説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置にとって自車両が走行している道路を1つの道路に特定することが困難な場合であっても、車両が走行している地図上の道路に自車位置マークを表示することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】一般道路を走行している車両が高速道路の入口へ進入する分岐点を通過した場合、高速道路へ進入したと判定した場合の自車位置周辺の地図20と、そのまま一般道路を走行したと判定した場合の自車位置周辺の地図30とが2画面で表示される。車両がそのまま一般道路を走行する場合は、ユーザは一般道路ボタン33を押圧する。その結果、ナビゲーション装置は、車両がそのまま一般道路を走行したものと判定し、高速道路地図20を消去して、一般道路地図30のみを表示モニタに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車位置を地図上の道路に自車位置マークとして表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路と一般道路とが近接した地域において、光ビーコンから光を受光した場合、車両は一般道路を走行していると判別し、電波ビーコンから電波を受信した場合、車両は高速道路を走行していると判別する技術が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−189956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ビーコンから光を受光または電波を受信するまで、車両は高速道路を走行しているか、あるいは一般道路を走行しているかを判別が難しいという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、自車位置を検出する手段と、自車両が他の道路と近接する道路を走行中であることを判定する判定手段と、自車両が前記他の道路と近接する道路を走行していると判定されると、互いに近接する2つの異なる道路上に自車位置マークをそれぞれ表示した道路地図を表示する地図表示手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1のナビゲーション装置において、検出手段で時系列に検出された複数の自車位置のうち1つの自車位置を選択し、選択した自車位置上に前記自車位置マークを補正する補正手段と、地図表示手段は、前記補正手段で補正された自車位置上と、前記複数の自車位置のうち前記補正された自車位置とは異なる自車位置上に自車位置マークを表示することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、他の道路と近接する道路は、一般道路と、前記一般道路に並行し高速道路へ進入する道路との分岐点で判断することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記他の道路と近接する道路は、高速道路と近接する、高速道路から退出する道路であることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、地図表示手段は、前記道路地図に案内標識を表示することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、他の道路と近接する道路は、互いに並行する一般道路であることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、他の道路と近接する道路を予め登録する登録手段を備えることを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、地図表示手段は、自車両が他の道路と近接する道路を走行していると判定されると、互いに近接する2つの異なる道路上に自車位置マークをそれぞれ表示した2つの道路地図を同時に表示することを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項8に記載のナビゲーション装置において、運転者によって操作され、2つの道路地図のいずれか一方を選択して表示する選択手段を備えることを特徴とする。
(10)請求項10の発明は、請求項8に記載のナビゲーション装置において、ETCからの情報に基づいて、2つの道路地図のいずれか一方を選択して表示する選択手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ナビゲーション装置にとって自車両が走行している道路を1つの道路に特定することが困難な場合であっても、車両が走行している地図上の道路に自車位置マークを表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施形態−
図1は、本発明の第1の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。ナビゲーション装置1は、高速道路を表示した地図と、高速道路を表示しない地図とを2画面で表示することができる。これにより、一般道路の上に高速道路が重なっても、一般道路の道路状況を把握することができる。
