説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置において、自車位置から誘導地点までの距離に応じて分かりやすく地図を変化させる。
【解決手段】ナビゲーション装置は、表示モニタの画面を左右2つの画面領域に分割して、左側の画面領域には、自車位置24から誘導地点25へ向かう進入道路31と、誘導地点25において進入道路31に接続する特定接続道路32〜34と、誘導地点25以外の場所において進入道路31に接続する一般接続道路35〜39とを要約して作成した要約地図20を表示する。自車位置24から誘導地点25までの距離が変化すると、その変化に応じて、要約地図20において進入道路31と一般接続道路35〜39の要約度合いを変化させずに、特定接続道路32〜34の要約度合いを変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示モニタの画面を左右に分割して、一方の画面領域には通常の地図を表示し、もう一方の画面領域には車両が曲がるべき誘導地点付近の地図を表示するナビゲーション装置が利用されている。このようなナビゲーション装置において、車両が誘導地点に接近するほど、その誘導地点付近の地図を拡大して表示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−54936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来の技術では、単に誘導地点付近の地図が拡大表示されるだけであるため、自車位置から誘導地点までの距離に応じて分かりやすく地図を変化させることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるナビゲーション装置は、道路上に誘導地点を設定する誘導地点設定手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、自車位置から誘導地点へ向かう進入道路と、誘導地点において進入道路に接続する特定接続道路と、誘導地点以外の場所において進入道路に接続する一般接続道路とを要約して要約地図を作成する要約地図作成手段と、要約地図を表示モニタに表示する表示制御手段と、自車位置から誘導地点までの距離の変化に応じて、要約地図において進入道路と一般接続道路の要約度合いを変化させずに、特定接続道路の要約度合いを変化させる要約度変化手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車位置から誘導地点までの距離に応じて分かりやすく地図を変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1において示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信部15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。
【0008】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、後で説明するような各種の処理を実行する。
【0009】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することで、制御部10において自車両の位置移動量が求められ、それによって自車両の現在位置が検出される。
【0010】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0011】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。なお、地図データにおいて各道路を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクによって構成されている。
【0012】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0013】
VICS情報受信部15は、図示しないVICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報により、渋滞情報や通行規制情報、駐車場情報などの様々な道路交通情報がナビゲーション装置1に対して送信され、ナビゲーション装置1において取得される。VICS情報受信部15により受信されたVICS情報は、制御部10に出力され、制御部10において推奨経路を探索するときに利用される。また、その内容が表示モニタ16に表示される。
【0014】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0015】
表示モニタ16は、様々な画像や映像を表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ16により、自車位置周辺の地図や、次の誘導交差点までの要約地図などが表示される。なお、表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。スピーカ17は、制御部10の制御により、経路案内用の音声などが出力される。
