説明

ナビゲーション装置

【課題】渋滞情報が用意されていない地図画像を表示する場合に、渋滞情報を表示したい。
【解決手段】ナビゲーション装置10は、車両に搭載される。通信部26は、車両の外部に設置された無線装置との通信を実行する。地図画像取得部42は、通信部26を介して、地図画像を取得する。映像取得部46は、通信部26を介して、車両の外部に設置された撮像装置が撮像した画像を取得する。映像解析部48は、取得した画像から渋滞の発生を検出する。合成部50は、渋滞の発生を検出した場合、地図画像上に、渋滞の発生部分を重ねてディスプレイ38に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション技術に関し、特に渋滞情報も表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナビゲーション装置は、GPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに車両の位置を特定する。また、方位センサや走行距離センサからの信号をもとに、車両の位置が補正される。さらに、車両に撮像装置が設置され、撮像装置によって撮像した周囲の映像を使用することによって、車両の位置を補正する技術が提案されている。この技術では、映像の中から特定の建物が抽出され、予め記憶した建物の位置情報を使用しながら、抽出した建物の位置が特定される。また、特定した位置によって、車両の位置が補正される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−316025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンピュータ等において、電子化された地図データが利用される。このような地図データには、道路等の地図情報が含まれている場合と、含まれていない場合とがある。後者の場合の地図データは、地図の模様を有した画像ともいえる。前者と区別するために、以下では、後者の地図データを「地図画像」という。地図画像の一例は、高解像度衛星画像、航空写真データ、ラスタ地図である。ラスタ地図とは、住居、建物、地形等の主に地図上にて把握できる要素を画像で表現した地図である。このようなラスタ地図は、一般的に、ドットの集合によって表現されているので、変形などの直接的な編集を行なえない。なお、ラスタ地図に対応して、前者をベクトル地図と呼ぶこともある。
【0004】
ナビゲーションシステムは、一般的に記憶媒体を備えており、記憶媒体にベクトル地図が記憶されている。そのため、地図データを最新の状態で維持するために、記憶媒体に記憶されたベクトル地図の定期的な更新が要求される。しかしながらベクトル地図のデータサイズが大きい場合、定期的な更新のために、時間的、労力、コスト等の面においてユーザに負担が強いられる。一方、インターネット等のネットワークにおいて、地図データが公開されている。このような地図データは、一般的にラスタ地図であるが、公開者等によって更新されることによって、更新によるユーザの負担は低減される。
【0005】
本発明者はこうした状況下、以下の課題を認識するに至った。ネットワーク等において公開されているラスタ地図から、地図画像に含まれた道路等の情報(以下、「道路データ」という)を抽出し、道路データをナビゲーションシステムに使用すれば、ユーザの負担を低減しながらも、地図データを最新の状態で維持できる。しかしながら、このような地図画像は、ナビゲーションシステムでの使用を前提としていないので、一般的に渋滞情報を表示しない。一方、ユーザの利便性を考慮すると、渋滞情報が表示される方が好ましい。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、渋滞情報が用意されていない地図画像を表示する場合に、渋滞情報を表示する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のナビゲーション装置は、車両に搭載されたナビゲーション装置であって、車両の外部に設置された無線装置との通信を実行する通信部と、通信部を介して、地図画像を取得する第1取得部と、通信部を介して、車両の外部に設置された撮像装置が撮像した画像を取得する第2取得部と、第2取得部において取得した画像から渋滞の発生を検出する検出部と、検出部において渋滞の発生を検出した場合、第1取得部において取得した地図画像上に、渋滞の発生部分を重ねて表示する表示部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、渋滞情報が用意されていない地図画像を表示する場合に、渋滞情報を表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置、基地局装置、撮像装置、地図画像サーバを含むナビゲーションシステムに関する。