【0007】
ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、タッチパネル19、タッチパネルコントロール部110およびディスクドライブ111を有している。ディスクドライブ111には、地図データが記憶されたDVD−ROM112が装填されている。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11は、DVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行う。そして、その処理結果を推奨経路として表示モニタ16に表示する。
【0009】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索の起点となる経路探索開始点などを決定する。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて、制御回路11において適宜生成される。
【0011】
ディスクドライブ111は、DVD−ROM112から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM112以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0012】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を表示画面に表示することによりユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などのために操作される操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。
【0013】
タッチパネル19は、表示モニタ16の表示画面の表面に積層される透明のタッチスイッチであり、表示モニタ16に表示される画像はタッチパネル19を透過して表示される。したがって、ユーザが表示モニタ16の表示画面に表示された各種ボタンや表示メニューなどを指などで押圧するとタッチパネル19が押圧される。タッチパネル19は、タッチパネル19上の押圧位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部110に送出し、タッチパネルコントロール部110はタッチパネル19の押圧位置を算出する。これにより、各種ボタンや表示メニューに定義された処理が実行される。
【0014】
ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18やタッチパネル19を操作することにより、目的地を設定する。
【0015】
目的地がユーザによって設定されると、目的地が経路探索の終了点である経路探索終了点として設定される。そして、経路探索用データを用いて経路探索開始点から経路探索終了点までの経路演算を所定の制御プログラムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して表示画面上に表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して表示画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0016】
このナビゲーション装置1では、後述する地図データに基づいて、現在地検出装置14によって検出された現在地を道路上の位置に補正するマップマッチングが行われる。マップマッチング処理においては、車両が走行していると推定される複数の道路(以下、推定走行道路と呼ぶ)が算出される。そして、ナビゲーション装置1は周知の信頼度演算を行い、いずれか1つの推定走行道路上に自車位置マークを表示する。また、ナビゲーション装置1は、上述した信頼度演算により1つの推定走行道路を決定することに代えて、複数の推定走行道路上の全てに自車位置マークを表示し、ユーザに選択させることもできる。
【0017】
次に、本実施形態における走行道路判別方法について説明する。車両は一般道路を走行しており、一般道路と、高速道路の入口へ進入する道路とが分岐する分岐点(以下、高速道路進入分岐点と呼ぶ)に到達したものとして説明する。また、この一般道路と高速道路の入口へ進入する道路(以下、高速道路進入道路と呼ぶ)とは並行しているものとして説明する。
【0018】
図2(a)は、高速道路進入道路21へ進入した場合の自車位置周辺の地図20(以下高速道路地図と呼ぶ)と、高速道路進入道路21へ進入せずに一般道路を走行した場合の自車位置周辺の地図30(以下、一般道路地図と呼ぶ)とを2画面で表示したときの表示画面を説明するための図である。
【0019】
左の画面の地図は高速道路地図20である。高速道路地図20とは、高速道路と一般道路とが重なっている場合、高速道路を優先的に表示する地図である。本実施例の高速道路地図20には、高速道路22と、高速道路進入道路21と、一般道路26とが表示されている。高速道路進入道路21とは、一般道路26の高速道路進入分岐点25から高速道路22に進入するための道路である。車両の現在地には自車位置マーク23が表示される。本実施例では、自車位置マーク23は高速道路進入道路21に表示されている。