【0016】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0017】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理によって出発地から目的地までの経路を探索し、これを推奨経路に設定する。こうして推奨経路が設定されると、他の道路とは異なる色を使用するなどの方法により、他の道路とは区別して推奨経路が地図上に表示される。これにより、ユーザは表示モニタ16に表示される地図画面において、推奨経路を容易に認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このようにして、目的地までのルート案内が行われる。
【0018】
上記のルート案内の際に、ナビゲーション装置1は、自車位置から最も近い誘導地点における自車両の進行方向を示すために、自車位置からその誘導地点までの間の道路形状を簡略化した要約地図を作成し、作成した要約地図を通常の地図と共に表示モニタ16に表示する。なお、誘導地点とは、推奨経路にしたがって自車両が走行できるように、ナビゲーション装置1が運転者に対して音声や画面表示などによる方向指示案内を行う対象の地点のことである。具体的には、推奨経路上で自車両の進行方向が変化する地点、たとえば右左折交差点、分岐地点、合流地点などが誘導地点として設定される。
【0019】
なお、ナビゲーション装置1は、上記のようにして要約地図を作成する際に、自車位置から誘導地点までの距離に応じて要約度を変化させる。自車位置から誘導地点までの距離が遠いときには、高い要約度で作成した要約地図を表示することにより、自車位置から誘導地点の間における道路の概略を分かりやすく表示する。一方、自車位置から誘導地点までの距離が近いときには、低い要約度で作成した要約地図を表示することにより、誘導地点における道路の具体的な形状を分かりやすく表示する。
【0020】
以上説明したようにして、通常の地図と共に、自車位置から誘導地点までの距離に応じた要約度で作成した要約地図を表示したら、ナビゲーション装置1は、その要約地図の上に、誘導地点において自車両が曲がるべき方向を示すための矢印を重ね合わせて表示する。ルート案内の際には、こうして要約地図を表示することで、自車両を目的地まで誘導する。なお、要約地図の具体的な作成方法や、要約度を変化させる具体的な方法については、後で説明する。
【0021】
図2〜4は、ルート案内の際に本実施形態のナビゲーション装置1において表示モニタ16に表示される地図画面の一例である。図2〜4に示すように、ナビゲーション装置1は、表示モニタ16の画面を左右2つの画面領域に分割して、左側の画面領域には要約地図20〜22をそれぞれ表示し、右側の画面領域には通常の地図23を表示する。要約地図20〜22と地図23には、それぞれ自車位置24と誘導地点25が表示されている。要約地図20〜22にはさらに、誘導地点25における自車両の進行方向を示す矢印26が表示されている。
【0022】
図2に示す要約地図20は、自車位置24から誘導地点25までの距離が比較的長いときに表示される。この要約地図20では、自車位置24を始点とし誘導地点25へ到達する符号31に示す道路(以下、進入道路と称する)と、誘導地点25において進入道路31にそれぞれ接続する符号32〜34に示す道路(以下、特定接続道路と称する)と、誘導地点25以外の場所において進入道路31にそれぞれ接続する符号35〜39に示す道路(以下、一般接続道路と称する)とが要約されている。
【0023】
要約地図20において、進入道路31、特定接続道路32〜34および一般接続道路35〜39は、その形状が直線化されている。また、進入道路31と特定接続道路32〜34および一般接続道路35〜39との間の角度は、それぞれ90°単位で量子化されている。このような直線化と角度量子化を行うことにより、要約地図20が作成される。
【0024】
図3に示す要約地図21は、自車位置24から誘導地点25までの距離が中程度のときに表示される。この要約地図21では、進入道路31、特定接続道路32〜34および一般接続道路38、39が表示されている。なお、図3では、図2に比べて自車位置24が誘導地点25に近づいていることにより、図2では表示されていた一般接続道路35〜37が地図の表示範囲から外れている。
【0025】
要約地図21において、進入道路31と特定接続道路32〜34との間の角度は、それぞれ45°単位で量子化されている。すなわち、要約地図21では、図2の要約地図20の場合とは異なる角度単位で、進入道路31と特定接続道路32〜34との間の角度が量子化されている。これにより、要約地図20と要約地図21との間で要約度合いが変化している。一方、進入道路31と一般接続道路38、39との間の角度は、図2の要約地図20の場合と同様に、90°単位でそれぞれ量子化されている。
【0026】
図4に示す要約地図22は、自車位置24から誘導地点25までの距離が比較的短いときに表示される。この要約地図22では、進入道路31、特定接続道路32〜34および一般接続道路39が表示されている。なお、図4では、図3に比べて自車位置24が誘導地点25にさらに近づいていることにより、図3では表示されていた一般接続道路38が地図の表示範囲から外れている。
【0027】
要約地図22において、進入道路31と特定接続道路32〜34との間の角度は、前述の要約地図20、21の場合とは異なり量子化されていない。すなわち、要約地図22を作成する際には、進入道路31と特定接続道路32との間の角度を量子化するのが禁止される。これにより、要約地図20、21と要約地図22との間で要約度合いが変化している。一方、進入道路31と一般接続道路39との間の角度は、図2の要約地図20および図3の要約地図21の場合と同様に、90°単位で量子化されている。
