説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザがナビゲーション装置の使用を開始する時期によらず、所定回数のダウンロードを無償として地図データを更新することができるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、無償の地図更新回数の設定と無償の地図更新回数を含む地図更新履歴20を記憶する履歴記憶手段(RAM19)と、通信手段14と、更新可否判別手段15と、を備え、サーバから最新の地図データを受信して地図記憶手段12に記憶した地図データを更新する際、更新可否判別手段15は、地図更新履歴を参照して、地図更新設定の回数と無償の地図更新回数とを比較して無償の地図更新が可能か否かを判別し、無償の地図更新が可能な場合、サーバから地図データを受信して地図記憶手段12に記憶された地図データを更新するとともに地図更新履歴20の無償地図更新回数を書換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の出発地から目的地までの案内経路を探索し、表示部に表示した地図画像上に案内経路や現在位置を表示して経路を案内するナビゲーション装置に関するものであり、特に、ナビゲーション装置が経路探索や地図画像を表示するための地図データを記憶する地図記憶手段を備え、地図記憶手段に記憶された地図データをサーバからダウンロードして最新のものに更新することができるナビゲーション装置において、所定回数のダウンロードを無償として地図データを更新することができるようにしたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等で道路を走行する場合に、目的地にいたるまで現在位置を求め、表示画面上に道路地図とともに現在位置を表示し、ユーザが道に迷うことなく目的地に到達できるように誘導する車載用のナビゲーション装置が知られている。また、携帯電話などの携帯端末装置を用いた歩行者用ナビゲーションシステムも提供されている。このナビゲーションシステムは携帯端末装置と経路探索サーバとから構成された通信型のナビゲーションシステムである。
【0003】
このようなナビゲーションシステムに用いられる携帯端末装置や、ナビゲーション装置においては、現在位置を測定するために、人工衛星を利用したGPS(Global Positioning System)測位システムが用いられる。GPS測位システムは、地球上空を周回している複数の人工衛星からの電波を受信し、受信データを演算処理することによって現在位置を特定するものである。
【0004】
GPSによって特定された現在位置は、ナビゲーション装置の地図記憶手段等に記憶されている地図データと比較され、例えば現在位置から最も近い道路にマッチング処理を行い、この位置がマッチング処理された現在位置として表示画面に表示される。これにより、GPS測位に僅かな誤差があるような場合でも現在地を道路上に修正し違和感のない表示を行うことが可能となる。
【0005】
また、ナビゲーション装置として、ユーザによって指定された出発地から目的地までの経路探索を行って案内経路を表示画面に表示し、測位された現在位置をこの案内経路と比較してマッチング処理を行うものもある。
【0006】
一般に、車載用のナビゲーション装置にあっては、ナビゲーション装置が経路探索や地図画像を表示するための地図データを記憶する地図記憶手段と、経路探索手段と、現在位置検出手段などとを備え、利用者により設定された出発地と目的地とを結ぶ最適経路を探索し、表示部に地図画像とともに探索した案内経路や車両の現在位置を表示して目的地までの経路を案内するように構成されている。
【0007】
しかしながら、道路事情は固定的なものでなく新たな道路が建設されることもあり、地図データは時間とともに更新する必要がある。地図データの更新は車載用のナビゲーション装置ではCD−ROMなどの記憶媒体を用いて行われることもあるが、最近では、ナビゲーション装置が通信手段を備え、ナビゲーション装置のメーカや地図情報の配信事業者が用意したサーバから最新の地図データをダウンロードして行うようになりつつある。
【0008】
例えば、下記の特許文献1(特開2007−64951号公報)には、地図データ管理センタから最新の地図データの最新バージョンの情報を取得し、最新バージョンの地図データを保有する他の車ナビゲーション装置からダウンロードして更新することができる車載のナビゲーション装置の発明が開示されている。
【0009】
このナビゲーション装置は、車載器の制御部で推奨経路が演算されると、制御部は、推奨経路が含まれる地図データのメッシュIDを地図データ管理センタへ送信して当該メッシュIDに対応する地図データの最新バージョンの情報を要求し、最新バージョンの情報を取得するように構成されている。制御部は、推奨経路が含まれる地図データの各メッシュのバージョン番号と、地図データ管理センタから取得した最新のバージョン番号とを比較し、最新バージョンでないメッシュがあると、最新バージョンの地図データを有する他車両の車載器から車間通信によって当該メッシュの最新バージョンの地図データをダウンロードするようにしたものである。