基地局装置は、一端において無線ネットワークにてナビゲーション装置に接続され、他端において有線ネットワークにて撮像装置、地図画像サーバに接続されている。撮像装置は、道路周辺のさまざまな位置に複数設置されており、道路を通行する車両の映像を撮像する。ここで、複数の撮像装置のそれぞれが配置された位置は既知である。各撮像装置は、撮像した映像を図示しないサーバへ出力することによって、映像を公開する。また、各撮像装置は、撮像した映像を直接公開する。
【0011】
ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信することによって、車両位置を測位する。ナビゲーション装置は、車両位置が含まれるような地図画像の送信を地図画像サーバに要求する。地図画像とは、電子化された地図データである。その結果、ナビゲーション装置は、基地局装置と通信することによって、基地局装置に接続された地図画像サーバから地図画像を取得する。ここでは、地図画像が画像として示されている場合、地図画像がデータ形式にて示されている場合とを区別せずに、「地図画像」という用語を使用する。
【0012】
また、ナビゲーション装置は、車両位置をもとに、経路案内の対象となる位置(以下、「対象位置」という)を特定する。例えば、経路案内は、車両位置から目的地へ至る道路に沿ってなされるが、対象位置は、当該道路上に配置される複数のポイントを含むように構成されている。ナビゲーション装置は、複数の撮像装置のアクセス先を予め記憶する。ここで、アクセス先は、例えば、IPアドレスによって特定される。ナビゲーション装置は、対象位置の近傍に設置された撮像装置のアクセス先を抽出し、基地局装置を介して、撮像装置へアクセスする。その結果、ナビゲーション装置は、撮像装置からの映像を受信する。また、ナビゲーション装置は、映像を解析して、映像に対応した区域が渋滞しているかを判定する。さらに、ナビゲーション装置は、前述の地図画像をディスプレイに表示する際に、渋滞している道路を着色する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係るナビゲーションシステム100の構成を示す。ナビゲーションシステム100は、ナビゲーション装置10、基地局装置12、ネットワーク14、地図画像サーバ16、車両18、撮像装置70を含む。また、ナビゲーション装置10は、GPS用アンテナ20、通信用アンテナ22を含む。
【0014】
ナビゲーション装置10は、車両18に搭載されている。ここで、車両18は、例えば、自動車である。ナビゲーション装置10は、GPS用アンテナ20において、図示しないGPS衛星からの信号を受信する。ナビゲーション装置10は、受信した信号をもとに、車両18の位置(以下、「車両位置」という)を測位する。また、ナビゲーション装置10は、通信用アンテナ22を備えており、無線通信システムの端末装置の機能を有する。ここで、無線通信システムには、例えば、IEEE802.11n等に準拠した無線LAN(Local Area Network)システムやIEEE802.16等に準拠した無線MAN(Metropolitan Area Network)システムが使用される。ナビゲーション装置10は、無線ネットワークを介して基地局装置12に接続される。
【0015】
基地局装置12は、一端において、ナビゲーション装置10を接続し、他端において、ネットワーク14を接続する。ネットワーク14は、例えば、IP(Internet Protocol)ネットワークにて構成される。また、ネットワーク14は、撮像装置70を接続しており、各撮像装置70には、IPアドレスが付与されている。撮像装置70は、車両18の外部での特定の位置、例えば道路に沿って設置されている。図1では、ひとつの撮像装置70が示されているが、ナビゲーションシステム100には、複数の撮像装置70が含まれる。ここで、複数の撮像装置70のそれぞれが設置された位置は既知である。撮像装置70は、カメラに相当し、車両18の画像、あるいは図示しない他の車両の画像を撮像する。
【0016】