【0028】
以上説明したような地図画面を表示する際に実行される処理のフローチャートを図5に示す。このフローチャートは制御部10によって実行される。ステップS10において、制御部10は、出発地と目的地を設定する。すなわち、前述のように現在の自車位置を出発地として設定すると共に、ユーザによる入力装置18の操作に応じて自車両の目的地を設定する。ステップS20において、制御部10は、ステップS10で設定した出発地から目的地までの推奨経路を探索する。
【0029】
ステップS30において、制御部10は、ステップS20で探索した推奨経路上に誘導地点を設定する。ここでは、推奨経路において右左折交差点などのように自車両の進行方向が変化する地点を誘導地点に設定する。ステップS40において、制御部10は、ステップS30で設定した誘導地点のいずれかを選択する。このとき、最初にステップS40を実行する場合は、ステップS10で設定した出発地に最も近い誘導地点を選択する。その後は、ステップS50で検出される自車位置から最も近い誘導地点を選択する。これにより、たとえば図2〜4に示す誘導地点25が選択される。
【0030】
ステップS50において、制御部10は自車位置を検出する。ここでは前述のように、振動ジャイロ11、車速センサ12、GPS受信部14などの各種センサから出力される検出結果に基づいて、自車位置を検出する。これにより、図2〜4に示す自車位置24が検出される。ステップS60において、制御部10は、HDD13に記録された地図データに基づいて、ステップS50で検出した自車位置付近を表した通常の地図を表示モニタ16に表示する。これにより、図2〜4に示す地図23が表示される。
【0031】
ステップS70において、制御部10は、ステップS50で検出した自車位置からステップS40で選択した誘導地点までの距離を算出する。このとき、自車位置から選択した誘導地点までの直線距離を求めてもよいし、あるいは、自車位置から誘導地点までの経路の道のりを求めてもよい。
【0032】
ステップS80において、制御部10は、ステップS70で算出した自車位置から選択した誘導地点までの距離に基づいて、その誘導地点について要約地図を作成する際の要約度を設定する。ここでは、自車位置から選択した誘導地点までの距離が大きいほど高い要約度を設定する。たとえば、大小2種類のしきい値(第1のしきい値、第2のしきい値とそれぞれ称する)を予め設定しておく。そして、自車位置から選択した誘導地点までの距離をステップS70において算出し、その算出結果が第1のしきい値以上であれば要約度3を設定し、第1のしきい値未満であって第2のしきい値以上であれば要約度2を設定し、第2のしきい値未満であれば要約度1を設定する。
【0033】
ステップS90において、制御部10は、要約地図の縮尺を設定する。ここでは、自車位置と選択した誘導地点が画面内に設定された表示領域に入る範囲でなるべく大きな地図縮尺となるように、要約地図の縮尺を設定する。これにより、自車位置が選択した誘導地点に近づくにつれて大きい縮尺となるように、要約地図の縮尺が設定される。あるいは、ステップS70で算出した距離に基づいて、その距離が短くなるほど大きい縮尺となるように、要約地図の縮尺を設定することとしてもよい。
【0034】
ステップS100において、制御部10は、要約対象道路を選択する。ここでは、ステップS50で検出した自車位置からステップS40で選択した誘導地点へ向かう進入道路と、その進入道路に接続する道路とを、要約対象道路として選択する。これにより、図2〜4に示す進入道路31および特定接続道路32〜34と、一般接続道路35〜39のうち要約地図の範囲内にあるものとが、要約対象道路として選択される。
【0035】
ステップS110において、制御部10は、HDD13に記録された地図データに基づいて、ステップS100で選択した要約対象道路の形状を簡略化することにより、要約地図の作成を行う。このとき、進入道路については、進入道路を構成する各リンクのうち、自車位置に対応するリンクと、そのリンクから選択した誘導地点の間に存在するリンクとを要約地図の作成対象とする。また、特定接続道路および一般接続道路については、進入道路のリンクに直接つながっているリンクを要約地図の作成対象とする。これらの各リンクをその長さに応じて直線化すると共に、各リンクの交差角度を所定の角度単位で量子化することにより、要約地図を作成する。
【0036】
上記の要約地図の作成において、進入道路と一般接続道路は一定の角度単位、たとえば90°単位で量子化する。一方、進入道路と特定接続道路は、ステップS80で設定した要約度に応じて、量子化する際の角度単位を変化させる。たとえば、要約度が3である場合は90°単位で量子化し、要約度が2である場合は45°単位で量子化し、要約度が1である場合は量子化を行わないようにする。これにより、自車位置から誘導地点までの距離の変化に応じて、要約地図において進入道路と一般接続道路の要約度合いを変化させずに、特定接続道路の要約度合いを変化させる。なお、ここで述べた要約度と量子化の角度単位の組み合わせは一例であるため、他の組み合わせとしてもよい。自車位置から誘導地点までの距離が大きいときほど、要約地図において特定接続道路の要約度合いが高くなるような組み合わせであれば、要約度と量子化の角度単位をどのように組み合わせてもよい。