【0010】
また、下記の特許文献2(特開2006−126683号公報)には、地図更新サーバから地図データをダウンロードして更新するようにした差分地図データ配信方法の発明が開示されている。
【0011】
この差分地図データ配信方法の発明は、車載端末は、ユーザの選択に従って差分更新エリアを設定し、差分更新要求を地図更新サーバに送信し、その場合の更新モードが「概形表示後更新」であるとき、車載端末は、地図更新サーバから概形更新地図をダウンロードする。そして、ディスプレイの表示部に、概形更新地図を表示し、表示部に表示されたダウンロード開始ボタンが押下されたとき、車載端末は、地図更新サーバから詳細更新地図をダウンロードし、ディスプレイの表示部に、詳細更新地図を表示し、端末DBに記憶された地図データの更新処理を行うようにしたものである。
【0012】
地図データのメンテナンスには費用と労力を要するため、通常、更新地図データは有償で提供されるす場合が多い。しかしながら、ナビゲーション装置の提供する経路案内には正確性が要求されるので、一定の期間、地図データを無償で更新するサービスも提供されている。
【0013】
例えば、下記の特許文献3(特開2005−345727号公報)には、無料期間から有料期間への移行期限が近づいてきたときに、どの地図エリアが未更新であるのかをユーザに分かりやすく告知するようにした告知方法の発明が開示されている。
【0014】
この告知方法の発明は、所定の移行期間内のユーザに対して電子メールを送信し、移行期限告知画面を表示し、リンクがクリックされると、そこに記録されたURLに基づいて当該ユーザを特定し、そのユーザの地図データの更新履歴に基づいて、未更新エリア画面を表示し、未更新の地図エリアがクリックされると、その地図エリアについて内訳画面を表示し、更新ボタンがクリックされると、確認画面を表示し、確認ボタンがクリックされると、更新地図データをダウンロードするように構成されたものである。
【特許文献1】特開2007−64951号公報
【特許文献2】特開2006−126683号公報
【特許文献3】特開2005−345727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記特許文献1や特許文献2に開示された技術を適用することによってナビゲーション装置に最新の地図データを提供してナビゲーションサービスの正確性を維持することができるようになる。また、一定の期間を経過した後は、地図データの更新を有償とすることにより地図データのメンテナンスにかかる費用負担をユーザに分散させることでナビゲーションサービス全体の有効性を維持することもできる。
【0016】
ところで、メーカがナビゲーション装置を設計、開発してから、製品が出荷され販売店の店頭で最終のユーザに販売されるまでにはタイムラグがあり、製品出荷時点でナビゲーション装置に蓄積された地図データが、最終ユーザがナビゲーション装置を購入して使用開始する時点では最新の地図データでなくなっている場合もある。少なくとも、ユーザがナビゲーション装置を購入して使用開始する時点でナビゲーション装置に蓄積されている地図データは最新のものであることが要求される。
【0017】
このような要求に応えるためには、ユーザが購入したナビゲーション装置に蓄積された地図データが、使用開始時点で最新の地図データでなくなっている場合には、販売店において最新の地図データに更新した上でユーザに販売するという作業が必要になる。このような作業には時間と人手が必要であり、販売コストに影響することになる。
【0018】
そこで、上記特許文献3に開示される技術を適用して、サーバからナビゲーション装置に最新の地図データをダウンロードできるシステムとし、一定の期間は無償で最新の地図データへの更新を行わせ、その期間経過後は地図データの更新を有償とすることにより、販売店において地図データの更新作業を行う必要はなくなる。
【0019】
しかしながら、ナビゲーション装置が個々の最終ユーザの手に渡る期間は、必ずしも一定であるとは限らない。上記特許文献3に開示された技術は、期間を定めて地図データの無償ダウンロードによる更新を許可するシステムでてあるから、所定の期間を経過した後にナビゲーション装置が最終ユーザの手に渡った場合には無償による地図データの更新が受けられないという問題点が生じる。
【0020】
ユーザの購入日を基準に個別に無償の地図データ更新期間を設定することも可能であるが、その場合、販売店においてナビゲーション装置ごとにその期間設定を行う必要が生じ、販売店において地図データを更新するのと時間、人手において大差がないことになってしまう。また、ユーザが設定された期間内に地図データの更新処理を行われなければ、地図データを最新のものに更新できないという問題点が生じる。
