説明

ナビゲーション装置

【課題】 可能な限り仕様を共通化することでコストを低減した「ナビゲーション装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 ナビゲーション装置に位置情報を設定する方法は、道路地図情報、国または地域に関する国情報、および前記国情報に関連付けされた位置情報とを含む記憶媒体をナビゲーション装置に接続するステップ(S103)と、記憶媒体に記憶された国情報を参照し、該当する国または地域を選択するステップ(S105)と、選択された国または地域の位置情報を記憶媒体から取得するステップ(S106)と、取得された位置情報をナビゲーション装置のメモリに保存するステップ(S107)とを有する。ナビゲーション装置のプログラムは、保存された位置情報を参照してナビゲーション動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に、共通の仕様にて各仕向地で動作可能なグローバル・ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置は、GPS受信機やジャイロセンサ等を用いて自車位置を検出し、自車位置周辺の道路地図データをディスプレイに表示し、道路案内をする機能を備えている。
【0003】
通常、ナビゲーション装置は、工場から出荷されるとき、仕向地に応じた初期設定が成される。初期設定は、ナビゲーション装置が利用される国または地域の位置情報を含んでおり、この位置情報は、例えば、ナビゲーション装置に装着されるCDROMなどの道路地図データの正誤の判定に利用される。仮に、初期設定された位置情報が国Aであり、装着されたCD−ROMの道路地図データが国Bであれば、装着されたCD−ROMがエラーである旨の警告が与えられる。
【0004】
特許文献1は、ナビゲーション装置に初期設定された位置情報と装着された記憶媒体の位置情報が異なるとき、初期設定された位置情報を、装着された記憶媒体の位置情報に更新することで、ナビゲーション装置における記憶媒体の利用を可能にしている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−93325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、従来のナビゲーション装置は、ナビゲーション装置毎に仕向地である国または地域の位置情報を設定しなければならない。この位置情報は、ナビゲーション装置のプログラム(またはソフトウエア)に一体的に取り込まれるため、各国または地域に共通の仕様のプログラムを搭載することができない。このため、ナビゲーション装置のコストの低減を十分に図ることができない。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決し、可能な限り仕様を共通化することでコストを低減したナビゲーション装置を提供することを目的とする。
さらに本発明は、ナビゲーション装置に必要とされる仕向地の位置情報を記憶媒体から設定することができる、ナビゲーション装置、記憶媒体およびその設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る記憶媒体は、ナビゲーション装置に搭載されたプログラムによって利用されるデータを記憶したものであって、前記データは、道路地図情報と、国または地域に関する国情報と、前記国情報に関連付けされた位置情報とを含み、前記位置情報は、ナビゲーション装置の動作を制御するために用いられる。好ましくは、前記位置情報は、緯度および経度で規定された地域である。前記データは、複数の国または地域の道路地図情報と、複数の国または地域に関する国情報と、複数の国または地域の位置情報とを含むものであってもよい。前記データはさらに、複数の国または地域に関連付けされた言語情報を含むことができる。さらに前記記憶媒体は、ナビゲーション装置に着脱可能であることができる。
【0009】
本発明のナビゲーション装置は、上記の記憶媒体と、ナビゲーション動作のためのプログラムを記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたプログラムを実行する制御手段とを有し、前記制御手段は、ナビゲーション装置の初期動作設定時に、前記記憶媒体から前記位置情報を取得し、取得した位置情報に基づきナビゲーション動作を制御する。好ましくは前記制御手段は、前記記憶媒体から取得した位置情報を書き換え可能なメモリに保存する。
【0010】
ナビゲーション装置はさらに、入力手段と、表示手段とを含み、前記制御手段は、ナビゲーション装置の初期動作設定時に、前記記憶媒体から読み出した国情報を前記表示手段に表示させ、かつ、前記入力手段によって選択された国情報に対応する位置情報を前記記憶媒体から取得することができる。また、前記制御手段は、ナビゲーション装置の初期動作設定時に、前記記憶媒体から取得した位置情報と前記メモリに保存された位置情報とを比較し、双方の位置情報が異なるとき、前記メモリに保存された位置情報を、前記記憶媒体から取得した位置情報に更新することができる。
