説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置において、自車位置から誘導地点までの間にいくつの交差点があるかを運転者が一目で分かるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置は、自車位置22を検出すると共に、道路上に誘導地点23を設定する。そして、誘導地点23から所定範囲にある進入道路と交差道路26とを少なくとも含む各道路の形状を簡略化した要約地図20を作成し、これを誘導地点23における自車両の進行方向を示す誘導地図として表示する。その後、自車両が移動して交差道路26と進入道路の交差点27を通過したときに、要約地図20において交差道路26の表示形態を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示モニタの画面を左右に分割して、一方の画面領域には通常の地図を表示し、もう一方の画面領域には車両が曲がるべき誘導地点付近の地図を表示するナビゲーション装置が利用されている。このようなナビゲーション装置において、車両が誘導地点に接近するほど、その誘導地点付近の地図を拡大して表示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−54936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来の技術では、単に誘導地点付近の地図が拡大表示されるだけであるため、自車位置から誘導地点までの間に交差点がいくつあるかを運転者が一目で分かるようにすることは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるナビゲーション装置は、自車両の位置である自車位置を検出する自車位置検出手段と、道路上に誘導地点を設定する誘導地点設定手段と、自車位置から誘導地点へ向かう進入道路と、自車位置から誘導地点までの間に進入道路と交差する交差道路と、誘導地点における自車両の進行方向とを示す誘導地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、自車両が交差道路と進入道路との交差点を通過したときに、誘導地図において交差道路の表示形態を変化させる表示変化手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車位置から誘導地点までの間にいくつの交差点があるかを運転者が一目で分かるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1において示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信部15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。
【0008】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、後で説明するような各種の処理を実行する。
【0009】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することで、制御部10において自車両の位置移動量が求められ、それによって自車両の現在位置が検出される。
【0010】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0011】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。なお、地図データにおいて各道路を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクによって構成されている。
【0012】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0013】
VICS情報受信部15は、図示しないVICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報により、渋滞情報や通行規制情報、駐車場情報などの様々な道路交通情報がナビゲーション装置1に対して送信される。VICS情報受信部15により受信されたVICS情報は、制御部10に出力され、制御部10において推奨経路を探索するときに利用される。また、その内容が表示モニタ16に表示される。
【0014】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0015】
表示モニタ16は、様々な画像や映像を表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ16により、自車位置周辺の地図や、次の誘導交差点までの要約地図などが表示される。なお、表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。スピーカ17は、制御部10の制御により、経路案内用の音声などが出力される。