【0021】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、地図データをサーバからダウンロードして最新のものに更新することができるナビゲーション装置において、所定回数のダウンロードを無償として地図データを更新することができるようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0022】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、地図データをサーバからダウンロードして最新のものに更新することができるナビゲーション装置において、ユーザがビゲーション装置の使用を開始する時期によらず、所定回数のダウンロード、例えば、1回のダウンロードを無償として地図データを更新することができるようにしたナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
サーバから受信した地図データを地図記憶手段に記憶し、該地図記憶手段に記憶された地図データを表示手段に表示するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、無償の地図更新回数の設定と無償の地図更新回数とを含む地図更新履歴を記憶する履歴記憶手段と、通信手段と、更新可否判別手段と、を備え、
サーバから最新の地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶した地図データを更新する際、前記更新可否判別手段は、前記地図更新履歴を参照して、無償の地図更新設定の回数と無償の地図更新回数とを比較して無償の地図更新が可能か否かを判別し、無償の地図更新が可能な場合、前記サーバから地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶された地図データを更新するとともに、前記地図更新履歴の無償地図更新回数を書換えることを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記更新可否判別手段は、サーバから最新の地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶した地図データを更新する際、前記サーバに最新の地図データのバージョン情報を要求し、該サーバから受信した地図データのバージョン情報と、前記前記地図記憶手段に記憶した地図データのバージョン情報とを比較し、地図データの更新可否を判別することを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記地図更新履歴における無償の地図更新回数の設定は、1回の地図更新のみを無償とするように設定されたことを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかるナビゲーション装置において、前記地図更新履歴における前記無償地図更新回数の記録は、無償地図更新の実施の有無を示すフラグ情報を用いることを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記更新可否判別手段は、無償の地図更新が可能でない場合、有償の地図更新が可能である旨を前記表示手段に表示し、地図更新指示があった場合、前記サーバから最新の地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶された地図データを更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1にかかる発明においては、ナビゲーション装置は、無償の地図更新回数の設定と無償の地図更新回数を含む地図更新履歴を記憶する履歴記憶手段と、通信手段と、更新可否判別手段と、を備え、サーバから最新の地図データを受信して地図記憶手段に記憶した地図データを更新する際、前記更新可否判別手段は、前記地図更新履歴を参照して、地図更新設定の回数と無償の地図更新回数とを比較して無償の地図更新が可能か否かを判別し、無償の地図更新が可能な場合、前記サーバから地図データを受信して地図記憶手段に記憶された地図データを更新するとともに、前記地図更新履歴の無償地図更新回数を書換える。
【0029】
かかる構成によれば、ナビゲーション装置が実際に利用開始された時期によらず、ナビゲーション装置に記憶された地図データを、メーカが予め設定した無償更新回数に達するまで、利用者に地図データの更新を無償で実行させることができ、ナビゲーション装置の経路案内サービスを最新の情報に基づいて提供することができるようになる。
【0030】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、更新可否判別手段は、サーバから最新の地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶した地図データを更新する際、前記サーバに最新の地図データのバージョン情報を要求し、該サーバから受信した地図データのバージョン情報と、前記前記地図記憶手段に記憶した地図データのバージョン情報とを比較し、地図データの更新可否を判別する。
【0031】