【0011】
好ましくは前記制御手段は、前記表示手段に表示された道路地図画面をスクロールさせる指示が前記入力手段から与えられたとき、前記位置情報に基づきスクロール範囲を規制する。ナビゲーション装置はさらに、自車位置を検出する自車位置検出手段を含み、前記制御手段は、前記自車位置検出手段により検出された自車位置情報と前記記憶媒体から取得された位置情報とを比較し、前記自車位置情報の適正性を判定する。
【0012】
本発明に係るナビゲーション装置に搭載されたプログラムの設定方法は、道路地図情報、国または地域に関する国情報、および前記国情報に関連付けされた位置情報とを含む記憶媒体をナビゲーション装置に接続するステップと、前記記憶媒体に記憶された国情報を参照し、該当する国または地域を選択するステップと、選択された国または地域の位置情報を前記記憶媒体から取得するステップと、取得された位置情報をナビゲーション装置のメモリに保存するステップと、前記プログラムを実行するステップとを有し、前記プログラムは、ナビゲーション装置の動作制御において前記メモリに保存された位置情報を利用する。前記プログラムは、前記位置情報を利用して、GPS受信機からのGPS測位データの適正性を判定し、あるいは前記位置情報を利用して、ディスプレイに表示された道路地図画面のスクロール範囲を規制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ナビゲーション装置のプログラムが利用する仕向地の位置情報を記憶媒体から設定することで、ナビゲーション装置のプログラムの仕様を各国または各地域において共通化することが可能になる。これにより、ナビゲーション装置のコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施態様では、ナビゲーション装置は、記憶媒体に記憶された国または地域の位置データを利用して初期設定動作を行われる。国または地域の位置データは、ナビゲーション装置に格納されたプログラム(またはソフトウエア)
が実行されるときに利用され、この位置データは、仕向地の国または地域に応じて適宜選択される。好ましくは、位置データは、GPS受信機によるGPS測位データの適正性の判定に用いられ、GPS受信機の故障や、不適切なGPS測位をチェックすることができる。さらに、位置データは、ナビゲーション装置のディスプレイ上の無制限なスクロールを制限するために利用される。
【0015】
記憶媒体の種類は、特に制限されないが、ナビゲーション装置から着脱可能(リムーバブル)であることができ、あるいは、ナビゲーション装置に固定的に取り付けられたものでもよい。記憶媒体は、例えば、CD−ROM、DVD、ブルーレイディスク、半導体メモリ、ハードディスク記憶装置などを用いて構成される。また、ナビゲーション装置本体には、ナビゲーション機能などを実行するための処理装置が搭載され、当該処理装置は、ROMまたはRAMなどのメモリに格納されたプログラムまたはソフトウエアを実行する。処理装置は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、コンピュータ装置から構成される。また、処理装置が実行するプログラムの一部は、これと等価なハードウエアによって置換されることができる。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。本実施例のナビゲーション装置1は、自車位置を検出する自車位置検出部10と、ユーザからの指示を入力する入力部20と、道路地図データやその他のデータを記憶する記憶媒体30と、音声を出力する音声出力部40と、道路地図画面をディスプレイ等に表示する表示出力部50と、プログラム等に従いナビゲーション動作を制御する制御部60とを含んで構成される。
【0017】
自車位置検出部10は、GPS受信機を含み、GPS衛星を利用したGPS測位データに基づいて自車の緯度、経度および高度を検出する。さらに、自車位置検出部10は、ジャイロセンサや車速センサによる舵角情報や車速情報に基づいて自車位置を検出する自律航法を併用することができる。
【0018】
入力部20は、ディスプレイに表示されたタッチパネル、リモコン、キーボードなどの入力インターフェースを含み、制御部60は、入力部20からの入力に応答して種々の動作を実行する。
【0019】
記憶媒体30は、工場出荷時もしくはユーザによって利用が開始されるとき、ナビゲーション装置に装着される。例えば、記憶媒体30がCD−ROMであれば、CD−ROMがナビゲーション装置1のディスク駆動部に挿入される。制御部60は、記憶媒体30が接続されたとき、ユーザからの指示があったとき、あるいはその他の条件が揃ったとき、記憶媒体30をアクセスし、記憶媒体30に記憶された必要なデータを読み出す。また、制御部60は、記憶媒体30が書込み可能な記憶媒体であれば、そこにデータの書込みを行うことができる。
【0020】