【0016】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0017】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理によって探索された出発地から目的地までの経路を、推奨経路に設定する。こうして推奨経路が設定されると、他の道路とは異なる色を使用するなどの方法により、他の道路とは区別して推奨経路が地図上に表示される。これにより、ユーザは表示モニタ16に表示される地図画面において、推奨経路を容易に認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このようにして、目的地までのルート案内が行われる。
【0018】
上記のルート案内の際に、ナビゲーション装置1は、誘導地点における自車両の進行方向を示す誘導地図を通常の地図と共に表示モニタ16に表示する。このとき、自車位置から誘導地点までの間の道路形状を簡略化した要約地図を作成し、作成した要約地図を誘導地図として表示する。なお、誘導地点とは、推奨経路にしたがって自車両が走行できるように、ナビゲーション装置1が運転者に対して音声や画面表示などによる方向指示案内を行う対象の地点のことである。具体的には、推奨経路上で自車両の進行方向が変化する地点、たとえば右左折交差点、分岐地点、合流地点などのうち、自車位置から最も近くにある地点が、誘導地点として設定される。誘導地点を自車両が通過すると、次の右左折交差点などが新たな誘導地点に設定される。
【0019】
以上説明したようにして通常の地図と共に誘導地図を表示したら、ナビゲーション装置1は、その誘導地図の上に、誘導地点において自車両が曲がるべき方向を示すための矢印を重ね合わせて表示する。ルート案内の際には、こうして誘導地図を表示することで、自車両を目的地まで誘導する。なお、誘導地図として表示する要約地図の具体的な作成方法については、後で説明する。
【0020】
図2は、ルート案内の際に本実施形態のナビゲーション装置1において表示モニタ16に表示される地図画面の一例である。図2に示すように、ナビゲーション装置1は、表示モニタ16の画面を左右2つの画面領域に分割して、左側の画面領域には誘導地図として要約地図20を表示し、右側の画面領域には通常の地図21を表示する。
【0021】
左側の画面領域に表示されている要約地図20では、進入道路と交差道路とを含む各道路の形状が簡略化されている。なお、進入道路とは自車位置22から誘導地点23へ向かう道路のことであり、交差道路とは自車位置22から誘導地点23までの間に進入道路と交差する道路のことである。また、誘導地点23には、自車両の進行方向を示す誘導矢印24が表示されている。これにより、誘導地点23において自車両が右折すべきことが示されている。
【0022】
一方、右側の画面領域に表示されている地図21では、誘導地点23の位置に、そこが誘導地点であることを示すためのマークが表示されている。なお、地図21において、推奨経路は前述のように他の道路と区別して表示されている。
【0023】
以上説明したように、ナビゲーション装置1は、左側の画面領域には要約地図20を表示し、右側の画面領域には通常の地図21を表示する。さらにナビゲーション装置1は、自車位置22から誘導地点23までの距離が所定値以上のときには、自車位置22と誘導地点23が画面内に設定された所定の表示領域に入る範囲でなるべく大きな地図縮尺を設定する。これにより、自車両の移動に応じて、左側の画面領域に表示する要約地図20の縮尺を連続的に変化させる。すなわち、自車位置22が誘導地点23に近づくにつれて要約地図20の縮尺を徐々に拡大する。このような地図縮尺の変化処理はフリーズームと呼ばれる。
【0024】
フリーズーム中に自車位置22が誘導地点23に近づいたときに、図2の地図画面に替えて表示モニタ16に表示される地図画面の例を図3に示す。図3の地図画面では、図2の地図画面と比べて自車位置22が誘導地点23に近づいているため、要約地図20の縮尺が拡大されている。
【0025】
一方、自車両がさらに誘導地点23に近づくことにより、自車位置22から誘導地点23までの距離が所定値未満になると、ナビゲーション装置1は、要約地図20の縮尺を固定したままで、自車両の移動に応じて自車位置マークを要約地図20上で移動させる。このときに自車両がいずれかの交差道路と進入道路の交差点を通り過ぎると、ナビゲーション装置1はその交差道路を要約地図20から消去する。このようにして交差道路を消去した地図画面の例を図4に示す。図4の地図画面における要約地図20の縮尺は、図3の地図画面における要約地図20の縮尺と同じである。また、要約地図20において破線で示した交差道路26は、自車両が交差点27を通過したことによって要約地図20から消去された交差道路を表している。
【0026】
さらに自車位置22が誘導地点23に近づくと、次に図5に示すような地図画面が表示モニタ16において表示される。この地図画面も、図4の地図画面と同様に縮尺が固定されており、自車位置22を示す自車位置マークの位置が要約地図20上で移動されている。この地図画面において自車両が交差道路28と進入道路の交差点29を通過すると、交差道路28が消去される。
【0027】
以上説明したように、ナビゲーション装置1は、自車両が移動して交差点27または29を通過したときに、要約地図20において交差道路26または28を消去し、その表示形態を変化させる。これにより、自車位置22から誘導地点23までの間にいくつの交差点があるかを運転者が一目で分かるようにする。