ここでは、撮像装置70によって撮像された画像を「映像」という。映像は、動画像であってもよく、静止画像であってもよいが、ここでは、静止画像であるとする。また、映像が画像として示されている場合、映像がデータ形式にて示されている場合とを区別せずに、「映像」という用語を使用する。撮像装置70は、映像を定期的に撮像する。撮像装置70は、撮像した映像を公開するが、映像の公開には、少なくともふたつの方法が含まれる。ひとつ目は、撮像装置70は、図示しないサーバに接続されており、撮像装置70は、サーバへ映像を送信する。また、サーバは、アクセスしてきた通信装置に対して映像を公開する。ふたつ目は、撮像装置70が、前述のサーバの機能を有しており、撮像装置70は、アクセスしてきた通信装置に対して映像を直接公開する。
【0017】
また、ネットワーク14は、地図画像サーバ16も接続している。地図画像サーバ16は、地図画像を記憶する。ここで、地図画像は、複数種類の縮尺に対応するように予め用意されている。また、各縮尺において、地図画像は、緯度と経度とを変えながら複数存在する。例えば、ひとつの地図画像は、四角形の形状を有しており、四角形の左上が「始点」と規定され、右下を「終点」と規定されている。ここで、始点と終点とを変えられた複数の地図画像が規定されている。つまり、複数種類の縮尺のそれぞれに対して、複数の地図画像が含まれている。以下では、複数の地図画像のそれぞれと、複数の地図画像の集合とを区別せずに「地図画像」という。
【0018】
ナビゲーション装置10は、基地局装置12を介して地図画像サーバ16へ、車両位置が含まれるような地図画像の送信を要求する。地図画像サーバ16は、記憶した複数の地図画像の中から、該当する地図画像を抽出し、抽出した地図画像をナビゲーション装置10へ送信する。ナビゲーション装置10は、地図画像を受信する。一方、ナビゲーション装置10は、測位した車両位置をもとに、対象位置を特定する。前述のごとく、対象位置とは、車両位置から目的地へ至る道路上に配置される複数のポイントに相当する。ここで、隣接したポイント間の距離は、任意の値に設定される。なお、このような処理のために、ナビゲーション装置10は、目的地に関する情報をユーザから予め受けつけている。
【0019】
ナビゲーション装置10は、撮像装置70の設置位置に関する情報、例えばIPアドレスを予め記憶しており、対象位置もとに、処理対象にすべき撮像装置70を選択し、それに対応したIPアドレスを抽出する。ここで、複数の撮像装置70が選択されてもよい。ナビゲーション装置10は、抽出したIPアドレスをもとに、基地局装置12を介して撮像装置70へアクセスし、撮像装置70に映像の送信を要求する。撮像装置70は、要求に応じて映像を送信し、ナビゲーション装置10は、映像を受信する。ナビゲーション装置10は、映像を解析することによって、映像に対応した区域、つまり撮像装置70が設置された地域に渋滞が発生しているかを判定する。ナビゲーション装置10は、受信した地図画像をディスプレイに表示するとともに、地図画像上において渋滞している道路を着色する。
【0020】
図2は、ナビゲーション装置10の構成を示す。ナビゲーション装置10は、GPS用アンテナ20、通信用アンテナ22、GPS受信部24、通信部26、ナビゲーション処理部28、ルート探索処理部30、記憶部32、操作入力部34、音声出力部36、ディスプレイ38、制御部60を含む。また、ナビゲーション処理部28は、位置取得部40、地図画像取得部42、画像解析部44、映像取得部46、映像解析部48、合成部50を含む。
【0021】
GPS受信部24は、GPS用アンテナ20を介して、図示しないGPS衛星からの信号を受信する。また、GPS受信部24は、受信した信号を位置取得部40へ出力する。位置取得部40は、GPS受信部24からの信号を受けつけ、GPSによる測位を実行することによって、図示しない車両18の内部において、車両位置を取得する。なお、GPSによる測位には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、車両位置は、緯度と経度によって示される。GPS受信部24、位置取得部40は、以上の処理を適宜実行することによって、車両位置は繰り返し取得される。位置取得部40は、車両位置の情報を地図画像取得部42、映像取得部46、合成部50へ出力する。
【0022】
地図画像取得部42は、位置取得部40から車両位置の情報を受けつける。地図画像取得部42は、車両位置が含まれた地図画像の送信を図示しない地図画像サーバ16へ要求するために要求信号(以下、「第1要求信号」という)を生成する。ここで、第1要求信号には、ナビゲーション装置10を識別するための情報、車両位置、縮尺に関する情報が含められる。初期の段階において、縮尺は、所定の値に設定されればよい。地図画像取得部42は、第1要求信号を通信部26へ出力する。通信部26は、前述の無線通信システムでの端末装置に相当し、無線通信システムに対応した処理を実行することによって、車両の外部に設置された基地局装置12との通信を実行する。