図2は、記憶媒体に記憶されたデータ構造の例である。記憶媒体30は、国または地域に関する情報を含むグローバルコンテンツファイル100、国または地域の道路地図(マップ)データ110、国または地域の施設(POI)データ120を記憶する。
【0021】
グローバルコンテンツファイル100は、その下層に、国または地域に関する国情報、国または地域の位置を示すエリア座標を含んでいる。国情報の下層には、国または地域を識別するための国コード、国または地域の第1言語、GPS受信機によるGPS測位データの適正性を判定するときに利用されるGPSプロテクト座標、スクロール範囲を規制するときに利用されるスクロールプロテクト座標、目的地までの経路を探索するときに利用されるパラメータが含まれている。道路地図データ110は、当該道路地図データの地域を識別する地域コード、道路地図の基本データ、道路名称、都市名称などを含んでいる。施設データ120は、施設の位置、種類、施設ポリゴンなどを含んでいる。
【0022】
図3は、GPSプロテクト座標の例である。GPSプロテクト座標は、国または地域に応じて最小経度、最大経度、最小緯度、最大緯度を規定している。ここには、ワールドワイド、日本、北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、南アメリカの国または地域の座標の例が示されている。GPSプロテクト座標は、図4(a)に示すように二次元的な矩形領域200を規定し、当該矩形領域200は、国または地域の領土または領海の範囲210を包含するように設定されている。なお、GPSプロテクト座標は、最小および最大の緯度、経度を設定する以外にも、図4(b)に示すように複数の緯度、経度の地点A1、A2、A3、A4により領域200Aを設定することができる。これらの緯度、経度の地点は、5つ以上からなるものであってもよい。
【0023】
スクロールプロテクト座標は、GPSプロテクト座標と同様に、国または地域に応じて最小経度、最大経度、最小緯度、最大緯度を用いて設定することができる。スクロールプロテクト座標は、GPSプロテクト座標と異なる大きさに設定することができるが、同じ座標に設定することも可能である。なお、以下の説明において、GPSプロテクト座標およびスクロールプロテクト座標を、便宜上、「仕向地の位置データ」として参照することがある。記憶媒体30には、1つの国または地域の位置データや道路地図データが記憶されてもよいし、複数の国または地域の位置データや道路データが記憶されるものであってもよい。後者の場合には、仕向地の国または地域の位置データを選択し、選択した位置データをナビゲーション装置に設定する。
【0024】
制御部60は、プログラムを格納したメモリと、メモリから読み出されたプログラムを実行する演算処理部とを、例えば、マイクロコンピュータやマイクロプロセッサなどから構成される。図1Bは、制御部が実行するプログラムの機能を示すブロック図である。同図に示すように、制御部60は、ナビゲーション装置を仕向地で使用することができるようにするための初期動作設定機能62、目的地までのルート探索や道路交通案内を実行するためのナビゲーション機能64を有する。また、ここには図示しないが、ナビゲーション装置1が、CD、DVDなどに記憶されたオーディオデータやビデオデータを再生する機能、テレビ放送やラジオ放送を受信する機能、外部のサーバや電子機器とデータを通信する機能を包含する場合には、制御部60は、オーディオ・ビデオ再生機能66、データ通信機能68などを備えることができる。
【0025】
次に、ナビゲーション装置への仕向地のデータを設定する動作について説明する。初期動作設定機能62は、ナビゲーション装置が電源オンされて最初にプログラムが実行されるときや、入力部20から特定のコードが入力されたとき、あるいは未装着のナビゲーション装置1に記憶媒体30が装着されたとき、あるいはナビゲーション装置を工場から出荷するときに実行される。
【0026】
先ず、ナビゲーション装置に仕向地の位置データが設定されていない状態にあるときの初期設定動作を図5Aのフローチャートに示す。ナビゲーション装置が電源オンされると(ステップS101)、初期動作設定機能62が実行される(ステップS102)。初期動作設定機能62は、記憶媒体30が接続されているか否かを確認し(ステップS103)、接続されていることを確認できた場合には、ディスプレイに仕向地の仕様を設定する旨の設定画面を表示させる(ステップS104)。初期動作設定機能62は、記憶媒体30をアクセスし、そこから読み出した国情報をディスプレイに表示し、仕向地の国または地域のいずれかをユーザに選択させる。
【0027】
ユーザからの入力によって仕向地の国または地域が選択されると(ステップS105)、初期動作設定機能62は、記憶媒体30から選択された国または地域の国コードを検索し、当該国コードに関連付けされた仕向地の位置データ、すなわち、GPSプロテクト座標、スクロールプロテクト座標を読み出す(ステップS106)。
【0028】