かかる構成によれば、地図記憶手段に記憶された地図データが最新の地図データでない場合のみサーバから最新の地図データをダウンロードして更新することができるようになる。
【0032】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、地図更新履歴における無償の地図更新回数の設定は、1回の地図更新のみを無償とするように設定されている。
【0033】
かかる構成によれば、メーカはナビゲーション装置が最終顧客に販売され、実際に使用が開始される時点で、地図記憶手段に記憶された地図データを無償で最新の地図データに更新を許可することができるから、ナビゲーション装置の経路案内サービスを最新の情報に基づいて提供することができるようになる。
【0034】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかるナビゲーション装置において、地図更新履歴における前記無償地図更新回数の記録は、無償地図更新の実施の有無を示すフラグ情報を用いる。
【0035】
かかる構成によれば、無償の地図更新回数を直接用いて地図更新履歴を記憶することなく、無償地図更新の実行有無を示すフラグ情報のみで記憶することができ、無駄な記憶領域を用意する必要がなくなる。
【0036】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、更新可否判別手段は、無償の地図更新が可能でない場合、有償の地図更新が可能である旨を前記表示手段に表示し、地図更新指示があった場合、前記サーバから最新の地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶された地図データを更新する。
【0037】
かかる構成によれば、ナビゲーション装置の利用者が有償で地図データの更新を所望する場合には、何時でも地図記憶手段に記憶された地図データを最新の地図データに更新することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0039】
図1は、本発明の実施例にかかるタッチパネルを備えた車載用のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、自動車等の車両のダッシュボード上に載置されることにより車載用として使用されるナビゲーション装置であってもよく、また、車両から取外されユーザが携帯し使用できるタイプのものであってもよい。以下の説明においては、これらを総称してナビゲーション装置1という。
【0040】
ナビゲーション装置1は、制御手段10、現在位置検出手段11、地図記憶手段12、経路探索手段13、通信手段14、更新可否判別手段15、入力手段16、表示手段17、マッチング処理手段18、地図更新履歴20を記憶するRAM19などを備えて構成されている。
【0041】
制御手段10は、CPU、RAM、ROMからなるプロセッサで構成され、RAM、ROMに記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置1の各部の動作を制御する。現在位置検出手段11は、例えばGPS受信機等で構成され、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの時刻情報を含む電波を受信し、それをもとに現在位置情報を算出するものである。
【0042】
さらに、現在位置検出手段11は、舵角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなる自立航法手段を併用するようにしてもよい。この場合、車両の走行距離と走行方位とをそれぞれ検出し、これらの値を基準位置に対して積算することによって現在位置を求める。この現在位置検出方法は、GPS受信と組み合わせることで、GPS電波を受信できないトンネル内や、誤差が生じやすい高層ビル街において効果を発揮する。
【0043】
地図記憶手段12は、各道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータと道路リンクデータを含む道路データを記憶する。道路ノードデータには、道路ノードの番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれる。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノードの番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータにはさらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別は、高速道路や有料道路の別および国道や都道府県道などの別を含む情報である。
【0044】
道路データは、高速道路においてはそれぞれの高速道路に設けられたパーキングエリアやサービスエリアなどの特定エリアの位置情報、各特定エリアごとに該特定エリアへの進入路、該特定エリアからの脱出路の情報が含まれる。また、道路データは、高速道路、国道、県道、市区町村道などの道路種別や道路幅員、車線数などの属性情報を備え、上り、下りの進行方向別に地図データとして記憶される。