【0023】
ここで、IEEE802.11a規格やIEEE802.16規格のようなOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)が採用された無線通信システムに対応する場合、通信部26は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)を実行し、送信処理としてIFFTを実行する。また、IEEE802.11b規格のようなスペクトル拡散方式が採用された無線通信システムに対応する場合、通信部26は、受信処理として逆拡散を実行し、送信処理として拡散を実行する。さらに、IEEE802.11nのようなMIMO(Multiple Input Multiple Output)方式が採用された無線通信システムに対応する場合、通信部26は、受信処理としてアダプティブアレイ信号処理を実行し、送信処理として複数のストリームへの分散処理を実行する。
【0024】
通信部26は、第1要求信号の最終的な宛先を地図画像サーバ16と設定し、第1要求信号を基地局装置12へ送信する。通信部26は、第1要求信号の送信後、ネットワーク14を介して地図画像サーバ16からの応答信号(以下、「第1応答信号」という)を受信する。第1応答信号には、地図画像の始点に対する緯度と経度の情報、地図画像の終点に対する緯度と経度の情報、始点および終点にて特定される地図画像のデータ(以下、単に「地図画像」という)が含まれる。
【0025】
通信部26は、受けつけた第1応答信号を地図画像取得部42へ出力する。その結果、地図画像取得部42は、通信部26を介して、車両位置が含まれた地図画像を取得する。ここで、地図画像はラスタ画像であるので、例えば地図画像に含まれた道路は、ナビゲーション装置10において、単なる模様として認識される。つまり、道路に沿った緯度や経度の変化は、ナビゲーション装置10に認識されない。なお、ここでは、道路に沿った緯度や経度の変化の情報を「道路データ」という。地図画像取得部42は、地図画像を画像解析部44へ出力する。
【0026】
画像解析部44は、地図画像取得部42から地図画像を受けつける。画像解析部44は、地図画像を解析することによって、地図画像から道路データを生成する。地図画像から道路データの生成には、公知の技術、例えば、特開2004−246554号公報に開示された技術を使用すればよいので、ここでは説明を省略する。例えば、道路データには、緯度および経度にて示された地点に関する情報が複数含まれ、それら地点のどうしの関連性に関する情報も含まれている。
【0027】
映像取得部46は、位置取得部40から車両位置の情報を受けつける。また、映像取得部46は、後述の操作入力部34から目的地に関する情報あるいは経路に関する情報を受けつける。映像取得部46は、車両位置から目的地へ至る経路を導出し、導出した経路での対象位置を特定する。前述のごとく、対象位置は複数存在してもよく、例えば、経路を均等に分割することによって複数の対象位置が特定される。なお、経路に関する情報を受けつける場合、映像取得部46において、経路の導出は省略される。映像取得部46は、特定した対象位置をもとにアクセスすべき撮像装置70を特定する。
【0028】
これを実現するために、映像取得部46は、対象位置と撮像装置70との関係が示されたテーブルを予め記憶する。図3は、映像取得部46において記憶されたテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、対象位置欄200、アクセス先欄202が含まれる。アクセス先欄202には、各撮像装置70のIPアドレスが示される。対象位置欄200には、アクセス先欄202に示された撮像装置70を選択すべき対象位置が示される。なお、映像取得部46に受けつけた対象位置が、対象位置欄200に含まれない場合もある。その場合、映像取得部46は、受けつけた対象位置から一定の範囲に比較の対象を拡大する。そのため、対象位置欄200は、撮像装置70が配置された位置であってもよい。
【0029】
映像取得部46は、撮像装置70のIPアドレスを宛先として、映像の送信を要求するための要求信号(以下、「第2要求信号」という)を生成し、通信部26へ出力する。ここで、複数のIPアドレスが特定された場合、複数の第2要求信号が生成される。通信部26は、基地局装置12を介して、IPアドレスにて示された撮像装置70へ第2要求信号を送信する。また、通信部26は、第2要求信号に対する応答信号であって、かつ撮像装置70において撮像された映像が含まれた応答信号(以下、「第2応答信号」という)を受信する。通信部26は、受信した第2応答信号を映像取得部46へ出力する。
