置303である第0基準地点通過後の、推奨ルート301上の2番目の交通信号機が設置された交差点512が、第2番目の交通信号機設置交差点として算定される。
【0039】
そして、交差点案内ウインドウの表示は、図5cに示すように、第1番目の交通信号機設置交差点である第1基準位置511から第2番目の交通信号機設置交差点512との間の案内地図320と、第2番目の交通信号機設置交差点512の案内情報330が表示されたものに更新される。そして、第2番目の交通信号機設置交差点512が、第2基準位置に設定される。
【0040】
また、さらに、この状態で、さらに、交差点案内ウインドウのボタン340によってユーザから次交差点案内指示を受け付けたならば、図5aに示すように、衛星測位の不能状態が発生した時点の自車位置303である第0基準地点通過後の、推奨ルート301上の3番目の交通信号機が設置された交差点513が、第3番目の交通信号機設置交差点として算定される。
【0041】
そして、交差点案内ウインドウの表示は、図5dに示すように、第2番目の交通信号機設置交差点である第2基準位置512から第3番目の交通信号機設置交差点513との間の案内地図320と、第3番目の交通信号機設置交差点513の案内情報330が表示されたものに更新される。そして、第3番目の交通信号機設置交差点513が、第3基準位置に設定される。
【0042】
なお、図5a中の位置501、502、503は、図5b、c、dにおける案内位置マーク322に対応した位置を表している。
また、図5b、c、dの交差点案内ウインドウにおいて、ボタン341によって、前交差点案内指示をユーザから受け取った場合には、当該時点において交差点案内ウインドウで案内している交通信号機設置交差点の前の交通信号機設置交差点の案内地図320と、当該前の交通信号機設置交差点の案内情報330の表示に、交差点案内ウインドウの表示が更新されることになる。
【0043】
ここで、このような交通信号機設置交差点の案内を行う場合の測位不能時案内処理において、交差点案内ウインドウの次交差点案内指示や前交差点案内指示を受け付けるためのボタン340、341を廃止すると共に、ナビゲーション装置11において交通信号機設置交差点の通過を検出し、交通信号機設置交差点の通過を検出したならば、ステップ420において次交差点案内指示が発生したものと見なするようにしてもよい。
【0044】
ここで、ナビゲーション装置11における交通信号機設置交差点の通過の検出は、たとえば、図6a、bに示すように車両前方を撮影するカメラ16を車載システム1に設け、ナビゲーション装置11において、カメラ16で撮影した画像に含まれる交通信号機600を画像認識処理によって認識することにより行う。または、たとえば、図6a、bに示すように交通信号機に設置された交通情報を送信する送信機601と近距離無線通信によって通信する近距離無線通信装置17を車載システム1に設けて、ナビゲーション装置11において、近距離無線通信装置17と交通信号機600に設置された送信機601との通信に基づいて交通信号機位置の通過を検出することにより行う。
【0045】
このようにすることにより、案内した推奨ルート301上の交通信号機設置交差点を通過する度に、自動的に次の交通信号機設置交差点の案内を行えるようになる。
なお、以上の実施形態で示した車載システム1の技術は、携帯型のポータブルナビゲーション装置においても同様に適用することができる。
以上のように、本実施形態によれば、前記衛星測位が不能な状態となったときに、推奨ルート301上の次に到達すべき進路変更地点や交差点や交通信号機設置地点や交通信号機設置交差点などを案内対象地点として、前記衛星測位が不能な状態となったときに、推奨ルート301上の次に到達すべき案内対象地点を案内するので、予め衛星測位が不能となる道路区間が定義されていなくても、有益な経路案内を行うことができるようになる。また、ユーザに対して、前記衛星測位が不能な状態となった地点の直後の案内対象地点のみならず、それ以降の案内対象地点の案内も、ユーザの要求に応じて提供することができるようになる。したがって、ユーザは、たとえば、案内された地点に到達したならば、その次の地点についての案内も受けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載システムが備える地図データを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車載システムの表示画面例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る測位不能時案内処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る車載システムの表示画面例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車載システムの他の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
1…車載システム、11…ナビゲーション装置、12…地図データベース、13…GPS受信機、14…表示装置、15…入力装置、16…カメラ、17…近距離無線通信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備え、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定するナビゲーション装置であって、
地図データに基づいて目的地までのルートを探索し、推奨ルートとして設定するルート設定部と、
前記衛星測位部が、前記衛星測位が不能な状態となったときに、前記推奨ルート上の進路変更地点となる地点である候補地点のうちの、前記推奨ルートに従って進行した場合に最初に通過することになる候補地点を、着目地点として、当該着目地点を案内する地点案内情報を表示する衛星測位不能時案内部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記衛星測位不能時案内部は、ユーザから次地点の案内を要求された場合に、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の次に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2記載のナビゲーション装置であって、