次に、初期動作設定機能62は、仕向地の位置データ、すなわちGPSプロテクト座標およびスクロールプロテクト座標を、制御部60内の初期設定メモリに保存する(ステップS107)。初期設定メモリは、好ましくは、書き換え可能な不揮発性メモリであり、例えばフラッシュメモリを用いることができる。初期設定メモリに保存された仕向地の位置データは、後述するように、ナビゲーション機能64が実行されたときに参照される。
【0029】
次に、初期設定メモリに仕向地の位置データが既に保存されている状態にあるときの初期設定動作を図5Bのフローチャートに示す。ステップS101からS105までは、図5Aのフロート同じである。ユーザによって仕向地である国または地域が選択されると、初期動作設定機能62は、選択された国または地域が、初期設定メモリに設定されている仕向地の国または地域と一致するか否かを判定する(ステップS110)。一致すると判定した場合には、仕向地の位置データの更新を行わず、そのまま設定動作を終了する。他方、一致しない場合には、記憶媒体30から国コードの位置データを読出し(ステップS111)、読み出した位置データにより初期設定メモリの位置データを更新する(ステップS112)。このようにして、ナビゲーション装置には、記憶媒体30に記憶された仕向地の位置データが設定される。
【0030】
制御部60のナビゲーション機能64は、GPS衛星を利用して自車位置を検出する場合に、GPS測位データの適正性を判定するプログラムと、ディスプレイに表示された道路地図画面をスクロールさせる際に、スクロールを制限するプログラムとを含んでいる。これらのプログラムが実行されるとき、初期設定メモリに保存された仕向地の位置データが利用される。
【0031】
図6は、GPS測位データの適正性を判定する動作フローチャートである。先ず、ナビゲーション機能64が開始されると(ステップS201)、自車位置検出部10のGPS受信機によりGPS測位データが受信される(ステップS202)。GPS測位データは、自車位置、すなわち自車の緯度、経度を含んでいる。次に、ナビゲーション機能64は、初期設定メモリからGPSプロテクト座標を読み出し(ステップS203)、GPSプロテクト座標による領域200(図4(a)を参照)とGPS測位データとを比較し(ステップS204)、GPS測位データがGPSプロテクト座標内にあるか否かを判定する(ステップS205)。
【0032】
GPS測位データがGPSプロテクト座標内にあれば、GPS測位データは適正性ありと判定され(ステップS206)、GPS測位データを利用して自車位置が決定される(ステップS207)。他方、GPS測位データがGPSプロテクト座標の範囲外であれば、GPS測位データは適正性なしと判定され(ステップS208)、当該GPS測位データを用いることなく自車位置が決定される(ステップS209)。
【0033】
次に、道路地図画面をスクロールするときの動作を図7のフローチャートに示す。先ず、ナビゲーション機能64が実行されると(ステップS301)、ナビゲーション機能64は、自車位置検出部10で検出された位置情報に基づき記憶媒体30から道路地図データを読出し(ステップS302)、表示出力部50に道路地図データを出力させる(ステップS303)。これにより、図8に示すように、ディスプレイ52には、自車位置マークMと自車位置周辺の道路地図画面が表示される。
【0034】
ナビゲーション機能64は、入力部20からのスクロールの指示を監視する。例えば、画面をスクロールさせるための所定のキーが押下されると、ディスプレイ52には、スクロール方向(図面では8つの方向)を選択するための選択画面54が表示される。そして、スクロールキーやタッチパネルによりいずれかのスクロール方向が選択され、スクロールの指示が与えられる。
【0035】
ナビゲーション機能64は、入力部20からスクロールの指示があると(ステップS304)、初期設定メモリからスクロールプロテクト座標を読出し(ステップS305)、また、記憶媒体30からスクロール方向に応じた道路地図データを読出す。そして、ナビゲーション機能64は、読み出した道路地図データの座標(例えば、道路地図データをディスプレイに表示するときのディスプレイの中心座標(Px、Py))とスクロールプロテクト座標とを比較し(ステップS306)、道路地地図データの座標がスクロールプロテクト座標の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS307)。
【0036】
範囲内にあれば、ナビゲーション機能64は、読み出された道路地図データに基づき画面をスクロールさせ(ステップS308)、範囲外になれば道路地図画面のスクロールを停止させる(ステップS309)。このとき、ナビゲーション機能64は、「地図をスクロールさせることができません」などの表示を与えたり、あるいは音声出力部40からスクロールができない旨の音声出力を与えることができる。なお、スクロール方向が戻る選択された場合には、道路地図画面はその方向にスクロールされる。このようなスクロールの範囲を制限することで、不用意に指示された無制限のスクロールが一定位置で停止され、元の画面へ戻すときの時間遅延を抑制することができる。