【0045】
地図記憶手段12に記憶された地図データは、通信手段14を用いてインターネットを介してサーバに接続し、サーバから最新の地図データをダウンロードして更新することができる。地図データの版数(バージョン情報)やダウンロードに関する設定、更新の履歴はRAM19に地図更新履歴として記憶される。
【0046】
図2は、地図更新履歴のデータの一例を示す図である。図2に示すように地図更新履歴のデータは、地図記憶部12に記憶された地図データの版数、ユーザID(端末IDであってもよい)、記憶されている地図エリアに関する情報が書き込まれており、地図更新情報の記憶欄が設けられている。
【0047】
地図更新情報の記憶欄は、無償更新の設定、例えば、1回の更新(地図ダウンロード)のみ無償で許可する等の設定欄、無償更新回数の記録欄から構成される。この地図更新情報の記憶欄は、工場出荷時などの時点で書き込まれるものであり、利用者による書換えができない領域に記憶されるものである。なお、この地図更新情報の記憶欄は、販売店において書込むように構成されていてもよいが、この場合にも、利用者による書換えができない領域に記憶される必要がある。
【0048】
図2に示す例では、無償の地図更新対数の設定は「2」(2回)に設定されており、既に1回地図の無償更新が実行されたことを示している。この場合、ナビゲーション装置1においては、もう1回、地図の無償更新が可能であることになる。
【0049】
ナビゲーション装置1の利用者が地図記憶手段12に記憶された地図データを更新しようとする場合、先ず、通信手段14を用いて図示しないサーバに最新の地図データのバージョン情報(版数情報)の送信を要求する。サーバから最新の地図データのバージョン情報を受信すると、地図記憶手段12に記憶されている地図データのバージョン情報とを比較する。
【0050】
バージョン情報が一致する場合、地図記憶手段12に記憶された地図データは最新のものであるから、更新の必要はなく、ナビゲーション装置1はその旨を表示手段17に表示する。バージョン情報が一致しない場合、地図記憶手段12に記憶された地図データは最新のものではないのでサーバから最新の地図データをダウンロードして更新する必要がある。
【0051】
その際、更新可否判別手段15はRAM19の地図更新履歴20(図2参照)の無償更新設定と無償更新回数を参照して、無償更新が可能か、有償更新の必要があるかを判別する。無償更新が可能であれば、サーバに最新の地図データのダウンロードを要求し、ダウンロードした地図データで地図記憶手段12に記憶された地図データを更新する。その際、地図更新情報の無償更回数(図2参照)を書換える。
【0052】
このようにすれば、ナビゲーション装置1が実際に利用開始された時期によらず、ナビゲーション装置1に記憶された地図データを、メーカが予め設定した無償更新回数に達するまで、利用者に地図データの更新を無償で実行させることができ、ナビゲーション装置1の経路案内サービスを最新の情報に基づいて提供することができるようになる。
【0053】
一方、有償の地図データ更新の必要がある場合は、表示手段17にその旨を表示し、ナビゲーション装置1の利用者による有償ダウンロードの指定があると、サーバに最新の地図データのダウンロードを要求し、ダウンロードした地図データで地図記憶手段12に記憶された地図データを更新する。サーバによる課金は予め利用者が設定したクレジットカードあるいは指定口座を用いて行われる。これにより、ナビゲーション装置の利用者が有償で地図データの更新を所望する場合には、何時でも地図記憶手段に記憶された地図データを最新の地図データに更新することができるようになる。
【0054】
地図記憶手段12は、さらに海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、施設の位置、形状、名称を含む施設データからなる背景データを記憶している。
【0055】
また、地図記憶手段12には、道路データや背景データの他、地図画像を見やすく表示するためにベクター形式で記憶された地図画像データを含んでいてもよい。
【0056】
これらの道路データと背景データおよび地図画像データは、ナビゲーション装置1を使用する際に、ナビゲーション装置1の現在位置を含む所定範囲の地図が地図記憶手段12から抽出され、現在位置を示す現在位置マークや案内経路の画像が重ねあわされて表示手段17に表示される。
【0057】
これらの道路データと背景データおよび地図画像データは、ナビゲーション装置1を使用する際に、ナビゲーション装置1の現在位置を含む所定範囲の地図が地図記憶手段12から抽出され、現在位置を示す現在位置マークや案内経路の画像が重ねあわされて表示手段17に表示される。
【0058】