【0030】
その結果、映像取得部46は、通信部26を介して、車両の外部に設置された撮像装置70が撮像した映像を取得する。図4は、映像取得部46において受信したデータの構成を示す。「映像データ」は、前述の映像に相当し、「付加情報」は、映像を撮像した撮像装置70の位置、撮像時刻などの情報に相当する。図2に戻る。映像取得部46は、映像および付加情報を映像解析部48へ出力する。映像解析部48は、映像取得部46から、映像および付加情報を受けつける。映像解析部48は、受けつけた映像から渋滞の発生を検出する。
【0031】
図5は、映像解析部48において解析の対象となる映像を示す。図示のごとく、画面手前へ向かう車線(以下、「第1車線」という)と、画面奥へ向かう車線(以下、「第2車線」という)とが示されている。映像解析部48は、各車線に対して画像処理を実行することによって、車両の台数を導出する。ここで、画像処理には公知の技術が使用されればよい。また、映像に示された各車線の長さが既知であるとすれば、映像解析部48は、台数/長さを計算することによって、車両の密集度を導出する。映像解析部48は、密集度がしきい値よりも大きければ、渋滞の発生と決定する。例えば、第1車線において渋滞が発生し、第2車線において渋滞が発生していないと決定される。また、映像解析部48は、密集度がしきい値よりも大きくても交差点の手前であれば、渋滞が発生していないと決定してもよい。なお、映像解析部48は、密集度を導出せずに、台数としきい値とを比較してもよい。図2に戻る。
【0032】
映像解析部48、第1車線と第2車線のそれぞれに対して以上の処理を実行する。また、映像解析部48は、複数の映像を受けつけた場合、それぞれに対して以上の処理を実行する。映像解析部48は、判定結果として、渋滞が発生している部分に関する情報(以下、「渋滞情報」という)を合成部50へ出力する。その際、映像解析部48は、図示しない車両18の進行方向を考慮する。例えば、図5の第1車線を車両18が進行する場合、渋滞が発生しているとされ、第2車線を車両18が進行する場合、渋滞が発生していないとされる。
【0033】
合成部50は、地図画像取得部42から地図画像を受けつけ、画像解析部44から道路データを受けつけ、映像解析部48から渋滞情報を受けつけ、位置取得部40から車両位置に関する情報を受けつける。また、合成部50は、道路データから道路画像を生成する。ここで、道路画像とは、道路データに含まれた複数の地点を関連性にしたがって連結した画像である。さらに、合成部50は、道路画像を地図画像に重ねる。つまり、合成部50は、道路画像と地図画像とを異なったレイヤの画像として合成する(以下、合成した画像を「中間画像」という)。
【0034】
また、合成部50は、映像解析部48において渋滞の発生を検出した場合、中間画像上、特に道路画像上に、渋滞の発生部分を重ねて表示する(以下、「合成画像」という)。図6は、ディスプレイ38に表示された合成画像を示す。図示のごとく、渋滞が発生している部分の道路には着色がなされている。図2に戻る。このような処理を具体的に説明すると、渋滞が発生した部分は、緯度および経度にて示されている。なお、渋滞が発生した部分は、ある程度の長さを有するので、緯度および経度の複数の組合せにて示される。合成部50は、複数の組合せのそれぞれを道路データの部分に対応づける。複数の組合せと道路データの部分とが一致しない場合、合成部50は、複数の組合せに近い道路データの部分を選択する。ここで、道路データの部分は、複数のポイントにて形成されているので、合成部50は、ポイント間を着色しながら、複数のポイントを結合する。さらに、合成部50は、中間画像上、特に道路画像上に、車両位置を重ねて表示する。その方法は、渋滞の発生部分の表示と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。
【0035】
記憶部32は、地図画像取得部42において取得した地図画像、画像解析部44において生成した道路データを記憶する。その際、地図画像取得部42は、記憶部32に記憶させた地図画像に関する情報、例えば、始点や終点の緯度および経度、縮尺を管理する。また、地図画像取得部42は、位置取得部40から存在位置の情報を受けつけたとき、存在位置が含まれた地図画像を記憶部32に記憶させているかを確認する。記憶させている場合、地図画像取得部42は、通信部26へ要求信号を出力せずに、記憶部32から地図画像を抽出する。その際、画像解析部44は、記憶部32から道路データを抽出する。これに続く処理は、これまでと同様であるので、説明を省略する。また、記憶部32は、記憶した各地図画像や道路データに対して、最後に使用した時刻を管理する。最後に使用した時刻がしきい値よりも前になった場合、記憶部32は、これに対応した地図画像および道路データを削除する。