【0037】
なお、上記のスクロール制限機能は、自車位置周辺の道路地図を表示するときのみならず、例えば、道路地図から目的地を検索するときに行われるスクロール等にも同様に適用される。
【0038】
次に、本発明の他の例を説明する。初期動作設定機能62は、仕向地の位置データを設定する他に、仕向地の国または地域の第1言語を設定することができる。初期動作設定機能62は、仕向地の位置データを記憶媒体30から読み出すとともに、仕向地の国または地域の第1言語情報(図2を参照)を読み出し、これを位置データとともに初期設定メモリに設定する。なお、記憶媒体30には、図9に示すように、国または地域と第1言語情報との関係が記憶されている。
【0039】
初期動作設定機能62により仕向地の国または地域の第1言語情報が設定される、後に、ナビゲーション機能64が実行されたとき、道路地図画面に表示される都市名、道路名、施設名等が第1言語にて標記され、あるいは、交差点案内などの音声ガイドが第1言語に従い行われる。
【0040】
なお、ユーザによっては、必ずしも第1言語を好まない場合がある。従って、記憶媒体30には、第2言語の情報を記憶しておくことが望ましく、初期動作設定機能62は、ユーザによって第2言語が選択された場合には、これを初期設定メモリに設定するようにしてもよい。
【0041】
さらに初期動作設定機能62は、仕向地の国または地域の経路探索のためのパラメータを設定することができる。ナビゲーション装置は、目的地までの経路を探索するとき、複数の候補から最適な経路を選択する。例えば、目的地まで最短時間となる経路を選択するとき、各経路のコストを比較し、最もコストの小さな経路を選択することになる。コストは、リンクの走行時間、道路種別、道路形状などの複数の要因を含むが、これらのコストは、国や地域の道路交通状況や交通法規によって異なる。記憶媒体30には、国または地域に応じたパラメータ、例えば、リンクの走行時間、道路種別、道路形状に関する係数が記憶されており、初期動作設定機能62は、仕向地の国または地域に応じたパラメータを記憶媒体30から読出し、これを初期設定メモリに設定する。ナビゲーション機能64は、目的地までの経路を探索するとき、設定されたパラメータを読出し、このパラメータを乗算することでコストを計算し、これにより最適な経路を選択する。
【0042】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図10は、第2の実施例に係る車載用ナビゲーション装置1Aの構成を示している。第2の実施例のナビゲーション装置1Aは、第1の実施例のものに加えてデータ通信部70を含んでいる。データ通信部70は、無線通信手段により外部サーバ80とデータ通信を行い、外部サーバ80から受信したデータを記憶媒体30に格納する。外部サーバ80から受信するデータには、例えば、道路地図データ、仕向地の国または地域の位置データ、言語情報、パラメータなどを含ませることができる。データ通信部70は、これらのデータの全部または一部を受信し、記憶媒体30に記憶させ、初期動作設定機能62は、上記した実施例と同様に記憶媒体30からデータを読み出し、これを初期設定メモリに設定することができる。なお、第2の実施例の場合では、必ずしも記憶媒体30を必須とするものではなく、データ通信部70から得られたデータを直接初期設定メモリに設定することも可能である。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0044】
上記実施例では、初期動作設定機能62が記憶媒体30から読み出した仕向地の位置データ等を初期設定メモリに設定する例を示したが、初期設定動作機能62は、ナビゲーション機能64に包含されるものであってもよく、すなわち、ナビゲーション機能64が初期動作設定機能を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1A】本発明の実施例に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図1B】制御部の機能を示すブロック図である。
【図2】ディスクのデータ構造を示す図である
【図3】国別のGPSプロテクトをまとめたテーブルである。
【図4】GPSプロテクト範囲を示す図である。
【図5A】本実施例に係るナビゲーション装置の仕向地の位置データの初期設定動作を示すフローチャートである。
【図5B】本実施例に係るナビゲーション装置の仕向地の位置データの初期設定動作を示すフローチャートである。
【図6】本実施例に係るナビゲーション装置の自車位置の適正性の判定動作を示すフローチャートである。
【図7】本実施例に係るナビゲーション装置の地図スクロール制限動作を示すフローチャートである。
【図8】道路地図画面のスクロールを説明する図である。
【図9】国と第1言語の関係を示したテーブルである。
【図10】本発明の第2の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1、1A:車載用ナビゲーション装置 10:自車位置検出部