【0020】
右の画面の地図は一般道路地図30である。一般道路地図30とは、一般道路のみを表示する地図である。したがって、高速道路22および高速道路進入道路21は表示されない。本実施例の一般道路地図30には、一般道路34とともに自車位置マーク31が表示される。この自車位置マーク31も高速道路地図20と同様に車両の現在地を示すマークである。また、車両が次に進入する交差点の案内標識32が表示される。
【0021】
高速道路地図20と一般道路地図30のうちの一方を選択して、1つの地図を表示できるようにするため、高速道路ボタン24と一般道路ボタン33とが表示される。ユーザが高速道路ボタン24を押圧すると高速道路地図20のみが表示され、一般道路ボタン33を押圧すると一般道路地図30のみが表示される。また、高速道路進入道路21を走行している確率が大きいと考えられるので、一般道路地図30に比べて高速道路地図20を大きく表示するようにしている。
【0022】
従来のナビゲーション装置では、車両が高速道路進入分岐点25を通過した場合、車両がしばらく走行した後でなければ、車両が高速道路進入道路21へ進入したのか、あるいはそのまま一般道路26を走行したのかをナビゲーション装置1が判定することはできない。なぜならば、一般道路26と高速道路進入道路21とは並行しているので、車両が高速道路進入道路21へ進入した場合も、車両がそのまま一般道路26を走行した場合も、車両の進行方向や車速があまり変わらないからである。
【0023】
次に、本発明の実施形態における車両の走行道路判別処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。図3の処理は、車両のイグニッションがONになったとき開始するとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0024】
ステップS301では、現在地検出装置14を用いて車両の現在地、車両の進行方向および車速を検出する。ステップS302では、ステップS301で検出した車両の現在地、車両の進行方向および車速に基づいて、自車位置を高速道路上に確定できたか否かを判定する。たとえば、車両の現在地が、高速道路上または高速道路近傍であり、車両の進行方向が高速道路の進行方向と略一致し、車速が一般道路の通常の走行速度を越えている場合、自車位置を高速道路上に確定する。自車位置を高速道路上に確定できた場合はステップS302が肯定判定され、ステップS308へ進む。自車位置を高速道路上に確定されない場合はステップS302が否定判定され、ステップS303へ進む。
【0025】
ステップS303では、現在地検出装置14を用いて車両の現在地を検出する。ステップS304では、ステップS303で検出した車両の現在地に基づいて、車両が高速道路進入分岐点を通過し、一般道路上を走行していると確定したか否かを判定する。車両が一般道路上にあると確定した場合はステップS304が肯定判定され、ステップS305へ進む。一般道路上に存在すると確定されていない場合はステップS304が否定判定され、ステップS311へ進む。ステップS305では、高速道路地図と、一般道路地図とを表示モニタ16の表示画面に2画面で表示する。
【0026】
2画面表示の例を図2(a)に示す。ナビゲーション装置1は、表示モニタ16の表示画面に高速道路進入道路21へ進入した場合の高速道路地図20と、一般道路地図30とを2画面で表示する。
【0027】
高速道路地図20には、通常の地図とは同様に高速道路進入道路21と高速道路22と一般道路26とが表示され、車両が高速道路進入道路21へ進入した場合の道路状況を認識できる。高速道路進入道路上の自車位置には、自車位置マーク23が表示される。高速道路地図20には、高速道路地図20であることを認識できるようにするため、高速道路ボタン24が表示される。
【0028】
一般道路地図30には、高速道路進入道路21および高速道路22が表示されない。これにより、一般道路が高速道路22と重なり合っている場合であっても一般道路の道路状況を認識できる。一般道路上の自車位置には、自車位置マーク31が表示される。一般道路地図30には、車両が通過する交差点の案内標識32が表示される。一般道路地図30であることを認識できるようにするため、一般道路地図30には一般道路ボタン33が表示される。
【0029】
車両が高速道路進入道路21を走行しているか、あるいは一般道路を走行しているかを判定できないときは、車両が高速道路進入道路21を走行している確率が大きいと考えられる。このため、図2(a)に示すように、一般道路地図30に比べて高速道路地図20を大きく表示するようにしている。
【0030】
ステップS306では、タッチパネルコントロール部110が算出したタッチパネル19の押圧位置に基づいて、高速道路ボタン24が押圧されたか否かを検出する。高速道路ボタン24が押圧された場合はステップS306が肯定判定され、ステップS307へ進む。高速道路ボタン24が押圧されない場合はステップS306が否定判定され、ステップS309へ進む。ステップS307では、自車位置を高速道路進入道路上または高速道路上に確定する。ステップS308では、高速道路地図を表示モニタ16に全画面表示で表示する。