【0028】
上記処理のフローチャートを図6に示す。このフローチャートは制御部10によって実行される。ステップS10において、制御部10は推奨経路の設定を行う。ここでは、ユーザの操作に応じて目的地が設定されることにより、その目的地までに自車両が進むべき推奨経路が設定される。
【0029】
ステップS20において、制御部10は、HDD13に記録された地図データに基づいて、通常の地図を表示モニタ16に表示する。このとき、ステップS10で設定した推奨経路が地図上に示される。これにより、図2〜5に示すように、自車位置22の周辺についての地図21が、表示モニタ16において右側の画面領域に表示される。なお、ここで表示される地図の内容は、所定のタイミングごとに更新される。したがって、自車両が走行して自車位置が変化すると、それに応じて地図の範囲が適宜変更される。
【0030】
ステップS30において、制御部10は誘導地点を設定する。ここでは、ステップS10で設定された推奨経路において右左折交差点などのように自車両の進行方向が変化する地点のうち、自車位置から最も近い地点を誘導地点に設定する。これにより、図2〜5の誘導地点23が設定される。
【0031】
ステップS40において、制御部10は自車位置を検出する。ここでは、振動ジャイロ11、車速センサ12、GPS受信部14などの各種センサから出力される検出結果に基づいて、自車位置を検出する。これにより、図2〜5の自車位置22が検出される。
【0032】
ステップS50において、制御部10は、ステップS40で検出した自車位置からステップS30で設定した誘導地点までの距離を算出する。このとき、自車位置から誘導地点までの直線距離を求めてもよいし、あるいは、自車位置から誘導地点まで推奨経路を走行したときの道のりを求めてもよい。
【0033】
ステップS60において、制御部10は、要約地図の縮尺を設定する。ここでは前述のように、自車位置と誘導地点が画面内に設定された表示領域に入る範囲でなるべく大きな地図縮尺となるように、要約地図の縮尺を設定する。これにより、自車位置が誘導地点に近づくにつれて大きい縮尺となるように、要約地図の縮尺が設定される。あるいは、ステップS50で算出した距離に基づいて、その距離が短くなるほど大きい縮尺となるように、要約地図の縮尺を設定することとしてもよい。
【0034】
ステップS70において、制御部10は、要約対象道路を設定する。ここでは、前述の進入道路と交差道路のうち、ステップS30で設定した誘導地点から所定範囲内にある道路を要約対象道路に設定する。
【0035】
具体的には、地図データにおいて所定の条件を満たすリンクを要約対象道路として選択することにより、要約対象道路の設定を行う。たとえば、進入道路については、自車位置に対応するリンクと、その一つ後ろのリンクと、これらのリンクから誘導交差点までの間に存在するリンクとを、要約対象道路として選択する。また、交差道路については、要約対象道路に設定された上記の進入道路の各リンクに直接つながっているリンクを要約対象道路として選択する。このようにして要約対象道路の設定を行うことができる。
【0036】
ステップS80において、制御部10は、HDD13に記録された地図データに基づいて、ステップS70で設定した要約対象道路の形状を簡略化することにより、要約地図の作成を行う。具体的には、ステップS70で要約対象道路として選択した各リンクをその長さに応じて直線化し、さらに各リンクの交差角度を所定の角度単位、たとえば45°単位で量子化することにより、要約地図を作成する。なお、ここで述べた要約地図の作成方法は一例であるため、他の方法を用いてもよい。すなわち、要約対象道路の形状を簡略化することができれば、どのような要約地図の作成方法であってもよい。
【0037】
ステップS90において、制御部10は、ステップS80で作成した要約地図を、誘導地点における自車両の進行方向を示す誘導地図として表示モニタ16に表示する。これにより、図2〜5に示すように、要約地図20が表示モニタ16において左側の画面領域に表示される。
【0038】
ステップS100において、制御部10は、ステップS90で表示した要約地図上に、ステップS40で検出した自車位置を示す自車位置マークと、ステップS30で設定した誘導地点における自車両の進行方向を示すための誘導矢印とを表示する。これにより、図2〜5の要約地図20上に、自車位置22と誘導矢印24が表示される。
【0039】
ステップS110において、制御部10は、ステップS40で検出した自車位置からステップS30で設定した誘導地点までの距離が所定値未満であるか否かを判定する。所定値未満である場合、たとえば1km以内である場合には、制御部10は次のステップS120へ進む。一方、所定値以上である場合には制御部10はステップS40へ戻り、ステップS40〜S100の処理を繰り返し実行する。これにより、自車両の移動に応じて要約地図の縮尺を連続的に変化させる。
【0040】