20:入力部 30:記憶媒体
40:音声出力部 50:表示出力部
60:制御部 70:データ通信部
80:外部サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置に搭載されたプログラムによって利用されるデータを記憶した記憶媒体であって、
前記データは、道路地図情報と、国または地域に関する国情報と、前記国情報に関連付けされた位置情報とを含み、前記位置情報は、ナビゲーション装置の動作を制御するために用いられる、記憶媒体。
【請求項2】
前記位置情報は、緯度および経度で規定された地域である、請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項3】
前記データは、複数の国または地域の道路地図情報と、複数の国または地域に関する国情報と、複数の国または地域の位置情報とを含む、請求項1または2に記載の記憶媒体。
【請求項4】
前記データはさらに、複数の国または地域に関連付けされた言語情報を含む、請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項5】
前記記憶媒体は、ナビゲーション装置に着脱可能である、請求項1ないし4いずれか1つに記載の記憶媒体。
【請求項6】
請求項1ないし4いずれか1つに記載の記憶媒体と、
ナビゲーション動作のためのプログラムを記憶した記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたプログラムを実行する制御手段とを有し、
前記制御手段は、ナビゲーション装置の初期動作設定時に、前記記憶媒体から前記位置情報を取得し、取得した位置情報に基づきナビゲーション動作を制御する、ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記記憶媒体から取得した位置情報を書き換え可能なメモリに保存する、請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
ナビゲーション装置はさらに、入力手段と、表示手段とを含み、
前記制御手段は、ナビゲーション装置の初期動作設定時に、前記記憶媒体から読み出した国情報を前記表示手段に表示させ、かつ、前記入力手段によって選択された国情報に対応する位置情報を前記記憶媒体から取得する、請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記制御手段は、ナビゲーション装置の初期動作設定時に、前記記憶媒体から取得した位置情報と前記メモリに保存された位置情報とを比較し、双方の位置情報が異なるとき、前記メモリに保存された位置情報を、前記記憶媒体から取得した位置情報に更新する、請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記表示手段に表示された道路地図画面をスクロールさせる指示が前記入力手段から与えられたとき、前記位置情報に基づきスクロール範囲を規制する、請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
ナビゲーション装置はさらに、自車位置を検出する自車位置検出手段を含み、前記制御手段は、前記自車位置検出手段により検出された自車位置情報と前記記憶媒体から取得された位置情報とを比較し、前記自車位置情報の適正性を判定する、請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
ナビゲーション装置に搭載されたプログラムの設定方法であって、
道路地図情報、国または地域に関する国情報、および前記国情報に関連付けされた位置情報とを含む記憶媒体をナビゲーション装置に接続するステップと、
前記記憶媒体に記憶された国情報を参照し、該当する国または地域を選択するステップと、
選択された国または地域の位置情報を前記記憶媒体から取得するステップと、
取得された位置情報をナビゲーション装置のメモリに保存するステップと、
前記プログラムを実行するステップとを有し、
前記プログラムは、ナビゲーション装置の動作制御において前記メモリに保存された位置情報を利用する、設定方法。
【請求項13】
前記プログラムは、前記位置情報を利用して、GPS受信機からのGPS測位データの適正性を判定する、請求項12に記載の設定方法。
【請求項14】
前記プログラムは、前記位置情報を利用して、ディスプレイに表示された道路地図画面のスクロール範囲を規制する、請求項12に記載の設定方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−159996(P2010−159996A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1060(P2009−1060)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】