経路探索手段13は、ユーザによって出発地や目的地が指定されると、地図記憶手段12に記憶されている道路データを参照し、出発地から目的地にいたる最適経路を探索し、案内経路データを作成するものである。この最適経路の探索は、現在位置またはユーザによって指定された出発地に対応する道路ノードからユーザによって指定された目的地に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法などの各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間などを累積し、総リンク長または総所要時間などが最短となる経路を案内経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを案内経路データとして提供するものである。
【0059】
探索された経路は、表示手段17に地図画像とともに表示され、また、車両の現在位置を示す現在位置マークが地図画像上に表示される。地図画像は車両の走行に伴ってスクロールされ、現在位置検出手段11を表示画面の中心にして表示される。現在位置検出手段11が検出する位置情報には誤差が含まれるため、現在位置が道路からずれている場合には、マッチング処理手段18によってマッチング処理され、道路上または経路上に修正される。
【0060】
次に、以上説明した本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1の地図更新処理の手順について説明する。図3は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の地図データ更新の際の動作手順を示すフローチャートである。
【0061】
ナビゲーション装置1の利用者が地図記憶手段12に記憶された地図データを更新しようとする場合、ステップS101の処理において、先ず、入力手段16を用いて図示しないサーバに最新の地図データのバージョン情報(版数情報)の送信を要求する。要求は通信手段14を介してサーバに送信される。ナビゲーション装置1は、ステップS102の処理でサーバから最新の地図データのバージョン情報を受信すると、更新可否判別手段15は、ステップS103の処理で、地図記憶手段12に記憶されている地図データのバージョン情報と、サーバから受信したバージョン情報とを比較し、ステップS104の判別処理に進む。
【0062】
ステップS104の判別処理で更新可否を判別する。バージョン情報が一致する場合、地図記憶手段12に記憶された地図データは最新のものであるから(ステップS104のYES)、地図データの更新の必要はなく、ナビゲーション装置1はその旨を表示手段17に表示して処理を終了する。このようにすれば、地図記憶手段に記憶された地図データが最新の地図データでない場合のみサーバから最新の地図データをダウンロードして更新することができるようになる。
【0063】
バージョン情報が一致しない場合、地図記憶手段12に記憶された地図データは最新のものではないのでサーバから最新の地図データをダウンロードして更新する必要がある。
【0064】
その場合、更新可否判別手段15は、ステップS105の処理に進み、RAM19の地図更新履歴20(図2参照)の無償更新設定と無償更新回数を参照する。そしてステップS106の判別処理で無償の更新が可能か否かを判別する。地図更新履歴に設定された無償更新の設定回数よりも無償更新回数が小さければ、無償更新が可能であり、無償更新回数が設定回数に達していれば無償の地図更新は既に完了しており、有償の地図更新しかできないことになる。
【0065】
なお、無償更新の設定が1回のみしか許されない設定の場合、無償更新回数が「0」の時のみ無償の地図更新がた許可される。このような設定の場合、無償更新回数の記憶方法は、回数をカウントする必要はなく、無償更新実施済か否かを示すフラグ情報を用いることも可能である。
【0066】
このようにすれば、実際に使用が開始される時点で、地図記憶手段に記憶された地図データを無償で最新の地図データに更新することができ、また、無償の地図更新回数を直接用いて地図更新履歴を記憶することなく、無償地図更新の実行有無を示すフラグ情報のみで記憶することができ、RAM19に無駄な記憶領域を用意する必要がない。
【0067】
ステップS106の判別処理において、無償更新が可能であると判別されると、更新可否判別手段15は、サーバに最新の地図データのダウンロードを要求し(ステップS107)、通信手段14は、ステップS108の処理でサーバから地図データを受信(ダウンロードを開始)し、地図記憶手段12に記憶された地図データを、サーバから受信した最新の地図データに書換えてゆく。
【0068】
そして、更新可否判別手段15は、ステップS109の処理で地図データの受信が完了したか否かを判別する。地図データの受信が完了していなければ、ステップS108の処理に戻り、完了していれば、地図記憶手段12に記憶された地図データを、サーバから受信した最新の地図データに更新する。その際、ステップS110の処理において、更新可否判別手段15は、RAM19の地図更新履歴20の無償更回数(図2参照)を書換える。
【0069】
一方、有償の地図データ更新の必要がある場合は、更新可否判別手段15は、ステップS111の処理で、表示手段17にその旨を表示する。ステップS112の判別処理では、ナビゲーション装置1の利用者による有償ダウンロードの指定(更新要求の指定)があったか否かを判別する。