【0037】
ステップS120において、制御部10は、ステップS110で作成した要約地図を表示モニタ16に表示する。これにより、自車位置24から誘導地点25までの距離に応じて、図2〜4に示す要約地図20〜22のいずれかが表示される。
【0038】
ステップS130において、制御部10は、ステップS50で検出した自車位置に基づいて、ステップS40で選択した誘導地点を自車両が通過したか否かを判定する。自車両が選択した誘導地点を通過した場合、制御部10は次のステップS140へ進む。一方、自車両が選択した誘導地点をまだ通過していない場合、制御部10はステップS50へ戻り、前述のような処理を繰り返す。これにより、自車位置から誘導地点までの距離の変化に応じて、要約地図において進入道路と一般接続道路の要約度合いを変化させずに、特定接続道路の要約度合いを変化させる。
【0039】
ステップS140において、制御部10は、自車両が目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合は、図5のフローチャートを終了する。一方、まだ目的地に到着していない場合は、ステップS40へ戻って新たに誘導地点を選択した後、上記のような処理を繰り返す。これにより、次の誘導地点について要約地図を表示し、その要約地図において、自車位置から誘導地点までの距離の変化に応じて、進入道路と一般接続道路の要約度合いを変化させずに、特定接続道路の要約度合いを変化させる。
【0040】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、道路上に誘導地点を設定し(ステップS30)、自車位置を検出する(ステップS50)。そして、自車位置から誘導地点へ向かう進入道路と、誘導地点において進入道路に接続する特定接続道路と、誘導地点以外の場所において進入道路に接続する一般接続道路とを要約して要約地図を作成し(ステップS110)、その要約地図を表示モニタ16に表示する(ステップS120)。この処理を繰り返すことにより、自車位置から誘導地点までの距離の変化に応じて、ステップS120で表示した要約地図において進入道路と一般接続道路の要約度合いを変化させずに、特定接続道路の要約度合いを変化させる。このようにしたので、自車位置から誘導地点までの距離に応じて分かりやすい地図を表示することができる。
【0041】
(2)制御部10は、ステップS110において、進入道路、特定接続道路および一般接続道路を直線化すると共に、進入道路と特定接続道路および一般接続道路との間の角度を所定の角度単位で量子化することにより、要約地図を作成する。このとき制御部10は、自車位置から誘導地点までの距離に応じて要約度を設定し(ステップS80)、その要約度に応じて特定接続道路の要約度合いを変化させる。たとえば、自車位置から誘導地点までの距離が第1のしきい値未満となったときに、ステップS80で設定する要約度を3から2に変化させる。この要約度の変化に応じて、ステップS110で進入道路と特定接続道路との間の角度を量子化する際の角度単位を90°から45°に変化させることにより、特定接続道路の要約度合いを変化させる。また、自車位置から誘導地点までの距離が第2のしきい値未満となったときに、ステップS80で設定する要約度を2から1に変化させる。この要約度の変化に応じて、ステップS110で進入道路と特定接続道路との間の角度を量子化するのを禁止することにより、特定接続道路の要約度合いを変化させる。このようにしたので、自車位置から誘導地点までの距離の変化に応じて、特定接続道路の要約度合いを分かりやすく変化させることができる。
【0042】
(3)制御部10は、ステップS30において道路上に複数の誘導地点を設定し、この複数の誘導地点のうち自車位置から最も近い誘導地点を選択する(ステップS40)。ステップS110では、こうして選択した誘導地点について要約地図を作成する。このようにしたので、運転者にとって必要な要約地図を提供することができる。
【0043】
なお、以上説明した実施の形態において説明した2種類の特定接続道路の要約度合いの変化方法のうち、いずれか一方を省略してもよい。すなわち、進入道路と特定接続道路との間の角度を量子化するのを禁止せずに、その量子化の際の角度単位を変化させることによってのみ要約度合いを変化してよい。このとき選択可能な角度単位は、前述した2種類のもの(90°、45°)に限らず、3種類以上としてもよい。あるいは、進入道路と特定接続道路との間の角度を量子化する際の角度単位を変化させずに、その量子化を許可または禁止することによってのみ要約度合いを変化してもよい。
【0044】
また、以上説明した実施の形態では、自車位置から最も近い1つの誘導地点について要約地図を表示することとしたが、複数の誘導地点について要約地図を表示してもよい。たとえば、複数の誘導地点が所定距離以内に隣接する場合は、その複数の誘導地点について要約地図を作成し表示する。あるいは、自車位置から目的地までの全ての誘導地点を対象として要約地図を作成し、これを表示してもよい。すなわち、ナビゲーション装置1は、道路上に設定された複数の誘導地点のうちいずれか2以上の誘導地点について要約地図を作成し、表示することができる。
【0045】