【0031】
ステップS309では、タッチパネルコントロール部110が算出したタッチパネル19の押圧位置に基づいて、一般道路ボタン33が押圧されたか否かを検出する。一般道路ボタン33が押圧された場合はステップS309が肯定判定され、ステップS310へ進む。一般道路ボタン33が押圧されない場合はステップS309が否定判定され、ステップS306に戻る。ステップS310では、自車位置を一般道路上に確定する。ステップS311では、一般道路地図を表示モニタ16に全画面表示で表示する。
【0032】
車両が高速道路進入道路21へ進入したのか、あるいはそのまま一般道路を走行したのかをナビゲーション装置1は判定することができなくても、ユーザは判断することはできる。車両がそのまま一般道路を走行する場合は、ユーザは一般道路ボタン33を押圧する。その結果、ナビゲーション装置1は、車両がそのまま一般道路を走行したものと最終的に判定し、図2(b)に示すように、高速道路地図20は消去され、一般道路地図30のみが表示モニタ16の表示画面に表示する。一方、車両が高速道路進入道路21へ進入した場合、あるいは高速道路22を走行している場合は、ユーザは高速道路ボタン24を押圧する。その結果、ナビゲーション装置1は、車両が高速道路進入道路21へ進入したものと最終的に判定し、図4に示すように、一般道路地図30は消去され、高速道路地図20のみが表示モニタ16に表示される。
【0033】
以上の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような効果を奏する。
(1)一般道路と並行する高速道路進入道路と、一般道路との分岐点を通過したとき、自車位置マークを表示した高速道路地図と、自車位置マークを表示した一般道路地図とを表示モニタに2画面で表示するようにした。そして、車両が実際に走行している道路をユーザが選択することによって、実際に車両が走行している道路を判別するようにした。これにより、ビーコンから光を受光または電波を受信する前に、車両が走行している道路を判別することができる。
【0034】
(2)高速道路地図と一般道路地図とを表示モニタ16に2画面で表示するようにした。したがって、車両が高速道路進入道路を走行しているのか、あるいは一般道路を走行しているのかを判定することが困難なときに、ナビゲーション装置1が走行していない道路を走行している道路と誤って判定しまい、車両が走行している道路の道路状況が認識しづらくなるのを防止することができる。さらに、一般道路地図には、高速道路を表示しないため、高速道路と一般道路とが重なり合っている場合でも一般道路の道路状況を容易に把握することができる。また、一般道路地図では、車両が通過する交差点の案内標識を表示するようにしたので、この場合も車両が走行する一般道路の道路状況を容易に把握することができる。
【0035】
−第2の実施形態−
次に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、ユーザが高速道路ボタン24および一般道路ボタン33のうちの一方を押圧しなくても、ナビゲーション装置1が車両の走行している道路を判別した場合、いずれか1つの地図20、または地図30を表示するようにしたものである。本実施形態のナビゲーション装置の構成は図1と同様なので説明を省略する。
【0036】
一般道路地図20および高速道路地図30から1つの地図を自動的に選択して表示する地図表示処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。図5の処理は、車両のイグニッションがONになったとき開始するとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。図3の処理と同一の処理には同一の符号を付し、図3の処理と異なる部分を主に説明する。
【0037】
ステップS305の次に、ステップS501へ進む。ステップS501では、車両が高速道路の入口を通過したか否かを判定する。車両が高速道路の入口を通過したことを検出する方法としては、ETC(Electronic Toll Collection)システムの路側無線装置から電波を受信する方法などがある。車両が高速道路の入口を通過した場合はステップS501が肯定判定され、ステップS307へ進む。車両が高速道路の入口を通過していない場合はステップS501が否定判定され、ステップS502へ進む。
【0038】
ステップS502では、車両が高速道路進入分岐点を車両が通過してから(ステップS304が肯定判定されてから)所定時間経過したか否かを判定する。車両が高速道路進入分岐点を通過してから所定時間経過しても、高速道路の入口を通過しない場合は、車両は一般道路をそのまま走行しているものと判定する。高速道路進入分岐点を車両が通過してから所定時間経過した場合はステップS502が肯定判定され、ステップS310へ進む。高速道路進入分岐点を車両が通過してから所定時間経過していな場合はステップS502が否定判定され、ステップS501に戻る。
【0039】