ステップS120において、制御部10は、ステップS40と同様に自車位置を検出する。次のステップS130において、制御部10は、ステップS130で検出した自車位置に基づいて、自車位置マークをステップS90で表示した要約地図上で移動させる。このとき要約地図の縮尺は変化しない。これにより、要約地図の縮尺を固定したままで、自車両の移動に応じて自車位置マークを要約地図上で移動させる。
【0041】
ステップS140において、制御部10は、ステップS120で検出した自車位置に基づいて、自車両が交差点を通過したか否かを判定する。要約地図上に表示された各交差道路と進入道路の交差点のうちいずれかを自車両が通過した場合、制御部10はステップS150へ進む。ステップS150において、制御部10は、通過した交差点に対応する交差道路を要約地図から消去する。これにより、自車両が交差道路と進入道路の交差点を通過したときに、当該交差道路の表示形態を変化させるようにする。ステップS150を実行したら、制御部10はステップS160へ進む。一方、ステップS140において自車両が交差点を通過していないと判定した場合、制御部10はステップS150を実行せずにステップS160へ進む。
【0042】
ステップS160において、制御部10は、ステップS30で設定した誘導地点を自車両が通過したか否かを判定する。誘導地点を自車両がまだ通過していなければステップS120へ戻り、ステップS120〜S150の処理を繰り返し実行する。一方、自車両が誘導地点を通過した場合はステップS30へ戻り、ステップS30において次の右左折交差点などを新たに誘導地点として設定する。その後、設定された新たな誘導地点について前述のような処理を実行する。これにより、自車両が誘導地点を通過する度に新たに誘導地点を設定して、要約地図を表示する。
【0043】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、自車位置を検出する(ステップS40)と共に、道路上に誘導地点を設定する(ステップS30)。そして、自車位置と誘導地点を通る進入道路と、自車位置から誘導地点までの間に進入道路と交差する交差道路と、誘導地点における進行方向とを示す誘導地図を表示モニタ16に表示する(ステップS90)。さらに、自車両が交差道路と進入道路の交差点を通過したときに(ステップS140)、ステップS90で表示した誘導地図においてその交差道路の表示形態を変化させる(ステップS150)。このようにしたので、自車位置から誘導地点までの間にいくつの交差点があるかを運転者が一目で分かるようにすることができる。
【0044】
(2)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、誘導地点から所定範囲にある進入道路と交差道路とを少なくとも含む各道路を要約対象道路に設定し(ステップS70)、この要約対象道路の形状を簡略化して要約地図を作成する(ステップS80)。ステップS90では、こうして作成した要約地図を誘導地図として表示する。このようにしたので、誘導地点における自車両の進行方向を分かりやすく示した誘導地図を表示することができる。
【0045】
(3)制御部10は、自車位置から誘導地点までの距離が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS110)。この判定の結果に基づいて、制御部10は、自車位置から誘導地点までの距離が所定値以上のときには、ステップS60における要約地図縮尺の設定を繰り返し実行することで、自車両の移動に応じて要約地図の縮尺を連続的に変化させる。一方、自車位置から誘導地点までの距離が所定値未満のときには、ステップS130における自車位置マークの移動を繰り返し実行することで、要約地図の縮尺を固定したままで、自車両の移動に応じて自車位置マークを要約地図上で移動させる。また、制御部10は、自車位置から誘導地点までの距離が所定値以上のときには、ステップS150の処理を実行しないようにして交差道路の表示形態の変化を禁止する。一方、自車位置から誘導地点までの距離が所定値未満のときには、ステップS150の処理を実行することにより、自車両が交差点を通過したときに対応する交差道路の表示形態を変化させる。このようにしたので、自車位置から誘導地点までの距離に応じて、分かりやすく表示を変化させることができる。
【0046】
なお、以上説明した実施の形態では、ステップS150において、自車両が交差点を通過すると対応する交差道路を要約地図から消去することにより表示形態を変化させたが、これを消去せずに表示形態を変化させてもよい。たとえば、自車両が交差点を通過すると、要約地図において対応する交差道路の色を薄くしたり、輝度を低下させたりしてもよい。このように、交差道路の色と輝度のいずれか少なくとも1つを変化させても、これを消去した場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、以上説明した実施の形態では、自車両が交差点を通過すると、道路の種類に関わらず対応する交差道路を要約地図から消去することによって表示形態を変化させたが、道路の種類に応じて異なる方法により交差道路の表示形態を変化させてもよい。たとえば、交差道路が国道や主要道である場合には、自車両が交差点を通過しても消去せずに色や輝度を変化させる。一方、交差道路が細街路などである場合には、自車両が交差点を通過したときに消去する。このようにすれば、道路種別に応じた交差道路の重要度に応じて、交差道路の表示形態を適切に変化させることができる。