【0036】
操作入力部34は、ボタン等によって構成されており、ユーザからの指示を受けつける。操作入力部34は、受けつけた指示をナビゲーション処理部28へ出力する。音声出力部36は、スピーカ等によって構成されており、ナビゲーション処理部28からの音声信号を受けつける。音声出力部36は、音声信号を出力する。ルート探索処理部30は、操作入力部34を介してユーザから受けつけた宛先までのルートを探索する。ルートを探索する際に、ルート探索処理部30は、ナビゲーション処理部28、通信部26を介して、地図画像を取得する。制御部60は、ナビゲーション装置10全体の動作を制御する。
【0037】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0038】
以上の構成によるナビゲーション装置10の動作を説明する。図7は、ナビゲーション装置10における表示手順を示すフローチャートである。位置取得部40は、車両位置を測位し、映像取得部46は、測位した車両位置をもとに映像を取得することによって、映像収集処理が実行される(S10)。映像解析部48は、映像を解析して渋滞の発生を解析し、合成部50は、渋滞部分を地図画像上に表示することによって、映像解析・表示処理が実行される(S12)。
【0039】
図8は、ナビゲーション装置10における映像収集手順を示すフローチャートである。これは、図7のステップ10に相当する。これまでの説明では、映像取得部46が、図3のようなテーブルを予め記憶しており、その中で、アクセス先は並列に並べられている。ここでは、図3のテーブルにおけるアクセス先が、アクセス先の特徴に応じて分類されているものとする。アクセス先の特徴とは、例えば、インターネットにおいて公開されているか否かである。インターネットにおいて公開されていないアクセス先の一例は、ゲートウエイ等を介して、防犯等の目的のために施設された撮像装置70と接続されている場合である。その場合、パスワード等を使用することによって、映像取得部46は、当該撮像装置70からの映像を取得する。そのため、第2要求信号には、パスワード等の情報が含まれている。
【0040】
映像取得部46は、対象位置を確認する(S20)。インターネットに映像が存在せず(S22のN)、かつ対象位置近傍の撮像装置70の映像が存在する(S28のY)場合、映像取得部46は、撮像装置70の映像を取得する(S30)。一方、対象位置近傍の撮像装置70の映像が存在せず(S28のN)、衛星写真が存在する場合(S32のY)、映像取得部46は、衛星写真を取得する(S34)。インターネットに映像が存在し(S22のY)、対象位置の映像が存在する場合(S24のY)、映像取得部46は、映像を取得する(S26)。一方、対象位置の映像が存在せず(S24のN)、かつ対象位置近傍の撮像装置70の映像が存在する(S28のY)場合、映像取得部46は、撮像装置70の映像を取得する(S30)。対象位置近傍の撮像装置70の映像が存在せず(S28のN)、衛星写真が存在する場合(S32のY)、映像取得部46は、衛星写真を取得する(S34)。衛星写真が存在しない場合(S32のN)、映像取得部46は、処理を終了する。その際、映像解析部48は、渋滞なしと判定する。
【0041】
図9は、ナビゲーション装置10における渋滞の表示手順を示すフローチャートである。これは、図7のステップ12に相当する。映像解析部48は、対象位置の映像を抽出し(S50)、映像を解析する(S52)。映像解析部48での解析によって渋滞が発生していれば(S54のY)、合成部50は、道路画像上の渋滞した部分を着色する(S56)。一方、映像解析部48での解析によって渋滞が発生していなければ(S54のN)、ステップ56はスキップされる。対象位置に該当する撮像装置70からの映像が他にも存在すれば(S58のY)、つまり解析すべき映像が他にも残っている場合、ステップ50に戻る。一方、対象位置に該当する撮像装置70からの映像が他にも存在しなければ(S58のN)、処理は終了される。なお、映像取得部46が衛星写真を取得した場合、映像解析部48は、衛星写真に画像処理を実行することによって、渋滞が発生している経路を直接検出する。
【0042】