【0070】
ステップS112の判別処理で、有償の地図更新の指示が判別されなければナビゲーション装置1は地図更新の処理を終了する。有償の地図更新の指示が判別されると、更新可否判別手段15は、ステップS113の処理で、サーバに最新の地図データのダウンロードを要求し、通信手段14は、ステップS114の処理でサーバから地図データを受信(ダウンロードを開始)し、地図記憶手段12に記憶された地図データを、サーバから受信した最新の地図データに書換えてゆく。
【0071】
そして、更新可否判別手段15は、ステップS115の処理で地図データの受信が完了したか否かを判別する。地図データの受信が完了していなければ、ステップS114の処理に戻り、完了していれば、地図記憶手段12に記憶された地図データを、サーバから受信した最新の地図データに更新して処理を終了する。
【0072】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ナビゲーション装置1が実際に利用開始された時期によらず、ナビゲーション装置1に記憶された地図データを、メーカが予め設定した無償更新回数に達するまで、利用者に地図データの更新を無償で実行させることができ、ナビゲーション装置1の経路案内サービスを最新の情報に基づいて提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地図更新履歴の一例を示すデータ構成図である。
【図3】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の地図データ更新時の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1: ナビゲーション装置
10: 制御手段
11: 現在位置検出手段
12: 地図記憶手段
13: 経路探索手段
14: 通信手段
15: 更新可否判別手段
16: 入力手段
17: 表示手段
18: マッチング処理手段
19: RAM
20: 地図更新履歴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバから受信した地図データを地図記憶手段に記憶し、該地図記憶手段に記憶された地図データを表示手段に表示するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、無償の地図更新回数の設定と無償の地図更新回数とを含む地図更新履歴を記憶する履歴記憶手段と、通信手段と、更新可否判別手段と、を備え、
サーバから最新の地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶した地図データを更新する際、前記更新可否判別手段は、前記地図更新履歴を参照して、無償の地図更新設定の回数と無償の地図更新回数とを比較して無償の地図更新が可能か否かを判別し、無償の地図更新が可能な場合、前記サーバから地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶された地図データを更新するとともに、前記地図更新履歴の無償地図更新回数を書換えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記更新可否判別手段は、サーバから最新の地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶した地図データを更新する際、前記サーバに最新の地図データのバージョン情報を要求し、該サーバから受信した地図データのバージョン情報と、前記前記地図記憶手段に記憶した地図データのバージョン情報とを比較し、地図データの更新可否を判別することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記地図更新履歴における無償の地図更新回数の設定は、1回の地図更新のみを無償とするように設定されたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図更新履歴における前記無償地図更新回数の記録は、無償地図更新の実施の有無を示すフラグ情報を用いることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記更新可否判別手段は、無償の地図更新が可能でない場合、有償の地図更新が可能である旨を前記表示手段に表示し、地図更新指示があった場合、前記サーバから最新の地図データを受信して前記地図記憶手段に記憶された地図データを更新することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−250715(P2009−250715A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97256(P2008−97256)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】