上記の実施の形態では、表示モニタ16の画面を左右2つの画面領域に分割して、左側の画面領域には要約地図を表示し、右側の画面領域には通常の地図を表示することとしたが、他の表示方法としてもよい。たとえば、左右の画面領域の表示内容を入れ替えて、左側の画面領域には通常の地図を、右側の画面領域には要約地図をそれぞれ表示することもできる。または、通常の地図を表示せずに要約地図のみを表示してもよい。あるいは、表示モニタ16の画面を3つ以上の画面領域に分割することとしてもよい。
【0046】
以上説明した実施の形態では、車両に搭載されて使用されるナビゲーション装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。車両に搭載されて地図を表示する車両用の地図表示装置であれば、様々な装置に対して本発明を適用することができる。
【0047】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】自車位置から誘導地点までの距離が比較的長いときに表示される地図画面の一例を示す図である。
【図3】自車位置から誘導地点までの距離が中程度のときに表示される地図画面の一例を示す図である。
【図4】自車位置から誘導地点までの距離が比較的短いときに表示される地図画面の一例を示す図である。
【図5】ルート案内の際に地図画面を表示する処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:GPS受信部、15:VICS情報受信部、16:表示モニタ、
17:スピーカ、18:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上に誘導地点を設定する誘導地点設定手段と、
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
前記自車位置から前記誘導地点へ向かう進入道路と、前記誘導地点において前記進入道路に接続する特定接続道路と、前記誘導地点以外の場所において前記進入道路に接続する一般接続道路とを要約して要約地図を作成する要約地図作成手段と、
前記要約地図を表示モニタに表示する表示制御手段と、
前記自車位置から前記誘導地点までの距離の変化に応じて、前記要約地図において前記進入道路と前記一般接続道路の要約度合いを変化させずに、前記特定接続道路の要約度合いを変化させる要約度変化手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記要約地図作成手段は、前記進入道路、前記特定接続道路および前記一般接続道路を直線化すると共に、前記進入道路と前記特定接続道路および前記一般接続道路との間の角度を所定の角度単位で量子化することにより、前記要約地図を作成し、
前記要約度変化手段は、前記要約地図作成手段が前記進入道路と前記特定接続道路との間の角度を量子化する際の前記角度単位を変化させることにより、前記特定接続道路の要約度合いを変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記要約地図作成手段は、前記進入道路、前記特定接続道路および前記一般接続道路を直線化すると共に、前記進入道路と前記特定接続道路および前記一般接続道路との間の角度を所定の角度単位で量子化することにより、前記要約地図を作成し、
前記要約度変化手段は、前記要約地図作成手段が前記進入道路と前記特定接続道路との間の角度を量子化するのを許可または禁止することにより、前記特定接続道路の要約度合いを変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記要約地図作成手段は、前記進入道路、前記特定接続道路および前記一般接続道路を直線化すると共に、前記進入道路と前記特定接続道路および前記一般接続道路との間の角度を所定の角度単位で量子化することにより、前記要約地図を作成し、
前記自車位置から前記誘導地点までの距離が所定の第1のしきい値未満となったときに、前記要約度変化手段は、前記要約地図作成手段が前記進入道路と前記特定接続道路との間の角度を量子化する際の前記角度単位を変化させることにより、前記特定接続道路の要約度合いを変化させ、
前記自車位置から前記誘導地点までの距離が所定の第2のしきい値未満となったときに、前記要約度変化手段は、前記要約地図作成手段が前記進入道路と前記特定接続道路との間の角度を量子化するのを禁止することにより、前記特定接続道路の要約度合いを変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導地点設定手段は、前記道路上に複数の誘導地点を設定し、
前記要約地図作成手段は、前記設定された複数の誘導地点のうち前記自車位置から最も近い誘導地点について前記要約地図を作成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記誘導地点設定手段は、前記道路上に複数の誘導地点を設定し、
前記要約地図作成手段は、前記設定された複数の誘導地点のうちいずれか2以上の誘導地点について前記要約地図を作成することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−145292(P2010−145292A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324416(P2008−324416)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】