本発明の実施例によれば、ネットワークにおいて公開されている映像をもとに渋滞の発生を検出するので、渋滞情報が用意されていない地図画像を表示する場合に、渋滞情報を表示できる。また、渋滞情報が表示されるので、ユーザの利便性を向上できる。また、地図画像の取得と映像の取得とにおいて、同一の通信部を共有して使用するので、回路規模の増加を抑制できる。また、渋滞情報を取得するための専用装置を搭載しなくてもよいので、装置規模の増加を抑制できる。また、渋滞情報を取得するための専用装置を搭載しなくてもよいので、コストを低減できる。
【0043】
また、道路画像上に渋滞部分を表示するので、道路以外の部分が渋滞しているというような表示の発生を回避できる。また、道路以外の部分が渋滞しているというような表示の発生が回避されるので、地図画像を使用する場合であっても、ユーザの利便性を向上できる。また、衛星写真を使用するので、渋滞している部分を直接把握できる。また、インターネットにおいて公開されている映像だけではなく、他の用途のために撮像された映像も使用するので、使用可能な映像の数を増加できる。また、使用可能な映像の数が増加されるので、渋滞が発生している部分を詳細に検出できる。
【0044】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
本発明の実施例において、映像取得部46が複数の映像を取得した場合においても、映像解析部48および合成部50は、各映像に対して独立した処理を実行する。しかしながらこれに限らず例えば、合成部50は、映像解析部48においてふたつの渋滞の発生を検出した場合、ふたつの渋滞の発生部分の間隔がしきい値よりも近ければ、ふたつの渋滞の発生部分を結合してもよい。つまり、渋滞している区間が連続しているとしてもよい。本変形例によれば、撮像されていない区間における渋滞の発生を予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例に係るナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】図1のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図3】図2の映像取得部において記憶されたテーブルのデータ構造を示す図である。
【図4】図2の映像取得部において受信したデータの構成を示す図である。
【図5】図2の映像解析部において解析の対象となる映像を示す図である。
【図6】図2のディスプレイに表示された合成画像を示す図である。
【図7】図2のナビゲーション装置における表示手順を示すフローチャートである。
【図8】図2のナビゲーション装置における映像収集手順を示すフローチャートである。
【図9】図2のナビゲーション装置における渋滞の表示手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10 ナビゲーション装置、 12 基地局装置、 14 ネットワーク、 16 地図画像サーバ、 18 車両、 20 GPS用アンテナ、 22 通信用アンテナ、 24 GPS受信部、 26 通信部、 28 ナビゲーション処理部、 30 ルート探索処理部、 32 記憶部、 34 操作入力部、 36 音声出力部、 38 ディスプレイ、 40 位置取得部、 42 地図画像取得部、 44 画像解析部、 46 映像取得部、 48 映像解析部、 50 合成部、 60 制御部、 70 撮像装置、 100 ナビゲーションシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーション装置であって、
車両の外部に設置された無線装置との通信を実行する通信部と、
前記通信部を介して、地図画像を取得する第1取得部と、
前記通信部を介して、車両の外部に設置された撮像装置が撮像した画像を取得する第2取得部と、
前記第2取得部において取得した画像から渋滞の発生を検出する検出部と、
前記検出部において渋滞の発生を検出した場合、前記第1取得部において取得した地図画像上に、渋滞の発生部分を重ねて表示する表示部と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記検出部においてふたつの渋滞の発生を検出した場合、ふたつの渋滞の発生部分の間隔がしきい値よりも近ければ、ふたつの渋滞の発生部分を結合することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−236779(P2009−236779A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84958(P2008−84958)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】