前記衛星測位不能時案内部は、ユーザから前地点の案内を要求された場合に、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の直前に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記着目地点のようすを、当該着目地点通過時の前記推奨ルートに従った通過方向と共に表す地点案内図を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの距離の情報を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの道路区間の形状の特徴を表す情報を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの道路区間から視認できる風景の特徴を表す情報を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの間にある交差点の数と交通信号機の数とのうちの少なくとも一方の情報を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備え、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定するナビゲーション装置であって、
地図データに基づいて目的地までのルートを探索し、推奨ルートとして設定するルート設定部と、
前記衛星測位部が、前記衛星測位が不能な状態となったときに、前記推奨ルート上の交通信号機が設置された地点もしくは前記推奨ルート上の交通信号機が設置された交差点である候補地点のうちの、前記推奨ルートに従って進行した場合に最初に通過することになる候補地点を、着目地点として、当該着目地点を案内する地点案内情報を表示する衛星測位不能時案内部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項9記載のナビゲーション装置であって、
前記衛星測位不能時案内部は、ユーザから次地点の案内を要求された場合に、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の次に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項10記載のナビゲーション装置であって、
前記衛星測位不能時案内部は、ユーザから前地点の案内を要求された場合に、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の直前に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項9記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記着目地点のようすを、当該着目地点通過時の前記推奨ルートに従った通過方向と共に表す地点案内図を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項13】
請求項9記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの距離の情報を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項14】
請求項9記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの道路区間の形状の特徴を表す情報を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項15】
請求項9記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの道路区間から視認できる風景の特徴を表す情報を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項16】
請求項9記載のナビゲーション装置であって、
前記地点案内情報は、前記衛星測位が不能な状態となったときに算定されていた現在位置を基準位置として、当該基準位置から前記着目地点までの間にある交差点の数の情報を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項17】
請求項9記載のナビゲーション装置であって、
進行方向前方を撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した画像に写り込んだ交通信号機を認識する画像認識部とを備え、
前記衛星測位部は、前記衛星測位が不能な状態となったときに、前記推奨ルート上の交通信号機が設置された地点を前記候補地点とし、
前記衛星測位不能時案内部は、前記画像認識部の交通信号機の認識に基づいて、交通信号機設置位置への到達を検出し、当該到達が検出されたならば、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の次に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項18】
請求項9記載のナビゲーション装置であって、
交通信号機設置位置に配置された送信装置と通信する無線通信装置を備え、
前記衛星測位部は、前記衛星測位が不能な状態となったときに、前記推奨ルート上の交通信号機が設置された地点を前記候補地点とし、
前記衛星測位不能時案内部は、前記無線通信装置と前記送信装置との通信の発生に基づいて、交通信号機設置位置への到達を検出し、当該到達が検出されたならば、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の次に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項19】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備え、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定するナビゲーション装置であって、
地図データに基づいて目的地までのルートを探索し、推奨ルートとして設定するルート設定部と、
前記衛星測位部が、前記衛星測位が不能な状態となったときに、前記推奨ルート上の交差点である候補地点のうちの、前記推奨ルートに従って進行した場合に最初に通過することになる前記候補地点を、着目地点として、当該着目地点を案内する地点案内情報を表示する衛星測位不能時案内部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項20】
請求項19記載のナビゲーション装置であって、
前記衛星測位不能時案内部は、ユーザから次地点の案内を要求された場合に、前記推奨ルートに従って進行した場合に現在の着目地点の次に通過することになる前記候補地点に着目地点を変更し、当該変更後の着目地点を案内する地点案内情報を表示することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204392(P2009−204392A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45801(P2008−45801)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】