【0048】
上記の実施の形態では、誘導地点における自車両の進行方向を示す誘導地図として、自車位置から誘導地点までの道路を少なくとも含む各道路の形状を簡略化した要約地図を表示する例を説明した。しかし、必ずしもこのような要約地図を誘導地図として表示する必要はない。たとえば、誘導地点の周囲を拡大した地図を誘導地図として表示してもよいし、あるいは、誘導地点付近の立体地図を誘導地図として表示してもよい。誘導地点における自車両の進行方向を運転者にとって分かりやすく示したものであれば、どのような地図を誘導地図として表示してもよい。
【0049】
上記の実施の形態では、表示モニタ16の画面を左右2つの画面領域に分割して、左側の画面領域には誘導地図を表示し、右側の画面領域には通常の地図を表示することとしたが、他の表示方法としてもよい。たとえば、左右の画面領域の表示内容を入れ替えて、左側の画面領域には通常の地図を、右側の画面領域には誘導地図をそれぞれ表示することもできる。または、通常の地図を表示せずに誘導地図のみを表示してもよい。あるいは、表示モニタ16の画面を3つ以上の画面領域に分割することとしてもよい。
【0050】
以上説明した実施の形態では、車両に搭載されて使用されるナビゲーション装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。車両に搭載されて地図を表示する車両用の地図表示装置であれば、様々な装置に対して本発明を適用することができる。
【0051】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ルート案内の際に表示される地図画面の一例を示す図である。
【図3】フリーズーム中に自車位置が誘導地点に近づいたときに表示される地図画面の例を示す図である。
【図4】交差道路を消去した地図画面の例を示す図である。
【図5】自車位置がさらに誘導地点に近づいたときに表示される地図画面の例を示す図である。
【図6】ルート案内の際に地図画面を表示する処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:GPS受信部、15:VICS情報受信部、16:表示モニタ、
17:スピーカ、18:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置である自車位置を検出する自車位置検出手段と、
道路上に誘導地点を設定する誘導地点設定手段と、
前記自車位置から前記誘導地点へ向かう進入道路と、前記自車位置から前記誘導地点までの間に前記進入道路と交差する交差道路と、前記誘導地点における前記自車両の進行方向とを示す誘導地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、
前記自車両が前記交差道路と前記進入道路との交差点を通過したときに、前記誘導地図において前記交差道路の表示形態を変化させる表示変化手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示変化手段は、前記誘導地図において、前記交差道路を消去する、または前記交差道路の色および輝度のいずれか少なくとも1つを変化させることにより、前記交差道路の表示形態を変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記表示変化手段は、前記交差道路の種類に応じて異なる方法により前記交差道路の表示形態を変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導地点から所定範囲内にある前記進入道路と前記交差道路とを少なくとも含む各道路の形状を簡略化して要約地図を作成する要約地図作成手段をさらに備え、
前記地図表示制御手段は、前記要約地図を前記誘導地図として表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記地図表示制御手段は、前記自車位置から前記誘導地点までの距離が所定値以上のときには、前記自車両の移動に応じて前記要約地図の縮尺を連続的に変化させ、前記自車位置から前記誘導地点までの距離が前記所定値未満のときには、前記要約地図の縮尺を固定したままで、前記自車両の移動に応じて前記自車位置を示す自車位置マークを前記要約地図上で移動させ、
前記表示変化手段は、前記自車位置から前記誘導地点までの距離が前記所定値以上のときには、前記交差道路の表示形態の変化を禁止し、前記自車位置から前記誘導地点までの距離が前記所定値未満のときには、前記自車両が前記交差点を通過したときに、前記誘導地図において前記交差道路の表示形態を変化させることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−145291(P2010−145291A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324415(P2008−324415)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】