図5のフローチャートによる地図表示制御によれば、ユーザが高速道路ボタン24および一般道路ボタン33のうちの一方のボタン24,33を押圧し忘れても、車両が実際に走行している道路上に自車位置マークが表示された地図が自動的に1画面で表示されるので、便利である。
【0040】
互いに隣接する2つの異なる道路上に自車位置マークをそれぞれ表示するものであれば、実施形態の車両が高速道路進入道路と一般道路とが隣接している地域を走行中であると判定して、互いに隣接する2つの異なる道路上に自車位置マークをそれぞれ表示する場合に限定されない。
【0041】
−第3の実施形態−
次に本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、高速道路と高速道路の出口へ進行する退出道路とが並行する地域を自車両が走行している場合、高速道路地図および一般道路のうちの一方をユーザに選択させる。本実施形態のナビゲーション装置の構成は図1と同様なので説明を省略する。
【0042】
図6(a)は、高速道路を走行している場合の高速道路地図40と、一般道路を走行した場合の般道路地図50とを2画面で表示したときの表示画面を説明するための図である。
【0043】
左の画面の地図は高速道路地図40である。本実施例の高速道路地図40には、高速道路41と、高速道路退出道路42と、一般道路46とが表示されている。高速道路退出道路42とは、高速道路退出分岐点45で高速道路41から分岐して高速道路41の出口へ進行するための道路である。車両の現在地には自車位置マーク43が表示される。本実施例では、自車位置マーク43は高速道路41に表示されている。
【0044】
右の画面の地図は一般道路地図50である。本実施例の一般道路地図50には、一般道路54とともに自車位置マーク51が表示される。また、車両が進入しようとする交差点の案内標識52が表示される。
【0045】
第3の実施形態でも第1の実施形態と同様に高速道路地図40と一般道路地図50のうちの一方を選択して、1つの地図を表示できるようにするため、高速道路ボタン24と一般道路ボタン33とが表示される。また、高速道路41を走行している確率が大きいと考えられるので、一般道路地図50に比べて高速道路地図40を大きく表示するようにしている。
【0046】
高速道路41と高速道路退出道路42とが分岐する高速道路退出分岐点45を車両が通過したとき、車両がそのまま高速道路41を走行しているのか、あるいは車両が高速道路退出道路42を走行しているのかをナビゲーション装置1が判定することは困難な場合がある。このような場合、図6に示すように、ナビゲーション装置1は、そのまま高速道路41を走行したと判定した場合の高速道路地図40と、車両が高速道路退出道路42を走行したと判定した場合の一般道路地図50とを2画面で表示する。
【0047】
この場合も、高速道路地図40には、高速道路41および高速道路退出道路42と一般道路46とが表示され、高速道路上の自車位置には、自車位置マーク43が表示される。また、高速道路地図40には、高速道路地図40に重ねて高速道路ボタン24が表示される。
【0048】
一般道路地図50には、高速道路41および高速道路退出道路42が表示されない。高速道路退出道路上の自車位置には、自車位置マーク51が表示される。また、車両が通過する交差点の案内標識52が表示される。一般道路地図50には、一般道路地図50に重ねて一般道路ボタン33が表示される。
【0049】
車両がそのまま高速道路を走行する場合は、ユーザは高速道路ボタン24を押圧する。その結果、ナビゲーション装置1は、車両がそのまま高速道路を走行したものと判定し、高速道路地図40のみを表示モニタ16に表示する。一方、車両が高速道路退出路を進行する場合は、ユーザは一般道路ボタン33を押圧する。その結果、ナビゲーション装置1は、車両が高速道路退出道路を走行しているものと判定し、一般道路地図20のみを表示モニタ16に表示する。
【0050】
これにより、車両が高速道路の出口を退出した後、走行することになる一般道路の道路状況を容易に把握することができる。
【0051】
高速道路退出分岐点を車両が通過する場合の走行道路判別処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。図9の処理は、車両が走行を開始するとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。図3の処理と同一の処理には同一の符号を付し、図3の処理と異なる部分を主に説明する。
【0052】
ステップS301の次に、ステップS701へ進む。ステップS701では、ステップS301で検出した車両の現在地、車両の進行方向および車速に基づいて、自車位置を一般道路上に確定できたか否かを判定する。たとえば、車両の現在地が一般道路上または一般道路近傍であり、車両の進行方向が一般道路の方向と略一致し、車速が一般道路の制限速度以内である場合、自車位置を一般道路上に確定する。自車位置を一般道路上に確定できた場合はステップS701が肯定判定され、ステップS311へ進む。自車位置を一般道路上に確定できない場合はステップS701が否定判定され、ステップS303へ進む。
【0053】
ステップS702では、ステップS303で検出した車両の現在地に基づいて、車両が高速道路退出分岐点を通過したか否かを判定する。車両が高速道路退出分岐点を通過した場合はステップS702が肯定判定され、ステップS305へ進む。車両が高速道路退出分岐点を通過していない場合はステップS702が否定判定され、ステップS308へ進む。
【0054】
ステップS306が肯定判定されるとステップS703へ進む。ステップS703では、自車位置を高速道路上に確定する。そして、ステップS308へ進む。
【0055】
ステップS309が肯定判定されるとステップS704へ進む。ステップS704では、自車位置を高速道路退出道路上に確定する。そして、ステップS311へ進む。
【0056】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)ナビゲーション装置1は、一般道路地図30に比べて高速道路地図20を大きく表示した。しかし、車両が高速道路進入分岐点に到達した後、走行した道路を記憶し、車両が高速道路の入口へ進入した回数が、そのまま一般道路を走行した回数より多い場合は、図2(a)に示すように、一般道路地図30に比べて高速道路地図20を大きく表示し、少ない場合は、図8に示すように、高速道路地図20に比べて一般道路地図30を大きく表示するようにしてもよい。このように走行履歴を学習することにより、車両が実際に走行している道路の地図の方が大きく表示される可能性が高くなる。
【0057】
(2)ユーザが高速道路ボタン24または一般道路ボタン33を押圧し、高速道路地図20または一般道路地図30のいずれかを選択した後も、所定時間、選択された地図20,30に重ねて高速道路ボタン24および一般道路ボタン33が表示されるようにしてもよい。たとえば、図9は、一般道路地図30が表示された後も、高速道路ボタン24および一般道路ボタン33が表示された状態を示している。これにより、ユーザが高速道路ボタン24または一般道路ボタン33を押し間違えた場合であっても、すぐに、正しいボタン24,33を押圧し直すことができ便利である。
【0058】
高速道路地図20が表示されたとき、所定時間、一般道路ボタン33のみを表示し、一般道路地図30が表示されたとき、高速道路ボタン24のみを表示するようにしてもよい。このようにしても、高速道路地図20から一般道路地図30へ、または一般道路地図30から高速道路地図へ、表示モニタ16に表示する地図をすぐに変更することができる。
【0059】
(3)ボタン24,33は、入力装置18で選択するようにしてもよい。また、地図20,30のどこかを触れた時、その地図を選ぶようにしてもよい。
【0060】
また、上述の特定地域は、2本の道路が並行する地域であれば、高速道路進入道路と一般道路とが並行する地域に限定されない。たとえば、図10に示すように、格子状道路などにおいて互いに並行する2本の一般道路61,71でもよい。一般道路同士の場合でも、2本の一般道路同士の距離が短く、2つの一般道路の進行方向が同じである場合、車両がどちらの一般道路を走行しているのかをナビゲーション装置1が判断することは困難な場合があるからである。このような場合、互いに並行する2本の一般道路のうちの一方の一般道路61上に自車位置マーク62を表示した一般道路地図A60と、他方の一般道路71上に自車位置マーク72を表示した一般道路地図B70とを表示モニタ16に表示する。そして、ユーザは、2つの地図60,70のうち、車両が実際に走行している道路上に自車位置マーク72が表示されている地図70を、一般道路ボタン73を押圧することによって選択する。これにより、ビーコンから光を受光または電波を受信する前に、互いに並行する2本の一般道路61,71のうちの実際に車両が走行している道路71を判別することができる。
【0061】
(4)車両が高速道路進入分岐点25に到達したとき、図2(a)に示すように、2つの地図20,30を表示モニタ16に表示した。しかし、2つの地図20,30を表示するタイミングは、車両が予め登録した地点または地域に到達したときであれば、車両が高速道路進入分岐点25に到達したときに限定されない。たとえば、互いに並行する2本の道路のうちのどちらの道路を車両が走行しているかを判定することが困難な地域を予め調べておき、その地域に進入する地点を予め登録しておく。そして、その地点に車両が到達すると2つの地図を2画面で表示モニタ16に表示し、それぞれの地図に相互に位置が異なる自車位置マークを表示するようにしてもよい。登録地点または登録地域は、ナビゲーション装置1に設けられたDVD−ROM112の地図データの中に記憶させておく。
【0062】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0063】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0064】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の自車位置を検出する手段は現在地検出装置14に対応し、判定手段は制御回路11に対応する。地図表示手段は制御回路11および表示モニタ16に対応し、補正手段は制御回路11、タッチパネル19およびタッチパネルコントロール部110に対応する。選択手段は制御回路11、表示モニタ16、タッチパネル19およびタッチパネルコントロール部110に対応し、登録手段はDVD−ROM112に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における走行道路判別方法を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における車両の走行道路判別処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態における走行道路判別方法を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における車両の走行道路判別処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態における走行道路判別方法を説明するための図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における車両の走行道路判別処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】車両が高速道路の入口へ進入した回数が、そのまま一般道路を走行した回数より少ない場合の2つの地図の表示を説明するための図である。
【図9】1つの地図が選択された後に表示される高速道路ボタンおよび一般道路ボタンを説明するための図である。
【図10】互いに並行する2本の一般道路における走行道路判別方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
14 現在地検出装置
16 表示モニタ
19 タッチパネル
20,40 高速道路地図
21,41 高速道路
23,31,43,51,62,72 自車位置マーク
24 高速道路ボタン
30,50,60,70 一般道路地図
33,63,73一般道路ボタン
110 タッチパネルコントロール部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する手段と、
自車両が他の道路と近接する道路を走行中であることを判定する判定手段と、
自車両が前記他の道路と近接する道路を走行していると判定されると、互いに近接する2つの異なる道路上に自車位置マークをそれぞれ表示した道路地図を表示する地図表示手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1のナビゲーション装置において、
前記検出手段で時系列に検出された複数の自車位置のうち1つの自車位置を選択し、選択した自車位置上に前記自車位置マークを補正する補正手段と、
前記地図表示手段は、前記補正手段で補正された自車位置上と、前記複数の自車位置のうち前記補正された自車位置とは異なる自車位置上に自車位置マークを表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記他の道路と近接する道路は、一般道路と、前記一般道路に並行し高速道路へ進入する道路との分岐点で判断することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記他の道路と近接する道路は、高速道路と近接する、高速道路から退出する道路であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記地図表示手段は、前記道路地図に案内標識を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記他の道路と近接する道路は、互いに並行する一般道路であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記他の道路と近接する道路を予め登録する登録手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記地図表示手段は、前記自車両が前記他の道路と近接する道路を走行していると判定されると、互いに近接する2つの異なる道路上に自車位置マークをそれぞれ表示した2つの道路地図を同時に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項8に記載のナビゲーション装置において、
運転者によって操作され、前記2つの道路地図のいずれか一方を選択して表示する選択手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項8に記載のナビゲーション装置において、
ETCからの情報に基づいて、前記2つの道路地図のいずれか一方を選択して表示する選択手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−14521(P2010−14521A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174295(P2008−174295)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】